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物性論研究 2 集 3 巻 5 号 1958 年 5 月異方性ブラウン運動による核 気共鳴と誘電緩和北大応用電気研究所小田島晟 Ⅰ. はじめに分子の熱ブラウン運動の研究は, 核 気共鳴吸收とか誘電緩和現象などによつて進めまれている.B.P.P.(1) および久保 - 富田 (2) らによつて, 核ス

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物性論研究 2集3巻5号 1958年5月 異方性ブラウン運動による 核〓気共鳴と誘電緩和 北大応用電気研究所 小田島晟 Ⅰ.はじめに 分子の熱ブラウン運動の研究は,核〓気共鳴吸收とか誘電緩和現象などによつて進 めまれている.B.P.P.(1)および久保-富田(2)らによつて,核スピンがブラ ウン運動しているときのスピン-格子緩和時間T1,スピン-スピン緩和時間T2に対 する関係式が与えられた.核スピン対の回転ブラウン運動に対する相関函数を K(t)=exp(-t/τ)(1) と仮定すると,相関時間τが,T2,T2の測定から求まる. 一方,誘電損失からは電場の周期的変化における双極子の回転配向に対する緩和時 間τDが求められている.τNとτDとは共に分子運動をあらはすパラメーターで あるが,全く独立な量ではない. 回転運動が球対稱に行はれる場合は,ブラウン運動の理論からτNとτDとの間に 次式が成立する.(1) τN=1/3・τD=4πηa3/3k0T (2) 但し,ηは粘性係数,aは分子半径. 測定結果も液体では大体(2)式の関係を満足することが認められている.(1) 回転ブラウン運動が球対稱に行はれない場合はどうなるか?非球対稱運動とし て最も簡単な場合は平面自由回転運動であろう.2スピン系に対してはBloember-gen(3)による詳細な研究がある.回転運動が球対稱にならない場合としては次の 例が考えられよう. {(Ⅰ)分子が球形でないこと. (Ⅱ)束縛ポテンシヤルが働いていること. (Ⅲ)回転に対する抵抗係数が異方性であること (Ⅰ)は誘電緩和では既に扱はれていたが(4)(5),核〓気共鳴でも最近問題になつてきた. (6)(7).こゝでは(Ⅲ)の場合を扱い,且つ続報に述べる收着水に対する核〓気共鳴お よび誘電緩和の測定結果の解析えの応用を主眼とする.

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-532-532 小田島晟 3 Ⅱ.異方性拡散方程式 束縛ポテンシヤルの影響がない場合,回転ブラウン運動に対する異方性拡散方程式 を次式で与える. ∂f/∂t=β1k0Tsinθ∂sinθ∂f∂θ+β20Tsin2θ∂2f∂〓2 (3) β1=β2ならば等方的な場合となる.坐標系(θ.〓)は,例えば,收着水分子の 回転などの場合はZ軸を收着面に垂直な方向にとればよい. f=Σcλe-λt・ψλ(θ・〓) (4a) ψλ=Θ(θ)・〓(〓) (4b) とおくと,(3)式に代入して次式を得る. {d2〓d〓2=-m2〓 (5a) 1sinθddθ8sinθ・dΘdθ)-β2β1m2sin2θΘ+λβ1k0TΘ=0 (5b) 次に新坐標系(ξ,η,ζ)を考えて,〓塲または電場の方向をζ軸上にとる. (Fig.1参照)核スピン対または双極子の方向は(ξ,η,ζ)坐標系では (θ′,〓′)で与えられるとすると,旧坐標系による(θ.〓)との間には次の変換式が 成立する. ζ=sinθ′cos〓′=(cosψ″cos〓″cosθ″-sinψ″sin〓ψ″)sinθsin〓 +(cosψ″sin〓″cosθ″+sinψ″cos〓″)sinθsin〓 -(cosψ″sinθ″)cosθ (6a) η=sinθ′sin〓′=(-sinψ″cos〓″cosθ″-cosψ″sin〓〓″)sinθcos〓 +(-sinψ″sis〓″cosθ″-cosψ″cos〓ψ″)sinθsin〓 +(sinψ″sisθ″)cosθ (6b) 〓=cosθ′=(cos〓″sinθ″)cos〓sinθ+(sinψ″sinθ″)sin〓sinθcosθ″cosθ (6c)

