年能登半島地震 その2)
著者 小村 和久, 稲垣 美幸, 西川 方敏, 中西 孝, 早川
和一, 唐 寧, 楊 小陽, 飯田 孝夫, 森泉 純 著者別表示 Komura Kazuhisa, Inagaki Miyuki, Nishikawa
Katatoshi, Hayakawa Kazuichi, Tang Ning, Yang Xiaoyang, Iida Takao, Moriizumi Jyun
雑誌名 地球科学
巻 61
号 5
ページ 335‑342
発行年 2007‑09‑25
URL http://doi.org/10.24517/00063583
doi: 10.15080/agcjchikyukagaku.61.5_335
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
能登半島地 震 前後
の環 境放射能 の 変動
小村和 久
’一 稲 垣 美幸
西 川 方 敏
*一 中 西 孝
*一 早 川 和 一
“ *・ 唐 寧
**・ 楊 小 陽 * * ・ 飯 田 孝 夫 * * * ・ 森泉 純 ’ * ’ *
Variations
ofradiation
levels
before
and
after
the
Noto
Hanto
Earthquake
in
2007
,
**
* *
KOMURA
Kazuhisa
,】 rNAGAKI
Miyuki ’
,NISHIKAWA
Katatoshi
,¥ *
.
ネ
NAKANISHI
Taka 喚 1
,HAYAK 蟹 yA
Kazuichl
,TANG
N 鵯 夢
,YANG
Xiaoyang
,IIDA
Takao
and
MORIIZUMI
Jyun
Abstract Variations of radiation
levels
before
and afterthe
Note Hanto Earthquakein
2007
have
been
analyredfrom
the point ofview ofenviro 皿 lental radioac 廿vit¥]the 2ioPb
activities in the airbome particles are collected 丘om Nishi
−
Futamata血 岡 i,
訂e analyzed.
The Radon actiVity at Hegura lsland【ocated 5e km No血 of Wajima,
and thespa圃
g
a ray8 atNishi −
Futamata are measured since Apri1 21,
2007.
Abnormal increase of 2ioPb actiVity started3 weeks
before
the ea 曲quake are found, suggesting the maximum valuejust
before the ea 曲 quake, because itdecrease
ω no aUevel a仕α2weeks,
increase of radonlevel
was not observed at Hegura lsla ld,
however ,
increase
of radiation level at Nishi
−
Futamata area con 血 ued for 6 weeks after 血 e eadhquake,
and se廿led to nomlal level血middle ofMay 2007
,
磯
7
陶 5 :the Noto Hanto Earthquake in 2007,
radiation level,
2LoPb,
monitoring,
gamma
ray,
carbome measurement,
radon,
airborne particle,
radionuclide,
radioactivityは じめ に
地 震に関 連した放 射 能 異 常につ い ては古 くから研 究が行 な われて お り
,
井 戸水や 大気中の ラドン (22コRn 半 減 期3, 825
日の放射性気体 )の濃度 が 地 震の際に異常 な増加を示 したこ
とを論 じたものが 多い (岡部 1990
,
Radon and Thoron in theHuman
Environrnent l997
),
最近の もの と し て1995
年1
月の兵 庫県南 部 地震 (阪神
・
淡路 大 震 災)の約5
ヶ月 前 か らの空 間 放射線レベ ルの増 加を明ら か に し た研 究 (
Yasuoka
and
Shinogi
1997
)が注 目されてい る.
筆者は辰口町 (現能 美 市)和 気 地 内にある金沢 大 学低 レベル放 射 能実 験 施 設 (Low Level Radioactivity Laboratory:LLRL )で観測 してい たラド ン濃 度 が,43km
の至 近 距 離で1996
年9
月10
日 に発 生 したマ グニ チュ
ー
ド3.
2の地 震の約 10 日前か ら異 常に増 加し,
地 震
2
日後に は通 常値に戻っ たこと を観 測し ている (Komuraetal
. 1998
).
