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仮登記の効力--最近における2つの最高裁判例をめぐって 利用統計を見る

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仮登記の効力--最近における2つの最高裁判例をめ

ぐって

著者

遠藤 厚之助

雑誌名

東洋法学

2

1

ページ

83-96

発行年

1958-05

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007763/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

│ │ 最 近 に お け る 二 つ の 最 高 裁 判 川 を め ぐ っ て

li

仮登記について本登記をなしうる要件が具備された場合において、仮登記後第三者のためにその本登記の権利と抵 触する処分行為の登記がなされているとき、仮登記のままでその第三者に対して当該処分行為の無効あるいは自己の 本登記の権利を主張しうるかは、かねて大審院判例の見解は幾多の変遷を示し必ずしも統一されてきているとはいえ ず、このことは大審院判例の現在の態度として学者の理解するところすら一致しないところからも看取されるところ である。学説また多岐に豆り帰一していない。 この問題につき、最高裁は最近になりその見解を相次いで判示したが、大審院判例と同様この問題に関する結論は 区々であり未だ統一されてはいない。 そこで、所有権移転請求権保全の仮登記後、第三者に当該所有権移転の本登記がなされた場合 1 1 すなわち、甲所 有の不動産について乙のため所有権移転の仮登記がなされた後、甲から丙への所有権移転の登記がなされた場合、乙 仮 登 記 の 効 力 八

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東 洋 法 品孟,r 寸 -i¥.. 四 がその後当該不動産に関する所有権を取得し、さきにした仮登記にもと-すいて本登記をするにはどうすべきかについ て、従来の判例の立場を概観するに、 最初は、乙はまず丙に対して本登記の抹消を求め、 げ) これを抹消して甲を登記名義人となしたる後に於て、甲に ︿ 大 判 犬 四 ・ 五 ・ 一 四 民 録 七 五 六 頁 、 大 判 大 六 ・ 九 ・ 二 O 民録一四四五頁、大判大 対して本登記を請求しうべきものとした 一 五 ・ 六 ・ 二 九 民 集 六 O 二 頁 ﹀ 。 が 、 制 ついで、乙は甲に対して本登記の請求をなすと同時に、丙に対して登記の抹消を請求することを妨げないと判 示 し た ( 大 判 昭 三 ・ 七 ・ 二 八 民 集 六 三 五 頁 、 犬 判 昭 六 ・ 五 ・ 二 一 ニ ・ 新 聞 三 一 一 九 三 号 一 六 頁 ﹀ 。 (1~ 後に、乙は丙のために登記がなされていても甲に対する本登記を請求しうるものとしたハ大判昭七・八・七新聞 三 四 五 三 号 一 五 頁 ) 。 料 その後は必ずまず本登記をなしたる後においてのみ丙の本登記の抹消を請求しうるものとなすに至 っ た ( 犬 判 昭 八 ・ 二 ・ 一 七 民 集 二 三 七 頁 ) 。 その後さらに変転し、乙はまず本登記をした上で丙に対する登記の抹消の請求をすることもできるし、仮登記 し か る に 、 側 のままで右の請求をすることもできるとした(大判昭一 0 ・ 四 ・ 九 新 聞 三 八 三 五 頁 ) 。 ト) 判例の態度はその後も動揺を示し、全く最初の見解に復帰し同趣旨の判示すらなされている(大判昭一七・九・ 一 五 評 論 民 法 五 O 六 頁 ) 。 このように判例の熊度は甚だしく動揺しており、その変遷過棋の中から一貫した理論を導き出すことは殆ど不可能 である。従って大審院判例の終局的蹴度をどうみるかについても見解が岐れている。

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﹁判例は現在では、仮登記権利者は、そのままでその後になされた本登記の抹消 1 l 場合によっては更

