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教材「紙」考 (5)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 教材「紙」考 (5). Author(s). 佐野, 比呂己. Citation. 国語論集, 16: 1-11. Issue Date. 2019-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/10446. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 教材「紙」考 (5) (3)3. (2)2. 八 語句・ 表現 【二 二 ⑨】 ●むろん 原典にも 「むろん」とある。 無 論 。多 く副 詞 的 に用 いる。論 ず るまでもないこと。いう までも ないこと。勿論。. 以上. 以上. 研究の経緯 本 稿は 「 教材「紙」考 」「 教材「 紙」考 」「教材「紙」考 」「 教材 「紙」考 」に続くものである。 「教材「紙」考」は、次のように構成さ れている。 (1)1. 一 所収教科書について 二 教科書における 「紙」 の位置 三 筆者・ 幸田文 四 「紙」 の書誌 五 原典と教科書の異同 六 大意 七 文章構成 八 語句・ 表現 【二〇①ー⑩】 【二〇⑪ー二二⑧】 【資料 教科書本文】. (2) (1) (1) (4) (3). 佐 野 比呂己. ●わたしの父【二二⑨】 筆者・幸田文の父、幸田露伴のこと。 小説家、随筆家、考証家。本名成行。別号蝸牛庵、雷音洞主、脱 天 子 など。慶 応 三 年 (一 八 六 七 )七 月 二 十 三日 (一 説 に二 十 六 日 ) に江 戸の下谷で、幕臣成 延、母猷の第四子として生まれる。母は家 付 きの娘で猷 といい、和 歌 や 和 楽 をよくした。長 兄 成 常 は実 業 家。 次 兄 成 忠 は郡 司 家 をつぎ海軍 大 尉 、千 島 探 険 で名 を馳せた。三兄 は夭 折 。次 弟 成 友 は史 学 を専 攻 し文 学 博 士 。妹 延 はピアニスト、末 妹 安 藤 幸 はバイオリニストとして世 に聞えた。家 は代 々 江 戸城 の表 坊 主 衆 を勤 め、有 職 故 実 や 遊 芸 に詳 しく、露 伴 もまたその薫 陶 を 受 けて育 った。幼 時 私 塾 で 『 孝 経 』の素 読 を受 け、東 京 師 範 学 校 附 属 小 学 校 卒 業 、東 京 府 第 一 中 学 校 中 退 後 、東 京 英 学 校 (青 山 学 院 )に学 んだ。そのころ湯 島 聖 堂 にあった東 京 図 書 館 に通 い、経 書 や仏典 、江 戸時 代の雑 書を読 みあさ り、また好事家淡島 寒月と知 り合 った。また曲 亭 馬 琴 、柳 亭 種 彦 らの近 世 小説 や 中 国 小 説 を耽 読 し、独 自 の教 養 世 界 の土 壌 を培 った。明 治 十 六 年 (一 八 八 三 )に 父 の勧 めで電 信 修 技 学 校 に入 学 、翌 年 明 治 十 七 年 (一 八 八 四 )卒 業 後 の実 習 を経 て明 治 十 八 年 (一 八 八 五 )北 海 道 の余 市 に電 信 技 手 として赴 任 した。しかし、坪 内 逍 遙 の 『 小 説 神 髄 』などによって新 しい文学への道を示唆されたことが、露伴の運命を変えることになっ た。文学への夢と職業との矛盾に悩んだ露伴は、ついに二年後の明治. −1−. (4)4. 5.

(3) 二 十 年 (一 八 八 七 )、文 学 への思 いや みがたく、 「 よし突 貫 して此 逆 境 を出 でむ」(『 突 貫 紀 行 』)との決 意 で、生 活 に満 足 を得 ず 余 市 を 脱出し職をすて帰京した。帰京後、父の感化で聖書を読んだが、信 仰 とは無 縁 だった。同 じころ井 原 西 鶴 の存 在 を知 って影 響 を受 け、 また、仏 教 関 係 の書 を耽 読 したという 。尾 崎 紅 葉 らと交 わりなが ら創作活動を開始した。 明 治 二 十二 年 (一 八 八 九 )『都 の花 』に処 女 作 の短 編『露団 々 』を 発 表 。また友 人 寒 月 を介 して尾 崎 紅 葉 と親 交 を結 び、元 禄 の井 原 西 鶴 の文 に傾 倒 し影 響 を受 けたが、そこには西 鶴 とは異 質 の露 伴 特有の道念が貫かれている。