精神遅滞児の外的志向性に関する研究(III) : 被転導性との関連
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(2) . 精神遅滞児の外的志向性に関する研究 (m) -- 被転導性との関連 --. 木. 1. 村. 健一郎・地. 引. 春. 人・ 大. 塚. 博. 臣. 問題と目的. 木村. (1979a,1979b) は 精 神 遅 滞 児 の 学 習 活 動 の 特 質を 理 解 す る 上 で 外的志向性 , , ( 並 t d ) t 仮 説 の 組 み の 中 で 研究 を 進め て いく 必 要性 につ い て 言及 して い る. 外的志 枠 u r o e e c e n s s e ・. 向 性 仮 説 と は, タ ー ナ ー と ジ グラ ー (Tur i l 96 4) によっ て提出されたもの で, 精神 r nu e&Z er l g. 遅滞児において, 課題解決状況, 特に学習場面においてしば いま観察される模倣性 注意散漫性 , , 他者の言動に左右される, 課題との積極的係わりが希薄であるなどの行動特徴の説明に新たな視点 を導入した,′そこでは, 外的志向性を精神遅滞そのものに起因するもの (認知機能の低水準 脳損 , 傷) というよりも, むしろ社会化の過程を通して形成されてきたもので ・あり, 課題解決状況におい て, 課題に集中し, 自己の認知能力を用いて課題に含まれている抽象的関係を引き出す積極的な試 みをせず, 課題を取り巻く状況的, 環境的な手がかりに依存して解決を図ろうとする一つの課題解 決様式であることを示唆している. つまり 模倣性や注意散漫性は無意味な 課題解決と関係の無 , , い行動ではなく, 精神遅滞児の課題解決の様式であると言うのである, この仮説を検討する中で, ターナーとジグラー (196 4) は, 遅滞児の外的志向性が課題状況の性 質によって, 課題解決にとって必ずしも有害とならない場合があることを見いだした すなわち . , 外的志向性が情報収集活動となり, 後の課題解決に有利に働くことがあることを確かめた そこか , ら更に, ターナーとジグラーは, 遅滞児の心理特性として知られている被転導性 (d i i 汎u t t t s r u c y) が, 情報収集活動ないしは課題解決様式の反映である可能性を示唆している . タ ー ナー (Tumur e l970b) は, 脳損傷を持たないいわゆる家族性精 神遅滞児が, 学習状況に おいて教師によって高度に被転導性を示すものと して概念化されているが それは脳損傷性精神遅 , 滞児 につ い て の ス トラ ウス と しチ ネ ン (St t面en,1947)・の 研 究 か ら過 度 に 一 般 化 さ れ r auss & Leh. たものであり, システマティ クな観察や研究によるものではないことを指摘し 遅滞児の学習状況 , における定位行動 (oden mgb h i t e a v o r) についての信頼し得る情報と, 課題から離れる定位行動 の性質についての検討の必要性を主張し, 一連の研究を行っている, その結果 学習状況において , , 実験者が現れること によっ て, 遅滞児が学習課題か ら目を離し実験者の方を 見ること が 同 MA , の健常児よりも多いことが認められた, だが, 実験者が正しい反応に対する手がかりを用意すると ・ , き, 遅滞児は課題から目を離し実験者の方を見る行動 (g i l i or) を 増加 さ せ る だ けで な a n c ngbehav く, 課題成績をも改善させることを見いだしている, そこでターナーは 遅滞児の課題と無関係な , ものに対する定位は, 無意味な定位ではなく, 一つの情報探求ス トラテジーの反映であると主張し て い る,. ドゥローター(D 972 )は, ターナーとジグラー(19 t額, 1 64)の研究の方法論的な不備を補っ o ,Dr て, 外的志向性仮説の検討を行っている. 同 MA (7:6) の精神遅滞児3 0名, 健常児3 0名を被 65.
