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研 究論文 日本 生 産 管 理 学 会 論 文 誌 Vol.15,No.1, イ ン タ ー ネ ッ ト コ ミ ュ ニ テ ィ に お け る 消 費 者 行 動 の 考 察 ク チ コ ミ の影 響 要 因 分 析 Design and Implementation A Nume

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研 究論文

日本 生 産 管 理 学 会 論 文 誌

Vol.15,No.1,2008.10

イ ン タ ー ネ ッ ト ・コ ミ ュ ニ テ ィ に お け る 消 費 者 行 動 の 考 察

― ク チ コ ミ の影 響 要 因 分 析 ―

Design

and

Implementation

of Consumer

Behavior

in Internet

Community

―A Numerical Approach to Consumer Review Emects―

監 査 法 人 トー マ ツ

鈴 木

和 宏

Deloitte

Touche

Tohmatsu

Kazuhiro

Suzuki

要 約:消 費 者 同 士 が,製 品 につ い て の クチ コ ミを や り取 り して い る イ ン タ ー ネ ッ ト・コ ミュ ニ テ ィ は, マ ー ケテ ィン グに お い て も注 目 され て い る 事 象 の 一 つ で あ る。イ ン ター ネ ッ ト・コ ミュ ニ テ ィの 中で も, 消 費者 に よる使 用 体 験 に 基 づ い た 製 品評 価 を 集積 し て い る 「クチ コ ミサ イ ト」 に 今 回 は注 目す る 。 クチ コ ミサ イ トな ど にお い て は ,使 用 経 験 者 の 満 足 度 を 数 値 で 記 述 す る仕 組 み が 多 く見 られ る。 ま た 各 消 費 者 の満 足 度 を 相 加 平 均 した 値 が 要 約 情 報 と して 提 示 され て い る こ と が多 い 。 これ は全 体 的 な 満 足 度 の 分 布 状 態 の 一 部 分 を表 した だ け の も の で あ る。 今 回 は 満 足 度 の 分 布 状 態 につ い て,数 とち らば りを 操 作 し て 提 示 し,満 足 度 の 平 均 値 に対 す る信 憑 性 の 変 化 を 検 証 した 。 結 果,分 布 状 態 の認 知 に よ り,消 費 者 の 意 見 に影 響 が 生 じる こ とが 判 明 した。 キ ー ワー ド:マ ー ケ テ ィ ン グ,消 費 者 行 動,イ ン タ ー ネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィ,ク チ コ ミサ イ ト,ク チ コ ミ,意 見 分 布 1 は じめ に イ ン ター ネ ッ トは爆 発 的 に 普及 し,情 報 量 が非 常 に 増 え て い る。 情 報 探 索 に対 す る メデ ィ アの 利 用 時 間 の 限 界 性が 指 摘 され て い る中[12],如 何 に 消 費 者 に と って 理 解 しや す い 情 報 を提 示 す るか と い う課題 は 非 常 に重 要 で あ る。 これ は ク チ コ ミに つ いて も同様 で あ り,消 費者 に 如 何 に提 示 す るか を考 察す る こ と は マ ー ケテ ィ ン グに お い て も 重要 で あ る と考 え て い る。 そ の た め に は,ま ず ク チ コ ミの 影 響 要 因 を特 定 し な けれ ば な らな い 。 尚,本 論 文 にて 利 用 す る 「ク チ コ ミ」 とは イ ンタ ー ネ ッ ト上 に お け る もの のみ を 指 す 。 イ ン タ ー ネ ッ ト外 の 日常 生 活 に お け る ク チ コ ミにつ い て は,そ の影 響 理 由 か ら別 物 と して 捉 えて い る(後 述)。 2 ネ ッ ト ・コ ミ ュニ テ ィ と クチ コ ミサ イ ト イ ン タ ー ネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィ(ネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィ)と は,「構 成 員相 互 の 交 流 」及 び 「共 通 の 目 的 ・関 心 事 等 の絆 」 に よ る 「共 同性 」 を 持 っ た人 々 か らな るイ ン ター ネ ッ ト上 の人 の集 ま りで あ る[17]。 ネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィの1つ で あ る 「クチ コ ミサ イ ト」 と は 「一 般 消 費 者 に よ っ て発 信 され た 特 定 の 製 品 や サ ー ビス に 関 す る使 用 体 験 や 感 想 とい っ た ク チ コ ミ情 報 が 大 量 に蓄 積 され て い る サ イ ト」[11]であ る。 クチ コ ミサ イ トは 図1の 通 り,ク チ コ ミ発 信 者 (RAM:Radical Access Member)の 満 足 度 の相 加 平 均 値(平 均CS)を,製 品 ご とに,サ イ トの上 位 に 提 示 して い る。 平 均CSは ク チ コ ミサ イ トに広 く一 般 的 に見 られ る も の で あ る、 図1 クチコミサ イトに お け る平 均CS 「@cosme」 よ り 引 用http://www .cosme.net/(引 用 許 可2008/9/4) さ らに該 当 製 品 の クチ コ ミ部 分 を ク リ ック す る と、ひ とつ ひ とつ の クチ コ ミに つ い て 閲 覧す る こ と が で き る(図2参 照)。

