胃痛患 者末梢血単 球 の抗 腫瘍 活 性 に関する検討
金沢 大学が ん研 究所 外 科 講座 く主任こ磨伊 正義 教 授I
上 野 雅 資
く昭和6 2年1 月2 3日受 付ン
胃癌 患 者に おけ る末輸血 リン パ球 くpe riphe r al blo od lym pho cy te,P Bu の抗 腫 瘍 効果に関し て,
モ ノクロ ー ナル抗体によ る リン パ球亜分 画の同定およ びn atu r al k ille r くN K ト活性につ いて, 癌の組織 学 的進 行 度によ る変動を検 討す る と と もに, r e C O mb in a ntinte rle uk in2 くrI L−21 刺 激によ る N K 活 性 増 強作 用 お よ び O K −4 3 2 刺 激によ る inte rle uk in2 く工L−21 産 生 能を測 定し, O K −43 2 の効 果発 現に対す る I L−2 を 用
いた検 討を行っ た. P B L の亜分画につ いて は, O K T 3陽性 細 胞 く末梢血 丁細 胞う, O K T4 陽性 細 胞 トル
パ ーlインデュ ー サ ーT 細 胞lの減 少が王V期に お い て認め ら れ た が,T 4ノT 8 比, Le u7陽性 細 胞 くN K 細胞l は, 各進 行 期 間に有 意差は なかった. N K 活 性につい ても, 各進 行 期 間に有 意 羞は認め なか った. P B L は,
rI L−2 1 0 Ulml存在 下で, 1 日間培 養 後に N K 活 性の最 高値を 示 し, II 8zIII期におい て有 意の増 強を 示 し た. O E−4 3 2刺 激によ る ル 2 塵 生 能は, 各 進 行 期 間に有 意 差は認め ら れ なかっ た が, 胃 痛 患 者お よ び健 康 成人におい ても幅 広い分 布を 示 し, 個体 差が著明であっ た. ま た, こ の反応と, 従 来O K−4 3 2 の投 与 指 標と し て 用いら れ て き た Su−pOlys a c cha ri de くSu−P Sl 皮 内反応と の相 関は認め ら れ なかった. 以 上の成 績よ り,胃癌 患 者で は,進 行し た病 期において も P B L の細 胞 性 免疫 能は 比較 的 保た れ ており,I L−2 によ る P B L の賦 括化が可 能と考え ら れ る が, O K−4 3 2の全 身 投与によ る 工し 2 を介す る抗腰瘍 効 果を期待す る な ら ば,
in vitr o で の O K−43 2 刺 激によ る 1 し 2 産 生 能の個 体 差を考慮す る 必要が あ ること が 示唆さ れ た.
K ey w o rds 胃 癌, N K 活 性, インタ ー ロイ キン2 0 K −4 32
近 年, 胃 癌の手簡 成績は向上 し, そ の 理由と し て胃 診 断 学の進 歩によ る早期 例の増加に負う処が大きい.
しかし, 進 行癌の根 治 手術 例で あ って も,
一 定 期 間後
に再 発を来す症例が後を絶た ない こと を み て も わ か る よ うに, 可 視 範 囲を越え た遺 残 微 少 転 移 くr e sidu al
mic r o m eta sta sisl の存在を常に考 慮す る 必要が あ る.
この た め, 多く の施 設で術 後の補 助 化学 療 法がお こな わ れ てい いる が, 満 足すべき成績は得ら れ ていないり.
そ の反 省と して. これ ま での化 学 療 法は癌 細 胞を攻 撃す る事のみに目を向け て き た傾 向にあ る が, 抗 癌 剤 投 与と宿 主の免 疫 応 答には種々の関わ り合いが み ら れ, 効 率の良い化 学療 法のた めには, 宿主の免 疫 能の 改 善を目 的と し た治療が求め ら れ た2卜 引. こ の免 疫 増 強を目的と す る試み は, 従来, 肝癌の免 疫療 法迅のカ テ ゴリ ー に分類さ れ て き た が,近 年, 米 国を中心 と して,
A b br e viatio n s こB R M , biologi c al r e spons e le uk in 2三L A K
,1ym phokin e a ctiv ated k ille r
lym ph o cy te三P B S , pho sphate buffe r s alin e三 polys a c cha ride.
