JAIST Repository: 人工喉頭開発に関する研究
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(2) 人工喉頭開発に関する研究 大恵 克俊. (西坂研究室). 【はじめに】現在まで、発声機能を失った患者のため、様々な代用発声法が考案され てきた。しかしこれら代用発声法は、修得の困難さや明瞭度の低さといった問題を少なか らず抱えている。 我々は人工喉頭に対する制御面からのアプローチではなく、音源の発声音を声帯の発声 音に近付けることにより、明瞭度を向上させる方法について研究を行なっている。声帯は 断続気流波を発生する音源である。この音源の再現のため、断続気流波の発生に適した振 動子である PZT セラミックス(以下 PZT )に着目し、その有効性について実験を行なっ た。さらに、PZT を用いた人工喉頭を試作、実際にヒトに装着してその性能について評 価した。 【方法】実験 1 PZT の音源としての有効性の評価 PZT(モノモルフタイプ、直径 30mm )は、Function Synthesizer からの波形を高圧アンプで昇圧したものにより駆動さ れた。発生音はマイクで集音され、シグナルアナライザにより FFT 解析、パワースペク トルの抽出が行なわれた。これらの測定は無響箱中で行なわれた。PZT に様々な振動制 御を行ない、抽出したパワースペクトルにより音源としての有効性を評価した。また、健 常者、障害者、代用音声(食道発声法、電気式人工喉頭)使用者の音声を測定、パワース ペクトルを抽出し、PZT によるものと比較検討をした。 実験 2 PZT を用いた人工喉頭の試作 PZT を音源とした人工喉頭を試作、ヒトに装着 し、その発生音は口唇前で集音された。FFT 解析によりパワースペクトルの抽出が行な われ、特性が評価された。なお、PZT は実験 1 と同様な方法により駆動された。 【結果及び考察】実験 1 振動制御のため、片面に 1mm 厚のラバーシートを、他面に 3mm 立方のゴム製のおもりを付加した PZT を、人体に模して製作した喉頭模型に装着 し、240Vp-p 、100Hz の台形波を印加したところ、健常者の発声音に非常に近いパワース ペクトルが得られた。 健常者と代用音声使用者の音声を比較した結果、健常者の音声の明瞭さは、1 )線スペ クトルを有すること、2 )高周波領域に高調波を持たないこと、の 2 点によることが明ら かになった。PZT の発生音はこの点を満足しており、PZT は人工喉頭の音源として適し ていると考えられた。 実験 2 試作した人工喉頭は、240Vp-p 、100Hz のノコギリ波の印加により、健常者の 音声に近いパワースペクトルを示した。この音声は、聴き取り評価においても良好な明瞭 度を有した。 このタイプの人工喉頭は、体内設置部と音源部である PZT をセパレートとしたもので、 生体適合性、安全性ともに優れ、電源部の小型化により近い将来実現可能であることが期 待される。 【まとめ】PZT は振動制御を行なうことにより、人工喉頭の音源として適した特性を 持つことが判明した。試作した人工喉頭は、従来の人工喉頭に比較して明瞭度の点で満足 のいく音質が得られ、実用化に期待が持てる。 図は 平成 8 年度修士論文研究発表要旨集参照 keywords. 音声、代用発声法、PZTセラミックス、人工喉頭. Copyright c 1997 by Katsutoshi Ooe.
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