同年九月の悲恋から生まれる愛の極致 を示 す『風 流仏 』(『新 著 百 種』第 五号 )の成功 によって文名を得 た。 恋 を失 った彫 刻 師 の精 進 が女 に似 せて彫 った仏 像 に生 命 を吹 き込 むという 、恋 愛 の至 上 と芸 道 の神 秘 を仏 教 思 想 の枠 組 みを借 りて 描 いた異色 作 で、東洋 哲学 を根 底 に据えた理 想 主義 という露 伴文 学 の独 自 性 もす でにう かがえる。紅 露 時 代 として双 称 さ れた尾 崎 紅葉が写 実に徹 し、女 性 描写 に優 れていたのに対して、露伴は一芸 に生きる男の不 退転の気力を雄渾 な文 体で描き続け、無骨な大 工 の創 造 への飽 くなき執 念 と意 地 を描 いた 『 五 重 塔 』(明 治 二 十 四 ― 二 十五年(一八 九一 ―九二))が露伴の文名を明 治の文 学界にゆる ぎなく定 着 さ せめた。鯨 取 りの名 手の奔 放 な生 涯 を描 いた 『いさ な とり』(明 治 二 十四 年(一八 九一))、多彩 な登 場 人物の運 命の転変 を連 環 して、人 生 の諸 相 を彷 彿 しよう とした 『 風 流 微 塵 蔵 』(明 治 二 十六 ―二 十八 年(一八 九 三―九五)、中絶)などの野心作があり、 また、明 治二 十三年(一八 九〇)に 『日 本之文 華』に発表した 『対髑 髏』は、複 式夢 幻 能の形 式に擬 して、数奇な宿 命に翻弄 さ れた女 の 煩 悩 と解 脱 を、虚 と実 のあや なす 詩 的 空 間 に描 いた佳 作 である。 『 一 口 剣 』は強 烈 な意 志 力 で名 刀 を鍛 える無 名 の刀 工 を描いている。 明 治 二 十 四 年 (一 八 九 一 )には江 戸 時 代 末 期 の鋳 造 家 の愛 欲 に取 材し、西鶴の 『好色一代男』に挑んだ 『辻浄瑠璃』『寝耳鉄砲』を発表. その後、森 鷗外、斎藤緑雨らとともに、雑誌『めさまし草』(明治二 十 九 年 (一 八 九 六 )創 刊 )の創 作 合 評 (「 三 人 冗 語 」「 雲 中 語 」)に参 加 したが、日 露 戦 争 後 の自 然 主 義 中 心 の文 壇 動 向 を嫌 悪 したこと もあって、文明社会の批判を意図した長編『天うつ浪』(明治三十六 ― 三 十 八 年 (一 九 〇 三 ― 〇 五 )は日 露 戦 争 のため情 痴 を描 く筆 を 妨 げられ、 『 風 流 微 塵蔵 』と同様 に未 完に終わり、次第 に小説 から 遠ざかる傾きを見せ始めた。以後はエッセイ、考証、史伝、古典の校 訂解題に新しい領域を開くことになるが、終始、文壇の主流から孤 立しながら、老荘、儒仏などの東洋哲学への該博な造詣が世人の畏 敬 を集 め続 けた。一 方 では小 説 家 として第 一 線 を離 れたと見 なさ れたのもやむをえなかった。 大 正 期 の露 伴 は、 『修 省 論 』(大 正 三 年 (一 九 一 四 ))など、人 生 へ の深 い洞察を秘めた修養論を書き継ぐ傍ら、大正八年(一九一九) に 『 改 造 』に発 表 した 『運 命 』で史 伝 の最 高 峰 を極 めた。明 の正 史 に 取材して、帝位を追われた者、追った者の半生の対照を克明にたど りながら、人為 を超えた 「数」(天 命)の帰趨を鮮やかに表現した傑 作である。翌大正九年(一九二〇)には 『芭蕉七部集』の評釈にも着 手 している。これは心 血 を注 いだ仕 事 として長 く持 続 さ れ、死 の年 に至ってようやく完成さ れた。昭 和十二 年(一 九三七)に文 化 勲章 を受 章 、ふたたび創 作 に意 欲 を燃 や し、小 説 集『 幻 談 』(昭 和 十 六 年(一九四一))所収の四編が書かれた。中でも 『連環記』(昭和十六 年 (一 九 四 一 ))は仏 教 の無 常 観 を軸 に、さ まざ まな人 間 たちの生 と死 を描 き分 け、人 生 の奥 行 を彷 彿 す る最 後 の傑 作 で、 『運 命 』と ともに、近 代小説の枠 組みを大きく踏 み越えた自在な手法が闊達 な語り口とあわせ注目された。東洋の哲学や文学についての幅広い 教 養 を駆 使 した露 伴 の文 学 はそれ自 体 として、西 洋 化 を急 いだ日 本 の近 代 に対 す る有 力 な批 評 的 存 在 であった。小 説 家 が随 筆 家、 考証家に転じたと見るのは短見にすぎよう。初期の作品は、想像力 を駆使し華やかな修辞を操って、幻怪なあるいは壮麗な綺譚の世界. −2−.