これ ら を b iologic al r e spo n s e m odifie r s くB R Ml と し て 一括し, いたずらに臨床 効 果を求め る よ り も, 作 用機 序に重 点を おい た 基礎 的研 究が 重視さ れ る よ うに なっ て き た6ト81. 特にT 細胞の増 殖.活性因 子 と し て知 ら れ る inte rle uk in2 くI し 21 は, Ta nigu chi9 1らによっ て遺 伝子の全 塩基 配 列が決 定さ れ, 大 腸 菌を 用いた遺 伝子組み換えに よ るr e c o mb in a nt inte rle uk in 2 くrI し 2うが大量に産 生 可 能になって 以来,種々 の抗 腫 瘍
免疫反応に介 在す る1 0 卜 1 41こと な ど物理.生 物学 的性 質
が明ら かになっ て お り, 従って, こ の工し 2 を中心 と し た解 析を行うことによ り, 現在 臨床 的に広く 用いら れ ている O K−43 2 な どの免疫 療 法の効 果発現機 序を 明 ら か にす ること が可 能と考え ら れ る.
そこ で, 本研 究で は, 胃癌 患 者 末梢血 リン パ球を 用 い, 第一 に, 無感 作 状 態での免 疫 能と して, リンパ球
m odifir e s三F C S ,fetalc alf s e r u m 三工L−2,inte r一 三N K , n atu r al k ille r三P B L, pe riphe r al blo od
rI L−2 , re C O mbin a ntinte rle uk in 2 ニS u−P S, Su−
胃癌 患 者 末 棺血 串 球の抗 腫瘍 活 性に関す る検 討
亜分 画およ び N K 活性の癌 進 行 程 度によ る変 化を検 討し, つ い で, B R M に対す る 反応 性と し て,in vitr o で の r工L−2 によ る細 胞 障害 活 性の増 強 効果およ び 0 王く. 4 3 2 刺 激によ る 工し2 産生 誘 導能な ど を測 定し, これ ら の胃 癌進 行 程 度によ る変 動を中心に検 討を行った.
対 象およ び方法
工. 対 象
198 4 年1 0月よ り 1 9 8 5 年12月まで の期 間に, 金 沢 大学が ん研 究 所付 属 病 院 外科に お い て, 胃 切 除術を施 行し,組 織 学 的検 索をお こなった胃癌 患 者32 名を対 象 と し て, これ らの術 前の末棉血 リン パ球を 用いた. 年 令は 3 2へ7 8歳 く平 均−58.2歳I, 性 別は男 性24 名, 女 性8名で あった. 病理組織 学 的 分類では, 管状 腺 癌2 0 名, 低分化腺 癌11 私 印鑑 細 胞 癌1 名で あった. 病 期
分 額は, 胃癌 取り扱い規 約1 5 Iに従っ た. 対照 と し て,健
康成人 1 0 名 く男性8 名, 女性2 名, 平 均 年令5 2.3歳1
の末梢 血リン パ球に つ いて検討し た.
胃 癌 各病 期の症例およ び対照と し た健 康 成人の生 物 学 的 背 景く表1J は, 年 令に有意 差は な く, 男 女比 は,
H 良 川期を除いて ほ ぼ同率で あった. ま た,
一般に栄 養
学 的 指標と し て 用いら れ る ている 血清アルブ ミンお よ び末 術血 リン パ球 数は, 対照およ び胃癌 各 病 期 間に有 意 差は認め ら れ なかった. なお, 今回対 象と し たI V期 患 者は, 比較 的一般 状 態の良い手術可能 例で, 低 栄 養 状 態の いわ ゆ る末期の症例は含ま れ ていない.
町リン パ球の分離と調 整
ヘパリン加 末棉血 を 20 ml採 取し, F ic o11−Hy paqu e
比 重遠心法によ り分 離し た. す な わ ち, 術 前に採 取し たヘパリン加 末梢血 を, 0.1 M リン酸 綬 衝生理食塩 水 くpH 7■4H pho sphate buffe r ed s alin e,P B S l にて約
2 倍に 稀 釈 後, F ic oll−Hy paqu e 液 く比 重1.0 7 7 1 くLymphopr epI くNyega a rd, Oslo, No r w ayl 上に静
に重層し,4 0 0x g,室 温で,2 0 分 間遠心 し た. 遠心後,
その中 間 層を ピペ ッll に て採 取し, アンピシリン6 0 JLgノml, カナマイシ ン6 0FLglml を加え た R P M I−1 64 0
22 1
くG i bc o,Gr a nlsla nd,Ne w Y o rk,U.S.Aう. にて 3 回洗 浄し た. 次いで, これ ら を非 働 化 仔 牛 血 清 くhe at−in−
a ctiv ated fetalc alfs e r u m ,F C S j くG ibc oj を 1 0%濃 度に加え た R P M l.1 6 4 0 培地 中に浮遊さ せ た.
