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同性愛者は「性的マイノリティ」か? : パックスから同性婚に至るまでのフランス社会における同性愛と同性親権をめぐる議論

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(1)同性愛者は「性的マイノリティ」か? パックスから同性婚に至るまでのフランス社会における 同性愛と同性親権をめぐる議論 長谷川秀樹. Est-ce que les homosexuels sont la « minorité sexuelle » ? :controverse sur l’homosexualité et l’homoparentalité à partir du PACS jusqu’au mariage aux couples homosexuels. Hideki Hasegawa. 横浜国立大学教育人間科学部紀要Ⅲ(社会科学)No.17 別冊. Reprinted from THE SOCIAL SCIENCES Journal of the College of Education and Human Sciences Yokohama National University No.17, FEBRUARY, 2015.

(2) 63. 同性愛者は「性的マイノリティ」か? パックスから同性婚に るまでのフランス社会における 同性愛と同性親権をめぐる議論 Est-ce que les homosexuels sont la « minorité sexuelle » ? :controverse sur l’homosexualité et l’homoparentalité à partir du PACS jusqu’au mariage aux couples homosexuels. Hideki Hasegawa. 長. 2013 年 5. 、フランス 会は同性カップルの婚姻を認める法 を. した。これにより. フランスは ーロッパで 9 番 に同性婚が合法化された となった。しかし、同性婚につ いては. 会議. のみなら. 、多くの知識人や学者がその. を. って論争を. か、フランスの一般市民も賛否に分かれ、その一 は過 なデモ行 に及ぶ. り. た. ースも見られ. た。 フランス同性婚については ンスの社会学ではそれ. 述するように、フェミニ. や. ど論じられてきたテーマではなく、. 社会学は別としてフラ には心理学や. に、 に法 学や 学が わる で論じられてきた。一方、 本ではフェミニ 分野が、フランスで 1999 年に成立した同性カップル 付与するパックス(. それは同性愛や同性婚からの ンス社会との関 て極めて. で社会. ない。. ものの(. PACS)について. 民事. や法 学. カップルとしての幾つかの権利を くから. の対象としてきた。しかし. 点ではない1。すなわち同性愛や同性婚というテーマをフラ. 学的に考察する事. は、パックスや同性婚の. の同性婚についても法学的観点からの. 2013 :22-48、. 学が中心. 説は. 的関心に比し. 本でも. に見られる. 2013 44-52)、なぜフランス社会が同性婚を受け入れるに. ったのか考察する事 は とんど見られない。 本. では以. のような論を. する。. 来同性愛や同性婚については否定的. が. い. と言われるフランス社会において、賛否 論が く対立する中、どのように同性婚が受け入 れられていったのかについて、ま 立から同性婚成立に 反. 成立した同性婚法について れたのち、パックス成. るまでのフランスでの同性愛および同性婚をめぐる諸事件と社会の. について言及し、そこで論争となっている同性親権について 述する。その 、フラン. スの社会学者やフェミニ 1 社会学的観点から同性愛も おく。. 論者がパックスや同性婚さらには同性親権についてのどのよ. めてパックスを論じた. 1. として. 子(2004 :1-31)の論文を. て.

(3) 長谷川 秀樹. 64. うな姿勢や立. を. しているのかを考察し、. 共和主義的平等の観点から 1. にフランス社会における同性愛の関係を. 論付ける。. 同性婚法とその 容 成立した同性婚法は. 式には「同性. 事者カップルに婚姻を. する法. (la loi. ouvrant le mariage aux couples de personnes de même sexe) 」と ばれる。すなわち の民法. の婚姻を. 来の. カップル限定から同性カップルにも. もので、異性婚とは別 あるいは 立の が. としての同性婚. する、という主. の. ではない。これはパックス. 、同性カップルに限定したことに対する 判や反 が相次 、 果として、異性 婚. カップルもパックスの対象に えた. があるためで、これはパックスを「同性カップルの. 権利」とみなすこと、 言すれば同性愛者という集 ティ(minorité sexuelle) 」の公認が、. とその権利、すなわち「性的マイノリ. 以降の「平等」思 の. である「共和主義」. するとみなされたためである(THERY,1997: 162-164,1999 :152)。フランスは平等. に な. 人からなる市民の共和. であるという. 権利を認めることは平等. があり、同性愛者のみを対象とした集合的. に反する、あるいは共同体主義であるという 判が. の図式が共和主義である。このため、 た婚姻に同性カップルも. えるという. 成立した同性婚法も、 来は夫婦に限定されてい をとっている。この法案を. した社会. 民に対して「あら るもののための婚姻(mariage pour tous) 」 と表現し ( 多くの市民、法案. い。こ が. 2013 :22) 、. のデモを行った人 もこの表現を多 しているが、本. では「同性婚. 法」として論 ることとする。 1. 同性婚の手 きについて 134. 同性婚法は、民法 いう. を 入することで. ではない2。2004 年 6. に「婚姻は、異性または同性の 2 人の間で された。民法 は. れかが. する市. 婚姻が成立するには、 式を婚姻 事者の. にて、市長もしくはその代行者(市会議 等)が主. 必要であるが、マメール市長は民法 を. 」しているわけ. に ロンド ベーグル市のノエル・マメール市長が同性婚 式を. 行した事件( 述)がある。フランスでは法 い. 前から同性婚を「. される」と. には同性婚の. はどこにも. することが. されていないこと. にしていた3。 婚姻は先述したように市. ばれるもので、フランス. の 式で成立する。これは「市民婚(mariage civil) 」と に. 勢. 取したことに 来する。これもまた あるが、. の法. がそれまで婚姻を. っていた. 会からその権限を. 性(ライ テ laïcité)という共和主義の. で. で同性婚も市民婚により成立することとなった。 式には事前の公. 2. これについては 本の民法も同じである。 婚・ 親婚は は な 定はない。 3 Le Nouvel Observateur 2004 年 6 7 、Libération. 2. に. しているものの、同性婚について. 2004 年 4. 13. 事。.

