投資の短期的作用と経済構造(1)
その他のタイトル Investment in Economic Structure : its Short‑run Effects (I)
著者 安田 信一
雑誌名 關西大學經済論集
巻 4
号 3
ページ 214‑245
発行年 1954‑07‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/15801
2 1 ‑ 4
投資の短期的作用と経清構造
一︑緑済発展と景気循環
投資の経済的作用を問題とする場合においてこれを種々の立場より考察することを得べく︑従ってそれは種々に
分類し得るものではあるけれどもその作用する期間との関係にてはこれを長期的作用と短期的作用とに分つことを
?9
得る︒然して投資が経済に対して有する意味は云うまでもなく本来的には経済発展との関連においてである︒この意味においてこの両作用の分類基準としての期間とは斯くの如き投資の経済発展に関連する期間であることは云う
までもない︒けれどもそれはより具体的には何を意味するのか︒
( 2 )
経済発展のためには本来的意味においての投資を必要とするが︑この投資によって一般的には経済構造に変化が
生じている︒それ故にこれを換言すると投資は少くとも過去においては経済構造の変化を媒介として経済の発展に
寄与したものであり︑且つ今後においても特にこれを否定すべき事情が存せざる限り斯くの如き過程を経過すると
考えられる︒従って投資の長期的作用︑短期的作用を分類すべき基準も具体的にはこの経済構造の変化と関係せし
めることが適当であらう︒
凡そ投資の長期的作用を問題とするにせよ︑またそれが短期的作用であるにせよ︑重要なことは投資が真空にお
投費の短期的作用と経済構造︵安田︶
安 (‑)
田信
215
投資の短期的作用と繰済構造︵安田︶
いてではなく︑特定の構造を有する経済において行われることである︒然して十九世紀にては私的投資の累積的結
果として各国経済は急激に発展したが︑それは経済構造の大なる変化を媒介としたが故に︑同時にそれは経済構造に
おけるこの変化を意味する︒従ってこの異なる経済構造を前提とすることの結果として十九世紀における投資の作
用と二十世紀のそれとの間には重要なる相違があるべく︑このことがまた今日各資本主義国が直面する重要な経済
問題としての完全雇傭︑成長率の問題を生じた所以とも考えられるを以て︑これを解明することは同時にこれらの
問題の解決に資することともなるであらう︒それではそれを解明することが如何にして可能であるかであるが︑こ
の場合それに伴う問題を二種類に分つことが必要である︒その第一は十九世紀において各国経済が急激に発展し︑
完全雇傭が維持せられたと云うも︑現実には景気循環が存し︑不況の際には経済の発展も停止乃至後退的であったの
であり︑またある程度の失業者を生じたのであるが︑それらを含んでなお長期的に観察するとき斯くの如き結果とな
ったのである︒それ故にこの原因を明らかにするを要する︒第二に一景気循環のみを考察の対象とするとき十九世
紀にては景気はその内部よりの自動的要因によって循環したのであるが︑今日にては公共投資其他の経済外的要因
にもとずく需要の増加なしには不況期より回復することは困難である︒従ってこのことが当然問題とならねばなら
ぬ︒換言すれば資本主義経済を前提とする限りにおいては本来的には景気循環が存在することを認めるのではある
けれども︑前者が個々の景気循環についてこれを問うことなく︑これらの数景気循環を通じて経済発展が維持せら
れるがための条件をこの間における経済構造の変化と関連せしめ︑この条件が如何に質的︑量的に変化したかを考
察する︒これに対し後者は異なりたる発展段階︑従って経済構造を有する二経済社会を問題とし︑この両社会にお
ける一景気循環において経済構造の相違が如何にそれに作用するかを問題とするものである︒もとよりこの両問題
216
期的作用と解し︑ 一応斯くの如くに区別することは可能であらう︒それではこの両問題と投資の長期的作
用︑蚊に短期的作用とは如何に関係するのか︒投資は経済構造の変化を媒介として経済発展に作用するものである
が︑それは同時に次ぎの発展のための条件を変化せしめる︒この条件の変化までを問題とすることを以て投資の長
この条件を不問とすることを短期的作用とする︒斯くの如き意味において右の両問題と投資のこ
の両作用とはそれぞれ対応するものと云うことが出来るであらう︒然して本稿においてはこの両作用の中短期的作
本稿においては以上の如くに解したる意味にての投資の短期的作用を問題とするのであり︑且つそれは経済構造
と関連してなるが故に︑この場合においてその前提となるところの経済構造の意味を明らかにするを要する︒それ
