シャトルウォーキングテストによる最高酸素摂取量推定は高齢慢性閉塞性肺疾患患者に適用可能か？

理学

療 法

学

　

第

36

巻 第

7

号

　

377

〜

381頁 （2009年）

短

_報

シ

ャ

ト

ル

ウ

ォ

ー

キ

ン

グ テ

ス

ト

に

よ

る

最

高

酸

素

摂

取

量 推 定

は

　　　　　

高 齢 慢 性 閉塞 性 肺 疾 患 患

者

に

適

用 可

能

か

？

＊

関 川

清

一

〇 ＃

藤 井 和 代

2）

　

関

川

則 子

3）

円

平

一

行

4）

　

高 橋

　

真

D

　

稲

水

　

惇

1） 要 旨

【

目

的

1

漸 増

シャ トル ウォ

ー

キング テス ト

（

ISWT

）

は，　

Singh

の予

測 式

によ

り最 高 酸 素 摂 取 量 （

peakVO2

）

が

推 定

さ れてい る

。

し か し

，Singh

の

予

測

式

は 中

高 年 者

の西

洋

人

を も と

に

作 成

さ れ て お

り

，

本 邦

に お

け

る

高 齢

cOPD

患

者

へ の適 川 に

関 す

る

検 証

が な さ れてい ない

。

そこで 本 研 究では

，

　

Singh

らの 予 測 式 に よ る

peakVO2

推 定 （

予 測

peakVOL

，

）

が

，

高 齢

COPD

患 者

に おいて

適 川 可 能

か

否

か

検 討 す

ること を 目

的

と し た

。

【

方 法 】 下 肢 骨 関 節 障 害

が な

く症 状

の

安 定

してい る

COPD

患

_者

20

_名

を

_{対 象}

に⊥

SWT

を 実 施 し

，

携

帯 型

呼

気

ガス

分 析 計

を

用

い て

_{peak Ψ02}

（

実 測

peakXl

’

02

）

を

測 定

し た

。

実

測

_{peak マ02}

と

ア

測

_{peak 章02}

の比 較 を 共

分 散 分 析 を川

い て

検 討

し た。 こ の

場 合

，

Singh

らの

報 告

お よ び

乱 数 表

に て

測 定 誤

差 を

算

出 し

，

測 定誤

差 を

加 算 し

た

予測

peak マ02

を川

いて

，

統 計 処 理

を

100

回実 施

し た。

【

結 果 】 解 析

し

え

た

99

回

の

共 分 散 分 析

の

結

果，

2

回のみ

有 意 差 を 認

め

（

p

≡0，

025

，

0

，

〔〕

45

）

，

97

回の

解 析

において

有 意 差 を認

め

ず

，

実測

peakVO2

と

予

測 pcak

寸

02

が

統 計 学

上 ほ ぼ

・

致

し た

。

【

結 論

】

Singh

予

測 式

か ら

推 定 す

るpeak

Ψ

02

は

，

本 対 象 高齢

COPD

患

．

者

に おいて

も適

用 可

能

で

あ

るこ

と

が

示 唆

さ れ た

。

キ

ー

ワ

ー

ド

　 慢 性 閉

塞

性 肺

疾 患

，

シャ トル ウォ

ー

キング テ ス ト

，

最 高

酸

素摂 取

量

緒

言

　 漸 増

シャ トル ウォ

ー

キングテ ス

ト （

incremental

　shut

−

tle　walking 　test；

ISWT

）

は

，

　

Sjngh

ら に よっ て開

発

さ れ

た

漸 増 負 荷 式 平 地 歩 行

テス トで

あ

る1）

。

1SWT

に よ る

総

歩 行 距 離

と

最 高 酸 素 摂 取 量

（

peak

　oxygen 　uptake ：

peak Ψ02

） との

相

関 関

係

が

高

い こ とか ら2），　

peak

寸

02

を推 定

し

，

慢 性 閉 塞性 肺 疾 患 （

chronic 　obstruetive 　_pul

一

＊

　

