研究ノー ト
会計情報 システム と NGN に関す る一考察
荒 井 義 則
1. はじめに
最近
NGN( Ne x tGe n e r a t i o nNe t wo r k
:次世代 ネ ッ トワーク)1)9)が注 目を集 めている。インター ネ ッ トは広範囲に普及 し、すでに社会基盤 となっ てい るが、セ キュ リテ ィや通信 品質の面で問題 がある。 また、固定電話網 において も設備 の老 朽化 とい う問題 が発生 している。 これ らの問題 を同時 に解 決 で きるネ ッ トワー ク と してNGN
は期待 を集 めてい る。
本稿 で は、 この
NGN
と会計情報 システ ムの 関係 を考察す る。まず、インターネ ッ トのセキュ リテ ィや通信 品質の問題点 を概観 し、固定電話 網の設備 の老朽化 に言及 し、 これ らの問題点 を 解 決す るNGN
を解説す る。 さらに、NGN
が広 範囲に普及 した場合の会計情報 システムの構造 と企業通信の専用線 な ど一部分にのみ使用 され た場合 (広範囲に普及 しなかった場合)の会計 情報 システムの構造 を推測 し、それ らのシステ ムを複雑適応系の観点か ら考察す る。2.
インターネッ トの問題点ここではイ ンターネ ッ トの問題 点 を概観 す る 1ト9)。 イ ンターネ ッ トはベ ス トエ フォー ト型 のネ ッ トワー クであ り、セ キュ リテ ィや通信 品 質に難点がある。
(1)セキュリティ
インターネ ッ トは さまざまなネ ッ トワー クの 集合体であ り、全体 を管理す る管理者 は存在せ
ず、イ ンターネ ッ トの利用者 を特定す ることが 難 しい。そのため、
① コンピュータ ウィル スの感染
② スパイ ウェアの侵入
③迷惑メール
④不正侵入
⑤ネ ッ ト詐欺 (ワンク リック詐欺、フィッ シング詐欺な ど)
⑥サイバーテ ロ
な どの問題 が発生 してい る。
イ ンターネ ッ ト利用 に伴 う過去
1
年 の被害調 査 (平成19年末)10)では、世帯 についての 自宅 パ ソコンの被害経験 は①迷惑 メール (架空請求メールは除 く)
の受信
4 0. 8%
② コンピュー タウィル スを発見 したが、
感染 しなかった
2 0. 0%
③ コンピュー タウイル に1度以上感染
1 6. 0%
④架空請求メールの受信
5. 2%
⑤不正アクセス 1.7%
⑥スパイ ウェア等 による個人情報の
漏 えい
1 . 2%
⑦ フィッシング 1.2%
⑧ ウェブ上での誹誘 中傷等 0
. 4 %
⑨その他 (著作権の侵害等)
0. 1 %
⑩特 に被害はない 37.2%
であ り、企業にお ける被害経験 は
会計情報システムと
NGN
に関する一考察1 5 1
① コン ピュー タ ウィル スを発 見 したが、
感染 しなかった
37. 7%
② コンピュー タ ウィル スに
1
度以上感 染1 6. 7%
③ スパ ムメール の中継利用 ・踏み台
4. 1%
④
DoS
攻撃1 . 9%
⑤不正 ア クセ ス
1 . 6%
⑥故意 ・過失 に よる情報漏 えい
1 . 5%
⑦ その他 の侵 害
0. 7%
⑧ ホー ムペー ジの改 ざん
0. 5%
⑨特 に被害はない
42 . 4 %
であった。 ともに コンピュー タ ウィル スや迷惑 メール に関す るものが多いが、被害 を受 けた割 合 がかな り大 きい こ とがわか る。
( 2)
