Database Center for Life Science Online Service 35) [Laboratory of Hepatitis Viruses II, Department of Enteroviruses, National Institute of Health, Ka

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特集〓肝炎ウイルスの分子生物学

C型 肝炎ウイルス斎藤 泉・宮村達男

永 いあ い だ探 し求 め られ て き た 血 液 伝 播 性 の 非A非B型 肝 炎 の 原 因 ウ イル ス と して のC 型 肝 炎 ウ イ ル ス が, よ うや くそ の形 を あ らわ して き た 。 ほ と ん ど の 輸 血 後 非A非B型 肝 炎 が こ の ウ イ ル ス に 起 因 して い る ら しい が, 散 発性 や流 行 性 の肝 炎 や肝 癌 に もか か わ って い る可 能 性 が 指 摘 され て い る。 ウ イル ス と して は, 一 部 フ ラ ビ ウ イ ル ス に 類 似 点 が 認 め られ る が, ま った く新 しい ウ イル ス で あ る。 こ の ウ イ ル ス 同 定 の 過 程 で 重 要 な 役 割 を果 た した 抗 体 ア ッセ イ系 が改 良 され, 輸 血 用血 液 の ス ク リーニ ング を ほ じめ, 実 際 の 予 防 対 策 も い ち は や く開 始 さ れ た 。

は じめ に 非A非B型 肝 炎 ウイ ル ス (non-A, non-B hepatitis virus ; NANBHV) に は, 主 要 な2つ の タ イ プ

が あ る。 血 液 伝 播 性NANBHVはB型 肝 炎 ウイル ス の 発 見 以来15年 間 にわ た っ て そ の本 体 が 追 い求 め られ て い たが, つ い に1988年 に 至 って 米 国 カ イ ロ ン社 の グル ー プ に よ っ てそ の遺 伝 子 が ク ロー ン化 され, C型 肝 炎 ウ ィル ス (hepatitis C virus ; HCV) と命 名 され た^<1,2)>。も う一 方 の 水 系 伝 播 性NANBHVは, 東 南 ア ジ ア な どで 局 地 的 に流 行 す る タ イ プ の肝 炎 を ひ き起 こす が, こ の ウ イ ル ス ゲ ノ ム も今 年 に な って 米 国CDCの グル ー プが, 遺 伝 子 の ク ロー ン化 を発 表 し, こち らはE型 肝 炎 ウイル

ス (hepatitis E virus ; HEV) と命 名 され た^<3)>。こ の両 ウ イル ス に関 す る研 究 は 現 在, 爆 発 的 な勢 い で進 み は じ め て い る。 本稿 で はわ が 国 に お け る重 大 な感 染 症 の原 因 で あ るHCVを 中 心 に, 筆 者 らの研 究結 果 も含 め て現 在 ま で の知 見 を ま とめ てみ た い。

I. 血 液 伝播 性 非A非B型

肝 炎 ウ イ ル ス

輸 血 後 肝 炎 の 原 因 と して 有 名 なB型 肝 炎 ウ イ ル ス (HBV) の抗 原 蛋 白質 検 出系 が 確 立 さ れ, こ の ウ イル ス を 含 む輸 血 用 血 液 が ス ク リー ニ ン グ で除 外 され る よ うに な った16年 前, これ で輸 血 後 肝 炎 は 解 決 す る の で はな いか と誰 もが考 え た。 しか し予 想 に 反 して, 輸 血 後 肝 炎 は半 分 に しか減 らな か った。 す な わ ちHBVの 保 因 者 数 (日本 人 全 体 の約2%) に 匹 敵 す る数 の 保 因 者 が い る よ うな別 の肝 炎 ウイ ル ス が存 在 す る こ とが, こ の時 点 で 明 らか に な った 。 そ れ 以来 昨年 ま で, わ が 国 で は 全 輸 血 例 (平均 輸 血 量10数 単 位) の10∼20%, 年 間20万 人 の 輸 血 後 肝 炎 が発 生 して い た。 そ の 実 に95%が 非A非B 型 肝 炎 で あ る。 しか も, 急 性 非A非B型 肝 炎 は 高 率 (約 30∼50%) に 慢 性 化 し, 10年 以 上 の 経 過 を 経 て 肝 硬 変 ・肝 癌 に移 行 す る例 が か な りみ られ る。 この こ とは, 成 人 後 に感 染 した 場 合, 急 性 肝 炎 に な って も慢 性肝 炎 に 移 行 す る こ との な いHBと は 対 照 的 で あ り, よ り悪 性 で あ る とい え る。 輸 血 を受 け る患 者 は, それ ぞ れ 輸 血 を 受 け な けれ ば 生 命 が 直 接 脅か され て い る状 態 に あ る。 こ の 危 機 に対 処 す るた め の純 然 た る 医療 行 為 が, 逆 に 高 率 に 輸 血 後 肝 炎 とい う医原 性 疾 患 を も た らす とい う こ とは, 肝 炎 の予 後 の悪 さ に加 え て, 原 疾 患 の 治療 対 策 に もか か

Izumu Saito, Tatsuo Miyamura, 国 立 予 防 衛 生 研 究 所 腸 内 ウ イル ス 部 ・肝 炎 ウ イル ス第II室 (〒141 東 京 都 品 川 区 上 大 崎

2-10-35) [Laboratory of Hepatitis Viruses II, Department of Enteroviruses, National Institute of Health, Kamiosaki,

Shinagawa-ku, Tokyo 141, Japan]

Hepatitis C Virus

Key word 【C型 肝 炎 ウ イル ス】 【非A非B型 肝 炎】 【cDNA】

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46 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 12 (1990) わ り, 輸 血 後 肝 炎 対 策 は, 現 代 医療 の最 大 の問 題 点 のひ とつ であ った 。 こ の輸 血 後 肝 炎 の 原 因 とな るHCVの 遺 伝 子が つ い に 分 離 され た 。 日赤 は世 界 に先 駆 け て1989年 か ら, カ イ ロ ン社 で開 発 され たHCV特 異抗 体 検 出 法 に よ り輸 血 用 血 液 の全 ス ク リー ニ ン グに 踏 み切 った 。 これ に よ り, 今 年 か ら輸 血 後 肝 炎 は 少 な く と も半 減 し, 年 間10万 人 が 輸 血 後 肝 炎 を免 れ る こ とに な る と期 待 され て い る。

