通電が摩粍に及ぼす影響について(第二報)
(昭和39年9月10日受理)矢崎光臣
The Jnfluence of Electric Currents
on wear in Metals (2st Report)
MitsuomiYazaki
Synopais Thi, i, th。,ep。,t whi,h・x・mi・・d・g・in n・t・nly w・t ca・e but・1・・und・・elect「ic 、urren,,, f。,・h。 pu・p・・e,・h・・i・h・w t・a・hi・v・・h・minimun・f wea・af…th・fi「st°ne・ T。,t piece、・r sampl・・a・e f・u・Kind・th・・am・b・・n・e a・th・t u・ed f・・1・・t examlnat’°n・ 、。PP,,,・・umini・m,・nd・a・b・n・teel(・50・)・Th・・e…tpiece°「sample wea「c°ntact°n 、a,b。n、teel di,e with,・nt・・t p・essu・・f O.53 kg/mm2∼0・57 kg/mm2 ca・b・n・・eel w・・alw・ys ,um t。 th。,am。 di,ecti・n, b・ing l・t・lip・n th・w・a・i・g・u・face・f b・・nze…pP…a・um− ini。m。nd,a,b。n,teel(、50・). Bu・1・x・mi・・d・b・u・ea・h…tpi・・e・r sampl・in w…nd w。t ca、e und。, el。、t,ic current・, f・und th・i・flu・nce elect・ic current…tth・・am・time in no electric currents of wearing sarface under electric currents, the influence on wearing ,peed,。、peci・lly・b・u…pP・・in・…piece・・h・i・flu・nce・n wea・ing・peed in c「easing electric pressur and currents・1.まえがき
前報1)において、摩耗試験機を試作し、試験機の主 軸先端に炭素鋼円板(円板の両面を旋削加工、焼入後 両面を研削、研削仕上精度1μ)を取付け・この円板 に一般諸機械に軸受メタノレとして数多く使用されてい る青銅を試料としてi接触圧力0.53 kg/〃〃〃2で接触さ せ、炭素円板を常に同一方向に回転させて、試料であ る青銅の摩耗面をすべらすようにした。なお機械の摩 擦部分は油入り、即ち湿式の状態で運転されることが 多いのでマシン油を電動オイノレポンプで注いだ。実験 は単なる湿式摩耗と湿式で而も通電させた場合にっい て行い、ある一定時間経過後、試料を取外し、精密天 秤にて試料の摩耗量を秤量したと同時に試料である青 銅の摩耗面を仕上面検査機で写真記録をとった結果・ 次のことが結論として得られた・ 1)単なる湿式の場合と、湿式で而も通電させた場 合、摩耗当初は摩耗量多く、更に摩耗が経続され るにっれて摩耗速さも、略一定となる。 2)摩耗は完全潤滑と思われるような状態において も、部分的、局部的に摩耗が行われることが分る。20
3)通電により、摩耗痕は単なる湿式の時に見られ た摩耗痕より少くなった。 4)通電により、摩耗量は定常の状態に入ってから 単なる湿式の場合より減じた。 以上の結論が得られたわけであるが、何れにしても 湿式であり、湿式としては少々短時間であると考えら れるが故に、その後の実験においては摩耗時間を多く とり、その過程において単なる湿式の場合と、湿式で 而も通電の場合とを繰返し実験した。然しながら、試 料としては、前報1)に於いて用いたものと同一な青銅 と電気銅、アルミニウム、炭素鋼の四種類をえらび実 験した。なお試料の中、電気銅については・通電と無 通電とを繰返すと共に通電においては電流、電圧を増 減して通電の摩耗速さに与へる影響について知ると同・ 時に無通電の場合と比較検討した。これらの実験結果 にっいて報告する。2.実験方法、条件及び装置の改良
2.1実験装置
④・一’・セ流計)i;。!}・・・…A ⑦㊨一一・電瓦富†ソ・ρ/3・〃。Ct
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c●の●●コsi“〉サー 4ノ』F K・一・・推‡尤Fig.1 実験装置
