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九州大学工学部

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Academic year: 2022

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(1)IV-017. 土木学会西部支部研究発表会 (2010.3). 通学路の交通事故発生に関する分析 九州大学工学部. 地球環境工学科. 学生会員. 末益. 元気. 九州大学大学院. 工 学 研 究 院. 正 会 員. 松永. 千晶. 九州大学大学院. 工 学 研 究 院. 正 会 員. 角. 知憲. 1. 序論. ら児童を対象とする交通事故は下校時間帯(14:00~. 現在,日本の児童の事故死理由の第1位は交通事. 17:00)に集中していることがわかる.. 1). 故である .また,これらの多くは下校時の学校周 辺の路上で発生していることが報告されている. 2). 60. .. った研究は多く行われている.しかし,これらの研. 交 50 通 40 事 故 30 発 生 20 件 数 10. 究の多くは交通行動の分析が中心であり,交通事故. 0. したがって,通学路などの道路空間の安全性の確保 が児童の日常の安全に深く関わっていると言える. これまでに,交通量と児童の通学行動の関係を分 析した山本ら. 3). の研究のように児童の交通事故を扱. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24. と児童の交通量及び道路空間の物理的な要因との関. 時間帯. 係を考慮した研究は少なく議論の余地があると言え る.. 図-1. 時間帯別交通事故発生件数(平日). そこで,本研究では通学路上の児童の交通量及び 道路空間の物理的な要因が交通事故発生に与える影. 2-3.日通過下校児童数と交通事故発生の関係. 響の分析を行い,通学路の安全性を評価することを. 本項目では交通事故発生に児童の交通量が前提と. 目的とする.. なるという仮説に関して,児童の交通量と交通事故. 2.本論. 発生の関係の分析を行う.分析の際に,福岡県警よ. 2-1.交通事故発生に関する仮説. り入手した 2007 年 1 月から 2008 年 12 月までの交通. 一般的に交通事故は交通量に左右され,加えて道 路施設や沿道施設状況(店舗,駐車場,空き地)など. 事故に関するデータの中で下校時間帯に発生した歩 行中の交通事故のデータを用いた.. の道路空間を構成する物理的な要素(以下物的空間 構成要素)が影響すると考えられる.. 本研究では下校時に任意の通学路の交通事故発生 地点を通過する児童数(人/日)を日通過下校児童数. ただし,物的空間構成要素の影響度は児童の存在. と定義した.また,日通過下校児童数を求める仮定. 状況が前提となる.したがって,本研究では各通学. として,下校時間になると児童は帰宅するために小. 路上の児童の交通量の規模でランク分けを行い,ラ. 学校を中心として自宅方向に分散していき,沿道の. ンクごとの通学路上の物的空間構成要素が交通事故. 住宅数に応じて通学路上の児童は減少するとする.. 発生に与える影響を判別分析により数量化した.. 地域・安全マップに通学路が記載されていないエリ. 2-2.児童の交通事故の傾向分析. アについては,記載されている通学路を仮想的に延. 本研究では通学時に児童が被害にあったと考えら. 伸・拡張することで,校区内の全住宅地を網羅した.. れる交通事故を想定した.そのために,まず,福岡. 各通学路の日通過下校児童数は交通事故の発生し. 市の校区の中で駅や大規模商業施設など,交通流に. た校区の総住宅数に対する任意の通学路沿道の総住. 大きな影響を及ぼす施設がない一般的な住宅地であ. 宅数の割合に各校区の下校児童数を配分することに. る 22 校区を対象校区とし,児童を対象とする交通事. より算出した.. 故の傾向の分析を行った.分析データは福岡県警よ. 交通事故が発生した通学路における日通過下校児. り入手した 2007 年 1 月から 2008 年 12 月までの交通. 童数と交通事故発生件数の関係を図-2 に示す.図-2. 事故に関するデータを用いた.ただし,児童が自動. より一般的な予想に反して,日通過下校児童数の少. 車同乗中に発生した交通事故は除いた.. ない地点で交通事故が多く発生し,日通過下校児童. 上記の分析データを基に作成した平日の時間帯別 交通事故発生件数のグラフを図-1に示す.図-1か. 数が多くなるにつれて交通事故の発生件数が減少す るという結果が得られた.. -585-.