II. HCV探

索 の歴 史

-カ イ ロ ン社 に よ る ク ロー ン化 ま

で-HCVが 同 定 さ れ る まで に 実 に長 い 道 程 が 必 要 だ っ た 。 当初 は, HBV発 見 の方 法 論 を踏 襲 してNANBH患 者 や 供血 者 の血 中 に存 在 して い る ウイ ル ス 特 異 抗 原 を 抗 原 抗 体反 応 に よ り検 出 しよ うと数 多 く の試 み が な され, それ らの 報 文 も 枚 挙 に い と ま が な い^<4)>。しか し, そ の す べ て は, 再 現 性 ・特 異 性 を 欠 き, こ う し た 方 法 で NANBHの 原 因 ウ イル ス と して のHCVを 同 定 す るに は 至 らな か った 。 も ちろ ん 種 々 の培 養 細 胞 や 実 験 動 物 を用 い てNANBHVを 直 接 分離 しよ うとす る正 攻 法 の試 み も数 多 くな され た 。 必 ず しも実 る こ と のな か った お び た だ しい試 み の 中 で 垣 間 み え るNANBHVの 本態 に つ い て, い つ しか ひ とつ の 通 念 が 形成 され て い った 。(1) 血 中 に 存在 す るNANBHV粒 子 の 量 は ご く 微量 で, (2) これ に 対 す る 抗 体 の 誘 導 も 効 率 が 悪 い, (3) そ も そ も NANBHは 除 外診 断 に よ る の で, 必 ず しも 単 一 の 因 子 に よるわ け で は な い。 した が っ て抗 原 抗 体 反 応 を用 い る 原 因 ウイ ル ス の 分 離 ・同 定 は きわ め て困 難 であ る と。 い まHCVの 正 体 が 明 らか に され つ つ あ る とき, ふ り か え って み て 研 究 の過 程 で重 要 だ と思 わ れ る2つ の こ と を と く に記 す 。1つ は, 1970年 代 か ら厚 生 省 の肝 煎 りで 輸 血 後肝 炎 研 究 班 (片山透班長) が 組 織 さ れ, 全 国 の輸 血 後肝 炎 発 生 率 が た ん ね ん に 調 べ られ て いた 。 臨床 所 見 と 除 外 診 断 に た よ らぬ ば な らな い 輸 血 後NANBHの 診 断 基 準 を提 唱 し, そ れ が 日本 消 化 器 病 学 会 の新 しい 診 断 基 準 と定 め られ た (表1)。 た い て い の 輸 血 は 手 術 に 伴 うの で, 種 々の 術 後 肝 障 害 をは じめ とす る他 の原 因 に よ る肝 機 能 異 常 と明 確 に 区 別 して お くこ と は, きわ め て 意 義 の あ る こ とで, 次 に 述 べ る患 者 血 清 の収 集 ・保 存 ・解 析 と と もに この 研 究 班 がHCVの 同 定 に果 た した 役 割 は きわ め て 多 大 な もの が あ る。 も う1つ は, 唯 一 のNANBH 実 験 動物 で あ る チ ンパ ン ジ ーを用 い た 感 染 実験 が, ご く か ぎ られ た グル ー プに よ り地 道 に な され て い た こ とで あ る。 主 と して 米 国 のCDCやNIHの グル ー プに よ り次 の よ うな こ とが 明 らか に され た^<5∼9)>。 (1) 感 染 ざせ た ウイ ル ス量 に対 応 す る一 定 の 潜 伏期 を 経 て, 肝 機 能 異 常 を 伴 う明 らか な肝 炎 を チ ンパ ン ジ ーに 発 症 させ る こ とが で き る。 (2) 感 染 チ ンパ ン ジ ーの肝 細胞 に は, 細胞 質空 胞 化, 管 状 構 造 物, 屈 曲 した 小 胞体 の 出現 とい った 一連 の特 徴 的 な 電 顕 像 が み られ る。 (3) 血 中 に は 含 まれ る ウイ ル ス 力価 は, た か だ か10^3 CID_<50> (チ ンパ ンジ ー感 染 単 位)/ml で, 108CID_<50>/mlを こえ る こ とが まれ で な いHBVよ りは るか に 低 い 。 (4) ホル マ リン処 理 (1 : 1000, 37°96時 間 また は 1 : 2000, 37°72時 間) や, 100°5分 ま た は60℃ 10時 間 の 加 熱 処 理 で 不 活 化 さ れ る。 (5) ク ロ ロ ホ ル ム (10∼20%, v/v) 処 理 で 感 染 性 を 失 う。 (6) 80nmの フ ィル タ ー を通 過 す る。 (7) シ ョ糖 密 度 勾 配 法 で の 沈 降 係数 は200∼280Sで あ る。 (8) 感 染 後 はHBVに 比 べ 高 率 に (∼20%) 持 続 感 染 状 態 が成 立 す る。 これ ら の諸 性 質 か らCDCの Bradley は い ち は や く NANBHVは 表 面 に 脂 質 を 有 す る小 型 の エ ンベ ロ ー プ ウ イ ル ス であ り, (も し既 知 の ウイル ス に そ の類 似 を 求 め る な ら) トガ ウイ ル ス また は フ ラ ビ ウイ ル ス に 近縁 な もの では な い か と提 唱 して いた 。 実 際, 今 回 カイ ロ ン社 の グ ル ー プが ク ロ ー ン化 に成 功 して い た 出 発 材料 は Bradley に よ っ て感 染 性 が 示 され, 10^6CID_<56>/mlとい う異 常 な 高 力 価 の チ ンパ ンジ ー血 漿 で あ った が, ウイ ル ス濃 縮 の条 件 は Bradley の この 仮 説 に 基 づ い て 行 な わ れ た 。HCV の ク ロー ン化 の成 功 に は い くつ か の条 件 が あ った が, こ 表1. 輸血後 非A非B型 肝炎 の診断基準 (日本消化器病学会1985年) 1) 輸血患者については, 輸血後2週 ごとに少 な くとも, 3カ 月以上の追 跡調査 を行な うべきである。2) 肝 炎発症後3カ 月 以上にわた ってS-GPT値 の異常が持続 する症例については, 非B型 肝炎を意識 して診断する。 2118