本報告で は環境 放射 能の観点か ら
2007
年3
月25
日に発生 した 「平 成19
年 能 登 半 島 地 震 」前 後の変 動の存 否につ い て,
大 気 浮 遊 塵T ラ ドンお よ び 空間ン線の観 測 結 果につ い て解 析 し た結果を紹介する
.
大 気 浮 遊 塵の放 射 能測 定 を従 来 よ り
1
桁 高い時 間分解 能で測 定 し
,
環 境 変 動 観 測の指 標に利 用 しようとする研 究は. 2002
年 度採択の金沢大学21
世紀 COE プロ グ ラム 「環日本 海 域の環 境 計 測と短 期・
長 期 変 動 予 測 」の一
環として 2003 年か ら実施し てい る.
本報告は,
震 源に近い輪 島市西二又で 地 震 発 生 前 後の約1
ヶ月 間に採取した 大気 浮遊 塵 試 料の放 射 能 測 定により,
222Rn の壌 変で生成 する半 減 期22.
3 年の放 射 性核ldi
2i°Pbの濃度と 地震との相関につ い て解析 するこ とを 目的 と した もの で,
同 時期に辰口及 び鶴 来 町 (現 白 山市 )の獅 子 吼高原で採取し た大気浮 遊塵試料との比較に より
,
地震 との関 連 を明 らかにする ことを試みた,
大気 中の ラドン観 測 も大 気 浮 遊 塵と同 じ くCOE プログラム の一
環で あ り,
辰口,
獅子 吼高原,
輪 島沖50km
に位 置する舳倉 島の3
地点で2003
年に同 時 観 測 を開 始 した が
,
人手 不足のた めに継 続 してい る のは舳倉島で の名古屋 大学との共 同観測定のみである.
ラ ドンにつ い て は
,2007
年1
月か ら4
月 分の測 定 結 果につ い て 地 震 との関連 を検 討 した.
その他,
地震 発 生約1
ヶ月 後の4
月
21
日か ら輪 島市西二又で実施し てい る空間ン線の連続観 測 及 び,
能 登 半 島の で の 「カー
ボー
ン測 定 」につ い ても紹 介する
.
2007年
6
月8
日受付.
2007年6
月11日受理.
*金沢大学環日本海域環境研究センタ
ー
〒920−
1192* *金 沢 大 学 大 学 院自然 科 学研 究 科
***名古屋大学大学院工学研究科
石川県金沢市角 間町
336
小村和久他観 測対 象 検 出 器 測定 試料 試料採 取ま たは観 測地点 試料採 取方法 等
2唯゜Pb
,
7Be 尾小屋地下測 定施 大気浮 遊 塵 輪 島市 西二又町 旧西二又小 ハ イボリュー
ム サ ンプラー
を用設の極 低バッ クグ 学校 定点観測拠 点 い
、
毎分700−
900Lの空気を シ リ カラ ウ ン ド
Ge
半 導体 ファイバー
フィ ル ター
で ろ過検 出器 能 美 市 和
気
町 金 沢 大LLRL
屋上
白山 市 獅 子 吼 高 原 (海抜
640m
)222Rn 静 電捕集 型 ラド ン 空 気 舳 倉島診 療 所 屋 上 五酸化リンで除湿 した空気を
カ ウンタ
1L
/min の流速で容量17L の チェ ンバ
ー
に通す空間 γ線
7. 6cm
φx7. 6
cm 周 辺 環 境 輪島市 西二 又町 旧西二又小発 砲スチロー
ル箱 に 入 れ 観 測 拠 点Nal
(T
【)γ線検 出器 学校 定点観 測拠点 のベ ラ ンダ上で30
分 間隔で測 定 輪 島一
門 前一
穴 水を経て辰 自動 車に搭 載し10
秒 間隔で道 路沿口まで の道 路 上 い に測 定 第1表 能登半島地震発生前後の環境放射能
・
放射線関連の観測項目 と測定手法測
定地点 ,
測定項
目及び測定 法
能登半 島地震発生前後の環境放射能の変動に関する測定項 目と測 定 法 を第
1
表に,
調 査 およ びサンプリング地 点 を第 1 図 に示 す.
