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投資の短期的作用と経済構造(2)

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(1)

投資の短期的作用と経済構造(2)

その他のタイトル Investment in Economic Structure : its Short‑run Effects (II)

著者 安田 信一

雑誌名 關西大學經済論集

4

4

ページ 301‑326

発行年 1954‑08‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/15797

(2)

301 

五︑経済発展と運転資本回転率

前節においては経済発展に伴うサービス産業の重要性増大︑これに関連する投資増加に伴う消費支出増加のそれ

との関係を通して運転資本に関する加速度原理の作用について一般的に説明した︒けれどもそれをより具体的に展

開するがためには経済発展に伴う運転資本回転率との関係を併せ考えねばならぬ︒

それ故に以下これを問題とす

凡そ一個別企業を問題とするときその固定資本に対する投資は一般的には生産能力が増大するが故に売上高もま

たこれに応じて増大するが︑短期的には別とし︑長期的にはこの両者が正比例的関係にある限り資本回転率は不変

となる︒然してこの長期的に資本の回転率が上昇するか︑不変であるか︑または低下するか否かについて影響を及

ぼす事情に関しては固定資本回転率に影響を及ぼす要因として述べたことに部分的には関係するのであるが︑経済

の発展に伴つて実質賃銀水準は騰貴し︑固定資本財の材料を構成する諸財貨価格よりも相対的に大となる傾向にあ

り︑このことはこの間における技術の進歩とともに生産設備の耐久年限を併せ考慮したる単位生産力︑例えばトン

投費の短期的作用と経済構造︵安田︶

る ︒

(

(3)

し年\ (3)  (4)  全 製 造 業 同 指 数

(1926=100) 

(2)+(3) 

平均時澗 1926 但し(3)

当り貨銀 (=100)  100とする。

1901  0.219  33.8  93.1  36.3  0.239  36.9  89.1  41. 4  10  0.260  40.5  85.2  46.6  15 0.287  44.o 

86.3  51. 0 

20  0.663  102.5  149.4  68.7  25  0.645  99.7  103.2  95.6  26  0.647  100.0  100.0  100.0  30  92.1 

36  0.556  85.9  87.0  98.7  40  0.661  102.3 , '  95.8  106.7  45  1. 023  158.2  104.7  151.1 

Historical Statistics,  p. 67,  p. 233, 但し (2)、(4)は筆者計算

係をアメリカについて示せば次の如くである︒ 投資の短期的作用と経済構造︵安田︶

与えているが︑この点については既でに述べ A︱落するかについてはこの比率が重要な影響を つて固定資本回転率が上昇するか︑または下 する投資の増加は原則として生産能力の拡大 一個別企業を問題とするとき生産設備に対 パーセントに過ぎない︒ ント騰貴しているのに反し後者は僅ずか一〇 製品の価格は一・一倍と前者は三五0 当り価格の単位時間貨幣賃銀率に対する下落となる︒このことは生産設備が完全に利用せられ︑且つ企業経営者が減価償却について保守主義を実施せざる限りにおいては生産原価の構成中にて賃銀に対する減価償却費の相対的低下となる︒けれどもこれを実際の統計において吟味するがためには種々の要因を考慮するを要するを以て極めて困

( 1 )  

難である︒それ故にこれに代えて生産設備の最も重要なる材料である金属及び金属製品の価格と貨幣賃銀率との関

均貨幣賃銀率は一九0一年より四五年までの

期間中に四・五倍となれるのに金属及び金属

に導き︑売上高もこれに応じて増加する︒従 上表の如くに製造業における一時間当り平

(4)

303 

な関係を有し︑

その需要に対する適応性は他の産業よ

伴い既述の如く食料蚊に原材料としてのその需要は相 る要因がある︒然し乍らまたそれとは逆に経済発展に に比較すると小なるを以てその価格は相対的に騰貴す ぞれ事情を異にするも︑その機械化の余地は他の産業 大であり︑且つ鉱業を別とすると農業にては各国それ

Historical Statistics, p. 233 

~

1全商品価格926=100 1農産物価格926=100

1901  55.3  52.8  60.1  56.4  10  70.4  74.3  15  69.5  71. 5  20  154.4  150. 7  25  103.5  109.8  30  86.4  88.3  35  80.0  78.8  40  78.6  67.7  45  105.8 

