会計上の利益と減価償却法との関係
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(2) 益計算の一 側面を理解しようと努めることにある。そして, 減価償却につい ての「正しさ」の問題に着目するのは. その会計上の意味を明確にせずして は, 期間限定計算といわれる損益計算に対する真の理解は得られぬと考えた からである。 通説によると. 減価償却は. 固定資産原価の期間配分と考えられている。 動的会計思考を貫くこのような考え方は, 減価償却が固定資産評価に関わる のでなく, あくまでも期間費用として導かれるものであることを明らかにし ている。故に減価償却費の正しさという問題は. 正しい費用配分ということ に結びつくのである。配分の目的が利益の算定にあるのだから, 費用配分の 仕方は利益の内容に直接関係することになる。 かくして, 減価償却計算のも つ本来の意味からすれば, 減価償却の問題は, 何よりも先ず期間損益計算の 立場から究明すべきであって, その財務的効果などはあくまで第二義的にす ぎないのである。 費用配分の仕方を取り上げる時に, 先ず想起するのは, 困見にいくつかの減 価償却法が存するという事実である。従来, 直線法と逓減法とが認めれらて おり. 会計上いずれの方法によるかは選択に委ねられ, いったん採択した方 法はこれを継続することが要求されている。そこで, これらの方法によって 示される費用配分のパタ ー ンが何を表わすのか. その根拠を明らかにする必 要があろう。減価償却が, 利益計算を目的とした費用配分法であることに思 い至れば, 配分のパタ ー ンは利益の内容に関係するはずである。このような ことを考えながら, われわれは, 現存の減価償却法の分析から始めて, しか る後にあるぺき配分法について述べようと思う。 ところで, 筆者は先にアルバッハ (Albach, H.)の学説を取り上げ, その 思考の特質を明らかにした (1) 。彼もまた, 現存の償却法を分析し, 理論的に 適合した方法として逓減法を導いた。本稿では, アルバツハと同様の考え方 に立って有効な償却法を求めることを試みたハツクス (Hax, K.)の学説を (1). 「発生主義と減価償却」六甲台論集第22巻所収。 -156 (320)-.
(3) 取り上げてみようと思う. (2). 。減価償却法を考えるにあたっては, 直線法と逓. 減法がいかなる費用概念に根拠づけられているか, またそれぞれの仕方はど のような利益概念に関係するかをよく吟味することが必要であるが,. ハツ. ク. スの所説は, それらの相互関係を明確に述べているように思うからである。 この点に彼の学説の著しい特色があり, 本稿において, その減価償却理論を 取り上げるゆえんである (3) 。. n 減価償却が, 固定資産原価の配分額であることは上述の通りである。現行 会計の下では, その配分法として直線法と逓減法が一般に認められている。 繰返し述べれば. いずれの方法に依るかは会計者の自由な選択に委ねられて おり,. ひと度採択した方法を毎期間継続して 適用しさえすれば よいのであ. る。その際に大事なことは方法の期間継続性であった。選択される方法が違. .... えば, 結果も異なるであろう。にも拘らず, それが会計上妥当であるのは, 償却方法の継続性によって期間利益の比較性が保証されるからである。この ことは言い換えれば,. 特定期間の正しい利益数値を求めることを断念する. ー. ことを意味する。利益の期間比較の考え方は, 期間限定計算としての損益計 算の限界に応える, 会計上の対応の仕方と言うことができる。特に耐用年数. (2) 本稿では,主として次の文献を中心として論及する。 Hax, K., Was ist betrie bswirtschaftlich notwendige Abschreibung? In: Beitrage zur Lehre von der Unternehmung. Festschrift flir Karl Kafer, Stuttgart 1968, S. 147-168.Jヽ ックスの会計学説については多くの研究や紹介があるが, 末尾の参考文献の他に次 の文献を参照した。森田哲弥「カ ー ルハックス著「経営実体維持論」 」ビジネスレ ビュ ー第5巻3号, 同「期間利益の分配可能性と尺度性—実体資本維持説の利益 概念を中心として一」商学研究 4' 同「価格変動会計論」 1979年, 中野勲「ハッ クス経営維持論の基本構造」経済経営研究第15号(1), 同「会計利益測定論」1971年。 (3) 以下では, 減価償却算定に及ぽす価格変動の問題は一切考慮しない。従って, ぃ. わゆる実体維持論については触れず, あくまで取得原価主義を前提にして論じた。. -157 (321)-.
(4) などの不確実性を有する減価償却費の把握には, 方法の継続性は最も有効な 把握の仕方であったと思われる。 では, 減価償却問題は, 方法の継続性を考えるだけで十分であろうか。— つの正しい償却法というものは考えられないのであろうか。このような疑問 は, どの償却法を選択したかによって 期間利益数値が異なることを見る時 に, 当然生じてくる。この問題に対する解明の手掛りを与えてくれるのが, ハツクス の学説である。 ハツクス の 「経営経済上, 必要な減価償却とは何か」という論題の意味す るところも, 会計上正しい減価償却法を見い出そうとすることにあった。— 方において, 直接法こそが妥当な償却法であり, 逓減法は税務上の恩恵の立 場から認められるにすぎないとの考え方があるが, 他方で, 逓減法こそが設 備の減耗経過に近い費用把握の仕方とする説も存するからである (4) 。このよ うに, 把握の仕方に関して, 全く相反する考え方が存在するという事実があ るので,「どのような仮定の下で, 減価償却が経営経済上正しく, あるいは 必要であると言うことができるかが検証されるぺきである5」u;) と彼は主張す るのである。 ここに明らかなように, ハツクス においては, 減価償却問題は単に固定資 産原価の配分というにとどまることなく, 正しい期間配分ということが求め られる。期間損益計算制度の下では, 期間ごとに利益が算定されねばならず, そのために当該期間に帰属する減価償却費の正しい大きさを知る必要が生じ 、た。固定資産原価の配分問題の核心は実はここにあり, 永続企業を前提とし て のみそれは理解できるのである (6) 。したがって企業の創設から解散に至る までの全体損益計算を想定した場合には, 減価償却計算は必要がない。 ここで問題となるのは, 利益の内容である。 彼によると,「利益計算は, (4) Hax, K., a. a. 0., S. 148. (5) ebenda. (6) ebenda.. -158 (322)-.
