EC統合と, 独逸刑事訴訟法の仏・伊刑事訴訟法との相互調整

全文

(1)

EC

統 合

と,

独逸刑事訴

訟法 の

仏・

伊刑事訴訟法 との相互調整

田 和 俊 輔

(平成 6年 6月27日受理)

Zusammenfassung

Zur Absicht der Bundesrepublik Deutschiand, vergleichend die Entwicklung der europaischer Vereigng um die Anderungsproblem der Strafprozeら ordnung,in besonder in Frankreich und ltalen

Es ist gesagt,dass EC,wahrend sich die ekonomische Vereinigung entwickelti ihren politischen EinⅢ gungsprozess nicht so glatt fthren kann Besonders in denl Gebiet der StraFprozeら ordnung, auf die die Staatsordnung stlltzt,ist es gut verstandlich,dass kein Staat ein einiges Gesetz andert

Aber European Convention on Humanrights sagt,dass ieder staat das eigene Volk vor vielen Krimina‐ litaten zu schuttten hat,wie bei Festnahme eines auslandischen Verbrechens und auch im Fall wie das Gericht, die Staatsanwaltschaft und die Poliittei organisert 、verden Dann ist es auch wahrLch, dass die

Anderung der StrafprOzeら ordnung gegen die Hohheit des Staats verst6t,weil die StrafprozeFbordnung alle verhaltnisse des Volkslrbens innerhalb des einigen Staates reguliert

Dann gibt es zwei grosse Flusse im Gesetz,auf dem das Gemeinrecht gebildet hat,wird in Ostgerman, llrestgerman und Nordgerman eingegliedert Und das deutsche Ceemeinrecht ist lange Zeit dem franzois― chen Gesetz entgegengesetzt ・、vorden Das franzё ische ist eine Rezeption durch KannongesetzI Ita‐ hengesetz, Mrahrend das deutsche Gemeinrecht eine Rezeption durch Kannongesetz darstent Jetzt gibt es daher den Zwiespalt zwischen deutschen Gesetz,franzё ischen Gesetz und italianischem Gesetz Die Haup‐ teigenschaft liegt darin,dass Deutschland keine Voruntersuchung seit 4, 1, 1975 halti und dass die Staat―

san、valtschaft keine Partei isti andeverseits, dass Frankreich die Voruntersuchung und die Systeme, die

die AppelverFahren ftr Voruntersuchung heisst "chambre d'accusation" sind, gehalten hat, und dass die franz6ische Staatsanhraltschaft die Partei ist, llreil der Voruntersuchungsrichter keine Partei als Richter ist Der italianische Voruntersuchungsrichter ist auch bei Frankreich ahnlich ヽVahrend aber in Deutsch― land die Staatsanwaltschaft der Herr im Ermittlungsverfahren und die Kriminalpolizeibehbrde Hilfsbeam‐ ter der Staatsan、valtschaftist, wird dagegen in Frankreich die Kriminalpolizet unter Direktion und Leitung von Staatsan、valtschaften durchfthrt Und in italien gibt es ein anderes Verfahren als Vorunter― suchung lm ヽ「orverfahren Das heisst ``incidente probatorio" Kurz gesagt, ist es “enquOte prOliminiare" bei Frankreich Und das gasagt wird durch die staatsanwaltschaft durchgefdhrt Das Voruntersuchung―

(2)

46

田 和 俊 輔

Besehluss i wahrend Deutschlaud das Akkusationprinzip samt der Ermittlung halt,halten Frankreich und ltalen das Prozesssystena,das dena lnquisitionsprinzip v611ig ist

ln Deutschland ist nach Offeung des Hauptverfahrens im Begriff】 die Heerschaft des Verfahrens zum

Richter Uberzugeben Es ist der Richter,der Richter,der das Bewismittei sammelt,und es prdft Es ist keine Partei Daher wird Kreuzverhδ r im Hauptverfahren praktisch nicht durchgefuhrt Aber,es prift,es ist der Ausdrick der Strafpro2eSS durch die parteische Akkusationprinzipien

Schunsuke Tawa

I.は

じめに コ

.ド

イツが刑事訴訟法の修正 を模索す る根拠 Ⅲ

.ド

イツに於 ける刑事手続4公正 のための模索 の動 向 Ⅳ・ ドイツ法 にかな りの影興 を与 えなが ら ドイツ法 と対立 関係 にあった フランス・ イ タリア法 の現 状 V。 まとめ I. `よ じ め に

EECが

ECに

変貌 し更 にEUへと拡大 され て も,「それ は経 済上 の障壁 の消滅 で あ つて政治上 の

障壁 は残 ってい るO」。政治上 の障壁 として法律 は歴史

,伝

統 の異 なる民族 の価 値観 の象徴 と考 え られ

,協

調が困難 である。 しか し法律 の中で刑事手続が他 の分野以上 に調整が困難 な理 由は次 の様 になる。

1.現

,EC域

内で刑事訴訟手続 の分野で協力す ることが各国内政へ の許 し難 い干渉 になる。

2,現

,法

律分野の統合傾 向の中で刑事訴訟手続 は不動 の ままである。

3.ヨ

ーロ ッパ人権協約 European Convention on Human Rightsの 影響 の下で海峡の斯岸の糸し間

制度 と彼岸 の弾劾制度のへ だた りが徐 々に架橋 に依 て狭 くな りつつあるが実質的 な相違 は大 き

4.域

内 に於 ける法律体系 の最 も大 きな相違 は

,依

然 としてコモ ンロー と ドイッ普通法である。 しか し ドイツ普通法 も北ゲルマ ンと西 ゲルマ ンに分 け られ

,ゲ

ルマ ン法 は フラ ンス法 と対立 し て来た。

5.だ

か ら域 内での刑事訴訟手続分野での亀裂 は大 きい。

6.そ

れ故

,無

理 に統合 しようとすれば各 国内政へ の干渉 になる。

7,こ

の為 に

,EUは

刑事手続 のほ とん どの法律上 の4笏正 には影興 を与 えて も刑事 訴訟手続 は不 動 の まま してお く方が良い とい う考 え方が根 強い。 ところで ドイツ とフランスは

EC内

の牽引国である。前述の ように ドイツ法 とフラ ンス法 は伝統

(3)

EC統合 と,仏・伊・独法の刑事訴訟法 との関係考証

47

が違 う。 どちらを主流に して も統一はで きない。 しか も両国共, コモ ンローの英連合王国とは性質 を異 にする。論者は ドイツとフランスの法制の相違 に焦点 を当て, ドイツの拘える法律上の問題点 は何か。その解決をフランス法 との止揚に求めているのか

