• 検索結果がありません。

NC�人

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 34-46)

図3-1 8 末端にアミノ基を有するDNAオリゴヌクレオチド(6の合成前駆 体)及びその合成に使用したアミダイト試薬

3-4-1 イミノ二酢酸修飾ピリミジン14量体(6 )とDNA二本鎖 の相互作用

3-4-1-a 複合体の安定性に及ぼす金属イオンの効果

先のオリゴヌクレオチ ド5を用いた検討では、 金属イオンとしてLu(III) を用い た場合に複合体の安定化が観察された。 そこで、 ここで はLu(III)を 中心としていくつかのランタノイドイオンを用い て、 それらが、 オリゴヌ クレオチド6とDNA二本鎖の複合体の安定性に及ぼす効果を調査した。

(Lu(III)の添加効果)

まず、 Lu(IIl)の添加効果を検討した。 図3-1 9に、 Lu(III)共存下、 非共存

2.0

1.5

1.0

0.5

0 80 70 30 40 SO 60

温度tc

20 10

ω一 nu

0.41 2.0

1.5

1.0

0.5

70 60 30 40 SO

温度tc

20 10

、lノー。

/11\

「ノ』A『

nU

0.41

。司

、、、

1.0叶巳ー

〆'ー、、

><

ト_.o w

、、_"

0.5 2.0

1.5

0 80 60 70

30 40 SO

温度tc

20 10

\Eノa

バ叶ハU f'\

0.35 0 0.4

0.39

cuJ

0.37

0.36

ー巾va'

44mer) 43mer、

における6とDN A二本鎖(42mer、

の複合体の融解曲線及びそれらの微分山線 (a)42mer, (b)43mer, (c)44mer

6: 1μM,DNA二本鎖: 0.5μM, LuCb: 0.5μM, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): 1mM 温度変化速度:0.50C/min,検出波長: 260nm

(実線) 非共存下

Lu (111)共存下 (点線) 図3-19

表3-4 Lu(ill)共存下、 非共存下における6とDNA二本鎖の 複合体の融解温度Tm CC)及び融解温度差ムTm

融解温度Tm CC)

Lu(皿)非共存下 Lu(ill)共存下 ムTm 42mer

43mer

00 勺/

1i ウん 勺ん つ臼

2 1 1

1d 勺コ

「コ

A斗 バ斗T

噌''A ハU

44mer

下における6と DNA二本鎖 (4 2 me r、 4 3 mer、 44mer)の複合体の融解曲線 を示す。 いずれの DNA二本鎖、を用いた場合もLu(III)の添加によって、 融解 曲線が大きく変化した。 各融解曲線を微分し、 各複合体の融解 温 度 T mを見 積もった。 その 結果をまとめて表 3-4に示す。 いず れの複合体 について も

Lu(III)の添加によって明らかにTmが上昇し、 その安定性が増大することが

わかった。 特に、 6と44mer の複合体について は、 Lu (III)の添加によって

Tmが約100C上昇し、 大きな安定化が観察された。 こ の安定化効果は、 6の 二量体として の協同的な結合に基づくものであると考えられる。 これにつ いては、 Lu(III)共 存下に おける(融解曲線 の)微分曲線が非共 存 下の もの と比較す ると、 極めて鋭くなってい ることからも推測される(微分曲線の

鋭さは2つのオリゴヌクレオチドの協同的な結合の指標となり得る)。

次に、 図3-19で観察されたLu(III)添 加に よる安定 化効果が、 6の二量体 とし ての協同的な結合に基づくものであるとい うことを裏付ける ために、

コントロール実験を行った。 具体的には前節で行った ように、 DNA 二 本鎖 として以下のよう な 2 6 merを使用して、 同様にLu(III)の添加効果 を検討し た。

26mer 5'-CTGGACAAAAAAAAAAAAAACAGGTC-3' 3'-GACCTGTTTTTTTTTTTTTTGTCCAG-5'

-97-(円〉\仏、円安-cu) 2.0

1.5

0.5 1.0 0.5

0.49

0.48

Cコ 0.47

0.46

0.45

0 80 60 70

40 50

温度tc

20 30 10 0.44

0

Lu(III)共存下、 非共存下における6と26merの複合体の融解曲線 、 及びそれらの微分曲線

図3-20

6: 1μM, 26mer: 0.5μM, LuCb: 0.M, NaCl: 2M, HEPES(pH7.5): lmM 温度変化速度: 0.50C/min,検出波長:260nm