(3) . 木村健一郎・地引春人・大塚博臣 験児として, 3条件の基で2つのパズル組合せ課題 (課題1, 課題2) を課した, ①被験児が課題 1のパズルを組み合わせている間, 実験者は, 被験児が課題2で組み合わせるパズルと同じパズル を組み合わせている場合 (同一手がかり条件, SC条件) ②同じく, 実験者が課題2と異なったパ ズルを組み合わせる場合 (異なる手がかり条件, DC条件) ③実験者は何もしない場合 (手がかり の無い条件, NC条件) , 仮説は, ①の実験者の パズル組合せに対する遅滞児の注意が, 健常児と. 比較して, 遅滞児の課題1の成績を下げるだろう. ②同一手がかり条件に置ける遅滞児は, 同じ条 件の健常児よりも, 課題2において高い成績を示すだろう, と言うものである, 結果は, 課題1の成績について, SC条件と DC条件において, 遅滞児が健常児と比較して有意 l に低 い こ と が示 さ れ た, 又, グ ラ ン ス (g ance) 数の データから, 課題 “こおいて遅滞児が有意. に多く実験者の方を見ることが示された. だが, 課題1における遅滞児の外的志向的な反応が, 健 96 4) の知見を確 常児と比較して遅滞児の課題2の成績を向上させるというターナーとジグラー (1 認することが出来なかった.. 197 2) は, 課題が易しす ぎて, 課題2の得点が全体的に高く この結果について, ドゥローター ( . れた差異を覆い隠した可能性を示唆しているが, によ ぼ ) て予測さ n m n なり, 天井効果 (c t c っ e ge e 同時に遅滞児 が課題1における実験者の組合せの観察から充分な情報を学習していなかった可能性 を 指 摘 して い る, .. 、 精神遅滞児が,,学習状況において, 課題から注意を反らし, 環境刺激の方へ注意を向け, その結 果学習成績を低下させる傾向のあることは確認されているが, その様な行動が課題解決に取って有. 効か否か, すなわち, それが課題解決とは関係の無い無意味な被転導性なのか, あるいは課題解決 のための情報探求活動なのかに関しては未だ一致した知見は得られていない. ●の実験と類似の方法を用いて, 外的志向性仮説を検討すること 72) 本研究は, ドゥローター (19 を目的とする,. 2. 方. 法. 1) 被験児. 0名 (男子18名, 女子12名) と精神 被験児は, 市内障害児学級, 養護学校に在籍する精神遅滞児3 1 8 名 ) である, いずれも粗大な運動障 1 2 名 女子 年齢のほぼ等しいと考えられる健常児30名 (男子 , 害及び感覚障害の無いものである. これらの被験児は, 両群それぞれ MA が等しくなるように10. 名ずつ6 グルー プに振り分けられた, 各 グルー プの平均 CA, MA, IQ 及び標準偏差は表1に示 した 通 り で あ る, な お, MA, I Q は, 田研・田中 ビネー知能検査によって測定されたものである,. 2) 実験条件. .次 上記の被験児は, 表1に示した通り3つの実験条件 にそれぞれ割り当てられた. 実験条件は,. の 通 り で あ る, ・ ( 1 ) Sむがu a rGu e,(SC) 条件. 被験児が課題1のパズルを組み合わせているときに, 実験者が課題2のパズルと同一のパズ ルを組み合わせる,. (2 ) ・Di rGu ss”副u a e (DC) 条件. 被験児が課題1のパズルを組み合わせているときに, 実験者が課題2のパズルと異なったパ. 66.
(4) . 精神遅滞児の外的志向性に関する研究 (m) ズ ル を 組 み 合 わせ て いる.. ‐C) 条件 ( 3 ) NOGu e (N 被験児が課題1のパズルを組み合わせているときに, 実験者はなんのパズルも組み合わせし な い.. 表1 被験児と実験条件. 実験条件. N. CA. 遅滞 SC条件. 10. 13:8(16 .9). 7:0(11 , 9(10 ,1) 52 .6). 10. 13:5(25 .2). 7:0(7 .4) 53 . 1(8 .7). 10. 14:1(33 .7). 7:0(11 .5) 53 . 1(7 ,5). 健 SC条件 常児群. 10. 7:2(3 ,6). DC条件. 10. 7:2(4 .5). NC条件. 10. 7:1(3 ,6). 児 DC条件 群 NC条件. IQ. MA. (. ) 内標準偏差. 3) パズル課題 課 題 は, 3 つ の 動 物 の 形 を した パ ズ ル を 用 い た. パ ズ ル は, ドゥ ロ ー タ ー (1972) に 準 処 し て. SC- Rの組合せ課題に用いられているパズルと類似のものを作成した. パズルの大きさは, ほ WI ぼ WI SC - Rの課題と同じであるが, 厚さ0 c mの合板から切り取った. パズルは表と裏の区別を .7 つけるために, 一方を淡い茶色に, 他方を赤色に塗ってある, 図1は, パズルとその分割方法を示 した もの で ある, パ ズ ル は馬, 象, 大 の形 を した も の で, そ れ ら は各々 4つ ピ ース に 分割 さ れ て い. る. 分割方法は, 課題1のパズル (馬) と課題2のパズル (象) の困難度を等しくするために 馬 , の場合は, 腹の部分を基底線として三角形をく り抜くように分け, 馬の場合は, 背の部分を基底線 とする三角形をくり抜いた. 大の場合は, WI SC -Rの 「馬」 と同じように4片に分割した.. 〉 .. 課題1. に. 心. 課題2. DC条件用. 図1 パズル課題と分割方法 67.