,コ

モ ンローの部分的指導に求めている かを検討するのが本論考の目的である。 Ⅱ

.ド

イツが刑事訴訟法の修正を模索する根拠

1.ド

イツの捜査機関 と公訴機関の関係の特色

(1)検

事の責務 と職権 ドイツは1975年 1月 7日 予審 Voruntersuchungを 廃止 し,糸し間 と訣別 し

,前

手続 きの主体 は検事 だけになったか ら

,現

行 ドイツの刑訴は捜査手続 については検事 に依 る職権主義 と検事 が公訴機関であると同時 に公益 を代表する真実発見者であるため

,非

当事者 とされのその上で の捜査手続の主体

,刑

事訴訟法Strafproze Bordnung 160,以下StPoであるため,「捜査 を伴 っ た弾劾主義」StPo 160② とされていること。端的には変形 された職権糸L問主義である。 このた めに英米法係 か らは,「体 の良い糸し間であって

,弾

劾主義 とは程遠いD」 とい う批判がある。 また検事 の国家訴追 のほか に軽微事件 について被 害者 に依 る私人訴追 をみ とめているStPo 385。

(2)捜

査機関として警察の債務 と職権 事件 についての着手権 と現状保存の為の検証の主体であるにとどまるStPo 163(1)⑭ 。着手後 は直ちにその処置を捜査主体 としての検事か緊急 を要する時は区裁判所 に送付する義務があ り StPo 163⑫), 自ら捜査 を終結で きない。 リュー ピングHinrich Rupingが「警察は検事 の伸 ばさ れた手である0」 とするのは警察が捜査手続においては「検事の補佐官」であることを意味す る。これはゲセルKarl Heinz Goseelが「『検事の補助官』という言葉が永 らく警察に 財」戟語』 と印象づけられた」 というのと同じであるO。

2,ド

イッ検判事検事の補佐官 としての警察官 Hilsbeamteと そ うでない刑事警察官Kttmlllalpo― lizeiの強制処分権 とその結果収集 された証拠の証明能力

a.検

事 は告発 その他で犯罪の嫌疑 を知 ると

,公

訴提起の要否 を決す るため捜査の責務がある StPo 160(1)。 この責務 を果たすため全官庁 に報告 を求め

,自

ら捜査 し

,警

察に行 わせ ることが で きるStPo 161。 検事は捜査手続の主体だか ら

0,法

律の認める捜査上の一切の権限を有する が「手足のない頭」,,Kopf ohne Hande“ ①だから警察の協力を必要とする。警察はみずから捜査

を開始するだけでな く検事の指揮 に従わねばならない。犯罪捜査の結果は遅滞な く検事 に送付 を要するStP0 163。 人権上最重要な勾留状発付 は捜査判事 (区裁判所判事

)に

留保 され

0,検

(4)

田 和 俊 輔 事 は行 えない。検事が裁判官による審問を必要 とするとした時は区裁判所 に申請 し

,区

裁判事 が強制処分行為の合法性 を審査するStPo 162が

,区

裁判事 は捜査行為の合 目的性 についての 審査権 はないとされている。。StPo 162。 この点で合 目的性 と必要性の要否は捜査機関の判断に 委ねられるわけで令状 は許可状の性質を帯び

,捜

査機関の糸し問性が見受けられる。 また裁判官 による審問行為 を迅速 に行 う必要があるときは警察は捜査結果 を直接区裁判所 に送付で きる StPo 163②。区裁判事が緊急な場合

,告

訴がな くて も

,検

事 に会 えない ときは

,審

問行為 を必 要 とす る時

,職

権で行え,「緊急検事」NotstaatsanwЛtと呼ばれStP0 165,「訴追者 なき所 に 判事な し」"WOkein Klager da kdn Richter常 の例外 をなす。判決機関に依 る公訴機関の兼務 の 意味で,糸 L間であるう°ゆ。 また

,捜

査手続の開始の一つである告発Anzdgeを 私人が検事や警 察だけでな く

,区

裁判所 にもで きる事 も判決機関が捜査機関を兼ねる意味で糸L問主義 といえる であろうStPo 158(1)修)(りo

b.警

察 による強制捜査 の方法

m仮

逮捕 Vorlaufige Festnahme強 制捜査 の方法 として

,警

察 は勾留状 HaftbettHや 収容命令Unterbringungsbefeblを発する要件があ り

,遅

滞の許 されぬ 時

,被

疑者 を仮逮捕で きるStPo 127修)。 親告罪に告訴がない時 も同様 StPo 127●)。 (口)被疑者 識別措置 写真撮影

,指

紋照合 を被疑者の意思 に反 して行 えるStPo 816。 なお検事 の補助官 Dtt Httfsbeamten der StaatsanwЛ tschaftたる警察官 GVG 152(1)は 遅滞の詐 されない時

,押

収 令状 StP0 98,捜 査令状StPo 105(1)を 発 し

,被

疑者および証人 とみ られる者の血液検査

,身

体 検査等 StPo 81a,81cを 命 じられる。

C.検

事 による強制捜査の方法 検事は警察官 と検事の補助官たる警察官による場合 と同 じ要件 で強制捜査がで きるStPo 127 ②,81b,98(1),100d(1),10c② 2,105Q),81a似 ),81c“),163b, c(テ ロ防止),163b(1,2,9,163c(1)1,163● ),163d⑫)1。

d.裁

判官による強制捜査命令 押収令状

,捜

査令状

,被

疑者および証人 とみ られる者の血旗検 査

,身

体検査等の命令 は遅滞が許されない ときは

,検

事の補助官たる警察官 と検事 も発 しうる が それ以外 の場合 は裁判官 のみであ る StPo 98(1),105(1),81a ⑫),81c●)。 そ の ほか召 喚

Ladung StPo 133,勾 引Vorfdhrung StPo 134(検 事 と警察 による仮逮捕 ((127(1)②

))の

場合 だけ

)裁

判官は勾引 された被疑者を遅滞な く尋問 しなければならない。不可能な時

,尋

間のな される迄拘禁で きるがつ ぎの 日迄であるStPo 135。 最初の尋問の際

,被

兵者 に嫌疑の内容 を 告げ

,弁

解 を聞 き StPo 136,そ の際

,虐

,疲

労 を与 え

,身

体侵害

,薬

剤投与

,苦

悩 を与 え, 欺岡催眠に依 る意思決定

,意

志活動の自由の侵害 を禁止 される。 また違法な措置による脅迫, 利益約束 も禁止

,こ

れ らは被害者の同意があっても禁止 され

,禁

上 に反 してされた陳述は被疑 者が利益 に同意 して も

,利

用で きないStPo 136a。 これは検事

,警

察 による尋間の場合 も同様 StPo 163a(3)(4)o

(5)