(4) 『露 伴 全 集 』全 四 十 一 巻 ・別 巻 二 巻 ・附 録 一 巻 (岩 波 書 店. 昭和五十 三. を築き上げたといえるし、事実に基づいた史伝へ移ったのは想像力が 減退したからだと受け取られても無理はなさそうである。しかし事 実をただなぞりながら記述するのではなく、事実の重みを抵抗とし て受け止めながら、この抵抗に見合うほどの力強い想像力を働かせ、 双 方 の力 の拮 抗 した緊 張 状 態 の上 につくり上 げられたのが 『運 命 』 『連環記』などの諸 作である。この事実に即した想像力の気魄のこも った一貫性によって、それらの諸作は、近代小説の多くがほとんど保 ちえないほどの広 がりと厚みを獲 得 している。露伴は同時 代の代 表 的 作 家 たちのよう に西欧 近 代 には親 しまなかったし、その意 味で古 風だが、この古 風さ には近 代 を超 える力がある。このほか将棋 や 釣 魚など多趣味な彼は、博覧強記による多数の随筆を発表した。 明 治 二 十 八 年 (一 八 九 五 )山 室 幾 美 子 と結 婚 、明 治 三 十 七 年 (一九〇四)次女文が出生、また、明治四十一年(一九〇八)年から 一 年 間 、京 都 帝 国 大 学 (文 科 大 学 )の講 師 を務 め、明 治 四 十 四 年 (一九一一)には文学博士の学位を受けている。 昭和二十二年(一九四七)七月三十日、老衰のため死去。八十一 歳。 尚 、号 の露 伴 は、上 京 す るときの句「 里 遠 くいざ 露 と寝 ん草 枕 」 に基づいたという。. 昭和二十二年. 平 成二十 一 年. 平成九年(一九九七)一月). 三宅雪 嶺 ・武田麟 太郎・織 田作 之助・幸田. 年(一九七八)五月―昭和五十五年(一九八〇)三月) 『近代 作 家 追悼文集成. 院大学出 版会. 平成二十四年(二〇一二)十月). 岡 田 正 子『 幸 田 露 伴 と西 洋 キリスト教 の影 響 を 視 座 として』(関 西 学. (一九四七)三月). 岡 崎 義 恵『 日 本 芸術 思 潮 ― ― 風 流 の思 想 』(岩 波 書 店. (二〇〇九)一月). 井波律子・井上章一 編『幸田露伴の世界』(思文閣出版. 露伴・横光利一』(ゆまに書房. 31. 斎藤礎英『幸田露伴』(講談社. 昭 和 三 十 一 年 (一 九 五 六 )三 月 ). 昭和五十二年(一九七七)七月). 昭和二十四年(一九四九)七月). 平成二十一年(二〇〇九)六月). 小 林 勇 『蝸 牛 庵 訪 問 記 』(岩 波 書 店 斎藤茂吉『幸田露伴』(洗心書林. 昭 和 五 十 九 年 (一 九 八. 昭和五十 九年(一 九八四). 昭和三十九年(一九六四)六月). 塩谷賛『幸田露伴』全三巻(中公文庫 篠田一士『伝統と文学』(筑摩書房. 篠 田 一 士 『幸 田 露 伴 のために』(岩 波書 店 四月). 平成十八年(二〇〇六)三月). 下 村 亮 一 『 晩 年 の露 伴 』増 補 版 (経 済 往 来 社 四)八月) 関谷博『幸田露伴論』(翰林書房. 関 谷 博『幸 田 露 伴 の非 戦 思 想 人 権 ・国 家 ・文 明 ― ―「 少 年 文 学 」を 中. 平成十六年(二〇〇四)八月). 平成二十三年(二〇一一)二月). 昭和二十三年(一九四八)六月). 心に』(平凡社. 瀬里廣明『露伴と道教』(海鳥社. 昭和二十七年(一九四二)). 登尾豊『幸田露伴論考』(学術出版会〈学術叢書〉 平成十八年(二〇〇. 高木卓『人間露伴』(丹頂書房 六)三月). 柳田泉『幸田露伴』増補版(真善美社. 【二 二 ⑨ 】 ●おろそか 疎そか。踈そか。麁そか。物事や人の扱いなどに心を入れないで、 なおざりであるさま。いいかげん。疎略。不十分。不注意。 「 おろ」は 「 おろか」「 おろおろ」などと同 じく 「 不 完 全 ・不 十 分 」の 意。 「そか」は状態を表わす接尾語。 もともとは 「 飾 りたてず 簡 素 なさ ま」「 まばらなさ ま」といった意 で用 いられていた。中 古 には 「なおざ りであるさま」の意が生じ、 「お ろか」と重なりを持った。中世以後、 「おろか」は 「愚」に、 「おろそか」 は 「疎略」に分化していき、近代に至っている。 ●文筆【二二⑨】. −3−.

