験 震 時 報 第58巻 C 1995) 97---114頁
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3
年
2
月 7
日能登半島沖の地震調査報告
地 震 津 波 監 視 課 本 ・ 地 震 予 知 情 報 課 * 九 金 沢 地 方 気 象 台 * * *Report on the Earthquake of Noto-'-Oki, February 7, 1993 Earthquake and Tsunami Observations Division, Earthquake Prediction
Information Division and Kanazawa Local Meteorological Observatory (Received July 29, 1994; Accepted December 2,1 1994)
!
3
1 . 概 要 1993年2月 7日22時27分 に , 能 登 半 島 沖 でM6.6の 地 震が発生し,輪島で震度5,高田,伏木,富山,金沢で 震 度4を観測した.そのほか,東北地方から北陸,東海, 近 畿 , 山 陰 地 方 ま で の 広 い 範 囲 で 有 感 と な っ た ( 図 1.1 ). 輪 島 で 震 度5を 観 測 し た の は , 震 度 観 測 を 開 始 し た 1929年以降,初めてであった. この地震では,東北地方 から福井県までの日本海沿岸に津波注意報が発表された. 輪島港に設置された運輸省第一港湾建設局および国土地 理院の検潮儀,ならびに佐渡島の小木港に設置された国 土地理院の検潮儀には津波が記録された.津波による被 害はなかったが,震央に近い石川県珠洲市では住居や構 造物の倒壊,水道管の破損,また数カ所の道路で路肩の 崩壊,陥没の被害が相次いだ.また,石川県で重傷l名, 軽 傷28名,新潟県で軽傷1名の八的被害を被った. この ため,地震の翌日,金沢地方気象台と輪島測候所は現地 調査を行った. その後,有感地震も含め余震が数多く発生している. 本報告では,本震・余震の状況や被害調査について報告 する.!
3
2. 震源要素と発震機構 気象庁が決定した震源要素は次のとおりである 発 震 時 :22時27分43.7:
:
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O
.
2秒 北 緯 :370 39.2' 士L2' 東 経 :1370 18.0':
:
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1
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奈 さ :25:
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t
4 krn マグニチュード:6.6 *細野耕司,柿下 毅 , 杉 本 和 信 , 草 野 富 二 雄 日 菊 田 晴 之 , 藤 井 幹 雄 日*岩地三郎 この地震は,比較的震央に近い観測点の地震波形から すると,最初の小破壊(プレイベント)があり,その直 後に主破壊(メインイベント}があるマルチプルショッ クであったと考えられている(石川・他(1993)). 気象庁がP
波 初 動 分 布 か ら 求 め た メ カ ニ ズ ム 解 は , 図 2. 1に示すとおり,ほぼ東一西方向にP軸(主圧力軸) をもっ逆断層型である.但し,プレイベントとメインイ ベ ン ト の 発 生 時 刻 の 間 隔 が 約O
.4
秒 と 短 い た め , 少 し 離 れた観測点ではプレイベン卜の初動を識別することがで きず,図2.1はメインイベントのメカニズムを示してい ると考えられる. 一 方 , ハ ー バ ー ド 大 学 に よ るC M T解 CCentroid Moment Tensor)は,図2.2に 示 す と お り 西 北 西 一 東 南東方向にP軸をもっ逆断層型であり,これはメインイ ベン卜のメカニズムを示すと考えられる. この解は気象 庁の初動から求めたメカニズム解とも調和的である.メ インイベン卜の断層面は,余震分布が北西側に深くなる 傾向にあることから, CMT解 に お い て 西 北 西 方 向 に 傾 斜した面であると推定される. 能登半島及びその周辺において, 1926年以降発生した M孟5.0,深さ40krn以 浅 の 地 震 の う ち メ カ ニ ズ ム 解 の 決 ま・ったものについて,その解及びP
軸 方 位 を 図2.3に示 す.能登半島 佐渡島の地域においては,p
軸 方 位 も 断 層のタイプも一様ではない.ただし,新潟県南部におい ては, p軸 方 位 が ほ ぼ 西 北 西 一 東 南 東 方 向 を 示 し 横 ず れ型または遮断層型が卓越しているという傾向がみられ, 今回の地震のメカニズムは, これとは調和的である.!