通信 品質イ ンターネ ッ トにお ける通信 では、途切れ る ことな く確 実 に相手 に通信 内容 が届 くことを保 障す るものではな く、安定的な通信 は望めない。
また、警察や消防署‑ の通報 とい った緊急通信 を優先す ることも不可能 である。イ ンターネ ッ トに も帯域確保や特定の通信 (パ ケ ッ ト) を優 先す る技術 は存在す るが、使用 され るのはイ ン ターネ ッ トの ごく一部分 であ り、イ ンターネ ッ ト全域 に これ らの技術 が普及す ることはあ りえ ない。
(3)イ ンターネ ッ トの不安
イ ンターネ ッ ト利用 で感 じる不安 の調査 (平 成
1 9
年末)ll)では、世帯で感 じる不安 は(D個人情報 の保護 に不安 がある
71 . 0%
(卦ウイル スの感染 が心配 である
66. 1 %
③ どこまでセ キュ リテ ィ対策 を行 えば よ
いか不明
60. 2%
④電子的決済手段 の信頼性 に不安があ る
44. 2%
⑤違法 ・有害情報 が氾濫 してい る
37・ 2%
⑥セ キュ リテ ィ脅威 が難解 で具体的に 理解 で きない
34. 9%
⑦認証技術 の信頼性 に不安 がある
2 0. 7%
⑧知的財産 の保護 に不安がある
8. 2%
⑨送信 した電子 メールが届 くか ど うか わか らない
⑩ その他
⑪無回答
であ り、企業が感 じる不安 は
①セ キュ リテ ィ対策 の確 立が困難
61 . 6%
② ウイル ス感染 に不安
5 8 . 4 %
③従業員 のセ キュ リテ ィ意識 が低 い
43. 9%
④運用 ・管理 の人材 が不足
40. 1 %
⑤運用 ・管理 の費用 が増大
35. 8%
⑥ 障害時の復 旧作業 が困難
25. 2%
⑦導入成果 の定量的把握 が困難
1 6. 1 %
⑧通信料金 が高い
1 2. 8%
⑨導入成果 を得 ることが困難
9. 3%
⑩通信速度 が遅 い
7. 8%
⑪著作権等知的財産の保護 に不安
⑫電子的決済の信頼性 に不安
⑬認証技術 の信頼性 に不安
⑭ その他
⑮特 に問題 な し
⑯無 回答
% % % % % % 3 7 1 2 5 5 6 5 5 2 3 3
であった。
イ ンターネ ッ トはその普及度 、利用度か ら見 て明 らかに社会基盤 のひ とつ になってい るが、
す でに見てきたセ キュ リテ ィ ・通信 品質 の問題 点や上述 の世帯や企業 の不安 の割合 の大 き さか ら、固定電話網 が果 た して きた社会基盤 の役割 を負 わせ るわけにはいかない。
3.
固定電話網 の老朽化固定電話網の通信 (通話) においては、通信 内容 (通話内容)が途切れ ることな くリアル タ イムで確実に通信相手 に伝 わるので、イ ンター ネ ッ トにおける通信 に比べ安定度ははるかに高 く、110番、 119番 な ど‑の緊急通信 は他の通信 よ り優先的に扱 われ る。 また、固定電話網全体 が事業運営会社 によ り管理 されてお り、利用者 の特定 も可能で、セ キュ リテ ィ面で もイ ンター ネ ッ トにおける通信に比べはるかに安全である。
インターネ ッ トの普及 によ り固定電話の数 は減 少 しているが、セ キュ リテ ィ ・通信 品質の両面 でインターネ ッ トより優れてお り、インターネ ッ トでは果たす ことのできない役割 を果た してい るので、廃止す ることはできない。
しか しなが ら、固定電話網 を構成す る機器 は 耐用年数が到来 してお り、機器 の更新 を迫 られ ているが、電子交換機 な どの固定電話網 を構成 す る機器 は固定電話網専用の機器 であ り、その ため非常に高価 で扱 える技術者 も不足 している