ではその経済構造とは何か︒
註
( 1 )
ケインズ以来嵐々投査が有効需要増加の立場より問題とせられるが︑それは賓本主義の現在の段階と関連したる特殊な
る事愉にもとずくものである︒このことは投賓を斯くの如き立湯より考察することが一九三 0 年代以前に行われなかったこ
と︑並に資本主義的制約を脱して経済一般の立場よりするとき明瞭にして︑この場合にはその本来的立場である経済発展と
の関連のみが問題となる︒
( 2 )
投賓とはその本来的意味にては﹁資本としての実物財貨の噌加﹂と規定することを得ぺく︑且つこの場合の資本とはそ
れを国民経済的立場より問題とするものなるが故に経済発展に間接的にではなく︑それ自体が寄与するものでなければなら
ぬ︒然るに最近投賓が広き意味に使用せられる結果その本来的意味が不明瀧となっている︒例えば販売困難より生じたる在
庫品の増加を以て投贅の一種と解し︑それを事後的投資とするが如くであるが
( B . O h l i n ,
"
S o m e N o t e s o n h e t S t o c k h o l m T h 8 3 0 f
租
v i
n g s a n d I n v e s t m g
t , "
R e
a d i n
g
甘
B u s i n e s s
・ C y c T l e h 83r•
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. 1
0 1
, 3)
こ の
坦
8
ム
1それは投賽と一 X うも謳済活
動の失敗より生じたる死せる資本なるを以て︑本来的投資ではなく︑従って謳済発展に寄与せざるだけでなく︑逆にこれを
投査の短期的作用と経済構造︵安田︶
用のみを対象とし︑長期的作用は稿を別にする︒ は密接な関係にあるが︑ヽ
217
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
阻止する︒一歴傭培加を目的とする公共投資もまた同様の意味においてそのすべてを本来的投資とすることは困難である︒蓋 し厘傭喩加に重点がある場合にはその投資達成上他に有利な方法が存するとしてもこの目的逹成上有利なる方法が行われる べ く
︑ こ の 場 合 然 ら ざ る 方 法 に よ る よ り も 支 出 が 噌 加 す る と し て も そ れ は 一 般 的 に は そ の す べ て の 支 出 が 投 贅 と せ ら れ る が︑それはハーバラー︵
G o t t
f r i e
d V•
H a
b e
r l
e r
) の 説 く 如 く そ の 部 分 は 浪 費 で あ る
︒ 然 し て こ の 投 資 部 分 を 擬 制 的 投 棗 部 分 と 称 し 得 る で あ ら う
︵ 桑 原 晋 訳 景 気 不 憬 気 論 三
0
八 頁
︶
二︑経済構造の概念と経済発展
ピグーは一経済社会の所得を算出するに際しては各財貨︑用役の産出高を単純に合計すべきではなく︑
複部分即ち例えば一財貨の産出物にして︑他の財貨産出のためにその原料となれる部分はこれを差引くべぎである
( 1 )
としている︒このことは云うまでもなく自明のことであるが︑これを実際に求めることは極めて困難である︒それ
ではそれは何にもとずくかと云うに︑特定の財貨︑用役のみが一方的に他の財貨︑用役の原料︑またはその構成部
分となるのではなくして︑諸財貨︑用役が相互に.斯くの如き関係にあり︑換言すればそれは単線経済構造ではな
く︑複線経済構造であることによる︒それではそれを如何にして把握するのか︒
凡そ各企業が経済活動を行う場合においてその経済活動の結果として生ずる産出高については他の企業より原材
料として需要せられるか︑または家計等に供給するかであるとともに︑その投入高は他の企業の産出物または家計
より供給せられる労仇等より構成せられているのであり︑且つこの個々の企業及び家計相互間に成立する関係はも
とよりその綜合としての各産業部門に属する企業全体︑拉に家計相互間の関係にも妥当する︒レオンチェフはこの
ことから一経済社会に存在する各産業部門の企業及び家計相互間の関係を明確にするために周知の如く次の如き投
四
その重
. 2 1 8 投 贅 の 短 期 的 作 用 と 経 済 構 造 ( 安 田 )
の支ゞ配窟分出•
高
\分I : n : 直 IV y 合 計
i = 5 I V n V21 Vs1 V u V i , 1 I V n
l = l i = 5 :
n : V12 V 四 V 紐 V 心 V 碑 IV12 i = l i = 5 直 V1a V2a Vsa V 1 1 , s V 1 , s .IV1s
i = l i = S IV V a V24 V 旺 V,4 V 辺 ~Vu
