山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌22巻2009
肺悪性 リンパ腫 の1切 除例
都留市立病院
外科
深澤敏男
大原毅
川島健司
山梨大学医学部
人体病理学
山根徹
要 旨:症 例 は77歳 男 性 。 胸 部 異 常 陰影 に て 受 診 した 。 画 像 上 右 中 葉 に約6㎝ の 腫 瘤 影 を 認 め た。 精 査 の 後 、外 来 に て 約2年 間 の経 過 観 察 を行 い 、 大 き さに変 化 を認 め な か っ た が、 消 失 しな い た め 、 右 肺 申葉 切 除 衛 を施 行 した。 病 理 学 的 にB細 胞 悪 性 リンパ 腫 で 、MALT リンパ 腫 と思 わ れ た。 衛 後経 過観 察 中 で あ る が 、2年 経 過 後 の 現在 も異 常 所 見 を認 め な い。 キ ー ワ ー ド:肺 悪 性 リ ン パ 腫 、MALTリ ン パ 腫 、 手 術 、 低 悪 性 度 は じめ に 肺 原 発 悪 性 リ ンパ 腫 は 悪 性 リン パ 腫 全 体 の0.4∼1.0%で 、 肺 悪 性 腫 瘍 全 体 の 0.45%と 、ま れ な 疾 患 で あ る1)nま た 、そ の 大 部 分 は 低 悪 性 度 のMA班 リンパ 腫 で 予 後 良 好 な 疾 患 とい わ れ て い る 鋤 。今 回 、 長 期 経 過 観 察 後 に切 除 した 症 例 を 経 験 し た。 Fig.1x-rayfindingofXOO4.7. 症 例 77歳 男性 。平 成16年7月 、右 下肺 野 の 異 常 陰 影 に て 近 医 よ り当 院 内 科 に 紹 介 と な った 。既 往 歴 は 、昭 和63年 よ り狭 心症 、 心房 細 動 、 高 血 圧 に て 内 服 通 院 中。 そ の 際 慢 性B型 肝 炎 を 指 摘 され 経 過 観 察 して い る。 来院 時 の 明 らか な 理 学 的 所 見 、 自覚 症 状 は認 め られ な か っ た。 初 診 時 の 胸 部x線 写真(F+`ig.1)では 右 下 肺 野 、 横 隔 膜 上 に 淡 い 陰 影 を認 め た。CT 所 見 で は 右S5に 直径 約6cmの 不 整 形 陰 影 で 、陰 影 の 周 囲 に炎 症 を 思 わ せ る淡 い 陰 影 を認 め た 。 気 管 支 鏡 検 査 で はBushingに てClassIIで あ っ た。 血液 デ ー タ、 腫 瘍 マ ー カー と も に異 常所 見 は な く 、厳 重 管 理 の Fi移2X・mayfin〔iingof2006.11. 上 、 外 来 経 過観 察 と した。2年 間 経 過 観 察 の 後、 平成18年6月 、 精 査 の た め外 科 に 紹 介 され た 。 画像 所 見 は 、胸 部 単 純 写 真 で は や や 増 大 して い る よ うに 思 わ れ た が 、 CTス キ ャ ンで は特 に大 き な 変 化 は な か っ た 。(Fig2)血 液 検 査 、 肺 癌 腫 瘍 マ ー カ ー 、 可 溶 性IL-2レ セ プ ター 、 喀 疲 検 査 、 骨 髄 一16一平 成21年4月1日 検 査(骨 髄 像 、 細 胞 診)で は 明 らか な 異 常 所 見 を認 め な か っ た。 気 管 支 鏡 下Blushing に よ る 細 胞 診 に て 小 型 で ク ロ マ チ ン 増 量 ・濃 染 した裸 核 状 の 細 胞 を 認 め 、Class 皿 で あ っ た。ま た 、HBs抗 原 、HBc抗 体 、 HBe抗 体 が 陽性 で あ った 。確 定診 断 は つ い て い な い もの の 、悪 性 腫 瘍 の 可 能性 もあ る た め、 患 者 さん と相 談 の 上 、平 成18年12 月14日 、 胸 腔 鏡 補 助 下右 肺 中 葉 切 除 術 を 施 行 した 。 組 織 学 的 検 索 で は 、 リンパ 球 様 異 型 細 胞 が 充実 性 に増 殖 し、小 葉 間 隔壁 や 血 管 、気 管 支 周 囲 の リ ン パ 路 に 浸 潤 性 に 血onotonousに 増 殖 して い た(Fig.3)。