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3 異方性ブラウン運動による核〓気共鳴と誘電緩和 533 但し {θ″,Z軸とζ軸との角 ψ″,黄道線がη軸に対し てなす角 〓″,黄道線がy軸に対し てなす角 Ⅲ.核〓気共鳴吸收 2-スピン系の回転ブラウン運動に対する〓気共鳴緩和現象を扱つたSolomon(8) の方法に從つて緩和時間T1およびT2を求めよう. ζ方向に静〓場H0を与えるとき,スピン1/2の等核2スピン系のハミルトニアン は H=Hm-〓γH0I1ζ-〓γH0I2ζ+H′ (7) Hmは分子運動のハミルトニアン,H′はスピン間の双極子相互作用による攝道ハ ミルトニアンで 非攝道ハミルトニアンに対して,2スピン系では四つのエネルギー固有状態, 1+>1+),1+>1-),1->1+),1->1-) が考えられて,各々の状態をしめる確立をN++,N+-,N-+,N--とする. また四つの状態間の遷移確率,w0,w1,w′1,w2を夫々Fig.2(a)に示すよ うに定める. 更に〓気能率の構成分であるオペレーターIξ(或いはIη)に対する固有状態を 考える.状態,1α>=(1/√2)(1+>+1->),1β>=(1/√2)〔1+>-1->〕 Fig。1 オイラー角

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535 小田島晟 3 を考えると,2スピン系の四つの状態 1α>1α),1α>β),1β>α),1β>1β) と,各々の状態にある確率 Nαα,Nαβ,Nβα,Nββが前と同様に定義できる. 1α>,1β>はエネルギーの固有状態でないが,お互に直交しているから(∵ <α1β>=0)Fig.2(b)に示すように夫々の状態間の遷移確率U0,U1, U′1,U2が考えられる. 2スピン系の〓気能率の縱成分I〓に対して I1ζ+I2ζ∝(N+++N+-)+(N+++N-+)-(N-++N--) -(N+-+N--)=2(N++-N--) (9) が成立するので,運動方程式 d(I1ζ+I2ζ)dt=-2(W1+W2)(I1ζ+I2ζ-2I0) (10a) が導かれる(7). 構成分Iξについても同様にして d(I1ξ+I2ξ)dt=-2(U1+U2)(I1ξ+I2ξ) (10b) となる. 緩和時間は定義により次式における Fig.2(A)Iζに対する固有状態の間の遷移確率 (B)Iξ(Iη)に対する固有状態の間の遷移確率

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3 異方性ブラウン運動による核〓気共鳴と誘電緩和 536 {1/T1=2(w1+w2) (11a) 1/T2=2(u1+u2) (11b) 夫々の遷移確率を求めるには,攝動ハミルトニアン(8)式を次式のように表はす. H′=〔I1ζI2ζ-14(I1+I2-+I1-・I2+)〕F0 +〔I1+I2ζ+I1ζI2+〕F1+〔I1-I2ζ+I1ζI2-〕F1* +I1+I2+・F2+I1-・I2-・F2* (12a) F0(t)=k〔1-3cos2θ′(t)〕 F1(t)=-32ksinθ′(t)・cosθ′(t)・ei〓′(t) (12b) F2(t)=-34k・sin2θ′(t)・ei〓′(t) k=〓2・γ2/b3 (12c) 遷移確率は夫々次式のようになる(7).(ω=γH0). {w1=1t〓2|∫t012F1(t′)e-iωt′dt′|2 (13a) w2=1t〓2|∫t012F2(t′)e-2iωt′dt′|2 (13b) u1=1t〓2|14∫t0{e-iωt′F1(t′)eiωt′F1*(t′)-e-2iωt′F2(t′) +e2iωt′F2*(t′)}d t′|2 (13c) u2=1t〓2|14∫t0{1+12F0(t′)+2e-iωt′F1(t′)-2eiωt′F1*(t′)