(2) IV-017. 土木学会西部支部研究発表会 (2010.3). 表-1 日通過下校児童数 0~150. 10. 交 通 事 故 発 生 件 数. 9 8 7 6 5 4 3 2 1. 10 0 10 0~ 15 0 15 0~ 20 0 20 0~ 25 0 25 0~ 30 0 30 0~ 35 0 35 0~ 40 0 40 0~ 45 0 45 0~ 50 0 50 0以 上. 0~. 50 ~. 50. 0. 項目. 判別係数. F値. P値. 5 分間交通量. 0.004. 1.908. 0.177. 車線数. -0.164. 0.009. 0.926. 遮蔽物. 1.152. 6.000. 0.020. 歩道. -0.028. 0.006. 0.938. 路側帯の幅. -0.436. 0.334. 0.567. 表-2. 交通事故発生現場日通過児童数(人/日). 図-2 日通過下校児童数と交通事故発生件数の関係 2-4.物的空間構成要素の分析. (単路). 日通過下校児童数 0~150. 判. 定. *. (交差点). 項目. 判別係数. F値. P値. 5 分間交通量. 0.032. 14.618. 0.001. 横断歩道. -0.307. 0.155. 0.699. 側方視認距離. 0.955. 7.564. 0.013. 判. 定 ** *. 次に,通学路の物的空間構成要素が交通事故発生 に与える影響の考察を行った.児童の交通量と交通. 表-3. 事故発生の関係の分析の結果を用いて,交通事故が 発生した通学路の日通過下校児童数を①0~150,② 150~500 の 2 つのランクに分け,さらに,交通事故 発生地点の道路形状で単路と交差点に分けて判別分 析を行った. 分析にあたり,道路施設,沿道施設状況などのデ ータは住宅地図や現地調査により入手した.ここで,. 点進入時に側方の道路に存在する児童を視認できる 距離とする.交通量に関しては,2009 年 11 月 26 日 ~27 日の 14:00~18:00 に車両(自動車,自動二輪車, 原動機付自転車)の進行方向を区別しながら 5 分間 交通量を測定した. 分析地点として福岡県警より入手したデータの中 で,下校時間帯に発生した歩行中の交通事故のデー タに記載されている交通事故発生地点 34 地点に加え, 比較のためのランダム地点 50 地点を抽出した. なお, 今回の現地調査では交通事故発生地点,ランダム地 点を中心として前後 10m,歩道を含めた道路空間を対 象範囲とした. 判別分析の結果を表-1,表-2,表-3 に示す.表-1, 表-2,表-3 から,単路では遮蔽物の存在が交通事故 発生を誘発する要因となっているという結果が得ら れた.また,交差点では 5 分間交通量,側方視認距 離が交通事故を誘発する要因となっているという結 果が得られた. 通学路上の児童の交通量及び道路空間の物理的な 交通事故発生を誘発する道路空間の物理的な要因の. 判別係数. F値. P値. 5 分間交通量. 0.005. 1.243. 0.280. 車線数. -1.244. 0.451. 0.511. 遮蔽物. 3.363. 10.825. 0.004. 歩道. 0.582. 1.058. 0.317. 路側帯の幅. 0.087. 0.004. 0.952. 判. 定. **. ** 有意水準 1%. 分析ができた.また,交通事故発生件数は児童の交 通量と反比例しているという結果が得られた.これ は,児童の存在がドライバーの意識,判断に関係し, 交通事故発生に影響すると考えられる.今後はスク ールゾーンなどの児童の存在をドライバーに認知さ せる要素と交通事故との関係を考察していく. 4.謝辞 本研究は平成 21 年度科学研究費補助金(基礎研究 c)課題番号:21610014 により実施した.また,本 研究の実施にあたり,福岡県警より貴重な支援を賜 った.ここに感謝の意を表します. 参考文献 1) United Nation’s Children’s Fund: A League Table of Child Death by Injury in Rich Nations, INNOCENTI REPORT CARD, ISSUE No.2, 2001 2)水野恵司(2007). 子どもの犯罪・交通事故被害を防. ぐための広域の安全地図活用法に関する研究:財団法. 3.結論 要因が交通事故発生に与える影響の分析した結果,. 項目. *有意水準 5%. 遮蔽物は児童の身長(150cm 以上)の塀や壁,柵,看板, 植樹帯などとし,側方視認距離はドライバーが交差. 日通過下校児童数 150~500 (単路). 人社会安全研究財団レポート,No.73 pp.16-25 3)山本善積(1993) 生活環境としての通学路(第 1 報), 日本家政学会誌. -586-. Vol.44,No.10 pp.871~879.

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