(5) . . 木村健一郎・地引春人・大塚博臣 4) 手続き. . た. 実験者は被験児の左横に座り, パズルの提示および 観察者は , △せを行い , ……n “ , …{=r 一【 ” ” ′ 被験児の組合せ方を記録した -1 被験児の左斜め前方に座り,課題から目を反らす反応(グ. (▽ ) Y. ノ\. ノー\. ランス) の回数と時間を記録した. 同時に グランスの記. s被 E・実. の位置関係は図2 に 示 した 通 り で あ る. 被 験 児 は, SC. V.ビデオカメラ. 録 の 客 観性 を 得 る た め に ビ デオカ メ ラ で記 録 した, こ れ. 条件, DC条件, NC条件に分けて同様の実験を行った. 実験者は, まず課題1として, 被験児全員に馬のパズ. ○,観. 験 児 験 者 察. 者. 図2 実験場面. 〈 奪 課 題 1. 実験者は’ 被験児が課題1の 期 しを組み合わせるの. と同時に, SC条件では象のパズルを, DC条件では大 のパズルを組み合わせる, その方法は, 実験開始と同時 に, 被験児と一緒にできるだけ早くパズルを組み合わせ. る. 完成したパズルは被験児の見えるところに10秒間置. 勅″馨 勅 ″ 課 題 2. 養 1 灘沙 議 審 憂綴喜 微震 昭 〆 β ◇是 D. は2 分30秒 と した の で, 実 験者 の パ ズ ル の 組 合 せ 回数 は. 3回を越えない. 教示として, SC条件, DC 条件に対 して 次 の よう な 教 示 が与 え ら れ た,. (被験児). 図3. 提 示 方法. 「こ の 布 を 取 る と パ ズ ル があ り ま す, こ の パ ズ ルを 組 み 合 わせ る と あ な た の 知 っ て い る もの の形 にな りま す, あ な た は できる だ け早 く そ の パ ズ ル を組 み 立 て てく ださ い, あな た が組 み立 てる の と. 一緒に私もパズルを組み立てますが, あなたは出来るだけ早く自分のパズルを組み立てて下さい, い い です か. で は 始 め ま す.」. NC条件には次のような教示が与えられる.. 「こ の 布 を 取 る と, パ ズ ル が あり ま す. そ の パ ズ ル を 組 み立 て る と あ な た の知 っ て い る ものの 形. に な り ま す. あ な た は で き る だ け早 く パ ズ ル を 組 み 立 て て 下 さ い. い い で す か. で は始 めま す,」. 被験児が制限時間内に組立を終了したという意志表示をしたとき, 実験者はその完成したパズルを 見て, 4辺が正しくできている場合には 「良くできましたね」 とほめ, 間違った組合せの場合には. 「少し違いますね. もう少し頑張ってみましょう.」 と激励する. 課題1の終了後,課題1が出来た被験児には,「もう1つパズルがありますから頑張って下さい.」 , 出来なかった者には 「もう一つ パズルがありますから, 今度は頑張って組み立てて下さい.」 と言 葉かけをして課題2 を お こな う.. パズル課題の得点は, 各々の課題に対し, 2片を正しく組み合わせることが出来たとき 2 点, 3 片の場合3点,4片を完全に組み合わせた場合は5点を与える. 又,完成までにかかった時間によっ 68.