EC統合 と,仏・伊 。独法の刑事訴訟法 との関係考証

勾留Untersuchungha比犯罪の嫌疑が濃厚で

,逃

走等のおそれ

,罪

証隠減等 のおそれがある場合

に裁判官の発す る勾留状 der schriftliche Haftbefehlに もとづいてなされる。 この重要外 で も人の 生命に関する重要嫌疑がある者 StPo l12,114,性犯罪者StGB 174,174a,176∼ 179,重大な人の 身体

,財

産に関する一定の犯罪

,麻

薬法 による一定犯罪の累犯

,連

続犯の嫌疑濃厚 な者で有罪判決 確定前 になお同種犯行

,継

続の可能性の事実があつて緊迫危険回避のため勾留の必要があ り

,か

つ 麻薬事犯 は 1年 以上の自由刑処断が見込 まれる時であるStPo l12a。 勾留 とその期 間決定 は職権で 身寄 り

,縁

故者 に通知 される基本法104律),StPo l14b,被疑者はいかなる段階で も弁護人の助力を 求め得 るStPo 137。

勾留中止Aussetttung der Untersuchungshaftは

,逃

走危険が

,届

,無

許可住居地移転指図

,監

視下のみの外出

,現

,有

価証券供託

,質

権設定

,保

証人による担保の供与等で防止で きると期待 される場合 と罪障隠減のおそれが共同被疑者

,証

,鑑

定人 と連絡 をとらない旨の指図で防止で き ると期待 される場合であるStPo l16 ②。 強制収容 Unterbringung 責任能力が無いか又 はそれの劣 る状態 で犯罪 を犯 した者 を施設 に収 容

,又

は仮収容 を命ずることがで きるStPo 126a(1)。

3.ド

イツの公判手続の特色 上記の捜査手続の結果 を踏 まえた裁判官の職権主義 といえるStPo 213 225。 けだ し

,公

判廷 に おいて裁判官は公判 を主催 しStPo 243(1),証拠 を選択 し

,被

告人を尋問 し

,そ

の結果 に対 して自 由心証主義 に依 る判断を下すか らであるStPo 244,249,252-256,257,291。 この事についてロクシンは次のように言 う「 ドイツ刑事手続はその基礎構造が長年月ヨーロッパ 大陸に於て優勢であ り

,か

,特

にフランス法に依てたびたび影響 を受けて きたものであるが,糸し 問主義 と

,純

粋 な起訴手続 Anklageverfahrenの 原則 とを結合 した ものである。'。」「 ドイツ刑訴は 刑事訴追 と判決業務が二つの互いに独立 した官庁 (すなわち検事 と裁判所

)に

分離 されていること と

,事

件 を認知 した裁判所 は準備手続 におけるすべての審理活動か ら遠 ざけられ

,裁

判所の審理の 開始は公訴の提起 に依 ることで純粋 の起訴手続 と一致するαn。 」 しか し「公訴の提起後

,手

続の支 配は裁判官に移 り

,そ

の裁判官は中間手続や公判手続ではそうあ りたいが

,尋

問を行 うばか りか被 告の自白や免責 に役立つ証拠 も被告の答弁の中か ら引 き出すのである°)。 」「また理論上,StPo 239 に許 されている交互尋問Kreu3verhёrが何故

,事

実上

,無

意味なのか とい う点 に も深い根拠があ る」。「それ故, ドイツでは

,検

事 と被告が手続資料 を自由利用するのを以前か ら禁止することが捜 査原則だった°°。」「また『英国法におけるのと違つて ドイツ刑事手続は対決的当事者手続,,Kontra‐

diktorisches Parte erfahren“ と呼べ ない』 とす る者 もある°の。」「このような特色づけは虚偽 とは いいがたい。何故なれば, ドイツの検事は刑事責任追及の任務だけでな く

,法

律上

,非

当事者性 と,

(6)

田 和 俊 輔 である。。。」「だからドイツ刑事手続法における『当事者』の概念は根本的に適当ではない。形式的 ではな くとも混乱 を招 くという者がある。9。」「手続の集約的な舞台でのその成果 を印象づける ドイ ツの刑事手続の大様の構造形式 を適 当に名付 ければ,『捜査原則 を伴 った起訴手続』 と呼ぶことが で きよう。そ してこれは普通法の糸L問手続か らも独立 した型の手続形式であ り純粋の起訴主義か ら も区別 されるべ きものである°の。」 以上

,要

するに

,ロ

クシンの所説は ドイツは起訴主義 を採 っている点で糸し間ではな く

, 1.弾

劾 主義 と一致する。

2.真

実 を探求す るために裁判所が職権 をもって事実 を調査 し

,そ

れを裁判の基 礎 とする建前 をとっているか ら英米法のような弁論主義はとっていない。 ことに交互尋問制は育た ない。

3.検

事は公益 を代表 し真実 を発見する責務上

,当

事者性 を持たず

,非

当事者だか ら

,公

判 の場で

,原

告 と被告が主張 をたたかわ し

,証

拠 を集め

,相

手側当事者の証拠能力 を弾劾 して

,裁

判 所に判決基礎 を与 える英米法 にい う弾劾主義や当事者主義 とは別個の ものである。 ということにな る。 Ⅲ

.ド

イツに於 ける刑事手続修正のための模索の動向

EC統

合 に伴 うある程度の共同歩調が要求 されたことと

,前

述 の公判手続 に見 られる裁判所の職 権主義 と

,審

問主義Instruktionsmaximeが交互尋問制 を有名無実 に しているが

,真

実発見の大陸 法の伝統か らはそれが良いとして も

,司

法の民主化 という面か らは再考の余地があろう。それ も, 被告 をかつての様 に訴訟の客体「裁かれる者」 とせず当事者 として訴訟の主体 として扱 うことは被 告にも証拠の収集 と帰責証拠 に対する弾劾 を認める意味があるか ら訴訟の民主化 につながる。極論 すれば前述Eb,Schmidtj kollegや ヘ ンケル Henkelの 様に ドイツの手続 を弾劾主義 と呼べないとす る見解 を是 とすれば