(4) 65. 63. (bans)が必要で(民法 者の 名、. 、. 、. ) 、婚姻 定者はい れか一方が. 、 式. に異議が出なければ 式が 式に必要な 類および. を. (publication)する。公. より「. の. に 事. 間(1. ). となる点も同 である4。 式の手 きについても. 事者は 分 (officier de l’état civil)5の前で として受け入れる. する市. 前と同じである。しかし 式の際、. は「 (femme) 」を、 婦は「夫(mari)」. 述を行うことになっていたが、同性婚法成立に. 者(époux)」として受け入れるという表現に められた(. う民法. 75. に. ) 。. パックスは 婚カップル(同性・異性)に婚姻夫婦が つ幾つかの権利を付与するものの、 それは 合(union)関係にとどまるものであった。よって (filiation)にはパックスは. の り方、つまり親子関係. きい影響は及ぼさなかった。しかし 般の同性婚法は同性婚. 姻カップルの親子関係にも言及しており、. の. に. 、 きな. をもたらしうるも. のである。 2. 同性婚カップルの養子. 親子関係は. 組について. 婚姻夫婦の 合、. 性婚カップルの. 、生 および出 による. 合はそうはいかない。. 関係で成立するが、同. に同性婚が合法化された諸. では、養子. 組. (adoption)により法 的に親子関係を くことが一般的である。 養子 組(adoption plénière)と. フランスには 2. 養子 組(adoption simple)の. 類がある。前者は養子 組により 親との親子関係が. 必要であり、社会 の親は 28. 夫婦として. 以 、 養子で受け入れる子よりも 15. ぶことも未婚者が 者の同. ぶことも. っている子は、この 人の 一方が婚前に養子. 以 年 でなければならないが、 である(. 婚者が. 人で養子. が必要)。. 件や手 き の義 は. ついては、民法 に たに. ーの. 人として. 養子 組とは、 親との親子関係を. るものである。年. ト. 子は. の承認を なければならない( 述) 。また、養子を え入れる. 組を ぶ 合は 一方、. で、. (état civil)を 1 から 成しなおすことになる。このため 判 の同 が. その際、 人 法. に消 する. 360 者の. したまま、. 3 者と親子関係を成立さ. 養子 組に同じである。. 「以前に一 人のみにより. あるいは. 養子 組に 養子とな. 養子となることができる」がもうけられ、 事者の. 組により親子関係を成立さ. ている. 合、同性婚によりその子はパー. 養子となることができ、カップル 方の「子」となりうることが. されてい. る。 一方、同性カップルが婚姻 に、. 養子 組として子を つことも認められた。民法. 4. ただし、同性婚法の成立により、 式が となる市 が 前の 事者のい れかが して 以 しているところに え、 事者の 親のい れかが 以 して している市 えられた(民法 74 ) 。 5 出生 (acte de naissance)などの 分 を う公 を す。 市長(maire)がその担 者であるが、 (adjoint)あるいは市会議 (conseiller)が代行することも多い。. 3. も.

(5) 長谷川 秀樹. 66. 345-1. は 前 「子が. 「. 者以. の親の親権が. ている 合、 親の が. 者に対してのみ法 に. している. がいないもしくは 親の. 定されていたが、これに「子が. かつ、. 立された親子関係を有する 合」 、 合」、「. 者以. の親が. し. 子に 関心である 合」の 3 点. が. 者のみによる. 養子 組の対象とされており、. 子がそれによってしか親子関係を 立しえない 合」という. 345-1. (. 10bis)が けられたことによる。 3. 調. ならびに付. 定について. 「婚姻および養子 組による親子関係は、婚姻 事者または 親が異性であるか同性であ るかに関わら. 、 中. 法 6-1. の文言が たに民法 に. で定める に. 果、権利ならびに義. を生じさ. るものとする」. えられたことにより、以 の諸点が同性婚により た. されることになった。 親権は同性婚そして養子. 成人あるいは未成年者 )6。社会 ップル・. 動および. 211-1. 社会. 法. の. により、同性婚カップル・. について。親の. なかった(文. により子が受け取る. L. 年 法. 88. )。また、これまで. 年 は、公. ) 。. 事者が養子 組により、. できるようになった( 事・. 間) 、ならびに定. められた(同法. 険の L. 法. 置も「 351-4. ) 。. L. 、L. 613-19. を L. 7328およ. 間の 10. の. の 付 (. 331-7. 法. 組にともなう. 性同性婚 事者にも認められるようになった。. とする. の 合、 親が. 年 しか受け取ることができ. 性のみしか対象でなかった養子. の 3)は 前どおりである(社会. きる. はパックスによるカ. が認められることとなった. のい れか 2 つの. と. 間(2 人以 の養子の 合は 22 理. 371-1. 2 つまで同 受 できるようになった。同性婚法成立以. 他に代 する 合、その代 手 が 9が. された(. ) 。. 前は養子については、養. び定. され、それは子の. するものであることが. 会(Association familiale)7 の. 同性であってもそれ れから. 10-1. かれた親子関係においても. まで「 親」に. も めて. (同法. 組により. による 合の 4 分 ) 。養子の養育を. のい れか一方」から「 親のい れか一方」 と 者が. 人で 争により. した. 合に受 で. 年 の受 権者については 前の「 婦(veuve) 」に「 夫(veuf) 」も えられ. 371-1 は「 親」ではなく「 」と表 されていた。 ての または特定の 類の のあら る 的および 的利 の を 的に、1901 年法の 手 きにより 立された 体(同法 211-1 ) 。 合(UDAF, Union départementale des associations familiales)と 合(UNAF, Union nationale des associations familiales)からなる。 ただし、 会は同性婚法の成立には反対 議している。 8 indemnité journalière de repos 者が出 ・育 に う を するもので、養子 組による養 子の 養育もこれに まれるが、 前は 性に限られていた。 9 indemnité journalière forfaitaire 親の ・出 の 担を するもの。 や出 のために 出 定 以前を めて 44 以 する 合に される。 付 間は 44 以 74 以 で、 養子 組による 合も ・出 の 合の 4 分の 3 の が 付されていたが、 性に限られていた。 6 7. 4.