3
3. 余震活動 3. 1 余震分布と余震の累積頻度分布 図3.1に, 1993年2月7日22時27分 の 能 登 半 島 沖 の 地 震以降, 1994年7月26日までのその周辺の震央分布と深 さ分布を示す.以下の考察では,図3.1の枠で固まれた 部分の地震を能登半島沖の地震の余震を対象として扱う. n H U 円 ぺ U98 験 震 時 報 第58巻 第 3'"'-' 4号
U
図1.1 震度分布図 1993年 2月7日能登半島沖の地震 図3
.1
の深さ分布からわかるように,余震はすべて6
0
k
m
より浅いところで発生している. この余震データに関して,規模別累積頻度分布図を描 いてみると,図 3.2のようになる.この図から求められ るb
値はO
.8
で,余震カタログの完備性を示すカットオ フマグニチュードは, 2.7となる.図 3.1の枠で囲まれ た部分の余震のうち, M2.7以上の余震数は 281個となっ た. 1993年北海道南西沖地震の b値は, 1.17(気象庁, 1994), 1983年日本海中部地震では1.0 (気象庁, 1984), 1964年新潟地震では1.0 (気象庁, 1965)で, これらに 比べると,今回の能登半島沖地震の b値はやや小さい. 3. 2 余震回数の減衰と余震活動の特徴 図 3.3に, M2.7以上の余震の震央分布図(a)と累積余 震回数の図(b),(c)を示す.(b)図では,時間スケールを等 間隔に目盛っているが, (c)図では,改良大森公式から予 想される累積余震回数が直線となるように時間軸を変換 (回数直線化時間スケール, Ogata and Shimazaki 1984)している.このスケールを用いることにより,と くに,本震直後の余震活動の,改良大森公式からのずれ が見やすくなる. 図 3.3(a)では,本震を星印で示し, 3番目までの大き な余震をその順位に従って,線幅の太さで表示している. 本震の M6.6に対して最大余震は M5.1で,宇津め統計的- 40
ー1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告 N 自9zmPlg 7" 8。 2560 82。 7" 3
。
w 8up OOOWN 図2.1 能登半島沖地震のP波初動分布から求めたメ カニズム解.下半球等積投影 Str;走行, Dip; 傾斜角, Slip;すべり角 Azm;方位角, Plg; 傾斜角, NP;節面,P;主圧力軸, T;主張力軸.N;
中立軸.気象庁,東京大学,名古屋大学,防 災科学技術研究所のデータを使用. 99N
白Z阻Plg 1200 10 2420 89。
300 1。E
図2
.2
能登半島沖地震のハーバード大学によるCMT
解. 下半球等積投影 Str;走行, Dip;傾斜角, Slip; すべり角, Azm;方位角, Plg;傾斜角, NP;節 面 P;主圧力軸, T;主張力軸,N;中立軸. l~O~ . I 192601 01 00:00 --1993 08 31 24:00 38・
N 37"30' 37"N 136030' 137"E 137"30・印 。
ω
138030・ 1390E 139030' 図2.3 能登半島及びその周辺のP波初動分布から求めたメカニズム解 0926年以降発生したM 孟5.0,深さ 40km以浅の地震).下半球等積投影矢印はP軸方位を示す. 調査 CUtsu,1969)によればほぼ標準的である.ただし に対して,経験則 CSato.1989,松田. 1975)から断層 発生時期は,本震後約 122日で,他の多くの場合よりは の長さは. 10数回と推定される.今回の場合,本震と大 遅く発生している.第 2,第 3の大きな余震もそれぞれ, きな余震間の水平距離がそれぞれ,約 10km,17km..11km 約54日,約88日後と,遅く発生している. M6.6の本震 となることにより,本震の断層の長さ程度は離れて大き A 性100 験 震 時 報 第58巻 第 3--4号
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丘
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1993 02 07 22:27 -- 1994 07 26 24:00 38' 55' 38・50' 37・45' 37・40' 37"35 37・30 37・25 UND 137・50137・55:
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CE 137 ・面τ37 ・ 10137 ・ 15137~20137 ・ 25137 ・ 30137-;35137・40137・,t5'38・50' (km) W E Or, ---__ ---B内角否長4孟 a~ dO 8 8,0 20 40 60 80 L一一 図 3.1 ト U c 国 コ σ100 e u.. 面 〉 .... 10 伺 コ E コ。
O N MO
7.0 O 6.0O
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3.0 412
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口 ) ゆ m E Fι 、し民 ( 門 U F O 円 U A 吟 n u q J ι n u q d -¥ / O F 口 / 、 q d 門 u -20 t ,0 oO 地震発生(1993年2月 7日22: 27)から1994年7月26日24: 00までの震央分布と深さ分布 80。
