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土木学会論文集 F3( 土木情報学 Vol. ), 73, No. 1, 1-14, ALOS/PALSAR データを用いた時系列干渉 SAR 解析による 5 基のロックフィルダムの外部変形計測 佐藤弘行 1 佐々木隆 2 金銅将史 3 小堀俊秀 4 小野寺葵 5 山口嘉一 6 佐藤渉

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Academic year: 2021

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ALOS/PALSARデータを用いた

時系列干渉SAR解析による

5基のロックフィルダムの外部変形計測

佐藤 弘行

1

・佐々木 隆

2

・金銅 将史

3

・小堀 俊秀

4

・小野寺 葵

5

・山口 嘉一

6

佐藤 渉

7

・虫明 成生

8

・本田 謙一

9 1正会員 国土交通省国土技術政策総合研究所(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地) E-mail: [email protected] 2正会員 国土交通省国土技術政策総合研究所(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地) E-mail: [email protected] 3正会員 国土交通省国土技術政策総合研究所(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地) E-mail: [email protected] 4正会員 国土交通省国土技術政策総合研究所(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地) E-mail: [email protected] 5国土交通省国土技術政策総合研究所(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地) E-mail: [email protected] 6正会員 国立研究開発法人土木研究所(〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6) E-mail: [email protected] 7正会員 国際航業株式会社(〒102-0085 東京都千代田区六番町2番地) E-mail: [email protected] 8正会員 国際航業株式会社(〒102-0085 東京都千代田区六番町2番地) E-mail: [email protected] 9正会員 国際航業株式会社(〒102-0085 東京都千代田区六番町2番地) E-mail: [email protected] 本論文では,ダム等の長寿命化に資する効果的・効率的な変位モニタリング手法の開発を目的として, 陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されたLバンド合成開口レーダ「PALSAR」の1シーンに含まれる5基 のロックフィルダムを対象に,北行・南行軌道各14シーンを用いた時系列干渉SAR解析を行い,約4年間 の堤体の外部変形量を計測した.既存のGPS・測量の計測点において,時系列干渉SAR解析とGPS・測量 による外部変形量を比較したところ,時系列干渉SAR解析による外部変形量はGPS・測量の結果と良好に 一致し,二乗平均平方根誤差(RMSE)の平均は約5mmとなった.また,ダム堤体斜面に対する衛星視線 方向の角度や入射角の観測条件が外部変形量の計測誤差あるいは計測誤差のばらつきに及ぼす影響を明ら かにした.

Key Words : dam, SAR, monitoring, external deformation, maintenance

1. はじめに インフラの老朽化とその対策が社会的に大きな関心と なっている.国土交通省所管ダムにおいては,これまで も巡視や各種計測による日常的な安全管理や第三者によ る定期検査等を組み合わせた安全管理を行って来ている が,建設から約30年経過したダムを対象に総合点検1) 2013年から制度化して実施するなど,ダムの長寿命化を 支える施策を推進している.また,2011年の東日本大震 災をはじめとする大規模災害が頻発しており,インフラ の維持管理に関する予算・人員が削減される中,インフ ラの老朽化や頻発する災害に対応可能な効果的で効率的 なインフラのモニタリング手法が求められている.

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は,地震による地殻変動の把握など,これまで主に比較 的広域な災害時のモニタリング技術として大きな成果を あげている.衛星SARにより観測される領域は数十km 四方と非常に広域であるうえ,近年解像度や変位解析手 法が向上しており,衛星SARデータの1シーンに含まれ る複数のインフラの変位計測が効率的に実施できる可能 性がある. 本論文では,2006年1月に打ち上げられ2011年5月に運 用を終了した陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に 搭載されていたLバンドSAR(以下,「ALOS/PALSAR」 と い う . ) に よ り 得 ら れ た デ ー タ を 用 い て , ALOS/PALSARの1シーンに含まれる5基のロックフィル ダムを対象に,時系列干渉SAR解析により約4年間にわ たりダムの外部変形量を計測し,衛星SARにより得られ た外部変形量と,ロックフィルダムの安全管理のための 計測として実施されているGPSまたは光波測量により得 られた外部変形量を比較した.また,ダム堤体斜面に対 する衛星視線方向の角度および入射角が外部変形量の計 測誤差に及ぼす影響を検討した. 2. 構造物を対象とした衛星SARによる変位計測 の研究事例 衛星SARによる観測データは,地震や火山活動による 地殻変動,地すべりなど,災害による地盤変動の監視・ 把握において大きな成果をあげており,多くの論文等が 公表されている.そのため本論文では,構造物を対象と した衛星SARによる変位・変形計測事例について既往の 研究を概観する. Wangら2)は,堤高185mの重力式コンクリートダムであ る三峡ダムを対象に,Cバンド衛星SAR「Envisat」によ り2003年から2008年までに取得された40データを用いて ダムの変位を計測し,水位や季節によるダムの定性的な 変位傾向をとらえることができることを確認している. Grazanicら3)は,ノルウェーにある堤高26mのロックフィ ルダムであるRihpojavriダムを対象に,Xバンド衛星SAR 「TerraSAR-X」により2009年から2013年に取得されたデ ータを用いてダムと周辺地盤の変位を計測し,ダムにお いて得られた結果を4点の測量データと比較し,定性的 に比較的良好な結果が得られることを確認している.な お,定量的な評価は記載されておらず,周辺地盤におい て得られた変位の結果についての分析は記載されていな い.Hanssen4)は,オランダの海岸堤防やアメリカのフィ ルダムを対象に衛星SARによる変位モニタリングの検討 を行っており,GISにより地図上に衛星SARによる変位 モニタリング結果をマッピングすることにより視覚的に わかりやすい計測結果を示している.佐藤ら5)は,2006 年に盛立が完了した沖縄県にある堤高66mのロックフィ ルダムを対象に,2006年末から2011年初頭の約4年間のL バンド衛星SAR「だいち」の北行・南行軌道の各14デー タを用いて堤体の外部変形量を計測したうえで22点の GPS計測データと比較し,約1cmの誤差で堤体の外部変 形を計測可能なことを示している. ポルトガル北部のDuoro川にかかっていた1887年に供 用が開始されたHintze Ribeiro橋が2001年3月に崩落し59人 が死亡した6).崩落の原因は橋の老朽化と橋脚周辺の洗