(5) 表 示利益により企業の有効な給付を毎期示す時に, 企業に出資したすべての 人々にとってとくに表現力がある。 … •••それ故に毎期の生産的給付の割合 に応じた設備費用の配分に際して, 発生原則 (Verursachungsprinzip) の 適 用について語られる。」 (7) ハックスは, 利益について, 当該期間の企業活動 の成果を正しく表現するようなものを考えており,それを支える根本的な計 算原則を発生原則に求めた。固定資産原価の配分については,設備の生産量 に配分の尺度を見い出した。その結果, 各期間に計上される減価償却費 の大 きさは,設備の損耗に対応する大きさになるとしたのである。 ところで, 発生原則を減価償却計算の根本原理とする見解は.おおよそ次 のような考え方に基づいている。今日の期間損益計算制度の下では, その 他 のあらゆる費用の認識計上には発生原則が適 用されるのであるから,減価の 把握にも同様にこの原則が適 用されるべきであるとの見解がこれである. (8. \. しかもこのような考え方は, 何もあるべき減価償却法を究明する際にのみ主 張されたわけではない。現行の 直線法や逓感法による 費用配分のパタ ー ン の説明として 発生原則はしばしば 用いられたのである。例えば, ハイネ ン (Heinen, EJ 比動的論の立場からの減価償却について,「費角配分ほ発生. を指向する。全ての年度は, 後の全体の損失の原因に貢献する部分が負担さ れるぺきである。」(�) (傍点筆者)と述べているし,多くの論者も,費 用配分 思考の根底に発生原則があることを認めてい る。このようにして,固定資産 における費用の発生は給付量の経過と結びつけられることになる。固定資産 (7) Hax, K., a. a. 0., S. 149.. このような考え方は, 次の文献にもみられる。 Hax, K., Die Substanzer haltung der Betriebe. Koln und Opladen 1957. Endres, W., Die Problematik. (8) ebenda.. der abfallenden Abschreibung. ZfhF 1953, S. 117 und 123. 中野勲 「 逓減的. 減価償却の根拠」企業会計第15巻 4 号, 33頁。 Dietz, H., Die Norrnierurtg der Abschreibung in Handels-und Steuerbilanz. Opladen 1971, S. 154. Husemann,. K. H., "Grund釦tze ordnungsmaBiger Bilanzierung filr Anlagegegenst却de.. 2. Aufl., Dtisseldorf, 1976, S. 163. (9) Heinen, E., Handelsbilanzen. 8. Aufl., Wiesbaden 1976, S. 184.. -159 (323)-.
(6) の使用能力の減耗は, 生産された給付量とみるべきであり, 減価償却費は給 付量との対応において配分されねばなるまい。発生原則を基礎にした減価償 却論には, このような考え方が存したのである。 ところで, 正しい期間費用の計上ということをもってすれば, 減価償却の 計算にはいくつかの不確定な要素がある。それが先験的な費用配分であるこ とから, (1)費用をどれだけの 期間に配分すぺきかの問題(耐用年数), (2)い かに配分すべきかの問題(償却方法)をあげることができる (10) 。 (1)につい てはさらに, 技術的耐用年数と 経済的耐用年数の 問題があるが, ハックス は, 耐用年数については税務上の平均的耐用年数を 適用することとしてい る。従って, 期間配分を考えるにあたり差し 当り重要なのは(2)の償却方法の 問題であり, 以下で取りあげるのも主として費用配分の仕方に関わる問題で ある。 璽 減価償却費の大きさが何を表わすかを知るためには, 固定資産というもの の性質をよく考えなくてはなるまい。そこでハックス が設備をどのように理 解したかをみてみる。 彼によれば, 設備は給付の貯蔵 (Vorrat von Leis tungen), あるいは給付の束 (Leistungsbiindel)である。 そして, 使用に よってその貯蔵の中から部分的に喪消され, 給付として産出されるものが費 用なのである。 また, 「給付産出の大きさは, 一期間における生産的給付の 量的表現であり, さらにこの生産的給付は, 販売市場で稼得される収益ある いは稼得可能な収益の基礎である。」 (11) とする。 このようにして, 産出量は 設備の使用能力の喪消であると同時に, 収益稼得の要因でもある。費用は設 備の給付量の経過に即して配分されるが, このような費用配分の仕方を損耗 (10) Hax, K., Was ist betriebswirtschaftlich notwendige Abschreibung? a. a. 0., s. 149.. UD Hax, K., a. a. 0., S. 151.. -160 (324)-.
(7) に基づく減価償却 (verbrauchsbedingte Abschreibung) と言っている。 この意味 において, 損耗に 基づく減価償却は 発生原則に合致し, 費用収益 の対応化をもたらすと考えられているのである。 かくて, 損耗に基づく減価 償却においては, 設備の利用期間中の給付量が均等であれば直線的に償却さ れるし, 下降するなら逓減的に, 上昇すれば逓増的に償却されることになる であろう。 では,給付とはいったい何をさすのであろうか。 企業にある設備の種類は 多様であるから , 各設備において 産出される給付の内容も異なるはずであ る。. それ故に, 給付量を 問題にする場合, 統一的な尺度(einheitlicher. MaBstab)を探究する必要がある。これについて.. ハ. ックスは, 問題はあっ. ても, 「可能な運転時間数(機械の運転時間) が最も有用である。」 (12) と言 う。 彼によれば, この運転時間数とは, 設備の 実際の稼働時間を意味する が, 減価償却は, 先験的な費用配分の方法であるから, 事後的に運転時間数 を確定するのではなくて. 事前にそれが予測されねばならない。 発生原則に根拠をおき, 減価償却というものの性質を設備の損耗の表現と して理解すれば, 費用配分の パタ. ー. ンは次のようになる。 「われわれがここ. で, 減価償却費の配分尺度として経済上有用な給付能力を基礎とするなら,. ……経営状況に応じて, 均等な償却も, 逓減的あるいは逓増的償却も正しい. ことは明ら かである。 その限りにおいて, いずれのこれらの償却法も, 経営 に必要な償却法である。」 (13) このように, 将来の給付量の変化は, そのまま 減価償却のパタ ー ンに反映されるので. その変化次第でどのようなパタ ー ン も可能である。 しかも, 損耗に基づく減価償却の観点からすると, そのいず れのパタ ー ンをとってもよいというわけである。 このことは, 会計上認めら れる償却法は給付量の経過に即したものであることを意味する。現行の償却 法による費用配分のパタ ー ンはこのように説明されるけれども, 新たな問題. ⑫ Hax, K., a. a. 0., S. 152. U3l Hax, K., a. a. 0., S. 155.. -161 (325)-.