E

、叉は協力ーーを請求することもでき、また本来の登記義務者に対して本登記に協力することを請求することもで き、そのいずれを先になすも自由だとするのが判例の態度だと見るべきもののようである﹂ハ 1 1 とみる説もあり、また﹁現在の判例法の態度を推察するときは、甲が登記名義を失ったと否とを問わず、乙は常に 甲に対して本登記に対する協力を請求すべく、甲はこれに応じて乙の仮登記を本登記に改めることが許される。従っ て、乙はまず甲についてその仮登記を本登記に改めた後丙の登記の抹消乃至更正を求むべく、少くとも甲、丙への誇 求が同時に行われることを要し、仮登記のままでまず丙の登記の抹消乃至更正を求めることを許さない、とするのが す な わ ち 、 現在の判例の態度であろうと思われる﹂ハる。とする見方もある。 大審院判例の著しい動揺に対応して学説もまた区々に分れているが、大体において、仮登記権利者乙は現在の登記 簿上の所有名義人である丙に対して甲からの所有権移転登記の抹消登記を請求すると同時に、仮登記義務者甲に対し て、仮登記に基く本登記を請求すべきものとする前記制説から、仮登記権利者乙は現在はすでに登記簿上の所有名義 人でない甲に対して、仮登記に基く所有権移転の本登記を請求しうるとする前記判及び側説にかわってきているとみ ら れ て い る ? ︾ 。 ただとの場合に乙が本登記をなす結果、丙の本登記と競合することとなり、登記簿上やや奇異な現象を生ずるわけ であるが、昭和二十八年十一月二十一日法務省民事甲一一一六四号民事局長通達はこの結果の生ずることを容認し、た だ乙が更にこれを第三者に譲渡するような場合ーには、丙の登記を抹消しなければ、第三者のために登記の申請は許さ れないものとしている。 仮 登 記 の 効 カ 八 五

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東 洋 法 学 /¥ /, ところが、最近に歪りこの問題に関して相次いで最高裁がその見解を明らかにしたので、以下これについて考察を してみよう。 1 我妻栄﹁物権法﹂(民法講義 E 一 O 六 頁 。 同 旨 、 川 島 一 郎 ﹁ 仮 登 記 の 効 力 ﹂ 柏木馨﹁判例物権法総論﹂二三 O 頁 。 学説については、その態度が複雑多岐に一旦り、その区分は困難であるが、大体このようにみられることは、鈴木信太郎 ﹁仮登記に対する本登記手続について﹂(法務通信三三号)参照 ( 総 合 判 例 研 究 叢 書 ) 民 法 刷 四 八 頁 、 2 3 ︹ 第 一 判 例 ︺ 昭・一二二・六・七、最高裁判所第二小法廷判決(昭二八附一七八号不動産移転登記手続請求事件﹀

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棄却 原判決が仮登記権利者が仮登記義務者に対し本登記を求めるのは必ずしも第三者のための移転登記を抹消 した後たることを要するものではないと解する、前記判例の判説によったのに対して上告人は、原判決は登記名義人 ( 事 実 ) ならぎる者に予記手続を命じたる違法ありとし、 ﹁不動産査記法の規定によれば、登記義務者は登記名義人たること を嘆するものなれば、所有権取得に関する仮登記を経たるものが其権利の本登記を為さんとするに当り其不動産に付 第三者の川有権川仰の登記ある時は、仮登記の権利者は第三者に対し仮登記ありたる権利を主張して所有権取得の登 記の抹消を求め、共手続を経たる後に於て原所有者を登記義務者として本登記を為すべきもの﹂として攻撃した。 ( 判 決 理 由 ) ﹁巾所有の不動産につき、 乙のため所有権移転請求権保企の仮登記がなされた後に、甲が右不動産を

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丙に譲渡し移転登記を為した場合において、乙は、丙のためになされた所有権取得登記の抹消登記手続をなすことな くして、甲に対して所有権移転の本登記手続に必要な協力を請求することができると解すべきである﹂。 として上告 を 棄 却 し た 。 ︹ 第 二 判 例 ︺ 昭三二・六・一八・最高裁判所第三小法廷判決ハ昭三 O 刷五六一号建物所有権移転登記請求事件) (事実)仮登記権利者乙が仮登記義務者甲と第三取得者丙とを共同被告として、前者に対しては、所有権確認と甲 乙聞の所有権移転の本登記を、後者に対しては、甲丙聞の所有権移転登記の抹消管記手続を求めた。原審は、仮注 記義務者甲に対する本登記の請求および所有権の確認を求める部分を認容したが、第三取得者丙に対する登記抹消の 一部棄却二部破棄自判 請求は乙の仮登記は順位保全の効力を有するに止り未だ乙の所有権取得をもって第三者丙に対抗する力をもたないと の理由で棄却した。これに対し上告人は、乙のため仮登記がある場合、第三者と雄も登記簿上該不動産につき仮蛍記の なしあることを知り得ベき地位にあるものなれば、同時に仮登記に次いで後日本登記の必然的に生じ得べきことを知 るものと謂うベく、従って不動産所有権移転の仮登記のあるときは該登記権利者に於て後日本登記をなすことは予期 せねばならぬから第三者は該登記権利者が本登記をなすの妨げとなる行為をなし得ない。芳し斯の如、智行為をなしは たるときは仮登記権利者に対しては其の効力を対抗することを得ないものとなさねばならない。従って仮登記権利者 後日本登記をなすに当りでは其障碍となる行為を登記上為した第三者に対して其の撤廃を求め得べきもの﹂とし、乙 は甲に対して所有権移転の本登記を請求すると共に、丙に対しては抹消登記を同時に請求することは差し支えないと し た 。 ︿ 最 高 裁 は こ の 上 告 理 由 を 認 容 ﹀ 仮 登 記 の 効 カ /¥ 七