0000000000:"" v。
M a g n t u d e 4 5 図3.2 余震の累積規模別頻度分布.この図から,カットオフマグニチュードを 2.7とす ると, b値はO.8となる. な余震が発生していると考えられる.余震分布からも本 図3.3 (b), (c)で , 実 際 の 余 震 回 数 と 改 良 大 森 公 式 震は,余震域の西端にあり,他の大きな余震は,余震域 (Utsu, 1961) の中央から東側に位置しており,本震の断層運動の端で n(t)=K・(t+
c )-p 大きな余震が発生している様子がうかがえる. から推定される余震回数の比較を行うために,改良大森 つ 山 A 斗 畠1
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年2
月7
日能登半島沖の地震調査報告 m m m b n L R L R ・E -a p h い n g 勾 4 n v r o 噌 , n w 句 ' h a q 勾 6 ・・ 7 1 } l i t -n υ o υ 1 ・ 9 0 r 3 F 3 E 1 u s s s y y y a a -E n u J O ・G -q J U F 3 守 , 勾 , R U 目 。 司、 骨 乙 - a O 3 向 w υ n u u l 内 ' ' k υ ・l p D a a z,
J J 0 0 勾 L H 1 2 7 M H 内, b 弔 s a e A M R υ 1 4 5 5 8 r a L -H 1 2 3 A n " “ " " 7 10 .r 6 10 5 5 10 4 4 10 3 3 10 2 0 0 0 0 0 JOkm .(8) O O 37白8 O 37,5 (b) 137,2 137,5 20km ~一手;-~_. ,--,.-..--ー~戸 J一三五二・.. ... 2001
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(c) ノヘーへへ¥ヘ 01-\)一一r~'- ~-\J (a) M孟2.7の本震を含む余震分布.図中に本震(星印)と大きな余震を順に1, 2, 3の数字で示 す.1
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(b) 等間隔の時間スケールで描いた累積余震回数. (1):本震後約3
0
日の余震回数の減少する時期(
2
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:
4
月2
日M5.0
の余震(
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)
:
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日M5.0
の余震(
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孟2
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の余震が発生しな くなる時期(
5
)
:
6
月9
日M5.1
の最大余震,
(c) 余震回数が直線となるように時間スケールを変換した図. (1):本震後約4時間すぎころから回数 が減る(
2
)
:ほぼ2
2
時間後頃から回復するが,それに対応する大きな余震はみられない(
3
)
:
4
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日M5.0
の余震前の静穏化の開始(
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: 5
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月9
日M5.1
の最大余震 (b), (c)図の下に付いている図は,観測された累積余震回数とパラメータK,c, pの値を用いて改良大森公 式から求められる累積余震回数との差を示す.。
に
こ
500 400 100 図3.343
-102 験 震 時 報 第58巻 第 3--4号 公式の3つのパラメータ K,
c
, pをOgata(1983) の 4. 1に示す. 最尤法により,宇津(私信, 1993) が作成したソフトウ ェアを用いて計算した.上式でn(t)は,時刻tにおける 単位時間あたりのある大きさ以上の余震回数であるK
,c
, pは余震系列固有の定数で,特にpは余震活動の減 衰の様子を議論する際に用いられるパラメータである. 前述の期間について, 3つのパラメータの値を計算する と,K
=20.29. p =0.83,c
=0.02となった. 1993年 北海道南西沖地震ではp= 1.25--1.28, 1983年日本海中 部地震ではp=1. 1程度(気象庁, 1994),松浦(1993) は閉じ計算方法で,全国で発生した余震を伴う大きな地 震に対して,平均値としてp=1. 22を与えている.それ らに比べて,今回の能登半島地震のp値ははるかに小さ し余震活動の減衰が緩やかである. b値も最近の日本 海東縁の地震より小さいことから,それらとは異なる性 質をもっていると考えられる. 図3.3(b)から,本震後30日付近から余震活動が低下し ((b)図の(1),または(c)図の(3)),4月 2日19時05分のM5
.
