原因不明の急性呼吸促迫症候群を
呈した
78歳男性の一例
GUIDELINE
症例提示
• 症例 1-1
DISCUSSION
• ARDSについて
• Manegement
• 本症例について
症例
1-1 主訴 発熱
患者 78歳 男性 現病歴 来院2日前より、体調不良を訴えていた。妻も体調不良を訴えていた。自宅でクーラーなど使わない。 来院当日、倦怠感、脱力あり、自宅の庭で倒れているところを発見され、当院救急搬送された。 ROS:未聴取 来院10日前から桃核承気湯、精心蓮子飲を処方されている 既往歴 高血圧 両側脳梗塞(左半身麻痺>右半身麻痺) 高脂質症 前立腺肥大 社会歴 喫煙:(−) 飲酒:(−) 妻と二人暮らし 独歩 内服歴 桃核承気湯 精心蓮子飲 ユリ−フ ベタニス プラビックス アイミクス メキシレチン クレストール ベンザリン エバミールVITAL:BT:
39.4℃
SPO2:98% RA
RR40/min
BP141/54mmHg HR:91bpm
身体所見 general soso 頭頸部
眼瞼結膜蒼白なし 口腔内乾燥あり リンパ節所見:未記載 胸部I、II音 no murmur regular
肺胞気管支呼吸音:正常
副雑音:びまん性wheezeあり
腹部
平坦 軟 圧痛なし 蠕動運動正常 レクタール圧痛なし 神経
検査所見
CBC WBC 8420 /ul HB 14.9 g/dl PLT 17.4 万/u CHEMO TP 7.9 g/dl ALB 4.8 g/dl T-BIL 1.0 mg/dl ALP 272 U/I AST 26 U/I ALT 18 U/I LDH 298 U/I AMY 72 U/I CPK 378 U/I BUN 20.1 mg/dl CREA 1.24 mg/dl Na 136 mEq/L K 4.3 mEq/L Cl 101mMq/L CRP 9.93 mg/dl BS 121 mg/dl 尿 細菌尿・膿尿なしアセスメント・プラン
PROBLEM LIST #ウイルス性気管支炎 #細菌性気管支炎 #脱水・熱中症 #脳梗塞後遺症 #高血圧 #脂質異常症 ASSESMENT CTより、気管支壁肥厚が見られ、気管支炎の 疑いあり。感染症に伴う発熱、脱水により、 倒れたと考えられる。 PLAN 輸液のみで経過観察入院経過
入院以降、症状の改善乏しく、入院3日目より細菌性気管支炎も考慮し、CTRX2g q24hで開始。 またSpO2も RAで90%前半であったため、酸素投与開始された。 痰培養からは感受性の良いSerratiaが検出されていた。抗生剤投与され、解熱、呼吸状態も 改善し、入院8日目から本格的なリハビリを開始していた。 しかし、入院33日目程度から労作時の原因不明の呼吸苦SpO2低下出現していた。 入院36日目には安静時呼吸苦あり、SpO2:88%RA となり、精査施行された検査所見
CBC WBC 9090 /ul HB 11.3 g/dl PLT 40.1 万/u CHEMO TP 5.8 g/dl ALB 2.4 g/dl T-BIL 0.4 mg/dl ALP 350 U/I AST 27 U/I ALT 24 U/I LDH 394 U/I Γ-GTP 31 U/I CPK 33 U/I BUN 14.7 mg/dl CREA 1.58 mg/dl Na 131 mEq/L K 4.2 mEq/L Cl 98 mMq/L CRP 12.58 mg/dl BS 113 mg/dl 尿 細菌尿・膿尿なし 尿中肺炎球菌抗原(-) 尿中レジオネラ抗原(-)追加検査
血沈 100/1H BNP 33 pg/ml SP-D 227ng/ml KL-6 828u/ml CYFRA 13.4ng/ml SCC抗原 1.7ng/ml P-ANCA (-) C-ANCA (-) IgG 1186mg/dl IgA 377mg/dl IgM 130mg/dl 抗核抗体 (-) B-Dグルカン (-) CMV抗原 (-) IL-2R 2751BGA RR 40/min O2リザーバー 12L PH 7.468 PCO2 34 PO2 86.1 HCO3- 24.5 Na125 Cl- 104 DLST 桃核承気湯 (-) 精心蓮子飲 (-)
アセスメント・プラン
PROBLEM LIST #ARDS #先行するウイルス性気管支炎 #薬剤性肺炎 S/O #細菌性気管支炎 #脱水・熱中症 #脳梗塞後遺症 #高血圧 #脂質異常症 ASSESMENT P/F比 80程度であり、両側肺野に浸潤影あり、非心原性肺水腫 を呈しており,BERLIN CRITERIAを満たし、ARDSと診断される。 漢方による薬剤性間質性肺炎疑いでPSL 500mg ハーフパルス 施行され、頻呼吸による呼吸筋疲労にはNIPPV装着された対応 された PLAN PSL ハーフパルス NIPPV治療経過
HCU入室 入院日数 0日目 36日目 CTRX 500mg AZM 挿管 46日目 66日目 PSL 60mg 55mg 2g/日 2g/日 500mg NIPPV APRV CAZ 2g q8h CT/BAL 62日目 ガンシクロビル 250mg q12h 気胸追加検査
