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谷崎潤一郎『秘密』論(二〇一五年度卒業論文要旨集)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 谷崎潤一郎『秘密』論(二〇一五年度卒業論文要旨集). Author(s). 川村, 遥. Citation. 札幌国語研究, 21: 103-103. Issue Date. 2016. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/8059. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 谷崎潤一郎『秘密』論. 安部公房『箱男』論. 近代文学研究室 二四四〇 大越 祐介. 従来の研究では、物語内の「真の筆者」を特定しようとした ものがあるが、どれも「真の筆者」の特定には至っていない。. 近代文学研究室 二四三九 川村 遥 『盲目物語』や『春 従来、本作の視覚という要素に注目し、 琴抄』との関連を指摘する論が多かった。しかし、 「私」の視. き、これらの章は《供述書》の信頼性を高めるためにあえて麻. 覚の喪失は一時的であるため、先の二作品との関連性に疑問が. 薬中毒者の「軍医」が書いたように「贋医者」が書いたという. 本研究では、記述者が物語内で入れ替わったという仮説を立 て、 以下の二つの観点から検証を行った。第一は 「第二の物語」. まず、秘密に愛着持つ「私」と、秘密による魅力で「私」を 虜にする「T女」に注目し、 秘密とは何か考察した。 「私」は、. 結論に至った。. 全体は「贋医者」が記述したというものである。第二は「第一. 「T女」との逢瀬が夢か現実か分からなくなり、 「幻の国」と. ある。また、本作は浅草を舞台にしているが、谷崎の浅草を舞. しての「T女」宅を探した結果、 「T女」の素性を知り、彼女. 第二の観点から、《安全装置をとりあえず》の「インク切れ」 の記述から、「ぼく」から「贋医者」に入れ替わったと考えると、. の物語」のどこかで記述者が入れ替わったというものである。. に興味を失う。 「幻の国」は「T女」の秘密による魅力と「私」. 「インク切れ」の記述の、 前後の記述で矛盾があること、「字体」. 台にする作品についての研究で扱われてこなかった。そこで、. の想像力がなければ行けない世界である。従って、 秘密とは 「幻. の挿入文があることなど、様々な問題に説明がつくことが明ら. 本研究では秘密に注目し、更に舞台となっている浅草との関係. の国」という異世界へ行くための手段であると明らかにした。. かとなった。. 第一の観点から、 《Cの場合》と《死刑執行人に罪はない》 の章を「贋医者」が記述したと考えると、視点の破綻が回避で. 同じく浅草を舞台にする『魔 次に、浅草との関連を探るため、 術師』と本作を比較した。この二作では、「私」が浅草公園で「T. や他作品との関連についても考察することを目的とした。. 女」や「魔術師」に出会い、異世界へ行くという共通点が見出. 以上のことから、本研究では「ぼく」から「贋医者」への記 述者の入れ替わりが描かれているこという結論に至ったが、こ. このことは、同時期の作である『人魚の嘆き』にも共通して おり、従来の研究では言われていなかった初期の谷崎文学の特. の存在証明の喪失に耐えられなかったからと考えた。. のようにあえて「贋医者」が仕掛けや矛盾を書いたのも、自己. についての言及が増えること、 「贋医者」しか知り得ない内容. せた。浅草公園は異世界への入口になっていると明らかにした。. 徴として、異世界への憧れがあると明らかにした。. - 103 -.

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