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骨髄異形成症候群における赤血球フェリチン

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 小 林 威 夫

学 位 論 文 題 名

骨髄異形成症候群における赤血球フェリチン H , L サブュニットの臨床的意義に関する研究

学位論文内容の要旨

    目  的

フ ェ リ チ ン は 分 子 量 約45万 の 鉄貯 蔵 蛋 白 で ,H,L2種 類 の サブ ュ ニ ッ ト24

ト量を直接測定し,その臨床的意義を検討し を 用 い た 免 疫 化 学 染 色 (APAAP法 ) に よ     方  法

,さらに骨髄塗沫標本について同抗体 る 検 索 を 行 っ て 検 討 し た .   1) 対 象 : 対 象 は , MDS( RA23例 , RAEB8例 , CMML2例 ) 33例 その他各種血液疾患,および健常人で,原則として,未治療で輸血の既往がなく,

重篤な感染症,肝障害のないものとした.

  2)被検 赤血 球溶 血液: 患者 より 得ら れたヘパリン加静脈血をBeutlerらの方法 に 従 いmicrocrystalline cellu|oseとぱ‑celluloseを重 量比1:1に混 合し たカ ラムを通して自血球および血小板を除去し,低張液処理による溶血の後,10,OOOG 20分間遠心し上清を検体とした.

  3)ELI SA法 : ボ リ ス チ レ ン 製 マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ― ト (Nunc社 ) を 固相に用いた.5 0mlq炭酸水素ナトリウム緩衝液pH 9.6に溶解した家兎抗ヒト胎盤 フェリチン多ク口一ン性抗体(IgG:コスモバイオ社)150ハg/m|各wellに付着させ 4℃ で24時 間静 置し た.O.05%Tween−20,0.1%ウシ 血清 アル ブミ ン(BSA),

O.85%NaC| を 含 む り ン酸 緩 衝 液 で 洗 浄 し , つ い で‑1%BSAを含 むり ン酸 緩衝 液を加え,室温で1時間静置した.

  洗浄 後, 赤血球溶血液を添加し37℃,2時間インキヱペ―トし,再び洗浄後,単 ク 口一 ン性 抗ヒトフェリチンHサブヱ二`yト抗体(r H02;Ramco社)1皿g/rriI,

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H                                 5    B

   A

F L L M L    2 M S H 8 C H D 9 M L

A

S R

D M S A

D S M

L

E

A

R

        

(2)

ま た は 単 ク 口 ー ン 性 抗 ヒ トフ ェ リ チ ンLサ ブ ヱ ニ `yト 抗体 (LF03;Ramco社)

2ハg/mlを 各welIに 添加し,37℃,2時間インキュペートした.各we|Iを洗浄後,

ア ル カ リホ スフん ター ゼ標 識家 兎抗マ ウスIgGlまた はIgG 2bを 加え ,室温 で2時 間 静置 した .再 び洗浄 後,基質としてp−nitrophenylphosphateを37℃,30分から 2時 間 反 応 さ せ ,EDTAに よ り 反 応 を 停 止 さ せ ,405nmで 吸 光 度 を 測 定 し た ,   被検溶血液を還元しない状態で測定するために,標準フェリチンとしてnativeの 肝 フ ェ リ チ ン を 用 い た . こ の 肝 フ ェ リ チ ン を ,SDS―PAGE後coomassie bri II iant  blueで染 色され たH,Lを デンシ トメ ータ ーで 測定す るとH/L比が 16:84で あ っ た の で ,ELISAの 値 は こ れ に よ り 換 算 し て 各サ ブ ュ ニ `yト値 とし た,有意差検定は,Studenttーtestにより行った.

  4) 免 疫 化 学 染 色 (APAAP法 ) : DAKO社 製APAAPキ `yト を 使 用 し , 一 次 抗 体 にELISA法 で 用 い たRAMCO社 製 抗 ヒ ト フ ェ リ チ ンH,Lサ ブ ュ ニ

`、ノト抗体を使用した.

