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児童生徒の特性 か らみた生徒指導の質的改善

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長崎大学教育学部紀要 一教育科学 一 72 37‑48(20083月)

児童生徒の特性 か らみた生徒指導の質的改善

一高校生 の攻撃性 につ いて一

朝 長 昌 三 福 井 昭 史 地頭薗 健 司

小 島 道 生 中 村 千 秋 小 原 達 朗 柳 田 泰 典

Qual i t at i v eI mpr o v e me nto fSt ude ntGui da nc ef r o m t he Vi e wpl O ntO fSpe c i a lChar ac t e r i s t i c sofPupi l sandSt ude nt s :

Aggr e s s i v e ne s sofHi ghSc ho o lSt ude nt s

S h o z oTOMONAGA

,

Ak i f u miFUKU

I

,Ke n j iJ I TOZ ONO

,

Mi c h i oKOJ I MA

,

Ch i a k iNAKAMURA

,

Ta t s u r oOBARA,a n dYa s u n o r iYANAGI DA

人 間の特性 である攻撃性 によって,家庭や職場 , また学校 において も,多 くの人が傷つ いている 社会生活 を営 む人間に とって, この攻撃性 は適切 に処理 される必要がある 適 正 な攻撃性 をもつ ことが, よ りよい対 人関係や心 身の健康 をもた らす と考 え られている

攻撃性 に関 しては,社会心理学,精神医学,比較行動学,大脳生理学, さらには健康心 理学 ,行動医学,発達心理学,教育心理学 の領域で研究が行 われている そ して近年 にお いては,攻撃性 を人の安定 した特性 として とらえている ところにある

攻撃性 の安定性 に関 しては,男性 において8歳時の攻撃性評定 と30歳時の評定 の相 関が 有意 とい う結果が得 られている また攻撃性 に関す る男女の安定性 の違い については,男 性 の方が比較的安定性が高 く,攻撃形態 も一貫 して, よ り身体 的である とい う結果 に対 し て,女性 は よ り間接 的な攻撃形態 をとる傾 向がある と報告 されている この女児 に特徴的 な間接 的攻撃 を関係性攻撃 として とらえ, これは仲 間はずれや無視 をさせ る とい った攻撃 の ことを示 している この ように攻撃性 の安定性 に関 しては,発達 的特徴 に性差が見出 さ れている

攻撃性 の安定性 を発達的 に検討す るため,朝長 らはこれ まで小学生お よび中学生の攻撃 性 を検討 し,以下の ような結果 を得 た。

小学生の攻撃性 に関 して朝長 ら (2006)は,4,5,6年生全体 の攻撃性 は,表 出性攻 撃が不表 出性攻撃 よ りも大で,統計 的 に も有意である とい う結果 を得 た。 また性差 に関 し ては,表 出性攻撃では男児 の方が大で,不表出性攻撃では女児 の方が大である とい う結果 であ った。 またこれ らの結果 は,2007年 の調査結果 と同様 の傾 向であ った。

中学生の攻撃性 に関 して朝民 ら (2006)は,男子生徒 の攻撃性 は身体的攻撃が最 も大で, 女子生徒 の場合 は敵意が最 も大である とい う結果 を得 た。 これ らの結果 は,2007年 の調査 結果 と同様 の傾 向であった。

そ こで,本研究では高校生の攻撃性 を身体 的攻撃 ,言語的攻撃,短気お よび敵意の4特 性か ら検討す ることを目的 とした。

(2)

38 長崎大学教育学部紀要 一教育科学 ‑ 72

方 法 (1) 被験者

長崎市 内の2高等学校生徒1694名 (男子865名 ,女子829名)であった。1年生 は男子 が272名 で,女子 は259名,2年生 は男子が281名 で,女子 は305名,3年生 は男子 が312名 で,女子 は265名であった。