掘と推定されている.Sousa and Bastos6)は,この橋を対象

に,1995年5月から崩落前までの約6年間にわたり,Cバ ンド衛星SAR「ERS-1」と「ERS-2」により取得された52 データを用いて,橋が崩落するまでの橋と周辺地盤の変 位を計測している.その結果,崩壊・流出した橋脚の変 位が最大で年間20mm程度の直線的な変位となっていた ことを明らかにしている.Lazeckyら7)は,チェコ・ Ostava市に2008年開通した高架橋による高速道路とその 周辺地盤を対象に,Cバンド衛星SAR「Envisat」により 2008年から2010年までに取得された11データ,およびX バンド衛星SAR「TerraSAR-X」により2011年に取得され た5データを用いて変位を計測した.対象とした高速道 路周辺には1991年に閉山した石炭鉱山跡があり,その周 辺にある高速道路と周辺地盤の変位が大きいことが衛星 SARデータを用いた変位モニタリングにより確認されて いる. 以上のように,ダム,河川・海岸堤防,橋梁,道路盛 土,空港,トンネル掘削による地盤変位などを対象とし て,衛星SARのデータを用いて変位を計測した研究事例 が報告されている.衛星SARによるインフラの変位モニ タリングは研究段階であり,インフラの維持管理や安全 管理にはまだ用いられていないが,本論文で紹介した既 往の研究事例から,対象とするインフラによっては,衛 星SARによる変位モニタリングへの適用可能性は高いと 考えられる. 衛星SARデータに含まれる複数構造物の変位モニタリ ングが実施できれば,以下に示すように構造物の維持管 理や安全管理に役立つことが期待される. ・既に測量やGPS等により変位計測を実施している構造 物については,複数の構造物の変位を一括して衛星 SARにより計測することで,計測にかかるコスト削減 が期待できる.また,測量やGPSは点の計測であり, 計測点数を増やすことには経済的・物理的な制約があ るが,衛星SARは数m程度の高い空間解像度により構 造物の表面全体について面的に変位を計測することが 可能であることから,測量あるいはGPSによる変位計 測が実施されていない箇所についても微小な変状の兆 候等の維持管理や安全管理に役立つ情報を得ることが 可能になる.

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・測量やGPS等により変位計測を実施していない構造物 については,衛星SARにより地上のセンサを設置する ことなく構造物の面的な変位計測が可能となる.特に 途上国のダムにおいては測量等によるダムの変位計測 を実施していない場合もあり,衛星SARにより日本に いながら海外のダムの変位計測が可能となる. また,既往研究の多くは1つの構造物を対象にしてい る場合が多く,本論文のように衛星SARの1シーンに含 まれる5ダムを対象とした事例はほとんどない.衛星 SARの1シーンに含まれる多くの構造物を変位計測の対 象とすることにより,前述のように,既に測量・GPSに より変位計測を実施している構造物については変位計測 にかかるコストや人員を削減することが可能になるとと もに,現状では測量・GPSによる変位計測を実施してい ない構造物についても変位計測が実施可能となる. このように衛星SARデータの1シーンに含まれる複数 の構造物の変位計測を維持管理に活用するためには,衛 星SARによる構造物の変位の計測精度を検証したり,衛 星SARからのレーダの照射方向と構造物の表面の角度が 変位の計測精度に及ぼす影響を明らかにする必要がある. なお,後述のように日本のダムは変位計測が義務づけら れており多くのダムで測量等により変位計測が実施され ているため,ダムは衛星SARによる構造物の変位計測の 適用性を検証する対象として適していると考えられる. 3. 検討対象ダムと使用した衛星SARデータ ダムは築造される材料により,コンクリートで築造さ れるコンクリートダムと,岩石や土質材料で築造される フィルダムの大きく二種類に分類される.コンクリート の強度は大きいためコンクリートダムの上流面の勾配は ほぼ鉛直の場合が多く,下流面の勾配も50°程度と急勾 配である場合が多い.勾配が急な斜面を対象に衛星SAR のデータから干渉SARを実施した場合には,図-1に示す ような,レイオーバー,レーダシャドウ,フォアショー トニングという現象8)が発生するため,上下流面の勾配 が急なコンクリートダムの変位を干渉SARにより計測で きないあるいは精度良く計測することは困難と考えられ る.一方,岩石や土質材料で築造されるロックフィルダ ムの上下流面の勾配は20°~30°程度であり干渉SARに よる変位計測が可能であると考えられることから,本論 文ではロックフィルダムを対象とした.なお,ロックフ ィルダムの表面には最大粒径約1mのリップラップと呼 ばれる岩石材料を敷き詰めることにより,降雨等の気象 や貯水の波浪による浸食や風化を防止することが一般的 である.図-2に検討対象ダムの1つである大保脇ダムの 上下流面の状況を示す.リップラップの植生は定期的に 図-1 衛星SARと斜面の幾何学特性8) 図-2 大保脇ダムの堤体表面状況 (上:上流側,下:下流側) 伐採されるため,ロックフィルダムの堤体の表面には植 生が少ない状態である場合が多い.これまでの著者らの 研究5)からロックフィルダムの表面のリップラップによ る衛星SARからのレーダの反射は良好であることを確認 しており,ロックフィルダムは衛星SARからのレーダの 反射に適した表面状態であると考えられる. 河川法の下に定められた構造基準である河川管理施設 等構造令9)においては,堤高50m未満の重力式コンクリ ートダム以外のダムでは安全管理を目的として変位を計 測することが義務付けられている.河川管理施設等構造 令においては具体的な変位の計測方法等は規定されてい ないが,ロックフィルダムについては,堤体に比較的数 多くの可動標的を設置し,堤体外の岩盤等に設置した基 準点からの変位を測量により計測している場合が多い. 近年ではGPSにより変位を計測しているダムも増えてい る10).このように,ロックフィルダムは衛星SARにより 計測した外部変形量と比較・検証が可能な測量やGPSデ ータが多いため,本論文では,衛星SARにより計測した 対象ロックフィルダムの外部変形量と,測量やGPSによ り計測された外部変形量を比較することにより,衛星 SARによるロックフィルダムの外部変形量の計測精度を 検証した.

