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「一式飾り」探訪記 : 第6回 粋な「見立て」の美学

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Academic year: 2021

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鳥取大学研究成果リポジトリ

Tottori University research result repository

タイトル

Title

「一式飾り」探訪記 : 第6回 粋な「見立て」の美学

著者

Auther(s)

Takahashi, Kenji

掲載誌・巻号・ページ

Citation

島根日日新聞 : 5 - 5

刊行日

Issue Date

2018-04-11

資源タイプ

Resource Type

論文 / Article

版区分

Resource Version

出版社版 / Publisher

権利

Rights

注があるものを除き、この著作物は日本国著作権法によ

り保護されています。 / This work is protected under

Japanese Copyright Law unless otherwise noted.

DOI

(2)

  ま ず は 写 真 を ご 覧 い た だ き た い 。 馬 の 親 子 が 飾 ら れ て い る 。 馬 の 顔 に は 三 方 と 呼 ば れ る 木 製 の 台 を 用 い 、 台 の 丸 い 穴 を そ の ま ま 目 に 見 立 て て い る 。 鳥 取 の「 法 勝 寺 一 式 飾 り 」 を ほ う ふ つ と さ せ る シ ン プ ル な 作 品 だ が 、 実 は 山 陰 の も の で は な い 。   こ れ は 、 2 0 1 4 年 2 月 に 福 井 県 勝 山 市 の 「 勝 山 左 義 長 祭 り 」 で 飾 ら れ た 作 品 で 、 神 事 に 使 う 道 具 一 式 を 用 い て 制 作 さ れ て い る 。 前 回 、 江 戸 時 代 に 庶 民 の 間 で 「 見 立 て 遊 び 」 が 流 行 し た こ と に 触 れ た が 、 そ れ は 山 陰 の み な ら ず 北 陸 に も 伝 わ り 、 勝 山 に し っ か り と 根 を 下 ろ し て い る 。 た だ し 、 勝 山 で は 「 一 式 飾 り 」 と は 呼 ば ず に 「 作 り 物 」 と 呼 ぶ 。   勝 山 の 「 作 り 物 」 と 山 陰 の 「 一 式 飾 り 」 を 比 べ る と 、 制

 

作 の ル ー ル な ど 共 通 点 が 多 い が 、 呼 び 名 の 他 に も 違 い が 見 ら れ る 。 作 品 の 背 後 に 貼 ら れ   写 真 の 「 書 き 流 し 」 は 「 お 社 ( や し ろ ) に 二 礼 二 拍 手 心 ( こ こ ろ ) 締 め   国 家 安 泰 神 馬 奉 納 」 と 読 め る が 、 こ の 歌 に は 「 謎 か け 」 が あ る 。 作 品 の テ ー マ の 「 神 馬 」 と 、 作 品 に 用 い た 「 注 連 縄 」( し め な わ )、「 案 」( 神 事 に 用 い る 机 )、 「 台 」( 三 方 ) の 三 つ の 神 具 が 詠 み 込 ま れ て い る の が 、 お 分 か り に な る だ ろ う か 。   こ の 狂 歌 と 作 品 を 作 っ た の は 上 袋 田 区 の 丸 屋 仁 志 氏 。「 作 り 物 」 の 名 手 と し て 知 ら れ る 方 で あ る 。 歌 と 道 具 の 絶 妙 な 組 み 合 わ せ 。 こ れ こ そ が 勝 山 の 「 作 り 物 」 の 醍 醐 味 で あ る 。   な ぜ 「 作 り 物 」 に は 狂 歌 が よ く 合 う の だ ろ う か 。 そ れ は 狂 歌 の 言 葉 の 「 見 立 て 」 も 、 作 品 の 道 具 の 形 の 「 見 立 て 」 も 、 同 趣 の 遊 び 心 に 起 因 す る か ら で あ ろ う 。   事 実 、 前 回 紹 介 し た 「 造 物 趣 向 種 」( つ く り も の し ゅ こ う の た ね ) に は 、 狂 歌 を 添 え た 版 も あ り 、 江 戸 時 代 に 大 流 行 し た 狂 歌 と 「 一 式 飾 り 」 と の 関 連 性 が 指 摘 さ れ て い る 。   私 は 現 在 、 1 7 5 5 年 に 江 戸 で 出 版 さ れ た 「 見 立 百 化 鳥 」 と い う 絵 本 に 注 目 し て い る 。 こ の 本 は 「 造 物 趣 向 種 」 の 先 駆 け と さ れ 、 大 工 道 具 な ど 身 近 な 道 具 一 式 を 、 即 興 的 に 鳥 と 木 に 見 立 て た 作 品 の 絵 が 描 か れ て 、 道 具 を も じ っ た 説 明 文 が 添 え ら れ て い る 。 後 に 出 版 さ れ た 続 編 で は 絵 に 狂 歌 が 添 え ら れ 、 こ こ で も 狂 歌 と の 深 い か か わ り が 窺 え る 。   勝 山 の 「 作 り 物 」 に 「 書 き 流 し 」 を 添 え る ス タ イ ル は 、 江 戸 時 代 か ら 続 く と は 言 え な い が 、 そ こ に 「 一 式 飾 り 」 の 原 型 を 見 る 思 い が す る 。   ま た 、 勝 山 で は 丸 屋 氏 の 制 作 を 何 度 も 拝 見 し て い る が 、 い つ も 祭 り 前 夜 の 1 時 間 ほ ど で 、 作 品 が 見 事 に 仕 上 が る 。 勝 山 の 「 作 り 物 」 は 、「 に わ か 」 の 精 神 に の っ と り 即 興 的 に 飾 る こ と を 旨 と す る の で あ る 。   わ ず か な 数 の 道 具 だ け で シ ン プ ル に 飾 ら れ た 作 品 に は 、 狂 歌 と よ く 似 た 粋 な 「 見 立 て 」 の 美 学 が 息 づ い て い る 。 一 見 す る と 子 ど も の 無 邪 気 な 遊 び の よ う に 見 え る 「 作 り 物 」 や 「 一 式 飾 り 」 は 、し ゃ れ っ 気 や ユ ー モ ア を 楽 し む 、 粋 で ク ー ル な 大 人 の 遊 び と 言 え る の で は な い だ ろ う か 。 た 紙 に 注 目 し て ほ し い 。 そ こ に は 「 書 き 流 し 」 と 呼 ば れ る 狂 歌 が 書 か れ 、 作 品 に 必 ず 添 え る 習 わ し が あ る 。

粋な「見立て」の美学

第6回

2018.04.11(水)

参照

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