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教材「紙」考(1)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 教材「紙」考(1). Author(s). 佐野, 比呂己. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第48号: A29-A38. Issue Date. 2016-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/8221. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 教材「紙 」 考 ( 1 ). (" the paper ) A Study on "Kami. 一 所収教科書について. Part.1.. 佐 野 比呂己. 北海道教育大学釧路校国語教育講座. さらには柳田の求める教材は、過去において教科書に取り上げられたことの ない清新な文章を対象としている。いわゆる定番教材をことごとく嫌ったので. うことを念頭において読書されていた。. てくる教材がいちばん多いくらいに熱心に選択せられ、いつも教材とい. ものを候補作品として編集委員の方へ回付された。先生の手からわたっ. 教材については、監修を引き受けられてから読書のつど適当と思われる. れに細かい批評や注を朱筆された。中学や高等学校の教科書に採用する. 根本方針や単元編成はもとより、教材の選定や取材範囲などについて も一々具体的に指示され意見を述べられた。教材のプリントができてそ. いる。3. る大藤時彦は柳田の教科書づくりへの熱意について具体的に次のように述べて. 一番初めに名前があるのは、日本民俗学の創始者・柳田国男である。柳田は、 この高等学校教科書に対してなみなみならぬ情熱を注ぐ。編集委員の一人であ. 同. 同 石田圭介 同 上原晴夫 水藤春夫 . SANO,Hiromi Department of Japanese Language Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education. 2. 「紙」は、昭和三十三年(一九五八)四月三十日に文部省の検定を通り、昭 和三十四年(一九五九)に東京書籍から発行された教科書『新編国語 総合編 一』 (A 一 -〇八九)に所収されている。 1 この教科書は昭和三十年(一九五五)に発行された教科書 の改訂版である。 この教科書の編集に携わったメンバーは次の通りである。 学士院会員 芸術院会員 柳田国男 国立国語研究所第一部長 岩淵悦太郎 成城大学講師 大藤時彦 国士舘大学教授 亀田純一郎 富山大学助教授 手崎政男 日本女子大学教授 中島武雄 東京大学教授 成瀬正勝 国立国語研究所員 林大 東京都立石神井高校教諭 福田稔 元第一高等学校講師 鎗田亀次 東京書籍株式会社編集部 土井英丸 . - 29 -. . 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第48号(平成28年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.48(2016):(29)-(38).

(3) 佐 野 比呂己. る。「紙」の初出は昭和三十一年(一九五六)二月の『學鐙』(第五十三巻第二. 定を受けるわけだから、当時としてはかなり新しい教材であるともいえよう。. ある。4柳田の教材選定には独特のものがあり、 「編集委員もおどろく」ような. 前述の通り、清新な文章を求めた柳田にとって、新教材の意味は大きい。柳田. ものが多かったという。5 ここで、この教科書所収の教材を分析・考察を加えることは、昭和三十年代 における教科書、教材、そして高等学校国語科教育のありようを照射するとと. 号 丸善)である。また、「紙」所収の随筆集『ちぎれ雲』(新潮社)が発行さ れたのはその年の六月であった。改訂版が昭和三十三年(一九五八)四月に検. もに、柳田の思想、文学観、言語観、教育観の具現化された姿を確認するとい. のこの教材に対しての思い入れが強かったということをうかがい知ることがで. あや. がある。. 「筆者」の項目において次のような記述が見られる。 また、指導書には、. (ママ). ここでいう「最近」とは、教科書発行当時であることは言うまでもない。文 が亡くなるのはその三十年以上も後のことになる。文に関する研究は実に多い. いたが、最近では創作に専念し、多くの著作がある。. 幸田文〔コウダ アヤ〕一九〇四年〔明治 〕五月、東京都の生まれ。 幸田露伴の二女。女子学院卒業。はじめは主として随筆の筆をとって. 9. 幸田 文 一九〇四年〔明治 〕東京都の生まれ。小説家。女子学院 卒業。おもな著書に「父」「みそっかす」「流れる」 「ちぎれ雲」など. こうだ. 8 「紙」の筆者・幸田文について、教科書には次のように記されている。. 