Is　Estimated　Peak　Ox_｝

・

_gen　Uptake　Appli〔：able 　by 丁11crcmcLlta 】

　 Shutt⊥e 、Va⊥king　Test　ill　Older　Parients“

，

ith　Chronic　Ol）sLrucLi 、e

　 PuLmI｝nnry 　Discase？

1） 広島大 学 大 学 院保 健 学 研究科

〔〒734

−

8551広 島 県 広 島r］iUt区 霞 1

−

2

−

3 ｝

　 KLyDkazしL　Seldkawa

．

　PT

．

　Makc ｝k｝TEikallashi

、

　PT

，

　Tsutomu 　Tl〕amlzu

，

　MD ：Graduate　Schoo⊥of　HealLh　Sciences

，

　Ilin〕shima 　University

2）頴田病 院 　リハ ビ リテ

ー

シ ョン部

　 Kazuy⊂コFlljii

，

　PT：D【

・

partmcn 匸of　Re上ユab［且tLation　Medici1

’

ie

，

　Kaita

　 Hospi1討

3）1封家 公 務 貝 共 済 連 合 吉島病院 リハ ビ リテ

ー

ショ ン科

　 NorikD　Sekikawa

、

　PT；1）epartlllenL 　of 　RehabLlitutien　Medicinc

，

　 Yoshijima　Hし，spjtaL

4）畿 央 大 学 健 康 科 学 部埋学療 法学科

　 Kaz11yuki　Tabira

「

PT：Depar rnent 〔，f　Physical　Thcrapy

．

　Facuhy

　 〔〕fHcalth 　Sclence

，

　Kio　U［liversitv ＃

　 E

．

mail：sekikHwll ＠hlrQshima

−

u

．

ac

．

jl

〕

　 〔受付

H

　2009 年 2 月 26 日　受 理冂　2009年7月25目）

mOnary 　

diSeaSe

：

COPD

） 患

者

の運

動 耐容 能 評価

と して

川

い ら

れ

てい る：蛔 ）。

　Singh

らの

_peakVO2

予 測 式 （

Singh

予 測 式 ） は 西 洋 人

の

中 高 年 者

を

対 象

に

作 成

さ れL），

ISWT

の

有

用

性

につ い て

呼

吸

循

環

代 謝 諸

量 を

検

討 し た

報

告 が

多

い

’

t

．

．

9）

_。

_{し か し} ，

本 邦 高 齢 者

へ の

応

川 に 関

す

る

検

証 が

少

ない

。

_有薗

ら は

，

ISWT

の 結 果 か らpeakXl’

02

_の

予

測

す

る

場 合

に

，

総 歩 行

　　　　　　　rt

距

離

を 用い る こ と が

有

用 で あ る こ と や ”

，

1SWT

の

歩 行

距

離

と

年

齢

，

一

秒 量 を 測 定 する ことに よ

り

peakVO2 を

予 測

で き る

式

を

作 成

して いる 8｝。 こ

れ

らの

先 行 研 究

は

，

本 邦

の

COPD

患

者

を

対 象

に

検 討

し

，

1SWT

中

の

酸 素 摂

取

量の

直 線 的 増 加

の

検 討

や

新

たな 予 測

式

の

作 成

を 試 み て いる

が

，

Singh

予 測 式 自体

が，

本 邦

の

高 齢 者

cOPD

患

者

にお

け

る

_peakVO2

推 定

に

適 応

可

能

か ど

う

か

検

討 が な さ れ てい ない

。

　

ま

た

，

本 邦

の

呼 吸

リハ _{ビ リ テ}

ー

ショ ンに お け る 運

_動

処

方

の

強 度 設 定 方 法

と して

Singh

予

測 式 を

用い るこ と が

紹

介

さ れてい るが3）

，

Sjngh

予

測 式

が

，

本 邦 高 齢

COPD

患

者

の peak

†02

推 定

に

適用 可 能

か

検 証

さ れて いない。

　

そこで本 研 究では

，

ISWT

中

の

酸 素 摂

取

量

を

実 測

し

，

Singh

予 測

式

と比 較

検

討 するこ とで

，

　_peakVO2

_{推 定}

が

本

Japanese Physical Therapy Association

NII-Electronic Library Service

Japanese _{Physioal 　Therapy 　Assooiation}

378 理 学 療 法 学 　 第

36

巻 第

7

弓

』

邦

に おける

高 齢

COPD

患 者

に おい て

適

用で きるか

検 証

す

るこ

とを

H

的 と

し た

。

対

象

　

下

肢 骨 関 節 障 害

が な く

，

症 状 の

_安

定

して い る

COPD

患 者

20

名 （男 性 ユ

4

名

・

女 性

6

名

，

年 齢

：

77

．

1

±

3

，

8

_歳

，

身 長

：

i519

±

8

．

8

　cm

，

体 重

：

52

．

9

±

7

．

7

　

kg

，

　