実験装置としては、 Fig.1に示すごとくである・ 然しながら、実験は油入り、即ち湿式での摩耗実験な るが故に、摩耗量は極めて少い上に実験に多くの時間 を要することからして、従来の横型摩耗試験機の外に Fig.2に示すごとき堅型摩耗試験機を試作した。何れ も電源としては蓄電池を使用、試料側を○,炭素鋼円 板側を①とした。 lP.Sモ…一夕一Fig.2竪型摩粍試験機
スピンドル回転数 ウエイト 注油量 接触圧力 690 r.P.m. (横型) 700 r.カ.m. (竪型) 19 kg (横型) 10 kg (竪型) 31/min (横型) 20 cc/min (竪型) 0.53kg/物が (横型) 0.57 kg/mm2(竪型) 湿式で而も通電の場合、試料 通電量
青銅
6 volt,6mA,1kΩ 銅 6volt, 6 mA, 1 kΩ 12volt,6mA,2kΩ 12volt, 2.4mA, 5 kΩ 12volt, 12 mA, 1kΩ 12volt, 3 mA,4kΩ アノレミニウム12 volt,3mA,4kΩ 12volt, 2mA, 6 kΩ 鋼 (横型) (横型) (横型) (横型) (横型) (横型) (横型) (横型) 12 volち1.67 mA,7.2kn(横型) 12volt,3m∠4,4kΩ 2.5 装置の改良(s
A.前報の実験装置(摩耗試験機=横型)の中支点の 位置(Fig.3)をFig.4に示すごとく改良した・ 曳’耕
Fig. 32.2試料
試料の摩耗量は前報のごとく、一定時間経過ごとに 精密天秤で秤量した。又試料の摩耗面は単なる湿式の 場合と、湿式で而も通電した場合にっいて、投影機及 び金属顕微鏡を使用、写真に撮った。なお使用した 試料は青銅、電気銅99.99%;アルミニウム(99.5% Fe十Cu=5%),炭素鋼(S 50 C)の四種類である。 2.3 潤滑油 潤滑油としては、1号マシン油(120マシン油)で比 重0.87,引火点168°C,色相2,粘度120,反応中性, 腐蝕試験1以下である。なお使用したマシン油はシエ .ル石油製品のものである。 2.4 条件 実験の条件としては、湿式で而も通電の場合と、単 なる湿式の場合、前報におけるごとく、 實M
Fig. 4 B.湿式なるが故に摩耗量は極めて少く、且っ摩耗粉 も少いと思われるが、それが摩耗に多少なととも影 響を与えるものと考えられるし実際問題として空気 中に含まれる塵埃なども予想外に摩耗に影響を与え ると云われているので、油中に含まれた塵埃及び摩 耗粉などを出来るだけ除去つる目的のためにFig.5 に示す如き塵器を作成して試験機(横型)に取付け た。昭和39年12月
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Fig. 5 C.GSセレニウム整流器では完全なる整流が得られ ないので既報のごとき単巻変圧機を取除き蓄電池12 ボルトを使用した。 D.主なる改良点としては以上の3点であるが電動オ イルポンプが実験中途で故障のために1/4PS電動 オイルポンプと取替えた。又注油量を前回と同じく するためにコックを取付け調整出来るようにした。3.実験結果
3.1青銅対炭素鋼円板の場合 前報の実験結果の一っとして、試料である青銅の摩 耗量は定常と思われる状態に入ってからは、湿式で而 も通電の場合の方が単なる湿式の場合よりも摩耗量が 減少したこと、又通電の場合、電流の強さ0.1AmP よりも5mA,3・7n・4の方が摩耗量が少ないことが推 測されたので今回の実験では、単なる湿式の場合と、 湿式で而も通電(6mA,6 volt,1kΩ)にっいて繰返 し、且っ摩耗時間を多くとり、試料の摩耗量を22時 間から24時間ごとに精密天秤で秤量した。その結果は Fig.6に示すごとくである。試料の摩耗面は湿式で 而も通電の場合と、単なる湿式の場合とでは異なる状 態を示すのでその状態変化を投影機で写真(×100)で 撮った。その結果はFig.7, Fig.8, Fig・9・Fig・10 である。Fig.6を見るに、湿式で而も通電の場合と、 単なる湿式の場合とでは湿式で而も通電の場合の方が 摩耗量が少い1)。両方式共に湿式で実験したので、青 銅の摩耗面と炭素鋼円板との間に油の被膜が挾まれ・ 試料の面又炭素鋼円板の面をどんなによく仕上げて も、実際に接触する部分は極めて少ないので接触部に ↑二 書,竃・
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Fig.7 ×100
