サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─
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サプライサイド分析 2010(2)
—鉄鉱石—
金属企画調査部大久保 聡
1. 鉄鉱石埋蔵量
図1に示すとおり、現在の主要生産国である豪州・ ブラジルのほか、過去(1980 年代)に生産シェアが大 きかった CIS(旧ソ連)が世界の鉄鉱石埋蔵量の大き なシェアを占める。上位4か国で 60%弱である。なお、 これは鉄純分換算ベースである。2008 年の世界の鉄鉱 石生産量がグロス量で約 17 億 t(鉄品位を 60%と仮定 すると鉄純分で約 10 億tに相当)であったので世界の 埋蔵量は約 73 年分に相当する。はじめに
本稿は、産業にとって、最重要な素材である鉄鋼の原料のひとつである鉄鉱石に焦点を当て、その供給状況に関し て国別、企業別、鉱山別の傾向を取りまとめ、さらに、国別の貿易状況に関しても傾向を明確にしたものである。2. 鉄鉱石生産
2-1. 世界の鉄鉱石生産推移 図2に示すとおり、鉄鉱石の世界生産量は 2000 年ま では増減を繰り返しつつも緩やかな増加傾向にあった が、2001 年以降は顕著な増加傾向にあり 2008 年には 1999 年の2倍弱となっている。なお、Raw Materials Group による 2009 年速報値で は、世界的な景気低迷の影響を受け前年比 10%弱減少 している。
図1. 主要国の鉄鉱石埋蔵量(2009年、世界合計730億t(鉄純分換算))
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サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 2-2. 主要鉄鉱石生産国 図3〜5に 1984 年、2000 年、2008 年の鉄鉱石主要 生産国シェアを示す。1980 年代には旧ソ連の占める割 合が高かった。その後、社会構造・消費構造の変化か らブラジル、豪州の地位が向上している。2000 年と 2008 年で比較すると、自国の鉄鉱石消費量が大きく増 加した中国が世界最大の生産国に浮上し、ブラジル、 豪州と拮抗している状況である。2008 年には上位3か 国で 60%を占め 2000 年に比べ、寡占度が高まっている。 なお、ここでの中国の生産量は品位を他国と同レベル に調整した数値である。一般に中国産の鉄鉱石品位は 20 〜 30%と低いレベルである。 図6に 1999 〜 2009 年の主要国の生産量推移を示す。 緩やかに増減している CIS(ロシア、ウクライナ、カ ザフスタンの合計)以外は 2002 年以降顕著な増加傾向 となっている。ただし、2009 年(速報値)では後述の とおり中国、ブラジルが減産となっている。なお、Raw Materials Group による 2009 年速報値で は、中国の鉄鉱石生産量は前年比約 30%減の第4位と なっており、これには統計値としての精度の問題、中 国国内での鉄鉱石生産が比較的利潤が低いこと、鉱量 の枯渇、中小規模鉱山の閉鎖が関連している模様であ る。中国の生産量低下を受けてインドが3位生産国に 浮上している。また2大生産国では豪州(前年比で生 産増で生産シェア 24.8%)とブラジル(前年比で生産 減で同 18.9%)で明らかな差異が生じている。ブラジ ルの減産は、2008 年9月のリーマン・ショック後の景 気低迷の影響により Carajas を始めとした主要鉱山の 減産や比較的高価なペレットの生産量(鉄鉱石生産量 の内数)の減産の相乗が寄与していると推定される。 図2. 世界鉄鉱石生産の推移
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図3. 主要鉄鉱石生産国(1984年、世界合計887百万 t) 図4. 主要鉄鉱石生産国(2000年、世界合計959百万 t) 図5. 主要鉄鉱石生産国(2008年、世界合計1,723百万 t) (出典:worldsteel) (出典:鉄鋼統計要覧) (出典:worldsteel)特集・連載
サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 2-3. 主要生産企業 図7、8に示すとおり、CVRD(Vale)、Rio Tinto、 BHP Billiton が主要鉄鉱石生産企業であり3社で合計 30%前後のシェアを占めている。2000 年には3社シェ アが 28.8%であったが、2008 年には 33.6%で、やや寡 占化が進んでいる。また、3社で海上貿易量シェアの 60%以上を占めている。2000 年にはそれら3社に中規 模の鉱石生産者の他、Ispat Iscor(南アフリカ、Mittal へ統合)、SAIL(インド)、Thyssen Krupp(ドイツ) などの製鋼企業が続いていたが、2008 年には主だった 製 鋼 企 業( 2 % 以 上 の シ ェ ア を 持 つ も の ) で は ArcelorMittal のみとなっている。 近年これら大手3社も活発な M & A を実施してい るが、主に非鉄金属資産の取得や統合で、これまでの ところ、鉄鉱石生産には関連付けられない。なお、Raw Materials Group による 2009 年速報値で は、大手3社の生産シェアが計 35.4%となっている。 このうち、Vale は 16.0%とシェアを若干ではあるが落 とし、Rio Tinto 10.8%、BHP Billiton 8.6%と豪州企業 がシェアを伸ばしている。また、近年西豪州(WA 州) で鉄鉱石生産を拡張させている Fortescue もシェア 2.2%とこれら3社に続く地位に浮上してきた。 図6. 主要国の鉄鉱石生産の推移
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図7. 主要鉄鉱石生産企業(2000年、世界合計975百万t) 図8. 主要鉄鉱石生産企業(2008年、世界合計1,750百万t)(出典:Raw Materials Group)
(出典:Raw Materials Group)
2-4. 主要鉱山 2009 年の鉄鉱石生産上位 15 鉱山を図9に示す。年 産規模2千万t以上(鉱石ベース)であると大規模鉱 山といえる。ブラジル、豪州の鉱山が大半を占めている。 その中に、南アフリカ、カザフスタン、ウクライナ、 カナダ、スウェーデンの鉱山がいくつか含まれる状況 である。 他鉱種と比較すると、銅鉱山では Escondida といっ た大規模鉱山で年産1百万t(金属純分)、亜鉛鉱山で は Red Dog、Rampura-Agucha といった大規模鉱山で 50 万tであり、非鉄金属の中でもこれらの鉱種は規模 は大きいことを考え合わせても、鉄鉱山がとりわけ規 模が大きいことが分かる。上位 15 鉱山は全てが露天採 掘であり、それより生産規模が小さくなると、カザフ スタン、ウクライナ、スウェーデン等で坑内採掘の鉱 山も出てくる。 2008 年 の 生 産 量 と 比 較 す る と Carajas、Itabira、 Mariana、Minas Centrais といったブラジルの主要鉱 山での 10 〜 20%の減産が目立つ。これは、前述のと おり景気低迷により比較的高価なペレットが敬遠され、 ペレット生産が主体のこれら鉱山が減産を余儀なくさ れたためと考えられる。他方、豪州では、Hamersley、 Robe River な ど 大 規 模 鉱 山 で 生 産 が 好 調 な こ と、 Cloud Break、Hope Downs といった近年生産開始した 鉱山が軌道に乗り大きな増産となったことで全体的な 増産につながった。
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(2)
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図9. 主要鉄鉱山生産量(2009年)
(出典:Raw Materials Group)
過去 10 年間に生産開始した大規模鉱山(年産 10 百万t以上)には、
●Area C Iron Ore Mine( 豪 州、BHP-B、 年 産 40
百万t規模、生産開始 2003 年)
●Cloud Break Iron Ore Mine (豪州、Fortescue、
年産 30 百万t規模、生産開始 2008 年)
●Hope Downs Iron Ore Mine(豪州、Rio Tinto など、
年産 30 百万t規模、生産開始 2007 年)
●Itabira Iron Ore Complex( ブ ラ ジ ル、Vale、 年
産 40 百万t規模、生産開始 2002 年)
●Mariana Iron Ore Complex(ブラジル、Vale、年
産 30 百万t規模、生産開始 2002 年)
●Minas Centrais Iron Ore Complex( ブ ラ ジ ル、
Vale、年産 30 百万t規模、生産開始 2002 年)
●Vargem Grande Iron Ore Complex( ブ ラ ジ ル、