三 筆者・幸田文. きよう。. う点で意義深いものであると考える次第である。. 二 教科書における「紙」の位置 . ). さて、この教科書は、次の十二の単元で編成されている。 一 随筆 古文入門 一 ( 二 三 鑑賞 四 話しことば. 五 紀行 六 漢文入門 七 読書 八 小説 九 古文入門 二 ( ) 十 社会生活と記録 十一 言語と社会 十二 中国の風土. ので詳細は他に譲ることとし、文については簡潔に摘記することとする。 随筆家。小説家。. 父は明治の文豪幸田露伴。次女。明治三十七年(一九〇四)九月一日 東京向島に生まれる。. 二十四歳で酒問屋へ嫁ぎ、店の再興に力を尽くすが、十年を経て昭和 十三年(一九三八)離婚し、娘の玉子 青(木玉 と)ともに父のもとにかえ る。以後、露伴が没するまで、その身辺で世話をする。戦時中には、露. 一 浅春随筆(栃内吉彦) 二 大蛇・小蛇(片山広子). の三編については、 この四編のうち、「浅春随筆」「大蛇・小蛇」「ろくをさばく」 改訂前から所収されている教材である 7。 「紙」だけが改訂後に所収されてい. 五歳のとき母を失い、早くに姉弟を失い、幼いときから父露伴に家事 や身辺のことで厳しくしつけられる。. 「紙」は、 「一 随筆」の単元に入っている。この単元は次の四つの文章から 構成されている。6. 37. 三 紙(幸田文) 四 ろくをさばく(三淵忠彦). 10. - 30 -. 37.

(4) 教材「紙」考(1). 伴の生活物資の確保のために働き、少女時代から露伴にしこまれた生活 技術を実践していった。 、文、四十三歳のとき『芸林間歩』露伴特 昭和二十二年(一九四七) 集号に「雑記」を載せ、注目される。同年七月露伴死去に伴い、父の死 をえがいた随筆「終焉」 「葬送の記」を書いて文壇に登場。父の思い出 などを中心にした「父」 、「こんなこと」 、 幼少時の思い出を書いた「みそっ かす」などを出版した。わずかの間に文の魅力は存分に発揮され、いわ ゆる戦後派の文学とは無関係に、静かに多くのファンをうんでいく。 その後、断筆宣言をして柳橋の芸者置屋に住み込みで働いたのち小説 に 転 じ「 流 れ る 」 ( 昭 和 三 十 年( 一 九 五 五 ) ) で 新 潮 社 文 学 賞、 及 び 芸 術院賞を受賞。 『黒い裾』 (昭和三十年(一九五五) )で読売文学賞を受 賞した。 「流れる」は自らの柳橋の芸者置屋の住み込みの体験を基にし た も の で、 教 養 あ る 中 年 の 女 中 梨 花 の 眼 を 通 し て、 傾 い て い く 芸 者 置 屋の半年の流れを描いた秀作である。作品はほかに「おとうと」(昭和 三十一―三十二年(一九五六―五七) ) 、「闘」 (昭和四十年(一九六五)). ●幸田文・教科書教材目録. 8. 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1. おとうと. 風の記憶. 秋の電話. あとみよそわか. ふな. 毛虫. くわの実. アカ. おふろ. 作 品. 9. なた うずまき 思い出 みそっかす 稀有の実際 おばあさん 紙. 学年 小5下 小6上 小6下 中1 中1上 中1上 中1上 中1上 高1 高1 中1 中2上 中2 中2 高2 中3上 中3 中3 中3 中3下 高1 高1 高1. ‌. 掲載年度. 出版社. 教出. 学図. 学図. ‌ ‌ ‌. ‌ ‌ ‌. 光村. 大修館. 大修館. 大修館. 大日本. ‌ ‌ ‌. 筑摩. 光村. 二葉. 教出. 三省. 三省. ‌ ‌ ‌. 角川. 角川. 東書. 中教. 修文館. 大書. 大書. 光村. 教出. ‌ ‌. ‌ ‌. ‌ ‌. 清水. ‌. 50 62 61 68 61 52 65 55 58. 58 63 56 57 53 66 62 59 53 83 61 62 59 62 91 57 52 50 50 67 56 06 94 55 52 52 70 58 89 98 55 55 92 58 58. 11. 高2. - 31 -. で女流文学賞受賞、 「木」などがあり、また露伴に関する書も多い。江 戸前の歯切れのよく、簡潔でしかもリズムがあり、緊張感が漂う文章で 知られた。 昭和三十三―三十四年(一九五八―一九五九)にかけて中央公論社か ら『幸田文全集』全七巻が刊行され、戦前からの女性作家たちより先に 全集を刊行するに至った。文の随筆は高校を中心に教科書に採用され、 また入学試験の題材となるなど活躍した。 昭和五十一年(一九七六)芸術院会員。 晩年には、奈良斑鳩町の法輪寺の三重塔再建に尽力した。 平成二年(一九九〇)十月三十一日死去。八十六歳。 『幸田文しつけ帖』(平 一人娘の青木玉は文の未刊行作品を編纂した。 凡社) 『幸田文の箪笥の引き出し』 (新潮社)も刊行している。 孫の青木奈緒も随筆家である。 、「おとうと」、「みそっかす」 国語科教育の領域においては「あとみよそわか」 をはじめとして左記のように、幅広く小学校・中学校・高等学校教科書に取り 上げられている。. 16 15 14 13 12 11 10.