,当

事者に依 る弾劾だけが弾劾主義 ということになる。 しか し

,か

つて

,私

人 訴追か ら出発 し

,警

察訴追 もその私人の側 に立 ち

,こ

れを代行す る (も つ とも現在1985年以降,

Director of Public Prosecution(DPP)の指揮下に Crown Prosecunon service((CPS))が 警察訴追 を

一部代行 している伽))英国 (イ ングラン ドとウェールズ

)の

形だけが真実の発見 に役立つ とはいえ ない。その本質が民事訴訟の弁論主義に酷似するか ら真実 を極めることな く形式的紛争解決主義 に 終わらない とはいえないか らである。 この形式が当事者主義に結び付 き

,更

に自己処分主義へ発展 し

,そ

れが合衆国の犯罪事実認否alleignmentや 司法取引に迄

,進

んだことを思 うと, ドイツがイ ギリス と一線 を画すのは当然である°か。 この様 な二律背反を打開 しようとして考え出されたのがスペインとスカンジナビア三国と日本の 刑事手続 である。主唱者 はロ クシ ン

,ヘ

ルマ ン 」Oachim Hermann,イ エ シエ ックHans― Heinrich JeSCheck,ダ ースHans Dahsであるが,ロ クシンは「スペインの交互尋問Wechselverhё rはスカン

(7)

EC統合 と,仏・伊・独法の刑事訴訟法 との関係考証 ジナビヤ三国と日本 に同一型式が認め られ

,原

告性 に徹 した検事 と被告の挙証 と弾劾の構造の中か ら真実が発見 され

,弾

劾主義の骨子たる武器対等の原則 にも適合するから」 としり),イ エシエ ック は「交互尋問はスペインの手続 に於て実証 された」 とし鬱。

,ヘ

ルマ ンは「スペインの模範性 と卓越 を,100年前 に ドイツで公判手続の間の折表の意味で自国の刑事手続 に近づ くか らスペインの刑事 手続法はせいぜい事実上の法律改正の道程 を示すに過 ぎない」 としている9°

V.ド

イツ法にかなりな影響 を与 えながらドイツ法 と対立関係 にあつた フランス

,イ

タリア法の現状

1.歴

史的沿草

ドイツ法はカロリナConstitutio Criminal Carolina法1522年 7月27日 レーゲスブル グRegensburg

国会公布の伝統 を忠実 に守って来た。それが現行法の弾劾主義

,当

事者主義

,当

事者対等原則

,公

開性

,検

事 による強制処分

,既

判力効

,法

の香人性等の原型 を当時既 に持 っていた根拠である。 当時の法典は被害者 による当事者主義が原則 カロリナ法典91条 で

,公

機関による糸し間 と職建主 義は例外だったが現実は逆で

,証

拠方法収集上拷問の必要があれば陪審員の臨場 と同意があればで きた し

,公

益事件では弾劾者 を公的原告官に替 え糸し間に徹 し

,非

公益事件では被害者 を弾劾者たら しめた。 これは今 日の私人訴追の源流であ り糸し問 と弾劾

,職

権 と当事者主義の折裏の努力の跡が見 られる磁°。 しか しイL間が事実上の原則であつて訴権 において被害者の利益 を認めなが ら平行 して糸し 問規定 を設け

,弾

劾手続 において も裁判所が核心 を握 り証拠調べ Beweisaufaahmeを 確実 に独 占す ることになった。現在 ドイツが とっている審問主義 hstruktionmaximeと カロリナ法典 の糸し間手段 としての拷 問, 自白 との関係 は 自白強要 の禁止 StPo 136a, 自由心証主義StPo 261,日頭主義

BGHST 17,112,120,警

察調書や検事調書

,証

,鑑

定人に対する尋間のような公判前資料 の公 判廷での朗読がそれ らに証拠能力 を与える条件 になっていることなどStPo 249,251,253,254か ら糸し問 と弾劾が長い時間をかけて折哀 された ものであることを示 している。だが折哀 されたといっ ても ドイッの糸し間は客観 的真実の発見 とい う至上命題 に答 えようとの意図が一貫 されてお り, シュー ミットEberhard Schmidtの 「4L間は源 を ドイツに発 し,13-15世紀に外国法の影響 なしに発 展 して来た犯罪訴追形式である9ゆ 」や クライ ンハ イヤーG.Klehheyerの「糸し間は伝 来の当事者手 続 と並 び

,独

自の手続形式 として発展 して来た。 自白の要求は近世における手続形式の柱 として客 観的真実捜査の基本である⑪」の説が これを裏付 ける。 ところでフランス法は ドイツに可成 りの影 響を与えなが ら¢りそれとは別に発展 した。フランス刑事手続は, ドイツ普通法がローマ刑事手続,

カノン刑事手続 kanOnischer Strafprozeら

,古

代 ドイツ刑事手続 Лter deutscher Strafprozeら が中世 イ タ リア刑 事 手続 mittdЛtenichitЛおnischer Strafpro2eら に統 合 され

,そ

れが 1532年 に承 継 法

(8)

田 和 俊 輔 RettepЫonと なって ドイツ法に採用 され英仏法 を一部採 り入れてフランス革命 を迎 えたの と趣 を異 にする。ω。これに対 し,イ タリア法は ドイツ法 と同 じ系統 に属 し,イ タリアでは15世紀の終わ りか ら16世紀の始 にかけて ドイツに倣 つた承継があるい)。 しか し同 じく非公開

,文

書主義の糸し聞手続 を 大革命迄採 りなが ら

,

ドイツとは違った発展 を遂げた点にフランス法制の特色がある。 フランスは モ ンテスキューMontesquttieuが裁判所構成法 と刑事手続の為 にイギ リス法制 を模範 として評価 し た後

,革

命の経過中にこれが承継 されたので特 に

,起

訴主義が (ドイツの場合国家訴追 と客問主義 に結び付 いたの と違 って

),民

衆訴追Popularklage,当 事者の挙証責任

,口

頭主義

,公

開主義

,更

に大切なのは二つの性格の違 う陪審員団

,つ

ま り起訴の道否 を判断する23人の大起訴陪審

,事

実問 題 と法律問題の別な く起訴者が起訴 を立証 したか どうかを決定する12人の小審理陪審 と共 に承継 さ れた⑫。 この沿革か らフランスの律法で最 も関心 を惹 かれ るのは,1808年の刑事予審法Code d'