Vale、年産 25 百万t規模、生産開始 2007 年)
●Minas Itabirito Iron Ore Complex( ブ ラ ジ ル、
Vale、年産 30 百万t規模、生産開始 2006 年)
●Paraopeba Iron Ore Complex(ブラジル、Vale、
年産 30 百万t規模、生産開始 2006 年)
と豪州、ブラジルに集中していることがわかる。とり わけ、これら新規鉱山は、豪州では WA 州、ブラジル では新規鉱山の殆どが Minas Gerais 州に存在し、例え ば ブ ラ ジ ル で は Southeastern System や Southern System といった鉱山地帯を形成している。
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表1. 主要鉄鉱山の生産量の推移 所在国 鉱山名 採掘方法 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 権益保有者 鉱石埋蔵量(百万 t)(%)Fe品位 1 豪州 Hamersley 露天採掘 55.1 58.8 57.6 63.1 65.4 74.4 79.2 94.6 95.6 106.8 Rio Tinto 619.9 63.5 2 ブラジル Carajas 露天採掘 47.6 52.4 53.9 58.9 69.4 72.5 81.8 91.7 96.5 84.6 Vale 7,202.0 66.7 3 豪州 Robe River 露天採掘 30.0 30.7 35.9 45.1 48.5 53.4 52.9 51.5 50.3 54.4 Rio Tinto, 三井物産,新日鉄,住友金属 660.0 59.8 4 豪州 Yandi 露天採掘 23.0 32.0 34.4 39.4 40.6 40.5 41.2 44.2 46.7 47.0 BHP B 1,051.0 57.2 5 豪州 Area C 露天採掘 1.7 13.7 21.8 22.2 25.1 39.6 43.5 BHP B 554.0 61.9 6 南アフリカ Sishen 露天採掘 22.0 24.7 26.0 27.1 27.6 28.5 28.7 29.7 34.0 39.4 Anglo American 911.5 59.2 7 豪州 Mount Newman 露天採掘 21.0 26.2 25.6 28.9 28.1 29.8 32.1 35.8 33.5 35.7 BHP B 931.0 62.9 8 豪州 Cloud Break 露天採掘 19.5 32.2 Fortescue 628.0 58.1 9 ブラジル Itabira 露天採掘 40.8 43.2 43.6 45.7 47.1 46.7 41.9 31.1 Vale 870.8 53.5 10 ブラジル Mariana 露天採掘 15.9 16.1 19.0 25.5 29.5 33.1 36.2 28.9 Vale11 ブラジル Minas Centrais 露天採掘 11.1 10.1 17.4 19.1 20.0 33.9 37.4 28.4 Vale
12 豪州 Hope Downs 露天採掘 0.1 10.9 20.6 Hancock Prospect, Rio Tinto 343.0 61.4 13 ブラジル Vargem Grande 露天採掘 25.7 27.7 27.2 20.6 Vale
14 ブラジル Minas Itabirito 露天採掘 28.6 29.2 23.6 18.1 Vale
15 ブラジル Germano 露天採掘 14.3 11.9 15.0 15.7 15.5 14.8 15.4 16.0 16.6 17.2 BHP B, Vale 624.0 16 ブラジル Paraopeba 露天採掘 30.0 32.4 29.7 16.5 Vale
17 カザフスタン Sarbayskoye 露天・坑内採掘 13.4 12.2 13.1 14.5 15.4 12.9 16.0 16.8 15.5 15.2 ENRC plc