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の均 一 で大 量 しか も高 力 価 の チ ンパ ン ジ ー血 漿 を 出 発材 料 に用 いた こ とはそ の最 大 の も の とい って よい だ ろ う。 表2に 現 在 ま で に知 られ て い るHCVの 諸 性 質 を, 近 縁 のア ル フ ァ ウイル ス, フ ラ ビウ イル ス と比 較 した^<10)>。 カ イ ロ ン グル ー プ に よ るcDNAク ロー ン化 の戦 略 を 図 1に 示 す 。 前 述 した よ うに, 患 者 血 中 の抗 体 を 用 い てス ク リー ニ ン グす る とい う戦 略 をNANBHVのcDNAク ロー ニ ン グに応 用 す る に は, そ れ 以 前 の数 多 くの否 定 的 な結 果 の蓄 積 が や は り背 景 に あ る し, また, こ の よ うに して得 られ る最 初 の クロー ンが め ざすHCVの ゲ ノ ム由 来 で あ る こ とを証 明す る に は, い った ん 候 補 ク ロ ー ンが とれ た あ と, さ ら に膨 大 な 確 認 実 験 を 必 要 と した 。 現 実 に は こ の免 疫 学 的 ク ロ ー ニ ン グ で得 られ る ク ロ ー ンの 大 半 は, 宿 主 細 胞 の ゲ ノ ム由 来 で あ る。 は じめ に 得 られ た わ ず か155bpの5-1-1ク ロー ンを足 が か りに, cDNA ライ ブ ラ リーか ら遺 伝 子 ウ ォーキ ン グ法 に よ り次 節 で述 べ る よ うな全 長 のHCV cDNAが 得 られ て, これ と平 行 して, は じめ の5-1-1を 含 むcDNA断 片 (あ とでNS3 か らNS4に か け て の領 域 と判 明) を, は じめ の 大腸 菌 の発 現 系 か ら酵 母 の そ れ へ と移 す ご とに よ って, よ り大 量 の抗 原 (C100抗 原) を得, これ を 用 い た 抗体 ア ッセ イ系 が つ く りあげ られ た (抗HCVア ッセ イ)。 そ して こ のC100抗 原 は, 別 の 研究 者 に よ って ま った く独 立 に NANBHと 同 定 され てい た患 者 の 血 中 抗体 と 反 応 す る こ とが 確 か め られ た。 この とき 用 い られ た パ ネル 血 清 が, Bradley らに よる チ ン パ ン ジ ー血 清^<2)>, NIHの Alter らに よ って 感 染性 の ウイル ス の存 在 を確 認 され た 表2. HCVと ア ル フ ァ ウイ ル ス, フ ラ ビ ウ イル ス の比 較^<10)> 図1 HCVゲ ノム同定のための戦略

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48 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 12 (1990) 患 者 血 清^<11)>, そ してわ が 国 の片 山 ら に よ っ て収 集 され て い た 輸 血 後 肝 炎 患 者 お よび それ ぞれ の患 者 に実 際 に輸 血 され た 供 血 者 のパ イ ロ ッ ト血 清 で あ る^<12,13)>。 図2に 実 際 の輸 血 後 肝 炎 例 を示 す 。 手 術 お よび輸 血 を う け てか ら約1カ 月後 に 発 症, 多 峰性 のGPT異 常値 が 約1年 つ づ い た あ と, 慢 性化 し現在 に 至 って い る典型 的 な輸 血 後NANBH例 であ る。 こ の患 者 に抗C100抗 体 が み つ か った 。 この 例 で は, 抗体 が産 生 され る まで に ほ ぼ1年 か か って い るが, い った ん 獲 得 され た 抗体 は 現在 に至 る も持 続 して い る。 こ こで と くに重 要 な の は, こ の ケー ス で は28単 位 の輸 血 が な され, そ の うち の1人 の 血 液 に も この抗 体 が検 出 され た こ とで あ る。 この ケ ー ス を 含 め, 国立 療 養 所 東 京 病 院 と国立 仙 台病 院 で収 集 され て い た輸 血 後NANBHの 患 者 とそ の供 血 者 血 清 の解 析 結 果 を表3に 示 す。 この よ うに して調 べ られ たHCV抗 体 は 通 常 の ウイ ル ス 中和 抗体 で は な く, この 抗体 の存 在 が 感 染 性 の ウイ ル ス の 存 在 と対 応 して い る こ とが示 唆 さ れ た 。 一 方, 健 常 献 血 者 にお け る検 出率 は約1.2%で 図2. 輸 血 後 肝 炎 の 一 例 表3. 輸血後非A非B肝 炎23例 の臨 床像 と生 化学的所 見 a) 輸血から発症 までの期間 (GPTの 最初の上昇), b) GPT値 (カ ル メ ン単 位), c) HCV保 因者 。

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あ った 。 こ の こ とは, この ア ッセ イ 系 がNANBHVの キ ャ リア を検 出 し うる こ と を意 味 した 。 1988年 秋, 米 国 ワシ ン トンでCDC, NIHそ して こ の 筆 者 らの デ ー タが も ち寄 られ, カ イ ロ ン社 の得 たcDNA 断 片 が 長 年 追 い求 め られ て いたNANBHVの ゲ ノ ム 由 来 で あ る こ とをお のお のが 確 信 した 。 こ の ご く少 数 に よ る ミー テ ィ ン グはHCVの 研 究 史 上 特 筆 す べ き も の とな った^<14)>。そ の後 カ イ ロ ン グル ー プ は, 一 方 では 遺 伝 子 ウ ォー キ ン グ法 に よ りこ のcDNAを さ らに 拡 張 させ て そ の ウ イル ス ゲ ノ ム構 造 を 明 らか に し (次 節 参 照), も う 一 方 で は数 多 くの協 同 研 究 に よ り汎 地 球 レベ ル でC100 抗 体 ア ッセ イ の普 遍 性 を 調 べ られ は じめ た 。HCVが 真 にNANBHの 原 因 ウイ ル ス と して 位 置 づ け られ るた め