(6) 67. L. た(同法. 713-6. ) 。共 きではなく. 者」についても、 前の「 性」から「 う. 者の. に. で. するいわ る「. 者」という表 に め、養子 組. 等の手 については、養 親に分. されることとなった(同法. にともな. L. 722-8-1. ) 。 性的. に. づく. の差別を. る. が. 法. 同性愛者であることを理 に、同性愛や同性婚を な. を受けることを性的 L. れた(同法 4. に. 1132-3-2. 生. に. る. づく差別とし、. に. の. 置された。. 者が. を 否したことで、不利. 者はそれを受けないことが. さ. ). (PMA)が認められないフランスの同性婚. フランスは. レベルで同性婚を承認した. としては、. ラン. (2001 年)、ベル. ー. (2003 年) 、ス イン(2005 年) 、 欧諸 (ノルウェー・スウェーデン 2009 年、アイス ランド 2010 年、デンマーク 2012 年)に次ぐ。世 、メキ. 、ブラ ルの一. レベルでは、2000 年以降カ. 、. 州の他、 アフリカやアル ン ン等で類似の法が成立して (Procréation médicale assistée, PMA)の で 表. いる。しかし養子 組や生 のように いがある。 表 :同性婚を法 で承認している欧州. PMA. での差異 名. 名. 成立年. ラン. 2001. アイスランド. 2010. ベル ー. 2003. ルトガル. 2010. ス. 2005. デンマーク. 2012. ノルウェー. 2009. フランス. 2013. スウェーデン. 2009. イ. 2014. (2013. 51)を. イン. )PMA の. 養子 組. の. 印は代理出. ない PMA を承認、. 成。2014 年 5. し長. 成立年. リス. 養子 組. PMA. ×. ×. ×. 点のもの。. (Gestation pour autrui, GPA)も同性婚カップルに承認、. 印は GPA ではない PMA を. 性同性婚カップルに限って承認を. 印は GPA では する。. ーロッパ諸 の同性婚と異なり PMA が認められない。これは. フランスの同性婚は他の. 述するように、フランスの世論はパックス以降同性婚に対しては寛容になりつつも、同性 婚カップルが子どもを の生. 理法により、PMA が. 的不 もしくは 2. つことについての. な. い反対が. となる 件が生. 的 理の. にあること、さらにフランス にある. カップルで、かつ 理. 避に限られているためである(. 2013 :52) 。. 同性婚成立までの. 次にフランスにおける同性婚成立までの. を 5. 年の社会. や諸事件をもとに、.

(7) 長谷川 秀樹. 68. 世論の 化について考察する。ここでは、パックスと 2002 年のフレッテ判. 、2004 年の. ベーグル市同性婚 式事件をとりあ る。 1. パックスとその. 点. 同性婚法の成立とフランス社会との関係を考察する で、パックスの影響は きい。しか し、同年代に欧州の他の. で成立した. スは異性カップル・同性カップル 「. ィル ニ ン. と きく異なるのは、パック. 方を対象にしている点である。パックスはフランスが. ーロッパの標準」に共和主義から反することなく づくための「. とができる。この. の. 」とも見るこ. は同性カップルのためのもの、というよりは「もう 1 つの婚姻」 、 「. な婚姻」として定 してしまった。翌 2000 年には. に幾つかの同性愛者. 体が、同. 性愛者に養子 組により子どもを つことができるように要 するデモが起きており10、同 性愛カップルからみてパックスは「. 」とまではいかないものの、 らの める権利には. 分 えていない、またパックスの成立は にホモフォビアを先 化さ る は. 述する同性愛者の養子. アを. 果(具体的に. 組に反対する運動)となったが、パックスだけではホモフォビ. するいかなるすべももたないという 判も見られるようになった。. パックスが成立した 1999 年こそ、その 率は年を う とに 同性の. 者の 4. が同性カップルであったが、その比. し、2010 年以降はわ かに数%に過 なくなっている。もちろん、. の件数自体は. であるから、パックスが同性カップルの要. に. く. じ. 2013 年に婚姻した同性カップルは 7,000. ていないとは言えない。しかし、同性婚法成立. から らかになっている(BELLAMY et BEAUMEL,2014 :3-4) 。. 件に していることが. 同性婚の成立はこの年の 5. であるため、 年 でパックス. を ぶ同性カップルの年. 間の件数を えている。このことから、同性カップルが めているものはパックスよりも婚 姻であることがうかがえる。 2. フレッテ判. (2002 年). フレッテ判 とは、パリ. の. (DDASS)11に が判 し、そのために養子 まる 組. 性を いた. を き起こす. 調. によりこの. が DDASS. 組の. の際に同性愛者であることを 的な. フィリップ・フレッテ が養子 組をパリの. した際、. である。 否の理 は、5. おり 養も いが、 に. 性. 3. の. 性が同性愛者であること. により 否された(1993 年)ことに の. によると、フレッテ が養子. した件と、 「フレッテ は人 としては. れて. が らかに長 間に及んでおり、子どもの生. が 定される。. Le Parisien. 者が. の同性愛者であるとい. 2000 年 6 24 事。 Direction départementale de l’action sanitaire et sociale 、 生・ 年・ス ー ・市民 動 の 方出先 関。ただし、2010 年の行 により されている。 本 名 は 生 世 の 生 2009 156 ー による。. 10 11. 6.