18 カナダ Carol 露天採掘 15.1 14.6 12.8 14.2 11.1 15.7 16.1 13.2 15.8 13.8 Rio Tinto, 三菱商事 , Labrador Iron Or 538.0 65.0 19 ウクライナ Severny 露天採掘 6.0 6.6 7.1 7.6 8.8 10.7 12.0 13.4 12.6 13.8 System Capital M, Smart N.V. 726.0 20 カナダ Mount Wright 露天採掘 14.5 9.6 12.2 13.3 13.1 10.8 13.7 13.8 13.8 13.1 Arcelor Mittal 928.0 27.5 21 豪州 Channar 露天採掘 10.6 11.1 10.6 10.4 9.8 8.6 9.8 10.6 10.4 11.0 Rio Tinto, Sinosteel 89.0 63.3 22 スウェーデン Kiruna 坑内採掘 13.7 12.4 13.1 13.7 14.5 15.3 15.3 15.2 14.8 10.6 LKAB 684.0 48.2 23 ウクライナ Poltavskaya 露天採掘 6.5 5.2 6.7 7.6 7.9 8.3 9.7 10.7 10.5 10.6 Ferrexpo
24 ウクライナ Inguletsky 露天採掘 11.5 10.4 12.5 13.7 14.1 13.5 13.0 13.8 12.6 10.3 System Capital M, Smart N.V. 468.0 25 豪州 Eastern Ranges 露天採掘 3.0 6.6 8.2 6.9 8.2 9.3 Rio Tinto, Baosteel 85.0 63.0 26 豪州 Koolyanobbing 露天採掘 1.9 4.0 4.1 4.9 5.2 5.8 6.9 7.6 7.3 8.3 Cliffs 90.5 61.7 27 ウクライナ Novokrivorozhsky 露天・坑内採掘 6.0 6.6 6.7 6.8 6.9 7.0 7.5 7.5 9.4 8.2 Arcelor Mittal
28 米国 Minntac 露天採掘 16.3 13.2 15.1 14.3 15.3 15.0 14.8 13.7 14.6 7.7 US Steel 555.0 29 チリ Los Colorados 露天採掘 3.5 3.7 4.0 5.0 4.9 5.0 5.3 5.6 6.0 7.2 CAP 272.0 30 ウクライナ Skelevatskoye 露天採掘 8.4 8.3 7.6 7.8 8.3 8.1 8.7 8.8 8.0 7.2 Smart Group
31 スウェーデン Malmberget 坑内採掘 6.8 7.1 7.2 7.8 7.8 8.0 8.0 9.5 9.1 7.1 LKAB 336.0 44.2 32 南アフリカ Khumani 露天採掘 1.9 6.7 ARM, AssOre 447.7 64.7 33 米国 Tilden 露天採掘 7.2 6.4 7.9 7.0 7.8 7.9 6.9 7.3 7.7 5.6 Cliffs 285.0 34 中国 Panzhihua 露天採掘 4.3 4.2 4.8 5.0 5.2 5.3 Panzhihua
35 中国 Qidashan 露天採掘 2.4 2.9 3.9 6.7 5.4 5.0 Ansteel
36 ウクライナ Central (Krivoi Rog) 露天・坑内採掘 4.0 4.3 4.1 4.2 4.8 5.3 5.6 5.9 5.7 5.0 System Capital M, Smart N.V. 724.0 37 中国 Baiyunebo 露天採掘 4.3 4.5 4.5 4.6 BISG
38 中国 Nanfen 露天採掘 3.9 4.2 4.6 4.6 4.5 4.6 Benxi Iron & Steel
39 メキシコ Pena Colorada 露天採掘 2.2 2.5 2.5 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 4.5 4.5 Arcelor Mittal, Techint 131.0 40 ウクライナ Zaporozhsky 露天採掘 3.8 3.9 3.9 4.2 4.3 4.4 4.0 4.3 Minerfin, Zaporizhstal 41 ブラジル Sudeste (MMX) 露天採掘 3.4 4.1 EBX Group 42 中国 Gongchangling 露天・坑内採掘 3.3 3.8 4.3 4.5 4.2 4.0 Ansteel
43 ウクライナ Krivoy Rog 坑内採掘 5.5 5.6 6.1 6.3 6.4 6.5 7.1 7.1 6.2 3.8 Privat Group 266.0 58.7 44 米国 United Taconite 露天採掘 3.9 4.2 4.2 1.6 4.1 4.9 4.3 5.4 5.2 3.8 Cliffs 146.3 45 豪州 Koolan Island 露天採掘 1.7 3.0 3.4 APAC 30.2 63.8 46 中国 Jianshan 露天採掘 2.2 1.9 2.0 2.9 3.4 3.3 Taiyuan Iron