ま た 、 気 管 支 内 へ の 腫 瘍 浸 潤 が 見 られ た 。CD20 免 疫 染 色 で は 陽 性 を 示 し(Fig.4)、 GD3,CD5は 陰 性 だ った 。 以 上 よ りB細 胞 悪 性 リ ン パ 腫 で 、,,よ り発 生 し た MAT-Tリ ンパ 腫 と思 われ た。 Fig.3Patharogy(H-E) 術 後 経 過 は 良 好 で 、化 学 療 法 の 追 煎 も考 え たが 、低 悪 性 度 の 疾 患 で 、術 後 のPE↑CT で も明 らか な 異 常 所 見 は な く、完 全 切 除 が で き て お り、 ま た 、 リツ キ サ ンや そ の他 の 化 学 療 法 剤 に よ る化 学 療 法 を 施 行 した 場 合 、B型 肝 炎 キ ャ リア ー で あ るた め肝 炎 発 病 や 重 症 化 の危 険性 も あ り、外 来 経 過観 察 と した 。2年 経 過 後 の 現 在 、 画 像 上 、 左 下 葉 に わ ず か に 炎 症 性 変 化 を 認 め る も の の 、 明 らか な 再 発 の 兆 候 も な く、通 院 中で あ る。 考 察 肺MALTリ ンパ 腫 は悪 性 度 が 低 く、 発 育 も非 常 に緩 徐 な た め 、予 後 の 非 常 に 良 い 疾 患 と言 われ て い る$)4)。術 前 に診 断 され 、 切 除 され た症 例 も報 告 され て い る5)が 、 一 般 に術 前 診 断 は 困難 と言 わ れ て い る6)7)8)。 ま た1画 像 所 見 も多 彩 な 所 見 を 示 す1励 た め 、画 像 診 断 のみ に頼 る こ と も危 険 で 、 多 くの デ ー タ を も と に 診 断 して い く必 要 が あ る。本 症 例 は 気 管 支 鏡 検 査 で 悪 性 リン パ 腫 の 可能 性 が 示 唆 され た が 、最 終 診 断 は 摘 出標 本 の 結 果 を待 つ こ と とな った 。低 悪 性 度 のMALTリ ン パ腫 で 、完 全 切 除 で あ っ た た め 、 経 過 良 好 で あ った1例 で あ る。 引 用 文 献 1)福 島 文 、 芦 澤 和 人 、 長 置 健 司 、 他. 肺 の 悪 性 リ ン パ 腫.画 像 診 断 2001;21:389-397. 2)藤 本 公 則 、佐 土 原 順 子 、寺 崎 洋 、他. 悪 性 リ ン パ 腫 の 画 像 診 断:鑑 別 診 断 を 中 心 に 肺.臨 床 画 像2002;18:746 -760 . Fig.4Pathomgy(CD20) 一17一
山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌22巻2009 3)臼 杵 憲 祐 、浦 部 晶 夫.肺 リ ン パ 腫 の 治 療.日 胸2007;66:198-209. 4)稲 垣 宏 、 岡 部 光 邦.肺 の リ ン パ 腫. 血 液 ・腫 瘍 科2004;49:665-671. 5)相 川 広 一 、 斎 藤 泰 紀 、 平 野 春 人 、 他. 術 前 に 肺 原 発MALTリ ン パ 腫 を 診 断 し え た2切除 例.気 管 支 学 1996;18:717・722. 6)藤 崎 成 至 、 新 原 亮 、 向 井 勝 紀 、 他. 原 発 性 肪 癌 と鑑 別 が 困 難 で あ っ た 肺 原 発MALTリ ン パ 腫 の1例.日 臨 外 会 誌2006;67:2346-2350. 7)山 下 眞 一 、 吉 田 直 矢 、 猪 鹿 俊 彦 、 他. 長 期 経 過 後 に 手 術 を 施 行 し た 肺 MALTリ ン パ 腫 の1例.日 呼 外 会 誌 2008;22:672--676. 8)永 島 明 、 下 川 秀 彦 、竹 之 山 光 広.肺 原 発MALTリ ン パ 腫 切 除 例 の 検 討. 日 臨 外 会 誌2004;65:3157-3160. 一18一