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はじめに 京都市は, 森林面積が全市域の三分の四を占め, 山紫水明の自然と千二百余年に及ぶ悠久の歴史が, 優れた伝統と文化を育んできました また, 年間 5,000 万人の観光客が訪れる国際文化観光都市でもあり, 京都議定書誕生の地として, 環境に対する先進的な取組を進めてきた都市であることが, 国

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(1)

京都-新築

(2018 年版)

京都市建築環境総合性能評価システム

利用マニュアル

平成30年4月

京 都 市

(2)

京 都 市は,森林 面 積が全市 域 の三 分の四を占め,山 紫 水明 の自 然 と千 二百余 年 に及 ぶ悠 久の

歴史が,優れた伝統と文化を育んできました。

また,年 間 5,000万 人 の観 光 客 が訪 れる国 際 文 化 観 光 都 市 でもあり,京 都 議 定 書 誕 生 の地 とし

て,環境に対する先進的な取組を進めてきた都市であることが,国際的にも認識されています。

しかし,歴 史 ある京 都 市 もまた,家 庭 部 門 及 び業 務 部 門 において二 酸 化 炭 素 排 出 量 が増 加 して

います。中 でも,家 庭 部 門として住 宅 ,業 務 部 門 として事 務 所 や商 業 施 設 等 と,建 築 分 野 は双 方 に

わたって大きな割合を占めています。

近 年 ,長期 優良 住宅 法制 定 や,省 エネ法改 正等,建 築 物に関する地 球温暖 化 対策 推進 のため

の法 令 が整備 されてきていますが,それらは基 本 的 に全 国 一 律の基 準のもと,技 術 的 な対 応を求 め

るものです。

建 築 とは,元来 地 域の特性 や文 化を背景 に成 り立っているものであり,真 の「低 炭 素 社会 」を実 現

するためには,建 築 物 においても,技 術 のみに頼 らない,又 は技 術 と両 立 する,そのような地 域 の特

性や文化を踏まえた環境配慮のあり方が求められています。

そこで,環 境 関 連 の広 範 囲 な領 域 ・キーワードの中 から,京 都 市 としてのまち・文 化 の特 性 を端 的

に示 すキーワードとして,「木 の文 化 」に着 目 し,「木 の文 化 を大 切 にするまち・京 都 」の実 現 に向 けた

アプローチとして,建築 物における京 都らしい環 境配慮 のあり方,そのような京都 ならではの環境 配 慮

建 築 物 に関 す る 評 価 基 準 を ,全 国 的 に 普 及 し てい る 評 価 シ ス テ ム で あ る「 CASBEE 」 を ベ ー ス に

「CASBEE京都」として策定しました。

本図書を活用することで,京都らしさを備えた環境配慮建築物の普及が進むことを期待します。

平成23年4月

京都市

(3)

PartⅠ CASBEE京都-新築とは

... 1 1.CASBEE京 都-新 築の概要 ... 2 1.1 CASBEEとは 1.2 CASBEE京 都とは 1.3 京都 が目 指す環 境 配慮 建 築物のあり方 1.4 何を評 価するのか 1.4.1 建築 物の総 合 的な環 境性 能 1.4.2 建築 物の低 炭 素化 性 能 1.5 評価の基 本姿 勢 1.6 全体 評 価(標 準システムと独 自システム) 2.CASBEE京 都 -新 築の評価の仕 組 み ... 7 2.1 標準 システムの評 価の基 本 構造 2.1.1 評価 対 象建 築物 2.1.2 総合 的 な環 境 性能 評 価 2.1.3 低炭 素 化性 能評 価 2.2 標準 システムの評 価項 目 2.2.1 採点 基 準の考 え方 2.2.2 評価 項 目の構 成 2.3 重み付 けの考 え方 3.京 都 独自の評 価の仕 組 み(重 点 項目 と独 自システム) ... 17

PartⅡ 評価の手順

... 21 1.評 価の基本 的 な考 え方 ... 22 2.評 価の手順 ... 24 2.1 評価 フロー 2.2 ソフトウェアの概 要 2.3 標準 システムの入 力 (1)メインシートの入 力 (2)採 点シートの入 力 (3)配 慮 事 項 記入 シートの入 力 (4)排 出係 数 シートの確認と入 力 (5)LCCO2計算 シート (6)スコアシートの入力 (8)高 評価 資 料シートの入力 (7)評 価結 果 シート(標準 システム) 2.4 独自 システムの入 力

(4)

PartⅢ 採点基準

... 45 1.はじめに ... 46 1.1 採点 基 準の見 方 1.2 採点 基 準の一 覧 2.採 点 基準 ... 50 Q 建 築物の環 境品 質 ... 50 Q1 室 内環 境 ... 50 1.音 環境 2.温 熱環 境 3.光・視 環 境 4.空 気質 環 境 Q2 サービス性 能 ... 91 1.機 能 性 2.耐 用性・信頼 性 3.対 応性・更新 性 Q3 室 外環 境(敷地 内) ... 127 1.生 物環 境の保全と創 出 2.まちなみ・景 観への配 慮 3.地 域性・アメニティへの配慮 LR 建 築物の環 境負 荷 低 減性 ... 145 LR1 エネルギー ... 145 1.建 物外 皮の熱負 荷 抑 制 2.自 然エネルギー利 用 3.設 備システムの高 効 率化 4.効 率的 運 用 LR2 資源・マテリアル ... 158 1.水 資源 保 護 2.非 再生 性 資源の使 用 量削 減 3.汚 染物 質 含有 材 料の使用 回 避 LR3 敷地 外 環境 ... 177 1.地 球温 暖 化への配慮 2.地 域環 境への配 慮 3.周 辺環 境への配 慮

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PartⅣ 参考資料

... 225 ◆参 考 文献 ... 226 ◆補 助 資料 ... 228 ◆CASBEEの解説 ... 242 1.CASBEEの全 体像 ... 242 2.ライフサイクルCO2 ... 252

(6)

本マニュアル,次の4つのパートで構 成 されます。目 的に応じてお読 みください。 ★CASBEEとCASBEE京 都 の基 本 的 な仕 組 み を述べています。 ★CASBEEに初 めて触 れられるかたは ,こちらか らお読 みください。 ★実 際 にCASBEE京 都 -新 築 の評 価 を行 いたい 方は,こちらをお読 みください。 ★評 価 ソフトウェアをパソコンに立 ち上 げていただき, 合わせてご覧いただくと,より分 かりやすいです。 ★評 価の基準 を詳しく記載 しています。 ★CASBEE全 国 版 に即 した基 準 とCASBEE 京 都 独 自 の基 準 とその考 え方 をわかりやすく解 説 しています。 ★CA SBEE 全 国 版 に 掲 載 され ている 解 説 や 関 係資 料 等 をそのまま転 載しています。 ★CASBEEをより深く理解 するのに役 立 ちます。 注 )CASBEE全 国 版 の詳 しい内 容 については,一 般 財 団 法 人 建 築 環 境 ・省 エネルギー機 構 (IBEC)が発 行 する全 国 版 マニュアルをご参 照 ください。

PartⅠ

CASBEE京都

-新築とは

PartⅡ

評価の手順

PartⅢ

採点基準

PartⅣ

参考資料

(7)

PartⅠ

CASBEE京都

-新築とは

(8)

1. CASBEE京都-新築の概要

1.1 CASBEEとは

「CASBEE※」(建築 環 境 総 合 性能 評 価 システム)は,建物 を環 境 性 能で評 価し,格付 けする手 法 で, 2001年 より国 土 交 通 省 の支 援 のもと産 官 学 共 同 プロジェクトとして,一 般 社 団 法 人 日 本 サステナブル建 築 協 会 (JSBC)に設 置 された「建 築 物 の総 合 的 環 境 評 価 研 究 委 員 会 」において開 発 が進 められてきた。 その方 法 は,省 エネルギーや環 境 負 荷 の少 ない資 機 材 の使 用 といった環 境 配 慮 はもとより,室 内 の快 適 性 や景 観 への配 慮 なども含 めた建 物 の品 質 を総 合 的 に評 価 し ,「Sランク(素 晴 らしい)」から ,「Aランク (大 変 良 い)」「B+ランク(良 い)」「B-ランク(やや劣 る)」「Cランク(劣 る)」という5段 階 の格 付 けを与 える大 変わかりやすいシステムである。