Fig, 8 x100 Fig. 9 ×10〔レ おける圧力は大となF12)接触圧力の大きい所では油膜 が破れて凝着が起り勝ちである3).然しながら大部分 の面は油膜を介して接触するのであるから、湿式の場 合の摩耗量は非常に少いし、又加工効果も少い、潤滑 抽は前述のごとく中性のものを使用したが、油中に含23
Fig. 10 ×1GO まれる摩粍粉、あるいは誹鉄金属中に含まれる硬い物 質が入ると摩粍現象が起る’)。こうしたことが繰返え され初期摩粍が終り、定常の状態になるわけである。 然しながら、湿式で而も通電の場合、摩粍当初は試料 である青銅の摩粍面、又炭素鋼円板の摩粍面に摩粍痕 がつき、摩粍の当初少々摩粍量も多いが摩粍時間48時 間くらいで試料である青銅の摩粍面に附着する物質、 あるいは青銅の成分中のSnが接触部圧力、温度等に より内部より析出するものか否か判断し難いがi通 電により試料である青銅の摩粍面が変化することは Fig,7に示すごとくである。 Fig,7は通電(6mA, 6 velt,1kn)で摩粍時間198時間後の試料である青銅 の摩粍面である.又摩粍時間198時間以後単なる湿式 にした場合にはFig.7の変化した摩粍間は次第に消 減して条痕即ち摩粍痕の増すことである。Fig.8は 198時間以後、単なる湿式で294時間、延時間で492時 間経過したときの青銅の摩粍面を示すものである。 Fig.9は単なる湿式で而も通電(6 mA,6τ,elt, L kΩ) で492時間後、通電で156時間、延時間648時間後の青 銅の摩粍面であり、Fig、10は648時間後、単なる湿 式で通電なしで240時間、延時間で88ε時間後の青銅の 摩粍面を示す。然しながら、電気的に炭素鋼円板側を ㊥,試料である青銅側を○としたので油中に含まれた 摩粍粉、又は炭素鋼円板から分離ざれたと思われる微 細な鉄粉等が移行し、試料である、青銅の摩粍面に 固く附着しつS次第に多くなり、摩粍当初見られた条 痕、即ち摩粍痕がなくなるかも知れない。又附着した 物質が次第に多くなるにしたがい、摩粍速さも定常と なる。 然しながら、Fig.6に示すごとく通電時のみに得ら れた表面(Fig,7, Fig.9)は単なる湿式で通電なし で実験を行った結果、変化した表面層がかなり減って昭和39年12月
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も摩粍速さは定常を示した。又通電時のみ得られた、 試料である青銅の変化した摩粍面は無通電で完全に消 え、摩粍痕及び条痕が増すと再び摩粍量が増すことが Fig.6から云える。 3.2 銅対炭素鋼円板の場合 青銅対炭素鋼円板の摩粍試験の結果、湿式で而も通 電のときのみ○側である試料の摩粍面が変化すること は前記の写真の結果からして分ったことだが、物質の 移行によって変化したものか、又Snが析出したもの とも考ええられるので試料として電気銅(99.99%)の ものを使用して、銅対炭素鋼円板との湿式摩粍と湿式 で而も通電の場合にっき実験を行なった。 然しながら、実験の過程において、電流の強さ及び 電圧を変えて、それが試料である銅の摩粍速さに及ぼ す影響にっいて検べた。試料の摩粍量は24時間ごとに 精密天秤で秤量した。この結果はFig.11に示すごと くである。Fig.11からして、摩粍量及び摩粍痕も摩 粍初期には多く、摩粍を継続させ而も通電させた場合 には青銅の摩粍面に見られると同様な(白色を呈して いる)物質が附着し、見掛けの面積2/3位この附着し た物質でおXわれてくると摩粍速さも定常を示す。こ のように銅の摩粍面に固く附着する物質があることか らして、青銅の成分中のSnが析出するのではなく・ 物質の移行によって試料である銅の摩粍面に附着する ことが分った。更に無通電で行った場合、試料の摩粍 面に附着した物質は青銅のときに見られたと同様に減 り、条痕即ち摩粍痕を増し少々ではあるが摩粍量が増 す傾向にあった。 次に電流、電圧を変え摩粍速さに与える影響にっい て実験した結果はFig.11のごとく12 volち12 mA・ 及び12 volt,6mAの場合には6 volち6mA,又12 volt,3mAの場合より摩粍速さを増す傾向にあるこ とが分った。又12uoZち3mA∼2.4mAの場合と6volち6mA
の場合には同一の摩粍速さを示したことが実験的に証 明出来た。 虚 舵 止 亀 知L也 6〃〆.6〆イ.〆婦 遭を 砲”婬.’2伽4.’夕々 !‘ 々 貴6 餐4 8 θ 〃 縛胡一一→ 4ず0 〆〃 @ 1 ”2 tsrs,.・ Fig. 1124