(2)

図2 個 別CSと ク チ コ ミ文 「@cosme」よ り引用http://www.cosme.net/(引 用 許 可2008/9/4) 例 と し て ク チ コ ミ サ イ ト の 代 表 格 で あ る 「@cosme」 を提 示 した が 、他 クチ コ ミサ イ トで も同 じよ うな構 成 とな っ て い る。 平 均CSは 該 当製 品 の 評 価(ク チ コ ミ)の 全 体像 を要 約 した 情 報 と捉 え る こ とが で き る。 仮 にA,B, Cの3人 に よ る クチ コ ミの 書 き込 み が あ るの な らば, 図3の よ うに な る。A,B,Cそ れ ぞ れ が 自身 の製 品 使 用 体 験 に 基 づ い た 評 価 を,ク チ コ ミの 文 章 とそ れ ぞ れ の満 足 度(個 別CS)を 数 値 的 に 示 し,更 に個 別 CSの 全 体 像 の 一 側 面 を 数 値 的 に 示 した もの が 平均 CSと な る。 従 っ て,個 別CS・ 平 均CSは 「特 定 の 製 品 や サ ー ビス に関 す る使 用 体 験 や 感 想 」 で あ る ク チ コ ミを 数 値 的 に示 した も の で あ る。 よっ て,個 別 CS・ 平 均CSも クチ コ ミの 範 疇 に 入 る もの と して捉 え られ る。 また,平 均CSの 背 景 に は 個 別CSの 分 布 が 存 在 す る こ とに も注 目 した い。 図3 平 均CSと 個 別CS 3 WOMと クチ コ ミ イ ン ター ネ ッ ト外 にお け る 日常 生 活 で の ク チ コ ミ は 「Word of Mouth Communication(以 下WOM)」 と 言 わ れ,マ ー ケ テ ィ ン グ分 野 に お い て もイ ン タ ー ネ ッ ト普 及 前 か ら研 究 され て きた[2]。Arndt[1]のWOM 定 義 に よ る と 「口承 に よ る 人 か ら人 へ の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン で ,ブ ラ ン ド,製 品,サ ー ビ ス に 関す る 非 商 業 的 と受 け手 に認 識 され る もの 」 と され て い る。 WOMの 研 究 は さま ざ ま な も の が 存在 す る が,注 目す べ き は 濱 岡 ・片 平 の 主 張[14]で あ る。 彼 らは WOMの 購 買 意 思 決 定 に 与 え る影 響 は認 知 され て い る が,そ の理 由 が 何 で あ る の か を 扱 う研 究 は少 な い と指 摘 した 上 で,ク チ コ ミは 「社 会 的 な 関 係 に規 定 され た 相 手 が 情 報 源 で あ る 」点 に 注 目 して,「 信 頼 度 の 高 い 情 報 を提 供 して くれ る者 を 情報 源 と して選 択 す る こ とが 可能 で あ る。 こ の た め,結 果 と して得 ら れ る 情 報 の信 頼 度 も高 く な り,意 思 決 定 に与 え る影 響 も 大 き く な る」 こ と を調 査 に よ り明 らか に した ([14]pp.20-21)。 しか しな が ら,本 論 文 で 扱 うク チ コ ミは イ ンタ ー ネ ッ ト上 で 生 起 す る ク チ コ ミで あ り,イ ン ター ネ ッ トの情 報 特 性 を受 け る。 