BMI

：

22

，

6

±

3

，

3kg

！m2

，

　

VC

；

2

．

2

±

0

．

6

　

L

，

_％

VC

　l　

83

、

7

±

23

．

4

_％

，

FEVI

：



1

．

4

±

O

．

5L

，　

FEVL

／

FVC

：

　

65．

9

±

　

12．

5

％ ，

FEV1

％

pred

：

73．

7

土

25，

6

_％

，　

PaO2

：

85，

5

±

7，

8

　

torr

，

PaCO2

：

4L1

±

3

．

7

　

torr

，

い

ず

れ も

平 均

±

標 準

偏

差 ）

を

対 象

と し た

。

研 究

に

先

立 ち

，

対 象 者

に

対

して

，

本 研 究

の 内

容

につ い て 凵

頭

な ら び に

書

面 にて

説 明

を

行

い

，

同 意

が

得

ら れ た ヒで

実 施

し た

、

，

本 研

究は

呉 共 済 病 院忠 海 分 院

の

倫 理 委 員 会

の

承 諾 を得

て

行

っ た。

方

法

L

漸 増

シ ャ トル ウ ォ

ー

キング テス ト

　ISWT

は

，

「

シャ トル ウォ

ー

キン グテ ス ト 日

本 語 版 教

本 」の 測 定 手 順10） に

沿

い実 施 し た

。

この場 合

，

携 帯 型

呼 気

ガス

分 析 計

（アニ マ

，

エ ア ロソニ ッ ク

ATIIOO

）

を 用いて

酸 素 摂 取 量

を

経 時 的

に

測 定

し

，

運 動 終 了 時

の

酸 素

摂 取

量

（

実

測

peakVO2

）

を

判 定

し た

。

同 時

に

，

パ ル ス オ キシ メ

ー

タ

ー

（

TEIJ

工

N

，

　

M24

）

を

使 用

し

，

経 皮 的 酸

素 飽 和 度

（

SpO2

）

およ び

脈 拍 数

（

PR

） を測 定

した

。

運

動

終

ゴ

直 後

に は_，

修

正 ボ ル グ ス ケ

ー

ル3〕を 川いて

，

息

切 れ と下 肢の

疲 労 感

に わ け て

聴

取 し た

。

な お

，

今

同

使

用 し た 携 帯 型 呼 気 ガス 分 析 計 は

，

人 工 肺 に よ る 測 定 精 度の

妥 当性

が

確 認

さ れてお

り

1P ⊥2）

，

先 行 研 究

7） に おいて

使

用 さ

れてい る。

2

．

統 計 学 的 解 析

　 統 計 学 的解 析 方 法

を

図

L

に

示

した

。

1

） 実

測 予 測

式

の

算 出

　

ISWT

よ

り

得

ら

れ た

対

．

象

者

の

総 歩 行 距 離

と

実 測

peakVO2 か ら

一

次

回 帰

式 を 算 出

し

，

実 測

予

測 式 を作 成

し た。

2

） 予測

peukVO2

の

測 定 誤

差の

算

出

　

Singh

予

測 式

に お

け

る

相 関 係

数

（

r

＝

0

．

88

）

お よ び

peak †02

の

標 準 偏

差

（

SD ＝

4

．

1

）

z）よ

り

，

決

定 係

数

（

r2

）

と peakVO2 の

分

散 （

SD2

＞ を そ れ ぞ れ，

算 出

し た

。

算

出 した 決 定 係 数 お よ び 分

散

よ り

，

、厂

ISD2

（

1

−

r2

）

lB

） に

代

入 し

，

peak 寸

Oz

の 測

定

誤

差

の

標 準 ｛

扁差 （

1

−

9

．

）

を

算

出 した

、

，

　 表

計 算

ソフ ト

（

Microsoft

　

Office

　

Exce12007

）

を

用

い

て乱

数

を

100

回

発

生 さ せ た

。

こ の

場

合の

条

件 は

，

止 規 分

布

に て

，

パ _ラメ

ー

タ

ー

の

平 均

は 

，

標 準偏

差 は

Singh

予

測 式

か ら

算

出 し た 測

定 誤

差の

標 準

偏 差 （

L9

） と し た

。

1

＞実 溟鏖

予 測 式

の

算 顳

　 　