Instrucdon Chmindkにおてフランス刑事手続が検事prOcureur d'Otatに主導権 を与 えたことであ

る。 しか しイギ リスの民衆訴追は起訴陪客 ともども継承 されなかった。起訴の許可決定は上訴裁判 所の特別の部 (起訴部

)ほ

ぼ現在の上訴法院 Cour d'appelの 一部局である重罪公訟部chambre d'

accusation(第二審の予審裁判所

)に

相当す るCode de Procedure Penale以下C,P,P,191の手 に委

ねられた。'。 フランス刑事手続の注 目すべ き流れはその後

,特

別な国家の刑事訴追官庁である検事 に依 て公訟が提起 される起訴手続であった。その後

,独

立 した裁判官の予審判事juge d'instruc‐

donに 依 る前手続 の広 汎 な管理

,犯

行 程度 に応 じた第一審裁判所 の違警罪裁判所 tribunal de police;大客裁判所tribunal de gramde lllstance刑 事部

,重

罪法院cour d'assね esの 三分割が求め ら れ

,重

罪法院に於 ては陪審院jurosの前 での弁論が要求 された。その経過 を辿 って漸 く公 開性 puЫ icitO,口頭 主義 p ncipe de l'oraliど O des dObats,対 客 contradicЫon,自 由心証 原則 la rogle

del'inime convicionが 定着 して法定証拠主義は廃止 された。それ故

,陪

審員は法律上 は

,被

告 の 罪責についての確信が持てたかどうかを尋問 しなければならない。 以上の経過 を辿 った現在のフランス刑訴の特色 は捜査手続 と予客が純然たる礼問構造 に組み込 ま れている反面

,公

判手続は公開口頭主義 を採 るという予盾が生 じているということである。 ドイツ の刑事手続 においては証拠調べは裁判長によって行われ

,裁

判長は訴訟関係人に証拠調べの結果 に 対する態度 を決める機会 を与えなければならないStPo 257 ②。

2.フ

ランスの捜査手続 ところが フランスの捜査手続では

,検

事 の監督の下 にその指揮 に服す る司法警察 pdたe judi‐ cittre C P P,12,13が 犯罪の解明,証拠の収集 を行い,そ の資料 を検事に提出する°ω。すなわち「司 法警察はこの法律資料 によって刑法犯 を検証 し

,証

拠 を集め

,予

審が開始 されるまでの間に犯罪行 為者auteurを捜査 rechercherする責務 を負 うC P P 14。 予審が開始 されたら

,司

法警察 は予春 警察官の委任 を受け継 ぎ

,そ

れを執行 し

,そ

の請求に服するc,P,P,14後段,C,P.P,140。 また司

(9)

EC統合 と,仏・伊・独法の刑事訴訟法 との関係考証

法警察官 と司法警察吏C P P 20は共和国検事procureur de la RopuLqueの命令 か職権で予備捜査 enquotes preliminairesを行 うが, この作用は上訴法院検事長prOcureur gOneralの 監督 に服 し

,C

P P 75,司

法警察権 は共和 国検事 の指揮下 で本 編 に定 め る官吏

,職

員及 び吏員ofhcttrs,fanc‐

Ыonaires et agentsに よって行使 され,「司法警察 は上訴法院cour d'appelの 各管轄 ごとに上訴法 院検事長prOcureur gener』 の監督及び重罪公訟部chambre d'accusationの 統制の下に置かれる」

CP,P,13と しているか ら

,司

法警察は捜査活動 において常 に予審判事や共和 国検事の命令

,職

によるを聞わずその指揮下にあることが明示 されている。 フランスの警察は英米法や戦後のわが国 と異な り

,た

とえ職権 をもって捜査 してもそれは検事 (旧治罪法Code lnstrustion Criminelle以下

CIC下

の予審判事 も含め

)か

ら独立 した捜査機 関ではな く検事や予審判事の指揮下 C P P 41,

38,81,224,227で

捜査 を行わなければならない。現在の検事や判事は司法警察官の全権限を持 ち C P P 42,共和国検事 は現行犯 については

,現

場到着後

,司

法警察官の全職務 を引継 ぎ

,訴

追 に 要するすべての行為 を命ずるC,P,P.68。 予審判事 もまた軽罪現行 について捜査 に着手で きるが, その行為は予審 としてではな く司法警察の行為の範疇 とされ

,司

法警察官に事件の処置 をさせるだ けでな く,自 ら捜査することもで きるC P P 72・9。 しか もフランスでは訴追poursuiteと 予客 in_ strucdonが

CP,P50,220,80,84で

厳重に分離 されてお り (訴追は検事

,予

客は予審判事

),理

由は,「検事が予審 も行 えば

,訴

追のイニシアチブをとろうとするあま り

,無

理に誤 つた予審 を強 行する恐れがあるか らだ°°」 と説明されている。更 に「訴追 と予審の分離の原則は

,証

拠の捜査 と 評価 において司法官の独立 と公平 を担保するためである」 ともソワイエJean―claude Soverは い

う°お。その予審は重罪 crimeに ついて義務的で軽罪dOlitに関 しては任意的である。違警罪にcon‐

traventionについて もC.P,P,79,44に よ り

,検

事が請求すれば予審 を行 なうことがで きる。ゆ。 し か し予審判事は検事 の請求を受けない限 り

,重

罪 または軽罪現行犯の予客に自らとりかかることは できないC,P P 80。

3.フ

ランス検事の捜査上の権能 と強制処分権 (予審判事 と競合する)

(1)重

,軽

罪現行犯の場合

,検

事 は司法警察官か ら速やかに報告 を受け必要 とあ らば自ら臨場 し

,一

切の処置 を指揮する。

(2)検

事到着後 は司法警察は捜査権 を解かれるC P P 68(D。

(3)検

事が事後の捜査権 を持つC,PP.689)。

(4)検

事 は事件の続行 を司法警察官 に命 じることがで き, また他の司法警察官に委ねることもで きるC P P 68(2)

(5)検

事は捜査上必要があれば隣接裁判所管轄区域内で も捜査で きる。C,P P 69

(6)犯

人 と思われる者が行方不明の場合

,検

事 はその者 に対 し勾引状 mandat d'amenerを 発付 する。

(10)