イ ン ター ネ ッ トの 情 報 特 性 と して,井 上[8]は(1)非階層 性,(2)双 方 向性,(3)非 相 互 認 知 ・識 別性,(4)オ ー プ ン性 を あ げ て い る。特 に, (3)の非 相 互認 知 ・識 別 性 とはRAMの 匿 名 性 を指 す も の で あ り,ネ ッ ト ・コ ミュニ テ ィ参 加 者 同 士 は, 互 い に どの クチ コ ミが誰 に よ っ て な され た も ので あ る か を厳 格 に識 別 す る こ と は 出来 な い 。 従 って,濱 岡 ・片 平 が 判 明 した 「社 会 的 な 関係 に 規 定 され た相 手 が情 報源 」 で あ る[14]とい うWOMの 影 響 理 由 を ネ ッ ト ・コ ミュニ テ ィに お い て は満 た す こ と は 出来 ず,本 論 文 で 注 目す る ク チ コ ミ サ イ トに お い て, WOMの 影 響 要 因 をそ の ま ま援 用 す る こ とは 出来 な い 。 ま た,ク チ コ ミサ イ トは,サ イ ト運 営 上 クチ コ ミに対 す る 発 言 を制 限 して い る場 合 が 多 く,参 加 者 の 双 方 向 コ ミ ュニ ケ ー シ ョン が 制 限 され て い る場 合 が 多 い[7]。 これ は 参 加 者 の議 論 が 「荒 れ る」 状 態 を 回 避 す る た め で あ る[7]。 よ っ て,社 会 的 な 関 係 ま で 踏 み 込 ん だ付 き合 い をす る こ とは よ り難 しい。 ク チ コ ミサ イ トは,ネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィ の 中 で も,こ と さ ら社 会 的 関 係 に よ る信 頼 関係 を元 に した クチ コ ミの 選 別 をす る こ とが 出 来 な い環 境 で あ る。 そ の よ うな 環 境 で あ るに もか か わ らず,ク チ コ ミサ イ トは 消 費者 に非 常 に 重視 され て い る情 報 源 で あ る[15]。 4 購 買 意 思 決 定 プ ロ セ ス に お け る 外 部 探 索 消 費 者 行 動 論 に お い て,消 費 者 の購 買 に至 る ま で の プ ロセ ス は,購 買 意 思 決 定 プ ロ セ ス と して 捉 え ら れ て い る。 一 般 的 に購 買 意 思 決 定 プ ロセ ス は(1)問題 認 識,(2)情 報 探 索,(3)選 択 肢 の評 価,(4)購 買,(5)再 評 価 の 順 で行 わ れ る[13]。 消 費 者 が クチ コ ミを探 索 す るの は,(2)の 情 報 探 索 段 階 で あ る。 情 報 探 索 は 内 部 探 索 と外 部 探 索 に 分 け られ,前 者 は既 に持 つ 知 識 の記 憶 域 にお け る探 索 を 指 し,後 者 は 内 部 探 索 で 不 足 して い る知 識 を得 る た め に行 わ れ る。 澁 谷[10]は これ らの 処 理 プ ロセ ス は イ ン ター ネ ッ ト上 にお い て も 同様 で あ る と論 じ、 ま た クチ コ ミに お け る外 部 探 索 プ ロ セ ス を 図 式化 してい る(図4参 照)。

(3)