(8) が次に生ずる。. IV 以上述べてきたように,. ハ. ックスは固定資産費用の配分のパタ ー ンを規定. する要素が設備の給付量の経過にあることを明らかにした。彼が重視したの は「あるべき」減価償却法を求めることよりも, 現行 の 償 却 法の分析であ り, 設備の給付量の経過を想定したのも, そうした費用配分の方法を理解す るためであった。 しかし, 一般に認められる直線法や逓減法による配分パタ ー ンは, 果して 給付量の期間的経過によく対応していると言えるであろうか。以下ではとく に逓減法による費用配分のパタ ー ンを問題としてみたいと思う。 逓減法は, 減価償却費を年々逓減せしむるような費用配分の方法であり, その特徴は, 耐用年数の初年度に比較的大きな償却額が計上されるという点 にある。そこで問題となるのは, 初年度に設備の大きな損耗をもたらすよう な事態が果して生じているかどうかということである。 ハ ックスによると, 例えば10年の利用期間をもつ設備においてみると, 直線法の場合の償却率は. 10彩であっても, 逓減法では その 2 倍や 3 倍あるいは 5 倍にもなりうると いう。彼は, 固定資産の取得価額100, 耐用年数10年とした場合の 次頁のよ うな計算例を示している い) 。 (1) においては, 初年度は直線法の場合に比べて約3倍の償却率であり, 第. 9年度は初年度の1/17にすぎない。また(2) では, 初年度は直線法の 2 倍であ り, 第 9 年度はその 1/6 である。しかし, 設備の利用経過が(1)のような状況 に 一致することは例外であり, (2) に一致することも通常あり得ない。また, (3) のような逓減度は, 設備の実際の利用経過に合致するものの, このような. 緩やかな幾何一逓減的償却は 実務では適用されない. 閥 Hax, K., a. a. 0., S. 156. -162 (326)-. (15). 。 前節の 損耗に基づ.
(9) (2) (2 1 の 2 ) の率 の 幾 00か ら 100 の緩 や か の 所得 5年 年 度 1 95何 る に 2 一 減へ 法 減 倍 減 何 却 的 よ 直 何 一 線 一逓 減法 減(的)税 逓 逓 的減 価償 却な 価償 価償却 幾 幾 1. 2 3 4 5 6 7 8. ,. 10. 20.0 16 . 0 12.8. 28.3 20.3 14 . 6 10.5 7.5 5.4 3.9 2.8 1.7 5.0. 10 . 24. 8. 1 9 6 . 55 5 . 24 4 . 19 3.36 1 3.43. 13.4 1 2.5 11.7 10 . 9 10 . 2 9.4 8.8 8.2 7.7 7.2. く減価償却の立場からすれば, 利用経過に よ く 合致する緩やかな逓減的減価 償却が採択されてよいはずである。にも拘らず, それが受け 容れられていな いのは, 別に理由があるに違いない。これについて 「加速度的な幾何一逓減 的減価償却の擁護者が, 損耗に基づく減価償却を追求するのでなく, 全く別 の種類の配分原則―― 加速度的な幾何一 逓減的減価償却がとくにそれに合致 」 (16) する一ーを基礎としていることが知られる時に, 矛盾が明らかになる。 と言い. 「損耗に基づく減価償却は. 下降的な減価となり得ても, 幾何一逓 減的減価償却の加速的な形態にあるよ うに, 加速度的逓減的減価となること はできない。」 (17) と述べる。 か く して.. 逓減的減価償却に よ る費用配分のパ. タ ー ンには, 発生原則とは根本的に異なる原則が支配することを示唆した。 ところで, 逓減法の根拠について従来幾つかの説明が試みられてきた。修 繕 費の逓増もその一つである. (18). 。 しかし,. そこには,. 修繕費が固定資産の. 減価原因ではな < . 減価償却費の大きさとは直接関係がないという根本的な 問題点がある。その他の固定資産費用(修繕費や利子) は, 減耗とは全く無 U5l U6) 聞 ⑱. Hax, K., a. a. 0., S. 157.. Hax, K., a. a. 0., S. 158. Hax, K., a. a. 0., S. 160. Husemenn, K. H., a. a. 0., S. 67 . Heinen, E., a, a. 0., S. 196 . な どにみ られる。 1 ー163 ( 327 ) -.