非共存下における6と26merの複合体の融解 Lu(III)共存下、

図3-20に、

Lu(III)は複合体の安定性にほとんど影響を与えな この場合、

曲線を示す。

図3-1 9で観察されたLu(III)添加による 安定化効果 このことから、

かった。

6の二量体としての協同的な結合 に基づくものであるということが確 認できた。

が、

(その他のランタノイド金属イオンの添加効果)

同様に複合体の Lu(III)だけでなくイ也のランタノイドイオンについても、

La(III)、

ランタノイドイオンとしては、

安定性に及ぼす効果を検討した。

各金属イオン共存下における6と 図3-21、

Tb(III)を使用した。

、、、B,ノyaA YE­yti r,,、、HU R・μ

(図には、 併せて金属イオン非 Lu(III)共存下におけるデータも示している)

43merの複合体の融解曲線をまとめて示す

共存下、 。 これより、 La(III)、

-98-表3-5 ランタノイドイオン共存下、 非共存下 における6と43merの複合体の融解温度 Tm CC)及び融解温度差ムTm

Tm CC) ムTm

none 27

La(皿) Eu(皿) Tb(III)

Lu(II1)

00 ハU 噌l tI 勺L qd 弓3 2J

1i 司3 A『

バH.

表3-6 ランタノイドイオンとイミノ二酢酸 の会合定数(文献値28))

会合定数(logKML)

La(皿) 5.88

Eu(皿) 6.73

TbロII) 6.78

Lu(II1) 7.61

Eu(111)、 T b(111)についても明らかに複合体の安定性に影響を及ぼすことが わかった。 各融解曲線を微分し、 各複合体のTmを見積もった。 図3-22に 図3-21の各融解曲線の微分曲線を、 表3- 5に、 各複合体のTm値を まとめて 示す。 いずれのラ ンタノ イ ドイオンを添加した場合も、 複合体のTmは上昇 し、 これらの 金属イ オンも複合体を安定化させることがわかった。 安定化 の程度は、 L a(111)< Eu(111)< T b(111)の順に大きくなった。 ここで得られた 安定化の序列は、 各金属イオン とイ ミ ノ 二酢 酸の親和性を反映したもの で

あると考えられる(表3-6) 。

次に6 と44merの複合体についても同様に、 La(I 11)、 Eu (111)の添加効果を 検討した。 図3-23と3-24に、 各金属イオン共 存下に おける融解曲線、 及び そ れらの微分曲線をそれぞれまとめて示す。 また、 各複合体のTmを表3- 7にま

-99-一一一 - -- - none m hb百い mmm

0.42

0.40

0.39 0.41

0.38

0.37

70 80 60 40 50

温度tc

20 30 10 0.36

0

下存北ハ

Lu(111)) (La(I11)、 Eu(111)、 Tb(111)、

非共存下における6と43merの複合体の融解曲線 ラ ンタノイドイオン

図3-21

6: 1μM, 43mer: 0.5μM,ランタノイドイオン: 0.5μM, NaCl: 2M,

HEPES(pH7.5): 1 mM,温度変化速度: 0.50C/min,検出波長: 260nm

一一一- -- - none

一一 -La佃)

一一一一 Eu佃)

.. ... . ... ... ... .. _ - 田)

ーLu佃) 2.0

1.0 1.5

0.5

(円。-H)FHb\〈℃

80 70 60 50 30 40

10 20

温度tc

図3-21における各融解曲線の微分曲線 図3 -22

-100-,ソρ/ / JY I ノμ/ / ノ ノ

/ん-0.42

0.41

一一一一一一一一 none

--- La佃)

ー・・ -

- Eu(llI)

ー ー ー -

-Lu(llI)

0.40

0.39

0.38

our

80 70 60 50 40 30 20 10 0.37

0

温度tc

北ハ

存 下 非共存下

Lu (I11)) ( La(I11)、 Eu (I11)、

における6と44merの複合体の融解曲線 ラ ンタ ノ イドイオン

図3-23

6: 1μM, 44mer: 0.5μM,ランタノイドイオン: 0.5μM, NaCl: 2M,

HEPES(pH7.5): 1mM

温度変化速度:0.50C/min検出波長: 260nm

- - - - La(lll)

--- ・ ・ 句

Eu(Ill)

ーーーーーLu(llI)

