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各種溶液浸漬下におけるコンクリートのアルカリ骨材反応に関する研究

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愛知工業大学研究報告 第34号B 平成11年

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各種溶液浸漬下におけるコンクリートのアルカリ骨材反応に関する研究

A

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皿 井 剛 典 * 森 野 室 二 日 岩 月 栄 治 *

*

Yoshinori SARAI, Keij i MORINO and Eij i IWATSUKI Abstract The damage 01 concrete struct日redue 10 alkali-aggregate reaction (AAR) has been occurring in each place. Especially, i t newly increases by the use 01 the de-icing sal ts such as sodium chJoride. In this paper, AAR concret巴prismswere made wi th reactive cherty aggregate. TotaJ aJkali contents 01 the concrete were adjusted in the quantity 013, 6, 9 kg/m~ aJkaJi as Na20 eq. by the addi tion 01 NaOH reagen!. Concrete prisms were stored at 400C and not Jower than 95% RHin varioskinds 01 soJulion such as 1M NaCI, 1CaCI 2, 1M NaOH, 1M KOH, 1M Na,SO, and 1M MgSO, soJution, artiliciaJ sea water and cily water. Expansion behavior 01 lhe AAR concrete prisms was invesligated, 呂nd ellects of NaCJ and other solutions on AAR were discussed on the basis 01 experimenlaJ results. The expansion 01 the AAR concrete prism was acceJerated by 1M NaCJ solution al1d 1M Na

SO

soJutiol1 1 はじめに コンクリートのアルカリ骨材反応(AAR)は、我が国で 1983年に問題視されて以来、 15年を経た今日でも新た に劣化構造物が発見されている。ある地域では骨材と して山砂利がごく普通に使われているが、この山砂利 はほとんどがチャートからなっており、反応性骨材を 日常的に使用していることになるに使用に当たっては サンプルによるJI Sの化学法の試験が行われ、「反応性 あり、なし」の判断がなされるが、本質的にはチャー トは反応性骨材である。試験結果が「反応性なし」と なっても、実際に使用したコンクリートにひび割れな どの問題が発生することもある。最近では、一般的な 構造物とは別に寒冷地などでは道路の凍結防止剤とし てCaCJ,に替わってNaCJが散布されるようになり、外 部からアルカリイオンが供給される機会が増している 2131ペその他に、海岸付近の構造物では海水や海水飛沫 の供給により、AARの被害がいっそう大きくなっている * 愛知工業大学 建設システム工学専攻 村 愛 知 工 業 大 学 土 木 工 学 科 ( 豊 田 市 ) 例51などもある。また、 AARによる膨張抑制を目的とし て、現在最も多く行われている方法は高炉水砕スラグ 粉末等の混和材の使用である。しかし、 AARは長期にわ たること6171や、前述のように外部からアルカリなどが 供給される機会が増していることから、混手口材の AAR 膨張抑制効果B)についても長期間のデータとともに、ア ルカリ等が供給される環境下でのデータも必要である。 このような背景から

A

A

R

の長期にわたる詳細な実験及 び調査を継続する必要がある。 本研究では、反応性骨材として反応性の高い岐阜県 養老産のチャート砕石と、実際に骨材と使用されてい る愛知県瀬戸産のチャート質山砂利を用いてコンクリ ート角柱供試体を作製し、膨張率測定、超音波伝播速 度測定および供試体表面観察を行い、(1)骨材の反応性 の違いによる膨張挙動の相違および膨張挙動と超音波 伝播速度の関係を検討し、 (2)湿潤状態の他に、 NaCI、 CaCl、, NaOH、KOH、Na,SO、, MgSO,、人工海水溶液および 水道水に浸漬貯蔵し、各種浸漬溶液が AARに及ぼす影 響を検討した。また、高炉水砕スラグ粉末を混和材と して使用したコンクリート角柱供試体の AAR膨張抑制 効果について検討した。