(10) 関係であるから , 減価償却費 の期間的パタ ー ンを問題にする時,費用要素と しての減価原因のみを考える必要がある (19) 次に,逓減法と費用概念との関係をみてみよう。. V これまで述ぺてきたことは,逓減法によって表 現 される減価償却費 の配分 パ ク ー ンが, 給付量の経過と一致しないという事実である。このことは,逓 減法が設備の損耗を表現する減価償却法ではないことを意味した。 ハ ッ ク ス は,既に別著において,現行の減価償却法による配分と設備利用 の経過とが 一致しない場合があることを明らかにしており,利用経過以上に 償却される 《20) 事実を明らかにしている。 つまり,発生原則の他に, 慎重の 原則 (Vorsichtsgriinde) が減価償却の配分に作用することを 指摘するので あ る。逓減法を考える上で,これは重要な点である。 固定資産 は期間の経過とともに使用能力 を消失していくのであるから,期 間的給付量も徐々に減少するであろうことは当然予想される こ とであった。 けれども,現行の逓減法によって計算される減価償却費 の配分パタ ー ンと同 じように, 給付量が急激に減少するということ はありそうにない (21) 。 そこ で, ハ ッ クスは, 逓減法に おいては,「減価償却経過は, 利用の経過に先行 し, 故に, 減価償却の先取りがある」 (22) との事実を 看取した。逓減法は, 費 用の先取りが考慮されていること,つまり慎重の原則が根底にあることが, 初年度の費用を大きくしている理由であると考えたのである。減価償却費 の 配分バタ ー ンが根本的には発生原則に根拠を懺くことを認めつつも,逓減法 は慎重の原則を根底に置いた配分法である。そこで彼は, 現行の減価償却法 Utt Hax, K.• a. a. 0., S. 158. 同様の考え方は , 例えば次の文献 に も示 されてい る 。. Endres, W., a. a. 0., S. 117. Die訟 H., a. a. 0.. S. 164. ⑳ Hax. K.• Die Substanzerhaltung der Betriebe. a a. 0., S. 227f. ⑳ Hax, K.. a. a. 0 .• S. 247f. (?J Hax. K., a. a. O.. S. 248.. -164 ( 328 ) -.
(11) に は ,「一方で, 減価償却経過と利用経過と は 一致すること, 他方で, 減 価 償却経過は 利用経過に先行すること, 故に減価償却が先取りされること」 <n> という思考が ひ そ むことを指摘したo 設備の損耗の把握にとどまることなく, 慎重の原則を導入して, 費 用の先 取りをなす根本的要因は 何であ ろ うか。 ハ ッ ク ス がその解明にあたって提示 したの は危険の問題である。 危険 はどういう事実をさして言うのか, またそ れを期間減価償却喪の大きさに反映することがどういう意味をもつのかにつ いて, 次にみてみよ う。 ハ ッ ク ス において, 危険を減 価 償却費に反映し よ うとする 出発点となった 考え方 は . 「危険に基づ く 減価償却 risikobedingte Abshreibung は , 企業 家にとって, 固定資産投資から生ずる危険の減少に役立つ。 」 (24) ということ である。で は, 危険とはどのような性質のものを言うのであ ろ うか。危険で あるとは, その発生予測が不確実なことであるから, 自 然の損耗や使用に よ る損耗は関係し ない。また徐 々 に生ずる経済的, 技術的陳腐 化については . 耐用年数に反映されるとしたC2SJ 。. 陳腐化 は , 減価償却費 の直接的な費 用要. 素でな < . 耐用年数の縮小を通 じて間接的に費用に反映されることになるの である。あえてそれを直接的な費用要素 に包括するならば, 費 用を二重に考 慮 することになるであ ろ う。徐 々 に生ずる経済的, 技術的陳腐化は, ほ ぼ見 積り可能であるから, 危険を意味しないわけである (26) 。 ところ が.. 固定資産の 減 価原因に は . 全 く 予測の 不可能な費 用要素があ. る。 例 えば, 設備の技術上の欠陥, 自 然災害(地震や戦争など), 発見, 需 要の変化等がそれである。彼の言う危険とは. この よ うな予測の全く不可能 (m Hax, K., a. a. 0., S. 228. 124) Hax, K.. Was ist betriebswirtschaftlich notwendige Abschreibung? a. a.. o.. s. 160 .. 凶 ebenda.. この点につ いては, 次の文献 も 参照 し た い 。 Dietz, H., a. a. 0., S. 161. Endres, W., a. a. 0., S. 118. 中野勲 「逓減的減価 償却の理論的 妥当性」 国民 経済 雑誌第 ll8巻第 3 号69--70頁。. (26). -165 ( 329)-.
(12) なものを意味する。 では, 危険は, 期間損益計算を通じて如 何にして回避されようとするので あ ろうか。 「効果的な方策は, 危険の時間的区分で あ る。 : 相対的に短い時間 で, 危険からのがれる可能性が企業家に与えられる。 」 (27) として,. 企業が危. 険を回避できる 可能性は, 期間利益がどのように 決定されるかに 依るとし た。というのは, その大きさ如何が, 課税や配当 など利益処分の額を決定す るからで ある。 ここに, 減価償却の配分の仕方を問題とせ ねばならぬ理由が あった。利益の予測について考えてみると, 利用期間の初年度にあ っては確 実に見積 る ことができるが , 最終年度 ほ ど不確実になる。 そのために, 企業 家は, 危険減少として, 利用期間は じ めの利益に目を向けることになるであ ろう。さもなければ, 初年度に利益を計上し, これを基礎に課税や配当 を支 払うことになり, 全体として損失をもたらす危険が生ずるからで あ る。この 場合, 「減価償却が計画的な利用期間に多かれ少かれ均等に配分されるなら , 資本危険は長期に拡大する。 」 (28) そう考えると, 初年度の償却額は大でなく てはならない。 つまり, 逓減的減価償却こそが危険に 対応し得る費用配 分 のパタ ー ン で ある。 危険が減価償却費の把握の仕方によってどのように違うかを, 彼の示す設 例が あるので, 損耗のみを考慮した減価償却の場合と危険を考慮した減価償 却の場合を比較してみる (29) 。 〔設例〕 (1) 設備の取得価額1000 (2) 耐用年数10年 (3). 減価償却費控除前の 利益は. 第 1 年度500, 第 2 年度400, 第 3 年度 100で ある。. 岡 Rax, K., a. a. 0.,. S. 161f.. � Rax. K., a. a. 0., S. 162 .. 図 Rax. K., a. a. 0., S. 162 .. -166 ( 330) -.