最 大 歩行距離と霙灘 P鮒 沁魄 との単 躅 備 分 斬

2

）予 測

peakV

（）2の

測 定 誤 蓑

i

算 出

文

ma2so

槙 蘭 係 数 （0

．

88）

，

peakVO2 の攤 準 蓚蘯選…（4

．

1）よ つ

，

測定誤 差 の標蘿 蝙 差 （耄

．

鈔 を算 母

、

↓ 翫数発生 協0通 つ 条 件：正規 分 布パラメ

ー

タ

ー

平 均 ；G 標 準 偏差 ；1

．

9

3

＞瀕

綻

誤

差

勧 黥 した 予 測p，a

油 02

の

算

出 予 謝peakVO2 を算 出 Singh予 測 式に

、

実 濺 総 歩 行 距 離 を代 入 ↓ 測 定 誤 差 加 算予 測 peakVQ2 2）で算 出 した測 定 誤差＋_{予 潰}】_｝peak＞

02

4

蹊 測

P。 。

k

▽

G2

と灘 慧 暴勸 瞬 予 」

Rlp

。。

k

Ψ

02

の

麺 交

＊

　 　

平 行性の検 定

　　　　　　　

＊：100園解 祈 　 　 回 帰の有意 性の検 定 　 　 　 　 上

圈

図 1 解 析

r一

順

3

）

測 走 誤

差 を

加 味

し た

予

測

_peakVO2

の

算

出

　Singh

予測 式

に

ISWT

よ

り得

ら

れ

た

実 測

の

総 歩 行距 離

を代 入

し

，

予

測

peakVO2

を

算 出

し た。

そ

の

後

，

2

）

で

乱

数 発

生さ せ た 予

測

peakVO2

の

測 定 誤

差 を

加 算

し

，

予

測

peakVO2

（

測 定 誤 差 加 算

予

測

peakVO2

）

を算 出

し

た

。

4

） 実 測

peakVO2

と測

定

誤 差 加

算

予

測

peakVOL

，の 比

較

　

求

め た 実 測 peak

†

02

と測 定 誤 差 加

算 予

測peak

寸02

の 比

較

を

共 分

散

分

析

を 用いて 比

較

し た

。

こ の

場 合

，

共 変 量

を 総 歩 行 距 離 と し

，

平 行 性の検 定 お よ び 回 帰の 有 意 性の

検 定

を

確 認

し たの ちに

，

共

分 散

分

析

を 実 施 し た

。

統

計学

的 解 析

は

，

統

計

ソ フ

1・

ウエ ア

（

SPSS

　

for

　

WindOws ，

13

．

OJ

）

を

使

用 し

，

有 意 水

準

5

％ 未 満 と し

，

乱 数 発 生 させ た

10

〔｝

回

，

実 施 し

た。

結

果

　

IswT

の

結

．

果 を 表

1

に

示

し た。

総 歩 行 距 離

は

246

．

5

±

74

．

2rn

で

，

実 測

peak †

02

は

，

　

ll

．

3

±

2

．

8

　ml

，

’

kgf

’

min

，

予

測

peakVO2

は

IO

．

4

±

1

．

9

．

ml ！

kg

，

／_{min で あ っ た}

。

_{ま た}

，

運 動 時低 酸 素

血

_症

は 全

_{例 認}

め な かっ た

。

　

実 測

peakVO2

と総

歩 行 距 離

との

関

係 は 高い 相 関 関

係

を

認

め

（

r

；

0

．

661

，

pく

Q

．

OQ1

）

，

実 測

peakVO2

＝

0

．

025

×

総 歩 行 距 離

＋

527

の

・

次 回 帰

式

を 得た （図

2

）

／

t

　

共

分

散

分

析

の

条

件 と

し て

，2

群

の

歩 行 距 離

と

_peakVO2

の回 帰 直 線 が 平 行 性で 回 帰 が

有

意である こ と であ

り

，

条

件

を 満 た した解 析 は_，

IOO

回1

_「

「_に

99

_{回であ っ た}

。

_{解 析}

し

え

た

99

回の

共 分散 分 析

の

結 果

，

2

回

が

，

実 測

peak †02

N工 工

一

Eleotronio _Library

シャ トルウォ

ー

キング テス トに よ る最 高酸 索 摂 取 量 推 定

379

表lISWT 結果 総 歩 彳丁艮巨離　〔ln）

SpOz

（％）

PR

　

（

bpm

）

Borg

peak

て

『

02

（ml ／

1

｛g！min ＞ 　 　 　 246

．

5

±

74

．

2 pre　　　　

97

．

2

±

1

．

3

post　　　　94

．

6

± 2

，

9

pre　　　　80

，

6± 9

．

2 post　　l23

．

1

±

17

．

9

C　　　　　　　3

．

4±1

．

5

1

，

　　　　　　　