とい う問題 を抱 えてい る。
4.NGN
12)NGN
はイ ンターネ ッ トの柔軟性 を失 わず に セキュ リテ ィ ・通信品質の問題点 を克服 し、か つ固定電話網の更新時に生 じる費用の高騰 ・技 術者不足 とい う問題 も解決できる通信事業者 の 新 しいネ ッ トワー クであ り、既存の固定電話網 に代わる次世代の社会基盤 となるべきネ ッ トワー クである。その特徴 は以下の とお りである。(1)通信事業者 による一元的なネ ッ トワーク 制御
イ ンターネ ッ トでは全ネ ッ トワー クを一元的 に集 中管理す る管理者 は存在 しないが
、NGN
は既存の固定電話網 と同様 に通信事業者 が制御 す るネ ッ トワー クである。 このため、管理が及 ぶ範囲であれば安全性や信頼性 はイ ンターネ ッ
トに比べて非常に高い。
(2)】P技術の採用
NGN
では、 固定電話網 に用 い られ てい る回 線 交換方式ではな く、イ ンターネ ッ トで使用 さ れ てい るIP技術 を採用 してい る。 したがって、更新時の費用は低 く抑 え られ、技術者不足 も解 消 され る。
IP技術 を採用す ることによ り、イ ンターネ ッ トと同様のサー ビスをよ り高い信頼性 のもとで 提供す ることが可能になる。 また、 これまでは 通信事業者は 「電話用」、「データ通信用」とサー ビスに応 じて様 々なネ ッ トワー クを構築 してき たが
、NGN
で は これ らのサー ビス を統一 して 扱 うことができ、開発 ・保守 ・運用面での費用 の低減化 がはかれ る。 さらにNGN
では、放送と通信の融合 も視野 に入れている。
(3)国際標準化
NGN
の標準化 はI TU‑ T
(国際電気通信連合電 気通信標準化部門)が行 っている。標準化 によ り、NGN
をグ ローバル に利 用す るこ とがで き るよ うになる。(4)通信品質の確保
NGN
では通信の開始か ら終了まで通信のセ ッ シ ョン (通信経路) を設定 ・維持 し、 さらに確 立 されたセ ッシ ョンの中で通信 内容 に応 じた帯 域 を確保す ることによ り、非常に高い通信 晶質を実現 している。
セ ッシ ョンの設定 ・維持についてはSIP (セ ッ シ ョン開始 プ ロ トコル ) に よ り実現 し
、NGN
全体 で統一的 に用 い る。 この
S I P
とS DP
(セ ッ シ ョン記述 プ ロ トコル)、R TP
(リアル タイ ム 転送プ ロ トコル)な どのプ ロ トコルが連携 し、さまざまなアプ リケーシ ョンを提供す る。
(5)安全性の確保
会計情報システムと
NGN
に関する一考察1 5 3
NGNは非常に強固なユーザ認証機能 を持 ち、
また、利用者の特定も可能であるため、インター ネ ッ トで発生す るさま ざまなセキュ リテ ィ上の 問題点を解決できる。
以上見て きた よ うに、 NGNはイ ンターネ ッ トや固定電話網に比べて非常に優れたネ ッ トワー クであ り、イ ンターネ ッ トにお ける被害経験や 利用時の不安 に関す る問題点をかな り解消 して くれ る。 しか しなが ら、優れているとい うだ け では広範囲に普及す るか どうかは分か らない。