(13) (4). 第 4 年度に設備は廃棄される。. 損耗のみを考慮した場合 この場合, 設備の利用は 毎期間均等と仮定する。 故に, 各期間償却費は 100である。 その結果は. 次の表 のようになる。 項. 目. 減 価 償 却 費 控 除前の利益 価 却 減 償 費 利 益 所 税 (税率50%) 得 税 引 後 の 利 益. 1. 第 1 年度. 第 2 年度. 第 3 年度. 500 100 400. 400 100 300 150 150. 100 100. 200. 200. I. 合. 計. 1,000 300 700 350 350. ゜゜゜. この場合第 3 年度までの償却総額は300にすぎず, 未償却額が700である。 従って, 設備投資1000のうち 300は資本回収したものの, 700は回 収不能であ った。 し かも, 所得税と して350を支払い, また, 税引後の余剰350も配 当 と し て処分しなくてはならない。 危険を考慮した場合 各年度の償却額を第 1 年度500 , 第 2 年度400 , 第 3 年度100とする。逓減 的に償却されると, 結果は次のようになる。 項. 目. 減 価 償却費 控除前 の 利益 価 減 償 却 費 利 益 所 税 (税率50%) 得 引 後 の 利 益 税. 1 第 1 年度 1 第 2 年度 ! 第 3 年度 I 合 500 500. ゜゜゜. 400 400. I. ゜゜゜. I. 1,000 1,000. 100 100. ゜゜゜. 計. I. ゜゜ ゜. 第 3 年度までに償却総額は1000となって, 投下資本の全額が 回収される。 各年度とも利益は ゼ ロ であるから , 所得税は課されず, また配 当もない。こ の ようにして, 企業は投資危険を回避でき, 第 4 年度に設備が廃 棄されても. 何らの損失も受けないであろう。 このような事実から, 彼は, 「投資危険の -167 ( 331 )-.
(14) 減少が企業の正当な関心と して認められる時, この危険を減少せしむる加速 的幾何一 逓減的減価償却は, 経営経済上認められ, あ る いは必要な減価償却 と言うぺきである 。」 (SO) と結論するに到った。 逓 減法は, 危険の減少という 目的によって根拠づけられたのである。. VI これまで, 損耗に基づく減価償却と危険に基づく減価償却との二つの費用 把握の仕方を見てき たので, 次にそれらの方法がそれぞれいかなる利益概念 と関係 し , 何が会計上正 し い (あるべき) 減価償却法と し て認識されるに到 るかを考えてみたい。 第一に, 損耗に基づく減価償却の方法が如何なる利益の性質を導くかを見 ることに し ようと思う。. ハ. ックスによると, それは「企業の将来の意思決定に. 関する年度決算の表現力が高められるという有利性をもつ。つまり, 年度決 . . . . . . . . . . 算は, 実際に稼得された利益 C tatsachlich erzielter Gewinn)を示す。 」 (31) (傍点筆者) 要するに,. 設備の損耗のみを反映 し た減価償却法によって算定. せられる利益は, 経営の稼得利益を示すような性質をもつとするのである。 この考え方に よれば, 危険は利益 決定計算でなく, 利益処分計算に属する課 題となるであろう。 第二は, 危険を期間減価償却費に反映する考え方である。これについて,. ........ 「その際に 表示される利益は稼得利益でなく, 稼得利益のうち現在の危険を 考慮 し て処分可能な部分である。企業家の税務上の給付能力にとっては, 稼 得利益でなく, 処分可能利益 (ausschi.ittbarer Gewinn) が決定的であると 00 Hax, K., a. a. 0., S. 16 4 .. (31) Hax, K., a. a . 0., S . 167 . 問題頷域は異な る が. ハ ッ ク スの利益概念 に ついて は森田哲弥カ ー ル ・ ハ ッ ク ス 著 「経営実体維持論」, ビ ジ ネ ス レ ピ ュ ー 第 5 巻巻 3 号, 134頁, 中野勲 「複式簿記構造, 資本維持計算および期間利益概念の相互関係」 大阪大学経済学第1 6巻 2 , 3 号134頁等を参照 し た。 ー168 ( 332 ) -.
(15) いう立場が主張される こ とができる。」. (32). ( 傍点筆者) と述べている。 このよ. う に 危険を包括した減価償却費を通 じ て計算される期間利益は, 処分可能利 益である こ とを明らかに する。 そ れは処分可能性としての利益概念であり, 第一の方法から得 られた利益とは明らかに 性質を異にする。 以上によって, 二つの減価償却法と利益概念との結びつきが明らかとなっ たが, われわれはいずれの方法を会計上妥当と考うべきであろうか, 利益の 観点からあらためて考えてみたい。 もとより彼は, 利益の概念は, 目 的 によって規定されるのであるとし て, 「……一般的に 妥当な利益概念を 規定するのがわれわれの課題ではあり得な (31) い。」 と言う。 こ の意味ではどのような利益も認められるけれども, ハ ッ. ク スは, 期間損益計算の 基本形態が 何であるか に ついて 考えを深めていっ た。 そしてその思考の拠り所となったのは, 現在の会計実務を貫く利益概念 であり, 投下資本に対する回収資本の余剰を利益とする考え方であった。 (34) 先にも述べたよう に . 費用の計算に 対して伝統的な企業の計算では発生原則 が適用されるのであるから, 減価償却計算にも同様に こ の原則が適用される べきであるとの彼の言葉は, 同 じ 意味をもつと考えてよいであろう。 このよ うな立場からすると, 減価は ま さ に 固定資産使用能力の減耗を意味する。 従 っ て, 減価償却費は, 設備の給付量の経過に対応して配分した大きさでなく てはならなかったのである。 将来の給付量の経過は直線的 にも逓減的 にも逓増的 に も なり得るのである から , それぞれ に対応 し た減価償却費の配分パタ ー ンが可能なはずである。 (32) ebenda. (33) Hax, K., Der Gewinnbegriff in der Betriebswirtschaftslehre. Leipzig 1962,. s.. 10 6. 森田哲弥 「 シ ュ マ ー レ ンバ ッ ハ学説に お け る 期間利益概念の変化――比較 性の原則 と 合致の原則をめ ぐ っ て 一」 ビジネ ス レ ピ ュ ー 第 7 巻3号, 92-93頁に も. 同じよ う な主張が示 されている。 また, 次の文献 も 参照したい。 Walb, E., Bilan zrationalisierung. ZfhF 1942, S. 265f. (34) H紐, K., a. a. 0., S. 110.. -169 ( 333 )-.