一一一一一一一一 none

2.0

1.0 1.5

0.5

(門()-K)トガ\〈℃

80 70 60 50 40 20 30

10 0

0

温度tc

図3-23における各融解曲線の微分曲線 図3-24

ー101-表3-7 ランタノイドイオン共存下、非共存下 における6と44merの複合体の融解温度 Tm CC)及び融解温度差ムTm

Tm CC) ムTm

none 21

La(皿) Eu(ill) Lu(皿)

2 0 1 ぺ4 2J 勺コ

ti ny

ハU噌EEA

とめ て示す。 これより、6と44merの複 合体 に対して も、L a (III)、 E u (III) は安定化効果を有することがわかった。 また、安定化の序列についても、

先と同様にイミノ二酢酸と各金属イオ ンの親和性を反映したものとなった。

3-4-1-b

熱力学パラメータの算出

オリゴヌクレオチド 6のDNA二本鎖との三本鎖形成反応を定量的に評価 するために、 熱力学パラメー ターの算出を試みた35). 36)。 ここでは、L u( III) 共存下 、 非 共存 下に おける6と44merの複合 体について検討した。

5 '-CTGGAdTTTTTTTTTTTTTτ

'--1ムムムムムムムムムムムムムム

1GACGA.AA.AAAAAAAAACAGGTC-3 '

)\..: 司:::::::::_.J.. ::: ;:: 44mer

3 ' - GACCTG�TGCæTTTTTTTTTTTTTGτlCCAG-5 '

44m erには6の結合サイトが2つあるが、 それぞ、れの結合サイトが等価で あると仮定して、 それぞれの結合サイトへの6の結合平衡を考えた。 す な わち、(1 )式のような単純化した平衡を考えた。 ここで、dsは44mer上の6 の結合サイトを表し、tsは三本鎖複合体 を表す。

ー102-6 + ds ts 〆,,、、 、、,J''aaA

ここで6の濃度をC、6の 結合率を6とすると、三本鎖複合体形成に対す る平衡定数Kは( 2)式のように表される。

K= _8 a

C(l-8)'- (2)

一般に平衡定数Kは熱力学パラメーターを使って次のように表される。

K=

叶筈)

=

(3)

ここで、 これまで融解曲線を微分してそのピークトップにおける温度を 便宜上、融解温度とみなしてきたが、 厳密にはこの 温度における結合率。

は0.5ではなく、 0 .4 14である37)。 従って、微分曲線のピークトップにおけ

る温度(Tmと表記) では、( 2)式と(3)式を組み合わせて、 以下のような式 が成り立つ。

1 2.3R. � L1S0 - 0.188R 一一T

=

一一一lOQC+

m ðJiO ðJiO

(4 )

従って、logCに対してl/Tmをプロ ットし、その直線の傾きと切片から ðH。とL1S。を算出することができる。

まず、Lu(III)非共存下において、6(三本鎖複合体ts )の濃度C(μM)を 1.0、 2.0、 3.5、 5.0と変化させて、 各濃度におけるTmを測定した。 表 3-8 に、各濃度条件における複合体の Tmをまとめて示す。 また、図 3-25には、

logCに対してl/Tmをプロ ットした図を示す。 このプロ ットより、三本鎖形

成に対するL1H。とL1S。を算出した。 また、 得られた L1H。とL1S。からムG。算出 し、250Cにおける会合定数K を求めた。 これらをまとめて表3 -9に示す。

ー103-表3-8 様々な複合体濃度ca)におけるLu(III)共存下、 非共存下 での6と4 4merの複合体の融解温度Tm

0.2 0.5 1.0 2.0 3.5 5.0

Tm CC)

Lu(田)非共存下 Lu(皿)共存下 23.5 27.5 複合体濃度C(μM)

21.0 25.5 29.5 31.5

31.0 34.0

a) 44mer上に形成される2つの三本鎖複合体をそれぞれ独立にlつの複合体とみなす。

表3-9 Lu(III)共存下、 非共存下における6と44merの複合体形成に 対する熱力学パラメータ

L1H。 L1S。 L100 (250C) K (250C)

(kca1/mole) (ca1/mole deg) (kcaljmole) (M-l)

none -26.9 -63.6 ー7.92 6.4 X 105

Lu(III) -39.3 -101.4 -9.04 4.3 X 106

3.45

3.40

--Eト-Luなし

一一・

-

Luあり

E

こ二 3.30

\ \

s

><

\

、、、

o 3.35

\、

\

3.25

-

6

.