大 気 浮 遊 塵の放 射 能 測 定
大気 浮遊 塵 試料は
,
ハ イ ボ リュー
ムサンプラー
(SIBATA HV−
F1000)を用いて シリカ ファ イバー
ろ紙 (ADVANTEC・
QR −100
:254mm
x203mm
)に流 量700− 900L
!min で空 気 を通 すことに より採取した.
今回測定したのは,
第1
図に示す輪 島 市の旧西二 又小 学 校に設 置 してある元 「国 設輪 島酸 性 雨 観 測 地点」 (2002
年度に自然計 測応用研究センター
に移管,
現 在は環日本海域環境 研 究センター
が 管 理)でPHA
測定用に1
週 間 問 隔で採 取 したもの である.
採取 した試 料の1t20
を 用いて γ線 測 定を行っ た.
比較 試料と し て金沢大学 LLRL 屋 上及び海 抜640m の獅 子 吼高原で採 取 した大 気 浮 遊 塵 試 料の213
を用いて測定した,
これ らの試料は尾 小 屋地下 測定施設の極 低バ ック グ ラ ウン ドGe 検 出器 を用いて半日か ら
2
日間 ずつ 測定を行っ た.
ラドン観 測
ラドン観測は輪 島市の北方
50km
に位置 する舳倉 島の舳倉 島診療 所の屋上 に 設置し た静電捕 集 型ラ ドンカ ウンター
に より
,
1時 間 間 隔で行っ た.
前 述の ように本 研 究は名 古 屋 大 学 との共 同で実 施 してい るもので,2007
年1
月か ら4
月の観 測デー
タ につ い て解析 した.
第1図 サ ン プ リ ン グ及び観測地点
(
4
)1 . 4 _
1 . 2 _
01
σ
B
α
6
』
螽
靼
芸 療
Φ 凶
」
\
差
゜
FN0
. 4 _
0 . 2 _
0 _
・ 150 ・ 100 ・ 50
02007
. 3 . 25
地 震発 生 日 を起 点 とす る 日 数
50 日
第2図 大 気 浮 遊 塵の測 定で得 た 能 登 半 島 地 震 前 後の大 気 中の2L°Pb!7Be 放 射 能 比の変 動 左上図 :1996年9月10日発生の地 震の際の ラドン異 常 (Komura et al
.
1998)右上図:2007能登半島地震の本震及び余震の時系列 (横軸は 下 と
一
致) (気象庁公表デー
タより作 成 )空 間y線の連 続 観 測
空間γ線の連続観測は
,
輪 島市西二又の観測施設の床 (地 上 約2m
)に7. 6cmq
x7. 6cm
のNaI (TI)シンチレー
ショ ンカウンタ
ー
設 置 して行っ た
, Nal
(Tl
)検 出 器 は 温 度 に よ る ゲ イン (増 幅率)変動が起る の で,
発泡ス チロー
ル箱に温度コ ン トロ
ー
ル用の ヒー
ター
と一
緒 入 れて定 温で測 定 出 来 る よ うに配慮し た,
検出器か らの γ線 信 号 (カウン ト数)は,
30 分 間 隔でマ ル チ ス ケー
ラー
モー
ド設 定の波 高 分 析 器(Canberra
Series
35
)で記 録 した,
記 録 され るのは周 辺の土 壌・
岩石中のウラ ン,
ト リ ウム,
カ リ ウム等の天然放射能及び大 気 中の ラドンに由 来するy線であ り,
地震の影 響 を見る に は,
計数の起源とな る岩 石・
土壌 由来の γ線 (本研 究 で はバ ックグ ラ ウン ド計数を与える)の影響が少ない条件で測定する こ
とが 望 ま しい
.
幸い,
この地域の岩 石 土 壌 中の ウ ラン,
トリウム
,
カ リ ウム濃度は 比較 的低い こと に加え,
観 測 施 設の外 壁 材の遮 蔽効 果でバ ック グ ラ ウン ドγ線計数は低く,
大気 中放 射 線レベ ル のわず か な 変 動 を鋭 敏 に測 定 するには好都 合で あっ た
.
