氏 生年月日
学位論文審査結果の報告書
名本籍(国籍)
学位の種類
学位記番号
学位授与の条件
(博士の学位)@沙*"
64年森岡
大輔 兵庫県 博 論文題 プ 1月生
第学位規程第5条該当
士 目 2日 ^学位論文受理日
判立論文審査終了日
審査委員
工学) ス ス 夕 53 チ ノレ 厶 、、 号 技 ク の 術 短 を 下 応 2019年 2019年 肢 (主査) (副主査) (副主査) (副査) 北山指導教員
用 万父 し 1月 2月 28日 6日 廣川敬康 北山 山本 教授 V, 郎教授 郎教授.ず1・
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- FjirJ-゛々. 准教授 '.毛巴、 @ 具設計 デジ ブ テ ラ我が国では総人口の約28%を超える3500万人以上が鉐歳以上との調査結果が報告されている.ま た死因分類牙呪こみた死者数は悪性新生物(27.9%),心疾患(15.3%),脳血管疾患(8.2%)が 多くを占めている.これらの疾患のなかでも脳血管疾患の約21%は後遺症を発症すると報告されて いる.特に後遺症が下肢に発現した場合,日常生活での移動が困難となりQ山ⅡW ofLifeが著し く低下する.また下垂足による尖足歩行や瘻縮による身体バランスの不安定化が生じることで,転 倒のりスクの増加が考えられる.これらのりスクの低減のため,多くの後遺症のある羅患者に下肢 装具が処方される.下肢装具には長下肢装具や短下肢装具,継手の有無など様々な種類があるが, その中でもPlastic AFO (PAFO,以下"装具")は材料に熱可塑性樹脂が用いられ,軽量で丈夫で あるほか美観性や加工性の二ーズと一致していることから多く用いられている(T肱郎峨鵬, 2003).装具については,装具の形状による歩行状態の比較や新機構の足継手の開発,装具歩行の 分析など非常に多くの研究が行われているが,装具が利用者から受ける力学的荷重(荷重)を直接 調ベたものはほとんどなく,特に歩行遊脚相における荷重を計測した研究はほぽ皆無である そこで著者は,装具が利用者から受ける荷重状態を直接調ベるため,装具に複数のセンサを取り 付けた遊脚相および立脚相中の荷重が測定できる新しい計測システムを開発した.本論文では,同 システムを用いて歩行中装具にかかる荷重や装具変形角度などを計測し,装具がどの程度の荷重を 受けているのか,また健常者とはどのような差異があるのかについて比較検討を実施した.また, 研究を進める中,現状の装具の製作手順に変わる 3Dスキャナ・ 3DCAD・有限要素解析・ 3Dプリ ンタなどのデジタル技術を活用した従来にない装具の設計システムの構築の可育且性が見いだされ た.デジタル技術の応用は,従来の製作法では課題であった,0同じ装具の再製作,0患者に応じ た装具ヘの機能付加と修正,0装具の機能評価と設計ヘの反映,などを容易にするもので,次世代 の装具設計の方向性を示すものである.同論文ではそのため必要な基盤となる技術確立を目指す 第1章では,本論文の主題である装具に関する先行研究および著者らの提案するデジタル技術を 応用した自動装具設計システム(半自動装具設計システム,以下,"設計システム")の概要につ いて述ベる.これをうけて,第2章の前半で現状の装具製作の問題点と課題解決手法として設計シ ステムの詳細を説明する.同システムは,①身体形状データの獲得(3Dスキャナ),②同データ からの装具設計(3DCAD),③有限要素解析によるシミュレーション,④装具製作(3Dプリン タ),⑤製作装具の試歩行・評価,などからなる.設計システムの構築には① ⑤の技術が必要で あり,特に③のシミュレーションについては装具にかかる荷重データが要求されるが,著者らの研 究以前にこれらデータを獲得した研究はないと考えられる.そこで,第2章後半および次章では, このために必要な歩行中に装具にかかる荷重データの獲得と分析結果について報告する.特に本章 では,立脚相中の力学的荷重データの分析と評価について報告する.また,設計システムは上肢, 体幹や他の形式の短下肢装具などへの展開も可能であるが,本論文では片麻庫者を対象に非常に多 く処方されているポリプロピレン(PP)製の靴ベラ型(SHB)モデルの装具を対象とした.はじめ に,歩行実験に際して力学的荷重をりアルタイム計測可能な装具を開発した.同システムでは靴底 に6軸力覚センサを2点,装具觧腹部に1点,フレキシブルゴニオメータを装具足関節音剛立と膝関節 にそれぞれ1点ずつを装具に設置し,計測用ソフトLabV琵W2013で歩行中のデータを計測した.同 装置を用いて脳卒中による左側片麻庫の後遺症発症者(以下,片麻庫者)7名と成人健常者(以 下,健常者)6名の協力のもと歩行実験を行った.本実験に先立ち,片麻矩者による歩行の実験動 画から歩行状態の分析を行った.その結果,平均的な歩行としてケーデンス(歩調) 80,歩幅30 Cmであることがわかり,健常者においても同条件で歩行実験を実施した.収録データは歩行分析で 通常用いられている処理として時間および体重による正規化を行った.分析の結果,歩行中に装具 足底以外では大半の荷重が加わる緋腹部の荷重において,被験者に問わず立脚前期で底屈方向荷重 が生じ,立脚後期で背屈方向荷重となることが示された.健常者において,背屈方向荷重は一1.15 文内 ク、r の ヒ二 払、