(8) 69. う特異性から子どもを とするフレッテ. とは断言できない」点であった12。この 置を不. ることが. は行. を起こすも、1996 年フランスの行. イ ・デ は、DDASS の. 否は. 2002 年の欧州人権 判 の. であるとしてフレッテ. では、フランス. 別、つまり同性愛者に対する差別に 8. と. 14. の. するかどうかが判事で の 否. 定15)というものであった(. この判 に対してフランス同性愛. を けた13。しかし. の. のこの 置が性的. た(4 対 3)14。しかし判 自体は、 ン イ ・デ ない(. 判 にあたる ン を理 とする差. 見が分かれる. 果となっ. は欧州人権. には反し. 会 2010 170)16。. 際 判. 者会(Association des parents gay et lesbiens)のマ. ルティーヌ・グロス 会長は「差別的 行を 長しか. 、. している」と メントした. か、1998 年に代議士らに同性愛者に養子 組の承認を与えることについての賛否を め る. を ったところ、その. ったことも述べ、法. の とんどは、 ン イ ・デ の判 は. 認められているパックス. 認められなくなるのではないかという危 際に、この事件と判. を. 者の同性カップルにさえ養子. 組が. をあらわにした17。. り、2000 年にパックスに反対した. (RPR)ルノー・ミュ リエ議 らが同性カップルにいかなる の 定を める 名 動を. なものであ. し、欧州人権 判 の判. の野. 共和. の養子 組をも. 点では 10. 合 る法. を える 名が集. まっていた18。 しかし、欧州人権 判 は 2008 年 1 ュラ に. 同性愛者の はフレッテ. 性. と同. の理. に同 の係争に対して異なる判 を している。 (45. で承認を. )の養子 組. 否したのであるが、欧州人権. 「フランス法は 人での養子 組を認めている」一方で、 「性的. の理 から養子. 差別につながっていると断. 組の権利を. に対して、フランスの. の. による. 判. は、. 否は らかに. している」として、フランスの 置は同性愛者. している19。. 分は Libération 2002 年 2 27 事から。 Conseil d'Etat, 1 / 4 SSR, du 9 octobre 1996, 168342. 14 CEDH, Arrêt du 26 février 2002, Fretté contre France Requête No. 36515-97 15 8 は「 生 および 生 の についての権利」で 1 に「すべての者は、その 的及び 生 、 及び の権利を有する」 、 2 に「この権利の行 については、法 の づき、かつ の 、公共の しくは の 的 利のため、また、 しくは のため、 し くは の のため、 は他の者の権 利及び自 の のため民主的社会において必要なもの以 の いかなる公の 関による もあってはならない」 、とある。 14 は「差別の 」で、「この に 定める権利及び自 の 受は、性、人 、 の 、言 、 、 的 見その他の 見、 民 しく は社会的出 、 数民 の 、 、出生 しくはたの 位等によるいかなる差別もなしに、 さ れる」と 定されている。和 文はミ 学人権図 ウェブサイト (http://www1.umn.edu/humanrts/japanese/Jz17euroco.html)のものを 。 16 際 判 会(2010 170)によると、 ン イ ・デ は「欧州人権 判 での を受けて、 される動 の を んでその の判 では を した」とされるが、それが される文 は ン イ ・デ にもフランスの法 や判 、判 集をすべて できる Legifrance のウェブサイトにも見 つけることはできなかった。 17 Libération 2002 年 2 27 事。 18 同。Le Parisien 2000 年 6 24 事、L’Express 2000 年 6 1 事も 。 19 Le Figaro 2008 年 1 23 事。 12 13. 7.