(6) . 精神遅滞児の外的志向性に関する研究(m) て, 3 0秒以内-2点, 30秒から1分以内-1点を加える, つまり, 得点の範囲は0点から7点 に な る, グ ラ ン ス 数 につ いて は, ビ デオ カメ ラ に よ っ て 記 録 する, ビ デオ カメ ラ は 観 察者 の 右 横 に設 置 ,. し, 出来る限り注意を散らす材料とならないようにし, 下から顔が写るように設置した. グランス の記録は回数とし, 1秒を越えるようなものは1秒につき1回と数える.. 5)実験期間. 昭 和62年11月30日 か ら.12月11日 に実 施さ ・れ た,. 3. 結. 果. 表2は, 精神遅滞児群と健常児群の- SC条件, DC条件, NC条件における課題1, 課題2のパ ズル得点及びグランス数の平均, 標準偏差を示したものである, 表2 各群の得点とグランス数の平均・標準偏差 パ ズル 得 点. グ ラ ン ス 数. 実験条件. ‐ N. 遅滞 SC条件. 10. 3 ,4(3 .1) 4 ,9(1 .7). 4 ,4. 1 ,2. 児群DC条件. 10. 3 .9(2 ,3) 3 ,9(3 ,2). 5 ,4. 1,3. 〉 NC条件. 10. 1 ,2(2 ,4) 1 .1(2 .2). 6 ,6. 6 ,7. 健 常児 SC条件. 10. 3 .5(2 ,9) 2 .9(2 ,5). 3 .3. 0 ,7. DC条件. 10. 二7(1 0 .6) 1 .4(2 .8). 2 ,7. 0 ,6. NC条件. 10. 2 .奴2 ,2) 2 ,7(3 ,0). 0 .2. 0 ,5. 群. 課題. 1. 課 題 2. 課題. (. 1. 課 題 2. ) 内標準偏差. 1) パズル得点 図4は, 遅滞児群 と健常児群の各条件における課題1の平均パズル得点を示したものである, 課 題1のパズル得点について, 被験児 (健常児-遅滞児)(得点). ×条件 (SC -DC -NC) の2要因分散分析を行った, 5 被験児のタイ プと条件との交互作用が有意であった (F 4 =3 ,573 , 自由度. 匿修理 遅滞児群 [ニコ 健常児群. 2 と54 0 ,05< P く0 , しか し, ,01). 条件及び被験児のタイ プの主効果は有意ではなかった, 3 被験児のタイ プと条件は, 互いに作用し合うが各々独立 2 で は効 果 が認 め ら れな かっ た, 単 純 主効 果 (s imp l e i t) の検定を行ったところ, 遅滞児群が健常児 1 ma ne” e c 群と比較 して有意に高い得点を示すことが見いだされ. た. t検 定 の 結 果 は, 遅 滞 児 の グル ー プ に お い て, DC 条件と NC 条件との間に有 意差 が 話い だ さ れ た (t =. SC 図4. DC. NC (条件). 課題Iの パ ズ ル得点 69.
(7) . 木村健一郎・地引春人・大塚博臣 2 f=54 0 .31 ,05< p <0 , d ,01) . 又, 健 常 児 群 に お い. て, SC 条件と DC 条件との間に有意差が見いだされた (t=2 f;54 0 .39 .05< p <0 . , d .01). 匿変電 遅滞児群 〔ニコ 健常児群. この 結果は, 課題1の得点に関して, ①遅滞児群と健 常児群との間に差が無 いこと, ②各条件間に差が無いこ と, ③ DC条件において, 遅滞児の得点が健常児と比較. して高いこと, ④遅滞児群におい て SC, DC 条件 が NC 条件よりも高いこと, ⑤健常児群においてはDC条 件がSC条件よりも低いこと, を示している, 図 5 は, 遅滞児群と健常児群の各条件における課題2. の平均パズル得点を示したものである. 課題2の得点に ついて, 被験児群 (2) ×条件 (3) の2要因分散分析 を行った. その結果被験児群と条件との交互作用が有意. SC. DC. 図5. ‐ N C (条件). 課題2のパズル得点. で あ っ た (F =3 f=2 ,276 d .05< p <0 .01) が, ,54 0. 条件と被験児のタイ プの主効果は有意ではなかった. 単 純主効果の検定を行っ たところ DC条件において遅滞児. 匪憂国 遅滞児群 [:コ 健常児群. 群が健常児群と比較して有意に高い得点を示す結果が得 ・ 1. .. られた. 又, t検定の結果, 遅滞児群において, SC 条. 