空 間
y
線レ ベ ルの カー
ボー
ン測 定測 定車に放射線検出器を搭載し
,
道沿いに放射線レベ ルを 連続 測 定 す るい わ ゆ る 「カー
ボー
ン測 定 」(Carbome は「車(カー
)」と 「乗せ る」を意 味するbearの過去分 詞borneボー
ンからな る合成語)は短 時間で広い範囲の放射線レベ ルを把握 す る有効 な方 法である
.
現 地 調査に行 く際に,
測定草後方座 席に7. 6cmQ
x 7、 6cm
の井戸 型NaI (Tl)検出 器 をセ ッ ト してカ
ー
ボー
ン測 定 を行っ た.
西二又で の空 間γ線の定 点 測 定 と同様 にマルチスケー
ラー
モー
ドで10
秒間 隔で カウン ト数 を波高分析器に記録した,
気象デ
ー
タ 取得空 間ン線レベ ルは降雨の影 響 を鋭 敏に反 映するた め
,
測 定338
小村和久他 3020 風速
(m !s) 10 0NESW
向
風
10
8
ラ ドン濃 度 6
(
Bq
!m3 ) 4 202007
. 3 . 1 5 10 15 20 25
第3図 舳倉 島における2007年3月の ラ ドン濃度 と気象条件 (気象デ
ー
タは第九管区海上保安本部提供)30
日10 一 1
時間当た り の降雨量
5 −
(mm )
0 _
(x104 )
40 一
30
分 間当り のγ線力 ウン ト数
35
一 一 30 一 25 一 20 一
5
余震の規 模(
M
)
4
と発生時 刻
3
雨 量
通常の空間γ線レ ベ ル
丶 丶
則
丶 欠
、 、
, 丶
丶
丶
空
間
γ線
レベ ル( 艘対置)
余
震 規 模 と発 生 時2007 . 4. 21
25 5 . 1 5 10 15 20
第4図 西二又 に お ける空 間y線レベル の変動と降雨 (上図)および余震 (下図)
網かけ部分は地 震に関 連したラドンの放 出に よ る線 量 増 加 と考 えら れ る
25 30
日(
6
)地点の気象状況 中でも降雨 デ
ー
タを考慮した解析が 必 要である
.
西二又 地 区にお ける気象状 況 は,
気象庁 公開の輪 島に お ける気象デー
タを解析に用いた.
舳倉 島の気 象 は第 九管区 海上保 安 本 部か ら提 供いただいた デー
タを解析に 用い た.
測 定 結果
地震 前 後の大 気 中の2且゜
Pb
の変 動大 気 中の 21°Pb の放 射 能レベ ルはきわ めて低 く
,
Zl°Pbの濃 度を支配し ているのは近傍のラドン濃 度よりも遠方か ら輸送 さ れ た 大 気であ り,一
般には,
2T°Pb
の濃 度 とラ ドン濃 度 との相関は小さい ことが知られて いる
,
しか し,
多量の ラドン が大 気 中に放 出さ れ た場 合に は,
21°Pb濃 度の局 地的な増 加が 起こ り得 るので
,
地 震 由来の ラドン の放 出が 観 測でき る可 能性がある.
本研 究で は!1°Pb 濃度その もの よりも,
21°Pb〆7Be放 射 能 比で他 地域 と比 較 すること と した が
,
これ は大 気 中の窒 素 や 酸 素 等との核 反応に より大 気上空で生 成 する宇 宙 線生
成核種7Be が地震活動と関係し ない の で
,
地 震に伴 う222Rnの異 常 な放 出 を鋭 敏 と らえ ること が 可 能 と考え た か らであ
る
.
輪 島市 西二又 地 区で採 取し た大気 浮遊 塵 試 料とLLRL お よ び獅 子 吼 高 原で採 取 した 試 料の 2i°
Pb17Be
放 射 能 比 を第2
図 に示し た.
縦軸に2TOPbt7Be 放射能比を,
横軸に は 地震発生の
3
月25
日か ら数 え た 日数 を 取っ た.