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東 洋 法 学 八 八 (判決理由)﹁所有権移転請求権保全の仮登記は本登記のために順位を保全する効力を有するものであって、仮登記 権利者が本登記をなすに必要な要件を具備するに至ったときは、仮登記後本登記をするまでに仮登記義務者により本 登記の目的たる権利と相容れない処分が行われ、これに基く第三者の権利取得の登記がなされた場合においても、仮 登記権利者は仮登記義務者に対し本登記を請求することを妨げるものではなく、又第三取得者に対しては、その権利 取得を否認しその登記の抹消を請求し得るものと解するを相当とする。けだし、仮登記義務者は、仮登記があった後 においては、仮登記権利者の権利行使を妨げない限度においてのみ処分行為を許されているのであり、従って仮登記 権利者が、仮登記義務者に対し本登記の請求をなし得る関係においては、仮登記義務者は依然登記名義人の地位に在る ものと解すべきであり、叉第三取得者は、仮登記権利者に対し、本登記の目的たる権利と相容れない限度においてそ の権利取得を主張し得ないものと解すべきだからである﹂。 丙に対してその本登記の抹消登記を求め得るものとした。 として、乙は甲に対して本登記請求を求めると同時に、 この最高裁の第一判例は、大審院判例の主流および近時の通説により、前掲判例の料、科を引用し、判説を採用し ている。したがって、仮登記権利者乙は現在はもはや登記簿上の所有名義人でない甲に対して所有権移転の本登記を 請求し得るとしているが、その理由についてはなんら説明していない。 これに対して最高裁の第二判例は、 同時に、第三取得者たる丙に対しては所有権移転の本登記の抹消を求め得るもの﹂として、前掲判例の制説によって ﹁乙は、仮登記義務者たる甲に対して所有権移転の本登記手続を請求し得ると

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いると解せられるが、乙は仮登記のままで所有権取得をもって丙に対抗することができ、丙に対して所有権移転登記 の抹消手続を請求し得るとする点で、山刊説をも内包しているものといえる。その点で前掲の判例(昭、三、七、二八大 判民﹀が﹁仮登記ハ本登記ノ為ニ順位保存ノ効力ヲ有スルモノナレパ仮登記アリグル後本登記カ為サレタルトキハ其 ノ間ニ於テ仮登記義務者ノ為シグル処分ハ本登記ノ権利-一抵触スル範囲-一於テ共ノ効力ナグ従テ本登記ノ権利者ハ前 記仮登記義務者ノ処分-一因ル権利取得ノ登記ヲ受ケグル者-一対シ共ノ登記ノ抹消ア請求シ得ヘグ而カモ此ノ請求ハ必 スシモ先ツ自己ノ本登記ヲ為シタル後-一於テセサルヘカ一フサルモノ一一非ス仮登記義務者一一対シ本登記ア為スヘキコト ヲ講求スルト同時-一之ヲ為スモ敢テ妨ケサルコト m 当院判例ノ一ホス所ナリ(大正九年制第二百九十四号同年七月十日判 決﹀﹂としているのと同じ見解に属するものとみられる。ただ、 そこで採用されている大正九年七月十日の判決は、 丙が抵当権設定登記をした場合に関するものであって、 この判決を先例として掲載したことは大いに疑問であるとさ れ て い る ハ Y こ の よ う に 、 この問題に関しては最高裁の判例においても大審院判例と同様に統一がみられていないのであるし 1 我 妻 栄 ﹁ 判 例 民 事 法 ﹂ ︿ 昭 和 三 年 度 ﹀ 六 一 事 件 。 四 問題となるべき点は二つある。その一は、仮登記の効力の問題として、 順位ハ仮登記ノ順位ニ依ル﹂ ﹁仮登記ヲ為シグル場合-一於テハ本登記ノ (不動産登記法第七条二項﹀との規定があるが、これは仮登記後これに基く本登記がなさ 仮 登 記 の 効 力 八 九

