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博士(薬学)鷲尾卓哉 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(薬学)鷲尾卓哉 学位論文題名

ロジウム(n )錯体触媒を用いる

不斉ヘテロ Diels −Alder 反応に関する研究 学位論文内容の要旨

  不 斉 ル イ ス 酸 触 媒 を 用 い る1,3− ジ ェ ン と カ ル ポ ニ ル 化合 物 と の へ テ ロ Diels―‑Alder (HDA)反応は、多くの天然物中に見られる光学活性含酸素六員環を 構築する最も有カな方法のーつである。1−メトキシ‑3‑トリメチルシロキシ‐1ヨ3‐ ブ タジ ェン(Danishefskyジェ ン) とアル デヒドとの反応では多くの不斉ルイス 酸 触媒 の適 用が 試み られ てお り、 すでに90%を超える高い不斉収率が実現して い るも のの 、こ れら の錯 体は 空気 や湿気 に敏感であるため、触媒量の低減化に 問 題 を 残 し て い る 。 近 年 、Doyleら は ロ ジ ウ ム(II)ア ミ ダ ー ト 錯 体 Rh2(4S‑MPPIM)4を 用 い る 不 斉HDA反 応 を 報 告 し た 。 非常 に高 い不 斉収 率(最 高95%ee)および触媒回転数(最高6,200)が実現しているが、適用可能な基質は 電 子求 引基 を組 み込 んだ アル デヒ ドに限 られている。今回筆者は、当研究室で 開 発し たロ ジウ ム(II)錯 体の 不斉 ルイス 酸触媒としての可能性に着目し、不斉 HDA反応への適用を検討した。

L Danishefsky型2三Zと ア ル デ ヒ ピ 萱 基 質 と 士 歪 仝 乏D Diels‑△ !壘 塑厘盛   DanishefSky型 ジェ ンとp. ニト ロベン ズア ルデ ヒド とのHDA反応に ロジウム

(II)アミダート錯体Rh2(ふPTPI)4を適用したところ、ジヒドロピラノンが収率 91% 、 不 斉 収 率94% で 得 ら れ る こ と が 分 か っ た 。 本 錯 体 は 、Doyleの Rh2(4ぷMPPIM)4よりも格段に高い触媒活性を示し、種々の芳香族アルデヒドを 基 質 と す る 不 斉HDA反 応 に お い て 非 常 に 高 い 不 斉 収 率を 得る こと がで きる。

し かし 、立 体障 害の 小さ なフ ェニ ルプロ パルギルアルデヒドを基質とした場合 に は、 不斉 収率 は大 幅に 低下 する ことが 分かった。そこで、フタルイミド基に ベンゼン環をーつ伸張した錯体Rh2(ぶBPTPI)4を開発し、本反応に適用したとこ ろ、期待通り不斉収率は90%に向上することを見出した。R也(ふBPTPI)4は、芳 香 族ア ルデ ヒド のみ なら ず、 種々 の共役 アルデヒドや脂肪族アルデヒドも基質 と して 適用 可能 であ り、 いず れの 場合も90%以上の不斉収率が得られることが 判 明し た。 本反 応は エン ド型 の遷 移状態 を経る協奏的な付加環化機構で進行す る 。さ らに 、反 応性 の高 いア ルデ ヒドを 用いた反応では反応完結に長時間を要 するものの、触媒量を0.002ーO.0075mol%に低減しても収率および不斉収率を 損 なう こと なく 反応 が進 行す るこ とが分 かった。特に、フェニルプロパルギル ア ルデ ヒド を基 質と した 場合 には 、触媒 回転数はこれまで報告されているルイ ス 酸触 媒を 用いる不斉反応としては異例の48,000に達することが分かった。ま

(2)