広範 囲に普及す るためには、イ ンターネ ッ トと 同様 の使 いやす さや導入 ・運用費用の低価格化 が必要 で あ るが、 その上 にNGNで なけれ ば実 現できないキラー ・アプ リケー シ ョンが必要で ある。
現在 考 え られ てい るNGNの キ ラー ・アプ リ ケー シ ョンはFMCとIPTVで ある。 FMCとは固 定通信網 と移動通信網 の融合である。IPTVはIP を用いた映像配信サー ビスである。 これ らの機 能がキラー ・アプ リケー シ ョンとなるか どうか は時がたた な けれ ばわか らないが、 NGNが一 部分 しか広 ま らない とい う可能性 も存在す る。
NGNが 出現 して もイ ンターネ ッ トは消 えるわ けではな く、イ ンターネ ッ トが現在の よ うに使 われ 、 NGNが使 用 され るのは企業 の専用線 な どほんの一部 にす ぎない とい う事態 も起 こ りう る。
5. NGN
を用いた会計情報システムの予
想図現在の会計情報 システムは業務統合型会計情 報 システムに膨大な数 の協働す るシステムがイ ンターネ ッ トで接続 され た
「 We b2. 0
型会計 情 報 システ ム13
)」 に到 達 してい る。 NGNが この「 we b 2. 0
型会計情報 システム」 に用い られた場 合 を(1)NGNが広範 囲に普及 した場合(2)NGNが一部分 しか普及 しなか った場合 の二つ に分 けて考察す る。
(1)NGNが広範囲に普及 した場合
この場合、会社 の専用線 は徐 々にNGN に置 き換 え られていき、協働す るシステムをつな ぐ 線 も徐 々にNGN に置 き換 わってい く。途 中の 段 階で はNGNとイ ンターネ ッ トが共存す るシ ステム とな り、最終段階で もイ ンターネ ッ トが 存在す る可能性 はあるが、すべてが
NGN
に置 き換わった場合 を考 える。 この場合 も会計情報 システムの機能 は①帳簿管理機能
②外部会計報告機能
③ 内部会計報告機能
④予算編成機能
⑤意思決定機能
⑥環境会計機能
⑦原価計算 ・原価管理 (原価維持 ・原価 低減 ・原価企画)機能
であるが、システム 自体の能力が向上 している ので、協働す る膨大な数 の人間を含 めたネ ッ ト ワー ク全体の意思が迅速かつ よ り正確 に決定で きるよ うになる。
また、セキュ リテ ィが強化 され、システム と しては強固な免疫が備 わった免疫 システム (こ こではセ キュ リテ ィ上の脅威 を取 り除 く機能 を 免疫 システム と考 える。) となってい る。
さらに
、NGN
上ではア ウ トソーシングが よ り安全に実行 できるので、会計機能の一部 をア ウ トソーシングす ることも安全 に行 える。 した がって、中小の企業で も大企業 に匹敵す るよ う な会計情報 システムを構築す ることができる。自己完結型会計情報 システ ムか ら
We b2. 0
型会 計情報 システムに一足飛びに進化す ることも可 能である。(2)NGNが一部分 しか普及 しなかった場合
この場合は、企業の専用線 な どの一部分 しか
NGN
が普及 しないので、We b 2 . 0
型会計情報 シ ステムにおいて も企業が所有す る業務統合型会 計情報 システ ムの部分 のみ が徐 々 にNGN
とな り、膨大な数 の協働す るシステム とはイ ンター ネ ッ ト経由で結ばれ ることになる。 したがって、全体 的 な意思決 定 は
NGN
が存在 しない場合 のWe b 2 . 0
型会計情報 システ ムの場合 と大差 はなくなる。
6.