(16) しかし, ハ ッ クス は, 危険 を考慮外とすれば, 給付量の逓減的ないし逓増的 なバタ ー ンはたとえあったにしても極めて緩やかなものと考えているようで ある。 故に, これらのパタ ー ンはほ ぼ均等とみても差し支えないわけであり, これが現在ある直線的減価償却というわけである。 このようにして,直線法 は損耗に基づく減価償却として根拠づけられ, 経営の成果という利益概念に 結びつけることができるのである。 なお, ハ ッ クス は, 危険を考慮した減価償却法について次のような問題点 を指摘した。 そのーは, 危険を包括した減価償却費の大きさには限度がある ことである。 というのは, 初年度に大きな償却費を計上するには, それに見 合う大きさの利益が稼得されていることが必要だからである。 そこで 「最も 加速的な幾何一 逓減的減価償却は, 収益が減価償却費を補償するに十分でな いなら, 何の役にも立たない。 」 (35) と言う。 その二は, 利益が経営成果とし ての役割を失うことに関係する。 「それがもはや企業の 期間給付を 正しく示 さないなら, … … ,誤った投資となる危険が生ずる。」(36) と述べて,危険を含 めた減価償却法に限界を与え, 決して第 一義的に考えていない。 ここまでみてくれば, 結果は自ずと明らかとなろう。. ハ ッ クス 説では, 損. 耗に基づく減価のみが期間損益計算の対象となる費用概念であり, 危険は利 益処分において考慮すべきものである。 期間損益計算は根本的には稼得利益 —企業の一期間的成果を示すような利益ーーを算定すべきであり, 損耗に 基づく減価償却こそが本来の正しい減価償却法ということになる。 直線法は ここにその存在根拠を得るのである。. vn 減価償却が, 期間損益計算を目的とする固定資産原価の配分方法であるこ. � Hax, K., a. a. 0., S. 163 . (ffi) Hax, K., a. a. 0., S. 1 64 .. -170 (334 ) -.
(17) とは既に通説にな っ ている。 その際の根本問題は, 会計上正しい減価償却と は何かということであった。他の費 用と違い固定資産の減耗は具体的に 量的 に測定できない大きさで あるために, 把握の仕方 に は多くの問題が生じた。 このような状況の 中で , 費 用配分のパタ ー ン を設備の損耗の発生に即して決 定しよう と する (発生原則) の立場があ っ た 。その考え方は, その他の 費 用 把握に発生原則が採られるのであるから, 当然減価の把握にも こ の原則が適 用されるべきであるとす る もので, ハ ッ ク ス もこうした立場である。 これまで見たよう に, 減価償却は,設備の使用能力に即して計上すべき費 用と考えられてきた。従って,発生原則の役割は, 当該期間に生 じた減耗に 対応して費用を期間限定する こ とにあるが, 使用能力の減耗を どのように期 間費 用に反映するかについては,見 解に違いがみられる。(37) このような考え方の相違 は何に基因するのであろうか。 それは ほかでもな く, 費 用概念の違いに由 来する。 具体的に言 えば, 減価償却費 の大き さ は減 価原因によ っ て規定されるのである から, どのような減価原因を期間費 用 を 構成する費 用要素とするかによ っ て, 減価償却の意味内 容は異なるはずで あ る。この点については, アルパ ッ ハ 説と比較することによって明らかにして みたい。 ハ ッ クスは, 損耗に基づく減価原因と経済的, 技術的陳腐 化 と いう減価原 因 とを区分して, 前者 は期間費 用の要素とし た が. 後者については耐用年数 のみを規定する要因と考えた。これに対し, アルバ ッ ハ 比 耐用年数は確定 的と考えることができるとして,税務上の利用期間は, 固定資産に対する平 均的な, 経営の正常的な利用期間である. (38). と言 う。 そして,「 シ ュ マ ー レ. ンバ ッハ (Schmalenbach , E.) 以 来, 固定資産のための費 用は, 技術的及び 経済的改善という減価原因を共に包括するのが経営経済学上認め られる学説 町 Endres, W., a. a. 0., S. 11 8. Heinen, E., a. a. 0., S. 1 96.. ⑳ Albach, H., Steuersystem und untemehmerische Inv邸titionspolitik. Wie sbaden 1 970, S. 1 40 . ま た彼の Die degessive Abschreibung. Wiesbaden 1967.. s. 50.. に おいても同 じ考えが示 さ れてい る 。. -171 ( 335 ) -.
(18) である 。」 (39) と述べて, 陳腐化は期間減価償却費の明確な規定要因たること を力説する の である。 さらに, ア ルバ ッ ハによると, 経済的, 技術的陳腐 化を考慮して耐用年数 を縮減するならば, 間接的にではあるが費 用計算に陳腐 化が考慮されること になる。 とい う のは, 「 ハ ッ クスによ ろ 損耗に 基づく直線的減価償却の中に は, 技術的及び経済的改善とい う 減価原因を顧慮 する構成要素が含ま れる結 果になる。 」 (40) か ら であり, 陳腐化は, 期間費用の大きさに反映さ れる こ と に なるのである。. そ う 考えれば, 両者の実質上の 区分は全く無意味であ ろ. う 。 こ のよ う にして, ア ルバ ッ ハは, の計算法は, それ 自 身矛盾する. い). ハ. ッ クスによって提案される減価償却. として, その費用概念の根本的な誤りを. 指摘したのである。 同時に, こ のことは, 直線的減価償却を会計上妥当なも のとする考え方の否認を意味することになる。 (ヽ2) ともあれ減価償却費の概念 はなお明確にな っ ておらず, 未解決の ま ま である。 この外, 設備の提供 す る 給付量を費用発生と想定することそのものにも問 題があ る よう に 思われる。 予測が確実と仮定して も 利用期間中の給付量の経 過は, 均等であったり, 規則正しく逓減化したり, 逓増化したりすること は少なく, 不規則で あることがむしろ 通常であ ろ う 。 そ う した 状況下にあ って, 果して, 給付量の経過によって 費用配分のパタ ー ン を 十分に説明で きるのであ う か。. ハ. ッ クス 自 身 も , 別稿において次のよ う に述ぺている。. 「もし, 利用経過が不規則で, 期間能力が可能な限り先ず上昇 し , ついでし ばらく コ ンスタ ン ト で, そして最初に徐 々 に下降し, 次に急激に下降するな ら, この事態に 適合する 減価償却法を 見い 出 すのは 実際には 不可能 で あ 園 ebenda. Albach, H., Steuersystem und unternehmerische Investitionspolitik. a. a. 0., S. 141. (絹 Albach. H., a. a. 0., S. 142 . (41) ebenda. (位 Albach, H .. Zur Reform der direkten Steuern. Wiesbaden 1 970, S. 1 3. ー172 (336 ) -.