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537 小田島晟 3 +e-2iωt′F2(t′)+e2iωt′F2*(t′)}dt′|2 (13d) (13)式の積分の計算は,相関函数 〈F(ο)・F*(τ)〉=K(τ) (14) を与えることによつて遂行される.(14a)式の中で分布函数f(τ)の初期條 件は f(ο)=δ(θ-θο)・δ(〓-〓ο)=∑Cλψλ(θ・〓) (15a) 從つて展開函数Cλは次のように定まる. Cλ=ψ*λ(θο,〓ο) Ⅳ.スピン-格子緩和時間とスピン-スピン緩和時間 等方性回転運動では(13)式の遷移確率は求められているが(8),異方性回転の場合 は(4a)式から得られる分布函数を用いて相関函数を求めることが先づ問題である. こゝではβ2≫β1の場合を扱うが,(5b)式の固有値問題は厳密には解けな いから β2/β1=n2+α (n2≫α) (16) とおくと,〓零次固有函数とその固有値は {ψ(0)L・m=1√4π(L+mn)!(2L+1)(L-mn)!・PmnLeim〓 (17a) λ(0)L=L・(L+1)β1k0T (17b) 第一近似を求めるには-α・m2sin2θを攝動函数とすると,次式を得る. λ(1)L・m=λ(0)L-αm2∫∫|ψ(0)2L・sin2θd(cosθ)・d〓 (17′b) ψ(1)L・m=ψ(0)L・m+αm2β1k0T∞Σ′N=mn∫∫(ψ(0)*N,m・ψ(0)*L・m/sin2θ)d(cosθ)d〓N(N+1)-L(L+1) (17′a)

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3 異方性ブラウン運動による核〓気共鳴と誘電緩和 538 またF0,F1,F2を(θ′,〓′)表示から(θ,〓)表示に変換すると F0k=-12(1-3cos2θ)(1-3cos2θ″)-34sin2θ(ei〓+e-i〓)sin2θ″ -34sin2θ(e2i〓+e-2i〓)sin2θ″ (18a) F1k=-38(1-3cos2θ)sin2θ″e-i〓-38sin2θei〓(cos2θ″+cosθ″)e-2i〓″ -38sin2θ-i〓(cos2θ″-cosθ″)e-2i〓″-38sin2θe2i〓sin2θ″(1+cosθ″)e-i〓″ +38sin2θe-2i〓sinθ″(1-cosθ″)e-i〓″ (18b) F2k=38(1-3cos2θ)sin2θ″e-2i〓″+38sin2θe2i〓sinθ″(1+cosθ″)e-2i〓″ -38sin2θ-i〓・sinθ″(1-cosθ″)・e-2i〓″+316sin2θe2i〓(1+cosθ″)e-2i〓″ +316sin2θe-2i〓(1-cosθ″)2e-2i〓″ (18c) (18)式から明らかなように,(17)式を用いて相関函数を計算する際は,m= 0,±1,±2の項のみ考慮すればよい.m=0の場合は(5b)式にもどる と,固有函数及び固有値は等方性の場合(3)と全く同じになる.m=±1,±2 に対しては簡単のため〓零近似でとゞめておく. 相関函数K(τ)は初期値,(θ0,〓0)に対する平均と,(θ″,〓″)に対する 粉末平均をほどこすと次式のようになる. {1k2〈F0(t)F0(0)〉θ0〓0θ″・〓″=425e-λ2t+35ΣL=nAL・e-λLt+35ΣM=2nB2nMe-λMt (19a) 1k2〈F1(t)F1(0)〉θ0〓0θ″〓″=350e-λ2t+940ΣL=nAnLe-λLt+940ΣM=2nB2nMe-λMt (19b) 1k2〈F2(t)・F2(0)〉θ0〓0θ″〓″=350e-λ2t+940ΣL=nAnLe-λLt+940ΣM=2nB2nMe-λMt (19c)

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539 小田島晟 3 {AnL=(2L+1)(L-n)!2(L+1)!{∫1-1sin2θ・PnL(cosθ)d(cosθ)}2 (19d) B2nM=(2M+1)(M-2n)!2(M+2n)!{∫1-1sin2θ・P2nM(cosθ)d(cosθ)}2 (19e) さて(13)式より遷移確率を求めると, {w1=320k2〓2{τ25{1+(ωτ2)2}+3/4・ΣAnLτL1+(ωτL)2+3/4・ΣMB2nMτM1+(ωτM)2} (20a) w2=310k2〓2{2τ25{1+(2ωτ2)2}+3/2・ΣLAnL・τL1+(2ωτL)2+3/2・ΣMB2nMτM1+(2ωτM)2} (20b) u1=320k2〓2{τ25{1+(ωτ2)2}+3/4・ΣLAnLτL1+(ωτL)2+3/4・ΣMB2nMτM1+(ωτM)2} (20c) u2=180k2〓2{925τ2+2720ΣLAnLτL2720ΣMB2nMτM +3τ25{1+(ωτ2)2}+9/4・ΣLAnLτL1+(ωτL)2+9/4・ΣMA2nMτM1+(ωτM)2} (20d) 但しτn={n(n+1)β1k0T}-1 (20e) とくに,n=1のときは,ω-1≫τN(N〓2)の條件では w1=320k2〓2τ2,w2=35k2〓2τ2 (21a) u1=320k2〓2τ2,u2=35k2〓2τ2 (21b) となつて等方性回転運動に於いて相関時間τNの小さい(ω-1≫τ2)場合に一致す る. (11)式に(12)式を代入するとよく知られた関係 T1-1=T2-1=32k2/〓2τ2 (22)