H . モ ノクロ ー ナル抗体によるリン パ球亜 分画の同 定
ヒト リン パ球に対す る各種モ ノ クロ ー ナル抗 体川を 掛 巧 胃 癌 患者 末 棺血 リン パ球のリン パ球亜分 画を測 定し た. 2本の ガ ラス試 験 管に各々1 0 0声1の P B S を 分注し, よ く 混合し たヘパリン加 全血を 1 0 0 直ずつく わ え た. 対照試験 管には10ノJlのP B S を加え, も う 1 本に モ ノ クロ ー ナル抗 体1 0メ1 を加え, 40C で 2 0 分 間反応さ せ た. これ に2 mlの赤 血 球 溶 解用試 薬 く1ysing r ege ntl を加え, 1 0 分 間室 温で反応さ せ た後,
レ ーザ ー フロ ー サイ トメー タ ー , ス ペク ト ラム m くOrtho Dyn ami Syste m,Ra rita n
,Ne wJe r s ey,U.S.
Aう. によって, 螢光 細 胞 数を測定し た. 使用 し たモ ノ クロ ー ナル抗 体は, すで に螢光標識さ れ た市販品を も ち いた.す な わ ち,末梢血 T リン パ球反応性のO K T 3,
ヘ
ル パ ーノイ ンデュ ー サー T リン パ球反応 性のO K T4,
サ ブ レッサ ーノキ ラー T リ ン パ球 反 応 性の O K T 8 くOrtho D iagn o stic Syste ml, N K 細胞に反応 性の Le u7くBe ckto n.D icks o n, Mo u ntain V ie w, CaliT fo r nia,U.S.A1. な ど を 用いた.
王V. N E 活性の測定 く図 り
ヒト赤 白 血病 由来の K.5 6 2細 胞 株を 用い,
5 1Cr 放 出
法によ り測 定し た1 7 ト 2 O ,
. す な わ ち,Fic oll−Hy paqu e比 重遠 心 法によ り分 離し た新鮮リン パ球を,1 0%F C S 加 R P M I−1 64 0 培 養 液 中にて 5 Xl O8c ellsJmlに調 整し,
その5 0声1ノ孔を U 底マイクロ プレ ー トくNu nkうに 1 検 体につき そ れ ぞ れ4 孔 ずつ分 注し, エフアクタ ー細 胞と し た.
一 方, タ ー ゲッ ト細 胞と しては, 約1 XlO8
C ellslml のK 56 2 細 胞 浮遊 液1 mi に,100JLl の Na2 5 1
Cr o.,3 m Ciノ3 ml くN e w Engla nd N u cle a r, Bo sto n,
M a s s a chu s et ts,U.S.A1. を加え, 3 7PC, 5 %C O2下で 2 時 間培 養標 識 後, 10 % F C S 加R P M I.1 640 培地に浮
Tablel. C linical ba ckgr o u nd fa cto r s of patie nts with ga stric c a n c e r
等芸崇言f ニニ憲S三e f Age く筑 Se r u竃ぷu min L謂慧デy te
工 茸 品 H
N
c o ntr ol群
5
ご U
1 0 1
1
−1
6 0 士 9 5 6 士1 1 5 7 士 9 5 2 士 9
3 3 2 2
ノ ノ
ノ
ノ
ノ ノ
ノ ノ
2 3 9 8
1 3.9 士0.5 21 1 0 士9 0 0 4.0 士0 て 2 0 7 0 士4 4 0 3.8 士0.9 2 0 0 0 士5 6 0 4.2 土0.5 2 3 3 0 士8 0 0 V alu e s a r e e xpr e s s ed a s m e a n 士S.D. 葬,Healthy adults.