(9) 長谷川 秀樹. 70. 3. ベーグル市での同性婚. をめぐる論争のきっかけとなる事件が起きる。2004 年 6. さらに同性婚そのものの 4. 式事件(2004 年). 、ベーグル市で 性同性カップルの 式が行われた。この 式にはフランス中のマスメ. ディアが. し. ける事. とから、同性婚の. となり、この. は極めて. をめぐるフランスでの論争を. で. じられたこ. 起することとなった。. を びたのは 事者である 性 2 人のみなら. 、 らの 式を主 したベーグル市. のマメール市長であった。市長が らの 婚を 式することを同年 1. の「 の 」. した 5. 認め、また公 を が数. 動的にフランス. も. 以降、 式が行われるまでに市長及び市. された か、市長の 定に反対し、市長に. も市長の. 定に. く反対し、有. 議. 選で公 に同性婚法の成立を. たフラン. に対する. を要 する市会議 もいた。. の中にはマメール市長に. すことを めるものもいた。2012 年に同性婚法案を. に. らかの. 出した社会 など. ・ ランド. 1. を や の. (. )も. は市. 長の言動を 判していた20。 マメール市長はこの 式を行った理 を「不寛容と差別に するため」であるとし、「市 民的不. から行ったのではない」 、 「民法に反していることをしたとは思っていない」と述. べ、民法 同性が婚姻できないとは 定されていないことを 一方、この 式の前. にした21。. 、同性婚の承認と法 化を めるデモも んになる。社会学者ディ. ディエ・エリ ンらが主 したデモにはアラン・トゥレーヌや 学者. ック・デリ 、. ェーン・ ーキンら 1,500 名の著名人が わった22。 同性婚を. 行する自. 市長を 1 の に. の 判. 体が他にも 分の. 23により. じている. ルの婚姻は. がる. が見られたことから、. を した か、. の婚姻自体が 式 1. はマメール 、 ルドー. と判 された24。判 理 として かに民法 は同性婚姻を 75. はないが、民法 とした25。前者は. 5. と欧州人権. 12. の 述から同性カップ. に「 分 は、 婚姻 事者から いに夫および. とすることを する の 述を受ける 付点は 者による 」とあり、 者は「婚姻するこ とができる年. の. する権利を有する 同. は、権利の行 」26. を. する. とある。市長により 式を. 20. 法に. って婚姻をしかつ. かった の同性カップルが. を. 成 した. 同性婚には前 きであったが、法的に承認されていない中でマメール市長が 式手 きを ったことを 2004 年 5 20 事) する有 議 もいた(Libération 21 Libération 2004 年 4 13 事。 22 Libération 2004 年 4 1 事。 23 trubunal de grande instance。 「 判 」の表 および組 、 、 については中 義 論文 (2011 38-41)に った。 24 No.RG6427/2004 Jugement du 27 juillet 2004 première chambre civile, tribunal de grande instance de Bordeaux. 25 Le Monde 2007 年 3 13 事、 Libération 2007 年 3 13 事。 26 文はミ 学人権図 ウェブサイト(http://www1.umn.edu/humanrts/japanese/Jz17euroco.html) のものを 。. 8.

(10) 71. ことにより、. が 定したのは 2007 年 3. 的に. ベーグル市の同性婚自体は の 間、この 式が. 13. であった27。. になったものの、この事件および. が. 定となるまで. 的にメディアで じられたこともあり、同性婚 の世論. い影響を与えることになった。 び同性婚カップルの養子. のグラフはフランスの. 世論調. 組についての賛同についての動. 関による同性婚およ. をあらわしたものであるが、. 同性婚についてはパックス法 議 点(1998 年 )と 2004 年 5. 前に著しく. いることが分かる。養子 組についても 2004 年 5. している。. 点でかなり. して. 1 年 11 ン 議. 4年6 ル の挙. 1999 年 1. に き. 1 年 ン 1 年1. プル と. Atlantico un vent nouveau sur l’Info ウェブサイトより(http://www.atlantico.fr/decryptage/. 出. 63-francais-favorables-au-mariage-homosexuel-49-adoption-legere-remontee-opinion-sujet-jeromefourquet-618315.html) 。. 者による和. 。. このような世論も反 してか、2007 年の同性婚 など. 勢. 2012 年 番. の有. 議. まで同性婚法の成立に賛同する見. 選 で ランド. 般の同性婚法成立はこの公 の. する」28と. によるものであるが、それに. 、ベーグル市での事件などを. 化があったことを. が出されるようになり、. は「60 の公 (60 engagements) 」を. に「同性カップルに婚姻と養子 組の権利を. 立やフレッテ判. 判 以降、 の だけでなく社会 、その. 31. した。 るまでにはパックスの成. じたフランス社会の同性婚に対する. 識. したい。. 式1 の 2004 年 7 24 に ルドー 判 が を 。2005 年 4 19 にこのカッ プルが に していた。 28 公 は現 もフランス社会 公式ウェブサイトにて できる(http://www.partisocialiste.fr/articles/)。 27. 9.

(11) 長谷川 秀樹. 72. 3. 同性婚・同性愛とフランス社会学. 同性婚法成立を もとより. ってフランス社会は賛成. もの. 案が. された. と反対. か、法案説. や中 も しかった。さらに一般市民の多くが賛成 り合いや 動にまで. 分された。. 会. での論. 者に対する対立会. 議. からの野次. と反対 に分かれ、 者は. は. で. であった。法案賛成 は mariage pour tous をスローガ. する. ンに LGBT の権利. に. て. を り く一方、反対. は「みんなのためのデモ(manif pour tous)」をスローガンに. 、あるいは 、 、. に手を. を. いだ. する. の や 断 を. のカップルと子どもを. いた. を. て行. するなど、関心は極めて. かったと言える。 一方で、フランスの社会学は同性婚・同性愛についてどのように論じているのだろうか? ここではフェミニ. や. 社会学、. ェン. ー. 者の主張とそれ以. の社会学につい. ての論考をとりあ る。 1. ラックとア. 「ゲットー」から「カップル」. の. フランスで同性愛について社会学29として めて論じたのは 1982 年、ミカエル・ ラッ ク30である。 「ゲットーの中の. 」という論. にあるように、主に. 性の同性愛者に対す. る調 を じて、特に い同性愛者たちはゲットー、すなわち共同体主義的 のとして かれている。ゲットー化する理 、 いこと、親 の理 と受容が にくいこと、 がおら. 多数の不. 定な パ ー ト. instable)をもっていることなど. として、異性愛者との を. していることや 定的なパート ー. ている(POLLAK,1982 :37-55)。. されているさなかに れる。フィリップ・ア. 、すなわちパックスが 会で 議. が 3311 人の同性愛者を対象に行った調. づく 1999 年の論文である(ADAM,1999 :56-67)。ゲットー化はもはや. に限られ、 多数は 定的な一人のパート ーがいるかそれを ル. ) 、. が極めて な. ー と の 性 関係 ( homosexualité de multipartnariat. しかし、同性愛者 共同体主義の図式は 1990 年代 に. を有するも. は 定的なパート ーの. の 数. していること( カップ. と反比 であること、さらに異性愛者の. 人や知人も多数おり、自らが同性愛者であることを. や 人、同 たちの多くが理 し受. フランス社会学 論(Revue française de Sociologie) 社会学年 (l’Année sociologique) 、 社会学(Sociologie du Travail) などのフランスを代表する社会学 に同性愛や同性婚をテーマとする論 文は 1 つも されておら 、フランス社会学がこの に い関心を っていたとは言えない。同性婚 はフランスにおいては ら法学やフェミニ の中で論じられ、同性愛についても は 理的な現象と して 学もしくは心理学 で われることが多かった。homosexualité をテーマとするフランスにおける 学 論文の 出は 1958 年で 性同性愛をホルモンの として っている 学論文である。その 同性 愛に関わるフランス 論文が多数見られるが、2000 年までその とんどが 学・心理学・ 理学・ 学分野である(フランス の論文サイト REFDOC にて ) 30 ウィーン生まれの社会学者。 ーストリアのリン 学から 1971 年にフランスに り CNRS となる。1992 年エイ で する。 29. 10.

