九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
On some inter~sting Ammonites from the
Paleocretaceous of the Yuasa district, South- West Japan
松本, 達郎
九州大学理学部
https://doi.org/10.15017/4740700
出版情報:九州大学理学部研究報告. 地質学之部. 2 (1), pp.13-19, 1947-10-25. Faculty of Sciences, Kyushu University
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和歌山縣湯浅町附近古白型系産菊石類化石について
(On some inter~sting Ammonites from the ・ Pale.ocretaceous of the Yuasa district, South‑West Japan)
松 本 逹 郎
I. 層 序 學 的 知 識 (1) 層 序 概 要 (2) 産 出 化 石 (3),到 比 II. 古 生 物 學 的 知 識
(1) Australi・ceras asiaticum M1"TUMoTo sp. nov. (2j Shasticrioceras nipponicum MATLJMo・ro sp. nov.
一 昭 和 18年 2月 日 本 古 生 物 學 會 第30回 例 會 講 演 要 旨 一
和歌山縣有田郡湯棧町附近の古白堅系から産した菊石類化石を研究し,到比上有力 な資料が上り,又化石自体についても注意すべき知識を得た。その概要を報告する。])
I. 層 序 學 的 知 識
(1) 層序概要湯没町附近の後期中生界については従来多くの研究があるが,自
ヽ
分の研究結果ではそ0̲j層序は次のやうに要約$れる。 2) 下から上へ,
秩 父 ' 系 を 主 と ' す 、 る 基 盤
^ 〜 ‑ 〜 〜 ̀ ‑ ‑ 〜 著 し い 不 整 合 ‑ .
戸 石 層 群 基 底 礫 岩 又 は 湯 浅 層 : 河 成 乃 至 瀕 海 成 礫 岩 ; 瀕海乃至入江成堆積柚。 牛 鹸 宇 淡 又 は 瀕 海 成 介 化 石 層
及 植 物 化 石 層 を 含 む 。 約 100米 下 川
,部 物
層
有 田 層 : 公 海 性 の 洩 海 成 砂 岩 及 頁 岩 , 楊 所 に よ り 岩 相 が 幾 分 異 る が 頁岩優勢。菊石類,巻貝,二枚貝,海胞等の化石を含み,南部 部 群 では礁朕石灰岩レンズを挟有。 200 ‑ 300米
0・・`一時的上昇侵蝕を示す不整合,南部では古期累層を不整合に被ふヽ ‑ 上 基 底 礫 岩
! i
基 底 ` 甑 質 岩 瀕 海 性 部物 部 JJI. 層 団群
1) この研究は帝國學士院より援助を受けて遂行した日本白墨系産菊石類化石の研究の一部である。弦に記 して謝意を表する。 又研究に嘗り夭部長克・加藤武夫雨先生から特に御厚楠を賜った,厚く感謝の僻を 巾上る。
、2) 前 篇 の 西 南 日 本 外 帯 地 質 椿 造 蛋 逹 史 に 闘 す る 新 知 見 _ 和 歌 山 縣 有 田 川 流 域 の 地 質 學 的 研 究 一 ー 中 に 層 序の記述がある。
西 I・oレコーズ及石英質 岩!!井 1 介 化 石 層 を 含 む 。 砂 岩 ・ 頁 岩 ・ 礫 質 岩 相
廣<••から成る牛鍼牛淡ホ i闘 砂岩・頁岩互層を主とする 成 層 。 介 化 石 , 植 移 !
海 成 層 。 ィ ノ セ ラ ム ス を 層 I 虹 .‑;支苫化4t0昨0 石 ‑を45含0米む。 化 i, 層
産する。 500米
,
14
‑---—平行的に累軍―``•ヘ 外
科 泉 府 群
松 原
→ 部 で は 古 生 界 を 咽 し い 不 胞 合 で 被 ふ
屑
JI I 府
烏 屋 城 層
こ¥.に報告する菊石類化石はド部物部川崎屑有田)薔から牽しかものである。
大部分は二角貝,詢渭腐:::J)他の淡栂性介化石と共に付田層の比岐的下部から,少敷は 上部から採集した。
その
(2) 産 出 化 石
次の諸種類である。
地 層 は か な い 誂 仙 度 の 強 い 地 員 構 造 を 示 し 合 竹 化 石 も 亦 髪 形 し , 保 存 は 概 し て 良 好こぱい入ないが,中には縫合線などをも親察出来るものがある。鑑定し得たものは こ4しらは最後のものを除ぎ全部巻方の異常な菊石類であつて,従 来嘗地域の白要系からは報告こ;れたことのなかつたものである。
又は同一面の従来までに知ら釘してゐる分布の大要を併記する。
各 々 に つ き 類 似 種
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3.