(5) 佐 野 比呂己. 水. 高1下 高1 高1下 高3上 高1 高1 高1 高2 高2下 高1. 高1. えび. すずき 高1. 高1. 雨の萩 高1. 高1. 高1. 濡れた男 高1. 父の死. えぞ松の更新 高2. 白い花. 父・そんなこと. ことばの情感. 高2上. 高1. 高1. 高1. 現代文. 思い出二つ. 高3上. 高2. 高3 ことぶき. 高2. 高2. 現代文. たての木よこの木. 藤. ‌ ‌ ‌ ‌. 好学 好学 実教 実教 教図研 尚学. 大原. ‌ 明治 大修館 教図 明治 三省 三省. ‌. 東書. 秀英. 教出. ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌. 濃紺. 里芋と縁台. 材のいのち. 父露伴の思い出. 崩れ. 現代文. 現代文. 現代文. 現代文. 現代文1. 現代文B 現代文 現代文 現代文. 村のいのち. 現代文. 現代文. ひのき. 現代文. 壁つち. 現代文. 現代文. 杉柴の道. 現代文2. 明治. 清水. 教出. 日書. 筑摩. 桐原. 東書. 筑摩. ‌. ‌. ‌. 右文. 第一. 筑摩. 旺文. 教出. 筑摩. 三省. ‌. ‌. 金井景子は「紙」の書誌を次のように記している 。 . 四 「紙」の書誌. これらの文章は作品としての研究はなされているものの、教材としての研究 は十分になされているとはいえない。. 木のあやしさ. 96 04 04 99 99 98 96 04 98 14 96 96 95 57 04 00 04 09 03 00. 一 九 五 六( 昭 和 三 十 一 ) 年 二 月 五 日 発 行 の『 學 鐙 』 に 掲 載 さ れ、 一九五六(昭和三十一)年三月十五日の『紙及パルプ』に再掲された。. 「紙」の初出は丸善発行の月刊PR雑誌『學鐙』である。 . 『ちぎれ雲』に収録され、のち中央公論社版全集第一巻に収められた。 三省. 『和洋書籍及文房具時価月報』(明治十五年(一八八二)創刊)を合併、巻末. 『學鐙』は、現存のこの種の読書雑誌ものとしてはもっとも古い。明治三十 年( 一 八 九 七 ) 三 月『 学 の 燈 』 と し て 創 刊。 月 刊。 菊 判 三 十 頁。 第 三 号 か ら 教出. 三省. 大修館. 秀英. 秀英. 中教. 角川. 尚学. 光村. 明治. 第一. 筑摩. ‌. ‌. ‌. ‌. ‌ ‌. ‌. 99 04 95 60 57 53 56 98 94 76 95 74 03 73 63 73 63 59 63 59 57 57 67 63 63 57 56 59 56 60 70 67 99 60 98 99 07 76 67 67 70 79 70 73 82 76 85 88 91 94 98 ‌. 12. - 32 -. 35 34 33 32 31 36 40 39 38 37. 17 18 20 19 23 22 21 27 26 25 24 29 28 30.

