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睡眠-覚醒パタ-ンの記述

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椙山女学園大学

睡眠-覚醒パタ-ンの記述

著者

谷口 俊治

雑誌名

椙山女学園大学研究論集 第1部

22

ページ

p299-304

発行年

1991

URL

http://id.nii.ac.jp/1454/00001565/

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椙 山女学 園大学 研究論 集 第22号( 第1 部 )1991

睡 眠一覚醒 パ ター ンの記述 *

谷 口 朧  治

Description of the Sleeping−Waking Pa 且em

Shunji Taniguchi 人 間 の 行 動 を 規定 する 諸 要 囚 の内 , 最 も 基 本 的 な 部 分 を 担 う も の と し て , 睡 眠 と覚 醒 の リ ズ ムが あ る 。人 間 加 種 々 の ス ト レ ス に適 応 的 に対 処 し ,よ り う ま く生 き て行 く た め に は, こ の 睡 眠 と 覚 醒 が所 定 の 条件 を 満 た し て い る こ と が 要 求 さ れる 。 科 学 技 術 の 進 歩 と対 応 し た 社 会構 造 の 急 速 な展 開 に 伴 っ て , 現 代 社 会 で は そ の条 件 を満 た す 様 態 か き わめ て多 様 に な っ てい る 。 そ のよ う な 人 間 の 睡 眠 一覚 醒 の 実 態 の 一 部 は , 谷 口 (1り89) が 質 問 紙 調 査 法 に よ っ て 回 ら か に し た。 本 研 究 はそ れ に 基 づ 副 ざら に客 観 的 に 睡 眠 と 覚 醒 の変 動 幅 の 程 度 , 及 び そ れら の規 定 因 や 周 期 成 分 につ い て 分 析 す る こ と を 目 的 とす る 。 三 宅 (1988 ) で は, 個 人 の 睡 眠 一覚 醒 パ ター ン を比 較 的 長 期 に わ た っ て 記 録 す る 方 法 と そ れ か ら得 た 資 料 の解 析 法 を 報 告 し , 日常 的 な 条 件 下 で の 睡 眠 一 覚 醒 を 客 観 的 に 検 討 す る こ と がで きる こ と を明 ら か に し た 。 同 し 方 法 で 得 ら れた 魏常 の 睡 眠 一覚 醒 に閲 す る1 年 間 の デ ー タ の 分 析 結 果 につ い て は , 谷 口 (1988 ) で 一 部 報 告 し か。 本 報 告 は , そ れ と ㈲様 に し て 得 ら れ た1 年 以 上 の睡 眠 一 党 醒 デ ー タの 号 析 を 行 う 。 得 ら れ た デ ー タ か ら ア クト グ ラ フ を 描 出 し, ま た睡 眠 一党 醒 の 時 間 的 側 面 に 閲 す る い くつ か の 統 計 値 を 算 ぷし て 睡H民一覚 顔 に 閲 する 全 体 的 特 徴 を回 ら か に す る 。 さ ら に24 時 問 (サ ー カ デ ィ ア ン ・ リ ズ ム) よ り も 長 い , あ る い は 短 い 周 期 成 分 を も つ , い わ ゆ る ウ ルト ラデ ィ ア ン ・ リ ズ ム が みら れる か ど う か につ い て 検 討 を行 う 。 方    法 被験 者 睡眠 一覚醒記録 の[目収結果 をTable 1 に示す。こ こで は1 年以 上の記録が得ら れた被験者番 号 臥 乞, 3, 7の 連名 の結果 を報告する。 記録用 紙 睡 眠一覚醒 の時間的側面 に閲する記録項 目は, 就床, 入眠,党醒, 離床, 及 び仮 眠の時刻 である。覚 醒について は 轟発的党醒 か否 かも測定し か。 ま犬 ,睡H民と関連が 深い と仮定 さ れる食事, 飲酒の時刻 と, 食欲,酒量,排泄, 及 び主 観的な 身体 と精神 の活 動 量 につい て も測定し か。 記録用紙 は以 上の計]。2項 目から 構成さ れている。 ホ 本研 究 の一 部 は, 東 海心 理学 会第35同 大会 (1986年) 及 び第37同大 会 (1988年) で口頭 発 表 さ れた。 また デー タ解析 の一 部 は,平 成元 年度 椙山女 学 園研究 費助 成 金 を受け て行 われ た。 本研 究 につい て貴 重 な助言 を下 さ った名古 屋 大学文 学部 の辻 敬一 郎 教授 と顕 正短期 大 学の三 宅悦 治助教 授 に深《 感 謝致 し ます。 - 299 −