47 米国 Northshore 露天採掘 4.3 2.8 4.2 4.8 5.0 4.9 5.1 5.3 5.6 3.2 Cliffs 312.9 48 中国 Jingtieshan 坑内採掘 2.4 2.8 2.2 2.7 3.0 3.2 ENRC plc
49 中国 Shuichang 露天採掘 3.4 3.2 3.0 2.9 3.3 3.1 Shougang
50 豪州 Tallering Peak 露天採掘 2.9 3.1 2.9 APAC 12.2 61.8 上位50鉱山計 374.2 387.2 481.5 521.4 595.9 637.1 760.4 835.4 891.3 859.0
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サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 図10. 主要鉄鉱山の生産量と埋蔵量の関係(2009年ベース) 2-5. 主要鉄鉱山の埋蔵量 年間生産量と埋蔵量の関係は図 10 のとおり。埋蔵量 が飛び抜けて大きい Carajas と終掘に近く生産量が大 きい Hamerslay は例外と考えて求めた回帰式は、 R(埋蔵量)= 14.46×P(年間生産量)+ 197.75 となり、主要鉄鉱山群の R/P(Reserve/Production: 単 純な可採年数)は約 14 年と分かる。なお、Carajas 単 独の R/P は約 85 年であり、とりわけ埋蔵量が膨大で あることが分かる。 他の鉱種と比較すると銅の場合は主要鉱山で R/P は 40 年程度、鉛亜鉛の場合は主要鉱山で R/P は 20 年程 度であるから、比較的短いと言えるが、一般に鉄鉱山 は鉄道や港湾といった大規模なインフラを共有するこ とが多く中心鉱山の周辺に複数の支部鉱山で鉱山地帯 を形成する場合が多いため、鉱山ビジネスと可採年数 との観点からも特に問題はないと考えられる。(出典:Raw Materials Group)
(生産量、埋蔵量はグロス量)
主要鉄鉱山生産量と埋蔵量の関係(Fe部分)
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2-6. 有望鉄鉱石プロジェクト 埋蔵鉱量が5億t以上で 2015 年までに生産開始が見 込まれている鉄鉱石プロジェクトを表2に示す。豪州、 ブラジル、中国の3大生産国のプロジェクトが多いが、 品位が低く選鉱が必要となるカナダのプロジェクトも 含まれる。また、豪州では高品位鉱床が無くなりつつ あり、低品位鉱床のプロジェクト開発へとシフトが進 んでいる状況が見られる。 表2. 有望鉄鉱プロジェクト プロジェクト名 所在国 生産開始時期 権益保有者 (百万t)埋蔵鉱量 鉄品位(%) Serra Sul ブラジル 2013Q4 Vale 4,240 66.8 Benxi 中国 2015 Benxi Iron and Steel Group 3,000 −KeMag カナダ 2014 NML 2,141 27.0
Exi 中国 生産開始準備 Shougang Group 1,290 42.0 Eristovskoye ウクライナ 2011 Ferrexpo 872 33.7 Balmoral South 豪州 2013 Australasian Res 859 31.2 George Palmer 豪州 2010 Australasian Res,ChinaMetallurgical Group Corp 800 − Brockman No 4 豪州 生産開始 Rio Tinto plc 621 62.0 Bloom Lake カナダ 生産開始 Cons Thompson 580 30.0 Karara 豪州 2011Q2 Ansteel, Gindalbie 522 36.3
(出典:Raw Materials Group及び Metals Economics Groupのデータベースを元に作成)