※CASBEE:Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency

1.2 CASBEE京都とは

京 都 市では,2004年 に京 都 市 地 球 温 暖化 対 策 条 例 を制 定(2005年 施 行)し,建 築 物の温 室 効 果ガ ス排 出 削 減 対 策 についてCASBEE全 国 版 を用 いて進 めてきたが,歴 史 都 市 京 都 の特 性 を生 かした京 都 らしいシステムが必 要 との認 識 が高 まった。そのため,2009年 に全 国 版 をベースとした京 都 独 自 のシス テム開 発 に着 手 し,2011年 4月 に施 行 された改 正 京 都 市 地 球 温 暖 化 対 策 条 例 において,新 たなシステ ムである「CASBEE京 都 」が盛 り込 まれ,運 用 がスタートした。「CASBEE京 都 」は,同 条 例 第 44条 に規 定された「建 築環 境 総 合性 能評 価 システム」として定めたものである。 CASBEE京 都 の目 的 は,京 都 の特 性 に応 じた環 境 配 慮 建 築 物 を評 価 ・誘 導 することにあるが,今 日 において環 境 配 慮 建 築 物 は地 域 の独 自 性 だけで成 り立 つものではない。低 炭 素 化 という目 的 ,そのため の新しい技術 ,それらは普 遍的 なものであり,そのような普 遍 性と地 域 性の共存 が今 ,求められている。 したがって,CASBEE京 都 のシステムを構 築 するに当 たっては,CASBEE全 国 版 のシステムに著 しい 改 変 を加 えるのではなく,全 国 版 の普 遍 性 は保 持 しつつ,そのうえで,京 都 の独 自 性 が評 価 ・表 示 できる ものとした。 具 体 的 には,全 国 版 について,全 体 のシステムを保 持 したまま,各 項 目 のうち地 域 特 性 が十 分 に反 映 されない,あるいは,京 都 の独 自 性 を付 加 すべき項 目 を一 部 見 直 したもの,それを「京 都 標 準 システム」と した。そして,標 準 システムの評 価 項 目 の中 で,地 域 性 が特 に表 れる部 分 や京 都 が重 点 的 に取 り組 む部 分 (「重 点 項 目 」)を評 価 する「京 都 独 自 システム」を構 築 し,これらの2つのシステムによりCASBEE京 都 のシステムを構 成した。 こうすることで,普 遍 的 な要 素 を含 めた総 合 的 な環 境 性 能 が評 価 できると同 時 に,「京 都 らしさ」も分 か りやすく評価・表 示することを可能とした。 図1.1 CASBEE京都のシステム構 成 -CASBEE全国版-全国一律に適用可能な ものとして作られたもの。 地域特性が十分に反映 されない面がある。 -CASBEE京都-京都の地域特性・方針に応じ て,全国版システムに一部見 直しを行ったもの。 総合的な環境性能を評価 京都版標準システム 標準システムから抽出した 重点項目に対する取組度を 分かりやすく表示するとと もに,独自の項目を追加。 「京都らしさ」を評価 全国版システム 京都独自システム 重点項目の設定

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また,CASBEE京 都 には,図 1.2に示 すような評 価 する対 象 のスケールに応 じた評 価 ツールがあり ,こ れらを総 称 して「CASBEE京 都 ファミリー」と呼んでいる。本 マニュアルは,これらのうちCASBEE京 都 -新 築にあたるもので,全 国 版 の「CASBEE-建築(新 築)」をベースとしている。 図1.2 CASBEE京都 ファミリーの構成

1.3 京都が目指す環境配慮建築物のあり方

(1) 京都の環境配慮建築物像

京 都 の建 築 物 は,「木 の文 化 」によって生 み出 され,「木 の文 化 」とともにあったといえる。そして,そのよ うな建 築物は,殊 更 意識 するまでもなく,自 然と共 生し,環 境に配 慮したものであった。 ここで改 めていうと,「木 の文 化 」とは,木 に代 表 される自 然 素 材 を使 うことで育 まれてきた,ものに気 を 配り,それを大 切にする文 化,素 材から透 け出 る自 然 を身近 に感じ,それとともに住 まう文 化である。また, その気配 りは,ものだけでなく,人 やことに対しても向 けられてきた。 そのような文 化 のあり様 は,現 代 においてなお,技 術 だけに頼 らない,環 境 配 慮 のあり方 を示 している。 言い換えれば,京都 が目指 すべき環境 配 慮 建 築物は,そのような文 化 を具 現化 したものであり,その具 体 的 措 置 としては,高 いメンテナンス性 に由 来 する長 寿 命 ,自 然 素 材 の使 用 による環 境 への寄 与 ,自 然 環 境の積 極 的利 用 ,周 辺 環 境 や地 域の歴史 性への配 慮等 を挙げることができる。 以 上 を踏 まえ,CASBEE京 都 では,京 都の環 境 配 慮 建 築 物 に求められる要 素 を端 的 に示すキーワー ドとして,以 下の3つを設 定 する。

「大切に使う」 建築物を大切にし,資源を大切にする

木 に代 表 される自 然 材 料 に対 し,メンテナンスの維 持 向 上 を図 ることで,京 都 の建 築 物 は長 寿 命 化 を 図 ってきた。また,育 て・使 うというサイクルのなかで自 然 材 料 を無 駄 なく使 ってきた。それらを「大 切 に使 う」 という言 葉 で表す。

「ともに住まう」 自然とともに住まい,地域とともに住まい,歴史とともに住まう

身 近 な自 然 を感 じ,ものや人 ,ことに対 して気 を配 りながら住 まうこと。そして,大 きな歴 史 ・身 近 な歴 史 を尊重すること。それらを「ともに住 まう」という言 葉で包 摂する。

建築ツール

CASBEE京都ファミリー

2011 年完成 2018 年改定

CASBEE京都-新築

住宅ツール

CASBEE 京都-既存

CASBEE 京都-改修

CASBEE京都 戸建-新築

2011 年完成 2018 年改定 2012 年完成 2015 年改定 2012 年完成 2015 年改定 2002 年事務所版完成、2016 年改定

CASBEE-建築(新築)

CASBEE-建築(既存)

CASBEE-建築(改修)

CASBEE-戸建(新築)

2007 年 9 月完成、2016 年改定 2004 年 7 月完成、2014 年改定 2005 年 7 月完成、2014 年改定 対応する全国版CASBEE

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「自然からつくる」 自然素材を使ってつくる,自然を活かして計画する

京 都の建 築 物は,木 や土 ,紙 などの自 然 素材 からつくられ,そのことによって,庇 や軒 などの形 が必 然と して生 まれてきた。また,多 くの自 然 素 材は地産 地 消 であり,環 境 面 での負 荷も少 ない。更 に,気候 や風 , 日照 等の自然 環 境 を読 み取り,それを活かした建築 計画とすることも「自 然からつくる」ことに含 まれる 図1.3 京 都の環境 配 慮建 築物 像のキーワード

(2) 「低炭素景観」の考え方

京 都 市 においては,これまで景 観 形 成 を重 視 し,様 々な取 組 を重 ねてきたが,今 後 更 に,景 観 形 成 と 地球 温 暖化 防 止 を結 びつけた「低 炭素 景 観」の創 出 をテーマとして取 り組んでいくこととしている。 景 観 とは,都 市 や建 築 物 の物 理 的 な「かたち」だけによるのではなく,「地 域 の自 然 ,歴 史 ,文 化 等 と 人 々の生 活 ,経 済 活 動 等 との調 和 により形 成 されるもの」(景 観 法 )である。このことを踏 まえると,「低 炭 素 景 観 」とは,今あるまちの姿 をベースとして,その地 域 の文 化 や特 性 を踏 まえた低 炭 素 社 会 の実 現 を通 じて形 成されるものといえる。それは,あらかじめ固 定 化 された「かたち」として同 定 されるものではない。また , 言 葉 を変 えれば,市 街 地 (「まち」),それを囲 む三 山 ,更 にその周 辺 に広 がる三 方 の森と農 村 がそれぞれ 調 和 したものとして,例 えば「山 紫 水 明 」といった遠 景 や,木 造の町 家 に代 表 される自 然 と人が調 和 した建 物,あるいはそこでの暮らしや住 まい方など活 動の姿 もふくめて形 成 されるものを京 都における低炭 素 景 観 であると呼ぶことができる。 京 都 では,景 観 保 全 を目 的 として,高 さやデザインなどについて厳 格 かつきめ細 かな基 準 が定 められて いる。それは,都 市 や建 築 物 の「かたち」を規 定 するとともに,市 街 地 と三 山 との調 和 を図 るという点 におい て低 炭 素景 観 の基 礎 をなすものである。建 築 物 についていえば,その「かたち」を基 礎として環 境 配 慮の取 組 を行 うものが,結果として「低炭 素 景観」を構成することになる。 たとえば自 然 素 材 を外 装 に使 うことがあげられる。自 然 素 材 は一 般 的 に工 業 製 品 よりも環 境 面 で優 れ ており,低 炭 素 化 の観 点 からはその使 用 自 体 が推 奨 されるべきだが,同 時 にそれはテクスチャーとして景 観 に好 ましい影 響 を与 える。また,自 然 素 材 を外 部 に用 いる場 合 ,保 護 のために軒 や庇 が必 要 となるが, そのように環 境 面 から必 然 をもって生 まれてくるデザインも,単 なる「かたち」として外 的 に規 定 されるのでは ない低 炭 素景 観の構 成要 素といえる。 更 に,建 築 物 のあり方 とそこでの住 まい方 はとりわけ環 境 面 において密 接 な 関 係 を持 ち,「かたち」では ない部 分 で,それが景 観 にも作 用 する。通 り景 観 を例 にとれば,冷 暖 房 に頼 り窓 を閉 ざしたままの建 物 が 建 ち並 ぶ通 りと,自 然 通 風 のために窓 を開 け放 ちそこから人 の気 配 が漏 れ出 てくる通 りとでは,「かたち」と