(5) 文 字 を書く筆の意 。筆を執 って詩 歌や 文章 を書くこと。また、そ 説 明 があるところから、中 世 末 期 においてはホウグが優 勢 であり、 の技術やできあがった作品。 近 世になってからもホウゴ・ホンゴ・ホゴ・ホング・ホグなどとともに主 中 国 では古 く、韻 文 など装 飾 的 なも のを「 文 」と称 し、散 文 を 要な語形として用いられている。 「筆」と称して区別した。 「 反 故 」「 反 古 」を表 わす 語 形 は数 が多 く、そのいくつかは同 時 代 「 文 筆 家 」で 「 文 章 を書 くことを職 業 とす る人 。文 士 。作 家 。」の に並行して用いられている。ホグ・ホゴの語形も古くからあったが、特 意がある。 に近 代 になって有 力 となった。明 治 ・大 正 期 の国 語 辞 書 の多 くは、 「ほぐ」を主 、 「ほご」を従 として項目を立てており、 「ほご」の語形が ●なおさら【二二⑨】 一般的になったのは比較的最近のことである。 猶 更 。尚 更 。 「 なお」を強 めた言 い方 。ある状 態 や 他 のものに比 べ 【二 二⑪ 】 ていっそう 程度が増 すさまを表わす。ますます。いちだんと。もっと。 ●だらしなく 物事のけじめがつかないで、きちんとしていない。秩序がない。しま ずっと。さらに。 りがない。節度がない。ぐうたらだ。 語 源 については諸 説 ある。 「 しだらない」の 「 しだら」が音 転 したも ●終生【二二⑩】 生命の終わるまでの間。一生。一生涯。終身。 のと考 える説 が有 力 である。 「 しだら」の形 容 詞 形 としての、一般 の 秩 序 から外 れた乱 れた状 態 を意 味 す る 「 しだらない」が、好 ましく 【二二⑩】 ●ほご ないことを表わす 語に多く見られる、語頭に濁音が来る形として、 原典では 「反古」。 「だらし(ない)」の形で安定したものと考えられる。 反 故 。反 古 。書 画 などを書 き損 じて不 用 となった紙 。ほぐ。ほう 『滑稽本・浮世床』初 ・上の 「しだらがないといふ事を 「だらし」がな ご。ほうぐ。 い、 「きせる」を 「せるき」などいふたぐひ、下俗の方言也」という説明 奈良期に 『本古紙』〔正倉院文書 天平宝字四年六月二五日・奉 から、俗 語 ・隠 語 的 なことばとして、一般 庶 民 の間 に広 がる形 で定 造 丈 六 観 世 音 菩 薩 料 雑 物 請 用 帳 (大 日 本 古 文 書 四 )〕、 『本久紙』 着していった可能性も充分考えられよう。 〔正倉院文書 天平宝字六年石山院牒(大日本古文書一五)〕の表 諸説として、日置昌一『ことばの事典』(講談社 昭和三十年(一 記 で見 えるものが古 い。また、 『霊 異 記 』下 ・三 八 には 「 本 垢 」とあり、 九五五))では、手拍子のシダラから出た。また、梵語スートラ(修多 当初の語形はホゴ・ホグ、あるいはホンク(グ)であったと考えられる。 羅)の転とある。また、自堕 落 の転 という 可能 性も述べている。一方、 平安 期の仮名 文では 「ほく」と表 記さ れることもあるが、ホンクの 金 田 一 京 助『語 原 論 』においては、次第 ・順序 の意を持つ漢 語 にラッ 撥 音 無 表 記 とも見 られる。 『 色 葉 字 類 抄 』には 「 反 故 ホク 俗 ホン シ(臈 次)があり、その 「ラッシがない」に罵っていうダ(駄)が付 いたも コ」とあり、鎌 倉 時 代 においては、複 数 の語 形 があったこと、正 俗 の のとしている。 意識があったことなどが分かる。 」の項 に 「 (ほう ぐ)と発音される」との 『日 葡 辞書 』の 「 ●おっぽり出す【二二⑪】. −4−. o g n o F. u g ô F.

(6) 「おっ」は接頭語。 押 放 出 。捨 てるよう にして投 げ出 す 。ほう り出 す 。また、中 途で あきらめてやめてしまう。. 【二 二 ⑫】 ●棒を引く 真直ぐ線を引く。書いてある字 の上に線を引いて消す。帳消 しに する。棒引きにする。文章のできの悪い部分に棒を引いて消すこと。 文章を推敲すること。 【二 ●紙一枚作る苦労よりできの悪い文章に棒を引くほうが楽だ 二⑫ 】 紙を一枚 一枚漉いてつくることは容易でなく、その一枚に工 人の 労 苦 がこもっている。それに比 べると、その紙 を用 いて文 章 をつくる ことの方がたや すく、文章 を推 敲す ることの努力などはものの数で はないという意味。一字も卑 しくしない露伴の文 人気質はもちろん、 工人のものをつくることを重んじ敬 った、いわば実学者らしいものの 考え方がよく表れている。 【 二二 ⑫ 】 ●紙を作れと言われても自分にはできない 紙 をつくることの難 しさ や 労苦を表 しているが、露 伴は多芸の士 で、何でも自 分 のしかたを修 めなければ気が済 まなかったことも想 起する必要があろう。 【二 二 ⑭】 ●くずかご 原典は 「屑籠」。紙屑など、廃物を入れる籠。 【二二⑭】 ●燃して もやす。焚く。. ●終わりを見届ける【二二⑭】 最後の始末をつける。人間の死に際を見届け、死者を葬ることを この場 合 に転 用 した擬 人 法 的 表 現 で、紙 をも生 命 あるものとみな しているニュアンスがある。もちろん紙を大切にしている心の表れであ る。ほごを人 の目 に触 れさ せたくないという 文 人 としてのたしなみ が使用済みの紙を自分ので燃やすという行動に表れている。. ●晩年【二二⑭】 年をとったとき。一生の終わりの時期。晩歳。 露伴は、昭和十九年(一九四四)、数え年七十八歳で大患にかか ってから、次第に足腰が不自由になった。. 【二 二 ⑮】 ●ごみくた 塵腐。ごみ。あくた。さまざまなごみ。. 【 二 二⑮ 】 ●ごみ 塵。芥。 大槻文彦は 『 大 言 海 』においてはチリゴミ(散 込 )などの語 の上 略 かと推測している。松岡静雄は 『日本古語大辞典』の中で氾濫の義の コミからとし、その際多くのゴミ(屑)がよるところからと推測してい る。. ●さらわせる【二二⑯】 浚わせる。渫わせる。 ①川・池 ・井戸などの底にたまっている土砂などを掘り上げてすっか り取り去る。かきのける。 ②そっくり持ち去る。きれいに取る。 『色葉字 類抄 』には 「擢 サラフ」とある。 『名 語記』八 には 「池溝な とをさ らふ如 何 、答 擢 とも避 掃 ともかけり、掃 治 の義 也 」とある。. −5−.