0
の余震(
(
b
)
図の(2),または(c)図の(4))後回数が増大 していることがわかる. 5月7日04時57分の M5.0の余 震 ((b)図の(3),または(c)図の(5))でもわずかに回数が増 えているが,前者のような直前の活動の低下は顕著では ない.6
月9日22時41分の M5.1の最大余震直前にも余 震 が 発 生 し な い 時 期 が あ り ((b)図の(4)), こ の 余 震 後 ((b)図の(5),または(c)図の(6))ほんのわずか余震回数が 増えているが, 4月2日の M5.0の余震後の活発化より は顕著でない. 図3.3(c)から,本震後4時間付近から余震が少なくな り ((c)図の(1)), 22時間後あたりから回復している様子 が見える ((c)図の(2))が,この時刻に対応する大きな余 震はない. ~ 4. 津波予報と津波発生状況 津波予報の発表状況は以下のとおりである. 気象庁本庁 2月7日22時37分 「ツナミチュウイ Jの津波注意報 を新潟から福井県までの日本海沿 岸 (6
区, 10区)に発表. 2月7日23時30分 間津波注意報解除. 仙台管区気象台 2月7日22時41分 「ツナミチュウイ」の津波注意報 を東北地方の日本海沿岸(5区〉 に発表. 2月7日23時31分 間津波注意報解除. 輪 島 港 の 検 潮 記 録 を 図4.1に,津波の発生状況を表 30 20 102
1
2
2
2
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1 2
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図4.1 輪島港の検潮記録 検潮記録は,運輸省第一港湾建設局による. 1読みとりは,地震津波監視課による. 表4.1 津波発生状況 時 刻 初 動 大きさ 第一波 22時50分 押 し 12cm 時 刻 高 さ ※ 最大の高さ 23時12分 25cm ※推算潮位からの高さ ~ 5. 現地調査* 5. 1 調査の概要 地 震 発 生 の 翌 日 (8日).金沢地方気象台は,輪島測 候所の協力を得て,震源に最も近く被害の大きかった能 A 斗 A A q1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告 103 登半島北端の珠洲市正院町を中心に現地調査をおこなっ
O
箪笥が倒れてきた.額が落ちてきた. た.当日は,夜明け前より小雪が降り続き屋根や道路は 5.3 被害調査結果 白く雪化粧され被害を覆い隠しているようであった. 現地に到着するまでは,輪島測候所の震度5やテレビ, 目的地に至る主要道路の通行止めのため迂回し,ょう ラジオ報道から,局地的な非常に大きな被害ではと思つ やく珠洲市役所に到着.さっそく 2階の現地災害対策本 ていたが,調査を行っていく段階でそれほどでもないと 部に行き,係員から災害状況・場所を地図上にて説明を いうのが実感であった 受けた.この間何本もの電話がひっきりなしに鳴っていO
須受八幡宮の鳥居倒壊 (写真1) る. 二本柱 (大理石製)の直径及び高さに対して笠木が 話を伺った市の把握している状況は,木ノ浦トンネル 大きく土台が小さい.鉄芯でも入っていれば倒れな の落盤以外は正院町に被害が集中しているようだ. かったのではなし、かと思われる. 直ちに最も近くで被害のあった神社から調査を始めるo
火宮神社の本殿・拝殿 (築後100年)倒壊 (写真2) 途中80歳位のおばあちゃんに出会い,尋ねる. 地震の揺れによるものでなく,山の斜面に建ってお 「おばあちゃん,夕べはどうでしたか?J り裏山崩壊の土砂による倒壊である. 「わたしゃ80年近く生きているが,こんな事ははじめO
