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せめぎあう宗教と国家 -- エチオピア 神々の相克と共生 (資料紹介)

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Academic year: 2021

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せめぎあう宗教と国家 -- エチオピア 神々の相克

と共生 (資料紹介)

著者

児玉 由佳

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

発行年

2015

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

(2)

35 アフリカレポート 2015 年 No.53 Ⓒ IDE-JETRO 2015

せめぎあう宗教と国家

――エチオピア 神々の相克と共生――

石原 美奈子 編著 東京 風響社 2014 年 436 p. エチオピアの宗教別内訳は、統計ではエチオピア正教会 44%、イスラーム 34%、プロテスタン ト 19%、伝統宗教 3%、カトリック 0.7%となっている(2007 年国勢調査)。しかし、これは一人 一宗教を前提にした回答であり、日常生活における宗教の重層的な関係を説明できない。本書は、 文化人類学的な視角を中心にすえ、「人々の生活レベルでの宗教の多様なあり方にこだわる」 (p.421)ことで、現代のエチオピアにおける宗教をとりまく政治的・社会的そして文化的状況に ついて検討したものである。 本書は 5 部構成で 9 章から成っている。第一部「国家と宗教」では、多数の信者を抱えるエチ オピア正教会(第 1 章)とイスラーム(第 2 章)の歴史と教義を概観している。前者は歴史的に 国家と深い関係を築いてきた宗教であり、後者は国家に対抗する存在として、ともにエチオピア の政治・社会に大きな影響を及ぼしてきた。エチオピアの宗教に関する書物は 1974 年までの帝政 期までしか扱っていないものが多いが、本書、特に第一部では、現エチオピア人民革命民主戦線 (Ethiopian People’s Revolutionary Democratic Front: EPRDF)政権期に至るまでの宗教と国家の関係 性の変遷を分析しており、エチオピアにおける宗教とその現状への理解を深めることができる。 第二部以降は、エチオピア南部地域のエスニック・グループを対象としたフィールドワークの 成果である。第二部「偏在する信仰」では、マロにおける邪視を中心とした伝統宗教(第 3 章) とボラナ・オロモのガダ・ワーカ信仰(第 4 章)を論じている。第三部「精霊と権力装置」では、 ホールにおける精霊憑依の持つ革新性(第 5 章)とカファの霊媒師の社会的周縁化の過程(第 6 章)を取り上げている。第四部「対立と共存」では、バンナにおけるミッションの国家や伝統宗 教との関係(第 7 章)やジンマでのムスリムとキリスト教徒の共生と対立(第 8 章)を検討して いる。第五部「偏在する神性を求めて」では、オロミヤ州ボサトの人々によるムスリムとキリス ト教徒が混在する巡礼の形成する共同性について報告されている(第 9 章)。 エチオピア正教会の信者の多い北部でのフィールドワークがないのが残念だが、人々の生活の 中でどのように宗教が息づいているのかを歴史的な経緯を踏まえた上で丁寧に調査・分析してい る本書は貴重である。 児玉 由佳(こだま・ゆか/アジア経済研究所)

参照

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