(7) 【二 二 ⑯ 】 ●なるべく 副詞。動詞「なる(成)」の終止形に、可能の助動詞「べし」の連用形 が付いてできた語である。できるだけ。できる限り。なるだけ。 ●家のものもなるべく注意している【二二⑯】 紙 を散らかさ ないように注意 している。特 に露 伴 の書き崩したほ ごを他のゴミと一緒にしてくず屋に渡したりしないようにしている。. 【二 三 ①】 ●とかく 副 詞「と」と副 詞「 かく」を合 わせたもの。 「 兎 角 」「 左 右 」は、とも に当て字。 ① 雑 多 な事 態 を包 含 的 に指 示 す る。あれこれ。あれや これや 。何 や かや 。さ まざ ま。いろいろ。とかくに。ある事 態 の詮 索 や 拘 泥 を 打ち切って、判断や意志を決めようとする気持を表わす。いずれに せよ。何はともあれ。ともかくも。とにかくに。とかくに。 ②ある一つの状態が、特定の条件を要するまでもなく、成り立ちや す いという気 持を表わす 。何 かにつけて。得てして。どうかす ると。 ともすれば。とかくに。 対照的な内容をもつ副詞「と」と 「かく」を複合して用いるもので、 中 古 以 降 現 代 まで使 われている。古 語 においては、 「 かく」のクがウ 音便化して 「とかう」となることもある。 「と」「かく」にそれぞれ付 加 的 要 素 をつけて、 「とにかくに」「とに もかくにも」「ともかくも」「とや かくや 」「とてもかくても」「とてや かくてや」、また 「とあるもかくあるも」「と言ふともかく言ふとも」 「 とや せんかくや あらまし」など、 「 と」「 かく」それぞれが単 独 で副 詞本来の用法を果たすものである。名詞が結びついて、 「とさまかく さま」のように用いられることもある。. ●書信【二三③】 書面による音信。たより。手紙。書状。. ●帯封【二三③】 新 聞や 雑誌 などを郵 便で送 る時 に、あて名 などを記 した紙を帯 のように巻いて包装すること。また、その紙。帯紙。郵便物として封 筒に入れる代わりに幅の狭 いハトロン紙などで帯のように包 み、そこ に上書きする。. 【二 三③ 】 ●ぞんざい 物 事 をいいかげんにす ること。投 げや りにす ること。粗 略 にす る こと。また、そのさま。 『志 不可 起』三 には 「ぞんざ い 自 亢 りて礼 を濫 るものを云 存 在 の 字なるよし」とあり、語源を 「存在」の義としている。. ●傲慢【二三④】 おごりたかぶって、人 をあなどること。人 をみくだして礼 儀 を欠 くこと。また、そのさま。. 【二 三 ④】 ● すく 原典では 「漉く」とある。 紙の原料を水に溶かし、簀子の上にすくいあげて、薄く平らに作 る。紙を作る。 『 色 葉 字 類 抄 』には 「 漉 スク 漉 紙 スクフ 漉 酒 」とある。 『名 語 記』六 には 「紙 をすく。如何。すくは漉 也。したつともよめり」、八に は 「水などをしたつ如何。淋也、漉也」とある。 【二三⑤】 ●けんそん 原典には 「謙遜」とある。. −6−.