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(1) 検討対象ダム 前述のとおり,本論文では,上下流面の勾配が急なコ ンクリートダムは検討対象からは除外し,比較的上下流 面勾配が緩やかで衛星SARからのレーダの反射が良好と 期待できるロックフィルダムを検討対象とした. 検討対象ダムは,沖縄本島北東部にある5基のロック フィルダムとした.5基のロックフィルダムの主な諸元 を表-1に,位置を図-3に示す.なお,辺野喜ダムは重力 式コンクリートダムとロックフィルダムの複合ダムであ るが,表-1にはロックフィルダム部の諸元を記載してい る.表-1では大保脇ダムの竣工年は2010年となっている が,堤体の盛立が終了したのは2006年12月であり,その 後2008年3月に天端の舗装工事が行われている.既往検 討5)では天端の舗装工事期間も含めて検討対象期間とし ており,天端の舗装の有無に関わらず衛星SARによりダ ムの外部変形量を計測することは可能であるが,舗装厚 を面的かつ高精度に把握することは困難であり変位の計 測精度を評価する対象期間としては適切ではないことか ら,本論文では天端の舗装工事以降を対象期間とした. また,福地ダムの竣工年は1974年であるが,1978年から 20cmの堤体の嵩上げや洪水吐・取水設備の再開発工事 が行われ1990年に竣工している. (2) 使用した衛星SARデータ 本論文では,比較的安価に入手可能で,比較的対象ダ ムの撮影シーン数が多いALOS/PALSARデータを使用し 表-1 対象ダムの主な諸元 ダム名 大保脇ダム 羽地ダム 漢那脇ダム 辺野喜ダム 福地ダム 堤高(m) 66.0 66.5 37.0 35.0 91.7 堤頂長(m) 445.0 198.0 500.0 330.0 260.0 竣工年 2010 2004 1993 1987 1974 上流面勾配 1:3.0 1:2.7 1:3.1 1:2.5 1:2.25 (括弧は°) (18.4) (20.3) (17.9) (21.8) (24.0) 下流面勾配 1:2.7 1:2.2 1:2.1 1.2.0 1:2.0 (括弧は°) (20.3) (24.4) (25.5) (26.6) (26.6) た.ALOS/PALSARの空間解像度は約10m,波長はLバン ドの23.6cm,オフナディア角は34.3°である.本論文で 使用した北行軌道と南行軌道のシーンと対象ダムの位置 を図-4に示す.本論文では北行軌道と南行軌道の各14シ ーンのデータを使用したが,各シーンの撮影日と,干渉 ペアの基線長を表-2に示す. 4. 時系列干渉SAR解析によるダムの外部変形計 測 上述した5基のロックフィルダムを対象として,北行 軌道と南行軌道の各14シーンのALOS/PALSARデータを 用いて,時系列干渉SAR解析11)によりダムの外部変形計 測を行った.地形縞を除去するために必要なDEM (Digital Elevation Model,デジタル標高データ)には,対 象ダムにおいて2007年から2008年にかけて撮影された航 空レーザ測量により得られたデータ(空間分解能2m程 度)を使用した. なお,本論文の事前検討においては,SBAS法12)を用 いて観測ペアの基線長や観測時間間隔が外部変形量の精 度に及ぼす影響の検討を行ったが,北行軌道と南行軌道 のデータ数が各14シーンとSBAS法を適用するためのシ ーン数としては多くはないため,SBAS法により基線長 や観測時間間隔が外部変形の計測精度に及ぼす影響を明 確には確認することができなかった.そのため,本論文 では,SBAS法は適用せず,北行軌道と南行軌道の各14 シーンの全観測データを用いた時系列干渉SAR解析の結 果を示す.また,本論文では,マルチルックは3ルック (アジマス方向3ピクセル×レンジ方向1ピクセル)とし, 航空レーザ測量により得られた空間解像度2mのDEMを 使用し,ノイズフィルタとしてGold Stein Filter13)(処理窓

の大きさ32×32ピクセル)を使用し,アンラップ手法と してはMinimum Cost Flow法14)を用いた.