i = l i = 5
y‑V 註 V 咋 V 昨 V , 1 , 5 V 証 2V11;
i = l k=5 k=S k=5 k=5 k=5
合 計 ‑2Vlk IV2k IVsk IV4k ~VISk
sk=l k=l k=l k=l k=l
( 2 )
入・産出高表を作成したのである︒
本表は W.W.L e o n t i e f , . The S t r u c t u r e o f American E c o n ‑ omy, 1 9 1 9
ー3 9 ,2 n d . , e n l a r g e d , e d . , 1 Q 5 1 , ・ p . 1 3 , T a b l e . I
を某礎とし、これに p .1 8 , T a b l e 4 を合体して作成した
ものである。
入係数が求められるのか︒ W
にて
あら
わし
︑
五
上の表においては全産業を四種類に大別してこれを1︑
I
︑直
︑
Vを財貨を消費するととも
に︑労仇を供給する家計としたのである︒然して各産業
. i " "
5
の産出高については
<n +<
臼
+<a +<
41 +< 51 Ir とく
5
‑ 1 1 1
‑ 1 1 5
<1 1'
<は +<
爵+
<g +v gl lと くi
等︑また投入高は2
i 1 1 1 k 1 1 5
<n +<
1? +<
18 +<
1C +< は1 1と く1 5 V i 1 +1
<2 2+
<塁 k 1 1 1 k 1 1 5 +<
2﹁ +< 目1 1と く
K
等の各式によりてあらわし得る︒k 1 1 1
但し以上の如くにして展開したる産出高の第五式は労仇
供給に関する式であり︑また投入高の第五式は家計より
の各産業部門産出高需要の式である︒以下ここにては投
入係数を問題とする故に投入高に関する式だけが関係す
る︒それではこの投入高に関する諸式から如何にして投
k 1 1 5
先ず第一に第一産業部門の投入高の式について述べるとその投入高の式
<n +<
は+
<1 8+
<1 d+
<呂 11 2<
1k
は
k 1 1 1 k 1 1 5
また
(<
n1 とく も+
<1 2+
<1 d+
<1 年< 呂1 10
となる︒この場合山田勇教授に従って各産業部門の総産出量を
Y l k 1 1 1
i
.
‑‑ ‑
●
●
●●—~••••一|219
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
つ 3 )
も寺︑即ちi部門の総産出量をY I にて示すこととし︑また同様に総投入高を
Z I にてあらわす︒然して定常状態を前
k1 1 5
i 1
15
提とすれば各産業部門︑家計についてZ111Yiとなるべく︑従って投入高に関する右の式のとく
IK
は 旅 出 高 と n
‑ " "
と等しく︑即ちN111Y1となる︒それ故にこの式のと<1zは
Z l
にてあらわされる故それによりて懺替得べく︑
K 0 1
またそのことは定常状態にてはN111Y︼なる関係からそのときには
Y l
を代入し得ることを意味している︒云うま
でもなく定常状態の場合が投入・産出高関係は最も簡単である︒この意味にて先ず定常状態について考察する︒
k n 5
定常状態にては右の如き理由によりて第一産業部門の投入高に関する式に
Y l をとく;に代入するとそれは(<n
k
= l
ーY
1)
+<
;+
<月
8+
<1
4+
<日
11
0 . となる︒然して例えば
v l についてはそれは第一部門の企業がその供給財貨を産
出するために必要とする原材料等の購入高合計なるを以て︑原材料等の数量と価格との積である︒それ故にその数撒
を
5
︑価格をE
ーと
すれ
ば<
は1
1x
は
p ! l
となるぺく︑以下同様にして︑V︼.30x;もが<1
﹁
1 1 X 1 4
. P 4 , , V 1 ,
; .
1 1 X
1G
PG
とな
る︒但し和は労仇量︑凡は賃銀率である︒然して最後に第一項であるが︑それは価格
P l と数量との積であることは
他の諸項と共通であるが︑ただ異なる点は総産出高よりこの第一部門に属する企業相互間の諸取引店を差引きたる
ものなるを以てそれはその産業部門の企業がその産出高を他の諸産業部門に属する企業及び家計に供給したる合計
項は同一部門における企業内部の取引高より総産出高を差引きたるものなるを以て当然負にして︑ にして︑価格
P l とその純供給量との積であるべく︑この純供給量を
X l とすればそれはXlP]となり︑且つその第一
<nー
Y1
即ち
11ーX1P1となる︒斯くの如くにして第一部門の投入高に関する式はーX,P1
+ ・ x ,
2 P 2
十
X rn P s
十
xH
P4
+x
mP
r.