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谷 口 俊 治 手 続 き  数 ヶ月 お き に記 録 用 紙 の 配 布 と[回収 を 行 っ た。 結果 の処 理  記 録 結果 の う ち , 今[回]は 時 間資 料 だけ につ い て 分 析 し た。 デ ー タ処 理 は パ ソ コ ン を用 い た 。 記 録資 料 か ら , 就 床 , 入 乱 党 醒 , 離 床 , 仮H民の時 刻 に基 づ い て ア ク ト グ ラ フ を描 乱  ま た そ れ ら か ら , 就 床 時 刻 , 離 床 時 刻, 1 日 の 寝 床 時 間 , 睡 眠 一覚 醒 周 期 Table l  被験 者 か ら の 睡 眠 一 覚 醒記 録 の 回 収結 果 (三 宅, 1988よ り 一 部 修正 ) 被 験者 番号  性  別  年 齢   身  分    回収記 録期 間   記 録総 数 女 女 男 女 男 男 女 女 女 3   8   1   9   7   4   5   7   3   1 3   2   2   4   4   2   3   2   2   2 学 生  860305 ∼87033 戸 公務員  860309 ∼870707 学  生  860307 ∼870330 公 務員  860307 ∼860429 主  婦  860407 ∼860421 学  生  860318 ∼860626 学  生  860323 ∼870323 公務 員  860307 ∼860626 会社 員  860317 ∼860624 学  生     な  し 390 8   8   2 0   8   5 4   3 15 101 366 112 100 0 町986年3月5日から1987年3月30日までの意味である。 を算 ぷしてそ れぞれの代 表値 を求め た。 ざら にそ のう ちの1 日の寝床 時 間に関し て1 ∼100 日間隔の柏 関係数 を算ぶした。 絲    果 Figure 1 に各 被験者 のアクト グラフを示 す。 視察 による と,被 験者全員 に共通する全 体的特徴 として,就床時刻 が離床 時刻より相対 的 に安定 しているが, そ れぞ れの安定,変動 の輪 は各 人に特有である。 被験者 仏 2 が か なり大 きな変動 を示 しているの に対して,朧 験者7 は変 動幅が きわめて少 ない。一方,被 験者3 はその中 間にあ るが,数 ヶ所で特 に離床 時刻 に大 きな変化 が現 れている。こ れは, 学部学生 に特 有 の長期休 暇期間における現象 である。 またこ れも朧 験者全 体に言えるこ と だが,お よそ一定である就床 ,離床 時刻 から大 きく逸 脱する ものが細い線 のように全体 に 散布している のが みら れる。 こ れは休日 に対応 する就床, 離床時刻 の変化 である。昼問 の 居H民り につい ては,被験者 仏 2 ,3 はそ れが数時 間お きに全体的 に散布 しているのが み ら れるが,被 験者7 にはみられない。 長期 にわたる大 きな変化 に注 目する と,長 期休暇 の 影響か回ら かである被験者3 を除《 他の3 才1につ いて は, 就床 時刻 の変動 に1 年 間で2 ∼ 数桓]に わたる大 まか なうねりのような変 動が みら れる。 次に,Table 2 に各社 験者の睡眠 一党 醒 パター ンから得 ら れた, 時間指標 に間する 基礎 統計的特徴を示 す。 就床時刻,離床時刻 ,及 び1 日の寝床時 間は,各朧 験者で特徴 的であ る。 このうち1 日の寝床時 間につい ては, 全体的 に寝床時 問が短いほどそ の変動 が大 きい ことが示 さ れて いる。一方, 睡眠一覚醒周期 は全 員が23∼24時 澗の時 問帯 に最頻値かおる。 また, 睡眠一党醒周 期のヒ スト グラフによって分布 を見て みると,被験者2 の場合 には3 時 間周 期が見ら れる (Figure 2 )。 −300 −