(2)調 査

調査 は, 日本版Buss‑Perry攻撃性質問紙 (BAQ)を用いて行 った。

本質問紙 は情動的側面である 「短気

,認知的側面である 「敵意,攻撃性 の行動的側 面である 「身体的攻撃」 と 「言語的攻撃

4特性 を測定す る下位尺度か ら構成 されて いる 被験者 は各質問 に対 して 「非常 によ くあてはまる」

,

「だいたいあてはまる」

,

「ど

ちらともいえない」,「あ ま りあてはまらない上 「まった くあてはまらない」の5段 階の 1つ に回答 した。

結 果 結果の処理 については,以下の ように行 った。

各質問項 目に対 して 「非常 によ くあてはまる」 に5点,「だいたいあてはまる

に4点,

「どちらともいえない」 に3点,「あ ま りあてはま らない

に2点,「まった くあては まら ない」 に1点 を加算 し,その合計点 を各被験者の4特性 の代表値 とした。

判定基準 に関 しては,安藤 ら (1999)のBAQの平均得 点 と標準偏 差 を もとに して作成 し,各被験者の4特性の代表値 にあてはめた。

統計処理 に関 しては,各被験者の4特性 の代表値 か らt‑検定 を行 い,以下の ような結果 を得 た。

(1)男子生徒 における攻撃性の比較 1)全学年の攻撃性 (n‑865)

身体 的攻撃 :元‑19.040,SD‑4.80 判定 :普通 言語的攻撃 :豆‑15.543,SD‑3.17 判定 :普通 短気 :元‑13.971,SD‑3.89 判定 :普通 敵意 :元‑18.266,SD‑3.70 判定 :普通 (∋ 身体 的攻撃 と言語的攻撃の比較

t‑17.886 (p

<

.01) df‑1728 (∋ 身体的攻撃 と短気の比較

t‑24.142 (p<.01) di‑1728 (∋ 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑3.761 (p<.01) df‑1728

④ 言語的攻撃 と短気 の比較

t‑9.214 (p<.01) df‑1728 (9 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑16.434 (p<.01) df‑1728

(3)

朝長 ・福井 ・地頭薗 ・小 島・中村 ・小原 ・柳 田 :児童生徒の特性か らみた生徒指導の質的改善 39

⑥ 短気 と敵意の比較

t‑23.533(p<.01) df‑1728

以上の結果のように,1年生から3年生 までの男子生徒の攻撃性は,身体的攻撃が最 も大 で,次 に大であったのが敵意,言語的攻撃,短気の順であ り,統計的にも有意であった。

2)1年生の攻撃性 (n‑272)

身体的攻撃 :豆‑18.695,SD‑4.79 判定 :普通 言語的攻撃 :元‑15.827,SD‑3.06 判定 :普通 短気 :元‑13.614,SD‑3.83 判定 :普通 敵意 :元‑17.912,SD‑3.69 判定 :普通

① 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較

t‑8.314 (p<.01) df‑542 (9 身体的攻撃 と短気の比較

t‑13.659 (p<.01) df‑542

③ 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑2.134 (p<.05) df‑542

④ 言語的攻撃 と短気の比較

t‑7.448 (pく 01) df‑542 (9 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑7.165 (p<.OD df‑542 (む 短気 と敵意の比較

t‑13.323 (p.01) df‑542

以上の結果の ように,1年生男子の攻撃性 は,身体的攻撃が最 も大で,次 に大であっ たのが敵意,言語的攻撃,短気の順であ り,統計 的にも有意であった。

3) 2年生の攻撃性 (n‑281)

身体的攻撃 :x‑‑19.014,SD‑4.99 判定 :普通 言語的攻撃 二元‑15.605,SD‑3.07 判定 :普通 短気 :xL‑14.110,SD‑3.75 判定 :普通 敵意 :元‑18.651,SD‑3.58 判定 :普通 (∋ 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較

t‑9.758 (p<.01) df‑560 (∋ 身体的攻撃 と短気の比較

t‑13.178 (p<.01) df‑560 (参 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑.991 有意差 な し (彰 言語的攻撃 と短気の比較

t‑5.171 (p<.01) df‑560 6) 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑10.828 (p<.01) df‑560

(4)

40 長崎大学教育学部紀要 一教育科学 一 72

(む 短気 と敵意の比較

t‑14.691(p<.01)df‑560

以上の結果の ように, 2年生男子 の攻撃性 は, 身体 的攻撃 と敵意が最 も大 で,

的攻撃,短気の順 であった

4) 3年生の攻撃性 (n‑312)