大切に使う

ともに住まう

建築物を大切にし,資源を大切にする。 〇適切な維持管理,軒や庇による外壁の保護,可変性・更新性等によ る建築物の長寿命化 〇環境負荷の少ない地域産材,古材の活用 など 〇周辺環境や地域・コミュニティー,既存の自然環境への配慮による都 市・地域の持続可能性への寄与 〇歴史性への配慮 など 自然材料を使ってつくる,自然を活かして計画する。 〇自然材料による景観・環境への寄与 〇自然環境・エネルギーを積極的に活用した建築計画

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しては同 じであっても,両 者 の景 観 の質 は異 なる。無 論 ,後 者 のほうが望 ましく,それは「低 炭 素 景 観 」の 様 態 の一 つといえるだろう。表 へと透 け出 てくる裏 庭 の光 や緑 が垣 間 見 える通 り,室 外 機 からの排 熱 がなく 心地 よい風が通り抜ける通 り,それらもまた同様 である。 以 上 に掲 げた低 炭 素 景 観 の特 質 は,景 観 や「かたち」 として敢 えて規 定 するものではなく,京 都 の環 境 配慮 建 築物 を誘 導・促 進 することで,自 ずと導 かれるものであると考える。 CASBEE京 都では,こうした「低炭 素 景観」の考え方 を評価の指 標に盛り込んでいる。

1.4 何を評価するのか ― CASBEE京都-新築のねらい

京 都市 内 に建築 される建 築 物がより良 い建 築 環 境 を提 供し,長 く使 われ,省エネルギーや省 資 源に配 慮 されていれば,環 境 負 荷 の削 減 にも寄 与 することができ,また,都 市 生 活 の質 を向 上 させることができる。 CASBEE京 都 -新 築 のねらいは,このような優 れた質 を持 ち,京 都 らしい工 夫 を備 えた建 築 ストックを増 やすことにある。 そのため,具 体 的 には,京 都 の伝 統 的 な知 恵 である格 子 ,風 が通 る仕 組 み,坪 庭 ,軒 ,縁 ,地 域 にお ける維 持 管 理 ,京 都 のまちなみにふさわしい景 観 ,身 近 な自 然 エネルギーや地 域 産 材 の利 用 等 々を盛 り 込んでいる。

1.4.1 建築物の総合的な環境性能

CASBEE京 都 -新 築 では,建 築 物 の総 合 的 な環 境 性 能 を建 築 物 自 体 の環 境 品 質 (これをQualityの “Q”とする)と,建 築 物 が外 部 に与 える環 境 負 荷 (これをLoadの“L”とする)の2つに分 けて評 価 する。Qと Lにはそれぞれ以 下 に示 す3つの評 価 の分 野 があり,更 にその中 で具 体 的 な取 組 を評 価 することになって いる。 環境 品 質(Q)が高いことを評価する Q1 室内 環 境 Q2 サービス性 能 Q3 室外 環 境(敷 地 内) 環境 負 荷(L)を低 減する取組 を(LR)で評 価する(※LRは環境負 荷低減 性 と呼びLoad Reductionの略) LR1 エネルギー LR2 資源・マテリアル LR3 敷地 外 環境 それぞれの分 野 について評 価 を実 施 した後 に,[環 境 品 質 (Q)/環 境 負 荷 (L)]により建 築 物 の環 境 効率(BEE)を求め,これに基づき総 合 的な環 境性 能 の格付 け(赤 星によるランク付け)を行 う。 このような分 野 に従 って評 価 するので,CASBEE京 都 -新 築 で総 合 的 な評 価 が高 い建 築 物 とは,『快 適・健 康 ・安 心 (Q1)で使 いやすく長 く使 い続 けられる(Q2)性 能 が備 えられており ,エネルギーを大 切 に使 い(LR1),建 設 時 や解 体時 にできるだけ資 源を無 駄にしない(LR2)ように環 境負 荷 を減 らす努 力を しており,良 好 な地 域 環境 形成 に役 に立っている(Q3,LR3)建築 及 び住 宅』 となる。

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1.4.2 建築物の低炭素化性能

建 築 における低 炭 素 化 を図 るためには ,その建 設 から利 用 ・解 体 廃 棄 に至 るライフサイクル全 体 にわ たって排 出 されるCO2,いわゆる「ライフサイクルCO2」を削 減 することが重 要 である。CASBEE京 都 -新 築 では,このライフサイクルCO2をBEEなどと並 行 して評 価 し,施 主 や設 計 者 ,施 工 者 などが地 球 温 暖 化 防 止への取組の程 度 を認 識 できるよう分かり易く表 示している。 特 に,地 球 温 暖 化 防 止 対 策 の重 要 性 がますます高 まっているなか,建 築 物 に起 因 するCO2排 出 量 の 一 層 の 削 減 に資 する高 い 取 組 を推 奨 する評 価 指 標 や,ライフサイク ル CO2の 評 価 結 果 に基 づく格 付 け (緑星 によるランク付け)等 を盛り込んでいる。

1.5 評価の基本姿勢

CASBEE京 都 -新 築 は,建 築 物 の環 境 に関 する性 能 を“総 合 的 に”評 価 するものである。すなわち , 特 定 の取 組 のみに特 化 した建 築 物 よりも,関 連 分 野 に対 しバランス良 く取 り組 む建 築 物 を高 く評 価 する。 無 論,特 定の取 組に力 を入 れることを否 定するものではなく,環境 分 野 全 般に対する取 組レベルのベース を上げることが重 要と考える。 なお,CASBEE京 都 -新 築 の評 価 対 象 は建 物 本 体 に限 らず,外 構 ,利 用 者 の持 ち込 み機 器 ,建 物 供 給 側 から利 用 者 への情 報 提 供 ,維 持 管 理 の計 画 や体 制 ,更 には部 材 製 造 段 階 や施 工 現 場 における 取 組 までを含 む。この中 には建 物 供 給 側 が直 接 的 に携 わることが困 難 な対 象 も含 まれるが ,環 境 に及 ぼ す影 響が小さくないと判 断されるものは基 本 的に評価 する方針 で選 択した。

1.6 全体評価(標準システムと独自システム)

CASBEE京 都 のシステムは,京 都 標 準 システムと京 都 独 自 システムとで構 成 され,それぞれに総 合 的 な環 境 性 能 ,京 都の独 自 性 を評 価 するという役 割 を有 する。アウトプットにおいて,2つのシステムを統 合し た指 標 を設 けた場 合 ,それらの役 割 ,特 に京 都 の独 自 性 が見 えにくくなるため,標 準 システムの評 価 結 果 は全国 版のシートを準 用し,独自 システムについては独 立した評価 シートを設 定している。 いずれのシートも,アイコンやグラフ等を用いてわかりやすく表現 し,データの「見 える化」を図 っている。 なお,全 体 評価 に当たっては,標 準システムでは総 合 的 な環 境性 能 を評 価 ,独 自 システムでは京都の 重 点 項 目 に関 する取 組 度 及 びバランスを評 価 したうえで,両 者 のいずれもが高 得 点 となるものを, CASB EE京 都において優 れた建 築物として評価 する。 図1.4 標 準システムと独 自システムの関 係

標準システム

・建築物の総合的な環境性能

を評価

・全国版同様,ランク(S,A,B

+・・・)及び BEE 値で表示し,

「見える化」

独自システム

・京都が重視する項目の取組

状況を表示・評価

・3つのキーワードそれぞれにつ

いて,5段階で表示し,「見え

る化」

併用

両者がいずれも高い得点の場合,優れた建築物として評価

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2. CASBEE京都-新築の評価の仕組み(標準システム)

