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S C A S N O W 新分析技術 新分析装置紹介

SCAS NEWS 2014 -Ⅰ 15

示差走査熱量計のご紹介

大分事業所 伊藤 奈々絵 / 大阪事業所 磯崎 道子

磯崎 道子

(いそざき みちこ)

大阪事業所 伊藤 奈々絵

(いとう ななえ)

大分事業所

3 分析事例

3.1 リアルビューDSCによる熱挙動-状態変化同時測定

 CCDカメラを搭載したDSC(=リアルビューDSC)を用いるこ とで, 試料の熱挙動に対応する状態変化をその場で画像として得 ることができます。図2に樹脂片(PETボトル)の測定例を示しま す。サーモグラムと画像を同時に確認することで,透明・板状であっ た試料(RVImage1)が温度上昇により結晶化して白色に変化し

(RVImage3),その後,完全融解して透明になった(RVImage5)

現象を分かりやすく説明することができました。このように,リアル ビューDSCは,サーモグラムのみでは判断が難しい現象であっても,

画像情報が加わることで,視覚に訴える解析を行うことが可能です。

3.2 純度決定

 試料が共融系であれば99%以上の高純度物質の場合に対して有 効で,試料のDSC曲線からファントホッフの式を基礎として温度

(Temp)と融解している液体の分率(F)の逆数をプロットし,純度 解析プログラムにより補正後の直線を導くことで試料の純度を決定し ます。純度測定としてはカラムの検討などが必要なHPLC等と比較す ると予備検討が不要であり簡便な測定方法となっています。

3.3 医薬品GMP対応の分析

 近年,GMP要求項目に沿った医薬品の試験が増加しており,医薬 品の純度検定や結晶多形の確認等に利用されています。当社では GAMP5やコンピュータ化システム適正管理ガイドラインに従って,

導入時にコンピュータ化システムバリデーション(CSV)を実施した DSCを保有しており,運用管理も各規制に対応しています。

4 おわりに

 DSCは医薬品,農薬,食品,樹脂等多岐にわたり測定事例がありま す。しかし,正しいデータを導くには専門知識や経験により培われた 解析力が必要となります。今後も機器の特性を活かした測定事例を増 やし,様々な需要に対応できる体制を構築していきます。

1 はじめに

 熱分析の歴史は古く,19世紀後半にルシャトリエが粘土の測定を 行ったことがはじまりとされています。当初は基礎研究に用いられて きましたが,近年では,試験規格として制定され,製品の出荷分析や 受け入れ検査など品質管理,工程管理の分野においても重要な分析手 法となっております。

2 示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,

DSC)測定原理

 DSCは原理の異なる二種類の装置がありますが,今回は当社保有の 熱流束DSCについて紹介いたします。熱流束DSCは基準物質と試料 の温度を一定の温度プログラムによって変化させるときに発生する,

基準物質と試料の温度差を記録する装置です。装置の模式図(図1)に 示すように,試料台の一方に基準物質を,もう一方に試料を入れ,精密 にコントロールされた温度が熱流入面から熱抵抗体を通じて基準物質 と試料に伝えられます。このときヒートシンクの温度を一定に保って いれば,各ホルダーの熱流の差は温度差に比例します。この温度差信 号を検出し,出力するのが熱流束DSCです。DSCチャートからは物質 の融解や,ガラス転移,結晶化等の現象をとらえることができます。

文 献

小沢丈夫,吉田博久/編 最新熱分析 p.3 図1 DSC 検出部構造

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図2 樹脂片のリアルビュー DSC 測定結果

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