酬蚫,底屈方向荷重は0.28N/蚫,片麻庫者においては背屈方向荷重は一0.74N/kg,底屈方向荷重
は0.34N/繪であった.健常者と片麻矩者を比較すると,健常者の背屈方向荷重は約1.6倍有意
(有意水準5%)に大きくなり,底屈方向荷重は約0.8倍に小さくなる傾向が見られた.膝関節角度
の屈伸角度は片麻矩者で約24度,健常者で約44度と約1.8倍有意に大きくなり,足関節屈伸角度で
は片麻連者で約2.4度,健常者で約3.2度と約1.3倍有意に大きくなる傾向が見られた.片麻矩者は
患側接地時に地面を蹴り上げるような踏ん張り動作が困難であることから,被験者間で差が生じた
と考える.これらの分析で得られたデータは,設計システムに重要な構成要素である上記③のシ
ミユレーシヨン(有限要素角群月での荷重として活用できる.さらに本章の研究では,用朗夏部で最
も大きな値を示す底背屈方向荷重と装具足関節屈伸角度で相関性を見ることできた.このことは,
装具の複雑な加工を伴う荷重センサ内蔵加工を行うととなく,容易に測定できる装目変形に伴う角
度変化からシミュレーションに使用できる荷重データが推定できるため,設計システムの⑤の装目
評価に活用できると考える第3章では,遊脚相中の足底から装具に作用する力学的荷重の計測装置の開発および遊脚相中の
荷重分析にっいて報告する.片麻瘻者の下垂足が生じるのは遊脚相中であり,下垂足とならないよ
う装具がどの程度支援しているかは設計の重要なポイントである.2章で用いた計測装置の6軸力覚
センサは靴底に設置しているため,遊脚相中に足底にかかる荷重を言"則できない.そこで,立脚相
中の荷重計測装置の装具内側の足底面に小型の3軸力覚センサ(以下,足底3軸センサ)を2点部置
することで,遊脚相中に作用する荷重が測定できる新たなシステムを開発した.同装置を用いて,
片麻矩者3名,健常者3名(足関節,膝関節角度データは片麻痩者2名,健常者2名)の協力のもと朱
行実験を実施した.収録データは2章と同手法で時間と体重による正規化実施後に分析を行った
分析の結果,遊脚相中における足背の距骨および舟状骨部のベルトに生じる荷重(以下,足関節荷
重)は健常者で遊脚相前期から遊脚相後期にかけて減少する傾向が見られた.その一方で片麻庫者
ではほぼ一定の値もしくは遊脚相中期に荷重が減少するU字型の波形となる傾向が見られた.足底3
軸センサでは,健常者の爪先の力学的荷重は遊脚相前期から後期にかけて増加する傾向が見られた
反面,踵での荷重は減少する傾向が見られた.さらに片麻瘻者では,爪先,踵ともコンスタントな
値を取る傾向が見られた.健常者の最大荷重においては,爪先荷重では0.51N/kg,踵荷重は1.27
N/kg,足関節荷重は0.36 N/繪であり,片麻矩者においては爪先荷重は0.84 N/kg,踵荷重は0.35
N/蚫,足関節荷重は0.36N/蚫であった.同データに対し,被験者群の波形形状から振れ幅(以
下,レンジ)による比較を行った.その結果,足関節荷重のレンジでは片麻庫者で約0.10N/kg,
健常者で約0.16 N/kgと健常者が約1.6倍大きく,足底3軸センサの爪先では片麻瘻者で0.16 N/k ,
健常者で0.42 N/kgと健常者が約2.6倍大きく,踵の足底3軸センサでは片麻庫者が0.08 N/kg,健常
者で約0.94N/kgと約H.8倍大きくなる傾向が見られた.足関節屈伸角度は,片麻瘻者で0.64度,
健常者で1.0度,膝関節屈曲では片麻庫者でⅡ度,健常者で41度といずれも健常者の屈曲角度が大
きくなる傾向が見られた.片麻瘻者での荷重の変動は大きくないことから,片麻庫者の朱行障害の
重要な原因である麻庫による下垂足を装具が支援しているためと考えられる.他方,健常者におい
ては随意運動が可能であることから遊脚相中でも足関節や足底で荷重の変化が見られたと考えられ
る・これらの結果は,装具処方を判断する上での重要な指標となる.遊脚相で得られたデータは,
装具の変形に与える影響の点では立脚相より小さいと考えられるが,例えぱ,塵性等により2イ立程
度の大きな荷重が見られた場合,無視できない荷重データである.
