肺と頸部に腫瘤を形成した悪性リンパ腫の一症例 甲府共立病院 耳鼻咽喉科 永沼久夫 呼吸器内科 加賀美武 楠真 病理科 畑日出夫 はじめに 非ポジキン悪性リンパ腫の低悪性度群は比較的予後良好の疾患とされ初発部位に 長期間限局するといわれる。我々は、初診時肺と頸部に腫瘤性病変を認め短期間 に増大した低悪性度非ポジキンリンパ腫症例を経験したので報告する。 症例
症例;65才 女性
主 訴;頸部腫瘤 家族歴;特記事項なし 既往歴;糖尿病現病歴;90年頸部の腫脹あるも自然に消退。91年健康診断の胸部xpにて異
常を指摘されず。’93年5月右頸部腫脹出現するも患部の冷却にて縮 小を認めた。再度増大してきたため8月19日頸部腫瘍精査のためA病院耳鼻咽喉科入院。頸部の吸引細胞診、FBS(TBLB)等の検査施
行されるも診断確定に至らず、Open−Biopsyすすめられるも拒否し9月 自主退院となる。10月20日糖尿病治療目的にて当院内科初診となり、 10月25日頸部腫瘍・肺腫瘍精査治療目的にて当院入院。 入院時検査所見(表1)Hbの低下、血糖の軽度上昇に加え、 LDH、 CRPが異常高値を示した。C
EA、 TPA、抗SCC抗原, NSE等の腫瘍マーカーは正常範囲内であった。
当院初診時(93年10月20日)の胸部X線(図1)右下肺野に50×60mm
の腫瘤性病変を認める。胸部CT(10月26日、図2)右下肺野に境界明瞭な腫瘤性病変を認める。胸
部CT(9月1日、図3)に比して腫瘍の急速な増大が認められる。頸部CT(10月5日、図4)右の胸鎖乳突筋下に境界明瞭な腫瘍を認める。
頸部CT(11月11日、図5)頸部腫瘍の増大と多発を認め、気管は右から強
く圧排されている。 入院後経過; 11月5日経皮肺生検施行。診断:malignant lymphoma non−hodgkin Bce11 diffuse small lymphocytic 11月16日右頸部open−biopsy施行。診断:malignant lymphoma non−hodg kin Bcell intermediate lymphocytic lymphoma medium sized11月30日より化学療法開始。4クール終了時肺病変には著効するも頸部病
変は再燃増大傾向あるため94年4月4日より当院耳鼻咽喉科入院となり現在も 一15一化学療法中。 ガリウムシンチ(11月22日、図6)右頸部、右肺、腹腔動脈リンパ節と思わ れる部位、右鼠径部リンパ節に異常集積を認める。
腹部CT(11月26日、図7)膵頭部周囲と大動脈周囲にリンパ節腫脹を認め
る。 腹部エコーでも肝門部のリンパ節腫脹を認めた。骨髄生検、骨シンチは正常であ った。化学療法4クール終了時の胸部XP(’94年3月12日、図8)肺野の腫瘤病
変は化学療法が著功し径14mmと縮小している。 考察 本症例の頸部病変においてリンパ節の辺縁洞から周辺結合織にかけてびまん性の 浸潤増殖を認めること、縦隔病変や肺門部病変に比して肺野に腫瘤性病変を有し たこと、骨髄病変が認められないことなどから節外性のリンパ腫と考えられる。 ただし、初診時からの進行病変であり、初発部位の断定は困難である。頸部の腫 脹の反復も唾液腺の炎症の反復なのか、リンパ腫が自然緩解を繰り返したのか判 別できない。肺病変および頸部病変とも短期間に増大したのも初発から年数が経 過したことが示唆される。本症例が1983年にlsaacsonらによって提唱された粘膜関連リンパ組織型低悪性度B細胞リンパ腫(MALT)に合致するかは臨床
病理的には確定できなかった。また、化学療法に対して頸部と肺で反応に差が認 められたのは血流の違い、組織の違いに加え患者が冷却により縮小した経験から 化学療法中秘かに頸部を冷却していたためと思われる。現在、頸部病変に対して は大量メソトレキセート救援療法を中心にした化学療法にて良好の反応を得てい る。また、局所制御のため頸部病変に対して化学療法終了後、放射線療法を予定 している。 まとめ 肺野と頸部に腫瘤性病変を形成し短期間に増大した悪性リンパ腫を経験したので 報告した。 文献1)黒須克志、他:Pseudolymphoma,呼吸1994;13;p352−356
2)橋詰寿律、他:肺原発悪性リンパ腫の2手術例。肺癌1993;33;p1
083−1089
3) Isaacson, P et, al :Malignant lymphoma of mucosa−associated lymph oid tissue, a distinctive type of Bce11 1ymphoma. Cancer1983 5 2 P1410−14164)青笹克之、他:リンパ節外の低悪性度群リンパ腫。病理と臨床1992;1
0;p25−30
血算 WBC RBC Hb Hct Plt 生化学 T.P AIb チモール クンケル T−Bil AIP Ch−E GOT GPT LDH γ・G了P アミラーゼ グルコース 7.68 x10;/μ1 312 ×IOG/μ1 8.1 9/dl 26.3 % 198 ×10ヲμ1 6.7 g/dl 3.4 g/dl 1.5 単位 8.7 単位 0.57 g/d| 12.5(DKA単位 O.71 dPH 40(Dlu/1 46㊤IU/1 1036(H) Wrbu/l go(E)lu/1 24①単位 204(H) mg/d| Bun Cr 尿酸 Na K Cl Ca T.Chol CRP 18.7(亘)mg/dl 0.98 mg/dI 4.7 mg/dl 135 mEq/1 4.4 rrEq/1 100 mEqノ| 8.6([)mg/dl 140 mg/dl 20.64(≡)mg/dl 表1
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