(8) へりくだること。卑 下 す ること。ひかえめにす ること。また、その さま。謙譲。謙退。 ごう. ●経 験のな いことには人はみな傲 慢だ。紙をすく経 験をしてから けんそんになるのでは愚かだ。 【二 三 ④ ー ⑤ 】 人 間は、自 分が一度でも経 験 したことについてはある程度 の理 解 もあり、仕 事 の尊 さ や 難 しさ もわかるが、経 験 のないことに対 して はとかく侮 り軽 視 す る傾 向 がある。実 際 に物 事 を経 験 す れば、人 はその尊さや難しさがわかり、へりくだった気持ちにもなれるが、そ れでは愚 かで、経 験をす る前から、自分の経験 しない仕事の尊さや 難 しさ に対 して経 験 した場 合 と同 様 に謙 虚 でなければならないと いっている。. 【二三⑥】 ●そいつ 紙 などをす く経 験 をしないために、紙 を漉 くことの尊 さ や 労 苦 を知らない人間 。ここでは、あとに 「ちくりとやられた」とあるから、 あんに幸田文自身を指している。 【二三⑦】 ●ちくりと わずかであるさまを表わす語。すこし。 針など先のとがったもので刺すさまや、そういう痛みを感じるさ まを表わす 語 。また、比 喩的 に皮肉 や苦 言 などが人を刺激するさ まをもいう。風刺的に指摘されることをいう。真正面から大上段に 振りかぶってとがめられるのではない。 」の項 には 「 チクリト(ちくりと) 副 「 日 葡 辞 書 」には 「 詞。少し。」とある。 o t i r u c i h C. ●紙の足【二三⑧】 和 紙 を漉 く際 、原 料 に用 いた樹 皮 の繊 維 などがはみ出 たよう に. なっている端の部分の状態をいう。 「足」を 「耳」ともいい、普通は裁断 機 で切 り落 としてしまう が、故 意 に趣 味 的 に残 して珍 重 す る場 合 もある。ここでは裂 いた部 分 の、繊 維 がでこぼこをなして表 れている ところをいう。. ●拡大鏡【二三⑧】 むしめがね。物 体 を拡 大 して見 る器 具 。普 通 は一 個 の凸 レンズが 使われる。ルーペ。. ●洋紙【二三⑨】 日 本 古 来 のコウゾ、ミツマタ、ガンピを使 い、ねりを加 えて作 る和 紙以外の紙の総称。ただし板紙は除く。海路伝来してきた紙を意味 するが、普通はヨーロッパ伝来の製紙法により木材パルプを機械で抄 いた紙 をいう 。古 代 中 国 で発 明 さ れた紙 は麻 ぼろなどから得 た長 繊 維 パルプから手 す き技 術 によって製 造 さ れていたが、ヨー ロッパに 渡 り抄 紙 機 械 が発 明 さ れ、木 材 パルプを用 い大 量 生 産 が可 能 な洋 紙 となった。木 材 パルプまたは綿 や 麻 などを主 原 料 とし、これに塡 料、サイズ剤、紙力増 強剤、歩 留り助剤、染料などの一部または全 部を加えて抄造した紙で、明治時代になって従来の手すき和紙に代 わって外 国 から技 術 や 機 械 を導 入 して抄 紙 したという ことから洋 紙と呼ばれる。日本における洋紙の生産は明治七年(一八七四)有 恒社が綿ぼろを原料として作ったのが初めであり、徐々に生産量が 増加したが、洋紙の生産量が和紙のそれを超えたのは大正二年(一 九 一 三 )以 降 である。日 本では現 在 、紙 および板 紙 のほとんどが洋 紙である。なお、伝統的和紙の原料となる三椏パルプ、雁皮パルプの ほか麻 パルプなどの長 繊 維 パルプを機 械 で抄 いた和 紙 風の薄 葉紙 や、 場 合 によっては木 材 パルプを主 原 料 として機 械 で抄 いて図 面 の複写 用の薄葉紙に仕上げたものは、機械抄き和紙として取り扱われる。 用紙の種類はきわめて多く、単一品種で最も多いのは新聞用紙で. −7−.

(9) 平成十八年(二〇〇六)). 【二三 ⑪】 ●尊くて 原典には 「貴くて」とある。 「尊い」は 「うやまう。重んじる。大切にする。」の義。 「貴い」は 「値段が高い。値打ちがある。」の義。 「貴」が適切である。. ある。そのほかに印刷用紙、筆記図画用紙、薄葉紙、家庭用薄葉紙、 「諜」がある。 雑 種 紙 などに分 類 さ れる。薄 葉 紙 のなかには機 械 すき和紙 に含ま 「 窺 」は 「 穴 などを 通 して向 こう 側 のことを う かがう 。かいまみ れる品種もあるので、洋紙の定義もそれほど厳密ではない。 る。」の義。 「伺」は 「様子をうかがう。人の言動をひそかに観察す る。」の義。 『 知 ってお き た い紙 パの実 際 』(紙 業 タイムス社 平 成 十 九 年 (二 〇 〇 「候」は 「様子を知ろうとする。状態をおしはかる。」の義。 七) 「 探 」は 「 さ ぐって明 らかにしよう とす る、さ がし求 める。」の義。 王 子 製 紙 株 式 会 社 販 売 部 調 査 課『 日 本 紙 業 綜 覧 』(成 田 潔 英 昭 和 十 「偵」は 「相手の様子をひそかに調査し、さぐる。」の義。 二(一九三七)年九月) 「覗」は 「こっそりのぞく。中をぬすみ見る。」の義。 王 子 製 紙 編『紙 ・パルプの実 際 知 識 』第 六 版 (東 洋 経 済 新報 社 平 成 十 三 「覘」は 「そっと様子をうかがい見る。」の義。 