田 和 俊 革甫 (7)勾引状の発付 で

,い

かなる場所で もその者 を逮捕

,尋

問 をす る検事の下 に引致できる

CP

P 71 (8)当該犯罪が拘禁刑 にあたる軽罪現行犯の時は警察機関によって逮捕 された者,または監守 さ れていた容疑者 の引致 を受けた検事 はその者の身元ない し被堤事実 について自ら尋間で きる C P P 71 (9)1975年 8月 6日 法律以降

,検

事 はいつで も勾留状 を発 し

,24時

,手

元 におけるC,P,P, 71-1条。司法警察官はあ らゆる者の供述の収集権があ り

CPP,62,そ

の呼 び出 しは義務 を伴 なう強制捜査である。 ドイツの検事 による呼び出 しに近い。

tO

勾引状による出頭義務 に応 じない場合は

,検

事 に報告が受け継がれ

,検

事 は警察力を以てそ の出頭 を強制で きるC P P 62(め 。司法警察は捜査上必要 と思われるときには事情聴取 を行 っ たものを監守garde a vueに付て,24時間留署で きる

CPP,63

0

検事 は強制出頭か ら監守への時間延長の許可権 を持つ。但 し,被疑者が現場で逮捕 された り, 引渡 し済みであれば

,そ

れを行 うのは予審判事である。特 に現行犯の場合

,予

審判事は

,旧

法 時代 に認め られていたような独 自の活動はで きないが正式 に事件受理がなされる前に現場 に行 くことは可能で

,諸

々の処置の指揮権 もあるC,PP,72。)。 同条は「予審判事の到着 により司 法警察のみならず

,共

和国検事 もその職務 を免れる」 とし

,そ

の処分 を「司法警察の処分」 と している。

4.フ

ランス刑訴 における弾劾,イ L問の二律背反 とその調整 軽罪現行犯 を予審判事が司法警察作用の任 を負 って取調べ た場合

,そ

の後

,捜

査 の記録pttces de l'enquOteを 検事 に引渡 してその利用 を促す ことと

,予

審判事 と検事の両者がいた場合

,検

事 の 取調べの結果

,直

ちに予審informationの 開始 を請求することか ら

,検

事 に予客の権限その ものが 付記 されていて

,現

行 フランス刑訴の「訴追 と予審すなわち証拠の捜査 と評価の分離の原則」にお ける司法官の独立 は保 たれないのではないか という疑問が生 じる。 しか し検事の取調べの結果

,即

席で も予審判事 に予審 を請求するのだか ら検事の取調べは予審権ではない。予審の請求権の付記で ある。なお,フ ランスの “enquet"は証拠の吟味 を意味する「予審」のための証拠の収集にす ぎない。 また法律上司法警察の組織そのものが検事の指揮の下に動 くようになっているため司法警察の行 な う予備捜査enquote Preliminaireと い う証拠の収集保全活動は情幸Rllえ集的に運営 されてお り

,学

説 上は非公式捜査 1'enquOte dite ofhcお u seと される。 ところで ドイツ

,フ

ランス共

,弾

劾 とイし問

,当

事者主義 と職権主義 を混合

,折

哀 している点では共通 なが ら

,

ドイツでは公判手続 において裁判所 の職権主義 (礼問

)が

採 られ

,前

手続 (捜査手続

)で

は検事 (非当事者

)に

よる弾劾主義 (起訴主 義

)が

採 られ

,そ

の折哀によって成 り立っているのに対 してフランスは公判手続における弾劾当事 者主義 と前手続 (狭義の捜査手続 と広義の捜査である予審手続

)に

おける糸し問職権主義の折哀であ

(11)

EC統合 と,仏・伊・独法の刑事訴訟法 との関係考証

ることに注意を要する。フランスは予審を存続 させつつ

,こ

れに修正 を加えて捜査の適正 を図って 行った。 この点

,沢

登佳人教授 は「フランスの予審は

,今

,黙

秘権や弁護人立合権 などへの人権 保障を厚 くした制度 に改変 され

,存

続 している。9」 とされ

,Gス

テファニーらは「予審手続 はイL

問手続prOcodure inquね itioireの利点 をもっている。予審手続は事実の解明が困難である複雑 な事

,責

任の所在が十分 に判明 しない事件において必要である」 としている

“ω。

5,イ

タリア法の特色 と現状

イタリア刑事手続法は前述のとお り中世か らフランス革命期 までフランス,イギリス刑事手続法 と対立関係 にあ り

,ロ

ーマ刑事手続法,カ ノン法が中世イタリア刑事手続を構成 した時

,古

代 ドイ

ツ刑事手続法 と合流 して1532年にカロリナ刑事法典Consituio Criminalis Carolinaカ ール5世刑事

裁判法 Peinliche Gerichsordnung,以

CC,Cを

継承 して ドイッと共 に ドイッ普通法刑事手続

Gemeiner deutscher Strafproze8を 完成 したい

'。 このためにイタリア法は15世紀の終 りか ら16世紀 始めにかけて ドイッ刑事手続法に決定的な影響 を与えた。承継法はイタリア法ほどの影響を ドイッ に与えなかったとされた。承継Rezepionに依 り

,刑

事手続法の領域 において

,規

定がつ くられ, それが示達権力 を規制 し

,裁

判官の裁量 を限定づけることになった。Eb Schmidtの 「イタリアの 影響な しに,冷 L間が ドイッで発展 したJとの説は今 日

,逆

とされている・ り。 現行 イタリア刑訴法は1989年10月 24日に改正 された ものである。改正の主眼は糸L間の廃止であっ た。その特色は公判前の階段で証拠を入手することに合わした非公開の文書化された公判前手続に あ り

,そ

の結果

,公

判は公判前捜査中に入手 した証拠の単なる確認にす ぎなかった。端的には

,改

正はイタリアの刑事司法 をコモンロー諸国の反対制度 と調和 させることだった。 もちろん大 きな相 違は残 り

,訴

追 は強制的であ り訴訟取引pattettiamentoは認めない。判事 は受け身ではな く証拠 収集には主動的な力 を持つ。

O捜

査機関 検事pubblico ninisteroと 司法警察p硯彦ia giudittanaで ぁる。司法警察は一般 的 に 犯罪処理の第一機関である。捜査機関は職権で も犯罪について情報 を集め