(2)

r. 2実験概要 本実験は、以下の3つの実験より構成される。 <シリーヌ

1

>

湿潤状態のコンクリート角柱供試体の 膨張挙動と超音波伝播速度の関係の検討。 <シりーズII-l>各種溶液に浸漬した状態のコンク リート角柱供試体の膨張挙動と超音波伝播速度の関係 の検討。 < シ リ ー ズII-2>各種溶液に浸演した状態のコンク リート角柱供試体の高炉水砕スラグ粉末による AAR膨 張抑制効果の検討。 2'1使用材料 2" .1使用骨材 反応性骨材は、岐車県養老産のチャート砕石 (Yoチ ャート)と愛知県瀬戸産のチャート質山砂利 (Seチャ ート)を用いた。使用骨材のJ1SA 5308化学法の試験 結果を表l、図1[:::示す。 Yoチャート、 Seチャートと もにSc/Rcが l以上で、判定は「無害でない」である。 非反応性骨材には、化学法で「無害」と判定された、 安定な石英からなる愛知県瀬戸産の珪砂(Se珪砂)を用 いた。 表l 使用骨材の化学

i

法試験結果 化学法の結果 骨材 形 状 産地 (mmol/I) Sc/Rc 備考 Rc Sc Yo子ヤート 砕 石 岐阜 105 315 3.0 無害でない Seチャート 山砂手JI愛 知 58 116 2.0 無害でない Se珪砂 li't 愛知 28 12 04 非反応性 300 ¥ 、 、

E E ~ 200 0 は 目 副 令 官主

100 「 h h ﹁ ト

10 100 1000 10000 溶解シリ力量Sc(mmol/l) 図ユ 化学法試験結果 2.1

2使用材料 セメントは、普通ボルトランドセメント(アルカリ量、 NazO換算O.69、O.60出)を用いた。実験シリーズEでは、 混和材として高炉水砕スラグ粉末をセメントと置換し て用い、置換率は50%とした。添加アルカリは、NaOH(穎 粒状、純度 99.8%)を練り混ぜ水に溶かして用い、コン クリート中の全アルカリ量を調整した。 2'2実験に使用したコンクリート角柱供試体 2'2.'供試体作製 コンクリートの配合を表2に示す。供試体寸法は 10

x

10

x

40cmとし、供試体両端に膨張率測定用としてビ スを埋め込んだ。供試体本数は、配合毎で3本作製し、 同一環境に貯蔵した。コンクリート中の全アルカリ量 はNazO換算で、シリーズIでは3、4、5、6、7、9kg/m'、 シリーズEでは3、6、9kg/がとした。粗骨材は反応性 骨材を使用し、シリーズIで は お チ ャ ー ト と Seチャ ート、シリーズEではYoチャートのみとした、細骨材 にはSe珪砂を用いた。 表2 コンクリートの配合 粗骨材 7Kセメ 細骨 単位量 (kg/m') 骨材 の最大 ント比 材率 細 粗 ;昆和膏JI の 種類 寸法(mm) W/C s/a 水セメント骨 骨 (g/m3) (首) (時) W I C 材 材

s

G Y

25 51.3 41.0 154 300 761 1091 4500 Se 25 51.3 41.0 154 300 761 1074 4500 2幽2・2シリーズIの供試体貯蔵状態 シリーズ

I

E

の供試体貯蔵状態を表

4

に示す。 実験シリーズIでは、粗骨材としてYoチャートおよ びSeチャートを使用し作製したコンクリート角柱供試 体を使用した。供試体はすべて湿らせた保湿紙を巻き、 ビニール袋で 2重に密封し湿潤状態とした。貯蔵容器 は400C恒温室内および200C恒温室内に設置した。 2同2回3シリーズEの供試体貯蔵状態 実験シリーズ

E

では、粗骨材としてYoチャートを使 用した。また、セメントは普通ボルトランドセメント のみと普通ボルトランドセメントの 50目を高炉水砕ス ラグ粉末に置換したものの 2種類を使用した。供試体 の貯蔵は湿潤状態の他に、ぬC1溶液、 CaC12溶液、 NaOH 溶液、 KOH溶液、 Na2SO,溶液、 MgS04溶液(すべて濃度は lmo1/1)、人工海水(表3)および水道水中の浸漬貯蔵と した。貯蔵容器はすべて400C恒温室内に設置した。

(3)

各種溶液浸漬下におけるコンクリートのアルカリ骨材反応に関する研究

1

2

1

表3 人工海水の成分 表4 供試体貯蔵状態 実験 骨 材 全アルカリ量 貯蔵環境 貯蔵 シリーズ (Na

O換算 kg/m') 温度 400C Yo子ャート 3、4‘5、6‘7‘9 湿潤

片付

I 400C Seチャート 3、4‘5、6、7、9 湿潤

I

2

0

E0

C-圃. 湿潤‘水道水 人工海水 E Yoチャート 3、6、9 NaCI,NaOH 400C KOH、CaCl

Na

S04,MgSO

2-3実験方法 2・3・1膨張率測定 膨 張 率 測 定 は 、 室 温 20士2'Cに保たれた室内で、 !/100m皿ダイヤルゲージ付きの長さ測定器を用いて行 った。また、貯蔵温度40'Cの供試体は測定の 16時間以 上前に室温20士2"Cに保たれた室内へ移し測定した。脱 型24時間後の測定値を初期値とし膨張率を算出した。 2