大保脇ダム 羽地ダム 漢那脇ダム 辺野喜ダム 福地ダム 図-3 検討対象ダムの位置とダムの航空写真

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図-4 ALOS/PALSARの観測領域と5基のダムの位置(左:北行軌道,右:南行軌道) 表-2 ALOS/PALSARの観測日と干渉ペアの基線長(上:北行軌道,下:南行軌道)(単位:m) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 0 2006年12月6日 1 2007年10月24日 -643 2 2007年12月9日 -733 -101 3 2008年1月24日 -1013 -375 -290 4 2008年4月25日 -2101 -1483 -1405 -1116 5 2008年7月26日 753 1301 1376 1666 2781 6 2008年12月11日 1610 2210 2290 2580 3691 923 7 2009年1月26日 1412 2006 2085 2374 3488 717 -207 8 2009年10月29日 400 926 1002 1292 2407 -377 -1289 -1084 9 2009年12月14日 303 785 861 1151 2266 -517 -1431 -1226 -143 10 2010年1月29日 -479 173 255 544 1655 -1130 -2039 -1835 -754 -613 11 2010年8月1日 -1022 -385 -300 -20 1108 -1675 -2590 -2385 -1303 -1162 -554 12 2010年11月1日 -1088 -449 -359 -106 1068 -1721 -2642 -2436 -1354 -1211 -614 -86 13 2010年12月17日 -1322 -686 -597 -311 822 -1968 -2888 -2683 -1599 -1457 -855 -301 -248 マスタ スレ ー ブ 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 0 2007年1月12日 1 2007年4月14日 1179 2 2007年8月30日 1069 -148 3 2007年10月15日 663 -580 -442 4 2007年11月30日 362 -1014 -878 -436 5 2008年1月15日 406 -1108 -969 -528 -107 6 2008年4月16日 -629 -1533 -1391 -954 -530 -428 7 2008年6月1日 -876 -1887 -1746 -1306 -874 -778 -358 8 2008年9月1日 2617 1505 1651 2085 2512 2612 3038 3387 9 2009年1月17日 2446 1312 1455 1893 2324 2421 2847 3199 -214 10 2009年4月19日 1976 826 969 1406 1840 1934 2359 2712 -689 -486 11 2009年9月4日 1647 488 632 1069 1501 1597 2022 2375 -1021 -823 -337 12 2010年1月20日 702 -504 -376 93 511 609 1036 1386 -2003 -1814 -1329 -992 13 2011年1月23日 -1210 -2264 -2125 -1683 -1251 -1155 -737 -379 -3764 -3575 -3089 -2752 -1761 スレ ー ブ マスタ 検討対象の5ダムの中で,最近竣工した大保脇ダムと, 最も古い1974年に竣工した福地ダムの,時系列干渉SAR 解析により得られた南行軌道の干渉画像を図-5と図-6に それぞれ示す.図-5と図-6の赤い線は堤体と周辺岩盤と の境界あるいは天端舗装の範囲を示している.なお,図 -5と図-6においては,時系列干渉SAR解析から得られた 衛星からの視線方向の位相差に観測波長を乗じて変位量 に変換して図示しており,最初のSARの観測日の変位を ゼロとして表示している.なお,前述のとおり,大保脇 ダムにおいては2008年3月に天端の舗装工事が行われて いるため,図-5にはそれ以降の結果を示している. 図-5の大保脇ダムの干渉画像を見ると,時間が経過す るにつれて青から水色さらには黄色に色が変化しており, 衛星から遠ざかる方向の変位,つまり堤体の沈下が再現 されている.図-6の福地ダムの干渉画像を見ると,時間 が経過してもほぼ青色で変化がなく,衛星から遠ざかる 方向の変位がほとんどない,つまり観測期間内では堤体 がほとんど沈下していない様子が再現されている.対象 5ダムの中で最近竣工(2010年)した比較的堤体の沈下 量の大きい大保脇ダムの干渉画像(図-5)および最も古 い1974年に竣工し現在の外部変形量が小さいと考えられ る福地ダムの干渉画像(図-6)から,本論文における衛 星 SAR の 観 測 条 件 ( L バ ン ド , オ フ ナ デ ィ ア 角 (34.3°),観測日の間隔)およびダムの観測条件(ダ ム表面の反射のよい岩石,表面に植生がほとんどない状 態,斜面勾配の角度,最大数cm/年程度の沈下量)にお いては,良好な干渉画像が得られものと考えられる. 図-7と図-8に,大保脇ダムと福地ダムの測量・GPS計

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G12 G13 G14 G11 G10 G9 G8 G15 G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 2008 年 4 月 16 日 2008 年 6 月 1 日 2008 年 9 月 1 日 2009 年 1 月 17 日 2009 年 4 月 19 日 2009 年 9 月 4 日 2010 年 1 月 20 日 2011 年 1 月 23 日 (cm) 11.8 0 ※衛星視線方法の変位量.+は衛星 から遠ざかる方向の変位. 図-5 大保脇ダムの時系列干渉SARによる干渉画像(南行軌道) 測点における,図-5と図-6で示した時系列干渉SAR解析 による外部変形量と,測量・GPSによる外部変形量の比 較図を示す.なお,大保脇ダムでは堤体表面の22点にお いてGPSにより外部変形量が計測されており,図-7にお いては,図-5のSARの最初の観測日である2008年4月16日 のSARとGPSの変形量をゼロとしている.福地ダムでは 堤体表面の16点において光波測量により外部変形量が計 測されており,そのうち4点ではGPSを併用して計測が 行われている.図-8においては,SARの最初の観測日で ある2007年1月12日のSARと光波測量の変形量をゼロと している.なお,福地ダムでは2008年3月18日からGPSに よる計測も実施されているが,GPS計測開始日における 光波測量による変形量をもとにしてGPSの変形量の補正 が行われている. 図-7の大保脇ダムの比較図を見ると,一部の計測点に おいてSARとGPSの計測結果に最大20mm程度の誤差が 生じているが,多くの計測点ではSARとGPSの外部変形 量はほぼ一致しており,盛立後の沈下が良好に計測され ている.なお,一部の計測点で誤差が大きくなっている 要因あるいは誤差低減については今後の課題としたい. 図-8の福地ダムの比較図を見ると,大保脇ダムと同様 に一部の計測点においてSARとGPS・測量の計測結果に 最大20mm程度の誤差が生じているが,多くの計測点で はSARとGPS・測量の外部変形量はほぼ一致しており, 本論文における検討期間においては,1974年に竣工した 福地ダムの小さい外部変形量が時系列干渉SAR解析によ り良好に計測されている. 図-9に,検討対象とした5ダムの最大断面天端の GPS・測量点における時系列干渉SAR解析とGPS・測量 による外部変形量の比較図を示す.ロックフィルダムの 最大断面天端は,一般的に外部変形量が大きくなる箇所 の一つであるため,測量やGPSの計測点が設置されてい る場合が多く,ロックフィルダムの外部変形計測におい て重要な計測点と考えられている10) 図-9を見ると,本論文で対象とした5ダムについては, 竣工年が古いダムほど最大断面天端の外部変形量は小さ くなる傾向にあり,一部で最大20mm程度の誤差が生じ ているものの,多くの計測点ではSARとGPS・測量の外 部変形量はほぼ一致している. なお,衛星SARの視線方向に近い鉛直方向の計測精度