た 、本 反応 の応 用研究 とし て、 抗骨 粗鬆 症作 用を 持つ 天然物diosponginBの触 媒的不斉合成を行った。

2:酸塞宜能基二ユ至活:陸Iヒさ拉た2三ととa邑:Z童乏レンアルデヒドとのへ テロDiels‑Alder厘広

  Danishefsky型 ジエ ンよ りも 反応 性の 低い 酸素官 能基 一つで活性化されたジ エ ン を 用 い る 不 斉HDA反 応 の ジ ェ ノ フ ィ ルは グリ オキ シル 酸エ ステル など 電 子 求引 基が 置換 したも のに 限られており、それ以外のアルデヒドを基質とする 不 斉HDA反応 は、 光学 活性 イミ ン‑Cr(III)錯 体を用 いたJacobsenの報告のみが 知られている。筆者はRh2(S‑BPTPI)4を用い、酸素官能基一つで活性化されたジ エ ン と フ ェ ニ ル プ ロ パ ル ギ ル ア ル デ ヒド との 不斉HDA反応 を行 ったと ころ 、 反 応は 期待 通り 円滑に 進行 し、完璧なシス選択性かつ高いエナンチオ選択性で テ卜ラヒドロピラノンが得られることが分かった。

  この結果を踏まえ、シス−2,6−ニ置換テトラヒドロピラン構造を持つ生物活性 ジ アリ ール ヘプ タノイ ドの 触媒 的不 斉合 成を 行っ た。 本合成は4位に芳香環が 置 換 し た ジ ェ ン と フ ェ ニ ル プ ロ パ ル ギル アル デヒ ド誘 導体 との 不斉HDA反 応 が 鍵 工 程 と な る が 、 こ れ ま で4位 に 芳 香 環 が 置 換 し た ジ ェ ン を 用 いるHDA反 応 は 報 告 例が なか った 。Rh2(R‑BPTPI)4を 用い てHDA反 応を 検討 したと ころ 、 フ ェニ ルプ ロパ ルギル アル デヒドのベンゼン環上にスルホニルオキシ基を組み 込 ん だ 場 合に 反応 が円 滑に 進行 し、 高収 率か つ90%を 超え る不 斉収率 でシ ス

‐2,6−二置換テトラヒドロピラノンが得られることが判明した。得られた環化生 成物から抗原虫活性を示す天然物(‑)‑centrolobineおよぴ抗リーシュマニア活性 を持つ天然物卜)‐deーO‑methylcentrolobineの合成を行った。細胞増殖抑制作用を 示 すcalyxinLの 触 媒 的 不 斉 合 成 も 行 った 。HDA反 応で 得ら れた 不斉収 率91% の 環化 体か らエ ノール トリ フラートを調製し、トリアルコキシフェニルボロン 酸と鈴木―宮浦カップリングを行うと2,4,6−三置換ジヒドロピランが良好な収率 で 得ら れた 。続 いて二 重結 合の水素化を完璧な立体選択性で行い、Rychnovsky の報告したcalyxinLの合成中間体に変換した。

3.2‐アザ―3‐シロキシジエンとアル乏竺ピ塾基質と士歪仝乏1 Diels‑Alder反庄   2‐ア ザ‑3‑シ ロキシ ジェ ンと カル ボニ ル化 合物 とのHDA反応は、テ卜ラヒド ロ‐1,3−オキサジン‑4‑オン誘導体を与えるが、これまで報告された合成例は加熱 条 件ま たは 化学 量論量 の三 フッ化ホウ素を反応剤として用いるものであった。

これは、窒素原子を持つ2−アザ―3―シロキシジェンがルイス酸存在下不安定であ るためと考えられる。筆者はロジウム(II)錯体の穏和なルイス酸性を積極的に活 用した反応開発のーっとして、2‐アザ‑3‑シロキシジエンとアルデヒドとの不斉 HDA反応を検討した。2−アザ‑3‑シロキシジエンとフェニルプロパルギルアルデ ヒ ドと の反 応を 行った とこ ろ、反応は円滑に進行し、95%の不斉収率でシス配 置のテトラヒドロ−1,3‐オキサジン‑4‑オンが得られ、Rh2(S‑BPTPI)4が窒素原子を 持 っジ ェン を基 質とし た場 合にも適用可能であることが判明した。本反応は、