身体的攻撃 :元‑19.365,SD‑4.62 判定 :普通 言語的攻撃 :元‑15.240,SD‑3.33 判定 :普通 短気 :x‑‑14.157,SD‑4.06 判定 :普通 敵意 :‑x‑18.228,SD‑3.79 判定 :普通

① 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較 t‑12.797 (p<.01)

② 身体的攻撃 と短気の比較 t‑14.927 (p<.01) (参 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑3.366 (p<.01)

④ 言語的攻撃 と短気の比較 t‑3.644 (p<.01) (9 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑10.457 (p<.01) (む 短気 と敵意の比較

t‑12.956 (p<.01)

df‑622

df‑622

df‑622

df‑622

df‑622

df‑622

以上の結果の ように,3年生男子の攻撃性 は,身体的攻撃が最 も大で,次が敵意,そ して言語的攻撃,短気の順 であ り,統計的にも有意であった。

(2)女子生徒における攻撃性の比較 1)全学年の攻撃性 (n‑829)

身体 的攻撃 :元‑16.265,SD‑4.46 判定 :普通 言語的攻撃 :元‑15.069,SD‑3.13 判定 :普通 短気 '.元‑14.201,SD‑3.78 判定 :普通 敵意 :豆‑17.759,SD‑3.89 判定 :普通 (∋ 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較

t‑6.330 (p<.01)df‑1656

② 身体的攻撃 と短気の比較

t‑10.173 (p<.01)df‑1656

③ 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑7.265 (p<.01) df‑1656 (彰 言語的攻撃 と短気の比較

t‑5.093 (p<.01)df‑1656

⑤ 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑15.508 (p<.01)df‑1656

(5)

朝長 ・福井 ・地頭薗 ・小島・中村 ・小原 ・柳 田 :児童生徒の特性か らみた生徒指導の質的改善 41

(む 短気 と敵意の比較

t‑18.878(p

<

.01) df‑1656

以上の結果の ように,1年生か ら3年生 までの女子生徒の攻撃性 は,敵意が最 も大で, 次が身体的攻撃,そ して言語的攻撃,短気の順であ り,統計的にも有意であった

2) 1年生の攻撃性 (n‑259)

身体的攻撃 .'豆‑15.911,SD‑4.32 判定 .'普通 言語的攻撃 :豆‑15.120,SD‑2.56 判定 :普通 短気 :元‑14.081,SD‑3.83 判定 :普通 敵意 :元‑17.367,SD‑3.81 判定 :普通

① 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較 t‑2.433 (p<.05)

② 身体的攻撃 と短気の比較 t‑5.104 (p

<

.01)

③ 身体的攻撃 と敵意の比較 t‑4.066 (p<.01)

④ 言語的攻撃 と短気の比較 t‑3.455 (p<.01)

⑤ 言語的攻撃 と敵意の比較 t‑7.492 (p<.01)

⑥ 短気 と敵意の比較

t‑9.787 (p<.01)

df‑516 df‑516 df‑516 df‑516 df‑516

df‑516

以上の結果の ように,1年生女子 の攻撃性 は,敵意が最 も大で,次が身体的攻撃,そ して言語的攻撃,短気の順であ り,統計的にも有意であった。

3) 2年生の攻撃性 (n‑305)

身体的攻撃 :元‑16.843,SD‑4.63 判定 :普通 言語的攻撃 :元‑15.069,SD‑3.17 判定 :普通 短気 :元‑14.177,SD‑3.79 判定 :普通 敵意 .'元‑17.885,SD‑3.94 判定 :普通

① 身体的攻撃 と言語的攻撃の比較

t‑5.518 (p<.01) df‑608 (∋ 身体的攻撃 と短気 の比較

t‑7.783 (p

<

.01) df‑608

③ 身体的攻撃 と敵意の比較

t‑2.993 (p<.01) df‑608

④ 言語的攻撃 と短気の比較

t‑3.153 (p

<

.01)df‑608

⑤ 言語的攻撃 と敵意の比較

t‑9.715 (p<.01) df‑608

(6)