3

2超音波伝播速度測定 超音波伝播速度の測定は膨張率測定と同材齢で行っ た。測定には、 3本の供試体の内の2本を用いた。供試 体の縦方向3カ所、横方向lカ所の言十4カ所の縦波伝 播時間を測定した。縦波速度を算出し、シリーズ

I

で は材齢28日を、シリーズEでは7日を 100%として超音 波伝播速度の相対速度変化率を算出した。 2

3

3 供試体表面観察 供試体の表面観察は各測定日ごとに行い、ひび割れ、 ゲルの浸出などを目視観察した。また、供試体のスケ ッチ、写真撮影を行い、ひび割れ形状、ひび割れ幅な どを記録した。 3.結果及び考察

3

1

くシリーズ

1

>湿潤状態のコンクリート角柱 供試体の膨張挙動と超音波伝播速度の関係

Y

o

チャートを用いたコンクリート角柱供試体の膨張 挙動と超音波伝播速度の相対速度変化率を図2、3に 示す。図2の貯蔵温度400Cのとき、膨張は、材齢60日 付近から始まり、全アルカリ量に比例して高くなり、 全アルカリ量9kg/がで材齢約180日では膨張率O.362目、 材齢約360日で 0.452%となっている。材齢 800日を経 過した現在では、膨張はどの全アルカリ量においても 収束傾向にある。全アルカリ量4、3kg/がは、ほとんど 膨張を示していない。図2の下段の超音波伝播速度の 相対速度変化率は、膨張の増加時期と超音波伝播速度 の減少する時期が一致しており、膨張率と超音波伝播 速度の低下率とは比例関係にあるJまた、膨張を示さ ないものに関しては、変化しないまたは増加の傾向を 示す。膨張が収束傾向にあるものに関しては超音波伝 播速度に変化がなく、増加傾向もみられない。 組骨材 Yoチャート 0.60ト貯蔵状態 400C湿潤状態 0.50 .. 0.40 憐 0.30 U蝋

0.20 0.10 0.0

-0.10 110 る す レ F﹄ n u n u を 度 運 波 縦 の 日

a

η ' ι 齢 4 A J ゐ b f ' ト 。 p o n u k d n u R U 0 0 9 9 8

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100 200 300 400 500 600 700 800 900 材齢(日) 図2 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率 図3の貯蔵温度 20"Cでは、膨張は、全アルカリ量 9kg/回目では材齢150日付近、全アルカリ量 7、6、5kg/が では材齢350日付近から始まり、貯蔵温度 40"Cのもの と伺様に全アルカリ量に比例して高くなっている。膨 張挙動は、貯蔵温度 400

C

のものよりも緩やかな増加を 示しており、材齢約 800 日を経過した現在では収束傾 向にある。膨張率は、全アルカリ量9kg/がでは材齢837 日でO.351%となり、貯蔵温度400CのO.456% (材齢 836 日)よりもO.1%ほど小さいロ超音波伝播速度の相対速度 変化率は、貯蔵温度 400Cのものと同様に膨張の増加時 期と超音波伝播速度の低下時期が一致している。

(4)

愛知工業大学研究報告、第34号B、平成11年、 Vo 31.4-B、Mar. 1999 粗骨材Yoチャート 0.60ト 貯蔵状態 20'C湿潤状態 0.50 n u n u n u n u 凋 件 q u n 4 4 1 n U ハ U n u n u ( 日 ) 掛 鰭 道 0.00 -0.10 1"10 C 105

1

側 目5 魁 制 90

E

85 材齢28日の縦波速度を100とする 80

o

100 200 300 400 500 600 700 800 900 材齢(日) 図3 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率 Seチャートを用いた貯蔵温度40'Cのコンクリート角 柱供試体の膨張挙動と超音波伝播速度の相対速度変化 率を図4に示す。膨張は、全アルカリ量9,7, 6kg/が で材齢100日付近から始まり、材齢250日付近まで全 アルカリ量9,7, 6kg/皿3の膨張率に違いはみられない。 しかし、全アルカリ量7kg/がは、材齢250日を過ぎて も膨張し続け、全アルカリ量日比

