図-1 熊本都市圏内の幼稚園・保育園の位置
熊本都市圏における政策インデックス構築にむけた研究活動報告
円山 琢也・柿本竜治・上野眞也・溝上章志・山口岳史・長谷部俊之
Development of Policy Indexes in Kumamoto Metropolitan Area
Takuya MARUYAMA, Ryuji KAKIMOTO, Shin-ya UENO, Shoshi MIZOKAMI, Takeshi YAMAGUCHI, and Toshiyuki HASEBE
Abstract: This research project aims at collecting and synthesizing regional data and developing policy indexes which are fundamental to develop local policies in Kumamoto metropolitan area. It also attempts to build an appropriate analysis method and visualization method using that data. This article reports the intermediate progress of this project and demonstrates some results of the analysis:
point data analysis of kindergarten and mobility analysis using person trip survey.
Keywords: 政策評価指標 (Policy index), 地域課題解決 (Solution of Local Problem), 土地利用 (Land Use), 公共施設 (Public Facility), 交通(Transportation)
1. はじめに
本研究は,熊本都市圏における地域政策の形成 に必要となる政策基礎データの総合的な収集・整 備を既存の行政界の枠を超えた視点で行い,また,
そのデータに応じた特色のある分析手法・可視化 技術の開発を行うことを目的としている.研究の 経過報告 (円山ら, 2009 ) の一部として,幼稚園・
保育園の配置データを用いた分析例,熊本都市圏 パーソン・トリップ調査データを用いた人の移動 の分析事例などを紹介する.
2.幼稚園・保育園の分布の分析 2.1. 基本集計
熊本都市圏の幼稚園・保育園の分布は図-1 のよ うになっている.また,各市町村別の未就学人口
及び幼稚園・保育園の国公立・私立別の園数と定 員を表したものが表-1 である.公立または私立の 幼稚園・保育園が存在しない町村もある.また,
未就学人口と幼稚園・保育園の定員合計とを比較 してみると,市町村別の集計のため市町村内の地 域別での状況の違い,年齢別による家庭で育てる,
幼稚園に通わせたい,保育園に預けたいといった 違い,居住市町村と通園市町村が異なるといった
円山: 〒860-8555 熊本市黒髪 2-39-1
熊本大学 政策創造研究教育センター
Tel: 096-342-2044
こと等もあり,必ずしも実態に即しているといえ ないが,未就学人口と定員合計とにあまり差のな い市町村もある.今後も未就学人口が自然減の方 向であることと,人口の社会減となる市町村も少 なくないことを考えると,適正な配置,定員を設 定する必要があると考えられる.
2.2. ボロノイ図による幼稚園・保育園分布の分析 上述の幼稚園・保育園のポイント分布のデータ と国勢調査による町丁目単位の年齢別人口を用い た,より細かい空間集計単位での分析例を以下に 示す.まず,単純化のため親は居住地の最寄り (最 短距離) の幼稚園・保育園に子供を通わせると考 える.このとき,幼稚園・保育園の利用圏域は,
幼稚園を母点としたボロノイ図で示される.
幼稚園・保育園分布(図-1)を母点として都市圏 内を対象領域としてボロノイ図を作成し,一方,
国勢調査より,町丁目単位の年齢別の人口分布は 把握できるので,幼稚園・保育園への通園児童数 と関連する0~5歳人口の町丁目単位の分布が分 かる.ここで,町丁目別のポリゴンをボロノイ図 で領域分割(インターセクト)し,町丁目単位の0
~5歳人口のデータを面積按分し,このポリゴン を同じボロノイに属していたもので集計すると,
幼稚園・保育園の圏域に住む0~5歳人口が推計 できる(図-2).これは,最近隣の幼稚園・保育園
図-3 0~5歳人口と幼稚園・保育園の定員の差
に通園を希望するという今回の仮定の下での各幼 稚園・保育園への通園希望者数とみなせる.一方,
各幼稚園・保育園の定員のデータは把握されてい るため,図-3のように,この希望者数と定員の差 を図化することができる.
図-2からは,都市圏東部の地域において,一部 非現実的な圏域分割がされていることが読み取れ る.これは,道路ネットワークの情報を利用せず に,直線距離のみを通園施設の選択要因としてい るためであり,本分析の限界の一つを示している.
この問題については,ネットワークボロノイ図の 利用が考えられ,今後の課題としたい.通園希望 者数を示す図-2の解釈としては,各施設の要望定 員を示しているとも言える.要望定員と現実の定 員の差が図-3のように示されるが,ある圏域で定 員を超過しても,その近隣の地域の定員に余裕が 表-1 熊本都市圏内各市町村の未就学人口と幼稚園
・保育園の園数及び定員
市町村 未就学 人口
合計(園数/定員)
幼稚園(園数/定員) 保育園(園数/定員)
国公立 私 立 公 立 私 立
熊 本 市 39,452 191 / 24,230 8 / 1,385 48 /10,210 19 / 1,665 116 /10,970 宇 土 市 2,195 14 / 1,325 2 / 380 - / - - / - 12 / 945 宇 城 市 3,178 25 / 2,225 1 / 70 4 / 490 7 / 630 13 /1,035 合 志 市 3,331 17 / 1,855 - / - 3 / 555 - / - 14 /1,300 城 南 町 945 7 / 750 1 / 210 - / - - / - 6 / 540 玉 東 町 235 2 / 165 - / - - / - - / - 2 / 165 植 木 町 1,566 12 / 1,260 - / - 1 / 340 4 / 360 7 / 560 大 津 町 1,833 9 / 1,150 2 / 245 2 / 395 1 / 90 4 / 420 菊 陽 町 2,286 10 / 1,110 - / - 1 / 280 8 / 740 1 / 90 西 原 村 368 1 / 160 - / - - / - 1 / 160 - / - 御 船 町 814 7 / 600 1 / 70 1 / 80 3 / 225 2 / 225 嘉 島 町 506 4 / 370 2 / 160 - / - - / - 2 / 210 益 城 町 1,868 10 / 1,075 2 / 300 1 / 90 5 / 385 2 / 300 甲 佐 町 473 5 / 300 - / - - / - 1 / 60 4 / 240 山 都 町 680 17 / 620 - / - - / - 13 / 495 4 / 125
※未就学人口は、平成17年度国勢調査における0歳から5歳までの人口
※幼稚園の園数は各市町村HP、定員は平成19年度学校基本調査より
※保育園の園数及び定員は、各市町村、各保育園またはi-子育てネットHPより
図-2 幼稚園・保育園のボロノイ領域単位の 0~5歳人口の分布
0~5歳人口 -幼稚園・保育園定員