42 長崎大学教育学部紀要 一教育科学一 第72号

(む 短気 と敵意の比較

t‑ll.845(p01) df‑608

以上 の結果の ように,2年生女子 の攻撃性 は,敵意が最 も大で,次が身体的攻撃,そ して言語 的攻撃,短気 の順 であ り,統計 的 にも有意であった。

4) 3年生の攻撃性 (n‑265)

身体 的攻撃 '.元‑15.947,SD‑4.33 判定 :普通 言語的攻撃 :元‑15.091,SD‑3.24 判定 :普通 短気 :元‑14.347,SD‑3.73 判定 :普通 敵意 :元‑17.996,SD‑3.90 判定 :普通

① 身体 的攻撃 と言語的攻撃の比較 t‑2.794 (p<.01) (∋ 身体 的攻撃 と短気の比較

t‑4.559 (p<.01)

③ 身体的攻撃 と敵意の比較 t‑5.722 (p<.01)

④ 言語的攻撃 と短気 の比較 t‑2.215 (p<.05)

⑤ 言語的攻撃 と敵意の比較 t‑9.558 (p<.01) (釘 短気 と敵意の比較

t‑ll.010 (p<.01)

df‑528 df‑528 df‑528 df‑528 df‑528

df‑528

以上 の結果の ように,3年生女子 の攻撃性 は,敵意が最 も大で,次が身体 的攻撃,そ して言語 的攻撃,短気 の順 であ り,統計 的 にも有意であった。

(3)性 差 /

1)身体 的攻撃

① 1年生 :t‑7.018(p<.01) df‑529

② 2年生 :t‑5.466(p<.01) df‑584

③ 3年生 :t‑9.120 (p<.01) df‑575

以上の ように,身体 的攻撃 に関 しては男子の方が 子 よ りも大で,統計的 に も有意で あった。

2)言語的攻撃

① 1年生 :t‑2.706(p<.01) df‑529

② 2年生 :t‑2.075(p<.05) df‑584 (参 3年生 :t‑.806 有意差 な し

以上 の ように,1年生 と2年生の言語的攻撃 に関 しては男子 の方が大で,統計 的 に も 有意であったが,3年生では有意 な差 はなかった。

(7)

朝長・福井・地頭薗・小島・中村・小原・柳田 :児童生徒の特性からみた生徒指導の質的改善 43

3)短 気

(∋ 1年生 :t‑1.406 有意差 な し

② 2年生 :t‑.214 有意差 な し (参 3年生 :t‑.582 有意差 な し

以上の ように,短気 に関 しては女子の方が大であったが,統計的に有意ではなかった。

4)敵 意

① 1年生 :t‑1.672 有意差 な し

② 2年生 :t‑2.455(p<.05) df‑584

③ 3年生 :t‑.721 有意差 な し

以上の ように,2年生の敵意 に関 しては男子の方が大で,統計 的に も有意であったが, 1年生 と3年生 において も男子 の方が大であったが,統計 的 には有意でなか った。

考 察

現代社 会 において,子 に対す る親の愛情 と関心が,子 どもの親か らの独立 を妨 げ, また 極端 な過保護傾 向が欲求不満耐性 の低 い子 どもを育 てることになる とされてい る その よ うな状況で育 った青年 は,豊か過 ぎる物 質過剰社 会 において,過剰 に抱 く欲求 に対 して充 足で きないなかで欲求不満 の状態 に陥る そ して子 どもの ときに培 われた欲 求不満耐性の 低 さが, さらに欲 求不満 を増幅 させ ることになる この ような青年期 の不安定 な発達要因 が,攻撃行動 の下地 となっている可能性がある と考 え られてい る

文部科学省 (2006)は,キ レる子 どもの生育暦 に関す る研 究で,キ レた子 どもの性格的 傾向の分類 を行 った。す なわち(1)耐性が欠 けていることが認め られ る性格 的傾 向 (耐性欠 如型),(2)攻撃性が認 め られ る性格的傾 向 (攻撃型),(3)不満 を抱 え込 んでい ることが認め られ る性格的傾 向 (不満型) に分類 した。そ して男子高校生の場合 ,劣等感 に起 因す ると 思われる 「不満型」 と 「不満 +耐性欠如型」 の割合が高い とい う結果が得 られてい る

