第2学年○組 数学科学習指導案
指導者 〇〇 〇〇 1 単元 「図形の証明」 2 指導観 ユークリッドはその著『原論』において、23 個の定義、5個の公準、5個の公理を与えた。これら を基に図形の性質を解明し幾何学という学問が確立された。様々な図形の中に潜む性質や特徴を定義 や既知の内容を基に根拠を明らかにしながら筋道立てて考えていくことができる図形の学習は価値あ るものである。中学校の学習においても、平面図形や空間図形についての基礎的な概念や性質につい ての理解を深め、それらを活用して考えたり判断したりする。また、直観的にとらえられた図形やそ の性質を、類推的・帰納的に考えたり、演繹的に考え発展させたりしていく。この数学的な推論を理 解し、それを用いる学習は、他の領域でも行われるものであるが、数学的な推論の必要性と意味の理 解やその適応場面を考えると、具体的な図形を通して推論の過程を視覚的にとらえることができるこ となどから図形の領域は適している。また、数学的な推論を用いて考察することで養われる筋道立て て考える力は、中学校数学科に限らず、様々な分野での学習において重要な役割を果たすものである。 そこで本単元では、図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ、筋道立てて考え表現す る力を養うことがねらいである。これまで、生徒は中学校第1学年において、観察、操作や実験など の活動を通して、平面図形や空間図形について、直観的な見方や考え方を深める中で、理解を深め、 筋道立てて考え表現する能力の基礎を培っている。また、これまでに第2学年では、平行線や角の性 質などを理解し、それに基づいて、図形の性質を確かめ説明したり、多角形の角についての性質を見 いだしたりしていく中で、演繹的に推論する素地を学習し、合同の意味及び三角形の合同条件につい ても学習している。そこで本単元の学習内容は、仮定と結論の意味、証明の必要性と意味及びその方 法、具体的な場面での活用などがある。これらを観察、操作や実験などの活動を通して、数学的な推 論を基に、その過程やその結果を筋道立てて表現できるようにする。これらの学習は、第2学年での 三角形、四角形の性質や第3学年の図形の相似や円の性質、三平方の定理の理解を深める上でも大変 重要な内容である。また、第1学年において、それまでに学習してきた事柄を根拠にして筋道立てて 考えることは経験しているが、第2学年において演繹的な考え方を基に正確に表現することが本格的 に始まることからも本単元の学習は欠かすことができないものである。 本学級の生徒に図形の学習に関する実態調査を行った。「図形」の学習を生活の中で利用すると便利 であると感じる場面を挙げさせる問いでは、日常の場面と結びつけて考えることのできる生徒の割合 は◯%であった。日常の場面と結びつけて考えることができる生徒は「ものを作るとき」や「ケーキ を分けるとき」などと挙げている。しかし、「使う場面がない」や「計算の時しか使わない」と答えて いる生徒が◯%と多く、この原因として、身の回りに図形は存在しているものの、図形の性質や計算 で求める結果が数学の授業で扱われるものであるという意識が生徒の中にあり、生活場面と結びつい ていないためであると考えられる。次に、第 1 学年で学習した辺や角の大きさが等しいことや平行、 垂直の位置関係を記号を使って表す問題の正答率は◯%、図形の移動に関する問題は◯%と概ね満足 できる状況であった。また、基本作図の問題では正答率は◯%と概ね満足できる状況であったが、基 本作図を活用する問題では◯%と課題が見られた。原因として、図形の基本作図の理解が形式的なも のになっていて、それぞれの基本作図から見出される性質を捉えることができていないものであった。 このことは、基本作図の結果についての理解はできているものの、その結果に至るまでの過程を論理 的に考察することができていないためであると考えられる。最後に、次のような作図の跡から角度を 求め、その角度を求め方を説明する問題を解かせた。 