非住家 (作業所〉の倒壊 (写真3) てだあ.朝まで怖くて眠れんかったわ!J 最近山の一部を削り,家屋,作業所を建てたもので 約3時間かけて,聞き取り及び被害現場の調査を行つ あり,残った山が崩れその土石による倒壊である.崩 た 後 日 , 県 の 地 震 被 害 調 査 団 は 数 カ 所 で 液 状 化 現 象 (噴砂)を確認したとの新聞報道があったが,この時点 では積雪 (5 cm位〉のため確認することができなかった 5. 2 聞き取り調査結果 聞き取り調査で得られた現地の人々の感想,話を以下 に列挙するO
地震発生後,朝まで怖くて眠れなかった. O 実際の揺れは40秒位であるが,非常に長く感じた.O
家がビリビリと音をたて左右に揺れた,家がつぶ れるかと思った.O
こんな大きな地震は生まれて初めて.生きた心地 がしなかった.O
いくつものポットが倒れ湯がこぼれた.O
ふすまがノ〈タパタとはずれて倒れた.O
津波が来なくて本当に良かった.O
棚からいろいろな物が落ちてきた.O
台の上のテレビが落ちた.O
ドッスンと大きな音がして家が揺れた.その後外 に出て見ると作業場が倒れていて直径 2 m位の石が 中にあった.もしこれが住家の方だったらと思うとO
あちこちでガラスの割れる音がして怖かった.O
夕食時でなくて良かった.O
子供が寝たあとで良かった.O
風自に入っていたので,着る物も着ないで子供部 屋に走った.O
こんな大きな揺れを体験したのは,初めてだ. 本 金 沢 地 方 気 象 台 岩 地 三 郎-4
5
ー 写真l 須受八幡宮の鳥居倒壊 (すずはちまんぐう) 珠洲市正院町正院 写真2 火宮神社の本殿・拝殿 (築後100年)倒 壊 (ひのみやじんじゃ) 珠洲市正院町飯塚104 験 震 時 報 第 58巻 第 3~ 4号 れた岩肌が生々しかった.もっと裏山より離れて建てる が集中していることがわかった. か,裏山の削った後をモルタル吹付工事で固めておけば 5.4 被害状況 良かった.余震や大雨が降ると,また崩れるのではない 石川県内における被害状況は,以下のとおりである か と 思 わ れ る 石 川 県 消 防 防 災 課 調 べ
1
9
9
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年3
月1
1
日現在,石川県警O
道路の損壊 (陥没)(写真4
)
察本部災害月報1
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年3
月号)• 陥没した所に乗用車が突っ込み運転手が負傷してい る.幅20m位の谷を埋めて道路にした所で,水はけが 悪く軟弱であった.大雨でもいずれは陥没したのでは ないか,本来は橋を架けるべき所と思った.O
木ノ浦トンネルの落盤 (写真5) 輪島市から珠洲市への主要道路のトンネルで長さ80 m 位のほぼ中間地点の天井部分に直径2m位の穴があ き土砂が落ちて道路をふさぎ通行止めとなっていた. かなり古いトンネルである (昭和40年完成). 現地での被害調査や,地震発生時の状況を,電話等に より,聞 き 取り推 定 し , 震 度 分 布 図 を 作 成 し た (図 5. 1 ).珠洲市でも正院町を含む周囲 2km位の所で被害O
人的被害 重 傷 名 軽 傷 :28名O
建物被害 全 壊 棟 半 壊 棟 一部破損:20棟 写真5 木ノ浦トンネルの落盤 珠洲市折戸町木ノ浦大谷狼煙飯田線 、-....3 写真3 非住家 (作業所)の倒壊~品.口 m
3ノ
ヲ
珠洲市正接町岡田 / ' 嗣 r-L'/イ
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31
究
:
図5.1 聞き取り調査による推定震度分布図 金沢地方気象台が行った被害調査や,地震発 生時の状況を,電話等により,聞き取り推定し た震度分布で,その地区を代表する震度ではな 写真4 道路の損壊 (陥没) い.置は正院町を示す.右下破線の範囲が本図 珠 洲 市 折 戸 町 川 尻 市 道56号線 に対応. -46ー1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告 105