/

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をよりも膨張率は 大きくなり、材齢約360日ではO.330%となっている。 材齢約800日を経過した現在では、いずれの全アルカ リ量においても膨張は収束傾向にあるが、全アルカリ 量9,6kg/m'の膨張率に差はみられない。全アルカリ量 4、3kg/がは材齢800日を経過しても膨張を示していな い。図4の下段の超音波伝播速度の相対速度変化率は、 Yoチャートと同様に、膨張の増加時期と超音波伝播速 度の低下時期が一致しており比例関係にあるD 3園2<シリーズ TI-1>各種溶液に浸漬した コンクリート角柱供試体の膨張挙動と超音波 伝播速度の関係 全アルカリ量 9kg/がのコンクリート角柱供試体の膨 張挙動と超音波伝播速度の相対速度変化率を図5に示 す。膨張は、 NaCl、水道水、 NaOHおよびKOHで貯蔵40 日付近、その他の浸漬溶液は貯蔵50日付近から開始し ており、 NaCI溶液、水道水、 NaOH溶液およびKOH溶液 粗骨材:Seチャート 0.60卜 貯蔵状態:40'C湿潤状態 0.50 n u n u n u n U A B q v ワ ι 1 t n u n u n u n u ( 担 ) 川 高 話 ﹃ 0.00 一ーー・一一 口 -0.10 110 マ 也 す レ ' ﹂ハ υ ハ U J t 度 高 岨 波 縦 の 同 回 目

ι 齢 材 i h 1 5 0 5 0 5 0 0 9 9 8 ( 担 ) 川 町 記 側 制 剤 寂 田 仲 日日 o 100 200 300 400 500 600 700 800 900 材 齢(S) 図4 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率 による影響が早くから現れている。膨張率は Na2S0~ 、 NaClが高く、貯蔵約370日ではNa2S04で

o

684、百NaCI でO.462%となっており、 Na2S04溶液、 NaCl溶液による 影響が他の浸漬溶液に比べ大きい。また、 MgS04、NaOH、 KOHの各浸演溶液は貯蔵約400日の時点においても膨張 傾向を示しており、膨張への影響が長期にわたり継続 している。図5の下段に示すように、超音波伝播速度 の棺対速度変化率は、膨張率の増加から約 40~50 日遅 れて減少傾向を示し、膨張が収束傾向を示すと超音波 伝播速度も変化しなくなる。 全アルカリ量6kg/m'のコンクリート角柱供試体の膨 張挙動と超音波伝播速度の相対速度変化率を図6に示 す。 NaCl、水道水および、NaOHは貯蔵50日付近、 KOHは 貯蔵70日付近、他の浸漬溶液は貯蔵110日付近から膨 張を開始しており、全アルカリ量9kg/ぽと同様にNaCI 溶液、水道水およびNaOH溶液による影響が早くから現 れている。膨張率は NaCI、Na2S04が高く、また、貯蔵 400日を越えても膨張傾向がみられ、膨張への影響が長 期にわたり継続している。また、図6の下段に示す超 音波伝播速度の相対速度変化率も、全アルカリ量9kg/が と同様に膨張率の増加から約 40~50 日遅れて減少して いる。 <シリーズ

1

>

の実験結果では、湿潤状態で貯蔵し たコンクリート角柱供試体の膨張挙動と超音波伝播速

(5)

各種溶液浸漬下におけるコンクリートのアルカリ骨材反応に関する研究

1

2

3

度の相対速度変化率の関係は、膨張率が増加する時期 と相対速度変化率が減少する時期が一致しており、膨 張率が高くなると超音波伝播速度の低下率が大きくな っている。しかし、<シリーズI!