図4 クチ コミに 対 す る探 索 プ ロセス 澁 谷[10]よ り 澁 谷[10]に よ る と,ク チ コ ミに対 す る外 部 探 索 は 「対 個 人 意 見 接 触 」 と 「対 複 数 意 見 接 触 」 に分 け ら れ,前 者 が1つ の ク チ コ ミに対 す る探 索 で あ り,後 者 が クチ コ ミサ イ トな どのネ ッ ト ・コ ミュ ニテ ィに お い て 同時 的 に 複 数 の 意 見 に接 す る場 合 の 探 索 で あ る。 本研 究 にお い て 注 目す べ き探 索 は 後 者 で あ る。 「意 見 分 布 の認 知 」 とは意 見 分布 とは 社 会 学 の 世 論 研 究 に お い て し ば し ば利 用 され る言 葉 で あ る 。 これ は,ど の よ うな意 見 が 多 数 派 で あ る か,ま た は 少 数 派 で あ る か な ど,全 体 意 見 の 頻 度 分 布 が どの よ うで あ る か を感 じ取 る こ とで あ る[5]。 この 頻 度 分 布 は 世 論 調 査 で 出 され た数 値 とは 別 に感 じ取 る もの で あ り,個 々 人 が 持 っ て い る準 統 計 的 な 直感 に よ る も の で あ る。 この 意 見 分 布 の認 知 は,正 確 に把 握 され る と主 張 す る も の と,バ イ ア ス が か か る と主 張 す る も の が あ る。 い ず れ にせ よ,自 身 の持 っ 該 当 す る製 品 の意 見 が 多数 派 で あ る と,受 け 手 が 認 知 した場 合, そ の意 見 に 対 す る 自信 の 度 合 い(確 信)が 高 ま る と 述 べ られ て い る[10]。た だ し,ク チ コ ミにお い て,こ の意 見 分 布 の 認 知 が行 わ れ るか 否 か に つ い て は,検 証 は され て い な い 。 5 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン研 究 5.1 信 憑 性 飽 戸[6]に よ る と,コ ミ ュニ ケ ー シ ョン研 究 に お け る コ ミ ュニ ケー シ ョ ンの 送 り手 につ い て の 影 響 要 因 の 主 要 な テ ー マ の1つ に,「 信 憑 性」 が あ る とい う。 これ は 一 言 で 説 明す る と,「コ ミ ュニ ケ ー シ ョン の受 け 手 が 送 り手 を どれ ほ ど信 用 して い るか 」 と い うこ とで あ る。 信 憑 性 は 「専 門 性 」 と 「信 頼 性」 に よ っ て構 成 され る[6]。専 門性 とは,「そ の 主 題 につ い て ど の く らい 専 門 的 な 知 識 や 能 力 を持 っ て い るか 」 で あ り,信 頼 性 とは 嘘 をつ き そ うに な い 人 か ど うか 」 で あ る。 信 憑 性 はネ ッ ト ・コ ミュ ニ テ ィ に お い て も存 在 す る こ とが 判 明 してい る。 日向[16]は ネ ッ ト・コ ミュ ニ テ ィ にお い て,他 参 加 者 の 信 頼 性 と専 門性 を認 識 す る こ とが,他 参 加 者 へ の 信 憑 性 を形 成 し,そ れ を介 して,も し くは 直接 的 に,そ の個 人 の 情 報 獲 得 と情 報 提 供 に 影 響 を 与 え る こ と を,調 査 に よ り明 らか に した。 5.2 情 報 源 の 増 加 に よ る効 果 ま た情 報 源 に よる効 果 と して,情 報源 の 増 加 に よ る 効 果 が 判 明 してい る。Harkins & Petty[3][4]は情 報 源 の数 の 増 加,情 報 源 の 独 立 性 の 存 在 に よ っ て, メ ッセ ー ジ の 説 得 力 が 増 加 す る こ と を 判 明 して い る。 6 仮 説 6.1 平 均CSの 信 憑 性 構 造 以 上 よ り,消 費 者 が クチ コ ミサ イ トを重 視 す る背 景 には,全 て のRAMに 対 して,も し くは該 当 ネ ッ ト ・コ ミュ ニテ ィのRAMに 対 して,何 らか の 経 緯 で 信 憑 性 を抱 い て い る こ と が 背 景 とな っ てい る 可 能 性 が 高 い 。 これ を 「RAMに 対 す る信 憑 性 」 と本 論 文 で は呼 ぶ こ とに す る。 現 在,ク チ コ ミサ イ トな どで 主 要 な 情 報 と して 扱 わ れ て い る平 均CSは,相 加 平 均 の値 で あ る。 そ の 背 景 に は,各RAMの 満 足 度 の 分 布(個 別CSの 分 布) が 存 在 す る。 よっ て 平 均CSの 数 値 的側 面 に 注 目す る と,平 均CSの 信 憑 性 に は,「 デ ー タ と して の 信 憑 性 」が 存 在 す る と推 測 で き る。