図 か ら明 らか な ように
,
西二又で採 取し た大 気 浮 遊 塵の 2L°Pb17Be 比の変 動は,
辰口 お よび獅子吼高原 とは明ら か に異なり,
地震発生の約3
週 間前 か ら異 常 に増 加 し
,
多 量の ラドンが大 気 中 に放 出 されていた こと を示唆して いる
.
2i°Pb17Be比 は 地震派生の直前の3
月16
日か ら23
日 に かけて採 取した 大気 浮 遊塵 試 料で極 大 値 を示 し,
その直後 か ら低 下 に転 じ,
約2
週 間後には通 常のレベ ル に戻っ たことが分か る
.
こ の事実は 地震発生の約3
週 間 も前 か ら地 震の前 兆現 象として多量の ラドンが 大 気 中 に放 出さ れ た こ と を示唆して いる.
図右上 に本震 及び余震の発生 状 況 を示 した が,
地 震後2
週間観測さ れた高い 2i°Pb1’Be比は,
地 震 後の ラドン放 出 と考 え ることも出 来 るが
,
余震の 「前 兆 」 現象を示し ている こと も考え られ る.
この ようなラ ドン放出の経 過は
,
図左 上に示 した 1996年に至 近 距 離で発 生 した 地 震の際 に観測 された ラ ドン の変 動パ ター
ンと極 めて近い こ とが分か る
,
小 村 が
2
回経 験 したラドン異 常と地 震 との相 関 は,
ラ ドン 濃度の異常な増 加が 地震の前兆 現 象と して起っ てい る と考えてよい ことを示 してい る
.
ラドン の観測網が高い密度で設置 さ れ れば,
ラ ドン の異 常 放 出 を地震の前兆 現 象として的 確 に 検 知できる可 能性が高い と考え られる.
片瀬は,
過 去の地 震デ
ー
タ を整理 して ラドン の異 常 放 出等の前 兆 現 象の発 現 期 間と地 震 規模に は相 関 が あ り
,
地 震 規模が大 きい程,
前 兆 現 象 の発現時 期 が早い こ と を示し た (Katase and Matumoto l997 ),
マ グニ チュー
ド7. 2
の神戸 地震で約5
ヶ月前,
筆者 が経 験し た1996
年のマ グニチュー
ド3, 2
の地震は10
日,
今第5図 能登 半 島に おける空 間y線レベ ル のカ
ー
ボー
ン測 定 (太 線は通過経路)
回のマグニチュ
ー
ド6, 9
の能登 半島地 震の3
週 間は矛盾しない
,
今 回 は,
地震の原 因 となっ た断 層 帯のす ぐ近 くで採取した大気浮 遊塵試料の 2]°Pbを測定すること に よっ て
,
間接 的 で はある が地 震の前 兆現象と し て ラ ドンの大量 放 出 をと らえるこ とが 出来 た ものであ る
.
ラドン濃 度の リ アル タイム監 視 システ ム があれ ば,
地震発生のかな り前に ラ ド ン の異常 放 出 を前 兆 現象と して検 知 出 来る に違いない.
しか し,
これ は地震 発生地 点
,
発生時お よ び規 模の 3要 素を的確に捉 える地 震 の予知で は ない.
ラ ドン異常が発生する メ カニズム の解明が 必 要であ り,
更 なる観 測 と と もに,
今 後の研 究の方 向 性 を示 す もの と して意義があるもの と確信する.
舳 倉 島にお け る大 気 中ラドン濃 度の変 動
2007
年1
月から4
月まで舳倉r
島で観測し た ラ ドン濃 度の 測 定 結 果 を気 象 状 況 を考 慮 して検 討 した
,
第3
図 に2007
年3
月 分の ラ ドンと風 向風速 を プロ ッ ト し た.
大 気 浮 遊 塵の測 定から示唆さ れた地震発生3
週 間前から地震発生後ユ週 間に 注 目 してもラドン濃 度の変 化 と地 震 との明 瞭 な相 関 は見 られ ない.