(6) 教材「紙」考(1). に新着洋書目録を付した。明治三十五年(一九〇二)から『学燈』、さらに明. 田岡嶺雲のこと/村山芳郎. 楚囚の詩は一本か否か/村田平次郎. Brief-Introduction 新臨床醤學全書 南 ・の海に残された民藝に關する二つの新著 都 ・市行. ル コ ・ルビュジエの住居單位/奥井復太郎 細菌毒素シンポジウム1/福見秀雄. によせて/鳩山一郞・藤山愛一郞 Encyclopedia Amerieana 書評. 治三十六年(一九〇三) 『学鐙』に改めた。新着洋書類の案内を兼ねた評論随 筆雑誌として特色をもつ。作家・文芸評論家として活躍していた内田魯庵 明(. 治三十四年(一九〇一)入社 が)編集を担当するようになってから内容が刷新 され、とくに明治三十五年(一九〇二)一月号の「十九世紀に於ける欧米の名 著」に関するアンケートの調査結果が評判になった。魯庵はモーパッサンなど の翻訳や書物随筆など多数執筆。創刊時から広く日本の文化に寄与し、世界の 文化受容の窓口となるという一貫した編集姿勢は変わらず、一企業のPR誌を. 新着ノートから/善介. 早耳ニュース. 政の近代化. ライル博物館』をはじめ、執筆者には坪内逍遙、井上哲次郎、坪井正五郎、戸. 和書新刊紹介. 超えて我が国の学界・言論界の中で育ってきた雑誌である。夏目漱石の『カー 川残花、志賀重昂、森鷗外、上田敏、谷崎潤一郎、大岡昇平ら多数の日本を代. その一ヶ月後、紙・パルプ連合発行の『紙及パルプ』(第七巻第三号 四〇 ―四一頁)に再掲されている 。本文は横書きとなっているものの、稿末には. 表する学者、文芸家、言論人が筆を執り、学術エッセー誌にとどまらず、社会 や時代を映す鏡になっている。またゾラ、トルストイ、メーテルリンク、サル トル、モームなど外国文学書の紹介にも誌面を割いて、明治以来、外国文学移 入の窓口の役割も果たしてきた。関東大震災後、第二次世界大戦中に休刊、戦. 次のように記されている 。. 15. (二三⑨ 「機械による大量生産の洋紙はもっとよくなってもらいたいらしく」 ― ⑩ )「 時 に よ って は、 ロ ー ル 半 紙 は 下 等 だ と か、 ざ ら 紙 は い つ に な っ て も. 本篇は丸善発行の「學鐙」五三ノ二(昭和三十一年二月号)に掲げら れたもので、丸善並に筆者の承諾を得てここに転載しました。. 16. 進歩しない、ざら紙なりの進歩があってしかるべきだ、これは業者と使用者と. 両 方 が な ま け 者 で 不 親 切 な せ い だ、 な ど と 腹 を 立 て て 悪 口 を 言 い だ す の で あ. る。」(二四①―③)とあるように、紙・パルプ業界への幸田露伴の不満と期待 が述べられている。. さらに、その三ヶ月後、「紙」は、単行本『ちぎれ雲』(新潮社 昭和三十一 年(一九五六)六月)に収録されている。 目次は以下の通りである。 雜記 終焉 すがの かけら 齋藤先生三題. - 33 -. 後は昭和二十六年(一九五一)に復刊。明治・大正・昭和・平成の四代に亘る 文化の証言者としての意義は大きいものがある 。. 14. 「紙」は、昭和三十一年(一九五六)二月発行『學鐙』に掲載されている。 文は『學鐙』には二十七編の文章を寄せているが、「紙」はその最初にあたる 。 昭和三十一年(一九五六)二月号の目次は、次の通りである。 本を讀めない人々/福田定良 蘭学事始について/内山孝一 紙/幸田文 トーチカ/會野綾子 愛情の本 C.Kipps:"Sold for a Farthing" /浦松佐美太郎 ブルクハルトの新全集/西村貞二 図書館人としての湯浅半月/土井重義 大学英語教育のありかた/林碧蘿 時評 誰も叱らない民衆/池島信平 愛猿家シュワイツェル/高橋功 ピトエフ夫妻の一生⑴/高嶋慶三 イスタンブールの一夜/内田享 ☆海外文化の窓 BEACON. 17. 13.