の 明確 な ゴ ール が は じめ て 具体 的 な形 を あ らわ した 。III. 病態・血清疫学こうしてC100抗体によるHCV抗体アッセイは, このアッセイの抗原蛋白質をコードしているcDNAがHCVゲノムに由来することを示したのみならず, HCVに関する血清疫学の幕がひらいたことを意味した。わが国では近年, 肝癌が徐々に増加しているが, そのうちでもHBVの感染マーカーが示されない, いわゆる非B型肝癌が増えている。大林 (東京病院), 太田ら (愛媛大学)により以前から収集されていた肝癌患者の70%にこのHCV抗体が検出された。大林らによって収集されていたものの中には, アルコールの摂取量が1日5合以上で日本酒を10年以上飲みつづけていたという事実とその剖検肝所見から, アルコール性肝硬変に伴う肝癌と診断されていた数多くの症例が含まれていたので, 筆者らはこれを当初, 陰性対照として評価するつもりであった。しかし現実には意外にもこのような一群の人々にもHCV抗体は同じような頻度で認められた^<15)>。さらにHCV抗体が陽性の肝癌患者の肝癌組織中に, PCR法によりHCVゲノムが検出されることもわかり, HCV感染が肝癌とも何らかの形でかかわっている可能性が示された^<16)>。1989年1月以降は, 日赤の西岡を中心に数多くの病院や血液センターで収集されていた膨大な血清試料のHCV抗体検査がいっせいに開始された^<17)>。当時世界中にカイロン社がオルソ社を通じて供給できる量の実に50%以上が日赤に提供されたといわれている。世界に先がけて日本で輸血用血液のスクリーニングに適用されるに至ったのは, わが国での輸血後NANBHが社会的にもっとも重要な感染症という背景もあるが, 西岡らに よ る精 力 的 な検 査 とそ の精 緻 な解 析結 果, そ して 吉 原 ら (国 立 予 研) の ア ッセ イ系 の 評 価 に よ り, 世 界 で い ち は や く, こ の抗 体 検 査 の有 用 性 が 日本 で示 さ れ た こ とに 帰 す る こ とが で き るだ ろ う。 同時 に この検 査 で, HCVの 疫 学 上 重 要 な こ とが 次 々 に見 い だ され た。 た とえ ば健 常 な20歳 以 下 の年 少 者 に抗 体 が ほ とん ど検 出 さ れ な い こ とや, 輸 血 以 外 に 感 染 のル ー トが あ る こ と, 日本 で そ れ ま で流 行 性NANBHと され て いた 特 定 の地 方 で 多 発 し た肝 炎 もや は りHCVが 原 因 で あ った こ とで あ る。ま た, HCV感 染 が こ の検 査 に よ りき ち ん と分 別 され る よ うに な り, イ ン タ ー フ ェ ロン治 療 が 効 果 的 であ る こ とも示 さ れ て い る^<18,19)>のは光 明 で あ る。 IV. HCVの 分 子 生 物 学 1. 研 究 の 現 状 現 在 ま で に ゲ ノム が ク ロ ー ン化 され た ウ イル ス で は, 多 か れ 少 なか れ まず ウイ ル ス 学 的 な 検 討 が な され, ウ イ ル ス蛋 白質 が 同定 され, また ほ とん どの 場 合 に ウ イル ス を増 殖 させ る こ との で き る細 胞 培 養 系 が樹 立 され て, ウ イル ス の増 殖 過 程 が あ る程 度 研 究 され て い た 。 しか しC 型 肝 炎 ウ イル ス の場 合 は, これ らの前 段 階 を す べ て 飛 び 越 え て (こ れ ら の情 報 が 得 られ な か っ た た め に, こ の ウ イ ル ス の ク ロー ン化 は15年 間 で き なか った わ け で あ る が), 何 よ りも さ きに まず ウイル ス ゲ ノムが ク ロ ー ン化 され た わ け で, お そ ら くウ イル ス学 上 で も初 め て の ケ ー ス で あ ろ う。 しか も こ の快 挙 を な し とげ た のが 国立 の 研 究所 や 大 学 では な く, ベ ンチ ャ ー ビジ ネ ス の1会 社 だ っ た こ とが, この2年 間 のHCV研 究 の進 展 を さ らに 特 異 な もの に して い る。 コ ー ドす る蛋 白質 につ い て ま っ た く ウイ ル ス 学 的 な 検 討 が 報 告 され な い ま ま に, HCV特 異 的 な実 用 的 抗体 検 査 法 だ け が 忽 然 と して現 わ れ, す で に 市 販 ま で され て い る一 方 で, 全 塩 基 配 列 の論 文 発 表 は本 稿 を書 い て い る時 点 で も依 然 と して行 な わ れ て い な い。 この間, 論 文 発 表 に 先 行 して 今 か ら1年 前 の6月 に は 全 塩 基 配 列 の7割, 約7kbが ヨ ー ロ ッパ 特 許 の公 開 (特 許 出願 後1年) とい う, 必 ず し も科学 的 で は な い 形 で情 報 が 流 れ, 一 部 で は他 の研 究 者 が この 特許 番号 を 引 用 文 献 と して論 文 を発 表 す る とい う, 学 術上 理 想的 とは いえ な い 展 開 とな っ て い る (これ が許 され る な らば, そ の う ち 科 学 者 は レビ ュ ー の あ る学 術雑 誌 に で は な く, レビ ュ ーな く受 け つ け られ る特 許 で 自分 に 都 合 の よい デ ー タを 発 表 す る こ とに な ろ う)。 筆 者 らは カ イ ロ ン社 との 協 同 研 究 を通 じて得 られ た ク ロー ンの塩 基 配 列 はた だ ち に そ

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50 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 12 (1990) のつ ど論 文 発 表 を 行 な って お り (実 際1989年12月 に 論 文 発 表 した 筆 者 らの塩 基 配列 が, カ イ ロ ン社 を含 め て 特 許 情 報 に よら な い 正統 的 な 最初 の, ま た現 在 の と ころ 唯一 の論 文 で あ る), これ が カ イ ロ ン社 の 論 文 発 表 を 早 め る強 力 な要 素 とな って い るの であ るが, 全 塩 基 配列 の 発 表 が これ だ け遅 れ た のは, 世 界 の この 分 野 の 研 究 者 ・ 患 者 に と って も, 協 同 研 究 を 行 な った 筆 者 らに と って も 不本 意 で あ った 。 も ち ろ ん カ イ ロ ン社 の成 功 な く して は 現 在 のHCV研 究 は な か った で あ ろ う し, 成 功 の保 証 の な い こ の仕 事 に6億 円 を投 じた といわ れ る カ イ ロ ン社 の 企 業 と して の権 利 は尊 重 され ねば な らな いが, 全 塩 基 配 列 の発 表 前 夜 とい う現 在 の状 況 で は, 依 然 と して充 分 な ウ イル ス学 的 な 全 体 像 を描 き 出す とこ ろ ま で い っ て い な い のが 残 念 であ る。 2. C型 肝 炎 ウ イ ル ス の遺 伝 子 構 造 Choo らが ク ロ ー ン化 した, チ ンパ ンジ ー で実 験 的 に 継 代 され たHCVは, 全 長 約10kbの プ ラス鎖RNA ゲ ノ ム を もつ ウ イル ス で あ った^<1)>。ゲ ノム の ほぼ 全 長 に わ た っ て, 約3,000ア ミノ酸 か らな る大 き な蛋 白質 を コ ー ドで き る読 み 取 り枠 (open reading frame ; ORF) が み られ るが, これ は 一 般 に プ ラス鎖RNAウ イル ス に み られ る前 駆 体 蛋 白 質 (polyprotein) で あ る。塩 基 配列 ・ ア ミノ酸 配 列 の 相 同 性 を 既 知 の ウイ ル ス と比較 して も, 後 で述 べ る 一 部 の 弱 い 相 同性 以 外 に は, 明 白な 相 同 性 は 見 い だ され な い 。 しか し, ア ミノ酸 配 列 の疎 水 性 曲 線 (hydropathy profile) が 既 知 の フ ラ ビウ イル ス とあ る程 度 類 似 してい る こ とか ら, フ ラ ビウ イル ス類 似 の遺 伝 子 配 置 が 想 定 され て い る。 フ ラ ビ ウイル ス で は, 1本 鎖RNAの ゲ ノム は, そ れ 自体 が大 き な前 駆 体蛋 白 質 を コ ー ドす るmRNAと して 働 く。 約3,000か ら4,000ア ミノ酸 の前 駆 体 蛋 白質1 種 類 だ け が合 成 され, こ れ が 細 胞 内 の酵 素 (シ グナ ラ ー ゼ ; signalase) お よび この蛋 白質 自体 に 内在 す る酵 素 活 性 に よ り特 異 的 に切 断 され, お め お の の機 能 を も った 蛋 白質 が 生 成 され る。す な わ ち ウイル ス ゲ ノム の5'末 端 か らC (コ ア), M (マ トリ ッ クス), E (外皮 ; エ ンベ ロー プ) の構 造 蛋 白質 (ウ イル ス粒 子 の構 成 蛋 白質) が あ り, さ ら に5種 類 の非 構 造 蛋 白質 (non-structural 蛋 白質, NS1か らNS5ま で) が 並 ぶ (図3)。 非 構 造蛋 白質 の 機 能 は フ ラ ビウ イル スで も まだ よ くわ か って い な い が, NS3はRNAヘ リ カ ー ゼ, NS5はRNA依 存 性 RNAポ リメ ラ ー ゼ (レ プ リカ ーゼ) と も考 え られ て お り, とも に ウ イル ス ゲ ノ ム の複 製 に 必 須 で, 塩 基 配 列 ・ ア ミノ酸 配 列 が 比 較 的 よ く保 存 され てい る こ とが 想 定 さ れ る。 実 際, 相 同性 の検 索 に よる と, HCVは このNS 3・NS5領 域 で, フ ラ ビノ ウ イル ス科 フ ラビ ウ イル ス属

