はじめに
本稿はICT教材を用いた高等学校地理の学習について提案を行うものである。これに先立ち、筆者は
紙媒体の地方図(地形図)を用いた学習活動を提案し、地図全体を眺めることで「発見」の機会を多く
することや、みんなで一枚の地方図を囲んで作業することの有意を述べた1
。本稿で提案するのは、そ
うした学習活動の延長線上にICT教材を用いた調査活動を位置付けるものである。
平成30(2018)年3月30日、「高等学校学習指導要領」が告示され、7月には各教科の解説が公表された。
新科目「地理総合」の目標⑴には、「地理に関わる諸事象に関して,世界の生活文化の多様性や,防災,
地域や地球的課題への取組などを理解するとともに,地図や地理情報システムなどを用いて,調査や諸
資料から地理に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。」(下
線:筆者、以下同じ)とある。また、内容Aには「地図や地理情報システムで捉える現代世界」があり、「⑴…
地図や地理情報システムと現代世界」では、「イ日常生活の中で見られる様々な地図の読図などを基に,
地図や地理情報システムの役割や有用性などについて理解すること。ウ… 現代世界の様々な地理情報に
ついて,地図や地理情報システムなどを用いて,その情報を収集し,読み取り,まとめる基礎的・基本
的な技能を身に付けること。」が目されている。新学習指導要領は、高等学校では2022年度の新入生か
ら施行されるが、「主体的、対話的で深い学び」の模索は教育現場で既に始まっている。
現行の地理Aの教科書『高等学校新地理A』(帝国書院)には、単元「身近な地域の課題」のなかに「GIS
のしくみと支える技術」(pp.172-175)があり、地理情報システム(GIS)のしくみ、GPSなどGISを支
える技術、その活用法を学習することになっている。「技能をみがく12」(p.174)では身近なGPSやGIS
の活用方法、「技能をみがく13」(p.175)では電子国土基本図(ウェブサイトの「地理院地図」)の閲覧
と活用方法がそれぞれ紹介されている。生徒がこうしたICT教材を駆使して調査活動を行なうにはどの
ような学習方法が考えられるだろうか。それを提案するのが本稿の目的だ。前稿では、紙媒体の地方図
を使った「山探し」を基礎とする学習活動を3段階で提案した。その概要は以下のとおりである。
第1段階:「山探し」標高別の数量的な整理
…紙媒体の50万分の1の地方図(北海道から九州まで7地方)を1グループが1地方担当し
* 埼玉工業大学人間社会学部情報社会学科
高等学校地理におけるICT教材を用いた
学習方法の一考察
A learning method using ICT teaching materials
in high-schoolʼs geography curriculum
佐 藤 由 美
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