右の図はコンパスを用いて作図したものである。コンパスのあとが 同じ種類の線は、コンパスの幅を変えずにかいたものである。 ∠POBの大きさを求めなさい。 また、そのように求めた理由を説明しなさい。 (説明のときにコンパスのあとの㋐~㋕の記号を使ってもかまいません。)ここでは、作図の跡から三角形を正三角形と判断し、その続きの作図が角の二等分線の作図である と判断することで角度を求めることができる問題であるが、作図を適確に見取ることに課題がある生 徒が多く、正答率は◯%であった。また、角度を求める説明においても、根拠を明確にして表現でき ている生徒の割合は◯%という結果であった。これは、正三角形になる根拠や正三角形の一つの角が 60°になる根拠が記述できていないものであった。これらの原因として、解き方等を説明する際に根 拠を明確にして説明をしなければならないという意識が低いためであると考えられる。また、誤答や 無解答の割合が◯%と高く、課題を把握する段階に課題があるものと考える。更に、既習の事項が言 葉や事象として知識のみの学習になってしまっており、その意味を理解し活用することができていな いためであるとも考えられる。そこで本単元では、図形における仮定を把握させるために、問題図を 生徒自ら図をかかせる。更に、既習の学習を振り返る活動を取り入れ、そこから直観的、帰納的な考 え方を使って図形の中の特徴を見いださせることで生徒自身に課題意識をもたせる。次に、見いだし た図形の特徴を結論として、その結論に至るまでの過程を、演繹的な考え方を使って説明させる。こ のことで、根拠を明らかにしながら筋道立てて考える力の定着を図る。更にある図形における提示さ れた結論を満たすことができる根拠を見いださせ仮定を考え、問題をつくるまでの過程を説明させる。 このことで、根拠の必要性を理解させることができ、筋道立てた考えを育成することにつながるもの と考える。 本単元の指導にあたっては、帰納的・類推的に見いだした図形のきまりや性質を根拠として、ある 結論に至るまでの過程を筋道立てて説明し、演繹的な考えを用いて証明できるようにする。更には、 ある図形に対する結論を基に、問題をつくるまでの過程を考える中で、根拠となるきまりや性質を見 いだし、それを基に説明することで筋道立てた考えを育成することをねらいとしている。 そこで、第一次では、仮定と結論と根拠の意味について理解させる。ここでは、いろいろな凧型四 角形を作図する活動を通し、図形の中の特徴を帰納的に見いださせ、その特徴が成り立つ理由を明ら かにさせる。ここでは、交流活動において「二つの三角形はなぜ合同といえるか」「二つの三角形が合 同ならばなぜ二つの角が等しくなるのか」という視点を提示することで、仮定から結論が導かれ、そ こには根拠が存在しなくてはならないことを確認する。第二次では、言葉や用語、記号を使うことに 慣れ、推論の過程を筋道立てて表現できるようにし、証明のしくみを習得させる。ここでは、まず、 命題における根拠となるきまりや性質をカードに表し、それを矛盾がおきないように、仮定から結論 までをつなぐ活動を行う。そのことで、証明のしくみに慣れさせる。また、証明に間違いがあるもの を読む活動を行う。そのことで、証明における根拠は、過不足のない状態にすることが大切であるこ とを確認し、証明を書くことができるようにする。第三次では、ある図形における仮定を把握し、そ の図形の中のきまりや性質を根拠にして結論を説明する活動を行わせる。ここでは、自ら作図した図 形の中から結論を見いだし、その結論に至るまでの過程を根拠を明らかにしながら表現させる。そし て、最後に、ある図形の結論を基に、その結論に至る問題をつくる活動を行わせる。ここでは、その 結論に至る根拠を考え表現していく中で、筋道立った考えをつくっていく。これらの活動を通して、 類推や帰納の考え方できまりや性質を見出し、演繹的な考え方でそれらを確かめさせる中で筋道立て て考える力を育てたい。 3 単元の目標 ・ 図形の性質や合同について関心をもち、数学的に説明しようとする。【数学への関心・意欲・態度】 ・ 図形のきまりや性質や仮定を基に、根拠を明らかにして、結論に至るまでの過程を筋道立てて説 明することができる。 【数学的な見方や考え方】 ・ 結論に至るまでに必要となる仮定や性質など根拠となる式や言葉を表すことができる。 【数学的な技能】 ・ 仮定、結論、根拠の意味を説明することができる。 【数量や図形などにおいての知識・理解】