(7) 佐 野 比呂己. 水仙. 旅をおもふ. れんず. 鴨. 造語家. 手づまつかひ. 風. はにかみ. よしなしごと. 書いたものにはちぎれ雲といふ思ひが強い。. ても心に定まりがない雲みたいなものとおもへる。ことに何年もまへに. 二百枚書いても、たよりなさは同じだ。書いてしまつた作文は見には見. 訴 へ や う も な い が、 そ れ は 現 在 の と こ ろ 二 三 枚 の も の を 書 い て も 百 枚. づれて、たよりなくふはつく感じなのだ。筆の目方がないのだから誰に. やつとそこに押へてゐられるけれど、最後の句点は打つと同時に錘がは. 作文といふものはなんだか変なもので、私には書いてゐるあひだだけ のもの―といふ気がしてしかたがない。書いてゐるうちだけはそれでも. てきた、それを集めたからだ。. おもふ。私がそんなふうにちぎれ〳〵になりゆき任せで一ツ二ツと書い. おもり. 膳 父の七囘忌に このごろ. 書房 昭和三十五年(一九六〇)五月)に採録されている。. 『幸田文全集』第一巻(中央公論社 昭和三十三年 その後、『ちぎれ雲』は、 (一九五八)十二月)、『幸田文集』〈新選現代日本文学全集〉第十二巻 筑摩. 紙. てんぐじよう 結ぶこと. また、平成五年(一九九三)二月には、講談社文芸文庫〈現代日本のエッセ イ〉の一冊として『ちぎれ雲』が発行されている。巻末に「本書は、『幸田文. 全集 第一巻』(一九五八年十二月 中央公論社刊)を底本として使用し多少 ふりがなを加えた。 」とある。. そ の 後、 岩 波 書 店 よ り『 幸 田 文 全 集 』( 全 二 十 三 巻、 及 び 別 巻 平 成 六 年 (一九九四)十二月―平成十五年(二〇〇三)六月)が刊行されている。この. 『幸田文全集』(中央公論社)以後は、「齋藤先生三題」が抜け、『ちぎれ雲』 は全二十三編から構成されるに至っている。. 片びらき. 全集は、四十余年にわたって執筆・発表された文の全作品を、概ね発表順に配. この本はあちこちにちぎれ雲が浮いてゐる―といつたかたちの本だと. 19. 2 巻末 3 「柳田先生と国語教育」(『教室の窓』第十一巻第十号 東京教育研究所 . 1 柳田国男監修『国語 高等学校一年上(高等学校第一学年前期用)』(東京 書籍 昭和三十年(一九五五)). 注. 教科書『新編国語 総合編一』の「紙」本文末尾には「雑誌「學鐙」による」 とある。したがって、原典は初出の『學鐙』となる。. されており、『幸田文全集』第一巻(中央公論社)を底本としている。. 20. - 34 -. ほん ぜに 二百十日 在鄕うた. 在鄕うた. 對髑髏のこと. 列 し て 収 録 し て い る。「 紙 」 は 第 六 巻 ( 平 成 七 年( 一 九 九 五 ) 五 月 ) に 収 載. 塔の影. あとがき 昭和二十二年(一九四七)七月の「雑記」から昭和三十一年(一九五六)二 月の「紙」までの全二十六編が収められている。娘・文の眼で明治の文豪・幸 田露伴を回想した最初期の随筆集である。 「あとがき」の直前には、発行順に並べ替えられた初出年月が明記されてい る 。 「 紙 」 が 最 も『 ち ぎ れ 雲 』 発 行 と 近 く に 発 表 さ れ て い る が、 中 程 に 置 か 「ちぎれ雲」と題した文章は所収されていない。その「あとがき」にタイト ルである「ちぎれ雲」の意味が記されている 。. れている。 『ちぎれ雲』自体の構成については別の機会に論じることとする。. 18.