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3 異方性ブラウン運動による核〓気共鳴と誘電緩和 540 が成立するが,異方性回転の場合は(20)式を代入すると,ω-1≫τnであると き 1T1=1T2=310k2〓2{τ2+154(ΣL=nAnLτL+ΣM=2nB2nMτM)} (23) となるが,(22)式の関係は成立しなくなる. AnL,B2nMの各項を計算することは容易でないが,ルジャンドル陪函数PnL(x)は PnL(x)=(2L)!2L・L!(L-n)!(1-x2)L2{xL-n-(L-n)(1-n-1)2(L2-1)xL-n-2+…‥} (24) と展開されるから,nが十分大きいときAnL,B2nMの最初の項は {Ann=0,Ann+1≒0(4n-72) (25a) B2n2n≒0{(8n)-32} (25b) となる.(20)式においてΣL,ΣMの項の計算はできないが τL∝1/L2 (20´) であるから,0(τn)より大きくならない.(*) (*)特別の場合としてβ1≪β2でm≠0のとき(3)式を次式に近似できるとする. ∂f/∂t=β2k0Tsin2θ0∂2f∂〓2 (3´) 解は{f(t)=1π∞Σm=1e-λ´mt・eim(〓-〓0) (17´a) λ´m=m2β2k0Tsin2θ0 となって相関函数は {〈F0(t)・F0(0)〉=425e-λ2t+825e-λ´2t (19´a) 〈F1(t)・F1(0)〉=350e-λ2t+8125e-λ´2t (19´b) 〈F2(t)・F2(0)〉=350e-λ2t+8125e-λ´2t (19´c) となる.從つてω≫τ´2=(λ´2)-1のときは w1=3100k2h2(τ2+2〈τ´2〉) (20´a) w2=125k2h2(32τ2+85〈τ´2〉) (20´b) u1=150k2h2(τ22+15〈τ´2〉) (20´c) u2=325k2h2(τ2+〈τ´2〉) (20´d) こゝに{τ2=(6β1k0T)-1 (20´e) 〈τ2´〉=14β2k0T∫sin2θ0(dcosθ0)∫d(cosθ0)=(6β2k0T)-1}となる (20´f)

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541 小田島晟 3 T1,T2はβ2/β1が大きいときは殆どτ2のみに関係する.相関時間τNを τN=τ2/5 (26) とおけば,T1,T2は形式的には等方性回転の場合と同様な関係式になる. Ⅴ.誘電緩和時間 周期電場Eeiωtがξ方向に与えられると双極子ベクトル→μのその方向えの成 分は μζ(θ・〓)e=μ0(cosθ・cosθ″+sinθe2i〓sinθ″e-i〓″ +sinθe-i〓・sinθ″e-i〓″) (27) となる.電場に対する分極P(t)は粉末平均をほどこすと 〈P(t)θ″〓″=〈∫∫μζ(θ・〓)・f(t)・d(cosθ)d〓〉θ″〓″ (28) 束縛ポテンシャルのない場合の双極子の異方性回転の場合は,ブラウン運動に対す る(3)式に外場による項をかえて右辺は D・f=β1k0T〔1sinθ∂∂θsinθ{∂f∂θ+fk0T∂U∂θ}〕 +β2k0T〔1sin2θ{∂2∂〓2f+1k0T∂2∂〓2U}〕 (29) となる.但しエネルギーUは次式で与えられる. U=μζ・Eeiωt (30) t=-∞で電場がかゝらずに熱平衡とすると初期條件は f(-∞)=f0(θ・〓)=14π (31) となる.このような場合の(27)式の解は久保(9)が緩和現象の一般論で扱つた方 法が適用できる.平衡状態の変位が微小量として,