4 単元計画(全6時間) 次 配 時 学習活動・内容 手立て 評価規準・評価方法 一 次 1 ○ 仮定と結論と根 拠の意味を理解す る。 ・仮定 ・結論 ・根拠 ○ 仮定と結論の意味を理解させるために、凧 型四角形の中の二つの角が等しいことの説 明文をつくらせる。 ○ 二つの角が等しいことを帰納的に見いだ させるために、凧型四角形を作図させ、観察 や実測をさせる。〔帰納的な考え方〕 ○ 仮定やきまりや性質を根拠にして結論が 導かれることを理解させるために、交流活動 で「二つの角が等しいことの説明として言葉 や式が不足していないか」という視点を提示 する。〔演繹的な考え方〕 ○ 図形の中の角が等しい理 由を、実験や操作を通して自 分なりに説明することがで きる。【関心・意欲・態度】(ワ ークシート) ○ 提示された命題の仮定と 結論を記述することができ る。【知識・理解】(ワークシ ート) 二 次 2 ○ 証 明の しく み に ついて考える。 ・証明のしくみ ○ 証明のしくみを理解させるために、仮定と 結論と根拠を順序立てて並び替える活動を 仕組む。 ○ 並び替える作業を進めやすくするために、 個人にカードを配り操作させる。 ○ 筋道立った証明をつくらせるために、交流 活動で「カードは矛盾なく、分かりやすく並 んでいるか」という視点を提示する。〔演繹 的な考え方〕 ○ 結論に至るまでに必要な 根拠となる辺や角の相等関 係を表す式を選ぶことがで きる。【数学的な技能】(ワー クシート) ○ 正しい証明を書くために、間違った証明を 読む活動を仕組む。 ○ 筋道立った証明をつくらせるために、交流 活動で「なぜ修正や付け加えをしたのか」と いう視点を提示する。〔演繹的な考え方〕 ○ 合同条件を満たす三つの 角や辺の相等関係と二つの 三角形が合同を表す式を記 述することができる。【数学 的な技能】(ワークシート) 三 次 1 ○ 仮 定か ら導 か れ る こ と が ら を 根 拠 に し て 三 角 形 の 合 同の証明を考える。 ○ 問題の結論を明確に捉えるために、条件に 合わせた図をかく活動を設定する。 ○ より筋道立った説明文にさせるために、交 流活動で、「仮定や性質を根拠にして筋道立 てて証明されているか」をという視点を提示 する。〔演繹的な考え方〕 ○ 証明において、合同条件を 成り立たせる辺や角の相等 関係の三つの式と合同条件 と合同の関係式を記述する ことができる。【数学的な見 方や考え方】(ワークシート) 1 ○ 図 形の 中に あ る 二 つ の 角 が 等 し く な る こ と が 結 論 と な る よ う な 仮 定 を 導 く ま で の 説 明 を 考える。(問題づく り) ○ 結論に至るための三角形の合同条件を設 定させるために、三角形の辺と角の 6 要素の うち3要素が等しくならなければならない ことを確認する。 ○ より筋道立った説明文にさせるために、交 流活動で「根拠を明らかにしながら筋道立て て証明されているか」という視点を提示す る。〔演繹的な考え方〕 ○ 結論に至るために必要な 二つの三角形の合同を表す 式とその合同を成り立たせ る三つの根拠となる式を記 述することができる。【数学 的な見方や考え方】(ワーク シート) 1 ○ 図 形の 中に あ る 2 直 線 が 平 行 に な る こ と が 結 論 と な る よ う な 仮 定 を 導 く ま で の 説 明 を 考 える。(問題づくり) ○ 結論に至るまでの見通しをもたせるため に、平行線になる条件を想起させる。 ○ より筋道立った説明文にさせるために、交 流活動で「その仮定で結論を導くことができ るか」「根拠を明らかにしながら筋道立てて 説明されているか」という視点を提示する。 〔演繹的な考え方〕 ○ 結論に至るために必要な 錯角が等しい式と二つの三 角形の合同を表す式とその 合同を成り立たせる三つの 式を記述することができる。 【数学的な見方や考え方】 (ワークシート)