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]L2   ① 2  ① -] L (続O の   卜 べ   ︻ ︼ の   知 べ   ︵ ︰[ の 知   べ q 0 ]L00 200 300 400 0 ]L00 200 300 400 0 ]L00 200 300 400 0 0 0 睡 眠 一覚 醒 パ タ ー ン の 記 述 6 T ]: M ㈲ M 丁 一 6 T 6T (b --   -   -E E ] :M E ㈲ −301 − 12        ]L8 ①F DAY 一 一 -一 一 - 一 一 -" 一 心 -乙    七 -     -   -ら ご   四   心       四       -㎝       -   -   - −     − -J 心 ¬ -一 一 -一 一 --   -   -   一 一 一 一 24 -一 心 ご 四 -   ヱ     ら   七   -   一 一 -匹     四     こ -べ 四    マ J 一一 J -ご 一 一 -一 心 -   - -   一一 一 一   -¬ -" -]L8 F DAY 18 F DAY 24 24

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(続 き) 0 の   ]L00 知   べ Q 200 300 400 谷 口 悛 治

1

︲111

0         6        12        ]L8        24 T 工M E O F DAY (d ) Figure 1  約1 年 間 に わ た る 睡H 民 一 党 醒 の ア ク ト グ ラ フ 各 被 験 者 の 約1 年 間 に わ た る 睡 眠 一 党 醒 の ア ク ト グ ラ フ を 示 す (a : 被 験 者 乱 b : 被 験 者2, c : 被 験 者3, d : 被 験 者7 )。 黒 線 は 就 床 か ら 離 床 に 至 る 夜 間 の 睡 眠 と 昼 間 の 仮 H民を 示 す 。 被 験 者2 に つ い て は 全 記 録 期 問 の 内 , 記 録 開 始 か ら の 約1 年 分 だ け を 示 し か 。 Table 2  睡 眠 一党 醒 パ ター ン の時 間 的特 徴 被験 者 1   2   3   7 N 389 484 387 364 + 単 位 は 時 間で あ る 。 AON 国ns 岡HJ 就床 時刻 最 頻値 5   5   5   5 1   0   0   2                   2 75 50 25 離床時刻 最頻値 7.5  6.5  8.5  6.5 1 日の寝床 時 間   睡眠一党 醒周期゛ 平均(標章 偏差 )    最 頻値 6.88(1.87) 6.37(1.98) 7.69(1.60) 8.30(1.01) 0 10 2 0 23.5 23.5 23.5 23.5 30

PER 工OD T 工ME  工N HOURS Figure 2  睡 眠 一覚 醒 周 期 の ヒ ス ト グ ラ ム

被 験 者1 の390 日 間 の 記 録 に基 づ い て , 連 続 する2 つ の 就 床 時刻 の 問 の時 間 を睡 眠 一 覚 醒 周 期 とみ な し て そ の 分布 を示 し か。

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睡眠 一覚 醒 パ ター ンの記述 Figure 3 は,被 験者7 の1 日の寝床時 間につ いて,1 ∼100日 の間隔で算出 した相 関係 数を示 し かものであ る。全体に相関係数の値 は低いが,7 日及 びその整数倍 日の係 数が相 対 的に大 きな値 を示 している。 sxNaioTjja ︵ ︶O J1 1 叫 z ②H にLViaHH ② ○ 3 2 1 0 1 2 3 0 50 工NTE]RVAL  工N DAYS 100 Figure 3 1 日 の 寝 床 時 間 の1 ∼100 日 間 隔 の 相 関 係 数 被 験 者7 の366 日 間 の記 録 に 基づ い て, 1 日 の 寝 床 時 間 の1 ∼100 日間 隔 の 相 関係 数 を 示 し た。 日 数 回 隔 が1 日 の場 合 の サ ンプ ル数 は363 で あ り , 日 数 間隔 加 工00日 の場 合 の サ ン プ ル 数 は264 で あ る。 図 中 の ⑩印 は7 の 倍 数 日 間 隔 の 相 関 係 数 を示 す。 考    察 4 名の被験者 について,そ れぞ れ特徴的 な睡眠 一党 醒パ ターンがみら れるこ とが示 され た。 また, イ固人差 の少 ない全体的 な傾向 も回らか に 谷れた。茶 本的に睡眠一党醒け生命 を 維持 するため の必須 条件であり,生物学的 要区│にもっと も強 く規定 されている。し かしそ の変動 の仕方 は,社 会的要囚 にも強《 規定 さ れてい るこ とが確認 できる。 そ れは,全被験 者 に共 通する1 週 間岸 位の生活,そ して学生 に特有 の長 期休暇期 問の変化 などで明ら かで ある。 そして各被験者 の個人的特徴 は,こ れらの基 本的伜 匠の個 々の変形 である。 そ れぞ れの被験 者で,ある規 則的な変動 を示し たり, 変動 が大 きい ものがあ れば小 さいもの もあ り,独 白│の睡眠 一党醒 パ ター ンの特性 を備 えている。 また居眠り につい ては, 被験者7 に はば とんどみら れない が,その睡眠 一覚醒 パター ンは他 の被験者 より相対的 にかなり安定 し, また睡 眠時間 も8.30時問と十分 にとっ てい る のが特 徴的である。 次に ウルト ラデ ィアン・リズムの問題である が,先 にも触 れたよ うに,7 日及びその後 の7 の倍数 の日数聞隔 でみら れる相関は低い とはい え, な んら かの周肘 匪が存在するこ と を意昧する。 しかし, このような7 日及び その倍数周期 は社会的要因 に由来 するものであ り,生物学的要 区│に基づ くものとは異なる。 これ とは別 に,逸脱し た起床時刻 の変 動の仕 方に 王年 間で数 ㈲以 内 の周期 があ 呪 また睡 眠一党醒周期 に数時間以内 の短時 開周期が見 られたが,こ れらはウ ルト ラディアン・リ ズムの成分であ ると考える。そ れは, こ れらの −303 −