図5 平均CSと 意 見分布

図5は 平 均CSと 個 別CSの 分 布(意 見 分 布)の 関 係 を示 した 物 で あ る。 平 均CSが 仮 に4.00点 で あ る と して も,背 景 に あ る個 別CSの 分布 は さ ま ざ ま な 状 態 が 想 定 で き る。図5の 意 見 分布1∼3は 全 て 平均 CSが4.00点 とな る個 別CSの 分 布 で あ る。意 見 分布 1∼3の 右 側 の 数 値 は,そ の 製 品 の 満 足 度 を表 明 した RAMの 数 で あ る。意 見分 布1な ら ば4点 の満 足 度 を 表 したRAMは30人 居 た こ と に な る。 これ ら を前 提 に,意 見 分 布1と 意 見 分布2を 比べ る。 どち ら も4点 の満 足 度 を表 したRAMし か存 在 しな い が,意 見 分 布1は 平 均CSと 同 じ満 足 度 を表 したRAMの 数 は30人 で あ り,意 見 分 布2は10人 で あ る。意 見 分 布1は 意 見 分 布2よ り も多 くのRAM が この 製 品 の 満 足 度 は4点 で あ る とい う意 見 を表 明 して い る。 こ こで,情 報 源 の 増 加 に よ る効 果 を援 用 す る と,意 見 分 布2と 比 べ て意 見 分 布1の 方 が よ り 平 均CSの4.00点 と同 じ(近 い)意 見 を表 明 して い る情 報源 が 多 く な り,平 均CSに 対 す る信 憑 性 は高 ま る と推 測 で き る。 従 って,平 均CSの 背 景 とな る

(4)

個 別CSの 件 数 が,平 均CSの 信 憑 性 に影 響 を 与 え る と考 え られ る。 次 に,意 見 分 布1と 意 見 分布3を 比 べ る。 意 見 分 布3は 意 見 分 布1と 比 べ て,ち らば りが 大 きい 分 布 とな っ て い る。 平 均CSの4.00点 と同 じ意 見 を表 明 して い るRAMの 人 数 は,意 見 分 布1が30人 に対 し, 意 見 分 布3は3人 とな っ て い る。 先 ほ ど と 同様 に, こ こ で 情 報 源 の増 加 に よ る効 果 を考 慮 す る と,意 見 分 布1の 方 が 意 見分 布3よ りも,平 均CSの4.00点 と 同 じ(近 い)意 見 を 表 明 してい る情 報源 が 多 くな り,平 均CSの4.00点 に 対 す る信 憑 性 は高 くな る と 推 測 で き る。 従 っ て,平 均CSの 背 景 とな る 個別CS の ち らば りが,平 均CSの 信 憑 性 に影 響 を 与 え る と 考 え られ る。 こ の よ うに,個 別CSの 分 布 状 態 に よ り左 右 され る で あ ろ う平 均CSに 対 す る信 憑 性 を,「 デ ー タ と し て の 信 憑 性 」 と本 論 文 で は名 付 け る。 デ ー タ と して の信 憑 性 は,個 別CSそ れ ぞ れ の数 値(水 準),個 別 CSの 件 数(件 数),及 び 個 別CSの 認 知 的 ち ら ば り (ち らば り)に よ っ て認 知 され た 分 布 に よっ て,規 定 され る と考 え られ る。 件 数 は 多 けれ ば 多 い ほ ど, ち らば りは 小 さ けれ ば 小 さい ほ ど,情 報源 の 増 加 に よ る効 果 に よ り,平 均CSの デ ー タ と して の信 憑 性 は 増 加 す る と考 え られ る。 以 上,平 均CSの 信 憑 性 とそ の構 成 要 素 と考 え られ る も の を ま と め る と図6 の よ うに な る。