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東 洋 法 ぬu, 寸ー 九 O の本登記の効力が仮登記の時に遡って効力を生ずる、との趣旨であるから、仮登記権利者が本登記を なそうとするに当って、仮登記後第三者のためにその本登記の権利と抵触する処分行為の登記がなされているときは れれば.そ 仮管記のままでその第三者に対して当該処分行為の無効あるいは自己の本登記の権利を主張し得るか、いいかえれば 仮登記権利者はそのままでその権利取得をもって第三者に対抗し得るかどうかが、問題となる。 そのこは、登記手続の問題で、不動産登記法第四九条六号によれば、﹁申請書一一掲ケグル登記義務者ノ表示カ登記 簿ト符合セサルトキ﹂、すなわち登記簿上の名義人以外の者を登記義務者とすると、その登記の申請は却下されるこ とになるから、登記名義者はつねにその不動産の登記簿上の名義人でなければならないことになる点である。 この点からすれば、最高裁の第一判例は、仮登記権利者に、第三取得者のためになされた所有権取得登記の抹消登 記手続をなすことなしに、仮設記義務者に対し所有権移転の本登記手続に必要な協力を請求し得ることを認めたから この登記手続上登記義務者は登記簿上の名義人でなければならないとする登記法上の原則に反することになる。しか もこの判例の立場からすれば、乙は甲丙聞の移転登記を抹消せずに甲に対して所有権杉転登記をすべきことになるか ち、その結果乙の本登記と丙の本登記と競合し、登記名義人が二人できることになる。この場合については前にもふ れたごとく、民事局長通達は一応このことの存する場合を認めた上いずれかの登記が抹消せられない限り他の登記の 申請をすることができないとしているが、 一時的にであれ登記名義人が二人存することを容認するのは登記の劃一性 と明確性を害することは疑いない。 このような、すでに登記上の所有名義を失っている甲に対して乙の本登記請求を認める立場は、登記簿に本登記を なすべき余白が保留されていることハ不動産登記法五四条、五五条、細則四九条二項 ) ( 1 ) 、 または甲の登記の起点たる登

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記義務者の権利関係が登記簿上確立されていること?)、を理由として是認している学説も存する。 このことを仮登記の効力の側からすれば、乙は仮登記のままでは丙に対して登記の抹消を求め得ない。すなわち仮 登記に一切の対抗的効力を認めないこととなろう。 これに反し、最高裁の第二判例はこの本登記以前の仮登記に一種の対抗的効力を認め、仮登記義務者申は仮登記が あった後においては、仮登記権利者の権利行使を妨げない限度においてのみ目的物の処分行為をすることができ、ま た第三取得者丙も仮登記権利者に対し、本登記の目的たる権利と相容れない限度においてその権利取得を主張し得な いものとしている。との点上告理由も﹁第三者と雄も登記簿上該不動産につき仮登記のなしあることを知り得ベき地 位にあるものなれば同時に仮登記に次いで後日本登記の必然的に生じ得べきことを知るもの﹂であるから、仮登記権 利者のなす本登記の妨となる行為をしてはならず、もしそのような行為があった場合には仮登記権利者に対してはそ の効力を対抗し得ないものとなさねばならない、としている。そのことは一応正当であるとしても、問題は仮登記の 本質からして、本登記以前の仮登記のままで本登記があった場合と同様に乙は丙に対して所有権取得を対抗し、内の 所有権登記の抹消登記を請求し得るかどうかである。学説の多くは大休においてこのような仮登記に一種の対抗的効 カを認める傾向にあるものとみられる。すなわち、 ﹁本登記を為さんが為めに手続上妨げとなる他の本登記を抹消乃 歪更正し、又は直接之に登記の協力を要求することも亦本登記の順位保全の一一一一口わば間接の作用と言わねばならない。 葉しこの作用も本登記が仮登記の時に為されたものと見らるるために他の登記に対して生ずる効カに過ぎないからで ある。従って此の範囲で仮登記は仮登記の偉第三者の登記に対抗する効力がある?ど として、仮登記が警告的意味を有することを前提として、 とする説のほか同趣旨のもの ﹁仮登記後に当該不動産について権利を取得した第三者の 仮 登 記 の 効 力 九