第4章ではトイレからの立ち上がり動作(以下,立位動作)における装目に作用する力学的負荷
および官能評価の比較にっいて報告する.装具は主に歩行を支援する機器であるが,片麻庫者に
とって歩行以外での困難な動作に立ち上がり動作があげられてぃる(Yamada et al.,2008)立ち
上がり動作では手すりの位置や膝角度,立ち上がり方など様々な要因があると考え,事前に健常者
での立ち上がり動作実験を実施し力学的負荷などを分析した.事前実験ではK。seet al.(199の
の報告した手すり寸法を参考にひずみゲージや6軸力覚センサを設置できるSUS304製の中九の手す
りを製作した.手すりの設置位置はTa脚ra etal.(2001)やナカエ業(株)の資料を参考に,便
座から200 脚とした.被験者は健常者25名,手すりの高さは被験者の肩の高さとなるよう設定し, 2足間距離は肩幅程度とした.同装置を用いて,膝関節角度および踵位置の違いによる力学的荷重 の分析と1順位法による官能評価を実施した.その結果,膝角度の増減と踵位置の両条件で足が便座 から離れるにつれて力学的負荷に増加傾向があることが分かった.これらの結果を踏まえ,装具で の立ち上がり実験を実施し,踵の位置の違いによる負荷分析と順位法による官能評価を行った.実 験には2章の立脚相分析と同じシステムを用い,立ち上がり動作環境には事前実験と同じトイレ環 境とした.被験者は片麻庫者7名と健常者7名である.定量的な負荷には健常者による手すり立ち上 がりの研究を参考に踵位置を変化させることとし,便座先端直下(ocm)を基準に前方ヘ+5 伽, 後方ヘ一5 師,-10 飢,任意の位置の5種類とした.実験の結果,官育語平価ではOcmから踵位置が 離れるに連れて立ち上がりが困難になるという結果が得られた.力学的負荷評価では,誹腹部負荷 のレンジはいずれの条件においても,片麻庫者では約1.6 N/kg,健常者では約0.8 N/kgと約2倍の 差が見られ一10 伽を除く条件では有意差も見られた. PAF0足関節角度は片麻矩者で約3.2度,健常 者で約1.8度と約1.8倍の差があり一10 肌を除く条件で有意差が見られたことから別朗夏部負荷と足 関節角度に相関性が見られる結果となった.歩行動作中の荷重と比較すると,片麻矩者の背屈方向 荷重と足関節角度の変化は立位動作がより大きく作用することが示された.以上のことから,立位 動作を想定した装具を製作することにより,歩行動作を十分に支援できることが示唆された.本章 で獲得した荷重データも自動成型システムでのシミュレーションに活用できる 第5章では,デジタル技術の装具設計ヘの応用の利点である有限要素法(以下,陀M)の活用にっ いて報告する.片麻瘻者1名の装具を3Dスキャナで撮影し, PC上に装具モデル(以下, F則モデノレ) を作成しF醐解析を実施した.また同モデルを用いて静的負荷実験を実施し,FEM解析結果と比較し その有用性を調ベた.実験および解析の条件として装具にはトリミング加工を施した.トリミンク 量は内課および外腺を中心にトリミング量0%,20%,40%,釦%をそれぞれ組み合わせた7種類の 装具を用いた.またF別モデルの解析にはANSYSを使用し,寵Mモデルの材料特性は2030Mpa,ポア ソン比0.4103に設定した.静的負荷の印加場所は歩行実験より算出した装具誹腹部の最大底屈荷重 の場所とし,底屈方向荷重80.4Nを印加した. F馴解析の結果,トリミング量が大きくなるにっれ て装具誹腹部に大きな変形が生じる傾向が見られた.また相当応力は装具の内課に作用しトリミン グ量増大に連れて増加傾向が見られた.静的負荷実験においても装具用朗夏部の変形にっいてはトリ ミング量が増すことで増加傾向が見られた. FEM解析の結果と静的負荷実験を比較すると,トリ ー.、 ング0%の装具で変形量の差は0.01 則n (0.00018n血/N)と非常に高い精度でのシミュレーション が可能であった.最も差の見られたトリミング60%でその差は2.3 血(0.0417 mm/N)の精度で あった.