図6 平均CSの 信憑性の 構造 ※筆 者作図

6.2

検証仮 説

図6に 沿 って仮説 を立て る。まず,受 け手が抱 く

該 当製 品の平均CSに

対 す る信 憑性が,該 当製 品に

対す る意 見の確信 に影 響 を与 える。 ここでの意見 と

は,「その製 品が満 足のい くもので あろ う」とい う意

見で あ り,確 信 はその 自信 の度合 いであ る。 この確

信 は平均CSに

対す る信憑性 によって影響 を受 け,

信憑性 が高 けれ ば確信 も強い と推 測で きる。

●H1:平

均CSに 対す る信 憑性 は,製 品に対す る

意 見の確信 と正 の関係 があ る。

この平均CSに 対す る信憑 性は,RAMに

対す る信

憑性 とデー タ としての信 憑性 に よって構成 され る と

考 え られ る。RAMに 対す る信憑性は,受 け手 がRAM

に対 して抱 く専門性 と信 頼 性によって構成 され る。

専門性 と信 頼 性を高 く抱 いていれ ばい るほ ど,平 均

CSに 対す る信 憑性 は高 まる。

●H2-1:RAMに 対 す る専 門性 と,平 均CSに 対 す る信 憑 性 は,正 の 関係 が あ る。 ●H2-2:RAMに 対 す る信 頼 性 と,平 均CSに 対す る信 憑 性 は,正 の 関係 が あ る。 デ ー タ と して の信 憑 性 は,個 別CSの 分 布 認 知 に よ り形 成 され る。 意 見 分 布 の認 知 は 世 論 研 究 の範 囲 に よ る も の で あ るが,ク チ コ ミサ イ トにお い て も同 様 に起 こ り,平 均CSに 対 す る信 憑 性 に影 響 を与 え る と考 え られ る 。 ●H3-1:個 別CSの 分 布 提 示 に よ り,平 均CSに 対 す る信 憑 性は 変 化 す る。 さ らに,意 見 の 分 布 状 態 で あ る個 別CSの 分 布 は, 件 数 と ち ら ば りに 関 して は,件 数 が多 い ほ ど,も し くは,ち ら ば り小 さい ほ ど,平 均CSと 同 じ満 足 度 で あ る と述 べ るRAMに よ る クチ コ ミが 増 え る。 よ っ て,情 報 源 の増 加 に よ る効 果 が 起 こ り,平 均CS に 対 す るデ ー タ と して の信 憑性 は 高 ま る。 ●H3-2a:個 別CSの 件 数 が多 い時 の ほ うが,少 な い 時 よ りも,平 均CSの 信 憑 性 に対 して 正 の影 響 を及 ぼす 度 合 い が 大 きい 。 ●H3-2b:個 別CSの ち らば りが大 き い 時 の 方 が, 小 さ い 時 よ り も,平 均CSの 信 憑性 に 対 して 負 の影 響 を及 ぼ す 度 合 い が 大 きい 。 7 検 証 7.1 調 査 方 法 2007年12月 ∼2008年1月,関 西 学 院 大 学 の学 生 100人 に 対 し,紙 面 に よ り調 査 を行 っ た。 調 査 の流 れ は 図7の 通 りで あ る。 ま ず 実 際 の サ イ トを参 考 に 架 空 の クチ コ ミサ イ トを示 した 配 布 資 料 を 提 示 し, 平均CSで 製 品 選択 と製 品 に 対 す る意 見 を形 成 させ た。 そ の 上 で 個 別CSの 分 布 を 提 示 し,確 信 の変 化 と信 憑 性 の変 化 を調 査 し た。 測 定 は 紙 面 に よ る質 問 表 に よ り,自 己 申告 を させ た。 質 問表 は こ ち らの 意 図 を汲 み 取 られ な い よ う留 意 した。 製 品 カ テ ゴ リー は クチ コ ミに よ る影 響 を強 め る た め,経 験 属 性 が 強 い お 菓 子 と し,更 に論 理 的 な 処理 を促 す た め 贈 答 品 を選 ぶ とい う設 定 を 設 け た 。 個 別CSの 件 数 ・ち ら ば りの操 作 は,そ れ ぞれ 強 条件 と弱 条 件 を設 定 し,4 つ のパ ター ン の 分布 を作 成 した 。100人 を4グ ル ー プ に分 け 、4つ の グル ー プ にそ れ ぞ れ の 条件 の 分 布 を提 示 した 。 ち らば りの 強 条 件 ・弱 条 件 は 論 理 的 な 数 値 だ け に よ る も の で は な く,認 知 的 に ち ら ば りが 操 作 で き る よ う留 意 した。分 析 はSPSSを 利 用 した。