128.2 

た︒けれどもこの固定資本回転率に対する運転資本回転率については如何︒その場合にもとより種々の要因が問題 となり得るが︑その費用構成における主原材料費に対する賃銀等の占める割合と当該企業におけ柘例えば製造業で

あるならばその製造期間をその重要なる要因とすることを得るであろう︒

L涸官

[

誤粛藻丹 こにおいては資料の関係J

上売上原価の代わりに売上高を使用する︒また運転資本回転率は各産業について問題となるがその対象を製造業に

限定する︒それではこの製造業における運転資本回転率は長期的には経済の発達によって如何に変化するのか︒

元来製造業に属する各企業はその業種によって相違はあるが︑同様に製造業に属する他の業種の産出物をその原 材料とする場合が極わめて多い︒けれども製造業を全体として問題とする場合にはこの製造業内部における原材料 取引は無視し得るが故にこれを別とすれば製造業全体としては農産物蚊に鉱産物となる︒然るにこれらの産業にお 対的には減少する傾向にあり︑且つそれは土地と特殊

投資の短期的作用と経済構造︵安田︶

(5)

304 

る ︒ 費用の割合が大体不変なることを意味する︒ ると解し得るであろう︒

我国拉にアメリカにおける農産物価格と一般物価との間には右の如き関係が存するが︑経済発展に伴なう一時間

当り貨幣賃銀率と一般物価との間には前述せし如き関係にあるが故に︑少くとも農産物を原料とする限りにおいて

この原料に対する貨幣賃銀率の騰貴は同様の割合においてあると云わねばならぬ︒然して一般物価に対する貨幣賃

~

=109011 =109011

昭和 6 74.8  62.3  10 99.4  102.8  15 164.1  157.3  20 350.3  211.6  25 24,680.7  21,027.1  28 35,398.6  31,208.0  日本銀行調

経済統計年鑑(東洋経済新報社)

昭和29年版 155

のそれよりも若千大である︒それ故に両者は大体平行関係にあ と直ちに明らかとなるが如くに農産物価格の騰貴率は一般物価 昭和九ー十一年を基準とすると一般物価の騰貴率より小にして 農産物価格一般ではなくして食用農産物であるが︑その価格は に一般物価水準と大体に平行関係にある︒また我国については アメリカにおける農産物価格は右の表において示したる如く

投資の短期的作用と経済構造︵安田︶

りも長期的にも比較的小にして︑それは相対的にはその価格下落要因となる︒前頁のアメリカにおける一般卸売物

価と農産物価格との比較表はこの両要因が作用していることを示す︒

右に対して我国における食用農産物と一般卸売物価指数は次の如くである︒

相対的には下落していると云い得るが︑昭和六年を基準とする

(6)

305 

と賃銀費用との安定性を推

定せしめる︒次ぎに我国経済であるが最近における全製造業についての製造原価の構成は次頁上表の如くである︒

右の表によりて明らかな如くに我国製造業においては労務費に対して材料費等の占める割合はアメリカ製造業に

比し著るしく大である︒

然してこの材料費の中に燃料費を含むや否やは明かではないが多分これを含むと考える

が︑然らざる場合にはそれはより大となる︒それではこれは何にもとずくのか︒アメリカ製造業に関する前記の表

よりするもそれはアメリカと我国との間の経済発展の相違に帰することは出来ない︒それでは何にもとずくかと云

うに各々の国の特殊性にもとずくものと云わねばならないであろう︒

価 格

t

(2)  (3) (2) (1)  (4)  (5) (4) (1) 

(百万ドル) (百万ドル) (百万ドル) % 

1899  6,386  1,893  29.6  4,647  72.8  1904  8,234  2,441  29.6  6,019  73.1 

, 

11,783  3,206  27.2  8,162  69.3  14  13,891  3,783  27.2  9,386  67.6  19  36,229  9,611  26.5  23,735  65.5  21  24,400  7,.451  30.5  17,253  70.7  23  33,612  10,149  30.1  24,569  73.1  2f?  35,142  9,980  22.8  25,668  73.0  27  34,010  10,099  29.7  26,325  77.4  29  37,403  10,885  29.1  30,591  81. 8  31  21,229  6,689  31. 6  18,601  87.6  33  16,550  4,940  29.8  14,008  84.0  35  26,441  7,311  27.7  18,553  70.1  37  35,539  10,113  28.5  25,174  70.8  39  32,160  9,090  28.3  24,683  76.6  Historical Statistics, p. 179但し、(3)(5) 筆者計尊、また単位金額は千弗より百万弗に変更