種 々の 共役 アル デヒド 、飽 和脂肪族アルデヒドおよび芳香族アルデヒドにも適 用 可能 であ る。4位に メチ ル基 が置 換し たジ エンを 用い て反応を行うと、すべ て の置 換基 がシ ス配置 の付 加環化生成物が91%の不斉収率で得られた。また、

塩 素原 子が 置換 したジ ェン を用いた場合も高収率かつ81%の不斉収率でシス配 置のオキサジノンが得られることが分かった。

676 ‑

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    橋本俊一 副 査    教授    佐藤美洋 副査   准教授   齋藤    望 副査   准教授   中村精一

学 位 論 文 題 名

ロジウム(H )錯体触媒を用いる

不斉ヘテロ Diels ―Alder 反応に関する研究

  本 論 文 は 不 斉 ロ ジ ウ ム(II)錯 体 を ル イ ス 酸 触 媒 と し て 用 い た へ テ ロ Diels‑Alder (HDA)反応に関するものである。不斉ルイス酸触媒を用いる1,3―ジ エ ン と カル ボ ニル 化 合 物と のHDA反 応 は 、多 く の天 然 物 中に 見られる 光学活 性含酸素六員環を構築する最も有カな方法のーっである。1―メトキシ‑3‑トリメ チルシロキシ‐1,3‐ブタジェン(Danishefskyジェン)とアルデヒドとの反応では 多 くの不斉 ルイス酸 触媒の適用 が試みら れており、すでに90%を超える高い不 斉収率が実現している。しかし、これらの錯体は空気や湿気に敏感であるため、

触 媒量の低 減化に問 題を残す。 近年、Doyleら はロジウ ム(II)アミダ ート錯体 Rh2(4S‑MPPIM)4を 用 い る不 斉HDA反 応 を 報告 し た。 非 常 に高 い 不斉 収 率f最 高95%ee)および 触媒回転 数(最高6,200)が実現しているが、適用可能な基質 は 電子求引 基を組み 込んだアル デヒドに 限られている。今回著者は、著者の所 属 する研究 室で開発 したロジウ ム(II)錯体の 不斉ルイス酸触媒としての可能性 に着目し、不斉HDA反応への適用を検討した。

  ま ず著者は 、Danishefsky型ジェ ンとp−ニト ロベンズ アルデヒ ドとのHDA反 応 にロジウ ム(II)アミダ ー卜錯体Rh2(S‑PTPI)4を用いると、環化生成物が収率 91% 、 不 斉 収 率94% で 得 ら れ る こ と を 見 出 し た 。 本 錯 体 は 、Doyleの Rh2(4S‑MPPIM)4より も 格 段に 高い触 媒活性を示 し、種々 の芳香族 アルデヒ ド を 基 質 と す る 不 斉HDA反 応 に お い て 非 常 に 高 い 不 斉収 率 を得 る こ とが で き る 。しかし 、立体障 害の小さな フェニル プロパルギルアルデヒドを基質とした 場 合には、 不斉収率 は69%に低下 した。そ こで、フタルイミド基にベンゼン環 を ーつ伸張 した錯体Rh2(S‑BPTPI)4を開発し、 本反応に 適用した ところ、 期待 通 り不斉収 率は90%に 向上するこ とが分か った。Rh2(S‑BPTPI)4は 、芳香族 ア ル デヒドの みならず 、種々の共 役アルデ ヒドや脂肪族アルデヒドも基質として