O
非住家被害 11棟O
道路損壊 17箇 所O
山,崖くずれ 1箇 所O
トンネル落盤 l箇 所 5.5 所 見 人的被害としては,倒れた家具の下敷きや落下物によ る負傷者が目立った. このうち1名の重傷者(主婦)は, 倒れたタンスの下敷きになり圧迫骨折したものである. 約1ヶ月前に「釘"路沖地震」があった際,郵"路市の住 民 が 自 ら タ ン ス 等 に 転 倒 防 止 の 器 具 を 施 し 被 害 を 最 小 限に食い止める工夫について報道があった. 北陸地方では家庭内においてこのような防止策を自に したことがない.家具等が倒れないように上端を紐など で止める等の工夫があれば,人的被害が殆ど妨げたので はないだろうか. また,神社の本殿・拝殿の倒壊を含めて22棟の住家で 被害があったが,殆ど崩土による倒壊や沼地の整地での 建築であった(液状化現象による地盤の沈降や亀裂によ るもの). 昭和23年の「福井地震」以後,石川県に被害をもたら した地震は昭和36年の北美濃地震 (M7.0),昭和39年の 新 潟 地 震 (M7.5)が あ る が , 約30年間大きな地震がな かったために住民にとって地震の記憶は遠のいていたに 違いない.それだけに「北陸でも地震は起こる」ことを あらためて認識したことだろう また今回の地震で火災が金沢市内の1件にとどまった のは,地震発生が日曜日の深夜であったためストーブな ども消してあったからと思われる.冬の北陸ということ を考えると,地震発生が2時間早く,夕食時であれば火 災を含め,もっと多くの被害が生じたに違いない.S
6
.
資 料 今回発生した能登半島沖の地震(本震)の87型電磁式 強 震 計 に よ る 加 速 度 波 形 (ACCELERATION)と, そ れ を 積 分 す る こ と に よ っ て 得 ら れ た 変 位 波 形 (DIS -PLACEMENT)を 主 な 観 測 点 ご と に 図6.1か ら 図 6.8に示した.また,有感余震の表を表6.1に示した. 参考文献 石川県警察本部(1993) 災 害 月 報1993年3月号. 石川県消防防災課 (1993).能登半島沖地震による被害 状況. 石川有三・中沢博志・中村雅基・桑山辰夫・小林昭夫・ 橋 本 徹 夫 ( 1993) : 1993年2月7日 マ グ ニ チ ュ ー ド 6. 6能登半島沖地震,第20回北陸地震研究会予稿集. 気象庁(1994) 平 成6年 0993年)北海道南西沖地震 調査報告,気象庁技術報告(印刷中). 気象庁 (984) 昭和58年(1983年)日本海地中部地震 調査報告,気象庁技術報告, 106, 252 pp. 気象庁(1965) : 1964年新潟地震調査報告,気象庁技術 報告, 43, 230 pp. 地震津波監視課(1993) 地震・津波防災季報, 25, 25 -28. 地震予知情報課(1993) 能登半島沖の地震 (1993年2 月7日M6.6),地震予知連絡会会報, 50, 478-485. 松浦律子 (993) 改良大森公式のパラtメータ値につい て,地震学会予稿集, No. 1, 224. 松田時彦(1975) 活断層から発生する地震の規模と周 期について,地震, 28, 269 -283. 三 雲 健 ・ 石 川 有 三 ( 1987) 日本海沿岸の地震と広域 テクトニクス及び長期的地震予知,地震予知研究シン ポジウム(1987); 259-269. 山崎謙介・田村尚志・川崎一朗(1985) 日本海に発生 する浅発小地震の発震機構,地震, 38, 541-558. DZIEWONSKI, A.M., G. EKSTROM, and M..P.SALGANIK (1994) Physics of the Earth and Planetary Interiors, 82 (1994) 9-17.
