Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
インプラント周囲の皮質骨厚径が下顎管の変形に及ぼす
影響 : 骨梁構造を考慮した三次元有限要素解析
Author(s)
鈴木, 正史; 木下, 英明; 福田, 真之, 松永, 智; 井出,
吉信; 阿部, 伸一
Journal
歯科学報, 112(2): 163-163
URL
http://hdl.handle.net/10130/2738
Right
目的:インプラントは顎骨と結合しており,荷重は 直接周囲顎骨に伝達される。歯根膜による緩衝機構 を有する天然歯とは支持様式が異なることから,常 に力学的要因を考慮する必要がある。近年では歯科 インプラントに関する生体力学的研究として,三次 元有限要素法(FEM)を用いた解析が行われてい る。FEM を用いた研究のほとんどは,海綿骨を一 塊のブロックとして均質化した等価材料モデルを作 製し,力学的物性値を設定している。しかしなが ら,顎骨内部は複雑なネットワーク構造を呈してお り,下顎管などの構造的な特性を有する。そのた め,インプラント周囲顎骨の高精度シミュレーショ ンを行うためには,骨梁構造を忠実に再現したモデ ルを使用する必要がある。そこで本研究では,皮質 骨厚径の違う精細モデルを用いて,インプラントに 加わる荷重が下顎管の変形に及ぼす影響について検 討した。 方法:試料は東京歯科大学解剖学講座所蔵の日本人 乾燥頭蓋骨2体の無歯顎の下顎骨を用いた。これら の試料をマイクロ CT(HMX225Actis4,TESCO) で撮影した後,得られたスライスデータを用いて 3D 骨梁構造計測ソフトウェア(TRI/3D-BON,
Ra-toc System Engineering)に て 骨 形 態 計 測 を 行 っ た。その後,イメージベース構造解析ソフトウェア (VOXELCON, Quint)にて皮質骨厚径の異なる2つ のモデルを作製した。その際に骨,インプラントに それぞれ異なる力学的物性値を与えた。関心領域は 第一大臼歯部とし,直径4.1mm のインプラント体 の先端から下顎管までの距離が2mm となるように 設計した。下顎骨の近遠心両断面を完全拘束した 後,インプラント上面に垂直方向100N の荷重を加 えた。そしてインプラント周囲骨梁の荷重伝達経路 の解析と,下顎管周囲骨梁のひずみ量の測定を行っ た。 成績および考察:有限要素解析の結果,荷重はイン プラント周囲の皮質骨および海綿骨に伝達されてお り,下顎管まで達しているのを確認した。下顎管の ひずみ量を比較すると,皮質骨がより厚いモデルの 方が小さな値を示した。このことから,インプラン ト埋入部位における厚い皮質骨は高い緩衝能力を有 することが示唆された。皮質骨が薄い場合には,特 に神経損傷のリスクが高い症例として細心の注意を 払った治療計画を立てることが重要であると考えら れた。 目的:正方晶ジルコニア多結晶体(TZP)は高い 強度と破壊靱性値を持つことから,臼歯部でのクラ ウンやブリッジのオールセラミック修復が可能と なってきているが,前装陶材のチッピングが起こり やすい問題点が報告されている。チッピングの原因 として,前装陶材の焼付強さが小さいことが指摘さ れている。そこで,TZP と前装陶材間に強度の高 いセラミックスを介在させ焼付強さを向上させるこ とで,チッピングを減少させることが可能になると 考えられる。本研究は,2種類の中間層セラミック スの曲げ強さを焼成温度を変えて評価するととも に,TZP と前装陶材の間に焼成温度の異なる中間 層セラミックスを介在させて前装陶材を焼成し,焼 付強さに与える中間層セラミックスとその焼成温度 の影響を検討した。 方法:TZP 基材として Y-TZP(東ソー)(φ:13mm, t:1.5mm),中間層セラミックスとして微粉砕した IPS e. maxPress (Ivoclar vivadent :EP )と Cera-bien ZR-SB(ノリタケ:SB)の2種類,ボディ陶材 として Cerabien ZR-A3(ノリタケ:BA)を使用し た。中間層セラミックスの焼成温度は930℃,945 ℃,960℃と し,BA の 焼 成 ス ケ ジ ュ ー ル は メ ー カー指定に準じた。 焼成温度の異なる EP 及び SB の曲げ強度を12× 4×2mm の板状試料を用いて評価した。次に,中 間層セラミックスを介在させた焼付強さをせん断試 験により評価した。鏡面研磨を施した TZP に SB, EP をφ4.0mm,厚 さ 約300μm に 築 盛・焼 成 し た 後,BA をトータル厚さ2.0mm になるように築盛・ 焼成した。各試験は万能材料試験機(オートグラフ AG-I 20kN:クロスヘッドスピード0.5mm/min) を用いて測定した。 成績および考察:EP の曲げ強さは焼成温度960℃ で165.2±12.3MPa であり,他の試料(71.8∼100.9 MPa)より有意に大きな値を示した。EP のせん断 焼付強さは,焼成温度960℃で51.5±15.6MPa であ り他の試料(28.2∼32.7MPa)より有意に高い値を 示した。SB のせん断焼付け強さは焼成温度による 顕著な差異を示さなかった。以上より,強度の高い 中間層セラミックスを使用し焼成温度を高くするこ とで,TZP に対する前装陶材の焼付強さを向上さ せることが可能と考えられた。