,犯

罪が更に拡大するの を防止する責務がある。彼等は先づ証拠 を保全 し刑法執行に必要なその他の資料を収集 しなければ ならない。検事は司法権 を持たない司法官で

,直

接 に捜査の責に任ずる°9。 形式的には彼 は当局者 だが法 と正義の維持の為のみに客観的に行為する。彼は訴追のためにも被告のためにも無関係に証 拠 を集めなければな らない刑事訴訟法Codice Rocco 358。 検事 は自ら司法警察 を利用で きる憲法 cosutuzion』

e109,司

法警察は命ぜ られ又は委託 された一切の捜査 をして

,検

事 の指揮 に従 わねば ならない。旧法では予審判事 」udtteね truttoreと い う第三の捜査機関があ り

,検

,警

察 とな ら

んで自

=的

な捜査権があった。新法は予審判事を廃止したのは捜査と司法機能を厳重に分離すべし

との考えである。

(12)

56

田 和 俊 輔 し彼は状況に応 じて捜査官の活動 を監督 し

,そ

うすることで個人の自由を制約 した り私生活権 を侵 すような手段が とられた時には常 に被告の権利 に対する尊重 を護 るか らなお重要な役割 を演 じてい る。 もう一つの予審判事の重要な仕事 は事件立証incidente probatorioである。予審中か公判前 に, 立証の必要が生 じた時

,こ

の立証手続は予審判事に引渡 される。この手続は特別な対決の審問で事 件立証 といわれる。

O公

訴機関 検事 は予審の支配者である。彼 は犯罪の訴追

,不

訴追 を決定する。検事局の組織 は司 法官 と裁判所 の段 階 に応 じて設け られ

,検

事総長 の検事局 は上訴法院 と破棄法院corte di cassa‐ 五oneに 対応する。 O裁判官の構成 職業裁判官 と素人裁判官があ り素人裁判官は非法律分野の専門職のグループと, 年令

,教

育に依て選考 されるグループである。イタリアの素人裁判官は参審員で

,審

理中職業裁判 官 と同席

,同

じ機能 を持ち

,ア

ングロサクソンの伝統が陪審員が評議 し職業裁判官の出席な しに評 決するの とは違 う。1988年法律 は重罪法員の審理権 を大幅に減 じたために陪客裁判は減少の傾向に ある。 しか し常識の司法管理への導入は

,素

人裁判官が審理中の発見 に基 く決定 よりも

,感

性の決 定につなが り得 るという法律訓練の欠如故 に複雑 な事件 を効果的に処理することにおいて劣 るとい う事実に影響はない といわれる。職業裁判官については糸し問性の払拭が眼 目で

,判

決機能 と捜査機 能の分別である。そのため1930年法の予審判事の様 に,捜査の結果で後 日判決する存在 を排除 した。 この点

,前

述の ドイツの予審廃上の精神 に近い。 しか し, ドイツの捜査判事の様 に

,捜

査機関の司 法チェックをしなが らそれ以上に被告の強制処分 に依 る人権侵害 を護 る点はフランス予審判事 に近 く

,弾

劾 と糸L間の ドイツ的なもの とフランス的なもの との折哀 といえる。検事 についていえば

,裁

判官の役割 と訴追 と捜査の役割の分離は当事者間の等距離

,両

当時者の対等 を意味する。弾劾主義 の本質は両当事者の対決にあ り

,両

者各々自分の利益 と挙証 に努める。 イタリア刑事裁判 は現在, 両当事者間の手段であ り,訴追側 と被告が平等の条件で手続 に関与するように厳正に保証 している。 それゆえ

,検

事 は1930年法律で持 っていた本質的な審理権 を失 ったか ら

,手

続の当事者 となった。 しか し

,彼

の役割は必ず しも被告 に対立するものではな くて

,そ

の機能 を客観的に行 うものだか ら 当局者である。 この点が ドイツの様 な非当事性 を持つ公益代表者性 として割 り切 られていない欠点 がある。 ○警察捜査 と予客 1988年迄は警察は事実捜査 の機関とされていたが,これを改めた。但 し

,時

間 制限をつけて

,48時

間以内に犯罪通知nOtitia criminisを検事 に しなければならない。その後 は検 事に引継がれる。予審は検事が実施 してお り,そ の目的は起訴するか否かの決定である326。 この点, フランスの旧治罪法に近い。予審は非公開だが弁護士立会 を要する。時間制限は 6ケ 月である。予 審の開始要件はいろいろであ り

,検

事が訴追 をやめるために予審判事 にたのむ場合

,何

の犯罪 もな いと思える場合,収集証拠が有罪 をとるには不充分 とする場合125がある。不起訴は訴訟却下にな り,

(13)

EC統合 と,仏・伊・独法の刑事訴訟法 との関係考証 後 日の新証拠の発見 により再開は可能である。その決定は検事の請求 に依 って予審判事 に依て決せ られる。 検事は予審判事 に, 自分の意 に反すると考えた時

,被

疑者 を公判 に回す よう求め得 る。予審中の 収集証拠が有罪判決 を得 るに足 ると考 えた場合である。その可否の決定は予備刑事審問U enza preliminareで決せ られる。 予審 を決定する もう一つのや り方は検事が有罪訴答 imputazioneを記録 し

,予

審判事か客理判事 に起訴状 を送付する場合である。 この ように見て くると,イ タリア法は, ドイッ法の精ネ申に範 をとりなが ら, フランス法にとどま り

,検

事主導型であ りなが ら

,治

罪法下の予審判事の性格 を残 しているのがわかる。 しか し

,弾

劾 当事者型に近付 こうとしている事 と司法警察の活動 をある程度, 自主的にみ とめよう。 しか し

,そ

の行 き過 ぎは予審判事で押 えようとしているのがわかる。 む す び 以上

,独 ,仏 ,伊

の現状か ら ドイツでは必ず しも立法者が交互尋問制に踏み切るとはいえず

,む

しろその形式化が裁判官の真実発見性 を後退 させないか という危惧があ りその危険をおかすよりも 現状の侭の方が よいのではないか。当事者対等化 は捜査の初期か ら弁護士 との接見交通の促進を図 るべ きだ。そ して記憶補助の調書朗読, 自白調書の朗読

,法

廷での対決

,事

実関係 と自由心証主義 等の強化 をはかるべ きだとの意向のようである。O。 次にイタリアに見 るように同一法体系 にあった ためか現行 ドイツ法の精神 を可成 り強 く取 り入れている所 もある。 しか しドイツ, フランスの対比 を見るか ぎり