こ の 他 に イ ン フ ラ は 未 開 発 で あ る が、 ギ ニ ア Simandou プロジェクト(Rio Tinto と Chinalco の JV、 資 源 量 ベ ー ス で Fe 66 %、22 億 t)、BHP Billiton は、 リ ベ リ ア の Goe Fantro、Kintoma、St.John River South 及び Tolo Range 鉄鉱石プロジェクト(BHPB、 埋蔵量など詳細は不明)、豪州での鉱物資源利用税の導 入、ロイヤルティの優遇措置撤廃の影響により、豪州 外への開発シフトの動きが見られる。この地域には、 ギニア、リベリアに跨った Nimba プロジェクト(ギニ ア側は Euronimba、リベリア側は ArcelorMittal が保有) もある。 2-7. 鉄鉱石の種類 鉄鉱床タイプはほとんどが縞状鉄鉱床 BIF(Banded Iron Formation)を元に風化などの富化作用を受けた ものであり、一般に鉄品位は 60%前後である。ただし 中国では 20 〜 30%と低品位な鉱床が一般的である。 製鋼(高炉)原料としては Fe60%程度の品位が必要で あり、これを満たさないものは選鉱が必要となる。 鉄鉱石は、品位により次の3種類に大別される。なお、 これらの区分は主に豪州産の鉄鉱石に用いられるもの である。
●DSO(Direct Shipping Ore:直接船積鉱石)通常、
Fe 60%以上で、アルミナ、シリカ、リンなどの不 純物含有率が許容範囲内の鉱石。採掘後、破砕・ 分級される。 ●ブレンド DSO:鉄品位と、許容範囲内の不純物含 有率を揃えるために、産地や化学組成の異なる鉱 石をブレンド(配合)したもの。 ●Beneficiated 鉱石:初生磁鉄鉱の BIF 鉱床に含ま れる鉱石で、鉄品位は 25 〜 35%と低いが、選鉱 により鉄品位を 70%まで高めることが可能であ る。 また、鉄鉱石は、粒径・製法により以下の種類に分 けられる。 ●塊鉱(Lump):径 6.3mm 以上〜 31.5mm 未満 ●粉鉱(Fine):6.3mm 未満 ●Beneficiated 鉱石又は精鉱(Concentrates) ●ペレット:微粉鉱を球状に焼固したもの 加工していない鉱石である塊鉱と粉鉱の大きな違い は塊鉱は直接高炉に投入できるが、粉鉱はそのままで は目詰まりを起こすため焼結する必要があるという点 である。
3. 鉄鉱石の貿易
3-1. 主要輸出国 図 11、12 に示すとおり、2000 年と 2008 年とで鉄鉱 石の主要輸出国の構成に大きな変化はない。豪州・ブ ラジルが拮抗して2大輸出国で、この2か国で6割を 占める。この2国にインド、南アフリカ、カナダが続 くが、インドの 10%以外は割合が小さい。輸出量の世 界計は 2000 年の 500 百万tから 2008 年の 909 百万t と2倍弱に増加している。なお、Raw Materials Group による速報値では、前 述のとおりブラジルでのペレット減産により、豪州と ブラジルのシェアに明確な差が出ており、豪州は対前 年比 17%増の 360 百万t、ブラジルが6%減の 266 百万tとなっている。
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サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 図12. 主要鉄鉱石輸出国(2008年、世界合計909百万t) (出典:worldsteel) 図11. 主要鉄鉱石輸出国(2000年、世界合計499百万t) (出典:worldsteel)サプライサイド分析2010
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図13. 主要企業の鉄鉱石輸出量(2008年)
(出典:Raw Materials Group)
<参考>
2008 年の主要企業の鉄鉱石輸出量シェア(海上貿易 量 ) を 図 13 に 示 す。Vale が 33 %、Rio Tinto、BHP Billiton が約 15%で、この3社で 69%を占める。2009
年速報値でもこの3社で約 60%を占めるが、Vale が 26%とシェアを落とし、Rio Tinto、BHP Billiton がシ ェアを伸ばした。
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サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 3-2. 主要輸入国 2000 年と 2008 年の主要輸入国を図 14、15 に示す。 中国の輸入量は8年間で 6 倍強(70 百万→ 440 百万) となった。この間、中国は 2005 年まで 20 〜 40%と大 幅な輸入量増加率となっている。その後も 16 〜 19% と堅調な伸びとなっている。日本では1〜3%の伸び で減少している年もあり、この期間でわずかに増加し ている。ドイツ、韓国も増減を繰り返しつつ漸増傾向 であるが、中国の輸入量拡大によりシェアが落ちてい る。Raw Materials Group による速報値では、2009 年の 中国の輸入量は前年比 41%増の 628 百万tで 67%のシ ェアとなっている一方、日本は前年比 25%減の 105 百万tであった。