血液培養 未着 痰培養 CORYNEBACTERIUM1+ 気管支肺胞洗浄液 回収率50% 細菌培養 CORYNEBACTERIUMU1+ 真菌培養 未着 抗酸菌培養未着 細胞診 核種大、核濃染、核不整を伴う細胞あり 核内封入体のウイルス感染細胞もあり →CMV抗原陽性(+) 分画 好中球:リンパ球:組織球=25:56:19転帰
• 明らかな原因は不明であり、現在も挿管管理されている
• ウイルス感染細胞あり、ウイルス性肺炎によるARDSの
可能性もあるが、
PSL投与しており、免疫抑制の結果を
見ている可能性もある
• 今後も支持療法を継続していく
急性呼吸促迫症候群
-Acute Respiratory Distress Syndrome-
2012年 ARDS の新しい診断基準(べルリン定義)
急性発症 明らかな誘因または呼吸器症状の出現または悪化から 1 週間以内 胸部画像 (単純X線/ CT) 両側性陰影(bilateral opacities) (胸水,無気肺,結節のみでは説明できない) 肺水腫の原因 心不全や輸液過量のみでは説明できない (可能なら心エコーなどの客観的評価が必要) 酸素化障害軽 症 200 mmHg<PaO2/FIO2≦300 mmHg(PEEP/CPAP≧5 cmH2O) 中等症 100 mmHg<PaO2/FIO2≦200 mmHg(PEEP≧5 cmH2O)
様々な原因から起こる
主病態はびまん性肺胞障害による
炎症性サイトカインストームの放出
病期は、浸出期、増殖期、繊維化に分けられる
浸出期 障害発生から
7日目くらいまで
肺胞隔壁、肺胞腔内に炎症細胞浸潤を反映した両側のびまん性すりガラス影
増殖期
3日目から7日目くらいまで
不均一な二次小葉内の牽引性気管支拡張像あり 中枢へ進行してくる
繊維化期 障害発症から
2週間以降
牽引性細気管支・気管支拡張あり 末梢に繊維化を反映した小嚢胞病変など存在する
→
ガス交換障害
と
肺コンプライアンスの低下
が生じる
ARDS のmanagement
・重度呼吸不全に対して人口呼吸器・全身管理 ・腹臥位療法などの理学療法 ・栄養・廃用予防などの支持療法 ・抗生剤、ステロイド、好中球エラスターゼ阻害薬含め薬物療法では基本的には有効性を占めされたものはない (発症14日以内のステロイド投与は死亡リスクの軽減, 呼吸状態の改善効果が見込める可能性がある)有効な治療なし
→改善が見られる支持療法をするしかない!
人口呼吸器管理の
management
• ARDSの時は、NIPPVを試すのではなく、一般的な適応がなくても挿管の方が好ましいかもしれない (Grade2C) • 肺保護戦略 -合併症を少なくするための設定- 低1回換気量(6ml/kg以下) 吸気プラート圧<30cmH2O permissive hypercapnia(PaCO2<75mmHg) High PEEP(10-20cmH2O)著名な低酸素血症、呼吸仕事量増大、急性呼吸不全→APRV(Airway Pressure Release Ventilation)
• VV-ECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation) 挿管7日以内に導入された症例は予後が良い
1.気管支鏡検査で分かる疾患を想定した場合.
2.IPFの急性増悪の診断を行いたい場合.
(他疾患の除外)
3.治療抵抗性肺炎を呈している場合.
相対的禁忌:重症低酸素血症, 不整脈, 出血など. 死亡率: <0.05%、主要合併症率: <0.5%Am J Respir Crit Care Med. 2012 May
1;185(9):1004-14. Am J Respir Crit Care Med Vol 165. pp 277-304, 2002
気管支肺胞洗浄
:Bronchoalveolar
lavage: BAL の適応
本症例について
①特に誘引なく
ARDSとなった可能性
①特に誘引なく
ARDSとなった可能性
特発性
ARDS=急性間質性肺炎 (別名 Hamman-Rich 症候群)
・特に誘引ないが特発性にARDSを発症するもの
・病理的にはびまん性肺胞障害でARDSと同じ
有効な治療なし
致死率は
5-7割
Acute interstinal pneumoniaMedicine 79;369-78 2000
②先行する気管支炎が誘引となった可能性
• BALからCMVウイルス感染細胞あり、CMVによるウイルス性肺炎
• 非常に稀
• 成人の9割近く感染しており、健常人は不顕性感染で、多くは日和見感染が
問題となる
• しかし、免疫正常でも重症肺炎となるという報告あり
• ガンシクロビルが有効の可能性がある
ImmunocompetentのCMV肺炎
Journal of Clinical Virology 55 (2012) 356–359
Cytomegalovirus pneumonia in immunocompetent host: Case report and literature review