の黄 熱 ウイル ス (yellow fever virus ; YFV), ダ ニ脳 炎 ウイル ス (tick-borne encephalitis virus ; TEV) や, ペ ス チ ウイル ス属 の ウ シ の ウイル ス性 下 痢 症 ウ イル ス (bovine viral diarrhea virus ; BVDV) と, ア ミノ酸 レ ベル で わず か な 相 同 性が 認 め られ る。 しか しな が ら, HCVは 一 方 で これ ら の ウ イル ス と参 な り違 って お り, ま った く新 しい ウイル ス と して分 類 さ れ る可 能 性 が あ る。 た とえ ば, これ らの ウイル ス で は ゲ ノ ム の3'末 端 に は ポ リAが 付 い て い な いが, HCVの ゲ ノ ムは オ リ ゴdTで あ る程 度 濃 縮 され る こ とが 知 られ て お り, 依 然 と して ポ リAが あ るの か な い の か 決 着 が つ い て い な い。 フ ラ ビウイ ル ス は, 蚊 ・ダ ニな ど の昆 虫 で媒 介 され る が, HCV抗 体 保 有 率 に は 地 域 差 が み られ ず, 昆 虫 に よる 媒 介 は あ ま り あ りそ う も な い (そ も そ も HCVの 天 然 の感 染経 路 は, 依 然 と して謎 で あ る)。一 般 に1本 鎖RNAウ イル ス の感 染 症 は一 過 性 であ るが, こ の ウイル ス は20年, 30年 の間 持 続 感 染 が 成 立 し, しか 図3. HCVの ゲ ノ ム と ク ロ ー ン化 され たcDNA 2122