図14. 主要鉄鉱石輸入国(2000年、世界合計511百万t)
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3-3. 日本の輸入元 図 16、17 に示すとおり、日本の鉄鉱石総輸入量につ いては 2000 年(132 百万t)と 2008 年(140 百万t) で は 大 き な 変 化 は な い。 供 給 元 に つ い て 2000 年 と 2008 年で比較すると上位2か国の豪州・ブラジルのシ ェアが2国で 2000 年の約 75%から 90%弱へと増して いる。とりわけ、運賃が高いブラジルのシェアが増し ている。その2国に続くインドからの輸入量・シェア が中国需要の高まりとバーゲニングパワーの強まりか らか減少しており、寡占が進んでいる状況である。 図16. 日本の鉄鉱石輸入元(2000年、世界合計132百万t) 図17. 日本の鉄鉱石輸入元(2008年、世界合計140百万t) (出典:鉄鋼統計要覧) (出典:鉄鋼統計要覧)特集・連載
サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 参考までに中国の 2008 年鉄鉱石輸入元を図 18 に示 す。 豪州・ブラジルのシェア合計は 60%強であり、日本 よりは寡占化が進んでいない。また、日本と比較して インドの割合が高い。これには地理的なメリットが寄 与していると思われる。 なお、インドは、内需拡大によって世界の鉄鉱石輸 出市場でのシェアを低下させていることに加え、内需 拡大に対応するために鉄鉱石輸出税率を5%から 10% へと引き上げる政策を実施しており、鉄鉱石の世界ス ポット価格の上昇を助長する要因にもなっている。 図18. 中国の鉄鉱石輸入元(2008年、世界合計444百万t) (出典:鉄鋼統計要覧)4. 主要国の鉄鉱石市場規模(鉄鉱石生産・
貿易量と粗鋼生産量の関係)
2008 年の粗鋼の生産量・見かけ消費量はともに 1,300 百万t程度である。鉄鉱石生産量 1,700 百万tで、Fe 純分を 60%と仮定すると鉄鉱石起源の粗鋼は 1,000 百万t程度で、残り 300 百万tがスクラップと推定さ れる。 2008 年の主要国の鉄スクラップに対応する電炉によ る製鋼比率は、米国で 60%弱、韓国・EU 諸国で 45% 程度、日本で 25%程度、中国で 10%程度であった。 参考として、日本、中国、米国について粗鋼生産量 と鉄鉱石の生産・輸出入バランス(精度は粗いが鉄鉱 石の見かけ消費に相当する)の関係を図 19 〜 21 に示す。 ここでは鉄鉱石の鉄品位を 60%と仮定した。粗鋼生産 量と鉄鉱石の見かけ消費のギャップは、およそ電炉に よる製鋼比率に対応している。ここから推定されると おり、中国では鉄スクラップ・リサイクルが充分進ん でおらず、今後、累積された廃棄物としての鉄スクラ ップの有効利用が課題と考えられる。サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─
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図19. 日本の粗鋼生産量と鉄鉱石輸入量(鉄純分換算)の関係 図20. 米国の粗鋼生産量と鉄鉱石の生産・輸出入バランスの関係 (出典:worldsteel) (出典:worldsteel)特集・連載
サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 図21. 中国の粗鋼生産量と鉄鉱石の生産・輸入バランスの関係 (出典:worldsteel)5. 鉄鉱石の価格について
基本的には、鉄鉱石メーカー(主に前述の3社: Vale、Rio Tinto、BHP Billiton)と中日韓、欧州の鉄 鋼メーカーの相対取引で鉄鉱石価格(運搬費込み)は 決定され、国際的標準価格は存在しない。2009 年まで は年1回交渉で決定されるベンチマーク価格(1年間 有効)方式であったが、2010 年より3か月毎に価格を 改定し市場連動型で決める新方式へ変更された。例え ば、日本向け鉄鉱石価格は直近の中国向け小口スポッ ト鉄鉱石価格を参考に決定される。また、粉鉱、塊鉱 などの製品形態により価格も変わり、一般的に塊鉱の 方が高価である。図 22 に1例として、日本向け鉄鉱石 価格(Hamersley 産粉鉱)の推移を示す。