年(二〇〇一)六月) 「諜」は 「スパイや器械などを使ったりして、ひそかに敵や相手の様 子をさぐる。」の義 尾鍋史彦 総編集『紙 の文化事 典』(朝倉書 店. パピルスから ステンレス紙 まで』. 門屋卓『新しい紙 の機能と工学』(裳華房〈新教科書シリーズ〉平成十三 年(二〇〇一)十一月) (講談社ブルーバックス、平成十九年(二〇〇七)六月) 昭 和 十 七 年 (一 九 四 二 )十. 昭和三十六年(一九六一)). 【二 三 ⑪ 】 ● ぜひ 原典には 「是非」とある。 ①是と非。道理があることと道理がないこと。よいことと悪 いこと。 善悪。正邪。 ②事 情がどう あろうとも、あることを実 現しよう、実現したいとい う 強 い意 志 や 要 望 を表 わす 語 。是 が非 でも。どう あっても。きっ と。ぜひとも。 ここでは②の義。 【二三⑫】 ●なごり 原典にも 「なごり」とある。. −8−. 紙 の博 物 館 編『紙 のな んでも 小 辞 典 成田潔英編『紙業提要』(丸善 一月. 西 嶋 東 洲『 日 本 紙 業 発 達 史 』(紙 業 出 版 社. 〉. 原 啓 志 『 紙 のおはな し』 (日 本 規 格 協 会〈 おはな し科 学 ・技 術 シリー ズ〉 平成十四年(二〇〇二)二月) 平成十八年(二〇〇六)十一月). 山内 龍 男『紙 とパルプの科 学 』(京都 大 学 学 術 出 版 会〈 学 術 選書. ●うかがわれる【二三⑪】 原典には 「窺われる」とある。 「うかがう」は、古くは 「うかかう」。 垣間見る。様子などをひそかにさぐる。物のすきまなどから、そ っと様子をのぞき見る。(それとなく)様子をさぐる。 う かがう の同 訓 異 字 には、 「 窺 」「 伺 」「 候 」「 探 」「 偵 」「 覗 」「 覘 」. 018.

(10) 名残。余波。ある事柄が起こり、その事がすでに過ぎ去ってしまっ 【二三⑬】 たあと、なおその気配・影響が残っていること。余韻。余情。 ●ふし 他と区別される事柄。物事の、ある点。所。箇所。かど。事柄。箇 もともとは 「余波」の義で、浜、磯などに打ち寄せた波が引いたあ 条。心のとまるところ。思われる点。 と、まだ、あちこちに残っている海 水。また、あとに残された小魚や 海藻類をいう場合もある。風が吹き海が荒れたあと、風がおさまっ 【二 三 ⑭ 】 ●けち ても、その後 しばらく波 が立 っていること。また、その波 。なごりな 、ち 、」と傍点が附されている。 原典には 「け み。なごろ。 なみのこり 「吝 嗇」とも書く。金銭や品 物などを惜 しがって出さないこと。み 「波残」の変化したものといわれる。 みっちいさま。また、その人。りんしょく。 【二 三⑬ 】 ●ぴりりと もともとは、縁 起 が悪 いこと、そのさ まをいった。不 吉 。不 祥 。ま からだがひきしまるようなきびしいさま、態度がしっかりしている たは、不吉なことの前兆。 さまを表わす語。ぴりっと。 ●ぶつくさ【二三⑭】 【二三⑬】 滑 稽 ●こっけい 不平や不満をはっきりとしない小さな声でいうさまを表わす語。 ことばが滑 らかで、知恵 がよくまわること。機 知に富んだ言 動 を ぶつぶつ。 す ること。巧 みに言 いなすこと。転 じて、ばかばかしくおかしいこと ばや言いかた。諧謔。おどけ。ざれごと。 ●おうよう【二四①】 鷹揚 。鷹が大空 に飛ぶ姿がいかにも自信にみち、おおらかである いかにもばかばかしいこと。くだらなくみっともない感じを与える よう す を表 す 。ゆったりとして威 厳 があること。小 さ なことにこだ さま。 わらないで、おっとりしているさま。ようよう。 『 奥 義 抄 』下 には 「 漢 書 云 、誹 諧 者 滑 稽 也 。滑 妙 義 也 。稽 詞 不 尽 本 来 は武 勇 のさ まを表 わす 漢 語 で、 「『 大 (おおらか)』な 『様 (あ 也」とあり、 『元和本下学集』に 「滑稽 コッケイ 利口之義也」とある。 『史記』の 「滑稽列伝」は、おかしみのある話をもって主君を風刺し、 りさ ま・よう す )』」の構 成 を持 つ和 製 語 (「ことや う (異 様 )」「べつや う(別様)」などからの類推か)と見られる 「大様」とは別語であるが、 また治政に貢献する人物を描く。 「鷹揚」は我が国では近世 『史記索 隠』には 「滑 稽」について、口が達 者でうまく言いくるめる、 意味と語 形の接近から両者は混同され、 以降、 「大 様 」の意 味 で、 「 おほや う 」と表 記 さ れて用 いられている。 酒樽 から酒が流れ出 るようにことばが溢 れ出 る、カッケイと読んで 「大様」と 「鷹揚」とは、本来別語であった。 「鷹揚」は、古くより存 「俳諧」と同義、などと注している。 した漢 語 で、空 を飛 ぶ鷹 の姿 から、ゆったりとして威 厳 をもち、武 日 本 でも上 代 から基 本 的 には同 じ意 味で使 われており、近 世 に 勇 があるさ まをさ したが、日 本 では、江 戸 時 代 以 降 、 『 譬 喩 尽 』に は 「利 口」、あるいは 『滑 稽太平 記』の 「滑 稽」のように文学ジャンルと 「鷹揚 にみせて我物不入 大様大容大用並に同」とあるように、音・ しての 「俳諧」と同義とされることもある。. −9−.