2.1 標準システムの評価の基本構造

2.1.1 評価対象建築物

CASBEE京 都 -新 築 は,戸 建 住 宅 を除 く全 ての用 途 に適 用 可 能 である。用 途 分 類 は表 1.1に示 す9 用途 である。なお,戸 建て住宅は別 途 CASBEE京 都 戸 建 -新 築で対 応している。 表1.1適用 対 象用 途(住宅 系と非 住 宅系 に大別) 用途区分 用途名 含まれる用途 非 住 宅 系 用 途 事 務 所 事務所,庁舎,郵便局など 学 校 小学校,中学校,高等学校,大学,高等専門学校,専修学校,各種学校など 物 販 店 百貨店,マーケットなど 飲 食 店 飲食店,食堂,喫茶店など 集 会 所 公会堂,集会場,図書館,博物館,ボーリング場,体育館,劇場,映画館,ぱちんこ 屋,展示施設など 工 場 工場,車庫,倉庫,観覧場,卸売市場,電算室など 住 宅 系 用 途 病 院 病院,老人ホーム,身体障害者福祉ホームなど ホ テ ル ホテル,旅館など 集合住宅 集合住宅(戸建は対象外) (備考) ◆工場の場合 ・Q1室内環境と,Q2-1機能性の評価では,主に居住エリア(事務所等)を評価の対象とし,生産エリアは評価対 象外とする ・LR1エネルギーの評価では,エネルギー消費性能基準で計算対象外となる工場の生産エリアにおけるエネル ギー消費は評価対象外とする ◆病院,ホテル,集合住宅(住宅系用途)の評価 ・利用者の住居・宿泊空間とそれ以外の部分とに分けて評価する ・建物一体としての評価は,各部分の床面積の比率に従って項目毎のスコアを加重平均することで得られる

2.1.2 総合的な環境性能評価

(1)項目毎の採点

前 章 で示 したように,CASBEE京 都 -新 築 は,建 築 物 の総 合 的 な環 境 性 能 を,建 築 物 の環 境 品 質 (Q)と,建築 物が外 部に与 える環 境負 荷(L)の2つに分けて評 価する。QとLにはそれぞれ3つの評価の分 野 があり(これを大 項 目 とよぶ),それらは更 に1から2段 階 に階 層 化 された分 野 から構 成 され(これらを中 項 目 ・小 項 目 とよぶ),それぞれ関 連 する分 野 に割 り当 てられた評 価 項 目 について5点 満 点 で採 点 してい く。この結 果 を階 層 ごとに集 計 することで,どの分 野 の取 組 が優 れているか,あるいは劣 っているかを確 認 することができる。専 用 のソフトウェアによる,これらの結 果 表 示 の例 を図 1.5及 び図 1.6に示 す。(ソフトウェ アの使い方 ,結 果 表示 の見 方などは「PartⅡ 2.評価の手順 」参 照)

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図1.5 中 項 目単 位の採点 結果の比 較例(ソフトウェアの表示 画 面) 図1.6 大 項 目単 位の採点 結果の比 較例(ソフトウェアの表示 画 面)

(2)環境効率BEEの算定

採 点 結 果 は , 更 に Q と L そ れ ぞ れ で 集 計 さ れ , 最 終 的 に は 1 0 0 点 満 点 の 点 数 に 変 換 さ れ る 。 CASBEEでは,Q(の点 数 )が高 く,L(の点 数 )が低 い建 築 物 が高 い評 価 を得 るようになっており ,この関 係 を次 に示 す比 率 ,環 境 効率(BEE)に置 き換えて評価 する。この値 が高いか低いかで,環 境に対する総 合的 な評価 を行う仕 組 みである。 CASBEE京都 -新築 の環境 効 率 BEE = Q/L

BEE : 建 築物の環 境効 率(Built Environment Efficiencyの略) Q : 建 築物の環 境品 質(Qualityの略) L : 建 築物の環 境負 荷(Loadの略) なお,このQとLを評 価するための評 価対 象 範囲の区 分は図 1.7のようになる。 2-3 大項目の評価(レータ ゙ーチャート) 1 2 3 4 5 Q2 サー ビ ス性能 Q3 室外環 境 ( 敷地内) LR 3 敷地外環境 LR 2 資源・ マテ リアル LR 1 エ ネルギー Q1 室内環境 2-4 中項目の評価(バーチャート) Q 環境品質 Qのスコア= 3.2 Q1 室 内 環 境 Q2 サ ー ビ ス 性 能 Q3 室 外 環 境 ( 敷 地 内 ) 3.2 3.2 3.2 LR 環境負荷低減性 LRのスコア= 3.7 LR1 エ ネ ル ギ ー LR2 資 源 ・ マ テ リ ア ル LR3 敷 地 外 環 境 4.1 3.6 3.3 環境負荷 L 3.2 3.4 3.0 2.0 4.0 3.5 4.8 3.0 4.2 3.8 3.4 3.7 3.6 3.9 2.6 3.3 音環境 機能性 耐用性 生物環境 ・信頼性 対応性 ・更新性 まちなみ ・景観 地域性・ アメニティ Q3 のスコア= Q2 のスコア= Q1のスコア= 温熱環境 光・視環境 空気質環境 水資源 非再生材料の 使用削減 LR3のスコア= LR2のスコア= LR1のスコア= 汚染物質 回避 建物外皮の 熱負荷 自然エネ ルギー 設備システ ム効率化 効率的 運用 地球温暖化 への配慮 地域環境 への配慮 周辺環境 への配慮 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 3.1 3.0 3.1 3.5

(15)

図1.7 QとLを評 価するための区分 こうして求 めたBEE値 は,Qを縦 軸 に,Lを横 軸 にとることによって,座 標 軸 の原 点 を通 るQ/Lの傾 きを 持つ直線 上の1点として表 現される(図 1.8は,BEE=56/32=1.7となる例)。 図1.8 BEEを用いたランク付けの例

(3)BEEに基づくランク付け

BEEの大 小 に応 じて,建 築 物 は「赤 ★★★★★(Sランク)」から「赤 ★(Cランク)」の5段 階 にランク付 け される。それぞれのランクは表 1.2に示 す評価 の表 現と星 印の数の表 現 に対 応し,専 用のソフトウェアにより 表 示 される。各 ランクは基 本 的 にBEEの傾きによって決 まるが,SランクのみはQのスコアに対して足切 り点 (50点 以上)を設けている。図 1.8の例では,BEE=1.7であり,ランクは赤 ★★★★(A)となる。 表1.2 BEEによるランクと評価の対 応 ランク 評価 BEE 値ほか ランク表示 S 素晴らしい BEE=3.0 以上,Q=50 以上 赤★★★★★ A 大変良い BEE=1.5 以上 3.0 未満 赤★★★★ B+ 良い BEE=1.0 以上 1.5 未満 赤★★★ B- やや劣る BEE=0.5 以上 1.0 未満 赤★★ C 劣る BEE=0.5 未満 赤★ 2-1 建築物の環境効率(BEEランク&チャート) 1.7 BEE = S: ★★★★★A: ★★★★B+: ★★★B-: ★★C: 3 2 5 6

1.7

0 50 100 0 50 100 環 境 品質 Q 環境負荷 L S A B+ B -C 3.0 0.5 1.5 BEE=1.0 ①参照値 ②建築物 ③上記 ④上記

(16)

BEEを使 った評 価 の特 徴 として,環 境 品 質 (Q)と環 境 負 荷 (L)との相 互 の関 係 性 を評 価 に組 み込 ん だことがあげられる。すなわち,Qを2倍にして,Lを半 分 にすれば,BEEが4倍 になるという関 係である。 例えば,暖冷 房 エネルギーの削減 により環 境負 荷 を低 減することができても,それが暑 さ・寒 さを我慢す ることに繋 がるなら環 境 品 質 が落 ちるため,評 価 は高 くならない。一 方 ,快 適 性 を下 げることなく省 エネを 図 ったり,エネルギー消 費 を増 やさずに快 適 性 を向 上 させることができれば,評 価 は上 がることになる。そし て,省 エネ を図 りつつ,快 適 性 を向 上 させることができれば ,最 も高 い評 価 が得 られる仕 組 みとなってい る。

2.1.3 低炭素化性能評価

(1)ライフサイクル CO

2

の算定

CASBEE京 都 -新 築 では,評 価 項 目 を採 点 すると,BEEに加 え地 球 温 暖 化 防 止 性 能 として,建 築 物 の建 設 から運 用 ,修 繕 ・更 新 ・解 体 までを含 むライフサイクルCO2排 出 量 の目 安 が算 定 される。これは全 ての採 点 項 目 のうち,建 築 物 の寿 命 や省 エネルギーに係 る項 目 の評 価 結 果 を参 照 して自 動 的 に算 定 さ れるもので,一 般 的 な建 築 物 (全 ての項 目 がレベル3の住 宅 )のライフサイクルCO2排 出 量 (以 下 ,「参 照 値」と呼 ぶ)に対 する割 合(以下 ,「排 出 率」と呼 ぶ)の大小 に応 じて取組の高 さを評価 するものである。

