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腺癌と悪性リンパ腫が合併した重複肺腫瘍の1剖検例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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腺癌と悪性リンパ腫が合併した重複肺腫瘍の一剖検例 県立中央病院理科 木村聖子 小山敏雄 同 呼吸器内科 大久保修一 竹村尚志 三枝修 同 外科 千葉成宏        1.はじめに 肺原発悪性リンパ腫はまれな疾患であり、腺癌と合併した肺重複腫瘍は更に稀少と考え られる。また、悪性リンパ腫の前駆病変と考えられる病変がみつかり、興味深い症例である。        2.臨床所見

症例: 74才、男性、無職

主訴: 労作時息切れ

家族歴:特記事項なし

既往歴:労作性狭心症

現病歴:平成5年4月上旬、発熱、安静時息切れあり。近医にて、肺炎として投薬をうけた。下 旬、タール便出現し、本院入院。十二指腸憩室からの出血と診断され、5月手術施行。術後、労 作時息切れ続き、胸部X線上異常陰影あり。5月28日精査加療目的で呼吸器内科転科となった。 入院後経過:画像上、右上葉、左下葉に腫瘤陰影が認められ、右肺の腫瘤は気管支鏡下洗 浄液よりclassV(扁平上皮癌)、左肺の腫瘤は擦過細胞診でclass皿(リンパ系の異型細胞)、悪 性リンパ腫も疑われた。臨床的には、肺内転移を伴うstagerv扁平上皮癌と診断。全身状態悪 化のため化学療法は行わず、7月より輸液のみ開始した。この頃よりさらに全身状態悪化し7 月20日永眠。 画像所見:(CT:4月27日)右上葉に腫瘤が認められ、胸膜は著明に肥厚している(図1)。左 下葉に境界明瞭な腫瘤が認められた(図2)。        3.病理解剖学的所見 右上葉のtumorはS1に主として認められ、肉眼的には、炭粉沈着を伴う境界不明瞭なtumor であった(図3)。また胸膜癌腫症による、著明な胸膜肥厚がみられる。組織学的には中分化腺 癌であり(図4)、原発部では周囲の肺胞壁に沿って進展している。腺癌のリンパ管侵襲は、両 肺にびまん性にみられご著明な癌性リンパ管症を伴っていた(図5)。  左下葉のtumorは肉眼的には、灰白色調の境界明瞭なtumorであった(図6)。組織学的には、 分葉したtumorで・処々にエオジン好性の硝子様の線維化が認められ(図7)、中等大の異型の 強いリンパ球様細胞が密に増殖していた(図8)。腫瘍細胞はL−26陽性で、malignant lympho

       −12一

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ma, diffuse, medium−sized cell type, B cell typeと診断された。この1ymphomaは肺外 には認められず、肺原発と考えられた。  右中葉に1cm大の灰白色調の境界明瞭な腫瘤が認められた。組織学的にはlymphomaと同様 に分葉構造を示し、エオジン好性の硝子様の線維化がみられ(図9)、細胞は異型のない小型 リンパ球からなる結節で(図10)、リンパ濾胞も認められた。免疫染色では細胞のmonoc lona l な増殖はみられなかった。同様の病変は、他にもう一ヵ所組織学的に認められた。  以上、肺の所見をまとめると図11のようになる。  死因としては、血性心のう液貯留(400ml)による心タンポナーデが考えられた。心臓には 線維素性心外膜炎の所見があり、以前より心のう液が貯留していたと考えられた。また、心 外膜に粟粒大の腺癌の転移がびまん性に著明に認められ、組織学的には、癌浸潤に伴う著明 な毛細血管新生がみられ(図12)、この血管の破掟により血性心のう液が徐々に貯留していっ たものと考えられた。        4.考察  肺原発悪性リンパ腫はまれな疾患ある。非ポジキン悪性リンパ腫5,030例の集計では肺原 発例は77例、0.34%にすぎないD。この症例はさらに腺癌と合併しており稀少症例と考える。 MEDLINE 1989−1993年の約5年間にこのような症例は一例も報告はない。  病理学的にこの症例における興味深い点は、lv. mphomaの前駆病変と考えられる結節状の リンパ組織がみつかったことである。肺にはいわゆるbronchus…associated lymphoid tissue(BALT)があり、肺原発悪性リンパ腫はそこより発生するという報告がある2)3)。 BALTはヒトでは、あまり発達していないが、炎症刺激などで容易に認められるようになると いう3),,この症例は、腺癌による癌性リンパ管症があり、癌の周囲にリンパ球が集籏してい るところもみられた。このことは癌による刺激のためBALTが発達し、より1ymphomaが発生し やすい状況にあったことを考えさせる。さらに、脾臓にはリンパ濾胞の過形成があり、この ことはBcell系のactivationが起こっている可能性を示唆する。  肺原発悪性リンパ腫の予後は非常に良い4)。この症例もリンパ腫自体は死因には影響し ていないと考えられる。臨床的に興味深い点は、腺癌の浸潤が、心外膜にも広範に及び、それ による心タンポナーデが死因に直接かかわっていたことである。        5.まとめ 1.腺癌と悪性リンパ腫が合併した重複肺腫瘍の1剖検例を経験した。 2.腺癌は右肺上葉原発で、著明な癌性リンパ管症による呼吸不全と心外膜転移による心タ  ンポナーデが死因と考えられる。 3.左肺下葉に悪性リンパ腫が認められた。肺内には2カ所で悪性リンパ腫の前駆病変と思わ  れる様な結節状のリンパ組織がみられた。

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文献 1) L’Hoste Jr RJ, FilipPa DA, Lieberman PH.    Primary pulmonary lymphomas. A clinicopathologic analysis of 36 cases.    Cancer 1984;  54 ,1397∼1406 2) Herbert A, Wright DH, Isaacson PG, Sm i th JL. Pr i mary malignant lymphoma of    the lung . Hum. pathol. 1984;  15 ,415∼422 3) Add i s BJ, Hy jek  E, Isaacson PG.    Primary pulmonary lymphoma : a re−−apPraisal of its histogenesis and its    relationship to pseudolymphoma and lymphoid interstitial pneumonia. Histo−−    pathology;  13 ,1∼17 4)山口和克、蛇沢晶、肺の悪性リンパ腫とその関連疾患。    病理と臨床.1986;4,496∼501

一14一

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図lCTrl15427)右上葉腫瘤陰影(矢印、、胸膜肥厚 図2 CT(H5427}左下葉腫瘤陰影 図3 右上葉横断面。炭粉沈着を伴う境界不明瞭な腺癌の原発巣(矢印お 図4 中分化腺癌 川E,x 100)

湯…鱗

   ジ 癒、、・

図5腺癌のリノパ管侵襲 (HE, X 40) ぶtW.  “F唾  ぶバ     咋耳   ・冶 鯨

    図6 左下葉の悪性リンパ腫の肉眼像。灰白色調の境界明瞭な【umr, −15一

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図7 悪性リンパ腫の弱拡大像。CHE 110) 図8 図7の強拡大像.■alignant ly叩homa,dlffose,□edium−slzed   uell Lype 〔HE,v 600) 図9 結節状のリノパ組繊の弱拡大像.(1|E,x10) 図】0 図9の強拡大像。図8に比べ異型のない小リンパ球の集旗巣。   (HE,t60の AV/Ld… t−・Ctn。“ 図ll 肺腫腐のンェーマ        糟鰺

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溜㌶磯。羅v 図IZ 心外膜腺癌転移.周囲の毛細血管新生が目立つ。(HE,X400) 一16一

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