(12) 73. 容していることを. らかにした. で、. ラックの同性愛. もので、同性愛者は「共同体」よりも「 法が 会で議論される中で. フェミニ. していると 論した31。. 」を. パックス. を に 判するものであろう。. と同性婚. 脱 婚論(démariage)や. (famille recomposée). 成. る. ェン ー社会学の論 イレーヌ・テリーは、 人的. を. し. んだとしてフランスをはじめとする. 婚論にあるように. 代. カップルを. を めたことで知られ. 観の中に性差あるカップル. 欧社会の. 年のフランスにおける離婚の. などの現象から. や. を. すると同. とり親世. とする 代. 、. に、脱. 婚カップルの. していることを 90 年代. が. らかにした(THERY,1993,1995 :13-34,2001) 。テリーはパックスを成立さ た. に. スパン社会 一方で、. の. らをゲットー したり、パックスを同性愛者の「集合的権利」、. すなわち反共和主義的なものととらえたりする 2. 共同体主義という図式は過. 権からの要. で. を. 出し、. 法の. な. が必要と. の えた. したパックス法案の 案32には否定的であった。それは、 案. 権が. が「同性カップル」の権利を法 に 文化しようとしていたためである(THERY,1999 :147153,. 2005 69-72) 。. テリーはパックス法成立. 、「婚姻の要はカップルではなく. 親の. 定(présomption. de paternité) 」であることを理 に同性婚に反対していた33。しかし 2005 年に の がり のある親子関係と養子 組等による法 における「 親の 定」の (. ニ ン)の 1. に過. 養子により親子関係を. は. の親子関係との 別が. し、また 婚がもはや. された34ことで、婚姻. の ではなく、2 人の 合. なくなったと考えたことから 見を え35、同性カップルにも. くことができる. る 。 さ ら に PMA や 代 理 出. 般の同性婚法には賛成の立. を. らかにしてい. も同性婚カップルに認めるべきだと. 言している. (THERY,2013 :13-32)。 学者、. 、. 表. 選. 名. わ. る「パリテ」に共和主義的平等に反するという理. の. としても知られる一方、フェミニストでありながら、 性の比 代 別立. には賛同したエリ ベット・. 者数を. 者数と同数にすることを. に義. 付けたい. から く反対する一方で、公. ンテールも、テリー同 に同性婚に賛成している。同性婚. 法案の 議中であった 2012 年 12 会に. 性. にフランス 会( 民議会)の法. 会における公. された際、以 のように 言し、同性婚にも MPA・GPA にも賛同の立 を ら. フランスでは、 性同性愛者の 40%、 性同性愛者の 44%が特定のパート ーとカップルである していた。世論調 関 BSP による き取り調 (Têtu 1997 年 1 ,pp.29-30) 32 式には「 ィル ニ ン 」Contrat d’union civile、CUC と ばれたもの。 33 Journal du dimanche 2012 年 11 3 のイン ビュー 事 Le mariagen’est plus le socle de la famille より。 34 2005 年 議で された「親子関係の に関する 2005 年 7 4 の ルド ンス 2005-759 」を す。 35 Journal du dimanche , 2012 年 11 3 のイン ビュー 事より。 31. と. 11.

