上路式鋼アーチ橋(三念沢橋梁)の計画
長野県 長野地方事務所 正会員 加藤 憲一
(株)エイト日本技術開発 正会員 ○鷲見 英信
(株)エイト日本技術開発 非会員 菅野 智宏 1.はじめに
三念沢橋梁は上水内北部広域農道のうち、長野県豊野町石地区に位置し、
同路線は地元の主要道路として早期開通が望まれている.架橋位置は保安林 に囲まれており、周辺には猛禽類の生息も確認されていることから、周辺環 境に配慮した橋梁計画が求められた.
本論文では過年度実施された予備設計結果に対し、橋梁の構造特性や架橋 位置の周辺環境等を踏まえて、実施設計段階において見直しを行った経緯に ついて報告するものである.
2.設計条件
①道路規格:第 3 種第 3 級
②幅員構成:2 車線+片側歩道(図 1)
③道路線形:平面R=∞、縦断勾配 0.75%
④交差物件:三念沢(砂防指定河川)
⑤周辺環境:保安林、猛禽類生息(3~7 月繁殖期)
積雪寒冷地(雪荷重 1KN/m2 考慮)
⑥地形地質:傾斜角度ほぼ 35°、支持層礫岩(D~CL 級)、Ⅰ種地盤 3.過年度予備設計成果での課題
予備設計成果(図 4 上段)に対する課題を以下に示す。
課題①:耐震性の確保
・上路式アーチ橋はアーチ支点に対し重心位置が高いため、
地震時水平力によって橋梁全体の変形や各部材の発生断 面力が大きくなるが、主構造の工夫にて橋軸方向および 橋軸直角方向の耐震性を高める必要がある.
課題②:コスト縮減および維持管理の軽減
・上部構造は従来形式の床組構造となっており、合理化構 造の採用によるコスト縮減が見込める.
・架橋位置は積雪寒冷地であるため、凍結防止剤の散布に 伴う塩害が懸念される.
課題③:周辺環境への影響軽減
・下部構造の掘削部は急斜面での法面復旧に配慮すると、
掘削範囲を抑える必要があるが、予備設計案ではアーチ アバットの根入れが深く、地山の改変量が多い.
・施工時に猛禽類に与える影響を極力抑える必要がある.
4.設計フロー
予備設計時の課題を踏まえて実施した設計のフローを図 3 に示す。
キーワード 上路式鋼アーチ,固定アーチ,合理化構造,アーチリブと補剛桁の剛結構造,耐候性鋼材 連絡先 〒164-8601 東京都中野区本町 5 丁目 33 番 11 号 株式会社エイト日本技術開発 TEL03-5341-5144
Micg1
Micg2 Micg3
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Mi 3 Micg2 Micg2
Micg1
1.橋台位置の検討 1.橋台位置の検討
START
2.アーチアバット位置・形状の検討
(アーチライズの検討:スパンライズ比1/5~1/7)
2.アーチアバット位置・形状の検討
(アーチライズの検討:スパンライズ比1/5~1/7)
3.補剛桁およびアーチ形式の検討 (アーチと補剛桁を一体・分離)
3.補剛桁およびアーチ形式の検討 (アーチと補剛桁を一体・分離)
4.端支柱の検討(端支柱を鋼部材/RC部材)
4.端支柱の検討(端支柱を鋼部材/RC部材)
6.床版形式の検討(合成床版、PC床版)
6.床版形式の検討(合成床版、PC床版)
6.附属物計画
(支承、伸縮装置、排水、落橋防止、
延長床版、高欄、油水分離槽etc)
6.附属物計画
(支承、伸縮装置、排水、落橋防止、
延長床版、高欄、油水分離槽etc)
上部工予備検討下部工予備検討 動的解析
上部工詳細設計 上部工詳細設計
下部工詳細設計 下部工詳細設計
地形測量・地質調査
架設計画架設計画 現地踏査および
基本条件の整理 現地踏査および 基本条件の整理
橋梁詳細設計
E N D
仮設計画仮設計画 5.アーチ支点条件の検討(アーチ支点ピン/剛結)
5.アーチ支点条件の検討(アーチ支点ピン/剛結)
(図 3 設計フロー)
同形式の事例収集、
既往成果の課題整理
6000 750 500
7250 600
10750
3000 3000 2500
400
100 250 250
1.50%
1.50%
2.00%
C L
(図 1 幅員構成図)
(図 2 地形・地層縦断図)
L=約 110m
支持層線 計画路面i=0.75%
三念沢
35°
H=約 30m
土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)
‑35‑
CS5‑018
5.設計結果
予備設計時の課題を踏まえ、最終的に採用した構造および施工計画結果を以下に示す。
(1)耐震性の確保
①予備設計案の補剛桁・アーチリブ分離構造と、両者を一体化した構造とを比較検討し、橋軸方向の変形を 拘束することにより、耐震性に有利となる、補剛桁・アーチリブの一体化構造を採用.
