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夜間・休日における救急患者電話対応についての実態調査

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Academic year: 2021

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30 日本視機能看護学会誌5号

夜間・休日における救急患者電話対応についての実態調査

 

森田文子 柴田俊子 奥住祥恵 光永知和子 嶋本圭

 大音清香 井上賢治

要 旨

目的:A 病院における夜間・休日の救急患者電話対応を振り返り現状と課題を明らかにする。 対象と方法: 調査期間:2017 年 1 月~ 12 月  対象:電話相談をした 166 件 方法:救急患者記載表に記載された相談内容を収集分析 結果:電話総数 517 件に対して救急患者記載表使用は 166 件。年齢別では 70 歳以上が 87 件 (52.4%)。時間帯では 17・18 時台が各 21 件ずつ (12.7%) と最も多く,17:00 ~ 23:00 では 85 件 (51.2%)。疾患は,緑内障が 61 件 (36.7%) で最多。相談内容は,目の不調について 122 件 (73.5%),点眼・内服について 29 件 (17.5%) の順。 考察:電話相談は,病棟看護師の多忙な夜間帯に多い。多忙な時間帯での救急患者電話対応では,入院患者への安全な 看護行為の提供は難しく,又,電話相談患者が安心できる対応も同様である。これらのことから,電話対応のマニュアルを 作成する必要があると考える。   キーワード:救急患者の電話対応,眼科患者,病棟看護師,実態調査 A 病院は,眼科専門病院であり,2017 年度の平均外来受 診者数は 1032 名 / 日,手術件数は 6551 件 / 年,入院患 者数は 8507 名 / 年である。 A 病院は,病床数 34 床,看護体制は,日勤・夜勤の 2 交代制であり,夜間・休日の電話での医療相談は,病棟看 護師が行っている。日曜祝日の日勤は 3 ~ 4 名,夜勤は 2 名で勤務しており,入院患者の看護や診察介助などの病棟 業務と並行して電話対応を行っている。 入院患者の多くは高齢であり,視機能障害に加えて,認 知機能の低下や ADL 介助が必要な患者も多く,看護に集中 したい場面でも,電話対応のため中断を余儀なくされる。 相談内容は多岐にわたり,対応に苦慮し,電話対応に 30 分以上時間を要する相談もあり,入院患者に安全な看護を 提供できているのか,病棟看護師の間でも電話対応に不安 の声が聞かれている。 電話相談の質を保ちながら,入院患者の看護への支障を 最小限とするには , 電話対応業務の効率化が必要であると考 えた。 眼科医療施設における電話相談の実態調査についての先 行研究は見当たらなかったため,A 病院における電話相談の 現状を把握し,今後の電話対応についての課題を明らかに することを目的とした。 1. 対象:救急患者記載表に記載された 166 件 救急患者記載表とは,病棟看護師が電話相談を受けた中 で,医師へ問い合わせや報告をする時,外来へ引き継ぐ時, 休日の病棟診察に合わせて受診する時などに,電話相談 内容を記載している用紙のことである。 2. 調査期間:2017 年 1 月~ 12 月 3. 電話相談概要 1) 平日夜間 (17:00 ~ 8:30),日曜祝日 (8:30 ~翌 8:30) の外来患者対応として,A 病院最終受診 1 年以内の患者 に限り,電話での医療相談を行っている。 2)A 病院の電話相談の流れ