また応力解析の結果より,トリミング40%以下の加工が望ましいことが示唆された.以上 の結果からF別解析において,装具歩行において重要な底屈方向荷重にっいて,高精度でのシミュ レーションが可能であり装具製作に応用できる可能性が示唆された 本研究では,デジタル技術を応用した装具自動設計システムの構築を目的に,同システムの重要 な構成要素である,0歩行や立ち上がり動作中に装具にかかる荷重の獲得と分析,0有限要素解析 の利用の可能性の検証を実施した.同研究を進めることで,システム構築のための多くの基礎デー 夕と知見を獲得した.また,装具設計に欠くことのできない装具変形に対する力学特性の分析によ る知見を得ることができた.本論文により従来ほとんど知見のなかった装具(PAFのの処方基準に 対しては,装具に作用する力学的負荷の傾向を判断基準として利用の可能性を示すことができ,ま た装具設計においては,身体から取得した採型データをもとに, C肋や有限要素解析などにより設 計されたモデルを3Dプリンタで製作する一連の設計システムの構築の可能陛を示すことができ た
脳血昌心、による死亡は、死因分類別にみた死で見ると、悪性生物(27.9%、心,」 (15.3%)についで多く、約8.2%を占めている。また、これらの疾患のなかで、脳血管疾患は、 約21%が後遺症を発症するという特徴がある。後遺症が下肢に発現する場合も多く、日常生活での 移動が困難となりQOLが著しく低下する要因となっている。これらを支援するために、多くの後 遺症のある櫂患者に下肢装具が処方される。下肢装具には長下肢装具や短下肢装具、継手の有無な ど様々な種類があるが、その中でもプラスチック短下肢装具(PAFO、以下"装具")は最も多く使 用されている(Takashima、 2003)。装具については、装具の加工方法や装具材料の他、装具形状に よる歩行状態の比較や新機構の足継手の開発、歩行分析など非常に多くの研究が行われてぃる。し かし、装具が利用者から受ける力学的負荷(荷重)を直接調ベたものはほとんどなく、特に歩行遊 脚相における荷重を計測した研究はほぼ皆無である。 本研究では、はじめに装具が利用者から受ける荷重状態を直接調ベるため、装具に6軸力覚セン サやゴニオメーターなどのセンサを取り付けた遊脚相および立脚相中の荷重が測定できる新しい計 測システムを開発した。同システムを用いて歩行中装具にかかる荷重や装具変形角度などを測定す ることで、従来得られていないデータである、装具がどの程度の荷重を受けているのか、また健常 者とはどのような差異があるのかについて比較検討を実施している。研究を進める中、現状の装具 の製作手順に変わる 3Dスキャナ・ 3DCAD・有限要素解析(FEM)・ 3Dプリンタなどのデジタ ル技術を活用した将来に向けた新しい装具の設計システムの構築の可能性が見いだされたことか ら、これを主題とした研究論文として、当論文は構成されている。デジタル技術の応用は、従来の 製作法の課題である、 0同じ装具の再製作、 0患者に応じた装具ヘの機能付加と修正、 0装具の機 能評価と設計ヘの反映、などを容易にするもので、次世代の装具設計の方向性を示すものである。 同論文ではそのため必要な基盤技術確立を主テーマとして研究が進行されてぃる。 第1章では、研究の背景と従来の研究の総括をはじめに述ベ、続いて本論文の主題である、著者 らが提案している義肢装具士による自動装具設計システム(以下、"設計システム")の概要を説 明している。同システムは、①身体形状データの獲得(3Dスキャナ)、②同データからの装具設 (3DCAD)、③有限要素解析によるシミュレーション、④装具製作(3Dプリンタ)、⑤製作装 具の試歩行・評価、などからなることを本章で明示している。 第2章前半では、これを受けて、従来の装具の製作手順とそこでの課題及び考案した設計システ ムについて詳細な記述が行われている。設計システムの構築には上記① ⑤の技術が必要である が、特に③のシミュレーションについては装具にかかる荷重データが要求される。