(13) 長谷川 秀樹. 74. かにしている。 が言いたいのは、子どもが必要とすることに いう. ではないし、. ことだ。 性本 するために い。. 性は多. 一方、. 性ホルモンを. は. にす. えられる. 与し、子どもが. 、 性というのは. られているという考え方があるが、. き親というのは、それが. きだからと言って子どもが. なる動. の. はそういう自. ではない。 中 主義的. と. かる. だからと. でないという. 性は. んだ子を愛. 見を受け入れることはできな. であるということを受け入れなければならない36。. ンテールとは. にパリテには賛成、公. には反対の立 をとる 学者 ル. ィアンヌ・アガサンスキは(AGACINSKI,2005)、同性婚には や親権はローマ. 代から. 人としての ク. と. く. の法的. 性によるもので同性婚の容認はこれを. リティに 元してしまうものであること、 「. 者と異性愛者という権利主体の. 否定的であった。婚姻 」にす. ない同性愛 37。. を前 としていることを理 に. ている. しかしその 、消極的ながらも同性婚にのみ 定的になる。同性婚が「同性愛の公認」に 「この しい婚姻は、特に となる」38からである。. がると同 に「ホモフォビアの. 的に夫のものとして認められてきた「 親の 定」では、以前の婚姻とは同じではない。 らかなのは、同性カップルが 式した 合、この 定は にも付与されない」39。だが、同 性カップルが子どもを つことは「婚姻と親子関係のプロ スは 別しなければならない」 40と反対している。このことから、養子. 組を容認した. の同性婚法には反対の姿勢を. にしている41。アガサンスキは同性愛者の利 関係と ェン ー的平等の利 ではなく、一 のフェミニ ン. が同性婚を. ーはマイノリティではない。. のであって、. ェン. ー的平等の. ェン. していることについても ーの観点とホモ. ク. 関係は同じ. 的である。 ェ. リティの観点は. うも. 現と同性カップルの権利とは次元が異なるとしている. (AGACINSKI, 2001[1998] :133) 。 同性婚に対するフランスのフェミニ よう。. ェン. の立 は、 述のとおり きく 2 つに分けられ. ーの平等という観点から PMA まで. と、ホモフォビアという「差別」の. めて. てを容認するべきという立. から同性婚に賛同しつつも、親子関係まで認めてし. まうと、子どもの間に たな不平等を きか ないことや、親子関係と「性的 の. 」とは別. であるという理 からこれを認めない立 である。. フランス 民議会ビデ アーカイ (法 会 2012 年 12 13 )より(http://videos.assembleenationale.fr/video.3757.ouverture-du-mariage-aux-couples-de-meme-sexe-auditions-du-rapporteur--lapproche-des-ethnologues-13-decembre-2012) 37 Le Monde 2007 年 6 21 。 38 BFM TV news 2013 年 1 28 。 ウェブサイト http://www.bfmtv.com/societe/mariagehomo-passe-darmes-entre-jack-lang-sylviane-agacinski-435038.html 39 Elle(フランス )2013 年 10 28 のイン ビュー。 40 Le Monde 2013 年 2 4 。 41 Le Nouvel Observateur 2013 年 1 26 。 36. 12.

(14) 75. 3. アラン・トゥレーヌと. フェミニ. や. エール・ブルデュー. 社会学以. のフランス社会学では、. リティについての言及は、 述のア. 以. の同性婚あるいはホモ. ク. とんど見られない。現代フランスを代表. する 2 人の社会学者の言説をとりあ てみる。アラン・トゥレーヌは 2004 年のベーグル事 件. 前に、同性婚と同性カップルに対する差別. を. める. 名に先述のエリ. 、 ーキンら知識人や著名人とともに賛同しているものの42、 の同性婚法成立. の. 生. であることからこの法の. ない。しかし、2009 年 3 ックでは、. と. では に. し、. ランスの. 人. の は対. であるマリ ルが 般. については. にストラスブールで行われた 人. 者による生. の や. しきれておら. とんど. 言してい. の将来をめぐる 際 ロ. 果生まれた子どもからなるという ・多 婚を. ンやデリ. 観はフランス. 的に容認する 民 の. 、社会的権利のみなら. などにフ. 文化的権利の観点も. め. た承認が必要だと主張している(TOURAINE,2009)。トゥレーヌにおいては同性愛者がそれ としての集合的アイデンティティを. している. であり、同性愛者のアイデンティテ. ィとは文化的アイデンティティであり、その主張は他者の承認と諸権利の平等の でも不. であると説いている(TOURAINE,1997 :52,180) 。. エール・ブルデューは 2002 年に. していることから. 、. れていないが、パックスが議論されている 1998 年には著. は. 愛者の運動とその の特殊. 性. に する異議 し立て運動」と位置付け、その特殊. た」同性愛者を「. の中で、同性. 化する」. とは、同性愛者であるこ. であるとブルデューは言う. (BOURDIEU,1998 :129-130) 。同性愛者であることを 親者に を「不. の同性婚法について. について論考している。ま 、ゲイやレ ビアン運動を「象徴的. とを「否認」あるいは「不 前の. 現の. し、ゲットー化する以. 化」と表現しているのであろう。LGBT の運動は「不. 化されてい. 化さ る」運動であり、 たなカテゴリー、すなわち homosexuels の. 出を う象徴的運動ということになるが、 これらは「ドクサ」による. なのは、性にまつわる 来の分類や 別、. 性により「自 なもの」として受け入れられているものを. さなければならないこと、. 際にはそれを. さ. 、特にフェミニ. が. 判する「. 性的/. 性的なもの」の 分をそのままゲイ・プライドのような運動体が受け入れてしまっている ことだとブルデューは. する(BOURDIEU,1998 :131-132)43。そして. 化の が、パックスのような同性愛者を対象とした公的 共同体主義的 断」と. なのは、その. を「普遍主義的. からの. するに っている44、とブルデューは える。この図式を「普遍. Libération. 2004 年 4 1 事。 同性カップルにも 来の異性カップルに見られた「性的分 」をそのまま き受け、同性カップルの一 方が 来の「 らしさ」 、他方が「 らしさ」を しているさまをブルデューは している。 44 1998 年 点ではパックスの名 はまだなく、CUC(Contrat d’union civile) 、CUS(Contrat d’union sociale)と されていた。CUC は 1991 年から法案として出されていた同性カップルを限定としていた であった。 42 43. 13.