前者よりはまた主要原材料 銀費用との割合は長期的に 前表の如くにアメリカ経はなく燃料費を含めたものではあるけれどもこれと賃は安定し︑またその附加価値との割合はそれよりは不安定ではあるけれども比較的安定性を有する︒然して 済においては材料費のみで

(7)

度まではこれを反映していると云い得るであるう︒

0

~

(1)  (2) 

(3) 

1 . )  

材料費 労 務 費 経 費 2) 

(1)  27和上 71. 73  13.32 

" ・ : 1   " ・ ・ "  

.70. 77  13.71  15.  19. 4  28年上 72.75  13.36  13.  18.4 

日本銀行調査

締済統計年鑑(東洋経済新報社)昭和29

222 3

投資の短期的作用と経済構造︵安田︶

に行われる限り製造

原材料費と其他の費

用との構成如何は製

造期間を同一とする

も運転資本の回転率

に重要な影響を及ぼ

す︒例えば総生産費

10

0︑主要原材料

1 0

とすれば連続的な生産のために必要と

には七五である︒然して我国とアメリカとの製造業間におけ

る次表の如き運転資本の売上高に対する比率の相違はある程 原価においての主要 凡そ生産が連続的

(単位百万

r

ft/) 

同 同 同 同 1 同 同 同

四 月 五 月 六 月 七 月 八 月 九 月 十 月 26, 219 

25, 302  25, 878 

24, 536 

25, 193  26, 019  26, 7 42 

(100 (100 (100 (100 (100 (100 (100 15. 909 

16. 208 

16. 197  16. 324  16. 318 

1664. 5%52  16. 406 

(61%)  (64%)  (63%)  (67 (65%)  ( ( 6 1 13, 371 

13, 368  13, 451 

13,426 

13,406 

13, 142  13, 321 

(51劣) (53%)  (52%)  (55%)  (53%)  (51%)  (50 15, 514  15, 891  16, 037  115, 996  116, 059  1(662, 164)  16, 078  (59%)  (63 (62%)  . (65%)  (64%)  (60

. 794 

45. 467 

45. 685  45. 746  45. 783 

45. 858 

45,805 

(171%)  (180%)  (177 (187%) (182 (177%) (171%) 

小数点一位まで計算し、四捨五入

(8)

307 

製 造 業 運 転 資 本 回 転 李 ( 日 本 )

投資の短期的作用と締済構造︵安田︶ (単位百万円)

(1)  (2)  (3)  (4) 

(1(5率)当 数

純 売 上 高 棚 卸 資 産 6ヶ月当り 1ヶ月当り

回 転 率 回 転 率

昭和27年 上 1,004,328  . 569,349  1.8  0.30  3.42 

II  27年 下 1,074,648  566,951  1. 9  0.32  3.17 

II  28年 上 1,123,253  575,395  2.0  0.33  3.17 

本表は業種別総合財務諸表(日本銀行調) (1)純売上高と (2)棚卸

贅産とより作成(経済統計年鑑、東洋諾済新報218 9 (3) (4) 

(5)は筆者計算

ヽ項---目~期 間 1952 1953

十一月 十二月 一 月 二 月 三 月

売 ( 耐 久 財 い ) 高 23. 408  24. 315 

23. 888  23. 988  26, 738 

耐久財を含む (100%)  (100%)  (100%)  (100%)  (100~~)' 購 入 原 料 16,236 

16,414  16, 106  16, 030 

1660, 052) 

(69 (68%)  (67%)  (67劣 ) (

仕掛品 i 塩塁~12,516  12. 735 

13, 044 

13, 236 

( ( 5 1 % )   (53%)  (54%)  (50

製 ・ 14.739 

14. 898  15. 195 

15. 190 

15. 263 

(63%)  (61 (66%)  (65%)  (58%) 

I

43. 243  43. 828  44. 036  44. 264 

44. 551 

(184%)  (180%)  (186%)  (186 (168%)  本表は Surveyof Current Businessによる。カッコ内は筆者計算、クる以下は

(9)

製造業種別売上高及び棚卸資産項目別比較表(日本)