(19) る。 」 “” と。そして, 減価償却は, 利用経過が直線的であ るか, 規則的に上昇 あるいは下降する時に有効な 結果をもた らす. (44). と言い,. 不規則な状況に合. 致するよ う な償却法はなにもないとさえ述ぺているのである。この言葉から. 現行の直線法や逓減法の配分バ タ ー ンに合致するよ う な給付量の経過は ほと ん ど 存在しないとい う ことを見てとることができる。 既に彼は, 利用経過と 減価償却経過は, たかだか近似的に 一致するに す ぎ ず, 通常は著しく相迩す ることに気付いていたのである. (45). 0. 以上の事実は, ハ ック ス の所説が現在ある償却方法の根拠を十分に説明し 得ていないことを意味するのでは なかろ う か。既述のよ う に, 彼は, 固定資 産の使用能力の減耗 をもって費用の発生と考え, 給付量に対応した原価配分 の仕方が減価償却であると考えた。しかし, 動的会計論の 基本思考によると. 取 引は全て収支概念におきかえられ, 固定資産は物財としてでなく, 支 出. ・. 未費用として解釈されてきた。とすれば, 減価償却は, 使用能力の減耗な ど ではなく, 何か他の事実に関係する事象ではあるまいか。従来の見解は, 今 後このよ う な立場から見直しを要するよ う に思 わ れる。 ハ ック スの所説は注 目に値するものの. そこにはなお検討すべき点が少くないのである。. VI 以上, 筆者は, ハ ックスの学説を手掛りにしながら, 固定資産費用の正し い把握について考えてきた。そこで は, 費用配分の方法と期間利益概念との 相互関係を明らかにすることに努めた。 (侶 Hax, K., Die Bedeutung der Abschreibungs-und Investitionspolitik filr das Wachstum industrieller Unternehmungen. In : Industriebetrieb und indu strielles Rechnungswesen. Festschrift flir Erwin Geldmacher, Ktiln und Opladen 1 961. S. 22f. (44) Hax, K., a. a. 0., S. 23. (4.5) ebenda. な お , 彼の 次の 文献を参照 。. Die Bedeutung der betrieblicher. Abschreibungs-und Investitionspolitik 紅r das wirtschaftliche Wachstum der modernen Industriestaaten. ZfhF 1958, S 253f.. -173 (337 ) -.
(20) 考察の出発点となったのは何よ りも先ず現行の減価償却法であった。そ し て, その分析と解明を 通じて, 正 しい減価償却法を 求めていくことになっ た。その際に考え方の基礎に置かれたものは利益である。·彼は, 目的は手段 を規定するものであるとの考えを示 し, 減価償却法は目的に依拠 したもので あると し たのである。 企業会計の 根本的目的が 期間損益計算 にある のだか ら, いかなる利益を 得ようとするかに よ って 償却方法は異なら ざるをえな い。かく し て, 直線法や逓減法など, 償却方法に違いがみられるのは, 求め る利益の内容に 由来するというのが,. ハ ックスの示 し た立場であった。. . . . . . .. この よ うなハ ックスの考え方から, 会計上正 しい減価償却とはどうい う こ とを意味するかが明白 になる。 目的が違え ば, 手段である会計方法も異なる はずであるから , いくつかの償却方法が現に存在する事実は, 計算目的に違 いがあるこ と を意味する。こう し て,. ハ ックスにあっては,. ある会計方法が. 正 しいか否かは, 結局, 利益の性質に規定されるのである。この ような考え 方 は, かつて例え ば ワ ルプ (Walb, E.) の 学説においても示されたことがあ る。 ただ彼は, 利益概念と償却方法との関係を明示せず,. 減価償却費計算. には不確実性 (耐用年数の見積りなど) が付随するので, 現存のいくつかの 償却法の中から, 状況に応じて一つの償却法を選択する ほかはないと言うに す ぎなかった。(46) これに対 し ハ ックスは, 両者の関係について, (1)直線法は稼得利益を想定 し たものであること, (2 逓減法は処分可能性と し ての利益を想定 したもので ) あることを明確に した。 こ の ように, 彼は, 現行の減価償却法について理論的に根拠づけを行った のであるが, それだけにとどまらない。大事なことは, 現存の償却法の分析 を通じてさらに期間損益計算における費用概念に即 し た償却法を見い出そう と し たことである。目的が迩えば方法も異なるとの思考に基づけば, 現行の (船 Walb, E., Die Erfolgsrechnung privater und offentlicher Betriebe. Berlin und Wien 1926, S. 195.. -174 ( 338)-.