(5)

図7 調 査 の 流 れ と測 定 値 の 名前 7.2 結 果 H1に つ い て 測 定 した 意 見 に 対 す る確 信 と信 憑 性 の相 関 分 析 を行 っ た。 個 別CSの 分 布 を提 示 す る 前 後 共 に,信 憑 性 と確 信 は 正 の 関係 を示 した(p<.01)。 よっ てH1に つ い て は支 持 され た 。 H2-1,H2-2に つ い て は,測 定 した 平 均CSに 対す る信 憑 性1に 対 して,専 門性1及 び 信 頼 性1の 相 関 分 析,信 憑 性2に 対 して,専 門性2及 び 信 頼 性2の 相 関 分 析 を それ ぞれ 行 っ た(表2参 照)。 結 果,信 憑 性 に 対 して 専 門 性,信 頼 性 は 正 の 関 係 を 示 し た (p<.01)。 よっ てH2-1及 びH2-2は 支 持 され た 。

表2 平均CS信 憑性と専門性 ・

信頼性 の相関係数

次 に,信 憑性1と 信 憑性2をt検 定 にか けた 。 信 愚 性1と 信 憑 性2は 統 計 的 に有 意 な 差 が あ り(t(99)= 2.675,p<0.01),個 別CSの 提 示 に よ り,平 均CSに 対 す る信 憑性 は 変 化 す る こ とが判 明 した。 よっ てH3-1 は 支 持 され た 。 信 憑 性1と 信 憑性2の 変化 量(信 憑 性変 化 量)に つ い て は,件 数 とち らば りを因 子 に し,2要 因 分 散 分 析 を 行 った 。 そ の結 果,件 数 と ち らば りの 交 互 作 用 は 有 意 で は な か っ た が(F(1,96)=1.016,p>0.1), 件 数 に つ いて 主 効 果 が 見 られ た(F(1,96)=6.147,p <0.05)。 ち らば りに つ い て も10%水 準 で み れ ば,有 意 で あ っ た(F(1,96)=3.210,p<0.1)。 そ こで,そ れ ぞ れ の 主 効 果 に つ い て 平 均 の 差 の 分 析 を 行 っ た 。 件 数 に つ い て は信 憑性 変 化 量 に与 え る影 響 の 差 が あ り (t(98)=2.452,p<0,05),件 数 多 は 件 数 少 よ り信 憑 性 に 対 して 正 の 影 響 を 与 えて い なか っ た(件 数 多 の 信 愚 性 変 化 量 平 均;0.34,件 数 少 の 信 憑 性 変 化 量 平 均:6.54)。 よ ってH3-2aは 支 持 され な か っ た 。ま た, ち らば りにつ い て は信 憑性 変 化 量 に 与 え る影 響 の有 意 差 が あ り(t(98)=1.746.p<0.1),ち らば り大 は ち ら ば り小 よ り信 憑 性 に 対 して 負 の 影 響 を 与 えて い た (ち ら ば り大 の 信 憑 性 変 化 量 平 均:1.20,ち ら ば り 小 の 信 憑 性変 化 量 平 均:5.68)。 各 グル ー プ にお け る 信 悪性 変 化 量 の 平 均 は 表3の よ うに な っ た 。