(8) 教材「紙」考(1). 昭和三十七年(一九六二)十月)七頁 4 拙稿「柳田国男の教材論」 ( 『解釈』第四十七巻第十一・十二号 解釈学会 平成十四年十二月)四八―五〇頁 5 注3 七頁 6 本来であれば、柳田高等学校教科書の「随筆・随想」の単元の教材につい ても論じるべきではあるが、稿を改め、別の機会に論じるつもりである。 7 改訂前教科書(注1)においては、 「一 随筆・随想」単元には次の教材 が所収されている。 一 浅春随筆(栃内吉彦) 二 大蛇・小蛇(片山広子) 地図をいろどる(鏑木清方) . この春の花 昭和五十六年(一九八一)八月 松 楠 杉 昭和五十七年(一九八二)十月. 村のいのち 昭和五十三年(一九七八)四月 花とやなぎ 昭和五十三年(一九七八)五月. 灰 昭和五十三年(一九七八)一月 灰 昭和五十三年(一九七八)二月. 木のあやしさ 昭和五十二年(一九七七)一月 杉㈢ 昭和五十二年(一九七七)二月 . 安倍峠にて 昭和五十一年(一九七六)六月 たての木 よこの木 昭和五十一年(一九七六)九月. 木⑹ ひのき㈢ 昭和四十六年(一九七一)十一月 杉㈠ 昭和五十一年(一九七六)一月 杉㈡ 昭和五十一年(一九七六)三月 木のきもの 昭和五十一年(一九七六)四月 . 木⑷ ひのき 昭和四十六年(一九七一)九月 木⑸ ひのき㈡ 昭和四十六年(一九七一)十月. 木⑵ 藤㈠ 昭和四十六年(一九七一)七月 木⑶ 藤㈡ 昭和四十六年(一九七一)八月. すわる 昭和四十三年(一九六八)五月 木 えぞ松の更新 昭和四十六年(一九七一)一月. 塔 昭和四十一年(一九六六)一月 ひょうたん 昭和四十二年(一九六七)八月. 紙 昭和三十一年(一九五六)二月 秋の思い 昭和三十二年(一九五七)十月 川すじ 昭和三十六年(一九六一)八月 平安 昭和三十八年(一九六三)十月. (雄松堂出版 平成二十一年(二〇〇九)一月) 紅野敏郎『「学鐙」を読む』 『學鐙』に掲載された文章は次の二十七編である。 . 14 13 15. ポプラ 昭和五十九年(一九八四)六月 『紙及パルプ』の目次は次の通りである。 紙・パ業界当面の諸問題. 1 原木事情について/田中文雄 2 用排水問題について/三輪次武. 3 技術及び設備問題について/尾間忠勝 4 経営管理について/志摩正 . - 35 -. 三 四 かみなりさま談義(東条操) 五 ろくをさばく(三淵忠彦) 8 柳 田 国 男 監 修『 新 編 国 語 総 合 編 一 』 (A 一 - 〇 八 九 東 京 書 籍 昭 和 三十四年(一九五九)四月 二五頁) 9 改訂版教師用指導書 「国語」研究会編『新編 国語 総合編 一 学習指導の 研究 高等学校一年用』 (東京書籍 昭和三十四年(一九五九)二月)二五頁) 尚、本書の奥書に同書の「編集に携わった人」として左記の通り記されて いる。 国立国語研究所第一部長 岩淵悦太郎 成城大学講師 大藤時彦 国士舘大学教授 亀田純一郎 富山大学助教授 手崎政男 日本女子大学教授 中島武雄 国立国語研究所員 林大 東京都立石神井高校教諭 福田稔 元第一高等学校講師 鎗田亀次 東京書籍株式会社編集部国語課 ( 『 幸 田 文 全 集 』 第 二 十 三 巻 岩 波 書 店 平 成 九 年 金 井 景 子「 年 譜 」. ( 『幸田文全集』第六巻 岩波書店 平成七年(一九九五)五月 「後記」 四四五頁). 「掲載年度」については、掲載年度の初年度を西暦の下二桁で表記した。 また、出版社については「略称」を用いた。. (一九九七)二月 四八九―五四〇頁) 「学鐙」を読む』 (雄松堂出版 平成二十一年(二〇〇九)一月) 紅野敏郎『. 10 11 12.