複雑適応系の観点からここでは
、NGN
を用 いたWe b 2 . 0
型会計情報 システ ムがジ ョン ・ホ ラン ドの複雑適応 系14ト17) であることを示す。( 2 )
のNGN
が一部分 しか普 及 しなか った場合 のWe b 2 . 0
型会計情報 システ ムはNGN
が存在 しない場合 のWe b 2 . 0
型 会計情 報 システム とほぼ等 しいので、(1)のNGN
が広 範 囲 に普及 した場合 のWe b 2 . 0
型 会計情報 シス テムについて考 える。(1)集合的特性
We b 2 . 0
型会計情報 システ ムは多数 の適応 的 エージェン トが協働 して 目的を達成す るシステ ムであるか ら、その 目的が集合的特性 と考 え ら れ る。す なわち、集合的特性 は存在す る。( 2)
非線形性情報量 とコス トの関係 について取 り上げる。
NGN
に よる情報収集 の費用 はイ ンターネ ッ ト による情報収集 の費用 と大差ない として考える。た とえば情報量が2倍 になって もコス トは必ず しも2倍 にはな らない。す なわ ち、情報量 とコ ス トの間には厳密 な意味では線形性 は成立 しな い と考 え られ る。
(3)流れ
企業による情報開示 と全エー ジェン トによる 情報 の共有 は
We b 2 . 0
型 会計情報 システ ムの重要な成立要因であるか ら、エージェン ト間の情 報 の流れ は確 実 に存在す る
。NGN
の場合 は多 種多様 な情報 を安定的に高い信頼度で送付でき るので、NGN
を用 いたwe b 2 . 0
型会計情報 シス テ ムの ほ うがNGN
を用 い ないWe b 2 . 0
型会計情 報 システムよ り情報の流れが多量で速 くなって い る。(4)多様性
膨大な数の企業外部の人間が 自発的に参加す るので、エージェン トの多様性 は確実に存在す る。
( 5)
標識化商品開発 な どの具体的な 目的があって
We b 2. 0
型会計情報 システムの機能が発揮 され るので、この 目的が標識 となる。
( 6)
内部モデル内部モデル (スキーマ) とは複雑適応系が周 囲の環境 と相互作用 して得 られた情報か ら規則 性 を見出 し、 さらにその規則 を圧縮 して得 られ た ものである。 これに相 当す るもの (の一部) はテ ィム ・オ ライ リーが提唱 した
7
つの「 We b 2 . 0
の原則」 と8
つの「 We b 2 . 0
のデザイ ンパ ターン」18)19)である。 これ らの原則 とデザイ ンパター ンは グー グルや アマ ゾンな どの
We b 2 . 0
的企業 の行動か ら得 られた情報 を集約 し、原則 とデザ イ ンパ ター ンまで高め られたものであるか ら、ま さしく内部モデルである。
( 7)
積木NGN
ネ ッ トワー ク上での情報の収集 ・伝達 ・ 共有 な どの具体的な技術で有効性 があ り、使用 頻度 の高い ものを定式化 して保存す ることは確 実 に行われ るので、 これが積木 となる。会計情報システムと
NGN
に関する一考察1 5 5
以 上 の考察 に よ り、 NGNを用 い たweb2.0型 会計情報 システ ムがジ ョン ・ホ ラン ドの複雑適 応 系であるこ とが示 された。非線形性 とスキー マの存在 が示 され たので、マ レー ・ゲルマ ンの 複雑適応 系であるこ とも示 され た。
NGNを用 い ないWeb2.0型 会 計情 報 システ ム もマ レー ・ゲルマ ンな らび にジ ョン ・ホ ラン ド の複 雑適 応 系 で あ る こ とは既 に証 明 して い る が13)、 両者 の違 い は 「情 報 の流 れ 」 で あ る。
NGNを用 い てい るシステ ムの ほ うが情 報 が 多 量 でエー ジェン ト間の伝達 も安定 してお り、信 頼性 も高い。 したがって、集合知 に よる判断 も
よ り信頼性 が置 けるもの とな る。
この こ とは 、適応 度 地形 で考 え る とNGNを 用 い たWeb2.0型 会 計情 報 システ ムの ほ うが よ り高い位置 (高い適応度) に存在す ることにな るが 、 この進 化 はNGNとい うシステ ム の導 入 に よ り起 こされ た突然変異で ある。