件 と NC 条 件 と の あ い だ(t=3 f=54 p <0 .09 d .01) , DC 条 件 と NC 条 件 と の 間 (t=2 2 8 d f=5 4 0 0 5< . .. P <0 ,01) に 有 意 差 が見 い ださ れ た.. この結果は, 課題2の得点に関して, ①遅滞児群と健 常児群との間に差が無いこと, ②各条件間に差が無いこ. と, ③ DC 条件において遅滞児の得点が高いこと, ④遅 滞児群において, SC, DC 条件での得点が, NC条件. SC. と 比 較 して 高 い こと, を 示 して い る.. 2) グラ ンス 数. 図6. DC. NC. (条件). 課題1の グランス数. {回数). 図6は, 課題1における遅滞児群と健常児群の各条件. で の グラ ンス の 回 数 を 示 した もの で ある‘ グラ ン ・ス 数 に. 関して被験児群 (2) ×条件 (3) の分散分析を行っ た. ・= そ の 結果, 被験 児群 の 主効 果 が有意 であっ た (F. 謬諺国遅滞児群 [ニコ 健常児群. 6 f=2/54 p <0 ,96 d , こ の 結 果 は, 条 件 を こ み ,01). にした場合遅滞児群が健常児群よりも有意にグランスが 多いことを示している. だが条件の主効果及び被験児と 条件の交互作用は有意ではなかった. t検定を行っ たと ころ‘ NC条件において遅滞児が健常児に比較して有意 に グラ ンス が多 い こ と が示 さ れ た.. そ こ で, 課 題 1 にお け る グ ラ ンス を 実 験者 の パ ズ ルを. 見ている場合とその他を見ている場合とに分け, 被験児 群 (2) ×条件 (2, SC, DC) の分散分析を行った. 70. SC. 図7. DC. ‐ N C (条件). 課題2の グランス 数.
(8) . 精神遅滞児の外的志向性に関する研究 (m) その結果, 交互作用, 主効果のいずれも有意ではなく 遅滞児が健常1 息に比べ, 実験者のパズルを , 多くみていると言う結果は得られなかった, 図7は, 課題2における遅滞児群と健常児群の各条件でのグランスの回数を示したものである . グランスの回数についての被験児 (2) ×条件 (3) の分散分析の結果 条件 (F=39 f= , ,5 d. 2/54 0 f=2/54 p <0 .05< p <0 ,01) , 被 験 児群 (F =7 .23 d .01)の主 効 果 が有 意 であ っ た, 又,. 交互作用も有意 (F=3 5 d f=2 /5 4 0 1) であった. t検定の結果, NC条件にお .9 .05<p<0 .0 ける遅滞児群が他の条件における被験児 群よりも有意に多くの グランスをしていることが示され た,. 4. 考. 察. 本研究は, 精神遅滞児の一般的な行動特性と考えられている被転導性が 一つの課題解決様式で ,. ある と いう タ ー ナ ー と ジ グラ ー (1964) の知 見 を 確 認 する ため に ドゥ ロ ー タ ー (1972) と 類 似 の ,. 方法を用いて実験を行った, 課題1のパズル得点の結果は, 実験者が被験児と一緒にパズルの組合せを行うことによって 同 , MA の健常児と比較して, 遅滞児のパズル得点を有意に低 下させるというターナーとジグラー 及 , び ドゥローターの知見を確認できなかった. むしろ遅滞児の方が高い得点を示す (DC 条件におい て)という逆の結果が得られた. この結果と関連して, 課題1におけるグランスの回数につ いては , 遅滞児群が健常児群と比較して有意にグランス数が多いという結果が得られた だが これは実験 . , 者がパズルを組み合わせない NC条件においてであり 実験者がパズルを組み合わせるSC条件 , , DC条件 では, 遅滞児群が健常児群を上回っ たが その差は有意ではなっかた ターナーとジジグ , , ラー及び ドゥローターの実験において グランスは, 実験者の組合せノ ミズルを見る回数として記録さ れた. 他方本実験についはグランスは自分の課題から目を離し 他の環境刺激の方を見る回数とし , て記録された● . そこで, SC条件と DC条件についてグランス数を実験者のパズルを見ている回数 とその他の環境刺激を見ている回数とに分けてみたところ 遅滞児群が健常児群と比較して実験者 , のパズルの方を多くみるという結果は得られなかった. ここでも彼らの知見を確認出来なかっ た , 課題2のパズル得点の結果は,課題1において実験者が課題2のパズルを組み合わせる条件では , 遅滞児群の課題2の得点が健常児群と比較して有意に高くなると言うターナーとジグラーの結果と 一致しなかった, SC条件において遅滞児群が健常児群よりも高い得点を示したが その差は有意 , で はな か っ た, ま た, DC 条 件 に お い て は課 題 1 で課題 2と は異 な っ たパ ズ ルを 提 示 さ れ た に もか. かわらず遅滞児群が健常児よりも有意に高い得点を示した.. 