しかし、同研究 以前にこれらデータを獲得した研究はないと考えられ、本章(第2章)と次章では、このために必 要な歩行中に装具にかかる荷重データの獲得と分析結果にっいて報告している。本章は、立脚相中 の力学的荷重データの分析と評価についての報告である。はじめに、歩行実験に際して力学的荷重 をりアルタイム計測可能な装具を開発した。同システムでは靴底に6軸力覚センサを2点、装具誹腹 部に1点、フレキシブルゴニオメータを装具足関節部位と膝関節にそれぞれ1点ずっ装具に設置し、 計測用ソフトLabV琵W2013で歩行中のデータを計測した。同装置を用いて脳卒中による左側片麻庫 の後遺症発症者(以下、片麻瘻者)7名と成人健常者(以下、健常者)6名の協力のもと歩行実験を 行った。分析の結果、歩行中に装具足底以外では大半の荷重が加わる緋腹部の荷重において、被験 者を問わず立脚前期で底屈方向荷重が生じていること、立脚後期で背屈方向荷重が生じてぃること が示された。健常者では、背屈方向荷重が平均一1.15N/kgであり、底屈方向荷重が平均0.28N/胞 であることが示されている。また、片麻連者では、背屈方向荷重が平均一0.74N/蚫、底屈方向荷 重は平均0.34N/蚫であることが示されている。健常者と片麻矩者との比較では、健常者の背屈方 向荷重は約1.6倍有意(有意水準5%)に大きくなり、底屈方向荷重は約0.8倍に小さくなる傾向が 示されている。膝関節角度の屈伸負度は片麻庫者で約24度、健常者で約44度と約1。8倍有意に大き くなること、足関節屈伸角度では片麻連者で約2.4度、健常者で約3.2度と約1.3倍有意に大きくな る傾向が見られることも示されている。これらの分析で得られたデータは、設計システムに重要な 構成要素である上記③のシミュレーション(有限要素解析)での荷重として活用できる貴重なデー 夕である。さらに本章の研究では、緋腹部で最も大きな値を示す底背屈方向荷重と装具足関節屈伸 角度で相関性があることをデータで示している。このことは、装具の複雑な加工を伴う荷重センサ 内蔵加工を行うことなく、容易に測定できる装具変形に伴う角度変化からシミュレーションに使用 できる荷重データが推定できるため、設計システムの⑤の装具評価に活用できる重要な結果である といえる。 文 査 イ ノ、 の ヒ二
3 では、脚 R の足_から装具に作用る力学勺"重の計測装置の開発および脚相中の 荷重分析について報告している。片麻庫者の下垂足が生じるのは遊脚相中であることから、下垂足 とならないよう装具がどの程度支援しているかは設計の重要なポイントである。第2章の計測シス テムでは、センサが靴底に設置されているため、遊脚相中に足底にかかる荷重を計測できない。そ こで論文著者は、立脚相中の荷重計測装置の装具内側の足底面に小型の3軸力覚センサ(以下、足 底3軸センサ)を2点設置するというアイデアを考案し、これにより遊脚相中に足底に作用する荷重 計測を可能とした。同装置を用いて、片麻癒者3名、健常者3名(足関節、膝関節角度データは片麻 矩者2名、健常者2名)の協力のもと歩行実験を実施している。分析の結果、遊脚相中における足背 の距骨および舟状骨部のベルトに生じる荷重(以下、足関節荷重)は健常者で遊脚相前期から遊脚 相後期にかけて減少する傾向が見られることを示した。その一方で片麻庫者ではほぼ一定の値もし くは遊脚相中期に荷重が減少するU字型の波形となる傾向であることも示した。足底3軸センサで は、健常者の爪先の力学的荷重は遊脚相前期から後期にかけて増加する傾向が見られた反面、踵で の荷重は減少する傾向が見られることを示した。さらに片麻庫者では、爪先、踵ともほぼ一定の値 を取る傾向であることを示した。荷重の大きさにっいては、健常者の最大荷重では、爪先荷重は 0.51N/kΞ、踵荷重は1.27 N/kg、足関節荷重は0.36 N/kgであり、片麻庫者において、爪先荷重は 0.84 N/kg、踵荷重は0.35 N/kg、足関節荷重は0.36 N/kgであることが分かった。