(2)ライフサイクル CO

2

に基づくランク付け

排 出 率 の大 小 に応 じて,「緑 ☆☆☆☆☆」から「緑 ☆」までの5段 階 にランク付 けされる。具 体 的 には排 出率 に応 じて以下の判 定 基準 によりランク付 けする。 表1.3 ライフサイクルCO2排出 率によるランク 排出率 低炭素化に関わる性能イメージ ランク表示 100%を超える 非省エネビル 緑☆ 100%以下 ≒現行の省エネ基準を満足 緑☆☆ 80%以下 ≒運用段階の 30%の省エネ 緑☆☆☆ 60%以下 ≒運用段階の 50%の省エネ 緑☆☆☆☆ 30%以下 ≒運用段階のゼロ・エネルギー 緑☆☆☆☆☆ 図1.9 ライフサイクルCO2排出 率によるランク付 けの例 2-2 ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート) 標 準 計 算 このグラフは,LR3中の「地球温暖化への配慮」の内容を,一般 的な建物(参照値)と比べたライフサイクルCO2 排出量の目安 で示したものです 30%: ☆☆☆☆☆ 60%: ☆☆☆☆ 80%: ☆☆☆100%: ☆☆100%超: ☆ 0 46 92 138 184 建設 修繕・更新・解体 運用 オン サイ ト オフサイ ト 100% 75% 75% 75% ①参照値 ②建築物の取組み ③上記+②以外の オンサイト手法 ④上記+ オフサイト手法 ( kg-CO2/年・m2 )

(17)

(3)ライフサイクル CO

2

(温暖化影響チャート)の内訳

ライフサイクルCO2の評 価 結 果は,図 1.9に示 すように温 暖 化影 響 チャートで以 下の4本の棒 グラフにより 表 示 される。ライフサイクルCO2の格 付 け(緑 星 ランク付 け)は,「④ 上 記 +オフサイト手 法 」の評 価 結 果 に 基づく。 ① 参 照 値 :一 般 的 な建 築 物 のライフサイクルCO2を,「建 設 」「修 繕 ・更 新 ・解 体 」「運 用 」の3つの段 階 に 分けて表 示する。 ② 建 築 物 の取 組 :評 価 対 象 建 築 物 での取 組 (建 築 物 の長 寿 命 化 ,省 エネルギーへの配 慮 の取 組 )を 基 に評 価 したライフサイク ルCO2を,「建 設 」「修 繕 ・更 新 ・解 体 」「運 用 」の 3つの段 階 に分 けて表 示 す る。 ③ 上 記 +②以 外 のオンサイト手 法 :太 陽 光 発 電 など②以 外 の敷 地 内 (オンサイト)での 取 組 の効 果 を加 えた評 価 結果 を表示 する。 ④ 上 記 +オフサイト手 法 :グリーン電 力 証 書 やカーボンクレジットの購 入 など ,敷 地 外 (オフサイト)での取 組の効 果 を加えた評価 結 果 を表 示する。

(4)オンサイト手法とオフサイト手法の考え方

① オンサイト手 法 敷 地 内 (オンサイト)における低 炭 素 化 の取 組 のうち,太 陽 光 発 電 システムの削 減 効 果 を,建 築 物 本 体での高 断熱 化 や他の省 エネルギー設備 等による取 組と分 離して評 価する。 ② オフサイト手法 温 暖 化 対 策 の一 つとして,グリーン電 力 証 書 やカーボンクレジットの取 得 などによるカーボンオフセット 手法 が推進 されている。これらの手 法は,建 築 物 や敷 地内 の環 境 性能とは必 ずしもいえないが,我 が国 全 体 での温 暖 化 対 策 として有 効 であり,推 進 する必 要 がある。これら敷 地 の外 (オフサイト)で実 施 され る取 組 を「オフサイト手 法 」として位 置 付 け,ライフサイクルCO2の評 価 に加 えることとしている。具 体 的 な 取 組 としては,グリーン電 力 証 書 やカーボンクレジットの取 得 の他 ,その住 宅 にエネルギーを供 給 する事 業者 によるカーボンクレジットの取得 によるカーボンオフセットなどがある。

(5)ライフサイクル CO

2

の「標準計算」と「個別計算」

CASBEE京 都 -新 築 におけるライフサイクルCO2の算 定 方 法は,評 価 ソフトが自 動 計 算する「標 準 計 算」 と評価 者が独 自に計 算する「個別 計 算」とがある。 ① 標準 計 算 ・関 連する採 点 項 目の評 価 結 果に基 づき,評 価 ソフトが自 動 的にライフサイクルCO2を計 算し,これに基 づ き評 価する方法 。 ・BEEに反 映 するライフサイクルCO2評 価 は,評 価 条 件 をあわせる必 要 があるため ,標 準 計 算 の結 果 を用 い,個 別 計算の結 果は用いない。 ・オフサイト手 法 によるCO2排出 量削 減 効果は算入しない。従 って,「④上記 +オフサイト手法」には「③上 記+②以 外のオンサイト手 法」と同じ値が表 示 され,緑 星ランク付けにもオフサイト手 法の効 果は算 入さ れない。これは建築物において,現時点でオフサイト手法は一般的な取組と言えず,ほとんどのCASBE E京 都-新 築ユーザーにとって計 算条 件の設 定や結 果 の判断 が困 難と考えたためである。 ② 個別 計 算 ・評 価 ソフトによらず,他 の公 開 されたLCA手 法 などにより評 価 者が独 自 に算 定したライフサイクルCO2を入

(18)

力し,これに基づき評 価する方法 。 ・ BEEには反 映 されない。個 別 計 算 を選 択 していても,BEEには評 価 ソフトが自 動 で算 出 する標 準 計 算 の 結果 が反 映 される。 ・ オフサイト手法 によるCO2排 出削 減 効果 を算 入でき,緑 星ランク付 けにも反 映できる。 なお,ライフサイクルCO2評 価の詳 細 については,PartⅣを参 照のこと。 表1.4 「標 準計 算」と「個 別計 算」の概要 標 準 計 算 個 別 計 算 算 定 方 法 評 価 ソフトがライフサイクルCO2に関 連 する採 点 評 価 県 か ら か ら 自 動 的 に 算 定 し , こ れ に 基 づき評 価 する方 法 。 評 価 ソフトによらず,他 の公 開 されたLCA手 法 などにより評 価 者 が独 自 に算 定 したライフ サイクルCO2を入 力 し,これに基 づき評 価 す る方 法 。 オフ サイト 手 法 の評 価 オフサイト手 法 の効 果 は加 算 しない。そのた め,「④ 上 記 +オフサイト手 法 」には「③ 上 記 + ② 以 外 の オ ン サ イ ト 手 法 」 と 同 じ 値 を 表 示 する。 オフサイト手 法 の効 果 を加 算 できる。 「④ 上 記 +オフサイト手 法 」にはオフサイトで の取 組 の効 果 を加 算 して表 示 する。 BEE ( 赤 星 ) ラ ンクへの反 映 「③ 上 記 +②以 外 のオンサイト手 法 」の値 が 反 映 される。 「 個 別 計 算 」 を 選 択 し て い て も , BEE へ は 評 価 ソフトが自 動 計 算 する。 「標 準 計 算 」の「③ 上 記 +②以 外 のオンサイ ト手 法 」の値 が反 映 される。 ラ イ フ サ イ ク ル CO2( 緑 星 ) へ の反 映 「④ 上 記 +オフサイト手 法 」の値 に基 づき評 価 する。ただし,標 準 計 算 では「③ 上 記 +② 以 外 のオンサイト手 法 」と同 じ値 となるため , 結 果 としてオフサイト手 法 の効 果 は加 味 され ない。 「④ 上 記 +オフサイト手 法 」の値 に基 づき評 価 する。従 ってオフサイト手 法 の効 果 を加 味 して評 価 できる。 【標準計算】 【個別計算】 図1.10 「標準 計 算」と「個別 計 算」の温 暖 化影 響 チャートの違い 2-2 ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート) 個 別 計 算 このグラフは,一般的な建物(参照値)と比べたライフサイク ルCO2 排出量を評価者自身の計算(個別計算)により算出した 結果を示しています。LCCO2の算定条件等については,「LCCO2 算定条件シート(個別計算)」を参照されたい 30%: ☆☆☆☆☆ 60%: ☆☆☆☆ 80%: ☆☆☆100%: ☆☆100%超: ☆ 0 46 92 建設 修繕・更新・解体 運用 オン サイ ト オフサイ ト 100% 77% 31% 17% ①参照値 ②建築物の取組み ③上記+②以外の オンサイト手法 ④上記+ オフサイト手法 ( kg-CO2/年・m2 ) 2-2 ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート) 標 準 計 算 このグラフは,LR3中の「地球温暖化への配慮」の内容を,一般 的な建物(参照値)と比べたライフサイクルCO2 排出量の目安 で示したものです 30%: ☆☆☆☆☆ 60%: ☆☆☆☆ 80%: ☆☆☆100%: ☆☆100%超: ☆ 0 46 92 138 184 建設 修繕・更新・解体 運用 オン サイ ト オフサイ ト 100% 75% 75% 75% ①参照値 ②建築物の取組み ③上記+②以外の オンサイト手法 ④上記+ オフサイト手法 ( kg-CO2/年・m2 )