-l>

の実験結果で は、膨張率の増加から約 40~50 日ほど遅れて超音波伝 播速度の相対速度変化率が減少している。また、膨張 率が高いからといって超音波伝播速度の低下率が大き くない。このことは、溶液漫演によって生成する反応 生成物は、超音波伝播速度を低下させないような剛性 をもっており、それがコンクリート内部の初期の微少 なひび割れを満たしたために、超音波伝播速度に影響 が現れなかったのではないかと恩われる。 全アルカリ量

3

k

g

/

m

3のコンクリート角柱供試体の膨 張挙動と超音波伝播速度の相対速度変化率を図7に示 す。膨張は、

K

O

H

N

a

Z

S

0

4は貯蔵

1

3

0

日付近から、

N

a

O

H

は貯蔵

1

5

0

日付近から開始し、貯蔵

4

0

0

日でも膨張傾 向を示している。また、

M

g

S

O

;

溶液は、貯蔵

2

0

0

日付近 からわずかに膨張傾向を示している。しかし、その他 の漫漬溶液は、貯蔵

4

0

0

日を越えた現在でも膨張傾向 がみられない。貯蔵

4

0

0

日の膨張率は、

K

O

H

溶液で

O

.

2

7

4

%

N

a

Z

S

0

4溶液で

O

.2

1

6

、耳

N

a

O

H

溶液で

O

.1

3

5

%

とな っており、

O

.1

%

を越えている。コンクリート中の全ア ルカリ量が低い

3

k

g

/

皿3の場合でも貯蔵期間が長期間と なると、浸?責溶液の種類によっては膨張傾向を示すも のもあり、今後の膨張挙動に注意が必要である。超音 波伝播速度の相対速度変化率は、膨張傾向のみられた

K

O

H

N

a

Z

S

0

4、

N

a

O

H

M

g

S

0

4溶液浸潰で減少傾向がみられ るが、全アルカリ量9、6同/がと比べて膨張率の変化が 少なく、緩やかなため、急激な減少を示していない。 コンクリート中の全アルカリ量別の貯蔵

4

0

0

日の膨 張率を図8に示す。全アルカリ量

9

k

g

/

がの貯蔵

4

0

0

日 の膨張率は、

N

a

Z

S

0

4溶液では湿潤状態の約 1.9倍、

N

a

C

l

溶液で約1.

4

倍、人工海水、

N

a

O

H

K

O

H

溶液で約1.2倍 となっており、

N

a

Z

S

0

4溶液浸漬による膨張への影響が顕 著に現れている。全アルカリ量

6

k

g

/

皿3の貯蔵

4

0

0

日の 膨張率は、

N

a

C

l

溶液で湿潤状態の約1.

7

倍、

N

a

Z

S

0

4溶 液で約 1.3倍、水道水で約1.2倍とその影響が他の漫 漬溶液に比べて大きい。水道水浸演の膨張率が

9

6

k

g

/

が ともに高いことから、各浸漬溶液を構成する物質によ る膨張への影響の他に、供試体への水の供給による影 響も大きいと考えられる。また、

N

a

C

l

溶液浸演、水道 水浸漬において、全アルカリ量

9

k

g

/

がと

6

k

g

/

がの膨張 率に逆転が生じている。これは、漫漬溶液によって、 反応生成物の性質(岡

t

性、粘性等)に違いが生じ、膨張 一ιー湿潤 ---*ー水道水 --一人工海水 -+ー Naα溶液 ー#ー CaCI2溶液-0.ー NaOH溶液

----b-KOH溶液 -"-Na2S04溶液ー-o-MgS04溶液

0.8 0.7 トセメント・普通ボルトランドセメント

l

会アルカリ量:Na

Oeq 9kg/m' 0.6 ト │粗骨材・Yoチャート ~ 0.5 I 貯蔵温度 :40~C 崎 0.4 E 0 3 0.2 0.1 0.0 -0.1 110 安 105

1

骨11( 95

裏切

事 85 80

o

50 100 150 200 250 300 350 400 450 貯蔵期間(目) 図5 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率 ーιー湿潤 ---*ー水道水 ー且一人工海水 ー+-NaCI溶液 ー判ー CaCI2溶液--O--NaOH溶液 一世-KOH洛液 -"-Na2S04溶 液 ー<>-MgS04溶液 0.8 0.7 0.6 ~ 0.5 福尾

0.4 蝉 0.3 述 。.2 0.1 0.0 -0.1 110 ~ 105

1

富田

90 セメント:普通ポルトランドセメント 全アルカリ嚢:Na

Oeq 6kg/m' 粗骨材 Yoチャート 貯蔵温度 40'C 要 85ト 材 齢7自の縦波速度を100とする 80

o

50 100 150 200 250 300 350 400 450 貯蔵期間(日) 図6 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率

(6)