曽我 (2001)は,中学生 における攻撃性 と性格特性 との関係分析 を行い,短気 ,身体的 攻撃お よび言語的攻撃 と強 く結 びついているのは性格特性 の外 向性 であ り,敵意 と最 も強 く関係 しているのは協調性 である とした。 これ に対 して曽我 は,外 向性 の高い人 は行動 ば か りでな く情緒反応 を抑制す ることが苦手 なため, ささいなことで も怒 りを喚起 しやす く 短気傾向 を示す と考 えた。 また外 向性 は情緒や行動 の表出傾 向 を示す性格特性であるため, 攻撃性 の行動 的構成要素である身体 的攻撃お よび言語的攻撃 と強い関係 をもつ と考 えた。

さらに敵意 は他者 に対す る否定的な信念 ・態度で,特 に対人関係認知 にかかわる攻撃性で あ り,人間関係 の重視や共感 ・思 いや りな どの対 人的要素の強い協調性か ら強い影響 を受 ける とした。 これ らの研究結果か らさらに,緊張,不安 ,抑 うつ な どの情緒性 は,中学生 以降 に攻撃性 と関係 を もち始める とした。

そ こで本研究の 目的は,高校生の攻撃性 を身体 的攻撃,言語 的攻撃,短気お よび敵意か ら検討す ることであった。

(1)男子生徒全体の攻撃性

男子全体 の攻撃性 に関 しては,身体 的攻撃が最 も大で,次 に大であったのが敵意で,

(8)

44 長崎大学教育学部紀 要 一教育科学 一 72

順 に言語的攻撃,短気で統計的にも有意 な差があった。 また判定基準 においては,すべ て 「普通

であった。

判定基準の 「やや強い」 と 「非常 に強い」 を 「強い攻撃性」 とした場合,「強い身体 的攻撃」の割合 は25%であった。 また 「強い言語的攻撃」 は16%,「強い短気は12%,

「強い敵意」 は17%であった

以上の ように,男子高校生の攻撃性 に関 しては身体的攻撃が大であったことか ら,男 子高校生の攻撃性 は緊張,不安,抑 うつなどの情緒性 と関係 し,特 に欲求不満や欲求不 満耐性の低 さと関係 していることが考 えられた。

攻撃性 の4特性の うち 「強い攻撃性」 を1つで も有 している場合 を 「1要因型」 とし たとき,46%の男子生徒が 1要因型であった また4特性のすべ てが 「強い攻撃性」の 場合 を 「4要因型」 とした とき,1%の男子生徒が4要因型であった。

(2) 1年生男子の攻撃性

1年生男子の攻撃性 に関 しては,身体的攻撃が最 も大で,次 に大であったのが敵意で, 順 に言語的攻撃,短気で統計的に も有意 な差があった。 また判定基準 においては,すべ

て 「普通」であった。

「強い身体 的攻撃」 の割合 は21%,「強い言語的攻撃」 は17%,「強い短気」 は11%,

「強い敵意」 は14%であった。また 「1要因型」 は43%で,「4要因型」 は1%であった

(3)2年生男子の攻撃性

2年生男子の攻撃性 に関 しては,身体的攻撃が最 も大で,次 に大であったのが敵意で, 順 に言語的攻撃,短気であった。 しか し身体的攻撃 と敵意の間には統計的に有意 な差 は

なかった。 また判定基準 においては,すべ て 「普通

であった。

「強い身体的攻撃」 の割合 は26%,「強い言語的攻撃

は16%,「強い短気

は11%,

「強い敵意」 は20%であった。 また 「1要因型」 は47%で,「4要因型」 は1%であった。

(4) 3年生男子の攻撃性

3年生男子の攻撃性 に関 しては,身体的攻撃が最 も大で,次 に大であったのが敵意で, 順 に言語的攻撃,短気で統計的にも有意 な差があった。 また判定基準 においては,すべ