はじめに

Ⅰ.対象と方法

受付日:2020 年 3 月 30 日 受理日:2020 年 10 月 26 日 医療法人社団済安堂 井上眼科病院

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31 日本視機能看護学会誌5号 夜間休日の電話は,はじめに守衛室で対応している。そ の中で,A 病院通院中の患者で,最終受診 1 年以内であ るかについて患者本人より聞き取りを行い,該当する患者 のみ病棟看護師へ連絡がくることになっている。 3)2017 年 1 月~ 12 月の夜間休日の守衛室での電話の総 数は 517 件であった。そこから該当する患者の電話相談を 看護師が引き継いだ全体の総数は記録がないため不明で あるが,救急患者記載表を記載した数は 166 件であった。 4. 調査方法:救急患者記載表に記載された相談記録の内容 をもとに収集 1) 性別・年齢別・月別・時間帯別・曜日別・疾患別 2) 相談内容 3) 医師への問い合わせ内容・医師の指示・緊急受診指示 2017 年 3 月に A 病院の倫理委員会の承認を得て実施。 研究の対象・内容・目的について院内にて情報を掲示公 開した。 1. 性別は女性が 115 件 (69.3%),男性が 51 件 (30.7%) であっ た。 年齢では,70 歳代が 56 件 (33.7% ) と最も多く,次いで 60 歳代が 31 件 (18.7%),80 歳代が 29 件の順であり, 平均年齢は,64.4 歳であった。(図 1) 2. 月別では,12 月が 20 件 (12.0%) と最も多く,次いで 5 月が 18 件 (10.8%) であった。2 月から 5 月の 4 ヶ月間は, ほぼ同数であった。 3. 時間帯で見ると,17 時・18 時台がそれぞれ 21 件 (12.7%) と最も多く,8 時台・9 時台・16 時台・19 時台・20 時台・ 21 時台は,10 件以上と多く,深夜は少ない傾向であった。 (図 2) 曜日では,土曜日が 38 件 (22.9%) と最も多く,次いで日

Ⅱ.倫理的配慮

Ⅲ.結果

曜日が 35 件 (21.1%) であった。 4. 疾患別では,緑内障が 61 件 (36.7%) と最も多く,次いで 白内障が 42 件 (25.3%),網膜硝子体疾患が 14 件(8.4%), 角膜疾患 11 件 (6.6%) であった。(図 3) 5. 相談内容は,眼の不調の訴え ( 眼痛・見え方の悪化・涙 襄鼻腔吻合術後鼻腔内ガーゼ抜去・シリコンチューブ抜 去・緑内障手術後チューブシャントトラブル等 ) が 122 件 (73.5%) で最も多く,次いで点眼・内服について ( 処方希望・ 点眼方法確認など ) が 30 件 (18.1%) であった。 疾患別で最多であった緑内障の相談内容の詳細な内訳は, 見え方の悪化 24 件 (39.3%) が最も多く、次いで眼痛 17 件 (27.9%) であった。 6. 医師への問い合わせ総数は 71 件 (42.8%) であり,その内 訳としては,眼痛・充血・視力低下などの眼症状について が 49 件 (69.0%) と最も多く,術後・処置後不具合が 10 件 (14.0%) であった。 その際,医師から出た指示の内訳では,緊急で受診指示 が出たのが 10 件 (14.1%),翌日以降の受診指示が出たの が 32 件 (45.1%),その他が 29 件(40.8%)であった。そ 図 1 年齢別 図 2 時間帯別 夜間・休日における救急患者電話対応についての実態調査 年齢別 10歳未満 10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代 90歳以上

図1 年齢別

5 2 2 8 12 19 31 56 28 3 0 10 20 30 40 50 60 人数 n=166 図 3 疾患別 人数 n 緊急で受診指示 翌日以降受診指示 その他 図 4 医師の指示 3 2 0 0 1 5 3 7 10 12 9 7 0 7 1 1 10 21 21 10 14 10 9 3 0 5 10 15 20 25 人数 n=166                        61 42 14 11 7 4 3 24 0 10 20 30 40 50 60 70 人数 n=166