11
0と
なり
︑従
って
第二
部門
もX
10
19
ーX
2P
2+ x
1 0 a P
s +
x 1 0 . 1 P , 1 , +
X 2 ; ,
P 110となるべく︑以下同様にして︑それを展開すれば
( 4 )
次の如し︒但し第五部門に関する式は正確には投入高ではなくして︑家計の各財貨に関する梢費支出の式である︒
‑
1
ノ
次ぎに
a n
︑
a i ; i ;
以上の両者を対照すると投入係数の性格は直ちに明らかとなる︒.即ち例えば前者の第一式第二項
X 1 2 P
2 を
X1
P1
P1
を基準としてそのXは匹との割合を知とすれば
X 1
2 P
はははX:12
X 、玲呵叫 11a 11a — l an X'l.~h-
となるべく、P2
知を除けば他の投入係数は同様の方法によりて求め得る︒然るにレオンチェフはこれを例えばXは
1 1 a は
X : 1 c . 1
! .
て あ( 6
'
︶らわ
し︑
P l と凡との価格割合が欠けている︒然してこの点については家本教授が指摘せられる如くレオンチェフは
( 7 )
投入係数を﹃その時の価格で百万弗で以て購い得る分量﹄と規定し︑貨幣的なものとしているが故に︑正確には例
えば前述の知は
・ x 1 2
1 1
a 1
2 X
i 叱ーより求められたるものとなる︒
坦守であるが︑それは
‑X
:1
P1
1 1
a 1 1 X
: 1 P 1
, a : n
11
11
となるぺく︑﹄以下も同様である︒従って投入係
投資の短期的作用と経済構造公安田︶
a 1 1 1 a5
a i ; 2
a ; n
a , u
a4
2
a : u
a2
2
a s
2
a
円3
aた8
a s
s
a5
4
a4
4
a s
4 "
a 4 i ;
a s
i s
a ビ
3a 1 0 4
a 9
5
a 1 1 :
a 1
2
a 1 3
a 1 . i
ー
X B +
xは 西 +
x
は
J > s
+
X~4,P4,
+ X 1
. ; P r
, = 0
X 2 1 J ; >
1x
IO
P1
+x
島
8+
X 2 . i : P
< 1 .
+xBP10
督
P1
+X
器 匹
1
兌X
8+
xし
ゞ十
XL
Pr
1 1
0
X 4 . 1
P 1 +
X 4 . 2
P 2
+x
島3-~4,
+x
$P
ぶ1
10
が1 1 P 1
十が
i 2 P
1 1 +
X . ; s
P s +xE
p . , ,
‑ X . .
P u 1
10
C ・ 5 )
レオンチェフは投入係数に関するマトリックスを次の如くに展開している︒
a 1 5
七
221
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
数に関する問題点としては最後に家計の消費支出に関する式が含まれていることであるが︑
クスについて云えば第五列各行は労仇の投入係数即ち珀︑
ックスの中に含まれなければならない︒特にそれは直ちに述べる如く動態にては積極的意味を有し︑乗数との関連
にて重要である︒
右にては産業を四種類に分ち︑これに家計を附加したのであるが︑もとよりそれを斯くの如くに大別して少数に
限定する必要はなく︑その産業の種類を如何に細分するも同一の原理が妥当する︒然してレオンチェフはこのマト
( 8 )
マトリックスが異なるとき経済構造に相違があるとしている︒リックスを以て経済構造を示すものとし︑ これは前述のマトリッ
唸守なるを以て︑当然これに関連してそれもこのマトリ
以上は定常状態を問題としたのであるが︑動態にては如何︒この場合には以上と同一の原理が妥当する︒たゞこ
の場合には各企業の総投入高
Z I と総産出高
Y I とは一致せざるを以て各産業の投入方程式にこの両者の関係をあらわ
Yi
ー<nすためにはこの比率関係を
B1
(N
il
<i
i)
11
Yi
ー<
ii
7N
il
<i
‑1
1
とすると以上の各式にて
X1
P1
と
B1
X1
P1
し た と こ ろ を に 変 更 す る の み に て 十 分 で あ る
︒ 然 し て 定 常 状 態 の 場 合 に は 各 産 業 及 び 家 計 を そ れ ぞ れ 異 な
っ 9)
Bi
る数となるiにて示すと各産業及び家計について
B1
11
1
とな