ここでいう DLTU とは Dry Long Ton Unit の略であり鉱石1t (ロングトン)の鉄分1%当たりの価格を表している。 例えば品位 60%であればこの数値を 60 倍すればt当 たりの鉱石単価となる。鉄鉱石価格には運搬費が大き く寄与するが、運搬費の大体の目安として 2008 年の最 高水準時にブラジル−中国間が 100US $/ t、豪州− 中国間が 50US $/ t、豪州−日本間が 35US $/ tの 水準となっており、日本向け豪州産鉄鉱石の場合で見 ると単価の約 40%となっていることが分かる。サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─
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図22. 日本向け鉄鉱石価格の推移(Hamersley産粉鉱) (出典:テックスレポート)6. 粗鋼
鉄鉱石の消費に密接に係わる各国の粗鋼生産につい て簡便に述べる。 図 23、24 に示すとおり、2000 年から 2008 年で中国 のシェアが大幅に伸びている。この間で中国の粗鋼生 産は 129 百万→ 500 百万tと 4 倍弱となった。他方、 日本はわずかな伸び(106 百万→ 119 百万t)、米国は 減少(102 百万→ 91 百万t)で相対的に地位が下がっ ている。なお、速報値ベースであるが、2009 年の粗鋼 生産量は中国が依然として堅調な伸びで 568 百万tと なったが、日本は 88 百万t(前年比 26.3%減)、米国 が 58 百万t(前年比 36.4%減)と景気低迷の影響を受 け減産となっている。特集・連載
サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 図23. 主要粗鋼生産国(2000年、世界合計849百万t) (出典:worldsteel)サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─
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図 25 〜 27 に日本、中国、インドの粗鋼生産量の推 移を示す。 図25. 日本の粗鋼生産量の推移 (出典:worldsteel) 経済が成熟した先進国(米国、ドイツ)は日本と似 た推移で漸増ないし横ばいである。韓国の粗鋼生産は 年率2〜6%で増加傾向にある。これに対して中国は 2000 年から 2007 年まで年率 20%程度で成長を続け、 2008 年に一旦減速したものの再び堅調に推移してい る。インドも 10%程度の成長を続けており、前述のと おり、今後、インドからの鉄鉱石の輸出に影響が出る と考えられる。 図26. 中国の粗鋼生産量の推移 (出典:worldsteel)特集・連載
サプライサイド分析2010 (2) ─鉄鉱石─ 図27. インドの粗鋼生産量の推移 (出典:worldsteel)おわりに
鉄鉱石も他の資源と同様、近年では中国の需要の高 まりが市場を支配している状況で、日本への供給安定 性が圧迫を受けている状況である。供給安定のために は従来の主要生産国である豪州、ブラジルでの鉄鉱山・ プロジェクト権益取得が引き続き重要と考えられる。 鉄鉱山は大規模なインフラが必要、充分量の生産能 力が求められるという特徴がある。そのため、現状で は日本の供給元は充分な鉱床規模、発達したインフラ を有する豪州、ブラジルに偏っているのが現状である。 そのような状況下で新しい供給元(地域)を開拓する のも原料確保の重要な手段の一つである。ただし、そ の際、鉄鉱石の運搬費の観点から、地理的条件、さら にインフラのための初期投資を考慮した上での開発が 求められる。本稿では鉄鉱石の供給・貿易構造を明ら かにしたが、世界の鉄鉱石需給の現状把握に役立てば 幸いである。 (2010.8.11) 参考文献・資料 ・輸入鉄鉱石年鑑(テックスレポート刊) ・Worldsteel Steel Statistical Yearbook 2009・第 14 回「資源開発基礎講座」 〜鉄鉱石資源の基礎 知識と最近の動向〜講演資料 ・金属資源レポート 2010 年 7 月号 鉄鉱石資源(1) 豪州の主要鉄鉱石鉱山 ・平成 21 年度資源高騰における機械工業企業の経営戦 略に関する調査研究報告書(社団法人 日本機械工 業連合会)
・Mining Journal July 9 2010,Focus-Iron Ore:Playing catch up
・金属資源レポート 2010 年3月号 鉄鉱石市場─未来 のための代替シナリオ