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も肝 癌 発 症 とか か わ るな どそ の生 活 環 は 他 に 類 例 を み な い。 さ ら にHCVゲ ノム 構造 の最 大 の 特 徴 は, ア ミノ 酸 の疎 水 性 曲線 で推 測 され る構 造 遺伝 子領 域 が きわ め て 短 い こ とで あ る。 フ ラ ビウ イル ス のM・E遺 伝 子領 域 を合 わ せ た 領 域 が, HCVで は3分 の1程 度 の 大 き さ し か な い よ うにみ え る。HCVの エ ンベ ロ ー プ蛋 白 質 が, 本 当 に こ の よ うに 他 の ウ イル スが よ り 小 さい のか 否 か は, 今 後 の ウ イル ス学 的 検 討 に待 た ねば な らな い 。 HCVの 分 類 学 上 の 位 置 が 定 ま らな い も う1つ の 理 由 は, フ ラ ビウ イル ス科 の分 類 自体 が まだ不 確 定 な た や で あ る。BVDVや ブ タ コ レラ ウイ ル ス (hog cholera vi rus)の 属 す る ペ ス チ ウイル ス属 は これ ま で, ア ル フ ァ ウイ ル ス科 に 分 類 され て い た が, ゲ ノム構 造 が 明 らか に フ ラ ビ ウ イル ス科 に類 似 して お り, 再 分類 が提 唱 され て い る。 お そ ら く今 後 数 年 に して, HCVは 集 中 的 に 研 究 され, こ の領 域 で も っ と も研 究 の進 ん だ ウイ ル ス に な る であ ろ う。 3. 日本 の 健 康 保 因 者 か ら ク ロー ン 化 さ れ 牟HCV cDNA す でに 述 べ た よ うに, カイ ロ ン社 で ク ロ ー ン化 され た HCVゲ ノム のcDNAは, 汚 染 され た 米 国 の ヒ ト第VIII因 子 血 液 製 剤 に 由来 す る こ の ウ イル ス を, チ ンパ ンジ ー で 2代 継 代 した の ち に ク ロー ン化 した も の であ る。 これ に 対 して筆 者 ら は チ ンパ ンジ ー で継 代 す る こ とな く, 直 接 ヒ トの (しか も 日本 人 の) 健 康 保 因 者 の血 漿 か ら ウ イル スcDNAを ク ロー ン化 した^<20)>。 実 際 に輸 血 に用 い られ, 輸 血 後 肝 炎 を 発 症 させ た と思 わ れ る血 液 を 同定 し, そ の供 血 者 の血 漿 か らRNAを 抽 出 した 。 一 方 で, カ イ ロン社 と の共 同 研 究 に よ り供 与 さ れ た 彼 らの ク ロー ンの全 塩 基 配 列 を も とに, NS3領 域 を最 初 の タ ー ゲ ッ トと して い くつ も の プ ライ マ ーを 合 成 し, cDNA合 成 とPCR法 に よ る増 幅 を 次 々に試 み た 結 果, 583塩 基 の 日本 のHCVのcDNA配 列 を も つ DNA断 片 が増 幅 され て きた 。 これ を プ ラス ミ ドに ク ロ ー ン化 して, そ の塩 基 配 列 を 決 定 し, カ イ ロ ン社 ク ロー ンの塩 基 配 列 と比 較 した 。 こ の結 果 は1989年 の 最後 の 号 の Nucleic Acids Research 誌 に, カ イ ロ ン社 の研 究 者 を含 む11名 の 著 者 で 掲載 さ れ た が, こ のわ ず か6ペ ー ジ の論 文 は以 下 に述 べ るい くつ か の 点 でHCV研 究 の歴 史 に 残 る重 要 な 報 告 とな った^<*1>。 (1) こ の研 究 が 日本 のHCVの 塩 基 配 列 だ け では な く カイ ロ ン社 の 塩 基 配 列 を 含 め て も, HCVの 塩 基 配 列 が 世 に 出た 最 初 の論 文 で あ る (こ の 時 点 で す で に カイ ロ ン 社 の塩 基 配 列 の一 部 は公 開特 許 と して 人 の知 る と ころ と な って い た が, 正 式 な論 文 発 表 は 本 稿 を 書 い て い る時 点 で も まだ 行 な わ れ て い な い)。 (2) チ ンパ ン ジ ー を継 代 せ ず, ヒ トの材 料 か ら直 接 ク ロ ー ン化 され た 初 め て のHCVの 塩 基 配列 で あ る。 (3) この ク ロ ー ン化 の重 要 な 目的 は, 輸 血 後 肝 炎 の 原 因 とな った と思 わ れ る血 液 が 実 際 に ウイル ス粒 子 を構 成 す る ゲ ノ ムを 含 ん で い るこ とを証 明す る こ とに あ った 。 C100抗 体 陽 性 の血 液 が 高 率 に輸 血 後 肝 炎 を ひ き起 こす とい う疫 学 的 な 研 究 結 果 は, この抗 体 ア ッセ イ法 に よ り す べ て の輸 血 用 血 液 をた だ ち に ス ク リー ニ ン グす べ きで あ る とい う考 え に発 展 した が, そ の実 施 に あ た って は こ の高 価 な ア ッセ イ法 をた いへ ん な手 間 を か け て全 輸 血 用 血 液 に適 用 す る (国 民 の 負担 で) に足 る根 拠 が 必 要 で あ った 。た とえ ばC100抗 体 が 中和 抗 体 な らば ウ イ ル ス は す で に血 液 中 か ら駆 逐 され て い る はず で あ り, 上 記 の 疫 学 的 な結 果 は説 明 で き な い。 この抗 体 は 中和 抗 体 で は な く, こ の抗 体 陽 性 の血 液 に は 感染 性 のHCVウ イ ル ス が 実 際 に存 在 す る こ とを示 す, 考 え うる か ぎ りの ベ ス トの 材 料 を 以 下 の よ うに選 択 した 。 輸 血 後肝 炎 を 発 症 した 一 症 例 で, 実 際 に輸 血 され た6 本 の血 液 の うち の1本 がC100抗 体 強 陽 性 で あ った 。そ の1本 の供 血 者 (J1) か ら も う一 度 採血 して得 られ た 血 液 を ク ロー ン化 の材 料 に 用 い た。 こ の血 液 もC100抗 体 は 強 陽 性 であ った 。 実 際 に こ の血 液 か らHCV cDNAが ク ロ ー ン化 され た こ と に よ り, C100抗 体 陽性 血 液 に は 本 当 に 輸 血 後 肝 炎 を ひ き起 こす ウイ ル ス粒 子 が 含 まれ て い る こ とが 確 実 とな った 。 この 実 験 結 果 はC100抗 体 に よ る 全輸 血 用 血 液 の ス ク リー ニ ン グが 世 界 に 先駆 け て, 日本 で実 施 され る に 至 った根 拠 の ひ とつ とな った 。 (4) この 日本 の ヒ トの 材 料 か ら ク ロー ン 化 さ れ た HCVの 塩 基 配 列 は, チ ンパ ンジ ー で継 代 され た 米 国 の HCVの 配 列 と80%し か 相 同 で なか った 。す な わ ち, こ の2つ の ウイ ル ス株 の ゲ ノム は厳 密 な 条件 で は相 互 に ハ イ ブ リ ダイ ズ しな い ほ ど違 って い た。 この点 は後 述 の よ うに, 日本 のHCVは 米 国 の とは別 の ウイル ス型 と して *1 この クロー ン化の研究は, 筆者らの研究室に1989年3月 以降加わ った3人 の若い研 究者 (1人 はタイ国の留学生) に よって行 なわれ, カイ ロン社か らの塩基配列の供与 が5月 末であ り, 9月 には研究が完成 し, 12月 には論文が掲載 された。筆頭著者の 久保は神経生理学の分野か ら, 3月 か ら9月 のわずか半年だけ遺伝子技術の習得の 目的で来 て, この研究を して この分野か ら去 ってい った。若 さ とチ ャンスを活かす集 中力があれば, 新 しい 分野で も短期間に よい研究が できる好 例 としてあえて紹 介す る。 2123