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東 洋 法 学 九 法律上の地位は当初から仮登記との関係においては不安定なものといい得るのであって、仮登記はその範囲では第三 者の地位を揺がすことができる効力を有するものといい得る?ととの説があり、また﹁仮登記後、本登記前に、権 利者の為した処分行為は本登記の権利に抵触する範囲内に於て無効となる。恰も条件付物権行為に於て条件の成就に 因り不利益を受くべき当事者が、条件の成否未定中に為した処分行為は、他日条件が成就した場合に、共効果を段損 叉は制限する範囲内に於て無効となるのと同様である。この意味に於て仮登記には物権的効力があるハ-ニ﹂ 解もある。この説はドイツ民法が規定している仮登記の一般的効力に関する第八八三条第二項の解釈と類似するもの この説については批判的態度を示 とする見 であって、わが法の立場からはそのまま是認するわけにはゆかない。したがって、 しながらなお﹁思うに、本登記の申請に必要なる手続上の条件が具備した後においては、仮登記権利者は後になさる かっ本登記をなすの前提としてのみ、第三者の権利を否認することをう ベき本登記の権利に抵触する限度において、 るものと解したい会ょとして結局同様な結論を採るに至っている説もある。 しかしながら、ここで学説が仮登記に対抗的効力を認めているというのは、専ら仮登記のときまでその順位が遡及 するという本登記の効力の反射作用の結果からであり、従って仮登記権利者の地位を保全するための仮登記制度の趣 旨から認められているにすぎないのであって、従来の判例およびこの判例にまで繰返しこれを民法第一七七条にいわ ゆる﹁対抗﹂の効力として取扱っていることは正当を欠くものであることは、柏木博士の指摘される通りである。ましの 判例のように仮登記の対抗的効力を理由として甲を登記名義人と解することは、仮登記の効力の問題と登記手続のて と問題とを混交させるものであって、前記のごとく明確性と画一性を第一義とする登記手続において、現在すでに登 記名義を失った甲が、何故に登記名義人として取扱われねばならないのか、未だ解明さるべき点が残されているとい

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わねばならない。この点で、仮記登義務者が仮登記権利者の権利行使を妨げない限度で目的物を処分する権利を有す るに止るとしても、そのことから第二判例のいうごとく﹁仮登記権利者が、仮登記義務者に対し本登記の請求をなし 得る関係においては、仮登記義務者は依然管記名義人の地位に在るものと解す﹂との結論はでて来ないものといわね ば な ら な い 。 1 末川博﹁物権法﹂︿上巻新法学全集第九巻所収、日本評論社版一七七頁 v o 舟橋諒一﹁不動産登記法﹂(新法学全集第十六巻、日本評論社版一一 O 頁・一九一頁以下 v o 我妻栄﹁仮登記の効力について﹂︿法協四 O 巻六号一五五・六頁。 末川博﹁物権法﹂上(新法学全集所収﹀一七八頁﹀。 万国文次郎﹁物権法論﹂二

O

三頁。柚木馨﹁判例物権法総論﹂二三四頁。此の点につき、長谷部茂吉﹁仮登記の効力﹂(法 律のひろば、第十巻十一号)も、不動産登記簿上同一不動産につき二人の単独所有権者を表示すべきでない、との根拠か ら こ の 柚 木 説 に 賛 旨 を 呈 し て い る 。 2 3 4 5 結局問題の解決は、前掲判例の制説により、仮登記権利者乙は、仮登記義務者甲から第三取得者丙への所有権移転 登記の抹消登記を請求すると同時に、仮登記義務者甲に対して自己のための本登記を請求すべしとする見解によるの が最も妥当なように思われる。この説によれば右の二つの登記を同時に請求するのであるから、観念的には乙が甲か ち丙への所有権移転登記を抹消する瞬間には、乙の仮登記は本登記となっているからその本登記の効力として乙はそ 仮 登 記 の 効 力 ブし

