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バランスド扁平アーチ構造の滝見橋(1 )計画と設計

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Academic year: 2022

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バランスド扁平アーチ構造の滝見橋(1 )計画と設計

日本大学          正会員 ○関 文夫   富士宮市       佐藤 和幸 パシフィックコンサルタンツ㈱  正会員  伊東 靖  日本大学 正会員   天野 光一 パシフィックコンサルタンツ㈱ 正会員   石原大作

1 . はじめに

 2013 年 6 月 26 日「富士山―信仰の対象と芸術の 源泉」が,ユネスコの世界文化遺産に登録された.

白糸の滝は,この世界文化遺産の構成資産 N o . 2 4 として登録されている他,国内では,国の「名勝」

及び「天然記念物」となっている.滝見橋は,世 界文化遺産である白糸の滝の下流に計画された橋 で,滝からの霧状の水滴が飛来する多湿環境下,

観光地という環境の中で設計を行ったものである.

これらの条件を満足するために,周辺環境への影 響に配慮して地形の改変を極力抑え,橋のボリュ ウムをコンパクトな形状とし,維持管理コストの 低減を図るためにノーシュー,ノージョイント構 造としたことで,バランスド扁平アーチ(Balanced Flat  Arch  以下 BFA という)構造という構造形式 が創出された.ここでは、滝見橋の計画と設計に ついて報告する.

キーワード:アーチ橋,バランスド扁平アーチ,維持管理コスト低減、長寿命化,デザイン 連絡先   〒101-8308 東京都千代田区神田駿河台1-4-18 TEL03-3259-0666

2 .滝見橋の計画概要

 架橋位置の静岡県富士宮市の白糸の滝(写真 -1) は,富士箱根伊豆国立公園内であること,世界遺 産構成資産であることから,環境省,文化庁との 協議,指導が行われた.整備計画にあたり,名勝 及び天然記念物「白糸ノ滝」整備委員会(委員長 土隆一)で議論を重ねている.その中で滝見橋は,

白糸の滝へのアクセス動線となっている他,白糸 の滝の視点場ともなる橋梁であり,動線計画や橋 体のボリウム,橋種等様々な議論が行われた1 ).  架橋位置の選定は,複数案か検討されたが,最 終的には,図 - 1 のような2案となった.①案は,

スムーズな動線を優先した案で橋長 4 6 . 0 m で,② 案は , 人工物である極力小さくした案で橋長 39.0m である.各案毎に,橋台位置や河川護岸との取合 い,護岸構造物の安全性,歩経路との関係,コスト,

施工性,景観への影響,環境への影響が議論された.

 ①案は,名勝及び天然記念物「白糸ノ滝」保存 管理区分の第一種保護地区(世界文化遺産構成資 産)内に左右岸の橋台が構築されること,②案は,

左岸は第一種保護地区(世界文化遺産構成資産)内 に構築されるものの右岸は第三種保護地区となる.

最終的には,文化庁文化財部との協議により,第

写真-1 白糸の滝と滝見橋

②案が,第一種保護地区内への人工物が少なくな ること,橋体が最もコンパクトになり、周辺環境 への影響も少ないこと等が議論され決定された.

図-1 滝見橋の架橋位置検討案

3 .滝見橋の設計概要

(2) 滝見橋の設計主旨

 滝見橋の設計主旨は,架橋位置の環境に配慮し たことである。滝見橋の環境とは、自然が創出し た白糸の滝という自然景勝地へ配慮すること(周 辺地形の改変を極力控える,想定される洪水及び 流木に対する配慮),滝からの霧状の水滴が飛来す 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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る環境に配慮すること(長寿命化や低維持管理コ スト橋梁の発想),そして観光地として,観光客を もてなす(主役の滝の景観を邪魔をせず,観光客 の記憶に残る脇役)施設としての環境という,3 つの環境に配慮することとした.

(2 )橋種比較

 検討された橋種は,PC 桁橋案,PC ポータルラー メン橋案,P C 吊床板橋案,鋼製吊橋案の4橋が検 討された.地盤の条件は、比較的浅い位置に N 値 50 の地盤が現れたこと,地形の改変が少なく,維持管 理コストが低いと想定され、最も橋体がコンパク

トとなる P C ポータルラーメン橋が選出された. 図-2 滝見橋の構造と造形のスタディ

図-3 バランス扁平アーチ構造の水平力の考え方 ( 3) 構造と造形の発想 

橋長 3 9 m という歩道橋の構造計画で,従来の ポータルラーメン構造では,主径間が 2 9 m 程度と なることから,主桁高さが 1.5m 程度となり剛結部 が武骨となり人工的な印象となることが懸念され た.そして,剛結部にπラーメン構造の発想を持 ち込み,主径間を 1 8 m 程度とすることで,主桁高 さを 0.9m 程度まで押さえ込むことはできたが,造 形としては,高速道路にある跨道橋の印象が強く,

周辺の自然景観とは馴染まない造形となった.そ こで,πラーメン構造の頬杖を更に桁中央まで寄 せて,主径間のスパンを小さくし桁高を 0.7m まで に抑え,内側に曲線のあるような頬杖形状とする ことで,アーチ構造へシフトして考えた(図 -2).

長寿命化、低維持管理コストを担い,美しい造形 にすることができないかをスタディしたものであ る.最終的には,スパンライズ比 1/12 という扁平 なアーチ構造となり,アーチスプリンキング部で 発生する水平力を極力バランスさせるために,控 え斜材を有したバランスド構造とし,プレストレ スによって水平力をキャンセルさせた構造になっ た(図 -3)3).πラーメン構造とアーチ構造の両方 の性格を有する BFA 構造が生まれた(図 -4).

参考文献

1)関文夫,佐藤和幸,伊東靖,石原大作,天野光一;世界文 化遺産の構成資産白糸の滝に架かる滝見橋のデザイン,景 観・デザイン研究講演集 No.9, pp.117 〜 122、2013.12 2)Mike Schlaichi,関文夫(抄訳):歩道橋の設計ガイドライ ン , 橋梁と基礎,vol.40, No.8, pp.140 ・ 45、2006 3)五味傑,橋本直樹,秋葉芳之,関文夫: バランスド扁平 アーチ構造の構造特性とその挙動に関する研究,平成25年 度日本大学理工学部学術講演会予稿集,pp.521 〜 522

糸の滝に建設された滝見橋に関する計画と設計に ついて報告した.周地形の改変を極力少なくし,滝 から飛沫する水滴に配慮し,長寿命化,低維持管理 コストの視点で,橋の構造と造形を同時に発想する デザイン8)から,PC バランスド扁平アーチ構造とい うエレガントな構造形式に到達したものである.

4 . お わ り に

世界文化遺産,国の名勝及び天然記念物である白

図-4 バランス扁平アーチ構造の滝見橋の側面図 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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