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S/12G12 S11/G11 S10/G10 S9 S8 S1 S2/G2 S3 S4 S5 S6 S7 2007 年 1 月 12 日 2007 年 4 月 14 日 2007 年 8 月 30 日 2007 年 10 月 15 日 2007 年 11 月 30 日 2008 年 1 月 15 日 2008 年 4 月 16 日 2008 年 6 月 1 日 2008 年 9 月 1 日 2009 年 1 月 17 日 2009 年 4 月 19 日 2009 年 9 月 4 日 2010 年 1 月 20 日 2011 年 1 月 23 日 (cm) 11.8 0 ※衛星視線方法の変位量.+は衛星 から遠ざかる方向の変位. 図-6 福地ダムの時系列干渉SARによる干渉画像(南行軌道) については,光波測量は±2.5mm程度,GPSは±1.5mm 程度と考えられている10)が,実際の光波測量とGPSの計 測値は気象条件等の影響を受けたり偶然誤差を含むため, 図-8と図-9の光波測量とGPSの結果には差異が生じてい るものと考えられる. 表-3に,5ダムの測量・GPS計測点数と,時系列干渉 SAR解析による外部変形量とGPS・測量による外部変形 量の二乗平均平方根誤差(RMSE, Root Mean Square Error) を示す.表-3のRMSEの算出に際しては,GPSの計測が 実施されている計測点においてはGPSの計測値とSARの 計測値の差分からRMSEを算出している.一方,光波測 量により外部変形量が計測されている計測点のRMSEの 算出に際しては,SAR観測日の光波測量データが存在し ないため,SAR観測日に近い二時期の光波測量の外部変 形量を線形補間してSAR観測日の光波測量値を推定した うえでSAR計測値との差分からRMSEを算出している. GPSと光波測量を併用している計測点については,GPS のデータを用いてRMSEを算出している. 表-3を見ると,5ダムの上流面・天端・下流面におけ る北行軌道と南行軌道のRMSEは3~9mmの範囲に分布 しており,RMSEの平均値は約5mmとなっている.なお, 北行軌道と南行軌道の衛星軌道の違いによるRMSEの影 響は明確ではなく,外部変形量が比較的大きな大保脇ダ ムと外部変形量が小さい他の4ダムのRMSEについても

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下流測線 天端測線 上流測線 G12 G13 G14 G11 G10 G9 G8 G15 G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-15 GPS SAR 凡例 (mm) ※x 軸は観測日,y 軸は衛星の視線方向の 変位量(+は衛星から遠ざかる方向) ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-07 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-14 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-22 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-06 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-13 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-21 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-05 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-12 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-20 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-04 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-11 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-19 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-03 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-10 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-18 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-02 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-09 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-17 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-01 ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-08 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-16 図-7 大保脇ダムのGPS計測点における時系列干渉SAR解析とGPSによる外部変形量の比較

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右岸側測線 最大断面測線 左岸側測線 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-10/G-10 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-11/G-11 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-12/G-12 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-01 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-02/G-2 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-03 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-04 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-05 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-06 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-07 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-08 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-09 GPS SAR 凡例 (mm) 光波測量 ※x 軸は観測日,y 軸は衛星の視線方向の 変位量(+は衛星から遠ざかる方向) S/12G12 S11/G11 S10/G10 S9 S8 S1 S2/G2 S3 S4 S5 S6 S7 図-8 福地ダムのGPS・測量点における時系列干渉SAR解析とGPS・測量の外部変形量の比較 GPS SAR 凡例 (mm) 光波測量 ※x 軸は観測日,y 軸は衛星の視線方向 の変位量(+は衛星から遠ざかる方向) ‐25 ‐20 ‐15 ‐10 ‐5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 G-12 大保脇ダム -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-13/G-13 羽地ダム -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 A-03 漢那脇ダム -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 C-4 辺野喜ダム -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 2007/1 2008/1 2009/1 2010/1 2011/1 S-11/G-11 福地ダム 図-9 5ダムの最大断面天端のGPS・測量点における時系列干渉SAR解析とGPS・測量による外部変形量の比較(南行軌道)