<三次第3時>平成◯年◯月◯日(◯曜日)第◯校時 第2学年◯組教室において ○主眼・目標 図形の結論に至る過程において、平行線の性質を用いるために必要な根拠を見いだす活動を通 して、証明問題のつくり方を筋道立てて説明することができる。 ○準備 ワークシート、ヒントカード、交流の視点を書いた掲示物 ○学習の過程 学習活動・内容 学習形態 手立て 評価規準・評価方法 配時 導 入 展 開 終 末 1.本時の学習課題を確認し、本時のめあ てをつかむ。 (1)本時の学習課題をつかむ。 (2)課題解決の見通しをもち、本時のめあ てをつかむ。 2.証明問題をつくる過程を考える。 (1)証明問題のつくり方を説明文として書 く。 (2)小集団で説明文を交流する。 (3)学級全体で説明文を交流する。 (4)交流活動で獲得したことを基に、説明 文を付加・修正する。 3.練習問題を解く。 4.本時のまとめを行う。 学級 集団 個 / 学級 集団 個 小 集 団 学級 集団 個 個 学級 集団 ◯ 課題を把握させるために、前時 までに学習した証明のしくみを想 起させ、本時の結論を確認し、仮 定が設定されていないことを確認 する。 ◯ 解決方法の見通しをもたせるた めに、「AC∥DBとなるにはこの 図で何がいえるとよいですか?」 と発問し、錯角が等しくなればよ いことに気付かせる。 ◯ 説明文づくりが進まない生徒に は、「二つの三角形を合同にするた めには、どの辺や角が等しくなれ ばよいですか?」と書いたヒント カードを提示する。 ◯ 説明の根拠を明確にさせるため に、交流の視点を提示する。 ◯ 筋道立てた考えには、根拠が必 要であることに気付かせるため に、説明に過不足がある状態の生 徒に発表させ、例えば「なぜ、二 つの角が等しくなればよいのです か?」などと発問し、交流させる。 ◯ 自らの考えを振り返らせるため に、付加・修正した理由を記述さ せる。 ◯ 根拠を明確にした説明文をつく らせるために、交流活動で気付い たことを振り返らせる。 ◯ 単元を通して、根拠を明らかに して説明することを大切にしたこ とを確認し、次の単元につなぐ。 ・錯角が等し い式と二つの 三角形が合同 を表す式とそ の合同条件を 成り立たせる 三つの式を記 述することが できる。(ワー クシート) 5 5 10 10 5 5 8 2 めあて 三角形の合同条件を使った証明問題のつくり方を説明しよう <交流の視点> ・その仮定で、結論を導くことができるか? ・根拠を明らかにしながら筋道立てて説明されているか? (生徒の説明文の例) AC∥BDになるには・・・ ∠A=∠Bとなればよい。 なぜならば錯角が等しいとき二つの直線は平行になるからで す そのためには、△AOC≡△BODとなればよい。 なぜならば、合同な図形では、対応する角の大きさは等しいか らです。 そのためには、 AO=BO、CO=DOとなればよい。 なぜならば、対頂角は等しいから∠AOC=∠BODとなり 2つの三角形は2組の辺とその間の角がそれぞれ等しくなる からです。 だから、問題の仮定をAO=BO、CO=DOとするとよい。 場面 先生が下の図形で合同条件を使った証明問題をつく るところです。しかし、このようにまだ完成していません。 『右の図において A C ならば O AC∥DBである』 となることを証明しなさい。 D B ・∠A=∠Bになればよい。 ・∠C=∠Dになればよい。 ・二つの三角形が合同になればよい。 問題 証明問題のつくり方を説明しよう (練習問題) 右の図で、下のような合同条件を使った A D 証明問題をつくる。 『右の図において、 ならば B C AD∥BCとなることを証明しなさい』 この問題のつくり方を説明しよう