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52 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 12 (1990) 分 類 され, 別 な ワ クチ ンが将 来 必要 に な るの で は な いか とい う可 能 性 を 示 して い る。 も う1つ の可 能 性 は, カ イ ロ ン社 の分 離 したHCVは チ ンパ ンジ ー で継 代 した 間 に 大 き く変 わ って しま っ て い る の で は な いか とい うこ とで あ る。 そう だ とす れ ば, 筆 者 らの よ うに ヒ トか ら直 接 分 離 した ク ロー ンの ほ うが は るか に有 用 性 が高 い とい う こ と にな る。 こ の2つ の可 能 性 は, 現 在 の と ころ米 国 の ヒ トの材 料 か ら ク ロー ン化 され た 配 列 が発 表 され て い な い た め, 決 着 が つ い て い な い。 (5) 塩 基 配 列 が80%し か 相 同 で な い に も か か わ ら ず, ア ミノ酸 配 列 は92% (性質 の似 た ア ミノ酸 を 同 じ と み なす と98%) もの 相 同 性 が あ り, ほ とん ど同 じ とい っ て も よい くらい で あ る。 つ ま り, 異 な った 塩 基118 (ほ とん どは コ ドンの3番 目) の うち103ま で もが ア ミノ酸 配 列 を 変 え な い サ イ レ ン ト変 異 で あ る。 このNS3のC 末 端 近 くの 領 域 は カ イ ロ ン社 が 開 発 したC100抗 体 検 出 系 で 使 わ れ て い る。 ア ミノ酸 レベル で の こ の領 域 の相 同 性 が きわ め て 高 い こ とは, このC100抗 体 ア ッセ イ系 が 実 際 に 世 界 中 のHCV患 者 血 清 を 高 率 に検 出 で き る と い う疫 学 的 な 結 論 を うま く説 明す る。 (6) 一 人 の保 因 者 か らのか ぎ られ た 材 料 か らウ イル ス cDNAを ク ロー ン化 す る た め に, 筆 者 ら は そ れ ま で用 い られ て い た λgt11 や λgt10 を 使 ったcDNAラ イ ブ ラ リー作 製 に よ る方 法 で は な く, cDNAをPCR法 に よ り直 接 増 幅 す る方 法 を試 み た 。 こ の方 法 はHCV遺 伝 子 を 検 出 す るた め に現 在 す で に世 界 各 地 で さか ん に使 わ れ て い るが, こ の論 文 は そ の端 緒 を開 く報 告 とな った 。 し か も カ イ ロン社 の ク ロー ン と比 較 して 塩 基 配 列 が 約20 %も 相 違 す る 日本 のHCVゲ ノ ムを検 出 す るの に, プ ラ イ マ ー さえ 選 べ ばPCR法 で充 分 検 出 で き る こ とを示 し た 結 果, こ の よ うに変 異 の激 しい ウイル ス にPCR法 を 適 用 で き る のか とい う懸 念 を一 掃 して しま った よ うで あ る。 実 際, これ ほ ど塩 基 配 列 が 違 っ て い る とあ らか じめ 知 って いた ら, わ れ わ れ 自身 もPCR法 で ク ロー ニ ン グ を 試 み よ う と した か ど うか わ か らな い。 結 果 的 に この研 究 は, PCR法 とい う技 術 の 適 用 範 囲 を 従 来 考 え られ て い た よ り広 げ た こ とに な る^<21)>。 (7) PCR法 の も う1つ の 技 術 的 な問 題 は, 増 幅 の過 程 でTaqポ リメ ラ ーゼ が 塩 基 の読 み 誤 りを 起 こす こ と で あ る (30サ イ クル で400塩 基 に1個 以 下 と い わ れ る)。 そ こ で, 増 幅 され たcDNAを プ ラス ミ ドに ク ロー ン化 してか ら, 独 立 の ク ロー ンを3個 拾 い, そ れ ら の塩 基 配 列 の コ ンセ ンサ ス 配列 を この保 因者 の もつHCVの 配 列 と定 義 す る こ とに した。 この際, 各 ク ロー ンの間 で 約0.5∼1%の 塩 基 の相 違 が 認 め られ, そ れ らの ほ とん どが ア ミ ノ酸 配 列 を変 え て い な いサ イ レン ト変 異 であ る こ とがわ か った 。 こ の結 果 か ら, これ ら の変 異 はPCR 法 の アー チ フ ァ ク トで は な く, む しろ一 人 の保 因 者 の血 中 に い るHCVが す で に塩 基 レベル では ヘ テ ロな 集 団 で あ る こ とを示 す 。 一 般 に臨 床 家 に は ウ イル ス の ゲ ノ ム配 列 は一 定 不 変 で ある と思 っ て い る人 が 多 いが, この よ う な現 象 はB型 肝 炎 ウイル ス に も あ て は ま る こ と であ る。 4. NS5領 域 ・構 造 遺 伝 子 領 域 の 日本 のHCV cDNA 同様 の方 法 で, ウイル ス ゲ ノム の3'末 端 に近 いNS 5領 域 の一 部 と, 構 造 遺 伝 子 全 域 のcDNAを 日本 の健 康 保 因 者 の血 清 か ら ク ロー ン化 した^<22)> (図4)。NS5領 域 か ら ク ロー ン化 され た427塩 基 の 日本 のHCVの 配 列 は, カ イ ロ ン社 の それ と比 較 してNS3領 域 と同 様 の 相 同性 (塩基 配 列 レベル で84%, ア ミノ酸 レベ ル で89 %) を 示 した 。 これ に対 して構 造 遺 伝 子 領 域 で は, コ ー ドす る蛋 白質 の違 い に よ り, ア ミノ酸 レベ ル の相 同 性 が 異 な っ て いた 。HCVア ミノ酸 配 列 の疎 水 性 曲 線 を フ ラ ビ ウイ ル ス な ど の既 知 の近 縁 の ウイル ス のそ れ と比 較 す る こ と に よ り, 筆 者 らは 前 駆 体 蛋 白質 の 最 初 の 約190 ア ミノ酸 を コ ア蛋 白質 領 域, 190番 か ら280番 目 ま で の 190ア ミ ノ酸 を エ ンベ ロー プ蛋 白質 領 域, そ の後 にNS 1領 域 が つ づ くと推 測 した 。 ア ミノ酸 配 列 を 比 較 した 結 果, こ の予 想 した コ ア とエ ンベ ロー プ の領 域 に一 致 して, ア ミノ酸 配 列 の相 同 性 は 大 き く食 い 違 っ てい た 。 ク ロー ン化 したNS1領 域 の一 部, お よび エ ンベ ロー プ領 域 の ア ミノ酸 配 列 は, カ イ ロ ン社 の ク ロー ンと比 較 して約75%し か 相 同 で は な か っ た 。 こ の数 字 は別 な 型 に も分 類 され, 別 々な ワ クチ ンが 必 要 で あ る ポ リオ ウ イル ス1型 と2型 のVP1蛋 白質 の ア ミノ酸 相 同性78%よ りも低 い。 した が ってHCVの エ ンベ ロー プが 中 和 抗 体 を産 生 させ る こ と に よ りワ クチ ン とな り うる蛋 白質 で あ る とす れば, カイ ロ ン社 の ク ロ ー ン化 したHCV株 と筆 者 らが ク ロ ー ン化 したHCV株 とは, 別 な ワ クチ ンが 必 要 な別 な型 と分 類 され る こ と に な っ て も不 思 議 では な い。 これ に対 して, こ の上 流 に位 置 す る コア領 域 の ア ミノ 酸 配 列 は, 97%も の相 同 性 を 示 した 。す なわ ち, こ の2 つ の ウイル ス株 で は コア蛋 自質 はNS3やNS5蛋 白質 よ りもは る か に よ く保 存 され て いた の で あ る。 こ の結 果 は 筆 者 らに も きわ め て 意外 な もの で あ った 。 な ぜ な ら, 一 般 に 近縁 の フ ラゼ ウイル ス 間 の比 較 で は, コア遺 伝 子 は あ ま り高 い ア ミノ配 列 の 相 同性 を 示 さ な いか ら で あ