②予備設計案の端支柱鋼部材形式と、RC 支柱形式とを比較検討し、橋軸直角方向の変形を拘束することに より、耐震性に有利となる RC 支柱形式を採用.
③アーチ支点条件はピボット支承と固定とを比較検討し、橋軸直角方向地震時の上部工の負反力対策が容易 な固定アーチ構造を採用.
(2)コスト縮減および維持管理の軽減
①耐久性の高い合成床版により、床組を省略した合理化構造を採用.
②地覆コンクリートに塩化物の遮蔽性に優れる高炉コンクリートを採用+腐食しない FRP 排水枡を採用.
③耐候性鋼材(錆安定化処理)を採用し、桁端部やアーチリブ横支材等滞しやすい箇所は更に塗装.
④橋台およびアーチアバットにコンクリート表面保護工を採用.
(3)周辺環境への影響を考慮した橋梁計画
①端支柱を谷側に配置したほか、アーチ支点は地山にかからない位置まで前面に出し、地山の改変を縮小.
②猛禽類の繁殖期(3月~7月)を避けた施工計画を立案.
③猛禽類に配慮し、上部工架設用鉄塔の支柱高を極力抑えた.
6.おわりに
実施設計において予備設計成果からの見直しをかけた内容について報告した。本設計では同様の構造形式で の事例収集や現地踏査を通じ、予備設計では反映しきれない構造や維持管理等の様々な課題を把握し、それら を検討内容に盛り込むことで、架橋位置の特性にあったアーチ橋の実施設計に反映できた。
こうした課題把握のための情報収集を計画早期段階で実施し、設計に反映していくことが重要である。
Micg1
Micg2
Micg3
Micg2
Micg2 Micg2
Micg1
A1
M
AA1 AA2
A2
M
R R
深礎杭φ3500 L=10.500m N=2本 深礎杭φ3500
L=10.000m N=2本
アーチ曲線:2次放物線 整形地盤
M M
1:0.3 1:0.3 L=6.500m,N=2本
深礎杭 φ2500 L=6.000m,N=2本
6000 6000
深礎杭 φ2500
55005500 9600 9600
3@8050=24150 13500
13400 109000
12400
1300 1300
1200
1250
600 32200 3@8050=24150 600
アーチ支間 74500
(図 5 横断図)
(図 4 側面図) 支持層線
12 50
2375 6000 2375
13 00
7250 600 10750
2500 400
800
1240 0
CL
合成床版 t=260mm PC床版 t=190mm 400 2500 7250 600
120 0
900
12000
8400
1902 1 200 70 0
4x2100=8400
1175 1175
10750
1200
900 CL
12000
75000
9@10000=90 000 10000
10000
深礎杭 φ3000 L=14.000m,N=2本
深礎杭 φ3000 L=13.500m,N=2本
深礎杭 φ3000 L=9.000m,N=2本 深礎杭 φ3000
L=13.000m,N=2本
9000 9000
7000 7000
固結粘性土 γ=18KN/m3 C =54KN/m2 φ=0°
固結礫混り粘性土 γ=19KN/m3 C =0KN/m2 φ=35°
110000
4500
アーチ曲線:2次放物線
A1
AA1
AA2
A2
M
P P
M
Micg1
Micg2
Micg3
Micg2
Micg2 Micg2
Micg1
【予備設計時】
【実施設計時】 補剛桁・アーチリブ一体 地山改変縮小
固定ア-チ RC 支柱
合成床版+床組省略 補剛桁・アーチリブ分離 地山改変大
2 ヒンジア-チ 鋼製支柱
RC 床版+床組構造
土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)