論文内容要旨
High expression of olfactomedin-4 is correlated with chemoresistance and poor prognosis in pancreatic cancer(Olfactomedin-4 の発現は膵臓癌における抗癌剤耐性と
予後不良に関与する)PLOS ONE(15
巻・1号・e0226707・2020年)生理系生理学(生体調節機能学分野)大熊 遼太朗
背景: 膵臓癌は極めて予後不良のため,早期診断法の確立や治療効果予測因子の同定及び 新規治療法の開発が求められている.抗癌剤耐性のメカニズムや予後不良に関与する因子 の同定は適切な治療法の開発に繋がる.本研究では,膵臓癌の抗癌剤耐性分子及び予後不良 に関与する新規分子を同定することを目的とし,新規治療薬開発の基盤的研究を行う.
方法: 膵臓癌患者から採取した腫瘍組織を超免疫不全マウスに皮下移植し,患者腫瘍組織 移植モデル(Patient-Derived Xenograft;PDX)10系統を樹立した.樹立した
PDX
を使用し,抗 癌剤治療群と無治療群とに分け,治療後の腫瘍組織を次世代シーケンサー(NGS)で解析した.抗癌剤治療群において高い発現を認めた分子を腫瘍細胞株に発現させ,抗癌剤投与後の細 胞生存解析を施行し,同定した分子の抗癌剤耐性能を評価した.更に膵臓癌患者
80
症例の手 術検体を用いて同定した分子の免疫組織染色を行い,患者予後との相関関係を解析した.結果: 樹立した
10
系統の膵臓癌PDX
は,in vivo
継代後も患者組織の病理組織学的所見及 び遺伝学的特徴を保持していることを確認した.NGS 解析の結果,抗癌剤治療群に共通してOlfactmedin-4(OLFM4)mRNA
の発現上昇が認められた.OLFM4分子の免疫組織染色による蛋白 レベルでの発現解析においても,RNA解析結果と同様に抗癌剤治療群においてOLFM4
分子の 発現が高いことが示された.細胞株を使用した実験では,OLFM4 分子を強制発現させた細胞 株(HeLa, MIAPaCa-2)において,control ベクターを導入した同細胞株よりも抗癌剤治療後 の 細 胞 生 存 率 が 高 い 事 が 示 さ れ た.
ま たOLFM4
分 子 発 現 を 認 め るSUIT-2
細 胞 株 に,OLFM4siRNAを遺伝子導入してOLFM4
分子発現を低下させると,抗癌剤治療後の細胞生存率が
control
群よりも低下する事が示された.以上の結果より,OLFM4 分子発現による抗癌剤耐性能の獲得が証明された.膵臓癌患者
80
症例の術後腫瘍組織検体を用いたOLFM4
分子 の免疫組織染色では,OLFM4 低発現群(n=28)及び高発現群(n=52)に分類し,両群間におけるOLFM4
分子の発現と患者予後との解析を行い,OLFM4 高発現群において患者全生存率が低く予後不良であることが示された(p=0.0296).更に全生存率における多変量解析を施行する と,OLFM4高発現群が独立した予後不良因子であることが示された(p=0.044).
結論: 膵臓癌において