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C型 肝 炎 ウ イ ル ス る 。HCVで は, コア遺 伝 子 が 特 異 的 に きわ め て よ く保 存 され て い る のか 否 か は, こ の2株 のHCVだ け で は結 論 で き な い が, 仮 にそ うで あ る とす れ ば, この コ ア蛋白 質 の検 出 系 あ る い は コア蛋 白質 に対 す る抗 体 の検 出系 は 日本 の み な らず, 他 の 国 のHCVの 診 断 に広 く役 立 つ か も しれ な い 。 カ イ ロ ン社 や 筆 者 ら の グル ー プ以 外 で もHCV遺 伝 子 のク ロ ー ン化 が最 近 行 な わ れ て い る。 これ ら は, カ イ ロ ン社 が 最初 の ク ロー ンを とった とき に用 いた 免 疫 学 的 ス ク リー ニ ン グ (λgt11 を 用 い る) に よ り, カ イ ロ ン社 と は独 立 に と った 場 合 と, カ イ ロ ン社 の 特 許情 報 か ら得 た 塩 基 配 列 あ る いは 筆 者 らの 発 表 した 塩 基 配 列 を 用 い て, 逆 転写PCR法 を 用 い て ク ロ ー ン化 した 場合 とに分 け ら れる。後者の場合は, ひとたび方法が確立されれば, ク ロー シ化 とい うよ りは ウイ ル ス ゲ ノム の検 出方 法 と して 多 用 され るべ き性 格 の もの で あ る の で, こ こで は前 者 に つ い て述 べ る。 カ イロ ン社 の ゲ ノ ムの ク ロ ー ン化 とほぼ 同 時 に, 有 馬 ら (岡山大, 現 ・鹿児 島大) も 非A非B型 肝 炎 ウ イ ル ス cDNA断 片 を ヒ ト血 清 を 材 料 と して, λgt11 を用 い て 多 数 ク ロー ン化 した と発 表 した^<23,24)>。さ らに これ らの ク ロー ソは, Alter の血 清 パ ネル に よら て 特 異 性が 確 認 され た と伝 え られ た。 しか し 現 在 までに 発表 され た ク ロー ン2, ク ロー ン18と よば れ るcDNAは, 筆 者 が カイロ ン社 のHCVの 全 塩 基 配 列 と比 較 した と ころ, 有 意 な相同性は 検出で きな かっ た。 配列が末発表の ク ロー ン (た とえ ば ク ロー ン14) が, カ イ ロ ン社 が 同定 した HCVと 同 種 の ウイ ル ス ゲ ノム に 由来 す るか は, 現在 の 図4. NS5領 域 のcDNA断 片 の塩 基 配 列 2125

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54 蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 12 (1990) と ころ 明 らか で は ない 。 しか し,こ れ ら の ク ロー ンが 仮 にHCV由 来 で は な か った と して も, 非A非 弓型 肝 炎 特 異 的 に発 現 す る細 胞 由来 また は 何 らか の 別 の 因 子 の遺 伝 子 を 同 定 した こ と にな り, そ の診 断 的 ・ウ イル ス学 的 意 義 は大 きい と考 え られ よ う。 ま た 志 方 ら の グル ー プ は, ヒ ト血 清 か ら λgt11 を 用 い てHCV cDNAの ク ロー ン化 に成 功 した^<25)>。こ の場 合 は, 得 られ た ク ロー ンは カ イ ロ ン社 のHCV配 列 と 比 較 す る と, そ のNS5領 域 に 相 同 性 (塩基 配 列 で78.4 %, ア ミノ酸 配 列 で92.1%) が 検 出 され, HCV由 来 で あ る こ とが 確 認 され た 。 興 味深 い こ とに は, λgt11 に よ る免 疫 学 的 ク ロー ニン グ とい う同 じ方 法 を用 い て, カ イ ロ ン社 の 最 初 の ク ロー ン (NS3, NS4の 境 界部) と は 異 な る, NS5領 域 か ち の ク ロー ンが 得 られ た こ と で あ る。NS5蛋 白質 に 対 す る抗 体 検 出 系 が, す で に開 発 され たC100抗 体 検 出 系 と どの よ うに 異 な る の か とい う 問題 は 実用 上 も大 切 で あ る (ご く最 近, ほか に も い くつ か の 日本 の グル ー プ に よ り 同様 の 方 法 でHCV cDNA の ク ロ ー ン化 に 成 功 し, ゲ ノム のか な りの部 分 を ク ロー ン化 した と され て い るが, 詳 細 は まだ 明 らか に され て い な い)。 お わ りに 20世 紀 最 後 に残 され た ウ イル ス と い わ れ たHCVは つ い に 同定 され, その 診 断 法 が 急 速 に確 立 さ れ つ つ あ るが, こ こ ま で の過 程 で 日本 の研 究 者 た ち の果 た した 役 割 は きわ め て大 き い。 今 後 は, ウ イル ス蛋 白質 の 同 定 (と くに 構 造 遺 伝 子 領 域) と, そ の ウ イル ス抗 原 の 検 出 法 の確 立, 感 染 経 路 の解 明, ワ クチ ンの試 作 な ど が急 務 であ る。 筆 者 らの研 究 室 で は, 構 造 領 域 の蛋 白質 の 同 定 と そ の特 異 抗 体 の 検 出法 を す で に 確 立 して い る が, そ の詳細 は 別 の機 会 に譲 る。 今 後 な され てゆ くこ の ま った く新 しい ウ イル ス の解 明 のひ とつ ひ とつ の積 み 重 ね が, 肝 炎 ウイ ル ス と肝 細 胞, 肝 組 織 とのか か わ り, 免 疫 反 応 と発 症, ウ イル ス の持 続 感 染, 発 癌 へ の関 与 とい った 一 連 の未 知 の領 域 の解 明へ と着 実 に進 展 してゆ くこ とが期 待 され る。 これまでの研究に あた り, 終始変わ らぬ ご助言をいただいた 織田敏次先生, 西岡久寿弥先生そ して共同研究者 〔米 山徹夫, 竹内健司, 久保義弘, スマ リー ・ブーンマー, 湯浅 田鶴子, 田 中幸江 (予研) ; 片 山 透, 原 田英治, 大林 明 (国立療養所 東 京病院) ; 菊地 秀 (国立仙台病院) ; 渡辺勇四郎 (聖マ リア ンナ医大) ; 己斐 澄子 (東大分院) ; 太 田康幸, 恩地森一 (愛媛 大学) ; D. Bradley (CDC) ; A. Weiner, Q-L Choo, G. Kuo, M. Houghton (Chiron Corp.)〕 の方 々に 感謝いた し ます。

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