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樹脂含浸シートを用いた開水路表面被覆工法の開発

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Academic year: 2022

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  キーワード  維持管理,開水路,ゼロスパン,摩耗,機能保全 

  連絡先      〒108-0023  東京都港区芝浦 4-16-23  AQUACITY 芝浦  岡三リビック(株)  技術部  TEL03-5442-2400 

樹脂含浸シートを用いた開水路表面被覆工法の開発

岡三リビック(株)  正会員  ○工藤章光 岡三リビック(株)  正会員    小浪岳治 岡三リビック(株)  正会員    三澤清志 島根大学  正会員    長束勇 

1.はじめに  

施設の維持管理にあたっては,機能診断に基づく評 価,将来予測,機能保全対策の実施が適切に行われる 必要がある.このとき施設の種類や要求性能によって 主要な劣化因子は多様であることに注意が必要であ る.例えばコンクリート製開水路の場合には,開水路 であることに起因して土砂や木屑,生活ごみ等の混入 によって摩耗現象が激しく,断面欠損や粗度係数の上 昇による流量不足が懸念される.また,線構造物であ り断面が薄肉であるため水路自体の温度伸縮による ひび割れ等の現象がある.このような開水路に対して 漏水防止や粗度係数向上を目的とした表面保護を適 用する場合,ひび割れの開閉現象によって被覆材が割 れたり,摩耗によって容易に欠損したりすることのな い対策を講じる必要がある. 

 

2.被覆材の構成と性能評価  

被覆材は図-1に示すとおりであり,樹脂含浸シー トと保護パネルで構成されている.樹脂含浸シートは ポリエステル不織布にエポキシ樹脂を現場で含浸す るものであり,自然硬化して防水層を形成する.また,

最大伸び率が 70%と比較的大きく,水路躯体の伸縮 に追従する.保護パネルはガラス繊維とポリエステル 樹脂からなる FRP であり,樹脂含浸シートを紫外線や 摩耗作用から保護する役目を果たす.  

         

図-1  被覆断面図 

(1)付着強度 

硬化養生時の温度を 0,13,40℃の3条件とし,所

定の時間恒温槽内にて養生した後,建研式接着力試験 器を用いて付着力を測定した結果を図-2に示す.養 生 温 度 が

0℃の場合で も,24 時間 養 生 で 所 定 の 強 度 に 達 しており,養 生 温 度 が 高 い ほ ど 強 度 発現は早い. 

(2)ひび割れ部追従性 

「表面被覆材のひび割れ追従性試験方法(案)」

(JSCE-K 532-2007,土木学会)に準じて測定したゼ ロスパン伸び量は,1.84mm(図-3)であった.次に 外気温の日変動にともなって伸縮を繰り返す状態を 想定し,初期変位 0.2mm,ストローク±0.1mm で繰 返し伸縮試験を行った.

伸縮繰返し試験では 50 年 相当の日変動回数(365 日×50 年=18,250 回)に 対して破断等の変形は見 られなかった. 

(3)耐候性 

JSCE-K511-1999 に従い,サンシャインカーボンア ーク灯により促進耐候性試験を行った.暴露時間は 2,000時間とし,目視による外観観察および光沢度測 定 (JIS K 5600-4-7:1999), 色 彩 測 定 (JIS K 5600-4-5:1999)により評価を行った.評価基準1)は,

白亜化がないこと,われ・はがれのないこと,色差Δ E*:3.00以下,光沢保持率:80%以上の4項目とし た.目視による外観観察および色差,光沢保持率の測 定の結果(表-1,表-2),高耐久であると判断される. 

既設水路 

保護パネル t2.0mm 凹凸調整パテ

接着プライマー 樹脂含浸シート t3.0mm 

接着層 

図-3  ゼロスパン伸び

-10 0 10 20 30

-1 0 1 2 3

変位(mm)

荷重(kN)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

1 10 100 1000

養生時間(時間)

付着N/mm2

養生温度(0℃)

養生温度(13℃)

養生温度(40℃)

目標値 1.5N/mm2 (日本下水道事業団)

24

図-2  付着力試験結果

6-095 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-189-

(2)

砂混入圧力水

供試体

写真-1  摩耗試験状況 表-1  色差 

表-2  光沢保持率 

 

(4)水密性 

図-4に示すような圧力釜を用い,0.1 MPa の水圧を 28 日間作用させて水密性を評価した.試験は,被覆 材および被覆材目

地部について表と 裏の両面(内水圧,

外水圧)について 行った.作用水圧 は所定期間確保さ れ,漏水も確認さ れなかった. 

(5)耐摩耗性 

耐摩耗試験の概要を写真 -1に示す.砂混入圧力水は,

2.0MPa の圧力で供試体に噴 射し,供試体は 30rpm の回 転数において一定速度で回 転させた.10 時間後の摩耗

体積を JIS モルタル,塩ビと比較して表-3に示す.

この結果,塩ビと同等程度の耐摩耗性を有していると 判断される. 

 

表-3  促進摩耗試験結果(10 時間後の摩耗体積[mm3]) 

  3.現場実証試験  

開発した被覆材料および施工システムの確認を目 的とし,島根県斐伊川沿岸地区において現場実証試験 を行った.対象とした水路は,幅 1.6m、深さ 0.7m の 断面で延長 15m の区間とした.被覆前と被覆後の水路 の様子を写真-2に示す. 

               

施工後の水路の挙動を1時間毎に計測した結果の うち,水路躯体のひび割れ部と目地部の変位および外 気温との相関について図-5に示す.外気温の年変動 が 35℃程度であり,それに対して水路目地部の変位 は 2.0mm 程度,ひび割れ部の変位は 0.3mm と小さい. 

図-5  水路躯体の挙動観測結果 

4.まとめ  

現場で適用した事例では,1 年以上経過しているが 割れや膨れ,剥がれ,摩耗の影響などの有害な変状は 見られない.今後も水路躯体と被覆材の機能監視を継 続して水路の挙動を明らかにし,被覆材に対しても定 量的な評価ができるよう考察を重ねる必要がある. 

  本研究は,農林水産省の官民連携新技術研究開発事 業として取り組んだ成果の一部である. 

 

参考文献 

1)「コンクリートライブラリー119表面保護工法  設計施工指針(案)」(土木学会,2005年4月) 

  名  称 色座標

L a b

色  差 ΔEab 初期値 64.68 -0.86 -1.69 − 暴露後 64.66 -0.90 -1.81 0.1

名  称 Gs(60°) 光沢保持率(%)

初期値 44 −

暴露後 38 86

被覆材 JISモルタル 塩ビ 樹脂含浸シート

摩耗体積 2634 159 182

ベアリング  排水口 排水 

水圧計 

供試体 

給水

図-4  水密性試験装置

写真-2  水路被覆状況 

(a)  被覆前 (b)  被覆後  

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-10 0 10 20 30 40

外気温(℃)

躯体変位(mm

ひび割れ部 目地部

6-095 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-190-

参照

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