2

，

1

±　

1

．

8

実 測 　 　ll

．

3

±

2

．

8

予

i

貝［

1

10

．

4±］

．

9

塁

へ

9

ミ

慧

（半均 値±_{｛票準 偏 差 ）}

　 　 　

PeakVO2

＝ ＝

5

．

2

_フ

9

_＋

O、

02S

×

1

）

istan

（：e

20

　

1

（

減

o・

岡

b6

_始

・

o・

OOI

＞

・

§

f8

蠡

1

_！

f2

？

f

？

86T

−一一

一一

一一

…，

一一

一一

，一

一一

一一．一一

「．

一

一

一・

一

一

一

一一

、

50

　

／

03

　

／

50

　

200

　

25

‘，

　

300

　

350

　　

400

　 　 　 　　 　 　

2

）∫甜α ηce

_吻

図2



総歩

行

距 離とpeakti

’

02

の関 係 と 測

定

誤

差 加 算

予 測 peakVO2 との 間 に

有 意 差 を

認 め

（

p

；

O

．

020

「

，

0

，

045

）

，

97

回の

解 析

が

有 意 差 を 認

め な かっ た （

p

＝

0

．

989

〜

O

．

088

）

。

考

察

　

ISWT

は

，

ユ

992

年

に

Singh

らに よっ て

報

告 さ れ た

COPD

患

者

に

対 す

る 運

動 耐 容 能

を

評 仙 す

る

手 法

で あ る

、

，

そ の

後

，

1

　

994

　

_“

一

に は

，

総 歩 行 距 離

か ら

_{peak †02}

との 問 に

高

い

相 関

が ある こと か ら

，

Singh

らに よっ て

peakVO2

を

推 定 す

る

予 瀾 式

が

報 告

さ れz）

，

COPD

患 者

の み

な

ら

ず

，

心

疾 患 患 者

や

．

進行 性

が ん

患 者

など に

適 応

され

，

テス トの

信

頼

性

や

妥 当性

が

検 証

され てい る14）

。

　

先 行 研 究

に

お

い て

，

総 歩 行 距 離

と

実 測

peakVO2

との

間

に

高

い

相 関 関 係

（r

≡O．

S82

）

，

　

O．

865

）

，

　

O．

813s

〕

_）

_{が あ る}

こと を

報 告

し てい る

。

本 研 究 も

同

様

の

結

果 が

得

ら れ たこ と か ら

，

工

SWT

か ら

得

ら れ る 総

歩 行

距 離 は

，

運 動 耐 容 能 を 反 映

す

る ことが示

唆

さ れ た

。

　

呼 気

ガ ス

分 析 計

か ら

測 定

さ れ る

実

測 peakVO2 と

Singh

予 測 式

を

用

い て の

予 測

peakt

’

02

_{を 比 較 検 劃 す}

_る 場 合に

，

Singh

予 測 式 作 成の

_際

の peakVOL ，お よび

総 歩

行

距 離の実 測 値 が 確 認で き れ ば

，

比 較 検 討 が 可 能である

。

し か し

，

予 測

式 作 成

時の 実 測 値 の記 載 が ない た め

，

Singh

予 測 式の測

定

誤

差

を

考 慮

し た

E

で

，

分 析

を

す す

め たtt こ の

場 合

，

測

定 誤 差 を

0

と仮 定 す

る

lul

帰 直 線 が す

で に算 出 さ れてお り2〕

，

Singh

予 測

式

か らの

算 出

によ る

予

測

_{peak 寸02}

を

直

接

，

比 較 検 討 は不 適 切 で あ る

。

　

そ

の た め

，

Singh

予 測 式

か ら

酸 素 摂 取

量の測

定

誤 差

を

算 出

し

，

測 定 誤 差

を

加 味

した

予 測

pcakVO2 を

算

出 し た

。

こ の

場 合

の

測 定 誤 差

の

算 出

は

，

無 作 為

に

決 定 す

る た め に

乱 数 発 生

さ せ て た

後

に

，

peakVO2

の

解 析

を

実 施

し た

。

よっ て

，Singh

予 測 式 か ら

算

出 さ れた

peak ▽02

と

本 研

究

で

実

測

し た peakVO2 の

適 合 度 合

いの

統

）i

．

₁

学 検 討

の

精

度 が

高

い と

考

え る

。

　