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3 異方性ブラウン運動による核〓気共鳴と誘電緩和 542 f(θ:〓:t)=f0(θ,〓)+g(θ,〓:t) (32) とおくと,gに対する次式が得られる. ∂g∂t=-Dg+Ek0TeiωtD(f0μζ) (33) 從って固有値問題 D〓n=λn〓n (34) が解かれて,固有函数〓n,固有値λnが求まればよい.即ち,gとD(f0μζ) を g(θ:〓:t)=∞Σn=1an(t)・〓n(θ・〓) (35a) D(f0・μ)=∞Σn=1k0T・Cn〓(θ・〓) (35b) と展開すると,(33)式に代入して,初期條件(31)式のもとに an(t)=Cn・E∫t-∞iωueλn(u-t)dv (36) となる.分布函数f(θ:〓:t)は次式で与えられる. f(θ:〓:t)=14π+E・eiωt∞Σn=1Cn・〓n(θ:〓)iω+λn (37) これを(28)式に代入して分極P(t)を得る. P(t)=Ek0Teiωt∞Σn=1μnμn*1+iω/λn (38) 但し, μn∫∫μζ(θ:〓)f0(θ:〓)・〓n(θ:〓)d(cosθ)d〓 (39) 固有函数,固有値として,夫々(17a),(17b)を用いれば〓零近似の解を得る が,λnの平均値を求めるのであれば直接次式から導かれる.(9)

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543 小田島晟 3 {〈λn〉=∞Σn=1λnμnμn*Σμnμn*=1Σμnμn*∫∫μζD(f0μ5)d(cosθ)d〓 ‥‥(40a) Σμnμn*=∫∫f0μ2ζd(cosθ)d〓-(∫∫f0μζd(cosθ)d〓)2 (40b) (27)式,(31)式を代入すると次式になる. {〈λn〉=(β2+β1)koT (41a) Σμnμn*=μ02/3 (41b) 從ってβ2≫β1の場合は〈λn〉はβ2によつて与えられる.一方, 〈τn〉=〈λn-1〉=3μ02∞Σn=1τnμnμn* (42) では,(23)式のときのようにτnの各項の中で主としてn=1からの寄与によつ て与えられよう.実際に求められるτDは電媒損失tgδの極大値を与える角周波 数の逆数であるから,分極P(t)の虚数部分P″(t;ω)の極大値が求めなければなら ない.ω≫λnのときは P″(t:ω)∝〈λn〉/ω (43a) また,ω≪λnのときは P″(t:ω)∝〈τn〉/ω (43b) となる.P″の極大値を与えるωは〈λn〉と〈τn〉-1の間に存在するが,τD~ 〈λn〉-1と考えてよい(**). (**)脚注(*)の近似法によりm≠0に対してはβ1=0とおいて計算した分布 函数を用いると,分極P(t)は次式のようになる. P(t)=19μ02k0T(11+iωτ1+1+iωτ′1 (28′) こゝに{τ1=12β1k0T, (42′a) τ′1=23β2k0T 從つて明らかに P″の極大値はω0~(τ´1)-1にある.

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3 異方性ブラウン運動による核磁気共鳴と誘電緩和 544 Ⅵ.結論 異方性の分子回転運動の場合はτNとτDとの関係は等方性の場合の(2)式は成立 しなくなる。τNとτDとは夫々別個の関係式(26)式と(41b)式とによって与 えられる。従ってβ2>>β1のときはτNがτOより大きくなることが期待できる。 異方性回転が実際に起る場合は、収着水の分子運動とか、二次転移温度を越えたと きの鎖状高分子のセグメント運動などに見られよう。後者は束縛ポテンシャルの影 響によって異方性が生じると考えた方がよいかも知れない。収着水分子の場合は回 転易論度の異方性が考えられよう。この問題に対する測定結果との比較は別報(10)で 扱う。 文献

1) N. Bloemvergen, E. N. Purcell, and R. V. Pound;: Phys. Rev., 73 (1948) 27.

2) R. Kubo and K. Tomita: J. Phys. Soc. Japan, 9 (1954) 888. 3) N. Bloembergen: Thesis (Harvard Univ.) (1948)

4) J. Perrin: J. de Phys. et de rad. 7, 5 (1934) 477. 5) J. G. Kirkwood and R. M. Fuoss: J. Chem. Phys., 9 (1941) 329. 6) A. Miyake : J. Poly. Sci., (1958) 投稿中

7) 小田島 晟,相馬純吉:日本物理学講演(1955年10月) 8) I.Solomon: Phys. Rev., 99 (1955) 559. 9) 久保亮五:日本数物会誌,16 (1942) 329. 10) 小田島 晟:物性論研究 (1958). 投稿中.

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