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谷 口 俊 治

成分が,社 会的な要 囚とは異 なる別 の原囚 によるものである と予測で きるからである。 な ぜ なら ば, これらの周期によっ て生 ずる睡眠 一覚 醒は,むしろ社会的活動 にとっ て妨害 的 な ものとして作用 するからであり, むしろ逆 に社 会的要囚が統制しよ うとするも のだから である。特 にその短周 期成分 につい ては脳波 を用い た研 究で もすで にい くつか報告 されて いる (例Lavie &S(出ersonバ1981; Manseau & Broughtonス984: 辻 陽 一・小 林敏 孝・ 遠 藤四郎, 1986) が,生物 学的要区│に基づ く周期であ ると推測さ れる。 要    約 人の睡眠 一覚醒 の実態 を明らか にし, その規定要 囚を分析すること を目的 として, 4名 の被験者 から]L年以上 にわたって 日常 の睡眠 一覚醒及 びそ れに関連する記録 を収集し か。 その時間的側面 の分析 の結果, 1週 開周期等 の全体 に共通する睡眠 一党醒 パター ン特性 が 明らか にされ, また変動 の仕方 に関 して個人 に特有 な特 性があるこ とが明ら かに された。 さらに, ウルト ラデ ィアン・リ ズムの成 分として,睡 眠一覚醒パ ターンの全体 的視察 から1 年に数回 の長周期がある こと,及 び睡 眠一党醒周期 のヒストグ ラムや仮 眠の分布 から 数 時間以 内の短周期がある ことが見出 された。 文 献

Lavie, p. & Scherson, A. ]981 Ultrashort sleep−waking schedule. I. Evidence of ultradian rhyth-  micity in ‘sleepability≒Electroencephalography and Clinical Neurophysiology, 52 ,]63べL74.Manseau

,C. & Broughton ,R]『。圭984 Bilaterally synchronous ultradian ERG rhythms in awake  adult humans. Psychophysiology , 2札265 −273. 三 宅 俊 治 ・ 谷 口 俊 治 ・ 辻 敬 一 郎 1988  睡 眠 一 覚 醒 パ タ ー ン の記 録 と 分 析 法  順 正 短 期 大 学 研 究 紀 要 , 凧43 −51. 谷 口 俊 治 1988  睡 眠 一 党 醒 に 関 す る 研 究(7) 東 海 心 理 学 会 第37 回 大 会 発 表 論 文 抄 録 集39. 谷 口 俊 治 1989  睡 眠 一 党 醒 に 関 す る 基 礎 的 研 究 一 質 問 紙 調 査 法 に よ る 特 性 の 記 述 一  椙 山 女 学 園 大 学 研 究 論 集, 20巾, 119 − 133 。 辻  陽 一 ・ 小 林 敏 孝 ・ 遠 藤 間 郎 1986  主 成 分 分 析 法 に よ る 覚 醒 時 脳 波 の ウ ル ト ラ デ ィ ア ン ・ リ ズ ム の 構 造 解 析  脳 波 と 筋 電 図 , ]L4, 166−175. 304 −

Figure 3  は,被 験者7 の1 日の寝床時 間につ いて,1 〜100日 の間隔で算出 した相 関係 数を示 し かものであ る。全体に相関係数の値 は低いが,7 日及 びその整数倍 日の係 数が相 対 的に大 きな値 を示 している。

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