本 研 究の

解

析 結 果

，

100

回の 解 析 中の

う

ち

有 意 差 を

認 め たのは

2

回

で

あ

っ た

。

これ は

，

peakVO2 の 有 意 差 が 出

現 す

る

確 率

が

2

％

で

あ り

，

自然 発

生

的

な

誤

差

範 囲

で あ

り

，

Singh

予

測 式

か ら

算 出

さ れ た

_peakt

’

Oz

と

，

本 研 究

で 実

測

し た

peak †

窃

との

間

は

，

統 計 学 的 解 析

トほ ぼ

一

致 す

る

と考 え

る

。

　

最 大

酸 素

摂 取 量

（

VO2max

）

は絶 対

値

（

1

／min

）

で み る 限

り

， 体の比 較 的 大 きい ヨ

ー

U ッ パ 人

，

その 中 で

も

北

欧諸

国の入々が

大

きい が

，

体 重 当

た

り

（

rnl／

kglrrlin

）

に

換 算

す る と

．

人

種

に よ る 差 は 縮 ま るこ と が

報 告

さ れてい る15〕。 こ の こと か ら

体

重

当

た

り

の

酸 素 摂 取

量 を

指 標

に し た

運 動 耐 容 能

は

，

民 族

や

体 格

の

相 違

に

及

ぼ

す 影 響

が

少

な

い

と思

わ れ るt

．

よっ て

緒 外 国

で

報 告

さ れ

た 体 重 当 た り

の

_peakVO2

は

，

本 邦

に おい て

も運 動 耐 容 能 評 価

の

利 用

が 可 能で

，

ISWT

の 総 歩 行 距 離 か ら 予 測 す る 体 重 当 た り の _peakVO2 は， 高 齢

COPD

患 者 に おいて も 運 動 耐 容 能

推 定

に

有

川 と思 わ れ る

。

　

ま た

，

て

℃2m

。

x は 性 別 に よ る 違い が あ るこ と が 報 告 さ れ て い る 1「

’

〉

。

し か し

，ISWT

に よ る

総 歩 行 距 離

と peakV 〔〕2 の

関 係 式

にお

け

る

性

差の

影 響

につ い て

着

目 し た

報 告

はな

く

，

Singh

らの

予 測 式

に おい て

も 言

及さ れ て い

な

い 。

有 薗

ら 8）_は

_，

　

IS

“TT によ る

COPD

患 者

の

peakVO2

の 予 測 式 を 新 た に 作 成 し

，

　

ISWT

の 歩 行 距 離 の

他

に

年

齢

と％

一

秒

量 が

採

用 さ れ た 独 立

変 数

で あ

り

，

性

差

は

採

川 さ れ ない こ と を

報 告

し てい る

。

よっ て

，ISWT

に よ る 総 歩 行 距 離 か らpcakVO2 を 推 定 す る 場 合に

，

性

差

の

景

彡響

は

低

い と考 え る

。

　

ISWT

の

各

レ ベ ルの

予

測

酸 素 摂 取

量 は

，

　

Singh

_{予 測 式}

を 用い るこ とで算 出 さ れてお り16）

，

pcak †02

の

相 対 値

を も とに

運 動 処 方

にお

_け

る

運 動 強 度 判 定

に

応 用 し

て い る

。

本 研 究

にお

け

る

解 析 結 果

か ら

，

高 齢

COPD

患 者

に おい て

，

Singh

予 測 式 か ら 推

定

され る運

動 耐 容 能 推 定

の み な ら

ず

，

ISWT

の

各

レベ ル で の

酸 素摂 取 量

の

推 定

に

，

適

用 性 が あ り

，ISWT

か らの運

動 処 方 作 成

の

際

の

運 動 強

度 推 定 に 有 用 で あ ること が 示 唆 さ れ た

。

Japanese Physical Therapy Association

NII-Electronic Library Service

Japanese _{Physioal 　Therapy 　Assooiation}

380

理

’