(11) 意 味 が類 似 す る 「 大 様 」と混 同 さ れ、小 さ なことにこだわらず に、 おっとりしているさ まをいう よう になる。また、 『 増 補 俚 言 集 覧 』に よれば、 「大様」は、漢語の 「汪洋」に由来するともいう。 ●ロール半紙【二四①】 ロー ル紙 を一般 雑 用 に使 いや す いよう に、半 紙 の大 きさ に切 った もの。 ●しかるべき【二四②】 原典には 「然るべき」とある。 動 詞「しかり(然 有 )」の連 体 形「 しかる」に助 動 詞「べし」の連 体形 「べき」の付いたもの。 現代語で、 「てしかるべき」の形で用いる。当然な。当たり前な。 ●ざら紙【二四③】 (「更紙」と書くこともある)洋紙の一つ。良質でないざらざらした紙。 新聞印刷などに用いる。ざらし。ざら。 上 田景二の 『模 範 新 語 通 語 大 辞 典 』によれば、 「ザラガミ 更 紙。 専 ら新 聞 印 刷 に使 用 す るものにて、ザラザラす る紙 の意 」とある。 ●不親切【二四③】 親 切 でないこと。情 がう す く配 慮 のゆきとどかないこと。冷 淡 な こと。また、そのさま。 『詞葉新雅』によれば、 「フシンセツナ おろかなる」とある。 ● 業 者 と使 用 者 と両 方 がな ま け者 で不 親 切 な せいだ【 二 四 ② ー ③】 「 なまけ者 」は、ここでは改 良 を怠 っている者 を指 す 。 「 業 者 」だけ ではなく 「使 用 者 」もあげている点 に注 目 したい。 「使 用 者 」が 「なま. け者」だというのは、批判なり改良の要求なりを怠っている意。. ●はたから【二四③】 端から。傍から。側から。直接には関わりのない、または本系から はず れた立 場 。また、その人 。かたわら。そば。わき。第 三 者 。周 囲 にいる人。. ●やっき【二四④】 、つ 、き 、」とある。 原典には 「や 気 持 のせくこと。はや ること。いらだつこと。や きもきす ること。 また、そのさま。. ●ひとりずもう【二四④】 原典には 「一人相撲」とある。 相手がなかったり、あっても全く問題にされていなかったりするの に、ひとりで夢 中になってその事に取り組むこと。また、その結果何 も得 ることなく終 わること。自 分だけで勢 い込 んでも、相 手がなく、 あるいは相手がそれを認めず、無意味に終わること。本来は文字通 りひとりずもうで、単身で裸体となり、二人で相撲をとるまねをし て銭を請う者。. 【二四⑤】 悪 態 ●あくたい 原典には 「悪たい」とある。 悪 態 。悪 口 を言 いののしること。口 汚 くののしること。また、その 悪口。にくまれぐち。あくたれぐち。あくたいぐち。 「つく」は 「吐く」 の意 。樋 口 一 葉 の 「 たけくらべ」には 「 生 意 気 はつくな。」という 用 例 がある。 【 二四 ⑥ 】 ●なまぬるい. −10−.

(12) 生温い。厳しさが十分でない。てぬるい。いい加減で徹底しない。あ まい。. 注 1 『釧路論集』第四十八号 平成二十八年(二〇一六)十二月 二 九~ 三 八 頁 2 『語学文学』第 五十五号 北海道教育大学語学文学会 平成 二十八年(二〇一六)十二月 二三~三二頁 3 『 国 語 論 叢 』第 八 号 さ いたま国 語 教 育 学 会 平 成 二 十 九 年 (二〇一七)三月 一一~二三頁 4 『国語論集 』北海 道教育大学釧路 校国語科教育研究室 平 成三十年(二〇一八)三月 一~八頁 〕内の( )数字は、 「教材「紙」考(1)」、 「教材「紙」考(2)」、 「教 材. 「 紙 」考 (3)」、 「 教 材「 紙 」考 (4)」の末 尾 数 字 をそれぞれ示 す ものである。. 5 尚、 〔. ※ 本稿は、JSPS科研費( 18K02517)による成果の一部である。 (さのひろみ/北海道教育大学釧路校教授). −11−. 15.

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