て 「普通

であった。

「強い身体 的攻撃」 の割合 は26%

,

「強い言語的攻撃」 は16%

,

「強い短気」 は15%,

「強い敵意」は16%であった。 また 「1要因型」 は47%で,「4要因型」 は1%であった。

(5)女子生徒全体の攻撃性

女子生徒全体の攻撃性 に関 しては,敵意が最 も大で,次 に大であったのが身体的攻撃, そ して言語的攻撃,短気の順で統計的にも有意であった。 また判定基準ではすべ て 「普 通

であった。

「強い身体 的攻撃

の割合 は18%,「強い言語的攻撃」 は13%,「強い短気」 は14%,

「強い敵意は21%であった。

以上の ように,女子高校生の攻撃性 に関 しては敵意が大であったことか ら,女子高校

(9)

朝長・福井・地頭薗・小島・中村・小原・柳田 :児童生徒の特性からみた生徒指導の質的改善 45

生の攻撃性 は,敵意が他者 に対す る否定的な信念 ・態度で,特 に対 人関係認知 にかかわ る攻撃性 であることか ら,人間関係 の重視や共感 ・思 いや りな どの対人的要素の強い協 調性 に問題があることが考 え られた。

また 「1要因型

は43%で,「4要 因型」 は1%であった。

(6) 1年生女子の攻撃性

1年生女子の攻撃性 に関 しては,敵意が最 も大で,次 に大であ ったのが身体 的攻撃, そ して言語的攻撃,短気 の順で統計 的 に も有意であ った。 また判定基準 ではすべ て 「普 通」 であ った。

「強い身体 的攻撃の割合 は16%

,

「強い言語 的攻撃」 は12%,「強い短気」 は14%,

「強い敵意」 は17%であった。 また 「1要因型」 は39%で,「4要因型」 は1%であった。

(7) 2年生女子の攻撃性

2年生女子の攻撃性 に関 しては,敵意が最 も大 で,次 に大であったのが身体 的攻撃, そ して言語的攻撃,短気 の順 で統計 的 に も有意であった。 また判定基準で はすべ て 「普 通」 であ った。

強い身体的攻撃の割合 は22%,「強い言語 的攻撃は14%

,

「強い短気」 は14%,

「強い敵意」 は260/.であった。 また 「1要因型」 は490/Oで,「4要因型J は20/Oであった。

(8) 3年生女子の攻撃性

3年生女子の攻撃性 に関 しては,敵意が最 も大 で,次 に大であったのが身体 的攻撃, そ して言語的攻撃,短気 の順 で統計 的 にも有意であった。 また判定基準 ではすべ て 「普 通」であった。

「強い身体的攻撃」 の割合 は15%

,

「強い言語的攻撃」 は14%,「強い短気は12%,

「強い敵意」 は22%であった。 また 「1要因型」 は40%で,「4要因型

は.4%であった。

(9)性 差

発達的研究 において,攻撃行動 の性差 は,誕生の約3年 目以降か ら現 われることが明 らか になっている そ して就学前 の年齢以後 か ら,男子の攻撃,特 に身体的攻撃 の程度 が高 まることが わか っている また攻撃行動 の発達過程が男子 と女子で異 なる とい う報 告 もある す なわち,ほ とん どの女子が,青年期 に攻撃的 にな り始め, また深刻 な暴力 へ の関与 は女子 の方が男子 よ りも早 く頂点 に達す る とされている

青年期 における女子 の攻撃行動 は,男子 よ りもかな りの程度 ,非攻撃的な もの になる の に対 して,男子 は女子 よ りも頻繁 に攻撃 を用 いる傾 向が持続 され るところに性差があ る とされている

しか しなが ら攻撃の性差 は,攻撃行動 の種類 によって変動す る とい うことも考慮 に入 れ る必要がある とされている す なわち性差 は,言語的攻撃 に比べ 身体 的攻撃 の指標上 で大 きく, また間接 的攻撃 に比べ直接 的攻撃 の指標上で大 きい。女子の攻撃性 に関 して は,関係性攻撃の ような よ り間接 的 な形態の攻撃 を行 う可能性が高い ともされている