ki

・

療孛去学　　第

36

巻第7号

．

結

論

　 本

研 究で は

，

Singh

らの

予 測 式

に よ る予

測

peakVO2 が

本 邦 高 齢

COPD

患

者

におい て

適

応 可

能

か

否

か

検 討

し た。

そ

の

結 果

，

全

／

00

回

の

試 行

の

う ち解 析

し

え た

99

回 の

共 分 散 分 析

の

結

果

，

97

嗣の

解 析

におい て

有

意 差 を 認 め

ず

，

実 測

peakVO2 と

測 定 誤 差 を 加 算

し た 予

測

peakVO2

が

統 計 学

上 ほ ぼ

一一

致

し た

。

こ の こ と か ら

Singh

らの 予 測 式 か ら 推 定 す る

peakVO2

が

，

本 対 象 高 齢

COPD

患

者

に おい て も

適 用 可 能

であ るこ と が

示

唆 さ れ たc

、

文

　 　献

1）

Singh

　SJ

，

　Morgan 　MD

，

　et 　a

．

1

．

：Development 　of 　a 　 shutUe

　 walking 　test　Df　

disability

　

ill

　patients　with 　chrouic 　air

−

　 ways 　obstructiol1

．

　

Thorax

．

1992

；

・

17：⊥

019

一

工

024

，

2）

Singh

　

SJ

，

　Morga ⊥l　MD

，

　et　al

．

：Comparison 　of 〔〕xygcn

　 uptake 　

during

　a　cエ）nventional 　troadmi上⊥tesl　alld　the　shiit

．

　 11e　walking 　test　

En

　chronic 　airflow ！

imitation

，

　Eur　Respir

　 」

．

1994；7：2〔｝

16

−

2020

．

3）

H

本呼吸 管 理 学 会

，

日 本 呼 吸 器 学 会

，

他 ：運 動 療 法の 実 際

　

1

．

適 応

，

開 始

前

の評 価

，

照

林

社

，

朿京

，

2003

．

PI｝17

−

24

．

！）

　

Arnardott

．

ir　RII

，

　Eエntner 　Nr

，

　et 　ftl

．

：1

’

eak　exercisc 　capac

−

　 ity　cstimatcd 　

from

　

incrementaL

　shutde 　waiking 　test　

iD

　

padents　with 　

COPD

：amethodological 　study

．

　Respir　Res

，

　

20

〔｝

6

；

7

：　

127

．

5

）

Onorati

　

P

，

　

AntoDucci

　R

，

　et 〔ll

．

：

Non

−

invasive　evaluation

　 〔》

f

gasaxchangc 　

during

　a　shuttle 　“

・

a1｝cing 

test

vs

，

　a　6

−

　 mhl 　walking 　test　tQ　assess 　cxcrcise 　tolerance　il】COPD

　 patients

，

　

Eur

　

J

　

Appl

　PhysioL　2003；89：331336

．

6

）　

Vagag

籃

ini

　

B

．

　

TaccQla

｝v

1

’

、

　et　al

．

：

ShuLtle

　wallcing 　test　und

　 　

6

−

nlinu匚e　walkin きξtest　

induce

a　similar　cardiorespiratory

　 performaslue　

tll

　patients　recDvering 　

from

　arl　acule　exa 〔：

−

　　

erbation



or



chroT］

ic

　

eb

．

9T

．

ruじLive

　

pu］monary



disease

．

　 　Respiration

．

2003：70：579

−

584

．

7） 有薗信

・

，

高橋哲 也

，

他 ：漸増シャ トル ウ ォ

ー

キングテ ス 　 　トにおける酸素 摂 取 景の直線 的増 加に関 する研 究 　 最 高 酸 　 　 素摂 取量 は 総歩 行 距 離か ら予 測可能か ？ 理学 療 法 学

．

2003； 　 　30：　181

−

185

．

8〕有 薗 信

・

，

小 川 智也

，

他 ：6分 問 歩 行テ ス ト と漸 増シャ ト 　 　ル ウォ

ー

キングテス トに よる

COPD

患 者の最 高 酸 素 摂 取 　 　 量の予測 式

．

日本 呼 吸ケア

・

リハ ビリテ

ー

ショ ン学 会 誌

．

　 　

2008

；

18

：160

一

亅

65

．

9

）

Luxton

　

N

．

　

Alison

　

j

　A

，

　et　a

・

1

．

：

Retationship

　

between

　fiekd

　 　walking 　tcsts　and　i1ユcrcme ［Ua］cycle 　ergomal

．

ry　in　

COPD

．

　 　

Respirology

．

2008：13：

856862

．

10

）

千

住 秀

明 ：シャ トル ウ t

，一

キ ング テス ト （

SWT

）

H

本語

　　