Austr(llirems (1,si(lticunz M.\・「いll1lり
A. sp. inclet.. aff A, argus Aい 1<'ド /1, sp. indet., cfr. A. r況msttt}nvirHIl「IFぃ1:e,! 4. Shastit riol•eras tlippo・nicum NI,Vl̀l'M¥ rru
(又は S.l1€sj)げ11.nl At、い!応叫 var.111.ppo•Hi[{I I 5. s.cir. porliC11/¢ A叫 喜 ぷ
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L}J砂IMid. Ilorsetown (Low.Aptian〉 濠洲東部 Low. AptianI l
印 度 及 コ ー カ サ ス Aptian加州 LowITorsetowrl IB針remian) 加州 Low.Horsetown (Barremian>
加州 Low.Ilorsetown (Barrernian) Nlid. Faleocrctaceous
ご 欺洲(南佛等 ) Up. Barremian 恥i'Hi Rarremian
地中海・太平洋磁域 Barremian
(3)
有田層産の他の介化石は大部分物部川型化石群を示す。
種又は同一属の1仕 界 に 土 け る 今 日 迄 に 知 ら い た 分 布 を み る こ Australiceras)蜀は従
拇 比
k褐の菊石類化石の類似
来古白塑系ヒ部統ド部階である
古白堅系中部統_I::部階である Barn・mian
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にその相富層から知られてゐる。 Austr‑ alicerasの本邦産の柿類が既に Bariでmian相常の時期から出現してゐたと考へてもAptian にだけ知らいてゐるものだか,その他は全部
よいといふ可能性のあることは後に述べる
e
ほりである。K部 階 に 讃 比 芯 れ , 略 ミ 欧 洲 の 以上から有田)付は時代的には下部白嘔系中部統
Barremianに相賞することは殆んど疑ない。
この結論に層/位卜.の迎由を併せ考へると,・1l田層のすぐ下位に讀く基底礫岩父は褐 淡層が時代的には古白望系の下半部(中部統下郎階及それ以下)に所謁すべきことが
・15 推論出来る。基底礫岩又は湯凌層はその中に領石型植物化石及動物化石を特徴的に 含み,岩相層序上は領石層群に濁し,一部分が下部物部川)昏群の基底相の役割をなし てゐる。いはゆる領石統が,時代的には従来考へられてゐたやうにュラ系最上部から 白亜系最下部に亘る部分だけに限るものでなく,場所によっては(嘗地域のやうに),
それより幾分上の部分も含むことになる。 他方他の場所では物部川層群中に古白堅 系中部統下部階である Hautcrivianをも含む所があることは菊石類化石などにより 示芯れてゐる。従つ,,岩相層序上の地城的大犀分たるべき領石層群と物部川層群と の境は時代的l晶分面とは幾分斜行する所もあるとV・ふ結論を得る、0
II
.
古 生 物 畢 的 知 識上掲の菊石類化石中古生物學的に注目すべきもの 2種 を 中 心 と し て の 新 し い 知 識を記す。
Australiceras asiaticum MATUMOTO sp. nov.
(第 1圏 及 圏 版 第 1圏)、
Australiceras蜀は巻のとけた菊石類である Crioceratidae科の一麗であつて,異 常巻菊石類化石を多産する濠洲東部の古白湮系を WHITEHO.USEI) が研究した際創設 した。模式種は Crioceras'jackiETHERIDGE Jr.であって,蜀の特性ーとして,殻は Crioceras型の巻方をしてゐること;縫合線はーI,̲U, L, E,の式で表は芯れ,その saddlesj]ま幹が太く,明瞭に二分してをり, lobes(L, U, I)は通例三分してゐること;
殻装飾には肋 (rib)の 外 に 幼 時 に 沈 が trituberculate (umbilical, lateral, ventro‑ lateralの諸列)であるが,後年には紀がないことなどを畢げることが出来る。
和歌山縣産のものが,観察された種々の特徴から考へて,上記の Australiceras謁
に入るべきものであることは殆んど疑無い。 $うしてこの本邦産の材料においては,
今迄外國産の材料で観察されてゐたより ももう一段幼い時期の性質が観察されるの である。即ちtrituberculateの時期の前に, lateraltubercleが無く著しいperipheral (ventro‑lateral) tubercle だけを具へた長短交互する少しく fl~xiradiate した肋を有
する時期があり,又財J自体は殻外側部 (exterralside)で弱化し,殻外側部は殆んど 平であ/ることが見出器れる。 この幼年の装飾は Palaeohoplitidae科 の Parahoplites (Pseudotlzurmannia) i{環の装飾に酷似してゐる。 尚 Australicerasの・縫合線は殻の 巻きがとけた為に要素の敷は減じてゐるが,各要素の形朕は ParahoplitesQ)それに
よく類似してゐることも確認$れる。
1) Wm‑rrnouSf:, F,W.: The Cretac̲eous Ammonoidea of Eastern Australia (Memoirs <if the Queensland Museum,:̲vol. 8 pt. 3, 1926)
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16
層序的には Parahoplites(¥s11rlothurmannia)は1吹洲ては Bar匹mianの一つ下の Hautcrivianから産し,我が國でも和歌山縣湯浚町の針岸に嘗る四國勝浦川盆地の物 部川層群下部より泊水二郎氏により報ぜられてゐる。これに蜀し A11.stralicerasは従 来濠洲東部の外,北米加州,印度,コーカサス等の Aptian下部 (Becloulian)相営層 だけから知られてゐた。 今回の我が材料は、 Aptian と Hauterivian との間なる
/
Barremianに雷るべぎ部分から産し穴のである。