に及ぼす力に相違が現れ、膨張率の逆転という現象が 起こったのではないかと考えられる。コンクリート中 の全アルカリ量が同じでも、 9kg/m3の水道水、 MgS04溶 液およびCaCl~溶液、 6kg/がの CaClz溶液、 MgS04溶液の ように、湿潤状態の膨張率と同等ないし、湿潤状態よ りも小さな膨張準を示すものもあり、これらについて も、生成された反応生成物の性質の違いによる影響と 考えられる。 ーιー湿潤 --.1.ー水道水 _.._一人工海水

_NaCI溶液

→←

CaClz溶液ーι-NaOH溶液

--A-KOH溶液 ーι-NazS04溶液ー-<>--MgS04溶液

0.8 0.7 0.6 2主0.5 時 0.4 叫当

0.3 0.2 0.1 0.0 0守1 110 セメント!普通ボルトランドセメント 全アルカリ量 Na

Oeq3kg/m' 粗骨材 Yoチャート 貯 蔵 温 度 400C 匂 A V す レ L n u n u を 度 速 古 川 仇 縦 の 口 凶 7 齢 材 l ﹁ 5 0 5 0 5 0 0 9 9 E ( 日 ) 偽 記 側 悩 矧 寂 緊 80

o

50 100 150 200 250 300 350 400 450 貯蔵期間(日) 図7 コンクリート角柱供試体の膨張挙動と 超音波伝播速度の相対速度変化率 0.8

e

0.7

0.6 m 盛 0.5 G 回 0.4 o ~ 0.3 4引

0.2 盆 0.1

ロ;毘潤 圏NaCI溶液 国KOH溶液 鴎 水 道 水 白 人 工 海 水 殴CaClz溶液 園NaOH;容液 圏Na2S04;喜液 図MgS04溶液 セメント普通ポルトランドセメント 粗 骨 材Yoチャート 貯 蔵 温 度 400C 3kg/m' 6kg/m' 9kg/m' コンクリート中の全アルカリ量(Na

O換算) 図8 全アルカリ量別の貯蔵400日の膨張率 3ロ3 各種溶液に浸潰した コンクリート角柱供試体の表面観察 貯蔵370自の供試体表面観察結果と膨張率を表5に、 示す。貯蔵370日におけるNaCl溶液浸漬供試体の劣化 状況を写真1に、 CaClz溶液浸漬供試体の劣化状況を写 真2に、人工海水浸漬供試体の劣化状況を写真3に示 す。ひび割れは、全アルカリ量 9kg/がでは、水道水、 NaCl 溶液、 NaOH溶液浸漬供試体に多くみられ、全アル カリ量6kg/田3では、水道水、 NaCl溶液浸漬供試体に多 くみられた。全アルカリ量3kg/がでは、膨張率の高い KOH溶液、 NaOH溶液浸漬供試体以外は、ひび割れはみ られなかった。反応生成物は、人工海水浸潰供試体に 多くみられ、供試体表面に広範囲にわたって白色の生 成物がみられたが、その反面ひび割れは少なかった。 また、全アルカリ量9,6、3kg/がのすべてにおいてNaZS04 溶液浸漬供試体は、膨張率が高く、供試体表面の反応 生成物の付着量が少ないが、ひび割れはあまりみられ なかった。 MgS04溶液浸漬供試体は、供試体表面がザラ ザラで、ひび割れも反応生成物もみられなかった。そ の他の溶液に浸演した供試体では、供試体表面に付着 している反応生成物の量は少なかったが、ひび割れは 多く発生していた。これは、浸漬溶液の違いによって、 粘性や剛性が異なった反応生成物が生成され、その性 質の違いから膨張やひび割れ発生の程度に相違が生じ ると考えられる。 表5 貯蔵370日の供試体表面観察結果と膨張率 貯 蔵 状 態 全アルカリ量(Na

O換算) 6kg/m' 9kg/m' 3kg/m' 湿 潤 状 態 0.320 0.310 0.027 水道水

l...:.~~...~....I...~.:.:....l...~...l...二.ふ

j畳j責 0.346 0.383 0.022 人 工 海 水

l...:...l....~:....I....~.~....i....~~....l... 二 J

浸漬 0.429 0.317 0.020 1M NaCI I 目よ立…しょ...1町+++…..~...L

j

溶液浸j責 0.462 0.559 0.017 1 M CaCl

I

......+..+.....・ ・+ .......