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Fig. 12 更に通電により、試料である銅の摩粍面に附着した 物質(鉄と思われる)の層は無通電で摩粍を継続させ た場合、附着した層か微少になっても摩粍速さは定常 を示したということからして通電によって得られた附 着した層は銅の場合にも青銅と同じく耐摩粍という点 からして有効であると云える。 3.3 アルミニウム対炭素鋼円坂の場合 試料として純アノレミニウム(純度99.5%,Ctt十 Fe =5%)を使用、炭素鋼円板と摩粍実験をした結果は Fig.12に示すごとくである。 Fig.12によれば、銅 及び青銅の場合と比較して著しく摩粍量が少いことが 〆ダ2 Flg.13 ×1500 Fig, 14 横 f音 弓ミ 100, 縦 倍 率 500{) 分る。又湿式て而も通電の場合と埠なる湿式の場合と を比較して見ると、微少ではあるか通電時の方が摩粍 量が少い、Fig.13は通電150時間、延時間294時間後 の試料であるアルミニソム1苦粍[∫1了の状態写真(×150, ×1500)である。Fig.14はその時の摩粍『iiを仕上面 検査機(触針駆動方式、横倍率100,縦倍率5000)で 撮った写真記録である。 Fig.16は延時間438時聞、 無通電で148時間後のアルミニウムの摩粍面であり、 通電時に見られた物質の移行によって固く附着した物 質には余り変化が見られない。その時の摩粍面を仕上 面検査機で撮った写真記録はFig.16である。 Fig, 14とFig,16を比較して見るに通電時の方が摩粍面 が略々平坪化された凹凸が構成されている。Fig.12 Fig, 1525
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Fig.16 横倍率100,縦倍率5000
のごとく、実験的には短時間であったが、青銅及び銅 の場合より耐寧粍性があることが分る。 3,4炭素鋼(S50c)と炭素鋼円板の場合 試料としては炭素鋼(ぷ50のを用い、前記の青銅、 銅、アルミニウムの場合と同一な条件の下 に横型寧粍試験機で実験を行った。鋼対鋼 1Fig・17のごとく面馳を行い麺した・ 1
その結果はFig. 18の如くである。 Fig.18 Fig、17 によれば、他の試料である青鮎銅、アル ミニウムとは逆に湿式で而も通電さすことによって摩 粍量が増した乙とである。 又通電により他の試料に見られ袴巨ぐ試料の摩粍 面がFiき.19のごとく変化することであり、この表面 の凹凸の状態は仕上面検査機(触針駆動方式)で写真 記録をとった結果はFig.20の如き略平均化された凹 凸が得られた女Fig.21は同一な条件のものに横型事 ↑ ヘグ 這 ⑱聯6 鰻‘2
θ Fig.19 312時間後の試料寧粍面×40嘉産牝
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Fig. 1RFig.20 横倍率100,縦倍率5000
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Fig. 21 Fig.22 ×600 /‘, Fig.23 ×600 ↑ A’ さ ㌔‘駈
雫、 aj m Fi9. 粍試験機.:実限したκrl「爆てある, Flg.22は学粍時間 176時聞経)日後の試‡:1の「fF’llE、1[1である◇又Fig.23は 通電時閲1691日1臥延.蜜粍1互間345時聞後の試料の1華粍 面である。Fig.24は縦型‘肇粍試機によって実験した 結’果であるe 4.結 鹸 以上の如き、摩粍実験を行ったのを、総合的に検討 した結果次のような結論が得られた。 24 1)試料とLてlll銅、釦、ア’レミニウム、炭素鋼(5 5{, c)を使用Lたが、通電によ1)試料の階粍面{こ附 着された物質は川なる湿式で摩粍を継わヒしても附者 された物賀はかなり強照で容易に摩減ざれず、微少 になってもなお脊効で摩粍速さは定常を示す。 2)通電により、摩粍面は略々平均化ざれた凹凸か得 られるe 3)試料として、炭素鋼より軟かい金属を用いた場合 には通電すれば摩粍速ざは遅い、而し鋼の如き同種27
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