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2.2 標準システムの評価項目

2.2.1 採点基準の考え方

2.1.1で示 したように,CASBEEはQとLをそれぞれ別 に採 点 し,その結 果 を基 に最 終 的 にBEEを指 標 と して評 価 することを特 徴 としている。この際 ,LはまずLR(Load Reduction:建 築 物 の環 境 負 荷 低 減 性 )と して評 価 される。これは,「Qを向上 させ,Lを低 減すること」が高 評 価となるよりも,「QとLRの両 方 を向 上 さ せること」が高 評 価 となる方 が,建 築 物 の性 能 を評 価 するシステムとして理 解 しやすいためである。この考 え方 に基づき,QとLRを構 成する評 価 項目は,いずれも取 組の程 度によりレベル1から5の5段 階 で評価 さ れ,レベルの数 値 が大 きい程 ,点 数 が高 く採 点 される仕 組 みとなっている(2段 階 ,3段 階 ,4段 階 の項 目 もある)。 以下 に採 点 基 準の設 定の考え方 を示 す。 ① レベル1~5の5段階 評 価とし,基 準値の得 点はレベル3とする。 ② 原 則 として,建 築 基 準 法 等 ,最 低 限 の必 須 要 件 を満 たしている場 合 はレベル1,一 般 的 な水 準 と 判断 される場合はレベル3と評価 できるような採点 基 準とする。 ③ 一般 的 な水 準(レベル3)とは,評 価 時点の一 般 的な技 術・社 会 水準 に相 当するレベルをいう。 従 って,一 般 的 な建 築 物 であれば,ほぼ全 ての評 価 がレベル3になり,BEEは概 ね1となる。このような 考 え方 から,今 後 日 本 の建 築 物 の平 均 レベルが向 上 すれば,CASBEEの評 価 のレベルも厳 しくなってい くことになる。 なお,採 点 レベルが定 まった後の,BEEを求めるまでの計 算については,前 述の評 価ソフトにて容 易に行 うことが可 能である。図 1.11にソフトウェアにおける評 価 結果の表 示画 面 例 を示 す。 図1.11 ソフトウェアの評価 結果 表 示画 面 例 2-1 建築物の環境効率(BEEランク&チャート) 2-2 ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート) 2-3 大項目の評価(レータ ゙ーチャート) 1.7 標 準 計 算 2-4 中項目の評価(バーチャート) Q 環境品質 Q のスコア = 3.2 Q1 室 内 環 境 Q2 サ ー ビ ス 性 能 Q3 室 外 環 境 ( 敷 地 内 ) 3.2 3.2 3.2 LR 環境負荷低減性 LR のスコア = 3.7 LR1 エ ネ ル ギ ー LR2 資 源 ・ マ テ リ ア ル LR3 敷 地 外 環 境 4.1 3.6 3.3 このグラフは,LR3中の「地球温暖化への配慮」の内容を,一般 的な建物(参照値)と比べたライフサイクルCO2 排出量の目安 で示したものです BEE = S: ★★★★★A: ★★★★B+: ★★★B-: ★★C: ★ 30%: ☆☆☆☆☆ 60%: ☆☆☆☆ 80%: ☆☆☆100%: ☆☆100%超: ☆ 3 2 5 6 1.7 0 50 100 0 50 100 環 境 品質 Q 環境負荷 L S A B+ B -C 3.0 0.5 1.5 BEE=1.0 0 46 92 138 184 建設 修繕・更新・解体 運用 オン サイ ト オフサイ ト 100% 75% 75% 75% ①参照値 ②建築物の取組み ③上記+②以外の オンサイト手法 ④上記+ オフサイト手法 ( kg-CO2/年・m2 ) 1 2 3 4 5 Q2 サー ビ ス性能 Q3 室外環 境 ( 敷地内) LR 3 敷地外環境 LR 2 資源・ マテ リアル LR 1 エ ネルギー Q1 室内環境 3.2 3.4 3.0 2.0 4.0 3.5 4.8 3.0 4.2 3.8 3.4 3.7 3.6 3.9 2.6 3.3 音環境 機能性 耐用性 生物環境 ・信頼性 対応性 ・更新性 まちなみ ・景観 地域性・ アメニティ Q3 のスコア= Q2 のスコア= Q1のスコア= 温熱環境 光・視環境 空気質環境 水資源 非再生材料の 使用削減 LR3のスコア= LR2のスコア= LR1のスコア= 汚染物質 回避 建物外皮の 熱負荷 自然エネ ルギー 設備システ ム効率化 効率的 運用 地球温暖化 への配慮 地域環境 への配慮 周辺環境 への配慮 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 3.1 3.0 3.1 3.5

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2.2.2 評価項目の構成

QとLRを構成 するそれぞれ3つの大 項 目は,以 下のような構 成である。 Q1は「室 内 環 境 」を評 価 する項 目 であり,「音 環 境 」,「温 熱 環 境 」,「光 ・視 環 境 」,「空 気 質 環 境 」を 高める取 組が評 価される。 Q2は「サービス性 能 」を評 価 する項 目 であり,「機 能 性 」,「耐 用 性 ・信 頼 性 」,「対 応 性 ・更 新 性 」,を 高める取 組が評 価される。 Q3は「室 外 環 境 (敷 地 内 )」を評 価 する項 目 であり,「生 物 環 境 の保 全 と創 出 」,「まちなみ・景 観 への 配慮」,「地 域 性・アメニティへの配 慮 」に対する取 組が評価 される。 LR1は「エネルギー」を評 価 する項 目であり,「建 物 外皮 の熱 負荷 抑 制 」,「自然 エネルギー利 用」,「設 備システムの高 効 率化 」,「効率 的 運用 」に対 する取 組 が評 価される。 LR2は「資 源 ・マテリアル」を評 価 する項 目 であり,「水 資 源 保 護 」,「非 再 生 性 資 源 の使 用 量 削 減 」, 「汚染 物 質含 有 材料の使 用回 避 」に対する取 組が評 価される。 LR3は「敷 地外 環 境 」を評 価する項 目 であり,「地 球 温 暖 化への配 慮 」,「地 域 環 境への配 慮 」,「周辺 環境 への配 慮 」に対する取 組が評価 される。 以下 に評 価 項 目の一 覧 を示す。 表1.5 CASBEE京都 -新 築の評 価 項目 一 覧 中項 目 小項 目 Q1.室 内 環境 1.音環 境 1.1室内 騒 音レベル 1.2遮音 1.3吸音 2.温熱 環 境 2.1室温 制 御 2.2湿度 制 御 2.3空調 方 式 3.光・視 環境 3.1昼光 利 用 3.2グレア対 策 3.3照度 3.4照明 制 御 4.空気 質 環境 4.1発生 源 対策 4.2換気 4.3運用 管 理 Q2.サービス性能 1.機能 性 1.1機能 性・使いやすさ 1.2心理 性・快適 性 1.3維持 管 理 2.耐用 性・信 頼 性 2.1耐震・免 震 ・制 震・制 振 2.2部品・部 材の耐 用 年数 2.3適切 な更新 2.4信頼 性 3.対応 性・更 新 性 3.1空間 のゆとり 3.2荷重 のゆとり 3.3設備 の更 新 性