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32 日本視機能看護学会誌5号 の他の指示内容としては,経過観察,点眼回数変更など であった。(図 4) 7. 緊急で受診するよう指示があった 10 件の内訳は,見え方 の悪化が 6 件 (60.0%),角膜移植後の眼打撲による創離 開が2件 (20.0%),全身症状の訴え( 嘔吐,全身のしびれ等 ) が 2 件 (20.0%) であった。(図 5) 年齢別でみると,70 歳代が最も多く,80 歳代・90 歳代 を含めると 87人 (52.4%) と半数を占めており,患者層が高 齢であるため,電話相談に至った理由は,情報処理能力が 不十分なことからの確認行動であることが考えられる。 時間帯でみると,17:00 ~ 23:00 の相談が 85 件 (51.2%) と半数を占めている。救急外来における電話相談の実態調 査において清水は,「電話相談が最も多い時間帯として 17: 00 ~ 23:00 が挙げられる。その要因として他医療機関の 診療時間が終了する時間帯であること,また夜になるにつれ て症状に対しての不安が増強するためであること等が考えら れる」1)と述べており,A 病院においても電話相談の多い時 間帯は 17:00 ~ 23:00 の相談が半数を占めていた事から, 夜間の不安の増強は眼科のみならず,医療機関全般におけ る課題であり避けることはできない。しかし,病棟看護師の 業務として,17:00 ~ 21:00 は,配膳,食事介助,配薬, 手術室への送迎,診察介助,検温,消灯など多忙な時間帯 であり,看護師の気持ちに余裕のない中での対応となるため, 電話対応業務の効率化が課題と考える。 月別では,12 月が最も多く,年末で休診の病院が多いこ とが考えられ、曜日別で多い日曜日も同様と考える。しかし, 今回の研究では,平日の日勤帯での電話相談の情報がない ため,曜日別や時間帯別での正確な比較は難しい。 疾患別でみると,緑内障の患者からの電話相談が最も多 い。緑内障は視神経が障害される疾患であり,視野欠損・ 視力低下に不安を抱くことがあり, 大丈夫であるかの確認の ためと考えられる。次いで,白内障が多いのは,患者数と手 術件数が多いことが考えられる。 相談内容の内訳としては,眼の不調についての問い合わせ が 122 件 (73.5%) と半数以上を占めている。その中で,医 師へ問い合わせを行った際に緊急で受診の指示があったの は 10 件 (6.0%) であることから,緊急で治療が必要なケース は少ない。患者は大丈夫だと思うけれど不安 , または , 大丈 夫であるかの確認で電話相談をしていることが考えられる。 翌日以降に診察が必要である患者を含めると 42 件 (25.3%) あるため,診察へつなげていく対応が必要であり, 緊急性に 関係なく,患者に寄り添い,患者が安心できるような対応を 行うことが重要であると考える。 A 病院の現状では,電話対応に対するマニュアルなどはな く,状況や相談内容にも応じて臨機応変に対応しているが, 各看護師の考え方や経験値によって,相談時間や対応に多 少の差が出ていることが考えられる。 救急外来における電話相談の実態調査において吉村は, 「電話により看護行為を中断することは安全に看護を提供す る上でも支障があると言える」2)と述べている。 A 病院においても,病棟患者への看護行為を中断して電 話相談対応を行っているため、本来の優先すべき業務であ る入院患者の看護への支障が最小限となるよう,電話対応 業務の効率化を図ることが必要である。 電話相談を受けた看護師が,共通認識で統一性があり, スムーズに回答ができるよう,電話対応マニュアルを作成し て,電話相談時間の短縮につなげることが今後の課題と考 える。 本論文は第 34 回日本視機能看護学会学術総会で発表した。 文献 1)清水よし子,西川順子:夜間の救急外来における電話相談の 実態調査,日本看護学会論文集第 39 回成人看護Ⅰ,223‐ 225,2008. 2)吉村礼子:救急外来における電話対応の現状,第 26 回東京医 科大学病院看護研究収録,54,2006. 夜間・休日における救急患者電話対応についての実態調査

Ⅳ.考察

緊急受診指示の内訳 見え方の悪化 角膜移植後の打撲による創離開 全身症状の訴え 図5 緊急受診指示の内訳 6 2 2 0 5 10 見え方の悪化 角膜移植後の打撲による創離開 全身症状の訴え n=10 人数 図 5 緊急受診指示の内訳

参照

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