項 \ 目種 紡(8社績) ! 化(4社繊) 1(5社銅) 機(械2社工業)  電気社工業(2  )  1ヶ月売上高 17,745  4,282  23,028  543  2,436 

(100 (100 (100%)  (100 (lOOJb)  期末原材料 23,260  6,491  43,350  779 

2,698 

(131 (151%)  (188 (143~6) (111%)  牛仕掛製品及品 19,346  1,795  23,173  1,350  6,847  (109%)  (42%)  (101 (248 (281~-b) 13,726  4,532  19,196  583  ,2, 191 

(77~t) (106%)  (83%)  (107Jt)  (90 1,493 

(8%) 

A‑ 57,825  12,818  85,719  2,712 

(41182,736)  (325 (299 (372%)  (498

投資の短期的作用と経済構造︵安田︶

1)本表は昭和289月末または10月末の紫借対照表及び損益計算害を;J,r として作成した。但し紡績会社の中には1025日決算がある。

2)紡絞業については東洋紡、大日本紡、鏡紡、倉敷紡(以上1025日決算)

大和紡、日洞紡、哭弱紡、敷島紡 (10月末決算)の八社、化織について

は東洋レーヨン、倉敷レイヨン、日本レイヨン (10月末決算)帝国人絹

(9月末決算)鉄鋼については宮士製鉄、八幅製鉄、日本鋼管、住友金

属(以上9月末決算)川崎製鉄 (10月末決算)の五社、機械工業は住友

機械、島津製作所 (9月末決算)電気工業は三菱電機 (9月末決算)日

本還気工業 (9月末決算)の各二社

3)原材料の中には貯蔵品をも含む

生じたかであるが︑この なる理由によってそれが に比すれば著しく小であ が如くに我国製造業の運 場合直ちに明らかとなる 右は我国とアメリカとの製造業における運転資本回転率又はその逆数を最初にアメリカにおける製造業の売上高を基準とする棚卸資産の各項目をあらわした表と我国全製造業における運転資本回転率とを比較する︒この転資本回転率はアメリカる︒それではそれは如何 示したのであるが︑先ず

(10)

3(!9 

投資の短期的作用と経済構造︵安田︶ に相違があるのではないかと考える︒ は両国製造業における仕掛品の売上高に対する割合にして︑

ことを明確にするがためにその具体的内容について明らかにするを要する︒この意味において限定せられたる業種

ではあるが︑棚卸資産の内容を構成する諸要素を売上高との関連において示した︒然してこの場合特に注意すべき

アメリカにては全製造業のそれが五0

五五︒ハーセントまでの間にとどまるのに反し我国にてはこの平均以下にあるは化学繊維のみであり︑他は著るしく

その間に大なる相違がある︒もっともそれは特定の期間のみを問題としたのであり︑また各業種別にそれを

比較したものならざるを以てその一般的妥当性については疑問が存するであろうが︑それは決して誤りとは云い得

前記の表は以上の如くに比較のためには必ずしもその資料が十分ならざるを以てこれよりなおより以上に推定す

ることは危険とも考えるが︑それにしても製造原価における構成の相違のみを以て日米両国製造業における売上高

と仕掛品との割合の異なることを説明するのは必ずしも十分ではない︒それでは何に帰すべきかと云うに製造期間

元来機械化の程度増大に伴つて産出高が増加するはもとよりであるが︑原材料の投入より製品完成までの期間が

短縮化することも予想せられるべく︑このことは売上高に対する仕掛品の比率低下の一因となる︒然してこのこと

を問題とするために前記六業種についてその比率を求めることとなるのであるが︑その中よりそれが極わめて大で

ある機械工業臨に電気工業を除くとするもその単純平均は八四︒ハーセントとなるが︑アメリカにてはそれが前記の

如く五0パーセントより五五︒ハーセントの間にある︒次ぎに売上高に対する材料費の比率であるがアメリカについ

ては前記の材料費と附加価値との割合より三七年と三九年とを問題とすると五ニパーセントより六︒ハーセント未満 ないであろう︒

(11)

1 ) 0

バーセントとして︶

投査の短期的作用と経済構造︵安田︶

にあるが故にこれを五五パーセントとする︒我国においては右の業種についてはそれは大体六四︒ハーセント弱とな

( 2 )  