8 -6.6 -6.4 -6.2 -6 -5.8 -5.6 -5.4 -5.2 logC

図3-25 Lu(田)共存下、 非共存下における6と44merの複合体のTmの濃度依存性

-104-同様に、 Lu(111)共存下において、 6( 複合体)の濃度C(μM)を0.2、 0.5 、

1 . 0、 2.0と変化さ せて、 各濃度におけるTmを測定した。 表3-8に、 各濃度 条件における複合体のTmをまとめて 示す。 また、 図3-2 5には、 logCに対し てl/T mを プロ ットした図を示す。 表3-9に、 このプロ ットより得られた熱 力学パラメータを示す。

表3-9より、 Lu(111)を添加 することにより、 ð.H。、 ð.S。共に、 その負の値 が大きくなって いることがわかる。 これは 、 オリゴヌクレオチドの鎖長が 長くなった場合に観れられる典型的な現象である。 このこともLu(111)との 錯形成に基づく6の二量化の証拠となり得る。 また、 会合定数Kに注目する と、 Lu(111)添加による複合体の安定化効果は、 会合定数にして約7倍の安 定化に相当するものであることがわかる。

3-4-2 まとめ

ここでは、 オリゴヌクレオチド6とDNA二本鎖との相互作用について述 べた。 6とDNA二本鎖(42mer、 43mer、 44mer)の複合体は、 Lu(111)を添 加することにより安定性が増大することがわかった。 特に、 6と44merの複 合体については、 Lu(111)の添加 により Tmが1 00C上昇し、 大 きな 安定化が 観察された。 一方で、 6と26merの複合体については、 Lu(I11)を添加 しで もほとんど安定性に変化がみられなかった。 このことか ら、 6はLu (111)共 存下ターゲットするDNA二本鎖に二量体として協同的に結合 することによ

り、 そのDNA二本鎖への親和性を増大させていることがわかった。

また、 Lu(111)だけでなく他のランタノイド金属イオン(La(111)、Eu(111)、

Tb(I11))についても 、 6とDNA二本鎖(43me r 、 44mer )の複合体を安定 化させることがわかった。 この際、 観察された複合 体の安定性 は、 各金属

イオンとイミノ二酢酸の親和性を反映したものであった。

-105-3-5 結言

本章では、 DNA二本鎖上のC2対称配列へのDNAオリゴヌクレオチドの結 合(DNA三本鎖形成)を金属イオンによって制御 する ことを試みた。 この 目的の ために末端にイミノ二酢酸部位を導入したDNAオリゴヌクレオチド を合成した。 そして、 金属錯形成を通じたオリゴヌクレオチドの二量 化を 利用したDNA三本鎖形成の制 御を試みた。

まず、 イミノ二酢酸修飾ピリミジン7量体4を合成し、 検討を行った。

その結果、 鎖長が短すぎた ためにDNA三本鎖 の形成が確認できず、 金属錯 形成を通じたオリゴヌクレオチドの 二量化の効果を検討することはできな かった。

次に、 塩基数を2倍に したイミノ二酢酸修飾ピリミ ジン14量体5 を合成 し、 そのDNA二本鎖との相互 作用を検討した。 こ のオリゴヌクレオチドに ついては、 三本鎖形成を確認 することができた。 オリゴヌクレオチド5の 三本鎖複合体については、 Lu(III)を添加することによ ってその安定性が増 大することがわかった。 中でも41merと5の複合体については、 Lu(III)添 加によ る淡色効果の程度が他の系と比べて大きかったことから、 5が二量 体として協 同的 に41mer に結合している可能性が示唆された。 しか しなが

ら、 その 協同性は、 複合体のTmにはほとんど反映されておらず、 満足の い くものではなかった。 こ れについては、 5のイミノ二酢酸部位とヌクレオ チドを つなぐリンカ一部位の剛直性に問題があるのではないかと考えられ た。

そこで次に、 リンカ一部位のメチレン鎖 の数を増やし、 その柔軟性 を 増 したオリゴヌクレオチド6を合 成し、 DN A二本鎖との 相互作 用を検討した。

その結果、 このオリゴヌクレオチドについては、 いくつかのランタノイド イオン存在下、 ターゲットと するDNA二本鎖 に対する親和性が明らかに増 大することがわかった。 そして、 こ の親和性の増大は、 6の二量体として

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 34-46)

関連したドキュメント