表3

信憑性変化量

※数値 が高いほど信憑性の増加量が大きいことを示す 。()内 は標準偏差。 個 別CSの 件 数 とち らば りの 操 作 に よ っ て,被 験 者 の 認 知 に差 が 出 て い るか マ ニ ピュ レー シ ョン チ ェ ッ ク を行 っ た。 件 数 に つ い て は件 数 多/少で認 知 に 差 が 存 在 し(t(98)耳3.511.p<0.1),ち ら ば りに つ い て は ち ら ば り 大/小 で 認 知 に 差 は 存 在 し な か っ た (t(98)=0.132.p>0.1)。従 っ て,操 作 が十 分 に行 わ れ て お らずH3-2bに つ い て は支 持 で き な い。 8 おわ りに 以 上,平 均CSの 影 響 要 因 と して件 数 とち らば り に 注 目 し,検 証 を行 っ た 。判 明 した 事 項 は,平 均CS の 信 憑 性 が 製 品 に対 す る意 見 の確 信 と正 の 関係 が あ る こ と,RAMに 抱 いて い る信 憑 陸が 平 均CSの 信 憑 性 と正 の 関係 が あ る こ と,個 別CSの 分 布 認 知 に よ る平 均CSの 信 憑 陸 の変 化 を通 じて意 見 の 変化 が 生 まれ る こ とで あ る。 個 別CSの 分 布 状 態 にお い て, 今 回注 目 した 個別CSの 分 布 の 要 素 で あ る,件 数 お よび ち らば りに つ い て は,仮 説 を支 持 で きな か っ た 。 件 数 は 多 けれ ば多 い ほ ど信 憑 性 は 低 下 し,ち ら ば り に つ い て は仮 説 と同 じ動 き を し,有 意 差 が確 認 され た が,操 作 が 十 分 に 出 来 て い な か った とい う結 果 と な る。 上 記 の 原 因 と して は,個 別CSの 提 示 法 が不 適 当 で あ っ た 可 能 性 と,マ ニ ピ ュ レー シ ョン チ ェ ッ クの 質 問項 目 が不 適 当 で あ っ た 可 能 性 が考 え られ る。 特 に ち らば りの マ ニ ピュ レー シ ョン チ ェ ッ クに つ い て は,質 問 項 目が 直接 的 に個 別CSの ち ら ば り状 態 を 問 う設 問 と な っ て い な か っ た 。 これ らは 今 後 の 研 究 に お い て 改 良 の 余 地 が あ る。 しか しなが ら,本 研 究 で 重 要 で あ る意 見 分 布 の認 知 に よ り消 費 者 の意 見 形 成 に影 響 が生 じ る とい う仮 説 が 支 持 され る こ とを 確 認 す る こ とが で きた 。 よ っ て,マ ー ケ テ ィ ン グ ・イ ン プ リケ ー シ ョン と して は, ク チ コ ミサ イ トにお け る 提 示 法 につ い て 相加 平 均 の み を提 示 す る の で は な く,全 体 意 見 の 分 布 特 徴 を示 す 何 らか の ア プ ロー チ をす る 必要 が あ ろ う。 本 研 究 の 学 術 的 な意 義 を 述 べ る。 ク チ コ ミに 関す

(6)

る研究 は非常に少ない とい う佐 々木 ・津 田[9]の

指 摘

が ある よ う,ク チ コ ミの影響理 由や 要因 につ いては

ま だまだ究明段階 であ る。そ の中で今 回は クチコ ミ

サ イ トとい う限定 的な環境下 にお け る調査 を行 った。

しか し,広 くイ ンターネ ッ ト上 とい う環境 におけ る

クチ コ ミの影響 要因 を考 察す る場 合 におい て も,該

当 クチ コ ミの全 体論調 においての相対的 な位 置づ け

を考察す るアプ ローチ によって,そ の影響理 由や要

因 を解 明す る ことが 出来 る可能性 が ある。 イ ンター

ネ ッ ト上におい ては,RAMに

よってクチ コミに重

み付 けをす る こ とが非 常に難 しい環境 であ る。今 回

の研究 では,重 み付 けの判別要素 が無 い数 値 と して

の クチ コミであ る平均CSが 個別CSの 分布状況 に よ

り,信 憑性が変化 し,意 見の確信 に変化 が生 じる こ

とを明 らか に した。 従 って,イ ンターネ ッ ト上 とい

う枠 組み におい て も、接 している クチ コ ミの全体 像

とその位置づ けに よ り,そ のクチ コミが消費者 に影

響 を与 えるか否 かを決定す る重要 な要因 となってい

る可能性が ある。今後 は,広 くイ ンターネ ッ トとい

う環境 で、 どの よ うに意 見分布 が認知 され るのか、

その処理プ ロセ スを究明す る必要が ある。

謝辞

本研究 において、 関西 学院大学の福井 幸男教授 、新

倉貴 士教授 の多大 なる ご指導 ・ご協力 を賜った。 こ

の場 を借 りて深 く御 礼 申 し上 げたい。

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参照