同データに対 し、被験者群の波形形状から振れ幅(以下、レンジ)による比較を行った結果、片麻矩者の足関節 荷重データは、健常者のそれよりも約1.6倍大きく、足底3軸センサの爪先荷重データにおいては、 健常者が片麻庫者より約2.6倍大きく、踵荷重データでは、健常者が片麻庫者より約Ⅱ.8倍大きく なることを示した。また、足関節屈伸角度は、片麻庫者で0.64度、健常者で1.0度、膝関節屈曲 は、片麻庫者でⅡ度、健常者で41度といずれも健常者の屈曲角度が大きくなることを示した。片麻 連者での荷重の変動が大きくないことは、麻庫した下垂足を装具が支援してぃるためであることを データで示したものである。これらの荷重データや、麻庫の有無及び状態に伴う装具の支援の程度 との連関性は、装具の必要性、装具の強度などの処方を行う上での重要な指標となる。遊脚相で得 られたデータは、装具の変形に与える影響の点では立脚相より小さいと考えられるが、例えば、瘻 性等により2倍程度の大きな荷重が見られた場合、無視できない荷重データであることも示した。 第4章ではトイレからの立ち上がり動作(以下、立位動作)における装具に作用する力学的負荷 および官能評価の比較について報告している。装具は主に歩行を支援する機器であるが、片麻瘻者 にとって歩行以外で困難な動作として、立ち上がり動作があげられてぃる(Yamadaetal.、 2008)。立ち上がり動作では手すりの位置や膝角度、立ち上がり方など様々な要因があると考え、 事前に25名の健常者での立ち上がり動作実験を実施し、膝関節角度および踵位置の違いによる力学 的荷重の分析と1煩位法による官能評価を実施した。その結果、膝角度の増減と踵位置の両条件で足 が便座から雛れるにつれて力学的負荷に増加傾向があることを示した。これらの結果を踏まえ、 具での立ち上がり実験を実施し、踵の位置の違いによる負荷分析と順位法による官能評価を行っ た。実験には第2章の立脚相分析と同じシステムを用いた。被験者は片麻矩者7名と健常者7名であ る。実験の結果、官能評価では0 伽から踵位置が離れるに連れて立ち上がりが困難になるという結 果を得た。力学的負荷評価では、用朗夏部負荷のレンジはいずれの条件においても、片麻連者では約 1.6N/kg、健常者では約0.8N/蚫と約2倍の差が見られ一10 伽を除く条件では有意差あることが示 された。 PAF0足関節角度は、片麻庫者で約3.2度、健常者で約1.8度と約1.8倍の差があり一10 伽を 除く条件で有意差が見られたこと、また、緋腹部負荷と足関節角度に相関性が見られたことが分 かった。歩行動作中の荷重との比較では、片麻矩者の背屈方向荷重と足関節角度の変化は立位動作 がより大きく作用することが示された。本章で獲得した荷重データも自動成型システムでのシミュ レーシヨンに活用できるものである。 第5章では、デジタル技術の装具設計ヘの応用の利点である有限要素法(以下、兜M)の活用に ついて報告している。片麻連者1名の実際の装具(実モデノレ)を3Dスキャナで撮影し、PC上に装具 モデル(以下、兜Mモデノレ)を作成し兜M解析を実施した。また実モデルを用いて静的負荷実験を実 施し、兜M解析結果と比較しその有用性を調ベた。実験ではトリミング(部分的に装具を削るこ ど加工を施した装具により、トリミングの効果を調ベた。トリミング量は内腺および外課を中心 トリミング量0%、20%、 40%、 60%をそれぞれ組み合わせた7種類の装具とした。また艶Mモデ こ ルの解析にはANSYSを使用し、艶Mモデルの材料特性は、事前実験で獲得したヤング率2030Mpaと、 論文からの引用データであるポアソン比0.4103に設定した。静的負荷の印加場所は歩行実験より算 出した装具肝腹部の最大底屈荷重の場所とし、その場所での最大荷重として底屈方向荷重80.4N 負荷した。F則解析の結果、トリミング量が大きくなるにっれて装具緋腹部に大きな変形が生じる 傾向が示された。また相当応力は装具の内課に作用しトリミング量増大に連れて増加することが