I

1.......+ ...! .............a.............i.... 溶液浸j責 1M NaOH 溶液浸;責 1M KOH 溶液浸漬 1M Na

S04 溶液浸漬 0.107 0.027 0.375 .+...I...+...L...::...1...~...L....:: 0.391 0.309 0.119

ー L..~...L..::...l...~...L....::

0.419 0.318 0.244 + + + ・ + ...目...・ ‘ a・ ・・・ ... ・... 0.684 0.456 0.191 1M MgS04目 ;...1... 目 溶液浸漬

I

0.409

I

0.174

I

0.055 ・上段左ひび割れ、よ段右反応生成物、下段膨張率(%) ーひび割れ、反応生成物の程度多い〉中〉少ない=+++)++)+

(7)

各種溶液浸漬下におけるコンクリートのアルカリ骨材反応に関する研究 写真1 貯蔵370自における NaCl溶液浸漬供試体劣化状況 写真2 貯蔵370臼における CaCl,溶液浸潰供試体の劣化状況 写真3 貯蔵370自における 人工海水浸漬供試体の劣化状況 125

3

4

<シリーズ

TI-2>

各種溶液に浸漬した コンクリート角柱供誌体の高炉水砕スラグ粉末 による膨張抑制効果 各種溶液に浸潰した全アルカリ量

9

k

g

/

がの高炉水砕 スラグ粉末

5

0

%

混入コンクリート角柱供試体の膨張挙 動を図9に示す。全アルカリ量

9

k

g

/

m

3とコンクリート 内部の水酸化アルカリ量が多い場合においても、セメ ントに普通ポルトランドセメントのみを使用したとき 膨張率の高かったNa,S04、NaCl溶液漫漬をはじめ、い ずれの溶液に漫潰した供試体においても、高炉水砕ス ラグ粉末による膨張抑制効果があることがわかる。し かしながら、貯蔵 100日付近からわずかながら膨張増 加傾向がみられ、貯蔵約400日では湿潤状態、

M

g

S

O

.

溶 液浸演以外はs膨張率が

O

.1

%

を越えている。特に

K

O

H

溶液浸演では膨張率

O

.1

8

2

%

N

a

O

H

溶液浸演では

O

.1

6

5

%

となっており、長期間の貯蔵で膨張率が増加する可能 性がある。 │ 干j昆潤 十 水 道 水 干 人 工 海 水 ー+ーNaCI溶液 ー#ーCaCI.簿液ーι-NaOH溶液 ---b-KOH溶液 ーι-Na.SO.;害液ー~M~.溶液 F n O ﹃ j a v r a a 骨 内 d n L 4 1 A U nunUAU ︽ U n u n u n u n U ︽ U (揖)附柑岨誌面 セメント普通ポルトランドセメント +高炉水砕スラグ粉末(50目置換) 全アルカリ量:Na

Oeq 9kg!m3 粗骨材・Yoチャート 貯蔵温度:40'0

'

"

'

"

ー戸手#密会

r -0.1

o

50 100 150 200 250 300 350 400 450 貯蔵期間(日) 図9 高炉水砕スラグ粉末を混入した コンクリート角柱供試体の膨張挙動 にこコ普通ボルトランドセメントのみ 問題調菅通ボルトランドセメント+高炉水砕スラグ粉末50目置換 ーιー膨張抑制率 0.8 140 120 ~ 0.7

.

.

時 0.6

5

2

0

4

~ 03

2 1主0.1 0.0 全アルカリ量:Na

Oeq 9kg!m3 粗骨材:Yoチャート ( 揖 ) M 宵 宮 一 帯 呈 出 盛 内 U n u n U A U ︽ U 噌t n 6 n D 4 ・ 20 O MgSO. NaOH Na

SO. 図10 貯蔵約400日の膨張率と 高炉水砕スラグ粉末による膨張抑制率

(8)

全アルカリ量91cg/がにおける貯蔵約400臼の膨張率 と高炉水砕スラグ粉末による膨張抑制率を図

10

に示 すロ全アルカリ量9kg/がでは、高炉水砕スラグ粉末50% 置換による膨張抑制率は、 MgS04溶液で 88%、Na1S04溶 液で85、目NaCl溶液で75%となっている。普通ボルトラ ンドセメントのみ使用で膨張率の高いぬ,