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表-3 時系列干渉SAR解析とGPS・測量による外部変形量の二乗平均平方根誤差(RMSE) 上流面 天端 下流面 全計測点 上流面 天端 下流面 全計測点 上流面 天端 下流面 全計測点 大保脇ダム 7 8 7 22 6.5 3.1 5.5 6.2 4.9 4.9 7.7 5.9 羽地ダム (計測点なし) 4 10 14 - 4.6 3.8 4.1 - 4.5 4.9 4.8 福地ダム (計測点なし) 3 9 12 - 6.2 3.8 4.5 - 6.2 3.2 4.1 漢那脇ダム 8 10 10 28 4.6 3.6 3.6 4.4 8.3 5.3 4.1 6.6 辺野喜ダム 4 5 8 17 3.7 6.3 6.0 5.6 6.6 6.9 9.0 7.9 平均 5.0 平均 5.9 北行軌道 南行軌道 RMSE(mm) 測量・GPS計測点数 表-4 斜面に対する衛星視線方向の角度および入射角 上流面 下流面 上流面 下流面 上流面 下流面 天端 上流面 下流面 天端 大保脇ダム 217 37 53 233 55.0 21.6 39.1 26.9 50.2 38.2 羽地ダム 129 309 325 145 51.4 23.2 38.3 20.6 60.0 38.9 福地ダム 248 68 84 264 57.1 25.5 39.2 29.1 42.7 38.0 漢那脇ダム 317 137 153 333 24.9 56.8 37.7 55.6 15.1 39.1 辺野喜ダム 169 349 5 185 60.3 13.3 39.8 17.0 64.9 37.7 斜面に対する衛星視線方向の角度(°) 北行軌道 南行軌道 入射角(°) 北行軌道 南行軌道 ※天端は水平と仮定しているため,斜面に対する衛星視線方向において天端の角度は記載していない. 上流 上流 上流 上流 上流 大保脇ダム 福地ダム 羽地ダム 漢那脇ダム 辺野喜ダム 北行軌道 南行軌道 8° 8° 図-10 対象ダムの航空写真と北行軌道・南行軌道の衛星視線方向 大きな差異は見られない. なお,大保脇ダムでは,2006年12月の盛立完了から現 在まで最大で約10cmの沈下が発生しているが,この程 度の沈下量は設計で考慮されており,これまでに安全性 上の問題は全く発生していない.大保脇ダムの沈下量は 堤高66mに対して約10cmであり,堤高に対する沈下量の 比は約0.15%となっているが,既設ロックフィルダムに おける盛立完了10年後の沈下量/堤高の比の値(0.1~ 0.5%)15)の中では比較的小さな値となっている. 衛星SARによりロックフィルダムの上下流面の変位を 計測する際には,前述したとおり図-1に示すようなレイ オーバーあるいはレーダシャドウにより斜面の変位が計 測できなかったり,フォアショートニングにより斜面の 変位の計測精度が悪化する可能性が考えられる.対象ダ ムの上流面・下流面・天端について,表-4に衛星視線方 向との角度および入射角を示す.なお,図-10に対象ダ ムの航空写真と北行軌道・南行軌道の衛星視線方向を示 し,図-11にダムの斜面に対する衛星視線方向の角度の 定義を示す.本論文で使用したALOS/PALSARのオフナ ディア角は34.3°であり,またダムの上下流面の角度が 表-1に示したように18.4~26.6°であることから,対象5 ダムの上流面・下流面においてはレイオーバーあるいは 0°(=360°) 180° 90° 270° 図-11 ダムの斜面に対する衛星視線方向の角度の定義 (※上図の90°-270°の方向がダム軸方向) オフナディア角(34.3°) ダムの斜面の角度 (20~30°) 後方散乱 入射波 入射角 オフナディア角(34.3°) ダムの斜面の角度 (20~30°) 入射波 後方散乱 入射角 (a) 入射波と斜面が (b) 入射波と斜面が平行 正対する場合 に近くなる場合 図-12 衛星視線方向とダムの斜面の向きによる後方散乱の概 念図

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レーダシャドウは発生しておらず,表-4に示す入射角の 値で対象ダムの上流面・下流面・天端の干渉SAR解析が 実施できている. 図-12にダムの斜面に対する衛星視線方向の角度と後 方散乱の概念図を示す.衛星からの入射波とダムの斜面 が正対する場合(図-12(a))には,入射波がダムの斜面 にほぼ垂直にあたるため,ダムの斜面からの後方散乱が 大きくなると考えられる.一方,ダムの斜面に対して入 射波が平行に近い方向から入射する場合(図-12(b))に は,ダムの斜面からの後方散乱が小さくなると考えられ る.ただし,前述のとおり,本論文で対象としたロック フィルダムの表面にはリップラップと呼ばれる最大粒径 約1mの表面に凹凸のある岩石が配置されるため,ダム の斜面に対して入射波が平行に近い方向から入射し入射 角が大きい場合(図-12(b))においても,ある程度の後 方散乱が得られると考えられる. 衛星視線方向とダムの斜面の向きがダムの変位の計測 精度に与える影響を分析するため,ダムの上下流面に対 する衛星視線方向の角度とRMSEの関係を図-13に示す. 斜面に対する衛星視線方向の角度の定義は図-11に示す とおりである.なお,天端は水平と仮定しているため, 図-13には天端におけるRMSEは示していない.図-13を 見ると,斜面に対する衛星視線方向の角度が180°程度 の時にRMSEが大きい傾向となっている.これは,図-12(b)のように入射波が斜面に対して平行に近い方向か ら入射する状態となっており,この場合には後方散乱が 小さくなり外部変形量の計測精度が悪化するものと考え られる.また,斜面に対する衛星視線方向の角度が0° 程度あるいは360°程度の時にもRMSEがやや大きい傾 向となっている.これは,図-1に示したフォアショート ニングの影響によりダムの斜面の変形量の計測精度が悪 化して可能性が考えられる.一方,斜面に対する衛星視 線方向の角度が90°あるいは270°に近い時にはRMSEが 小さい傾向となっており,図-11においてダムの斜面を 横から観測する時,つまり衛星視線方向がダム軸方向に なる場合にはフォアショートニング等の変位の計測精度 の悪化となる要因を受けにくくなり,RMSEが小さくな るものと考えられる. 衛星視線方向とダムの斜面の向きがダムの変位の計測 精度に与える影響をさらに詳細に分析するため,入射角 と計測誤差(RMSE)の関係を図-14に示す.なお,表-4 および図-14の入射角の算定に際しては天端は水平と仮 定している.図-14を見ると,入射角が10°~30°と小 さい時にはRMSEのばらつきがやや小さく,入射角が 50°~70°と大きい時にはRMSEのばらつきがやや大き い傾向がある.図-12(a)に示したように入射角が小さい 場合には後方散乱が大きいため,観測される位相が安定 することにより,RMSEのばらつきが小さい傾向になる ものと考えられる.一方,入射角が大きい場合には後方 散乱が小さくなり,観測される位相の精度が悪化するこ とにより,RMSEのばらつきが大きい傾向になるものと 考えられる.なお,図-14においては,入射角が小さい 時のRMSEあるいはRMSEのばらつきは大きくはなく, フォアショートニングの影響は明瞭ではない. 図-15に,ダムの斜面に対する衛星視線方向の角度お よび入射角とRMSEの関係を示す.なお,図-15において は,図中の円の直径がRMSEに比例するように図化して おり,RMSEを3段階に色分けしている.図-15を見ると, ダムの斜面に対する衛星視線方向の角度が180°を境と して入射角は対照となりほぼ直線分布となっており,斜 面に対する衛星視線方向の角度が135°~225°程度で入 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 90 180 270 360 RM SE  (mm ) 斜面に対する衛星視線方向の角度(°) 下流面 上流面 図-13 ダムの上下流面に対する衛星視線方向の角度とRMSEの 関係 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 RM SE (mm ) 入射角(°) 下流面 上流面 天端 図-14 入射角とRMSEの関係 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 90 180 270 360 入射角( °) 斜面に対する衛星視線方向の角度(°) RMSEが7~9mm RMSEが5~7mm RMSEが3~5mm 図-15 斜面に対する衛星視線方向の角度および入射角とRMSE の関係