(15) 長谷川 秀樹. 76. 主義的偽善」とブルデューは表現し、それからの脱却が必要と述べる (BOURDIEU,1998 :132-133)。ではどうすればよいのか?ブルデューは LGBT 運動を「烙 印化」の犠牲を受けながらもその担い手の「文化資本」は比較的多く、象徴的闘争において は有利にある運動と考察する。しかし、これは運動自体の「ゲットー化」や分裂の危険性を も有し、そこに陥らないためには運動の特殊性を普遍的なもののために生かす一方、象徴的 行動に及ぶ際には前衛的なものから距離を置くことが必要だと説いている (BOURDIEU,1998 :133-134)。 トゥレーヌおよびブルデューの論点をまとめるならば、同性婚や同性親性についてより も同性愛者というカテゴリーや LGBT 運動に対するものに限定されている。しかしそこか ら同性婚についての姿勢を考察するならば、トゥレーヌは同性愛者を文化的マイノリティ ととらえ、それのゲットー化(共同体化)を避けるためにはマイノリティとしての承認と権 利の付与が必要であって、そこから異性夫婦と同等の婚姻および親性を認めるべきという 姿勢を読み取ることができる。一方、ブルデューの同性婚に対する姿勢は極めて判断しにく く、かつ具体的な言動もない。ただ、ブルデューの同性愛についての論理の幾つかにはアガ サンスキとの類似点が見られる。 結論 同性愛および同性愛者に対して元来寛容ではなかったと言われるフランス社会がなぜ同 性婚を受け入れるまでになったのか。同性婚法の成立過程およびパックス以降のフランス で起きた同性愛をめぐる幾つかの事件とそれに対する世論や社会学者、フェミニストの主 」とは 張から導き出されたのは、同性愛者たちを「性的マイノリティ(minorité sexuelle) 位置づけない、同性愛者の集合的権利を否認することにより、つまり他と同じ「市民」とし てみなす共和主義的平等観が、パックス以降の諸事件、さらに社会学者やフェミニストの論 調により一般社会にも浸透したことによる。もちろん、欧州の中核に座したく、それには欧 州社会の標準を率先して受け入れなければならないというフランス社会の野心(あるいは 焦り) 、著名人の相次ぐ「カミングアウト」45、同性婚に反対することはホモフォビアであ り、差別主義であるという図式が台頭していることも勘案すべきであろう。 フランス社会はこのように積極的あるいは消極的に同性婚受け入れつつあり、その成果 が同性婚法の成立と言えるが、同性婚姻カップルに親子関係を認めること、すなわち同性親 権、特に PMA ついては、同性カップルから生まれた子の養育に及ぼす影響や将来起こりう る不平等・差別が未知数なだけに、世論はもとより知識人の間でも賛否が分かれ、同性親権 をめぐるより深い考察が必要に思われる。. 1998 年、代議士であったベルトラン・ドラノエ(2001~2014 年パリ市長)が TV 番組で公言。翌年 プロテニス選手のアメリ・モレスモも公言。. 45. 14.

(16) 77. ADAM, Philippe, 1999, « Bonheur dans le ghetto ou domestique ? Enquête sur l’évolution des expériences homosexuelles », Actes de la recherche en sciences sociales, Vol.128, pp.56-67. AGACINSKI, Sylviane, 2001[1998], Politique des sexes, Seuil. , 2005, Métaphysique des sexes, Masculin/Féminin aux sources. du christianisme, Seuil. BELLAMY, Vanessa et BEAUMEL Catherine, 2014 « Bilan démographique 2013, Trois mariages pour deux PACS », INSEE Première No.1482. BOURDIEU, Pierre, 1998, La domination masculine, Seuil. COLIN, Thibaud, 2012, Les lendemains du mariage gay, Vers la fin du mariage ?Quelle. place pour les enfants ? Salvator. DE GUILLEBON, Jacques, 2013, L’impasse : Du mariage laïc au mariage gay, L’œuvre. 有. 2013「フランスの同性婚法. の. 2013「フランスも同性婚を承認. の立法 258、pp.22-48。. 容 」. 2013 年 5. 17. 法」. の法. 1934、. pp.44-52。 会 2010「 際 判 と. 際 判. 法 論集 53(4)pp.153-. 判 (3・ )」. 205。 2005 中. 義. のメ フ ー. 2011「フランスの. 判. ェン ー・ 子化・社会 ( )」 立. 法学. 学出. 。. 11-1, pp.4-61。. POLLAK, Michaël, 1982, « L’homosexualité masculine ou le bonheur dans le ghetto ? » Communication, No.35, pp.37-55. 子 2004「フランスの Pacs 法成立と象徴闘争としての親 関係の 容」 学. 義. 112、pp.1-31。. THERY, Irène (dir.), 2013, Mariage de même sexe et filiation, Editions de l’EHESS. , 2001, Recomposer une famille, des rôles et des sentiments, Seuil. THERY, Irène,1999, « Pacs, sexualité et différence des sexes », Esprit, pp.147-153. , 1997, « Le contrat d’union sociale en question », Esprit, pp159-187. , 1995, « Les constellation familiales recomposées et le rapport au temps, une question de culture et de société », Marie-Thérèse Meulders-Klein et al.,(dir.) Quel. repères pour les familles recomposées, L.G.D.J., pp.13-34. , 1993, Le démariage, Justice et vie privée. TOURAINE, Alain, 1996, Pourrons-nous vivre ensemble ? Fayard. , 2009, « Etat civil, identité et identification », Etat civil au XXIème. siècle, déclin ou renaissance ? , Colloque organisé par la Commission internationale de l’Etat-civil à Strasbourg les 13 et 14 mars. 15.

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参照

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