    結  果

健 常人 男性 では ,H  10.5土1.3attogram(ag)/cell(mean土S[),L5.9士O.7 ag/cel| , 女 性 で はH5.4土O.8ag/cell,L3.9土0.5 ag/cellとH,Lと も 女 性 は 男 性 に 比 ぺ 有 意 に 低 値 を 示 し た .RAで はH138.2土72.0 ag/cell,L 57.O土 20.9 ag/cel| ,RAEBで はH97.4土36.9 ag/celI,L49.3土 18.4 ag/celI,AMLで はH69.8土15.5 ag/cell,L30.1土9.7ag/cellと 男 女 合 わ せ た 健 常 人H 8.0土O.8ag/cell,L4.8土O.4ag/celIに 対し ,い ずれ も 有意 な上 昇を 示した .両サブュニ`yトの構成比を比較するためにH/L比を求め る と , 健 常 人1.8土o.1に 対 し , RA2.7土O.5,AML3.3土O.8と 有 意 に 高 値 を 示 し た , こ の こ とか らHサ ブ ュニ ット の相 対的増 加が 示さ れ,MDSにお け る 赤 血 球 フ ェ リ チ ン の 荷 電 の 酸 性 化 と の 関 連 が 強 く 示 唆 さ れ た ,   APAAP染 色 で は ,MDS患 者 の 骨 髄 赤 芽 球 の 陽 性 率 は , 正 常 検 体 に 比 し てH, Lと も高値 を示 す傾 向がみられた.また赤芽球系細胞でもその成熟段階により差異 がみられ,より幼若な細胞ほど陽性度の強い傾向がみられた.症例数が少なく統計 的 検討 はな され ていな いが ,HがLに比 較し てや や高 率に陽性を示す傾向がみられ ELISA法 に よ り 測 定 し た 赤 血球 フ ェ リ チ ンH、Lサ ブ ュ ニ `yト 値 の 傾 向 と ほ ぽ 一致する結果であった.

    考  案

  血清フェリチンは,体内貯蔵鉄を反映する指標として日常臨床の場で広く用いら れている,しかし,その値が感染,炎症,組織破壊,悪性腫瘍などの諸因子に少を からず影響を受ける点が問題とされる.赤血球フェリチンはこれらに影響されるこ とが少なく,より正確に体内の鉄動態を反映すると考えられている,フェリチンの 測定はこれまで,抗肝また|ま脾フェリチンを用いた塩基性フェリチンを用いる方法 が主に利用されていた,しかし,この方法では悪性腫瘍と関連するとされる酸性フ ェ リ チ ン を 測 定 し き れ な い可 能 性 が あ った, さら に, 抗心 ,また は抗HeLa細胞 フェリチン抗体を用いて酸性フェリチンを測定する方法もあるが,測定値に変動が 多 く実 用に は至 ってい ない,その点H,Lサブュニ`yトに対する単クローン性抗体 を用いた本測定法は,これらの問題点を解決し得るものと考えられる,正常赤血球 では,酸性フェリチンが塩基性フェリチンより多く,種々の病態で変動することが 知 ら れ て い る . 私 は こ れ ま で に ,MDSのRAに お い て 赤 血 球 フ ェ リ チ ン の 著 明 な増加と荷電の酸性化を報告してきたが,本測定法により両サブュニットがいずれ もRA,RAEB,AMLで 健 常 人 に 比 ぺ 有 意 に 高 値 で ,H/L比 も 有 意 に 高 値 を 示 す こ と か ら ,Hの 増 加 が 荷電 の 酸 性 化と 関連 があ ること が示 唆さ れた,MDSに おける赤血球フェリチンの増加の機序は不明であるが,近年,鉄の変動とは関係な く サ イ トカ イン, ホル モン ,お よび分 化に 際し て, フェリ チンHサ ブヱ ニッ トの

‑ 163

(3)

    結  言吾

  フェリチンH,Lサブヱニ`ソトに対する単クロ―ン性抗体を用い,2抗体サンド イ ッ チELISA法 を 確 立 し ,MDSに お け る 赤 血 球 フ ェ リ チ ン に つ い て 検索 し た その 結 果 ,RAでH,L両 サ ブ ュニ ッ ト と も 著 明 な 増 加 を 示 し,H/L比の 有意 な 増加か ら,Hサ ブュ ニッ トの 相対的 増加 が示 された ,こ れら の変 動はMDSにおけ る造赤血球能の異常,無効造血と関係するものと考えられ,サブヱニットレペルで の赤血球フェリチンの解析は,その病態を明らかにする上で有用なものと考えられ た,

‑ 164

A N R m

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    宮 崎    保 副 査    教 授    齋 藤 和 雄 副 査    教 授    西    信 三

学 位 論 文 題 名

骨髄異 形成症候群における赤血球フェリチン H , L サ ブ ュ ニッ ト の 臨 床的 意 義 に関 す る 研究

  

体 を 用 い た 免 疫 化 学 染 色 ( APAAP法 ) に よ る 検 索 を 行 っ て 検 討 し た .       

