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論文誌掲載論文概要

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2017年2月号 (55)127

論文誌掲載論文概要

JORSJ Vol. 60, No. 1, TORSJ Vol. 60

●JORSJ Vol. 60, No. 1

逐次ロジットモデルにおける区分線形近似を 利用した特徴選択

佐藤 俊樹(筑波大学)

高野 祐一(専修大学)

宮代 隆平(東京農工大学)

本論文では,逐次ロジットモデルの特徴選択問題を 扱う.この問題に対して,田中・中川(2014)はロ ジスティック損失関数を2次近似し,混合整数2次最 適化問題による定式化を提案した.しかしながら,

2次近似はロジスティック損失関数に対する近似誤差 が非常に大きくなってしまうという欠点がある.この 欠点を克服するために,本論文ではロジスティック損 失関数に対して区分線形近似を適用し,情報量規準に 基づく逐次ロジットモデルの特徴選択問題を混合整数 線形最適化問題として定式化する.計算機実験の結果,

区分線形近似を用いた定式化は,2次近似を用いた定 式化よりも良い特徴選択ができることを示した.

Forcing Graph 付き最小化ナップサック問題に 対する2- 近似アルゴリズム

高澤 陽太朗,水野 眞治(東京工業大学)

Carnes and Shmoys(2015)は最小化ナップサッ ク問題に対して2-近似アルゴリズムを提案した.本 論文ではこのアルゴリズムを拡張し,Forcing graph 付き最小化ナップサック問題(MKPFG)に対して 2-近似アルゴリズムを与えた.MKPFGは最小化ナッ プサック問題に,「ある要素のペアのうちどちらか一 方は選ばなくてはならない」という,Forcing制約が 追加された問題である.MKPFGは特殊ケースとして 頂点被覆問題を含むことからStrongly NP-hardであ る.以上の結果に加えて,本論文では提案アルゴリズ ムの一般化を行い,より広いクラスの問題である0–1 変数のCovering整数計画問題に対しても新しい近似 アルゴリズムを与えた.

モジュラリティ最大化問題に対する切除平面 法

伊豆永 洋一(一般財団法人計量計画研究所)

山本 芳嗣(静岡大学)

与えられたネットワークを密な部分ネットワークに 分割するコミュニティ抽出では,NewmanとGirvan によって提案されたモジュラリティと呼ばれる評価関 数の最大化を目指す手法が広く知られている.本論文 では,モジュラリティ最大化問題を集合分割問題とし て定式化し,その線形計画緩和問題に対して切除平面 法に基づく解法を提案する.提案手法の特徴の一つと して,モジュラリティ最大化問題の異なる定式化に対 する緩和問題の構造を利用することにより,切除平面 法の各反復で,モジュラリティの上界値が算出可能な 点が挙げられる.同時に複数本の切除平面を追加する ことにより切除平面法の収束の遅さを改善し,標準的 なベンチマーク問題を用いた数値実験を実施した結果,

提案手法は非常にタイトな上下界値を得ることを確認 した.

●和文論文誌TORSJ Vol. 60

温室効果ガス排出量の抑制を考慮した都道府 県の生産性評価

橋本 敦夫(福岡女子商業高等学校)

福山 博文(福岡大学)

製造業の多くは,生産活動を行う過程で温室効果ガ スを排出するなどの環境問題を引き起こしている.都 道府県の生産性を評価するには,温室効果ガス排出量 の抑制を検討することが重要である.そこで,本稿の 目的は三つある.第一に,47都道府県の生産性を評 価するために環境問題を考慮したスラック型のダイナ ミック・ネットワークDEAモデルを提案する.この モデルでは,都道府県の生産構造を人的資本部門,物 的資本部門,エネルギー部門および中間投入部門の四

(2)

オペレーションズ・リサーチ 128(56)

つの部門で構成し,都道府県へ前期からもたらされる 繰越財と次期へ引き渡す繰越財を考慮するとともに都 道府県GDPを生産物として産出すると同時にCO排 出量を副産物として生成すると仮定する.第二にブー トストラップ重回帰分析を活用し全体効率性に影響を もたらす要因を探る.最後にいくつかの政策提言を行 う.

ネットワーク形成に関する被験者実験と試行 錯誤を考慮した相関戦略に基づく行動分析

林田 智弘,西崎 一郎,桃田 翔平

(広島大学)

本論文では,周辺支持スターネットワークが狭義 ナッシュ均衡ネットワークとなるネットワーク形成に 関する数理モデルに着目する.数理モデルに関する被 験者実験が行われ,周辺支持スターネットワークが一 時的に形成されるが,複数の被験者が周辺支持スター

ネットワークを形成するための均衡戦略から逸脱する ことで,中心プレイヤーが複数回交代するというネッ トワーク形成過程が観測されたことが報告されている.

このような被験者の不合理な戦略変更に対して,形成 された多くのネットワークは被験者の意思決定におけ る誤りと解釈して,これらを排除することで,被験者 間の暗黙の合意を考慮した解概念である相関均衡で被 験者の行動を部分的に説明できることが示されている.

しかし従来研究では,排除されたネットワークが多く,

必ずしも被験者の行動を説明できているとはいえない.

本論文では,従来研究では意思決定における誤りとし て解釈されていた被験者の不合理な行動を暗黙の合意 形成のための試行錯誤的な行動であると解釈すること で,実験で観測されたネットワーク形成過程が,暗黙 の合意形成のための試行錯誤的な行動選択の結果とし て説明できることを示す.

参照

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