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106 験 震 時 報 第58巻 第3... 4号 表6.1 有感余震の表 (1993.2.7--1993.8.31) 月 日 時 分 北・緯 東 経 深さ M 各 地 の 震 度 02 07 22 : 40 370 42' 1370 23' 20km 4.0 輪島 07 23 : 07 370 42' 1370 22' 23km 4.4 輪島 08 00 : 09 370 37' 1370 20' 10km 4. 2 輪島 08 02 : 06 370 43' 1370 19' 27km 4.9 IIT:高田 II:輪島,伏木 富山,金沢, 新潟 08 12 : 38 370 35' 1370 20' 22km 4. 8 輪島,高田 08 19 : 10 370 41' 1370 15' 30km 3.8 輪島 08 23: 03 370 45' 1370 23' 46km 3. 6 輪島 09 07 : 31 370 38' 1370 17' 25km 4.1 輪島 11 21 : 1'7 370 40' 1370 18' 26km 4.0 輪島 13 03 : 26 370 41' 1370 22' 17km 4.8 II:輪島,高田 新潟 16 01 : 51 370 38' 1370 16' 24km 5. 0 IIT:高田 II:輪島,伏木, 金沢,新潟 相川,富山 03 07 15 : 09 370 44' 1370 29' 28km 4.4 輪島 11 11 : 57 370 43' 1370 22' 28km 4. 1 輪島 04 02 19 : 05 370 35' 1370 27' 5 km 5.0 II:輪島,金沢 高田 02 21 : 49 370 37' 1370 22' 26km 4. 9 II:輪島 金沢,高田 05 04 : 35 370 38' 1370 20' 23km 4. 3 輪島 05 07 04 : 57 370 37' 1370 24' 20km 5.0 II:輪島,高田 伏木,富山, 新潟 18 18 : 29 370 40' 1370 22' 25km 3.4J 輪島 23 21 : 42 370 35' 1370 23' 20km 4.9 II:輪島 高田,金沢 25 20 : 05 370 38' 1370 22' 26km 4. 4 II:高田 輪島,金沢 06 09 22 : 41 370 42' 1370 23' 21km 5.1 IIT:高田 II:輪島,富山, 金沢,新潟 伏木,長野, 諏 訪 11 00 : 00 370 42' 1370 23' 27km 4. 5 II:高田 輪島
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8
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1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告 107 0.35αn
FUKUI(DJSPLACEMENT)
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図6.1 87型電磁式強震計波形記録 n 同 υ A q108 験 震 時 報 第58巻 第 3--4号 39.9gal TOYAMA(ACCELERATION)
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-39.9gal 22:28:00 22:29:00 22:30:00 制 ω 酬 刷巾剛山一
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22:29:00 22:30:00 図 6.2 87型電磁式強震計波形記録 ハ U F h u1993年2月7日能登半島沖の地震調査報告 109
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22:29:00 22:30:00 0.31αn -0.31αn 22:28:00 22・29:00 22:30:00 図。6.4 87型電磁式強震計波形記録- 5
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1
9
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年2
月7
日能登半島沖の地震調査報告 111WAJlMA(ACCELERATION)
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22:28:00 22:29:00 38.2g剖 UID柵~綱引仲 ~よ
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22:28:00 22:29:(氾 22:30:00 1.73αn ﹃﹄ 4 l i t -t t す ﹄ f E l l -2 4 1 Lm
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-1.73αn 22:28:00 22・29:00 22:30:00 図6.5 87型電磁式強震計波形記録 円 ペ リ ﹁ ひ112 24.9gal -24.9gal 27勾al J EJW 寸 ・27.4ga1 7.57gal UID -7.57gal 験 震 時 報 第58巻 第 3--4号
N11
G A T A(ACCELERATION) 22:28:00 22:29:∞
22:28:00 22:29:∞
22:28苅O 22:29:∞
N11
GATA(DlSPLACEMENT) 0.56cm -0.56cm 0.95an EJW -t ・0.95αn 0.43αn -0.43αn 22:28:00 22:29:00 22:28:∞
22:29:00 22:28・00 22:29:00 図6_6 87型電磁式強震計波形記録- 54
一
22:30:00 22:30∞
22:30:00 22:30:00 22:30∞
22:30:00-9.42伊l -2.87gal -0.31σn -0.35αn 0.15αn -0.15αn
1
9
9
3
年2
月7
日能登半島沖の地震調査報告 113N A G O Y
A(ACCELERATION)
6.19gal .6.19gal 22:29:00 22:30:00 22:31 :00 9.42galEJIN -4 ・ふ昼..~皿nUlbllllW 蹴血 .LAUIU Inl lA ..R_ u. ~II"". _ ‘ ・ ー 1 J -曹 司 ・
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22:29:00 22:30:00 22:31 :00 図6.7 87型電磁式強震計波形記録- 55一
114 験 震 時 報 第58巻 第 3--4号 12.7gal T A I
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