,予

審の廃止 と存続 に見るように当事者ではない警察 を訴訟補助者の立場か ら訴訟当 事化するとか

,検

事の捜査権 を奪 うのではな くむ しろ強制処分権の機動化 をはか りその場で入手作 成 された証拠

,調

書などの吟味 を検判事 に依て厳重に司法チェックす る方向にある。 また一方コモ ンローのイングラン ド

,ウ

ェルズにおいて1985年にCrOwn Prosecution Servfce(CPS)と い う機 関を国会で制定 したが“

9,従

来の警察訴追では

,訴

追の公正が保てない反省か ら

,か

つ警察からの 訴追の独立 をはかったという意味で大陸 と逆の興味ある現象である。 このように見て くるとコモ ン

ローと普通法の間に一種の歩み寄 りがあるとも考えられる。

注・ 文 献

(1)Christine Van Den Wyngaert,Criminal Procedure Systems in the European Community,Butter worths,Brussels,

(14)

58

田 和 俊 輔

(2) Claus Roxin,Strafverfahrensrecht1 23 Auflage,C'H・ Beck,Mtlnchen,1993,S 48,Claus Roxin,op cit,S 101,Claus Roxin,op cit,S 99

(3)Claus Roxin,op cit,S 101,Eb,Schmidt,Koneg,Deutsches strafprozeら recht,Eim kolleg,1967,88,Henkel,strafrer―

fahrensrecht,1968,S 24

(4) KleinknechtヽIeyer,StraFprozeら ordnung,Beck,1991,S 667

(5) Hinrich Rttping,Theorie und Praxis des StrafrerfahrensI Bonn,Stollfuら,1979,S 55

(6) Karl Heing G6ssel,uberlegunger iber die Stellung der Staatsanttraltschaft im rechtsstaathchen Strafverfahren und tlber inr Verh61tnis zur Polizeic,Coltdammer's Arichv ftlr strafrecht,Paul Gunter,Pδ tzministerialdirigent im Bun―

desministerum der Justiz,R V Decker's,G Schenck,Heidelberg,Hamburg,September,1980,S-350 (7) Claus Roxin,op cit,S 60

(8)Ciaus Roxin,op cit,S 51 (9)Claus Roxin,op cit,S61 1101 Claus Roxin,op cit,S 61

チ ュー ビ ンゲ ン地 方 裁 判 所 判 例,ケル ン地 方 裁 判 所 判 例,ジュ ッセ ル ドル フ編 集,刑事 新 報90,144号 Kttin knecht/AIIeyer,strafprozeSordnung,C・ H・Beck,卜Idnchen,1991,S664

11, Claus Roxin,op cit,S 63,73

11D Claus Roxin,op cit,S 265 1131 Claus Roxini op cit,,S 101

141110・tO・l171・l10,l10・?O Ciaus Roxin ata・,O 911 Claus Roxin,op cit,S477

99 Genhard Schafer,Die Pra s des Strafvertahrens,3 Aufl,W,Komhammer,1976,S323,Christine Van Den Mryn_ gaert,op cit,P,397,Kari Schafre,strafprOeら recht,Eine Einfuhrung,ヽ Valter de Cruyter,1976,S 241 KarI Schafer, op cit,S 225

90 Claus Roxin,op c■ ,S475,S100(但し, こ こで はKreuzverh6rと表現 して い る)

90 Thomas v01kmann― Schluck, Der Spanische Strafprozeら zwischen lnquisitions und Parteiverfahren, Baden― Baden, 1979,S 12,Hans Heinrich Jescheck,Juristenzeitung,1970,201

951 ZOachim Hermann,Die Reform der deutschen Hauptrerhandlung nach dem Vorbild des angioamerikanischen Straf

verfahrens,Bon■,1971,S 47,48

20 Hams Dahs,Reform der Hauptverhandlung,In Festschrift fur Hubert schorn,Frankfurt aM,1966,S 29

271 Peter Landa■ , FriendriCh, Christian, Schroeder, Grundlagen, Entwicklung v, ヽVirkung d, Constitutio Criminans Carolina lhursg, CIP―kurztititelaufnahme der Deutschen Bibilothek Strafrechti Strafprozら und Rezeption, Frankfurt am Arlainl 1984,S,9

20 Eberhard Schmidt,InquisitionsprozeS und Rezeption,Studien 2 Gesch,d,strafverfahrens in Deutschiand vom 13

bis 16」ahr,Festschr,d,Leipziger Juristenfakultat,F H Siber,Leipziger rechts、 viss,Studien 124,1940,S 5ff

991 G Kleinheyer,Zur RoHe des Cestandnisses im Strafverfahren des spaten Mittelaters und der frdhen Neuzeit,Ini Beitrage zur Rechtsgeschichte,Gedachnisschr,F H Conrad,Rechtsustaatswissi Vor6ff,d,G6rres‐ Ges,N,F,34,1979, S 367,ff

(15)

EC統合と,仏・伊・独法の刑事訴訟法との関係考証

59

80 Ctaus RoⅨ in,,op cit S 100

00 Claus Roxin,op cit,,SS 457i455

02 Clals Roxin,o, cit,,S457

90 CIな■s R9xln,oP,c■,,S 462

00 G.Stefanij G Levょ sseuri B,Bou10c,Procedure POnale,DouziOme Odition,Dalloz,Pな ris,19184 P415,Claus Roxinl

9p・citi,S 462

89 6.Stefanl,Op.cit,P343

80 G Stefahi,op cit,PP125-141,」 ean―Ctaude Soyer,Droit POnal et ProcOdure POnale,CinquiOme Edition,L .G D J.

1977 P 270

0り Jea■―Claude sOyerj op cit,P 270 139 Jea■―Cla■de Soyer,Oo Cit,P-274

00 Gス.テファニ,Gルヴァスール,B.ブ ールロックー著,澤登住人,澤登俊雄,新余修次「 フランス刑事法 〔刑事訴

訟法〕」成文堂,昭和57年12月 10日 訳者 まえが き

4頁

生O G Stefani,op cI,,P,407

牲, Claus Roxin,op.cit,,S 454 SS 456-457

坐参 Jrusen,Strafprozeヽ und RezepO■ on,ini Landau/Schroeder(Hrsg.)Sttafrecht und StrafpFOZら deF Rezeptica,1984, Oehien,Zwr Entstehung des Strafrechi lnquiS■ ionsprozeSes,H Kaufmann―GS,1986,S.347

仏9 Christine Van Den Wyngaert,op oii P 226

に, Thomas vOlkmann Sdhluck,Der spanische StrafpFOZeら Zwischei lnquisitions― ■nd PartieveFhre■ )BadeⅢBaden, 19791S&153-154

(16)

Updating...

参照

Updating...