図に はラ ドン濃度の増加時期とその際の風向が分か るように網 か け を してある
,3
月5
日か ら6
日 にか けて の増 加 及び3
月24
日の短 時 間の鋭い増 加 に 地震との相 関 を 考 え た 場合,3
月5 〜6
日 は北 西の風であ り輪 島・
門前 方向か ら風が な かっ たの で
,
ラドン の増 加 は朝 鮮 半 島で数 日前に発 生 し たラ ドンが到達 し た もの と推 察さ れ る.一
方,3
月24
日の340
小村和久他; iii : 轗驪 鰯 羇驟 1
1000 −
0
100
200 5000
4000
30002000 1000
5000 40003000
2000300
400
500
500
1000
1000
600 700 800 900
1100 1200 1300 1400
1000
第6図 カ
ー
ボー
ン測定による輪島か ら能美まで の空間γ線の測定結 果 網 か け領域 が 能 登 半 島部 分
増加は最も高い 2iOPb17Be 比が観測さ れ た期 間にあたり
,
輪 島か ら舳 倉島に向かう南 風 が 吹いていたので,
地 震に関連 した増 加の可 能性 は否 定 出来 ない
. 50km
もの距 離 が あ り,
そ の間の希釈に よりラ ドン濃度の明瞭な増加が観測出来なかっ たかも知 れ ない,
舳 倉 島がもっ と近 くに位 置し て お ればラドンの異 常な増 加が観 測さ れ た 可能性がある
.
輪 島 市 西二又に おける空 間Y
線の変 動
2007
年4
月21
日 から5
月30
日 にかけて旧西二又地区で 観 測 した空間 y 線レベル の測 定 結 果 を第4
図に示す,
こ こ での空 間γ線の変 動は
,
原 子力発 電 所 周 辺 監視で見 慣 れてい る ものとよりも複雑なこ とが分かっ た,
図に見られる空間γ線の ピ
ー
ク と降 雨の時 間との一
致 か ら,
こ の増加は降雨に よる変動で説 明 する こ と が 出来る
,
し か し,
ニ タ リング で は,
降 雨による空間γ線の増 加(あるいは積 雪時の遮蔽による低 下)を除 くと空 間γ線レベルは
一
定値で変 動 が 見 られ ないが,
西二又のおける空間γ線は大 きくうねる ような変動幅
30
% に も及ぶ奇 妙 な変動が 観 測 さ れた.
当 初は4
月22−
26 日及び4 月27−30
日の3−4
日の比較 的 長い周期を持つ変 動,4
月30
日(
8
)か ら
5
月2
日にか けて及び5
月7
日の急 激 な低下が,
何 を示 し てい る か不 明であっ た が,5
月30
日 に 回収し た5
月16
日 以降のデー
タ及び図に示す観測 期 間 中の余 震 発 生 時期と比 較する こ とによっ て奇妙な 変動 がラドン放 出に伴 う空間y 線の 変動で説明出来るこ とが分かっ た
,
残念 な が ら,5
月12−16
日の期 間 は計 器の セ ッティ ングミ ス でデ
ー
タ の取 得に失 敗 したので
,
異常値か ら 正常値に戻る過程を観測出来たなかっ た が,
こ の間に正 常 値に戻っ た と推 定できの で,
本 震 発 生 後6 −7
週 間 もの長 期に わ たり地 震に関連 するラドン の放 出が続い てい たものと考えら れ る
.
こ の期間に 西二又 で採取し た大 気 浮 浮 遊 塵 試 料の 210Pb はまだ測 定 して い ないが,
これ を測 定 す れば裏付けら れ るもの と考えら れ る.
第
2
図左 上の プロ ッ トデー
タ から分か る ように1996
年の小 規 模 地 震の場 合には2 日後に平 常 値に戻っ てお り
,
6−
7週間とい う長期間の ラドン濃度異常は
,
地震後の放出とい うよ りも余 震の前 兆 現象と考 えること もできる.
空 間ン線レベルの推 移を見る と とも に 西二又で採取し た未測定の大気浮遊 塵の放射能 を測定すること が 必要である