(9) 佐 野 比呂己. 米国における広葉樹の使用状況/R・プレストン述. 北欧諸国における製紙事情/在外公館. れんず『暮しの手帖』 (昭和二十四年(一九四九)四月). 鴨『夕刊新大阪』(昭和二十四年(一九四九)一月六日). 造語家『第一新聞』(昭和二十三年(一九四八)十一月二十四日). 年 月分). ( ) 内の漢数字、 及び○数字は教科書の該当ページ、 行を示す。以下、同様。 初出とともに発行順に並べ替えると次のようになる。 雜記『藝林間歩』 (露伴先生記念号 昭和二十二年(一九四七)八月) 終焉『文学』 (露伴追悼号 昭和二十二年(一九四七)十月) かけら(原題 「かけら 幸田露伴」 )『週刊朝日』(昭和二十三年(一九四八) 二月二十二日) 手づまつかひ(原題「手づまつかひ(上) 」 「手づまつかひ(下)」)『東 京新聞』 (昭和二十三年(一九四八)五月十九日、二十日). 20 19. 尚、引用に際し、旧字については、適宜新字に改めた。 本稿は、JSPS科研費(15K04470)による成果の一部である。 . ※. ※. に収録されている。. 及びおよび同年七月から十二月まで連載された『きのふけふ』は第六巻本巻. 昭和三十一年(一九五六)一月から十一月までに発表された作品を収録し ている。ただし、同年一月から十二月まで連載された『身近にあるすきま』、. 『ちぎれ雲』(新潮社 昭和三十一年(一九五六)六月 一八七頁) . 紙『學鐙』昭和三十一年(一九五六)二月. 結ぶこと『読書春秋』昭和三十年(一九五五)五月. 三月. 對髑髏のこと(原題「五重塔と對髑髏」) 『図書』昭和三十年(一九五五). 片びらき『三月興行大歌舞伎座』昭和三十年(一九五五)三月. 二 百 十 日( 原 題「 二 百 十 日 新 歳 時 記 Ⅲ 」) 『文学界』昭和二十九年 (一九五四)九月. ほん『図書』昭和二十九年(一九五四)七月. ぜに(原題「想ひ出」)『暮しの手帖』昭和二十九年(一九五四)六月. 風『アララギ』斎藤茂吉追悼号 昭和二十八年(一九五三)十月 てんぐじよう『おーらるはいじーん』昭和二十九年(一九五四)三月. 塔の影『五月興行大歌舞伎座』 昭和二十八年(一九五三)五月 父の七囘忌に『東京新聞』夕刊 昭和二十八年(一九五三)七月三十日 このごろ『心』昭和二十八年(一九五三)九月. 四月. 在鄕うた『歌舞伎座』第一巻第二号 昭和二十六年(一九五一)三月 はにかみ『斎藤茂吉全集 月報』第十二号 昭和二十八年(一九五三). 二十六年(一九五一)一月. よ し な し ご と 藤 森 朋 生 編『 斎 藤 茂 吉 の 人 間 と 芸 術 』 羽 田 書 店 昭 和. すがの『荷風全集』昭和二十五年(一九五〇)十月. 膳( 原 題「 膳. 水仙『文藝春秋 春の増刊 花見読本』昭和二十五年(一九五〇)三月 父の忌日を迎へて」 )『 日 本 読 書 新 聞 』 昭 和 二 十 五 年 (一九五〇)八月. 旅をおもふ『読売ウィークリー』 (昭和二十四年(一九四九)七月二日). 紙・パルプ業界トピック 昭和 年度松脂需要推定 国産松脂増産対策について 原・重油の関税問題 . 月分). 月分). 年. ソーダ製品調査会の設置と 年度製品需要予想 デミング賞を受けたる本州製紙会社 オートメーシヨン時代 新しいボール展を見る 紙の起源と普及/禿氏祐祥 和紙の歴史を訪ねて/野村勝美 紙/幸田文 思い出の襍記から⑺/長田儀之助 近古紙談/浜田生 業種別生産概況 紙・パルプ連合会会報 統計 年. 用紙生産、販売、残高実績表(昭和 年. 30 12. 板紙生産、販売、在庫表(昭和. 俳句/佐々木義次郎. 月分). 12. 機械漉和紙生産、販売、在庫実績表(昭和. パルプ生産、消費、出荷実績表(昭和. 12 30 30. 30. - 36 -. 31. 夏と秋(短歌)/佐藤悠三郎 銀座だより. 12. 31. ( 『紙及パルプ』 (第七巻第三号 紙・パ連合 昭和三十一年 幸田文「紙」 (一九五六)三月 四一頁). 16 18 17.

(10) 教材「紙」考(1). - 37 -.

(11) 佐 野 比呂己. - 38 -.

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