  1) 対 象 : 対 象 1ま , MDS RA23例 , RAEB8例 , CMML2例 ) 33 そ の 他 各 種 血 液 疾 患 , お よ び 健 常 人 で , 原 則 と し て , 未 治 療 で , 輸 血 も さ れ て お ら ず , 重 篤 な 感 染 症 , 肝 障 害 の な い も の と し た ,

  2) 被 検 赤 血 球 溶 血 液 : 患 者 よ り 得 ら れ た ヘ パ リ ン 加 静 脈 血 をBeutlerら の 方 法 に 従 いmicrocrystalline celluloseと ロ ―celluloseを 重 量 比1:1に 混 合 し た カ ラ ム を 通 し て 自 血 球 お よ び 血 小 板 を 除 去 し , 低 張 液 処 理 に よ る 溶 血 の 後 ,10OOOG 20分 間 遠 心 し 上 清 を 検 体 と し た ,

  3EISA法 : マ イ ク 口 タ イ 夕 ― プ レ ― ト に , 多 ク ロ ー ン 性 抗 胎 盤 フ ェ リ チ ン 抗 体 を 炭 酸 緩 衝 液 に 溶 解 後 , 付 着 さ せPBS Tweenで 洗 浄 後BSAに て ブ ロ `y ン グ を 行 い 検 体 を 添 加 し た , っ ぎ に 、 ラ ム コ 社 よ り 入 手 し た 単 ク 口 ― ン 性 抗 ヒ ト フ ェ リ チ ンHサ ブ ュ ニ ッ ト 抗 体 , ま た は Lサ ブ ュ ニ ッ ト 抗 体 を 加 え 反 応 さ せ た , そ の 後 , ア ル カ リ ホ ス フ ん タ ー ゼ 標 識 家 兎 抗 マ ウ スIgG1ま た はIgG 2bを 添 加 し 反 応 後 , 基 質 と し てpnitrophenylphosphateを 反 応 さ せ ,EDTAに よ り 反 応 を 停 止 さ せ , 405nmで 吸 光 度 を 測 定 し た , 被 検 溶 血 液 を 還 元 し な い 状 態 で 測 定 す る た め , 標 準 フ ェ リ チ ン と し てnativeの 肝 フ ェ リ チ ン を 用 い た . こ れ をSDSPAGE後 デ ン シ ト メ ー 夕

― で 測 定 す る と H L比 が 16:84と な りELISAの 値 は こ れ よ り 換 算 し 各 サ ブ ュ ニ ッ ト 値 と し た ,

  4) 免 疫 化 学 染 色 ( APAAP法 ) : DAKO社 製 APAAPキ ` yト を 使 用 し ,

―・165

   H    

B A A R F

S 2 D 8 M 9 L

S   

HD M

S A D R M

A S L

E

       L

(5)

一 次 抗 体 にELISA法 で 用 い たRAMCO社 製 抗 ヒ ト フ ェ リ チ ンH,Lサ ブ ュ ニ ット抗体を使用した.

    結  果

RAで は H138.2士 72. Oag/cel| ,L57.O土20.9 ag/celI,RAEBで はH 97.4土36.9 ag/cell,L49.3土18.4ag/cel| ,AMLで はH69.8土15.5 ag/ce| | ,L30.1土9.7ag/cel| と  健 常 人H8.O土O.8ag/celI,L4.8土 O.4  ag/cellに対し,いずれも有意な上昇を示した.両サブヱニ`yトの構成比を比 較 す る た め にH/L比 を 求め る と ,健 常 人1.8士O.1に 対 し,RA2,7土O,5, AML3.3土O.8と 有 意 に 高 値 を 示 し た . こ の こ と か らHサ ブ ュ ニ ッ ト の 相 対 的 増 加が示 され,MDSにおける赤 血球フェリ チンの荷電 の酸性化と の関連が強 く 示唆された,

  

    結  語

  フェ リチンH,Lサ ブュニット に対する単 クロ―ン性 抗体を用い,両サブュニッ ト を 個 々 に 測 定 す るELISA法 を 確 立 し ,MDSに お け る 赤 血 球 フ ェ リ チ ンH, Lサ ブュ ニット 値を測定し て検討した .その結果 ,RAで両サブ ュニットと も著明 な 増 加を 示し,H/L比の有意な 増加から,Hサブュ ニットの相 対的増加が 示され た . 骨髄 塗 沫標 本 に対 す る免 疫 化学 染 色 にお い てもELISA法と ほ ぼ一 致す る結 果 が 認め られた. これらの変 動はMDSに おける造赤 血球能の異 常,無効造 血と関 係す るものと考 えられ,H,Lサブュニッ トレペルで の赤血球フェリチンの解析は その 病態を明ら かにする上 で有用なも のと考えら れた.

  以上 より,本研 究は博士( 医学)の学 位論文とし て妥当なものと判断される.

H L H

A S

L E

S D M P A L A

P H A    L

A R

A R S D M   

  

N R m S D M

L H

H

L M AH

B E A R A

参照

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