(21) 償却方法にそれぞれの根拠が与 えられよう。 そ して, それぞれの方法は 目 的 の違いによ っ て生 じ た結果であるから, 会計上認められることになる わ けで ある。しかし, 利益 は 目 的概念である と しても, 会計上, 最も根本的な利益 概念を考えねばならないとした彼は. 実際にある損益計算が「企業者の観点」 に立つものであるこ とを 見抜き, 「われわれの 計算 目 的は, 先ず稼得利益で あらねばならず, 分配可能利益であ っ て はならない。 」. (47>. c 傍 点筆者) とした。. かくして, この利益概念こそが正しい減価償却法の規範となった。その結果, この利益概念に即した減価償却法として直線法を導 く に至るのである。 ハ ックス の減 価償却学説の特色は, 彼が分析の対象を 何よ り も先ず現にあ る償却方法に求めたことにあると思う。彼においては, 直線法や逓減法は単 に選択の問題にとどま らなか っ た。これらの方法にはそれぞれ意味があり, 方法の違いは 目 的の違いを意味することであ っ た。従来の所説が個別的に減 価償却問題を論 じ たのに対し, 彼は利益計算という 目 的に関わ らしめてそれ を理解しようと努めたのである。減価償却問題が期間損益計算の中において 占める位置を明らかにして, 利益概念と償却方法の相互関係を提示したこと は, ハ. ハ. ックス の大きな貢献と言わねばならない。. ックスは, 稼得利益を期間利益の 根本的性格と考え, 利益を導くには,. 当該期間の設備の損耗を正しく費用の大きさに反映する必要があるとみて, 期間給付量を喪用配分の決定基準とした。 その際に, 利用期間中の設備の稼 働は ほとんど一定と想定され, 事実上直線法が採択されたこと は既述の如 く である。けれども行用の決定要因として給付量を考えること に問題がないわ けではなか っ た。直線法を採択すれば無条件に経営の成果としての利益に到 達するわ けではないからである。従 っ て, 真の期間の成果とするためには, 一歩進めた考え方を要するであ ろ う。 減価 償却計算には見積りの要素があるため, 費用の大きさは不正確である が, 実際との誤差は期間外損益 ( 臨時償却など) として調整 さ れる。見積り (4り Hax, K., Gewinnbegriff in der Betriebswirtschaftslehre. a. a. 0., S. 117.. -175 ( 339 ) -.
(22) が実際と一致するのであれば, 期間外損益 は 出現 し ないであろう。すると, 正 し い減価償却とは , 超期間的損益をできる限り小さ く するような配分の仕 方を意味するので はあ るまいか. (48). 。 ア ルバ ッ ハ は ,「費用計算の表現力 は ,. それが超期間 的費用 (aperiodische Aufwendungen) にかかわることが少な ければ少ないだ け 大き く なる。 」 “” と言い , 異常な減価償却部分をできる限 り小さ く す る のが費用計算の課題である (�0) と述べている。 この言葉 は上記 の 如き利益を求め る考え方に 一致する。 また, 「 どんな計画 でも, その中に 期待される結果は後に実際に生ずる結果と正確に は 一致 し ないという危険を 伴 う。故に こ の計画の良否 は 一般に実際と計画との差が生ずるかどうかに よ って判断されるぺきでな く , 単に違いが どれだけかで判断されるべきであ ( 51) とも言う。 る。 」. この ようにみると減価償却の 「正 しさ」 と は , 期間外損益の発生の大きさ に よ って 判断されることになる。これ ら の所説は, 正 し い減価償却計算に対 する決定的な方向づけを行っているように思 われるのである。 参 考 文 献. Albach, H., Die degressive Abschreibung. Wiesbaden 1967. Albach, H., Zur Reform der direkten Steuern. Wiesbaden 1970 . Albach, H., Steuersystem und untemehmerische Investitionspolitik. Wiesbaden 1970. Dietz, H., Die Normierung der Abschreibung in Handels-und Steuerbilanz. Opladen 1971. Endres, W•• Die Problemati.k der abfallenden Abschreibung. ZfhF 1953, . S. 107- 123 . Rax, K., Der Gewinnbegriff in der Betriebswirtschaftslehre. Leipzig 1926. Rax, K., Abschreibung 皿d Finanzierung. ZfhF 1955, S. 141- 147. Rax. k., Die Substanzerhaltung der Betriebe. DB 1956, S. 357-360 . (紺 谷端長 「動的会計論」 (増補版) 1968年。 178- 179頁を参照。 (佃 Albach, H., Die degressive Abschreibung. a. a. 0 s. 51. ◆,. 団 Albach, H .• a. a. 0 .• S. 59. (5U ebenda.. ー176 (340 ) -.
(23) Hax, K., Die Substanzerhaltung der Betriebe. Koln und Opladen 1957 . Hax, K., Die Bedeutung der betrieblichen Abschreib皿gs-und Investi tionspoli tik fiir das wirtschaftliche Wachstum der modemen Industriestaaten. ZfhF 1958 ,. s.. 247-257.. Hax, K., Die Bedeutung der Abschreibungs-und Investitionspolitik. 紅r. das. Wachstum industrieller Untemehmungen. in: Industriebetrieb und indu strielles Rechnungswesen. Festschrift flir Erwin Geldmacher, Koln und Opladen 1961, S. 9-36. Hax, K., Was ist betriebswirtschaftlich notwendige Abschreibung ?. in: Bei. t改e zur Lehre von der Untemehmung. Festschrift 紅r Karl Kiifer Stu ttgart 1968 , S. 147-168 . Heinen, E., Handelsbilanzen. 8. Aufl., Wiesbaden 197 6. Husemann, K. H., Grund滋tze ordnungs血iBiger Bilanzierung flir Anlagege gensほnde. 2. Aufl., D!isseldorf 197 6. Schaich, E.• PI四m滋Bige probabilistische Abschreibungen ftir Anlagegliter. ZfB 1978 S. 105ー122. Schmalenbach, E., Dynamische Bilanz. 13. Aufl., Koln und Opladen 1962. Schneider, D., Abschreibungsverfahren und Grund 迫tze ordnung函滋Biger Bu chftihrung. WPg 1974, S. 365ー37 6. Schneider, D., Das Problem der risikobedingten Anlagenabschreibung. WPg. 1974, s. 402-405. Walb, E., Die Erfolgsrechnung privater und offentlicher Betriebe. Eine Grund. 一. legung, Berlin und Wien 1926. Walb, E., Bilanzrationalisierung. ZfhF 1942, S. 261 269.. -177 ( 341 ) -.
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