突然変異 によ り生 じた 「NGNを用いたWeb2.0 型会計情報 システム」は 「用いてないシステム」
と同様 に 「弱結合」 で あ るか ら、 「強 固な免 疫 システムを備 えた弱結合複雑適応 系」 とい うこ
とになる。
7. おわ りに
本稿 で は、 NGNが用 い られ た場合 のWeb2.0 型 会 計 情報 システ ム をNGNが広範 囲 に普及 し た場合 とそ うでない場合 に分 けて考察 した。 そ の結果、NGNが広範 に用い られ た場合 は、Web 2.0型 会計情報 システ ムは 「非 常 に強 い免 疫 系
を内蔵 した弱結合複雑適応 系」 となるこ とが示 され た。
NGNの普 及 と ともに会 計 情 報 システ ムが ど の よ うに変化 してい くのか、今後 も注視 してい きたい。
注
1)次世代ネ ッ トワーク (NGN)について (NTT 東 日本)http://www.ntt‑east.co.jp/ngn/
2)次世代ネ ッ トワーク (NGN)フィール ドトラ イ アル (NTT東 日本 )http://www.ntt‑east.co.jp/
ngn‑trial/
3)藤井章博、山田肇 (2008)「新 しい情報ネ ッ トワー ク基盤 の実用化 と研究開発 の動 向
」
『科学 技術動向2008年11月号』http://www.nistep.go.jp/a chiev/Rx/jpn/stfC/SttO92j/0811̲03jeaturearticles/ 0811faOl/200811̲faOl.htm14)井上友二[監修](2008)『NGN入門 改訂版』
インプ レスR&D。
5)井上友二[監修](2008)『インプ レス標準教科 書シ リーズ NGN教科書』イ ンプ レスR&D。
6)藤吉栄二、一瀬寛英 (2008) 『NGNが変 える ネ ッ トワークの未来』毎 日コミュニケーションズ。
7)本 田雅裕 (2008) 『NGN次世代ネ ッ トワーク のすべて』技術評論者。
8)次世代ネ ッ トワーク研究会[編集](2008)『よ くわかるNGN』NTT出版。
9)株式会社情報通信総合研究所[編集](2008)
『情報通信アウ トル ック2009NGNが開く未来の扉』
NTT出版。
10)『平成20年度版情報通信 白書』 123頁。
ll)『平成20年度版情報通信 白書』 121頁。
12)ここでは1)〜9)の文献を参考に して、NGNに ついて概観す る。
13)拙稿 (2008)「会計情報 システム とWeb2.0に 関す る一考察II」『神奈川大学経営学部国際経営 論集』、第35号、77頁。
14)John H.Holland[著]、嘉数倍昇[監訳](1992)
『遺伝アル ゴリズムの理論』森北出版。
15)JohnH.Holland (1992)HiddenOrder,Addison‑
Wesley.
16)Murray Cell‑Mann[著]、野本陽代[訳](1994)
『クオークとジャガー』草思社。
17)井庭崇、福原義久 (1998)『複雑系入門』NT T出版。
18)Tim O'Reilly[著]、CNET Japan[訳]「次世代 ソ フ トウェアのデザインパターンとビジネスモデル」
『ⅠNTERNET magazine』、2006年1月号、51ページ。
19) Tim O'Reillyの7つの 「Web2.0の原則」 とは
①プラッ トフォームとしてのウェブ
②集合知の利用
③データは次世代の「インテル・インサイ ド」
④ ソフ トウェア ・リリースサイクルの終鳶
⑤軽量なプログラミングモデル
⑥単一デバイスの枠を超えたソフ トウェア
会計情報システムとNGNに関する一考察 157
⑦ リッチなユーザー経験
であ り、8つ の 「Web2.0のデ ザイ ンパ ター ン」 と は
Q)ロングテール
②データは次世代の 「イ ンテル ・イ ンサイ ド」
(7つの 「Web2.0の原則」 と重複)
③ユーザー による付加価値創造
④ネ ッ トワー ク効果 を促す初期設定
⑤一部権利保有
⑥永久 にベー タ版
⑦ コン トロール でな く、協力
⑧ 単一デバイ スの枠 を超 えた ソフ トウェア (7つの 「Web2.0の原則」 と重複) である。