以上, 本研究においていずれも外的志向性仮説を支持する結果が得られなかった その理由とし . て, 一つには課題の困難度が各被験児群において一定でなかった事が考えられる 被験児個々の得 . 点を見てみると, 課題1の パズ ルが0点のものが 遅滞児群の SC 条件で4名 DC 条件2名 , , , NC条件8名 であった. 他方健常児群 ではSC 条件4名 DC条件8名 NC条件5名であっ た , , . この結果は, 両群の被験児にとってこの課題の困難度の高さを示しているものである 特に NC . , 条件の遅滞児とDC条件の健常児群にとって 「馬」 のパズルが著しく困難であったことがわかる . 又, 課題2のパズルが0点のものは, 同様にNC条件の遅滞児 (8名) とDC条件の健常児 (8名) が特に多かった. このことが課題1の得点の両群の差異を覆い隠したと考えられる ドゥローター , もSC条件における遅滞児の得点の上昇を確認できなかったが その原因として課題が易 しすぎた ,. 71.
(9) . 木村健一郎・地引春人・大塚博臣 点をあげている. 各被験児にとって等しい困難度を持った課題の工夫が必要である, 第2の理由として, 実験者が被験児の横でパズルを組み合わせる条件において, 遅滞児群が課題 1, 課題2のいずれにおいても高い得点を示していることから, 遅滞児の グランス は, 情報収集活 動というよりも, 課題に取り組むモデルとして取り組みかたの 「ヒント」 を得ているに過ぎないと ・DC 条件において極めて少なくなっ も考えられる. それは,課題2における グランス数がSC条件と て お り, NC 条 件 に お い て は 高 い レ ベ ルに留 ま っ て い る こと か らも わ か る, す な わ ち 課 題1 の 時に. すでに課題の取り組み方のモデルをみているために, 課題2ではグランスの必要性が少なくなった のではないかと考えることが出来よう. 課題解決に関する細かな情報を求めるというより, 表面的 な 手 がか りを 得 る の に役 立 っ て いる よう に思 える.. 第3は, ドゥローターも示唆しているように, 遅滞児の グラ ンス が被転導性の現れである可能性 も考えられる. 本実験において は, 上記のどの解釈が妥当であるかについての結論を出すことはできない. 被験 児の厳密な選択や, 課題の適切な困難度の設定等を改善して, データの積み上 ずを必要とする,. 引 用. 文. 献. bedcanjour fnonre t - l f t rdedc園d ren hepuzz a d i t a rdedandre 1) Dro n D anceo t eper or t rec er enessandt ,A1 r a ,D, ou 3 6 2 7 7 2 3 0一2 1 9 7 IDe行c i fMen lo t ency a na . , , ,. 2) 木村健一郎 精神遅滞児における外的志向性に関する研究 (1) 29巻 2 号. 北海道教育大学紀要第一部C I979 ,. 139一149). 1) 3) 木村健一郎 精神遅滞児の外的志向性に関する研究 (1 1一188) 号 18. 9 0巻1 北海道教育大学紀要第一部C I97 ,3. I tma i t面gi i dencef nadequa cy he ment t i bmt t t orano打en t rded: Nega veev anyre a nt 4) Turnure,J ra c ,Excep s yi ,Di. d Cml ren , 1970, 181一186, , November lo f landre IWOg o fno t he prob l ren d止ec a rded C胆d i rma & Z l t t nt em so 5) Tur ednessi er ,Jouぱna nreJ, er g ,E, ou , 2 3 1 6 9 4 7一4 1 9 6 9 h l l dS i IP Abno lma an oca syc oo ≦評, . , ,. 木村健一郎 (本学助教授・函館分校) 地引 春人 (母恋小学校教諭) 大塚 博臣 (本学附属養護学校教諭). 72.
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