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東 洋 法 学 九 四 の所有権取得を丙に対抗することができ、また乙が甲に仮登記に基く本登記を請求する瞬間には、甲から丙に対する 所有権移転登記は抹消せられており、甲は登記簿上の所有名義人となっているから、登記義務者は登記簿上の名義人 でなければならないという登記手続上の原則にも合致することになる。 このことは一部の学説の主張しているところでもある。すなわち、 ﹁乙は甲を登記義務者として本登記の申請をな すと同時に丙を登記義務者として丙の所有権取得の本登記の抹消登記の申請をなすべきである。先づ甲を登記義務者 として本登記をなしたる後丙の本登記を抹消せしめることは登記手続の原則に反するのみならず、乙が本登記をなし たる後丙の本登記を抹消せざる時は、登記簿上二重の移転登記を生じ登記簿上の権利関係に混乱を生ぜしめる虞があ る。これに反し、本登記前先づ丙の本登記の抹消を認むるときは仮登記の効力に反するのみならず、乙は丙の本登記 を抹消したるのみにて自らは本登記せず仮登記のまま放置するとの弊を生ずる虞があるからである﹂との説がこれで あ り ハ 1 ﹀ 、 ま た 最 近 で は 、 とくに﹁丙の登記の抹消と甲乙間の本登記とを同時にやるべきだという解釈ができないか。 そう解釈したいというのが私の考です。 つまり甲と乙だけで本登記ができるとすると、丙に文句があり得る。丙に争 われてみると本登記にする.要件の備わらない場合もあり得るだろう。きればといって、乙が仮登記のままでまず丙の 抹消を請求すべきだというと、丙の立場は保護されるだろうが、そうすると丙の登記を抹消しただけで、甲乙聞の仮 登記を本登記に直さないでおくということもあり得る。だから、丙を抹消することを、乙を本登記にすることも一緒 にやらなくちゃならぬという解決が欲しいど思っている?"にとの見解がこの点を明確にしてきでおり、また﹁僕に言 わせると、同じ登記の場において甲乙聞の仮登記について条件が成就したということを一一出回って、甲丙聞の本登記を抹 消するためには、甲乙聞の仮登記を本登記にする手続と一緒にやってこい、と言ってもいいのじゃないか。そうでな

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け れ ば 、 これをただ消すということはしない。甲丙間の登記に取消し、解除などの別な登記原因があれば別な話だが (日﹀﹂としてこの立場を容認する熊度を示してきでいる説もある。 ただ﹁今の登記法では、甲から乙への本登記は、 甲が登記義務者、乙が登記権利者となって、その共同で申請する。甲から丙への登記の抹消は、丙が登記義務者、甲 が登記権利者となって申請する。この二つの申請を一緒にしなければ適法ではないということは、ちょっと言いにく い?ととの意見もありうるが、 この甲から丙への登記の抹消手続の場合、予記権利者は甲であるとされるが、 む し ろ登記権利者は乙であるとみるのが正しいのではないだろうか。すでにみてきたように、この立場がやはりこの問題 の解決に最も適当しているように思われる。ただ問題は両者の申請が同時になされねばならない、必要的主観的なら びに客観的訴の併合の根拠がなく、もしも甲から丙への所有権移転登記の抹消登記請求の訴のみがなされた場合に、 その請求を棄却しなければならない法律上の根拠を見出し難いという点に春する。それは、不動産登記法が、登記の 申請について一件主義を原則とし(不登法四六条、四七条)、ある登記の申請が他の登記の申請と同時になされることを 要件とした規定を全く設けていないからであるハ不登法四九条参照)(ふ。 したがって、 この見解による以外に妥当な解決が得られないとするならば、 この問題の解決は専ら立法によること が望ましいということに帰着するのではなかろうか。 1 杉 之 原 舜 一 ﹁ 不 動 産 登 記 法 ﹂ ハ 日 本 評 論 社 版 ) 一 一 三 一 頁 。 同旨、我妻栄﹁仮登記﹂法律学辞典第一巻一一八七頁。なを我妻教授はかつてこの説をとられたが、物権法ハ民法講義 E ﹀ では第一一説によっているようであり、その後﹁不動産セミナー﹂(ジュリスト九三号)ではまたこの説によるべき口吻を 一 訳 さ れ て い る 。 仮 登 記 の 効 カ ブし 五

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東 洋 7し / ... 法 品L R合ー 2 我妻栄﹁不動産セミナー﹂︿ジュリスト九三号)五二頁。 有泉享﹁不動産セミナー﹂(ジュリスト九三号﹀五四頁。 川島一郎﹁不動産セミナー﹂(ジュリスト九三号)五三頁。 川島一郎﹁仮登記の効力﹂(総合判例研究叢書)五三頁。 3 4 5

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