S

0

4

溶液につ いては、特に抑制効果が大きいといえる。 各種溶液に浸潰した全アルカリ量 6kg/m3の高炉水砕 スラグ粉末 50%混入コンクリート角柱供試体の膨張挙 動を図11に示す。全アルカリ量 6kg/がでも全アルカ リ量9kg/がのときと同様に膨張は抑制されている。い ずれの溶液に浸潰した状態でも貯蔵約 400日の膨張率 はO.1%以下であり高炉水砕スラグ粉末による膨張抑制 効果があるといえる。 ーιー湿潤 一世ー水道水 一品一人ヱ海水

ー←-NaCI溶液 ー~CaCI ,溶液ーι-NaOH溶液

--fr--KOH溶液 - O -Na,SO,溶液ー-o--MgSO,溶液

0.8 0.7 0.6 ~ 0.5 民

0.4 t出0.3 i車0.2 0.1 セメント普遠ボルトランドセメント 十高炉水砕スラグ粉末(50出置換) 全アルカリ量 Na,Oeq6kg/m' 粗骨材Yoチャート 貯蔵温度40'C 同 司 唾 署 長 盛 0.0下 品 併 噌 。 .、宮 -0.1 o 50 100 150 200 250 300 350 400 450 貯蔵期間(目) 図11 高炉水砕スラグ粉末を混入した コンクリート角柱供試体の膨張挙動 4まとめ 本研究の結果をまとめると次のようである。 (1)NaCJ溶液、水道水、 NaOH溶液、 KOH溶液の膨張への 影響は早い時期から現れた。

(

2

)

湿潤状態の供試体では、膨張率の増加の時期と超音 波伝播速度の減少の時期が 致した。しかし、溶液 に浸潰した供試体の超音波伝矯速度の減少傾向は、 膨張率の増加傾向よりも約 40~50 日遅れて現れて おり、コンクリー卜内部の変状の影響が伝播速度に 現れにくい。 (3)貯蔵約400日では、いずれの溶液浸漬状態でも高炉 7.k砕スラグ粉末による膨張抑制効果があった。しか し、コンクリート内部の水酸化アルカリ量が多い全 アルカリ量 9kg/がの供誌体ではわずかながら膨張 傾向を示している。

(

4

)

浸漬溶液の違いによって、供試体表面に付着してい る反応生成物の量に違いが生じ、反応生成物が多く 付着している供試体にはひび割れが少なく、反応生 成物が少ない供試体にはひび割れが多かった。 謝辞 本研究の一部分は、(財)日東学術振興財団 (TheNi!10 Foundat i on)の助成金で行った。ここに謝意を表する。 参考文献 1)血井剛典、岩月栄治、森野套二:AARコンクリート供 試体の膨張とひび割れの関係、土木学会中部支部平 成 8年度研究発表会講演概要集、 pp.773-774、 1997. 3 2)皿井剛典、岩月栄治、森野套二:凍結防止剤がアル カリシリカ反応に及ぼす影響、土木学会第53回年次 学術講演会講演概要集、第5部、pp.198-199,1998.10 3)皿井剛典、岩月栄治、不破昭、森野室二:各種浸漬 溶液がアルカリシリカ反応に及ぼす影響、土木学会 中 部 支 部 平 成 10年 度 研 究 発 表 会 講 演 概 要 集 、 PP.559-560、1999.3 4)岩月栄治、森野歪二、不破昭、皿井剛典.各種溶液 に浸潰した ASRコンクリート角柱の膨張挙動、土木 学会中部支部平成 10年度研究発表会講演概要集、 pp.561-562、1999.3 5)野団幹夫、小川健、小柳治、川村満紀 凍結防止剤 散布環境下における ASRによるコンクリート構造物 の損傷状況調査、コンクリート工学、 Vo. 316、No.9, pp. 15-21、1998.9 6)岩月栄治、皿井剛典、森野釜二:長期間貯蔵したASR モルタルパーの膨張挙動と実構造物の劣化について、 土木学会第53回年次学術講演会講演概要集、第5部、 pp. 202-203、1998.10 7)岩月栄治、森野歪二、皿井岡

t

典:長期間貯蔵したASR モルタルパーの膨張に及ぼす反応性鉱物の影響、コ ンクリート工学年次論文報告集、 Vo 2.10、No.2、 pp. 943-948、1998 8)皿井剛典、岩月栄治、森野套二・高炉水砕スラグ粉 末及びフライアッシュの ASR長期抑制効果、土木学 会 中 部 支 部 平 成 9年 度 研 究 発 表 会 講 演 概 要 集 、 pp.723-724、1998.3 ( 受 理 平 成11年 3月20日)

参照

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