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射角が50°以上の場合にRMSEが大きくなったり、ある いはRMSEのばらつきが大きくなる傾向となっている. これは,前述のとおり,図-12(b)のようにダムの斜面に 対して平行に近い方向から入射波が入射することにより 入射角が大きくなり,後方散乱が小さくなることに起因 するものと考えられる. 5. 結論 ダム等のインフラの長寿命化に資する効果的・効率的 なモニタリング手法を開発することを目的として,衛星 SARの1シーンに含まれる5基のロックフィルダムを対象 に約4年間の外部変形計測を行った.ALOS/PALSARの北 行軌道・南行軌道の各14シーンを用いて,時系列干渉 SAR解析により対象5ダムの外部変形量を計測し,測量 やGPSにより計測された外部変形量と比較した.ロック フィルダム上下流面は20~30°の斜面勾配を有しており, フォアショートニング等によりダムの変形量の計測誤差 に対する影響が考えられることから,ダムの斜面に対す る衛星視線方向の角度および入射角が衛星SARによる変 形量の計測誤差に及ぼす影響の検討を行った.本論文の 検討により,以下の結論が得られた. ・対象とした5基のロックフィルダムの堤体の良好な干 渉画像が得られた.ロックフィルダムの堤体表面には 最大粒径約1mの岩石(リップラップ)が配置される ことからレーダの反射が良好と考えられること,リッ プラップの表面はある程度の凹凸があるためレーダの 入射角が大きい場合にもある程度の後方散乱が得られ ると考えられること,リップラップの植生は定期的に 伐採されレーダの反射が良好になるような維持管理が されていることなどから,ロックフィルダムは衛星 SARによる変位計測の適用性が高いと考えられる. ・時系列干渉SAR解析により得られた外部変形量と, GPS・測量により計測された外部変形量を比較したと ころ,両者はよく一致した.また,二乗平均平方根誤 差(RMSE)は約5mmとなり,時系列干渉SAR解析に よりロックフィルダムの外部変形量を精度よく計測す ることができた. ・比較的最近(2010年)竣工した外部変形量が比較的大 きなロックフィルダムと,1974年に竣工した外部変形 量が小さいロックフィルダムのRMSEは同程度となっ た.本論文における衛星SARの観測条件(Lバンド, 観測間隔等)およびロックフィルダムの観測条件(斜 面勾配,年間の変形量等)においては,ダムの外部変 形量が計測誤差に与える影響は小さいものと考えられ る. ・ダムの上下流面に対する衛星視線方向の角度による外 部変形量の計測誤差への影響を分析した.衛星視線方 向とダムの斜面が正対する場合と,衛星視線方向とダ ムの斜面が平行に近くなる場合のRMSEがやや大きく なる傾向が確認された.衛星視線方向とダムの斜面が 正対する場合にはフォアショートニングにより変形量 の計測誤差が大きくなると考えられ,衛星視線方向と ダムの斜面が平行に近くなる場合には後方散乱が小さ くなり変形量の計測精度が悪化することが要因として 考えられる.一方,衛星視線方向がダムの斜面の横方 向になる場合(衛星の視線方向がダム軸方向になる場 合)には,RMSEが小さくなる傾向が確認された.こ れは,フォアショートニング等の計測誤差を大きくす ると考えられる要因の影響が小さくなるためと考えら れる. ・入射角がダムの上流面・下流面・天端における変形量 の誤差に及ぼす影響を分析した.入射角が小さい場合 にはRMSEのばらつきがやや小さく,入射角が大きい 場合にはRMSEのばらつきがやや大きい傾向となった. 入射角が小さい場合には後方散乱が大きく観測される ために位相の精度が安定すること,入射角が大きい場 合には後方散乱が小さくなり観測される位相の精度が 悪化することが要因として考えられる.なお,本論文 においては,入射角が小さい場合のフォアショートニ ングの影響は明瞭には確認されなかった. ・本論文で対象とした5基のロックフィルダムの上流 面・下流面・天端への入射角は,最小で13°,最大で 65°となっており,レイオーバーあるいはレーダーシ ャドウは発生しておらず,5ダムの全ての上流面・下 流面・天端について干渉SARにより外部変形量を計測 することができた.本論文で対象とした5基のロック フィルダムの上下流面勾配と比較すると,日本の既設 ロックフィルダムの上下流面勾配は同程度である.ま た,海外の既設ロックフィルダムの上下流面勾配は日 本のダムと同程度か緩勾配のダムが多い傾向がある. そのため,今回使用したオフナディア角34.3°程度の 衛星SARデータであれば,日本および海外のロックフ ィルダムを対象として干渉SAR解析により外部変形量 を計測することが可能と考えられる. 今後は,2014年5月に打ち上げられた「だいち2号」の データを用いて,今回検討した5ダムとともに他の複数 のロックフィルダムを対象として検討を行い,斜面に対 する衛星視線方向の角度あるいは入射角と変形量の計測 精度等についてさらに検討を進める予定である.「だい ち2号」の空間解像度は3m程度であり,軌道保持精度も 高く,変位計測精度が向上することが期待される.また, 「だいち2号」の観測波長のLバンドは,地表面の植生 の影響を受けにくいことから,今後はダムの堤体とあわ せて貯水池周辺斜面のモニタリングへの適用性について

(13)