したが って, よ り間接 的な攻撃形態 をとる女子 に対 して, よ り直接 的な攻撃形態 をとる

(10)

46 長崎大学教育学部妃要 一教育科学 一 72号

男子 と同様 に,直接 的な攻撃形態 を測定 し,性差 を検討す ることには議論 をよぶ問題 の 1つで もある

そ こで,攻撃性 の4特性 である身体 的攻撃,言語的攻撃,短気お よび敵意 に関す る性 差 を検討 した。

1)身体的攻撃

1年生 において は,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に も有 意 であ った また

「強い身体 的攻撃」の割合 は男子が21%で,女子 は16%であった。

2年生 においては,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に も有意 であ った。 また

「強い身体 的攻撃」 の割合 は男子が26%で,女子 は22%であ った。

3年生 において は,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に も有 意 であ った。 また

「強い身体 的攻撃」 の割合 は男子が26%で,女子 は15%であった。

以上 の ように,身体 的攻撃 に関 しては男子 の方が よ り攻撃的である といえる した が って男子高校生の攻撃性 は,女子 よ りも緊張,不安 ,抑 うつな どの情緒性が強 く, 欲 求不満や欲求不満耐性 の低 さが起 因 してい る と考 え られた。

2)言語 的攻撃

1年生 において は,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に も有意 であ った。 また

強い言語的攻撃

の割合 は男子が17%で,女子 は12%であった。

2年生 においては,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に も有意 であ った。 また

強い言語 的攻撃」の割合 は男子が16%で,女子 は14%であった。

3年生 においては,男子 の方が女子 よ りも大 であったが,統計 的 に有意ではなか っ た。 また 「強い言語 的攻撃」 の割合 は男子が16%で,女子は14%であった。

以上の ように,言語的攻撃 に関 して も身体 的攻撃 と同様 に,男子の方が よ り攻撃的 である といえる したが って男子高校生の攻撃性 は,女子 よ りも情緒性が強 く,欲求 不満や欲求不満耐性 の低 さが起 因 している と考 え られた。

3)短 気

1年生 においては, た。 また 「強い短気」

2年生 においては, た。 また 「強い短気」

3年生 においては, た。 また 「強い短気」

女子 の方が男子 よ りも大であったが,統計 的 に有意ではなか っ の割合 は男子が11%で,女子 は14%であ った。

女子 の方が男子 よ りも大であ ったが,統計 的 に有意ではなか っ の割合 は男子が11%で,女子 は14%であった。

女子 の方が男子 よ りも大 であったが,統計 的 に有意ではなかっ の割合 は男子が15%で,女子 は12%であった。

以上の ように,情緒反応 を抑制す ることが苦手 なために, ささいなことで怒 りを喚 起 しやすい短気傾 向 に関 しては,統計 的 に有意ではなかったが,女子の方が大 きい と い う結果であった。

4)敵 意

1年生 においては,男子 の方が女子 よ りも大 であったが,統計 的 に有意 ではなか っ

(11)

朝長 ・福井 ・地頭薗 ・小 島 ヰ 村 ・小原 ・柳 田 :児童生徒 の特性 か らみた生徒指導の質的改善 47

た。 また 「強い敵意」の割合 は男子が14%で,女子 は17%であ った。

2年生 においては,男子 の方が女子 よ りも大 で,統計 的 に有意 であ った.また 「強 い敵意」 の割合 は男子が20%で,女子 は26%であった。

3年生 においては,男子の方が女子 よりも大であったが,統計 的に有意で はなかっ た。 また 「強い敵意」 の割合 は男子が16%で,女子 は22%であった。

敵意 に関 しては,女子では他 の3特性の中では最 も高か ったが,性差 は男子生徒 の 方が大であった。 この ようなことか ら,男子高校生 は女子 に比べ ると,情緒が不安定 で,欲求不満が高 く, また欲求不満耐性 も低 い, さらには協調性 に も問題があるため, 攻撃性が高い と考 え られる