そもそも白亜紀に多牽する異常巻の菊石類が,種々異る系統から由来した poly‑ phyleticのものであることは謡に多くの學者により説かれてをり, Crioceras,Ancylo‑ cents(J)煩が UncoiledPalaeohoplitidae芦るべしといふ見解は ROMANなども記し
てゐる。今回の材料はかういふ Crioceroidammoniteの一つである Australiceras の起源を知る上に勺古生物の形態からも化石の屑序的距出からも注意すべ巻重要な資 料であると忠ふ。 こゞうして Parahoplitesから由来したと考へられてゐる巻方の正常 な菊石類に Acaハthoplifesがあり,之は trituberculateの装飾を有し,あたかも Para hojJtites → Acanthoplites と平行的に l~mlwplites (Pseudothurmannia)→
A ustml icerasの形態的愛化があったと一應解繹出来ることも注意すべ呑である。
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第 1 圏 Austra/iceras・ asiaticum MAn:smr,,螺 環 顧 面 (Septa! foldingsを示す)と縫合線(幾分すりへらされてゐる)
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第 2 圏 ,S!wsticrioceras nipponicum又は,<;̲hesperum ANDI,•RS いN
var. 1/!妙onicaMATUM0T<l螺 環 側 而 及 横 謁 噴 と 縫 合 線 の 一 部
(右蛸の破線丸は味の列)
Australiceras asiaiicumは 加 州 Horsetown層中部産の A.argus ANDERSON に類似するが, A.argusではこ\に論及した幼年の装飾が日本産のと同様であるか
贔
否か不明である。 4 (lr̲g匹は殻の生長の度合が緩漫なことにおいて日本のものと
著しく異り,又肋が殻外側を通過する時に著しv、前方への彎曲を示すこと,螺環 (whorl)の横斯形は幅がやヽ大きく H本のものほど compressedformでないことな どの相異があり,明らかに別種と考へられる。 依つて本邦産のこの材料を A.asia‑ ticumなる新種こしてこヽに記載した。
(2) Shasticrioceras.nipfJonicum MATUMOTO sp. nov.
(又は S.hesperum ANDERSON var. nipponica MATUMOTO var. nov.)
(第 2圏及圏版‑―第
3
圏) ,.
Shasticrioceras風 は ANDERSON1)が北米加州の古白塑系の化石を記載した際に設 立したが,これもまた Palacohophtidaeに類似点があり,それから由来したので・はな いかと考ぺられてゐる巻のとげた菊石類の一謁である。 ANDERSONは模式種を指適せ ず4種を畢げ記載した。属の特性として,初期には螺環が殆んど相接鯛する位に巻いて ゐるが後期には離れて最後に屈曲した住房を有する(併し AncY̲locerasの如き鍵朕 には曲らない)こと,縫合線の各要素ク形は Hoplitids型で特に Neocomitesのそれに 似てゐること 2),螺管は晰面準四角形,側面の膨れが僅かでその形は Neocomitesに 似ること,装飾も亦 Neocomitesのそれに似て,肋は初めには密で屡々分岐してゐる が,後年には疎で分岐状態が明示$れず, ventro‑lateralperipheryに亮があり,外側面 上は肋が弱化し平であることなどを畢げることがで呑る。
和歌山縣産のものは最後の巻に相営する部分の標本が未知であるが,観察される諸 性質は Neocomitesに類似し,たゞ巻がとけてゐて縫合線が I,U,L,Eの要素だけか ら成るもので,上記 Shasticridcerasの末成年殻と考へて殆んど誤ない。 さうして Shdsticriocerasとして今迄記載された 4種中の何れとも一致しないが,その中
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hesperum ANDERSONの未成年殻にはよく類似する。但し螺環の生長がこれほど速く ない。 よつてこヽには一應 S.hesperumに近似の新種か又はその Varietyとして
扱って置く。尚 Sh~sticrioceras の 4 種は何れも加州の Horsetown 層下部即ら
Barremian相営層から産してゐる。
以上要するに加州や濠洲等の太平洋岸の古白堅系と同榛に H本の古白型系にも Palaeohoplitidae起源と考へ得る異常巻菊石類が分布することがわかり,同時に日本 の材料からこれらの菊石類についての知識を増した。
C 1945年 5月 1日)
1) ANDERSON, F, M.: Lower Cretaceous I)eposits in California and‑0.r.egon (Geo!. Soc. America, Special Papers No. 16, 1938)
2) "Siphonal saddle high and narrow, L with broad stem has,three main branche~, showing asymmetry, and. terminating in log, narrow, digitoid parts. "
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菌 版 説 HI]
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心!10、sti/,(r(MISrfr~ 仰nii'ntc AN恥 応9)a:(Loc. Ar lt)::箆)
II(mmliI J cfr..9バ伍・リlindiir(I (rok Hlr. :•W (IJ()C、Ar:氾歪)
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以 上 全 部 寅 物 大 。 八 尋 正 朋 氏 撮 影
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