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Q 3 . 室 外 環 境 ( 敷 地内) 1.生物 環 境の保 全と創 出 2.まちなみ・景観 への配 慮 3.地 域 性 ・アメニティへの配 慮 3.1地域 性への配 慮,快 適 性の向 上 3.2敷地 内 温熱 環 境の向 上 LR1.エネルギー 1.建物 外 皮の熱 負 荷抑 制 2.自然 エネルギー利 用 3.設備 システムの高 効率 化 4.効率 的 運用 4.1モニタリング 4.2運用 管 理体 制 LR2.資 源 ・マテリア ル 1.水資 源 保護 1.1節水 1.2雨水 利 用・雑 排 水等の利用 2 . 非 再 生 性 資 源 の 使 用 量 削減 2.1材料 使 用量 の削 減 2.2既存 建 築躯 体 等の継 続使 用 2.3躯体 材 料におけるリサイクル材の使 用 2.4躯体 材 料 以 外 におけるリサイクル材の使用 2.5持続 可 能な森 林から産 出された木 材 2.6部材 の再 利 用可 能 性 向上 への取 組 み 3 . 汚 染 物 質 含 有 材 料 の 使 用回 避 3.1有害 物 質 を含 まない材 料の使 用 3.2フロン・ハロンの回 避 LR3.敷 地外 環 境 1.地球 温 暖化 への配 慮 2.地域 環 境への配慮 2.1大気 汚 染防 止 2.2温熱 環 境悪 化の改 善 2.3地域 インフラへの負 荷 抑制 3.周辺 環 境への配慮 3.1騒音・振 動・悪 臭の防 止 3.2風害・砂 塵・日 照 阻害 の抑制 3.3光害 の抑 制 建 築 物 の環 境 性 能 は必 ずしも定 量 的 に評 価 できるとは限 らない。このため ,評 価 項 目 の中 には,断 熱 性 能 や耐 震 性 能 のように計 算 によって求 められるものや,環 境 に配 慮 した取 組 の数 を評 価 するものなどが 混 在している。また,これらは環 境 性 能 の全 てを対 象としているものではない。特 に,CASBEE京 都 -新 築 では,以下の点 については基本 的に評 価しないこととしている。 【審美 性】 建 築 物 としては外 観 の美 しさが重 要 であるものの ,「美 しさ」そのものは客 観 的 評 価 が困 難 であるため, 取 り扱 わないこととした。類 似 の評 価 として,「Q3.1まちなみ・景 観 への配 慮 」があるが,ここでは比 較 的 客 観的 評 価が可能 な要件のみで評 価することとした。 【コスト】 CASBEEの評 価 を上 げるため(様 々な取 組 を採 用 するため)にはコストが高 くなる場 合 があり,実務上で は重要な要素と考えられるが,費用対効果の評価は個人の判断に委ねるべきと考え,CASBEEでは評 価 対 象外とした。

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2.3 重み付けの考え方

評 価 分 野 間 の重 み係 数 は,科 学 的 知 見 とともに,設 計 者 ,建 物 所 有 者 ・管 理 者 ,行 政 関 係 者 などの さまざまな利害 関 係 者の価 値観 に基 づいて判 断されたCASBEE全 国 版の重 み係 数に従っている。 表1.6 重 み係数 評価分野 Q1 室内環境 工場以外 工場 0.40 0.30 Q2 サービス性能 0.30 0.30 Q3 室外環境(敷地内) 0.30 0.40 LR1 エネルギー 0.40 LR2 資源・マテリアル 0.30 LR3 敷地外環境 0.30

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3. 京都独自の評価の仕組み(重点項目と独自システム)

(1) 重点項目の設定

環 境 配 慮 において,京 都 が特 に重 視 すべき項 目 が重 点 項 目 である。CASBEEに設 定 された環 境 配 慮 に関 する多 数 の項 目 の中 から,京 都 の環 境 配 慮 建 築 物 のあり方 を示 す「大 切 に使 う」,「ともに住 まう」, 「自然からつくる」の3つのキーワードに即して抽 出したものを重点 項 目とした。表 1.7にその一 覧 を示 す。 表1.7 重 点 項目(3つのキーワードに対 応した評価 項 目)と独 自 評価の区 分 キ-ワード 内 容 取 組 CASBEE京 都 -新 築 の項 目 評 価 項 目 の区 分 大切 に使う 長 寿 命 化 メンテナンスの 容 易 性 Q2 3.3.1 空 調 配 管 の更 新 性 A 3.3.2 給 排 水 管 の更 新 性 A 3.3.3 電 気 配 線 の更 新 性 A 3.3.4 通 信 配 線 の更 新 性 A 3.3.5 設 備 機 器 の更 新 性 A 物 理 的 長 寿 命 Q2 2.2.1 躯 体 材 料 の耐 用 年 数 A 社 会 的 長 寿 命 Q2 1.1.3 バリアフリー計 画 D 3.1.2 空 間 の形 状 ・自 由 さ A 省 資 源 LR2 2.1 材 料 使 用 量 の削 減 B,D 2.3 躯 体 材 料 におけるリサイクル材 使 用 B,D 2.4 躯 体 材 料 以 外 におけるリサイクル材 使 用 A’,B 2.6 部 材 の再 利 用 可 能 性 向 上 A ともに住ま う 自 然 ととも に住 まう 自 然 を感 じられる 計 画 Q2 1.2.1 広 さ感 ・景 観 C Q3 1 生 物 環 境 の保 全 と創 出 A’ 3.2 敷 地 内 温 熱 環 境 の向 上 A 地 域 ととも に住 まう 地 域 環 境 やコミュ ニティーへの配 慮 Q3 3.1 地 域 性 への配 慮 ,快 適 性 の向 上 A’ LR3 2.2 温 熱 環 境 悪 化 の改 善 A 3.3.2 昼 光 の建 物 外 壁 による 反 射 光 (グレ ア)への対 策 B 歴 史 ととも に住 まう 歴 史 性 への配 慮 Q2 1.2.3 内 装 計 画 D Q3 3.1 地 域 性 への配 慮 ,快 適 性 の向 上 A’ 自然 からつ くる 自 然 材 料 の利 用 Q2 1.2.3 内 装 計 画 D Q3 3.1 地 域 性 への配 慮 ,快 適 性 の向 上 A’ LR2 2.5 持 続 可 能 な森 林 から産 出 された木 材 B,D 自 然 環 境 の利 用 Q1 3.1.1 昼 光 率 A 3.1.3 昼 光 利 用 設 備 B 3.2.1 昼 光 制 御 B 4.2.2 自 然 換 気 機 能 A LR1 2 自 然 エネルギー利 用 A 3 設 備 システムの高 効 率 化 B LR2 1.2.1 雨 水 利 用 システム A

(24)

(2) 重点項目に関する全国版の評価基準の見直し

表 1.7に示 した重 点 項 目 について,CASBEE全 国 版 の基 準 内 容 を,京 都 の特 性 に即 して表 1.8の4つ の区 分 で見 直 し,CASBEE京 都 -新 築 における独 自 の評 価 基 準 を設 定 した。個 々の項 目 別 の区 分 につ いても併せて表 1.7に記 載している。 なお,標 準システムの重 み係数 については,普 遍性 を維持 するため,全 国版 をそのまま準 用した。 表1.8 重 点 項目の評 価の見直し 評価項目の区分 考え方 標準システム 独自システム 評 価 基 準,ランク の修正 京 都 の 特 性 を 別枠で追加 独 自 シ ス テ ム へ の 反映 更なる加点 重 点 項 目 A 全国版準用 全国版を準用 - - ○ - A’ 全国版準用 基本的に全国版を 準用 - ○ 取 組 内 容 の 具 体例を補完・充 実 ○ - B 推奨内容追加 評 価 内 容 及 び ラ ン クは全国版を準用し たうえで,京都として の 推 奨 要 素 を 追 加,例示 - ○ 京都としての推 奨要素を追加, 例示 ○ ○ C 独自加点 評 価 内 容 及 び ラ ン クは全国版を準用し たうえで,京都として の加点要素を追加 又は明確化 - ○ 京都としての加 点 要 素 を 追 加 又は明確化 ○ - (標準システム で加点済み) D 独自基準 評価内容を京都独 自の内容 に置き換 える ○ - ○ - その他の項目 全国版を準用 - - - - これらの区 分 については,PartⅢ2.採 点 基 準 において,重 点 項 目 に該 当 する項 目 の左 肩 に下 のような 形で表示 している。また,項 目によっては,複 数の区 分 に該 当するものもある。 図1.12 重点 項 目の区 分 の表示 マーク(例)

京都重点項目

(全国版準用

)

京都重点項目

(推奨内容

)

(独自基準

)