も検討を行い,ダムおよび貯水池周辺斜面の維持管理の 更なる効果的・効率的なモニタリング手法の開発を進め ていきたい. また,衛星SARは積雪時にはダムの表面の変位を計測 することは出来ない等の短所もあるため,GPSや光波測 量等の計測手法と衛星SARを組み合せることにより,各 手法の特徴を考慮した効果的・効率的なダム等の変位モ ニタリング技術の開発を進めていきたい. 謝辞:本研究にあたり,内閣府沖縄総合事務局北部ダム 統合管理所には,GPSや測量による堤体の外部変形計測 データや航空レーザ等を提供して頂きました.本研究に あたり,山口大学の清水則一教授には,誤差低減等に関 して貴重なご意見を頂きました.ここに記して謝意を表 します.本研究は,内閣府のSIP(戦略的イノベーショ ン創造プログラム)のインフラモニタリング分野の研究 課題「衛星SARによる地盤および構造物の変状を広域か つ早期に検知する変位モニタリング手法の開発」(H26 ~H30予定)により実施されているものです.本研究は, 公益財団法人河川財団(旧河川環境管理財団)による平 成23年度河川整備基金助成事業「SAR(合成開口レー ダ)によるフィルダムの外部変形計測の研究」(助成番 号:23-1212-002)により得られた成果を発展させたもの です. 参考文献 1) 国土交通省水管理・国土保全局 河川環境課:ダム総 合点検実施要領・同解説,122p., 2013.

2) Wang, T., Perissin, D., Rocca, F. and Liao, M. S. : Three Gorges Dam stability monitoring with time-series InSAR image analysis, Science China Earth Sciences, Vol. 54, No. 5, pp. 720-732, 2011.

3) Grazanic, G., Lier, O., Ekstrom, I., Larsen, Y. and Lauknes, T. R. : Adopting remote sensing dam surveillance, 82nd

Annual Meeting of International Commission on Large Dams (ICOLD), pp. 688-697, 2014.

4) Hanssen, R. : Detecting instabilities in dams using satellite radar interferometry, 81st Annual Meeting of International

Commission on Large Dams (ICOLD), ( 講演資料, USB),

2013.

5) Sato, H., Kobori, T., Sasaki, T., Yamaguchi, Y., Iwasaki, T., Mushiake, N. and Honda, K. : New exterior defor-mation monitoring method for embankment dams using synthetic aperture radar, 81st Annual Meeting of Interna-tional Commission on Large Dams (ICOLD), pp.

2365-2375, 2013.

6) Sousa, J. J. and Bastos, L. : Multi-temporal SAR interfer-ometry reveals acceleration of bridge sinking before col-lapse, Nat. Hazards Earth Syst. Sci., Vol. 13, pp. 659-667, 2013.

7) Lazecký, M., Rapant, P., Perissin, D. and Bakoň, M. : De-formations of highway over undermined Ostrava-Svinov area monitored by InSAR using limited set of SAR images,

Conference on ENTERprise Information Systems (CENTERIS), pp. 414-421, 2014. 8) 大内和夫:リモートセンシングのための合成開口レ ーダの基礎,384p., 2009. 9) 国土技術研究センター編:改定 解説・河川管理施設 等構造令,423p., 2008. 10) (一社)ダム工学会計測管理研究部会:フィルダム の変位計測に関する GPS 利用マニュアル,130p., 2014.

11) Ferretti, A., Prati, C. and Rocca, F. : Nonlinear subsidence rate estimation using permanent scatterers in differential SAR interferometry, IEEE Trans. Geosci. Remote Sens., Vol. 38, pp. 2202-2212, 2000.

12) Berardio, P., Fornaro, G., Lanari, R. and Sansosti, E. : A new algorithm for surface deformation monitoring based on small baseline differential SAR interferograms, IEEE

Transaction on Geoscience and Remote Sensing, Vol. 40,

No. 11, pp. 2375-2383, 2002.

13) Ghulam, A., Amer, R. and Ripperdan, R. : A filtering ap-proach to improve deformation accuracy using large base-line, low coherence DInSAR phase images, IGARSS, pp. 3494-3497, 2010.

14) Costantini, M. : A novel phase unwrapping method based on network programming, Geoscience and Remote Sensing,

IEEE Transactions, Vol. 36, No. 3, pp. 813-821, 1998.

15) (一財)ダム技術センター:多目的ダムの建設,第 4 巻設計 I 編,第 20 章フィルダムの設計,p. 91, 2005.

(14)

INTERFEROMETRIC SAR TIME SERIES ANALYSIS

FOR EXTERNAL DEFORMATION MONITORING OF FIVE ROCKFILL DAMS

USING ALOS/PALSAR DATA

Hiroyuki SATO, Takashi SASAKI, Masafumi KONDO, Toshihide KOBORI,

Aoi ONODERA, Yoshikazu YAMAGUCHI, Wataru SATO, Naruo MUSHIAKE

and Kenichi HONDA

Satellite SAR has been widely used in many fields such as monitoring of crustal movements caused by large earthquakes and has been mainly made great achievements as the monitoring technology at the time of relatively wide area disasters. The surface of the area to be observed by the satellite SAR is a very wide area with dozens km square and the spatial resolution and the analysis methods have been improved in re-cent years.

Advanced Land Observing Satellite (ALOS) with a Phased Array L-band SAR (PALSAR) sensor (ALOS/PALSAR) was launched by Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA) in January 2006 and completed the operation in May 2011 (JAXA). In this paper, we used ALOS/PALSAR data for SAR based external deformation monitoring of five rockfill dams in the same ALOS/PALSAR data. External deformations of five rockfill dams for about four years were calculated by SAR and compared with other methods such as GPS or electro-optical survey. The average root mean square error (RMSE) of external deformations of five rockfill dams between SAR and other methods resulted in about 5 mm. We investi-gated effects of angles between slopes of dam surfaces and illumination directions and angles of inci-dences on the accuracy of external deformations. We found that variations of RMSEs tented to be larger when angles of incidences were larger.

参照

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佐々木雅也 1)  Masaya SASAKI 丈達知子 1)  Tomoko JOHTATSU 栗原美香 1)  Mika KURIHARA 岩川裕美 1)  Hiromi IWAKAWA 藤山佳秀 2)  Yoshihide

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