要 約

本研究の 目的は,高校生の攻撃性 を身体 的攻撃 ,言語的攻撃,短気 お よび敵意か ら検討 し,以 下の ような結果 を得 た。

(1)男子生徒 の攻撃性 1)全学年の攻撃性

① 身体 的攻撃が最 も大で,統計 的 に も有意であった。

② 「強い攻撃性」 に関 しては

,

「強い身体 的攻撃」の割合が最 も大で,25%であった。

③ 1要因型 は46%で,4要 因型 は1%であった。

2)1年生の攻撃性

① 身体 的攻撃が最 も大で,統計 的 に も有意であった。

② 「強い攻撃性」 に関 しては

,

「強い身体 的攻撃

の割合が最 も大で,21%であった。

③ 1要因型 は43%で,4要因型 は1%であった。

3) 2年生の攻撃性

① 身体 的攻撃が最 も大で,統計 的 に も有意であった。

② 「強い攻撃性」 に関 しては

,

「強い身体 的攻撃」の割合が最 も大で,26%であった。

③ 1要因型 は47%で,4要因型 は1%であった。

4) 3年生の攻撃性

① 身体 的攻撃が最 も大で,統計 的 に も有意であった

② 「強い攻撃性」 に関 しては,「強い身体 的攻撃

の割合が最 も大で,26%であった。

③ 1要因型 は47%で,4要因型 は1%であった。

(2) 女子生徒 の攻撃性 1)全学年の攻撃性

(∋ 敵意が最 も大で,統計的にも有意であった。

② 「強い攻撃性」 に関 しては

,

「強い敵意」 の割合が最 も大で,21%であった。

③ 1要因型 は43%で,4要因型 は1%であった。

2) 1年生の攻撃性

(∋ 敵意が最 も大で,統計 的に も有意であった。

② 「強い攻撃性」 に関 しては

,

「強い敵意」 の割合が最 も大で,17%であ った。

③ 1要因型 は39%で,4要因型 は1%であった。

3) 2年生の攻撃性

(12)

長崎大学教育学部紀要 一教育科学一 第72

敵意が最 も大 で,統計的 に も有意であった。

強い攻撃性

に関 しては

,

強い敵意

の割合が最 も大で,26%であった。

③ 1要因型 は49%で,4要因型 は2%であった。

4) 3年生 の攻撃性

敵意が最 も大 で,統計的 に も有意であった

強い攻撃性

に関 しては,「強い敵意」 の割合が最 も大で,22%であった。

1要因型 は40%で,4要因型 は.4%であった。

参考文献 市村操‑ (2004) 怒 りの コン トロール ブ レー ン社

神 田信彦 ・酒井久美代 ・杉 山成 (2005) なぜ攻撃 して しまうのか ブ レー ン社

木野和代 (2000) 日本人の怒 りの表 出方法 とその対 人影響 心理学研究,70,No・6, 494‑502。

大竹恵子 ・島井哲志 ・曽我祥子 ・嶋 田洋徳 (1998) 中学生用攻撃性質問紙 (HAQS) 作成 (1) 日本心理学会第62回大会発表論文集,930

嶋 田洋徳 ・神村栄一 ・宇津木成介 ・安藤 明人 (1998) 中学生用攻撃性質問紙 (HAQS) の作成 (2) 日本心理学会第62回大会発表論文集,9310

島井勝之 ・山崎勝之 (2002) 攻撃性 の行動科学一健康編 ナカニシャ出版

曽我祥子 ・嶋 田洋徳 (2001) 中学生 の攻撃性 と性格特性 日本心理学会第65回大会発表 論文集,533

朝長 昌三 ・福 井昭史 ・小 島道生 ・中村千秋 ・小原達朗 ・柳 田泰典 (2006) 中学生の攻撃 性 に関す る研 究 長崎大学教育学部教育実践総合 セ ンター紀要,5,183‑200 朝長 昌三 ・福 井昭史 ・小 島道生 ・中村千秋 ・小原達朗 ・柳 田泰典 (2007) 中学生 におけ

る攻撃性の傾向に関する研究 長崎大学教育学部教育実践総合センター紀要,6,1‑13 山崎勝之 (2002) 攻撃性 の行動科学一発達 ・教育編 ナカニ シャ出版

参照

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