る︒然してこれより労務費を前記の表によりて推定すれば大体十ニパーセント︑一般経費はこれより僅少だけ大な

る故それを一四︒ハーセントとすれば九0︒ハーセントとなる︒然るにこれらの業種においては売上高に対する売上原

(3) 価の比率は八六︒ハーセント前後にして︑その間四︒ハーセントの差を生じるが︑それは製造原価中における材料費が

製造業一般より若干高き比率を占めることにもとずくものにして︑この結果その仕掛品の売上高に対する割合は製

造業一`般より若干大となるがそれは一︑二︒ハーセント程度であるに過ぎず︑且つこれに売上原価と製造原価の差を

考慮すると︑それは過大なるが如くであるが︑合計十︒ハーセントと仮定する︒最後に問題となるのは前記材料費の

中には燃料費を含むが故にその比率であるが︑それについては別に根拠は存せざるも日米両国の製造業を通して主

要材料費八0︒ハーセント︑燃料其他の費用を二0︒ハーセントとする︒以上の如き方法により且つ仕掛品がその直接

費のみによって評価せられるとすればアメリカの製造業については材料費の四二︒ハーセントに人件費︵燃料を含む村

の︱ニパーセントと燃料費の一0パーセント合計ニニ︒ハーセントの二分の一を附加す

ると五三︒ハーセントとなり︑大体製造期間は一ヶ月となる︒同様の方法により我国について計算すると材料費五一

パーセントとなり︑これに燃料費一三︒ハーセントと人件費︱ニパーセントの合計二五バーセントの二分の一を加え

ると一三︒ハーセントとなり︑その総合計六四︒ハーセントにして前記の売上原価と製造原価との差蚊に問題とする業

種の特殊性を考慮するも七四︒ハーセントとなり︑八四︒ハーセントとの間には約︱︱︒ハーセントの差が存する︒

以上の如き結果よりすれば我国製造業における製造期間はアメリカ製造業に比し一︱︒ハーセント程度大なるに過

ぎざるが如くなるもそれは我国製造業に極わめて有利に計算したることにもとずき︑例えば売上高に対する仕掛品

10

 

(12)

311 

の割合が大なる業種を除去したるが如くにして︑これらの点を考慮すれば個々の業種については別とし︑製造業全

体としては両国間の製造期間にある程度の差が存するのではないかと考える︒それではそれは如何なる理由にもと.

ずくかと云うにそれはアメリカと我国との間に経済発展の程度において相違があることによるものにして︑従つて

このことは同一経済社会においてもその発展に伴つてこれが短縮化することを意味するであろう︒それではこのこ

とは前述せし要因とともに投資の短期的作用に如何なる影響を及匠すのか︒

( 1 )

例えば我国においては固定資産の減価償却率は昭和四年より十八年までの間に最低一・五︒ハーセント︵昭和五年上半期︶

より最高七・五︒ハーセント︵昭和十七年●牛期︶までの間にて変化している︒︵一橋大学経済研究所編経済統計︑一九五

0

頁 ︶

o

( 2 )

昭和二十八年上牛期においては売上高に対する材料費の割合は綿紡六九・四︑化織六

0・

1

︑鉄鋼︵一貫三社︶︑六五・

二︑鉄鋼︵三大平炉︶五八・九の各.ハーセントとなっている︒︵経済審議庁編経済月報昭和二十九年二月号売●牧益配

分状況表による︶︒

( 3 )

昭和二十八年上牛期における売上高と売上原価との割合は前者を某準とすると綿紡九一パーセント︑化織七七パーセン

ト︑鉄鋼九0︒ハーセントとなる︒また製造業一般のそれは八ニパーセント弱である︵経済統計年鑑東洋経済新報社︑昭和二十九年版、ニ―八—九頁より計算)。

凡そ景気が循環することを説明し得るがためには経済内部にその原因を求めなければならない︒然して不況期よ

りのその回復を問題とするに際しては種々の理由が考えられるが︑従来よりその最も重要な理由の一っとして置換

需要が挙げられている︒このことが正当であるか否かは別として少くともそれにはある程度の理由が存在する︒

元来不況期においては所得は減少するが故にこれに伴つて個人消費支出がまた減少するのは当然であるが︑この

投賓の短期的作用と経済構造︵安田︶

,  __—• ― ―  

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