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(3) 独自システムによる評価

① 独自 システムの仕 組 み 京 都 が目 指 すべき環 境 配 慮 建 築 物 は,京 都 の環 境 配 慮 建 築 物 を端 的 に示 す「大 切 に使 う」,「ともに 住 まう」,「自 然からつくる」の3つのキーワードをいずれも高 次のレベルでバランスよく満たしているものである べきと考えられる。 このため,独 自 システムでは,各 重 点 項 目 の評 価 結 果 (スコア)を一 つにまとめるのではなく,3つのキー ワードに対応 したそれぞれの取組 状 況が見えるようにする。 また,各 項 目 のスコアの集 計 に当 たっては,分 かりやすさを重 視 し,重 み付 けなどの考 え方 は採 用 せず, 単純 にスコア値の合 計とし,更にその値 を標 準 システムに倣い,5段階 で表 示 する。 ② 独自 システムにおける独自の加 点 京 都の独 自 性 を評 価 ・誘 導 するに当たり,標 準 システムでは,システムの整 合 性・普 遍 性 から更 なる評 価 を与 えることが難しいものがある。それらについては,独自 システム内で別 途加 点 を行 うものとする。 別途 加 点の対 象は,以 下 の2つとする。 ○推 奨 内 容 としているが,他 の内 容 と性 能 面 では同 じであるため,標 準 システムにおいても同 等 の評 価 しかなされないもの ○標 準システムで,どれだけ取 り組 んでもレベル5が上 限とされており,それを超 えて評 価すべきもの ③ 独自 システムにおける「見える化」指 標 独 自 システムでは,加 点 項 目 とは別 に,取 組 の度 合 いをわかりやすく示 すため,次 の3つの項 目 を明 示 する。 ア.景 観 1.3(2)で述 べた京 都 が目 指 す「低 炭 素 景 観 」については,関 連 項 目 は6項 目 あり,多 くの分 野 にわたる ものである。また,それらは概 ね京 都 重 点 項 目 に指 定 され ,個 々に加 点 がなされている。しかしながら,低 炭 素景 観 については全 体 的 な取 組 状 況 をとらえることが重 要 であることから,関 連 項 目のうちいくつの項 目 に取 り組 んでいるかを表 示 する。 イ.ライフサイクルCO2及びCO2削 減 率 2.1.2で述 べたライフサイクルCO2については,排 出 量 や削 減 率 自 体 が意 味 のある指 標 となることから, 標準 システムで得 られた数 値データを改めて表 示する。 ウ.ウッドマイレージCO2及 びCO2削 減率 木 材はその生 育 過 程 で大 気 中のCO2を取 り込 み,固 定 化 する性 質 を持 っており,また,加 工 の際 も,鉄 やコンクリートなどの他 の建 築 資 材 に比 べて,消 費 エネルギーの少 ない材 料 であるが,海 外 から輸 入 した 木材 などは,輸 送の際 にエネルギーを消 費し,CO2を排 出している。 そこで,消 費 地 に近 い場 所 で生 産 された木 材 を使 うことで環 境 への負 荷 を軽 減 することが考 えられ,そ の指標 として考案 されたのが,ウッドマイレージである。 ウッドマイレージは,木 材 量 と輸 送 距 離 に輸 送 手 段 (車 ,船 など)ごとの係 数 を掛 けて算 出 される。単 位 はキログラムCO2で,輸 送 過 程 の二 酸 化 炭 素 排 出 量 を表 示 する。輸 送 距 離 が短 く,輸 送 手 段 の エネル ギー効率 が良いほど数 字が小さくなる。 独 自 システムでは,このウッドマイレージCO2の排 出 量 及 び削 減 率 を別 途 データから入 手 し,表 示 するこ とで,京都 らしい取組の指 標としている。なお,データ取得 方 法 については,PartⅡ 2.4に記 載している。

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PartⅡ

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1. 基本的な考え方

PartⅡでは具 体 的 な評 価 方 法 を示 すが,その前 にCASBEE京 都 -新 築 の評 価 に対 する基 本 的 な考 え方 をここで整理 しておく。 (評価 対 象範 囲の考え方) ・CASBEE京 都 -新 築 は,建 築 物 (戸 建 住 宅 を除 く)の環 境 に係 わる性 能 を“総 合 的 に”評 価 するもので ある。 ・このため,CASBEE京 都 -新 築 の評 価 対 象 は建 物 本 体 に限 らず,外 構 ,建 物 利 用 者 の持 ち込 み機 器 , 建物 供 給側 から利用 者 への情報 提 供 ,更には部 材 製造 段 階 や施 工 現場 における取 組 までを含 む。 ・この中 には建 物 供 給 側 が直 接 的 に携 わることが困 難 な 取 組 も含 まれるが,環 境 に及 ぼす影 響 が小 さく ないと判断 されるものは基 本的 に評 価する方 針とする。 (評価 方 法の考 え方) ・CASBEE京 都 -新 築 は一 部 の専 門 家 のためのツールではなく,建 築 に携 わる様 々な人 が使 うことを意 識して開発 している。このため,評 価者 に負 担 をかけないことを優 先し,できるだけ簡 易 な評 価 方 法 を採 用している。 ・具 体 的 には,調 査 ・実 測 や複 雑 な数 値 解 析 を使 わざるを得 ない評 価 方 法 ではなく,簡 易 な計 算 や,環 境に配慮 した取 組の数で評 価する方法 を優先 的 に採 用している。 (レベル設 定の考え方) ・採 点 のレベル設 定 においては,基 本 的 には現 在 建 設 される一 般 的 な建 築 物 がレベル3となるようにして いる。 ・ただし,今 後 特 に普 及 を促 進 すべきと考 えた取 組 は,現 状 では比 較 的 高 度 な場 合 であってもレベル3と 設定したものもある。

(29)

(仮想 閉 空間 について) CASBEEでは,仮 想 閉空 間 を設 定し,その範 囲 を評 価対 象 範囲として評価 する。 ・敷地 内にある建 築物 が1の場合は,当該 建 築物の敷地 が仮 想 閉空 間となる。 ・敷 地 内 に複 数 の建 築 物 が存 在 する場 合 ,CASBEE京 都 では,原 則 ,建 築 物 ごとに敷 地 を分 割 して仮 想 閉 空 間 を設 定 する(図 2.1)。 この場 合 ,建 築 物 同 士 の中 心 線 で分 割 する,花 壇 等 外 構 を構 成 する 要 素 の境 界 で分 割 するなど明 確 な根 拠 に基 づいて設 定 し,その範 囲 を配 置 図 等 に示 すこと。ただし,建 築 物 に付 属 する駐 輪 場 等 で延 べ面 積 が全 体 の2割 未 満 のものについては,当 該 建 築 物 を含 めて仮 想 閉空 間 を設定することができる(図 2.2)。 図 2.1 図2.2 (代表居室の選定について) ・Q1~Q2-1については,建築物全体の性能を代表する居室=代表居室を選定し,当該居室について評価を 行う。選定した代表居室は平面図等に示し,当該居室を一貫して評価すること。 ・代表居室は原則,その面積の合計が評価対象建築物全体(住居系用途の場合は専有部分,共用部分のそれ ぞれについて)の床面積の過半となるように選定する。複数の居室を代表居室として選定した場合には,各々の 居室を個別に評価し,各部分の面積比率で按分した結果を全体の評価結果とする。 (複合用途の建築物について) ・延べ面積が建築物全体の2割未満の用途については,主用途に含めて評価できる。 ・延べ面積が建築物全体の2割以上の用途については,各々の用途を個別に評価し,各部分の面積比率で按分 した結果を全体の評価結果とする。なお,Q3及びLR3の評価においては,用途による違いがないため,按分す る必要はない。 集合住宅 駐輪場 B棟 A 棟 敷地 敷地 仮想閉空間 仮想閉空間

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2. 評価の手順

2.1 評価フロー

CASBEE京 都 -新 築 の評 価 は,一 般 的 に図 2.3に示 すフローで行 われる。まず,「PartⅢ 2 採 点 基 準」に基づき対 象 建 物における取 組 を最 高5段 階 で評 価する。次 にこの結 果 をもとに採 点することとなるが , この作 業 を簡 略 化 するために,専 用 のソフトウェアを用 意 した。ソフトウェアは,CASBEE全 国 版 をベースと した「標準 システム」と京 都 の独自 評 価 を行 う「独 自システム」の2つからなる。 標 準 システムは,項 目 ごとの取 組 のレベルを入 力 すると自 動 的 に採 点 計 算 が行 われ,BEE値 などの評 価結 果 を分かり易く表 示するものである。 独 自 システムは,標 準 システムによる評 価 結 果 から必 要 な項 目 を読 み取 り,入 力 すると自 動 的 に採 点 計算 が行 われ,京 都らしい取組の評 価結 果が得られるものである。 これらのソフトウェアは,京 都 市のホームページ(「CASBEE京 都」で検索)から無 料 でダウンロードするこ とができる。 図2.3 CASBEE京都 -新 築の評 価 フロー

STEP1

STEP2

STEP3

CASBEE京 都 -新 築の採 点 基 準に従 い,取 組 レ ベル を 1 ~ 5 ま での 最 高 5 段 階 で 評 価 する。 (標準 システム) (独自 システム) 標 準 システムの評 価 結 果 等 を入 力 すること で , 京 都 ら し い 取 組 の 評 価 結 果 が 得 ら れ る。 自 動 的に計 算 された評 価 結 果 を確 認する。 ソフト ウェ アに各 評 価 項 目 の レベル を入力する。

図 2.16  スコアシート画面例(1/2)CASBEE-京都-建築(新築)2018年版 ■使用評価マニュアル: CASBEE-京都-建築(新築)2018年版欄に数値またはコメントを記入■評価ソフト:CASBEE京都-新築2018(v.1.0)スコアシート建物全体・共用部分住居・宿泊部分配慮項目環境配慮設計の概要記入欄評価点重み係数評価点重み係数全体Q 建築物の環境品質3.0Q1 室内環境0.40-3.01音環境3.00.153.01.003.01.1室内騒音レベル3.00.403.00.501.2遮音3.

参照

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