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適用可能 であり、 いずれの 場合も極め て高い不 斉収率が 得られる ことが判 明し た。本反 応はエン ド型の遷 移状態を経 る協奏的 な付加環 化機構で 進行する 。さ らに、反応性の高いアルデヒドを用いた反応では、触媒量を0.002―0.0075 mol% に低減し ても収率 および不 斉収率を損 なうこと なく反応 が進行し た。特に 、フ ェニルプ ロパルギ ルアルデ ヒドを基質 とした場 合には、 触媒回転 数はこれ まで 報告 さ れ てい る ルイ ス 酸 触媒 を用いる 不斉反応 としては 異例の48。000に達す るこ と が 分か っ た。 本 反 応の 応 用研 究 と して 、 抗骨 粗 鬆 症作用を 持つ天然 物 diosponginBの触媒的不斉合成を行った。

  次に著者は、シス―2,6・二置換テトラヒドロピラン構造を持つ生物活性ジアリ ール ヘ プ タノ イ ドの 触 媒 的不 斉合成を 行った。 本合成で は4位に芳 香環が置 換 し た ジ エ ン とフ ェ ニ ルプ ロ パル ギ ル アル デ ヒド 誘 導 体と の 不斉HDA反 応が 鍵 工 程 と な る が 、 こ れ ま で4位 に 芳 香 環 が 置換 し た ジェ ン を 用い る 不斉HDA反 応の 報 告 例は な かっ た 。Rh2(R‑BPTPI)4を用 い てHDA反 応 を検討し たところ 、 フェ ニ ル プロ パ ルギ ル ア ルデ ヒ ドの べ ン ゼン 環 上に ス ル ホニルオ キシ基を 組 み込んだ 場合に反 応が円滑 に進行し、 高収率か つ90%を超 える不斉 収率で環 化 生成物が 得られる ことが判 明した。得 られた環 化体から 抗原虫活 性を示す 天然 物(‑)‑centrolobineお よ び 抗 リ ー シ ュ マ ニ ア 活 性 を 持 つ 天 然 物

(―)−de‑O‑methylcentrolobineの合成を行った。また、HDA反応で得られた環化 体からエ ノールト リフラー トを調製し 、卜リア ルコキシ フェニル ボロン酸 と鈴 木一宮浦カッフ。リングを行うと2,4,6‐三置換ジヒドロピランが良好な収率で得 られ 、 続 いて 二 重結 合 の 水素 化 を立 体 選 択的 に 行う こ と でRychnovskyの報告 したcalyxinLの合成中間体ヘ導くことが出来た。

  さらに著 者は、2‐ アザ‑3‑シロ キシジェン とアルデヒドとのHDA反応を検討し た。本反応はテトラヒドロ―1,3‐オキサジン‑4‑オン誘導体を与えるが、これまで 報告され た合成例 は加熱条 件または三 フッ化ホ ウ素を反 応剤とし て用いる もの であった。Rh2(S‑BPTPI)4を触媒に用い、2‐アザ‑3‑シロキシジェンとフェニルプ ロパルギ ルアルデ ヒドとの 反応を行っ たところ 、反応は 円滑に進 行し、95% の 不斉収率 でシス配 置の環化 生成物が得 られた。 本反応は 、種々の 共役アル デヒ ド、飽和 脂肪族ア ルデヒドおよび芳香族アルデヒドにも適用可能である。また、

4位に置換 基を持っ ジェンを 用いて反応 を行うと 、すべての置換基がシス配置の 付加環化生成物が高い不斉収率で得られた。

  以上、著 者は新た に合成したロジウム(II)錯体の不斉ルイス酸触媒としての有 用性 を 示 すと と もに 、HDA反応 を鍵工程と する生物 活性ジア リールヘ プタノイ ドの触媒 的不斉合 成を行った。本研究により得られた結果は、ロジウム(II)錯体 の ル イ ス 酸 触 媒 と し て の 機 能 解 明 に 大 き く 寄 与 す る も の と 考 え ら れ る 。   従って、 審査委員 会は鷲尾卓哉氏の論文が博士(薬学)の学位を受けるのに十 分値するものと認めた。

参照

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