訳

一

評

価

マ ニ ュア ル

ー．

長

崎

大 学医

学部保

健

学科

理

学

療

法

　 　学 専 攻 千 仕 研 究 室

，

20el

．

，

11） 田

嶋

明彦

，

伊 東 春 椡 ：

_{携 帯}

型

呼気

ガス分析 器の人

．

「

肺

に よ 　 　 る 基 礎 的 精 度 検 定 につ い て

．

心 臓 リハ ビiJ_テ

ー

_シ ョ ン

．

　 　2005：　10：　ll

−

13

．

⊥2） 田嶋 明 彦

，

伊 東 春樹 ：_{携 帯}型呼 気ガス分析 器の人 工肺に よ 　 　る基礎 的 精 度 検 定と据 置 型）1_乎気ガス分析 器との比較

，

呼吸 　 　と彳盾環

．

2006；54：657

−

662

．

13

） 丹 後 俊 郎 ：新 版 　 医 学へ の統 計 学

．

朝 倉 書 店

，

東 京

，

　 　

1993

，

pp99

．

．

10

工

．

14

）佐 藤 政 広

、

仙 波 浩 干

，

他：帰 結 測 定 法レビュ

ー

　シ ャ トル 　 　歩行テス ト

，1

．

リハ _{ビ リ テ}

ー

ショ ン評 価ガイド ブッ ク

ー

帰

　　

結評価の考え方と進め方

一

」 粟 月

　

久 （編 ）

，

NAP 　litnlt

−

　　

ed

，

東京

，

2004

，

　_pp234236

．

15｝ill地 啓 司 ：改 訂　最 大酸素摂取 量の科 学

，

杏 林 書 院

，

東京

，

　 　2001

．

　ppl61

−

⊥

84

．

16＞ 口 本呼吸管理 学会

，

R

本呼吸 器学 会

，

他ニ シ ャ トル

・

ウ ォ

　　

ー

キング試験 （

SWT

〕

．

照林 社

，

東 京

，

2003

，

　_Pp8182

．

N工 工

一

Eleotronio _Library

if1･

FJle

t,i･-it. )f

b'fXFC:J6itth.,'Mfi･ltAIB(

X.･defi

381

<Abstract>

Is

Estimated

Peak

Oxygen

Uptake

Applicable

by

Incremental

Shuttle

Walking

Test

in

Older

Patients

with

Chronic

Obstructive

Pulmonary

Disease?

Kivokazu

SEKIKAWA,

PT,

Makoto

TAKAHASHI,

PT,

Tsutomu

INAMIZU,

MD

Graduate

School

of

Hbalth

Sciences,

Uiroshima

Uhiversily

Kazuyo

FUJII,

PT

Department

ofRehabilitation

MOdicine,

Kctita

Hospital

Noriko

SEKIKA"iA,

PT

Department

of

Rehabilitation

Medicine.

Ybshijima

Hbspital

Kazuyuki

TABIRA,

PT

Department

of'Physical

Therapy

,

Flieulty

ofHbalth

Seience,

Kio

U}ziversity

Purpose:

The

incremental

shuttle walking

test

(ISWT)

is

used

to

estimate

the

peak

oxygen uptake

(peakV02}

of

individuaLs

with chronic obstructive

_puLmonary

disease

_(COPD).

IIowever,

in

Japanese

older

C()PD,

the application of

the

regression equation

for

estimated peakV02

is

unknown.

The

purpose

of

this

study was

to

compare estimated

_peakV'02

and actual peakV02 using

the

ISWT.

Methods:

Twenty

dinically

stable

COPD

patients

{mean

[SD]

age

±

77

[4]

years; mean

[SD]

%

predicted

forced

expiratery volume

in

1

second

=

65.9

[12,5]}

were recruited

froin

those with

_prior

partieipation

in

an out-patient pulmonary rehabilitation

_program.

Subjects

carried out the

ISWT,

and

determined

walking

distance.

The

test was used with a

_portable

metabolic rneter to measure

zctual

_peakV'02.

Estimated

_peakVOz

was caleulated using

the

singla ragression equation reported

by

Sjn.orh

SJ

et at.

Subsequently,

thc measurement error of

the

estimated

peakV02

was calculated

100

times using random numbers.

Analysis

of covariance

(ANCOVA)

testing was used

to

compare

actual

_peakV02

and estimated

peakV02

ineluded

ineasurcment error:

this

analysis was also repeated

100

times.

Results:

There

was no significant

difference

betwee]

estimated and aetual peakV02

by

ANCOVA

{p

<

O,05)

during

97

tirnes.

Conclusions:

The

singlc regression equation reported

by

Singh

SJ

et al. was shown to

be

appLicable

for

a

_pepulation

of older

COPD.