る︒
Bi
11
1
ならざるときは動態の場合であるが︑この場合理論的には投資︑貯蓄に関する投入・産出高表を分離︑
作成することを得べく︑それに関する投入係数を
5
︑如
︑
5
︑西等とするとそのマトリックスは右と全く同一の原理によりて作成し得べく︑且つ前述の場合と同様に如︑涵等を家計の消費係数とすると乗数の作用による所得増加
︑
(10)が如何なる部面の消費増加に支出せられたかを把握し得る︒それ故に斯くの如くにこの投入係数を分離︑独立的に考えると︑ある特定期間における投入係数は定常状態の場合とこの部分との合体したるものとなる︒
八
222
の場合は原則として定常状態であるが︑理論的には然らざる場合も考え得る︒
産業における企業が利潤全額を内部に留保して全額投資するときにして︑
九
即ちそれは家計を除く各
この場合には
Ni
11
Yi
となるが︑それは
定常状態ではない︒それ故にそれが定常状態を示すためには修正を要するが︑右の
はこの場合には投資を含むをZ i
以てこれを除きたる
YI
の投入原価であるを要し、これをz
とするとNf11Y
—でなければならぬ。各企業がその利潤のすべてを内部に留保すること︑泣にその新投資高がこれと一致することはもとより現実にお
いて生ずるものではないが︑右の事実は前述の表における投入高の>を単に労仇として把握すべきではないことを
意味する︒換言すれば定常状態の場合には附加価値と労仇の報酬である賃銀とは一致し︑右のZにおける投入原価
の構成要素としての附加価値としては賃銀のみであったが︑発展的経済では賃銀以外に利子蚊に利潤が存在し︑且つ
利子は賃銀とともに投入原価の一部分なるが故に︑附加価値は賃銀︑利子︑利潤の合計に等しく︑且つ前二者と利
潤とはその投入原価に対する関係において性質を異にするが故にこれを区別することが必要であり︑更らに利潤は
企業内部の留保部分と外部流出部分とに分つべきである︒蓋し斯くの如き分類により︑即ち賃銀及び利子と利潤と
を区別することは産出高より利潤を差引くことによりて総原価を求め︑これを賃銀及び利子を含めたる総投入高と
比較することによりて投資高の算出を可能にすべく︑また利潤の企業内部留保と外部流出とを明らかにすることは
投資高との比較によりてその資金調達源泉を明確にする︒
ピグーは前述の如<‑経済社会の純所得を問題とするに際して各財貨︑用役の産出高の合計より二重計算部分を
差引くべきであるとしているが︑それは前述の投入・産出高表によれば縦欄︑泣に横欄の>を差引きたる合計であ
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
Bi
11
1
223
とせられている︒このこととそれが如何に関係するのか︒ するそれとに分かたれ︑ 4
i " u 4
11 1 4
るべく︑換.はすればそれはと
< i 1 + 5 <
i 2
十と
< i
8
十と
< i
1 i 11 4
︑4 l 1 1 1 i 11 1
11 1
とは純所得が横欄>の合朴であることを意味する︒然して定常状態にては正又は負の投資が存在せざるを以て各部
門の産出高と附加価値との割合︑これを附加価値率と称するならばこの附加価値率を乗ずることによりて純所得を
れは正確には各財貨︑用役の産出量に附加価値率を乗じ︑ 求め得る︒この場合注意すべきはピグーはもとより貨幣所得ではなくして︑実質所得を対象としているが故に︑そ
それに各財貨︑用役間に一定の価値関係を想定すること
になる︒次ぎに発展的経済についてであるが︑
k114•K11
4 k
1 1 4
k =
4
またはぃ
V l k +
とく
2 k
十 ぃ< 8
k
十ぃ
< 4
k
にし
て︑
k 1 1 1 k
"
"
1 k
" u
1 k
" " 1
この
こ
この場合には各財貨︑用役の産出高は消費に関する部分と投資に関
且つ前者はそれに附加価値率を乗すべきではあるけれども︑後者についても同様であ
る︒蓋しこれによりて投資高の中他の企業の産出物よりの構成部分を除去し得るが故である︒従って形式的には発
展的経済の場合も純所得は定常状態の場合と同一となる︒然し乍ら発展的経済の場合にこれに関連して生ずる問題
は事後的には常に妥当し︑また事前的には均衡の場合に成立するのであるが︑純所得は消費支出及び投資よりなる
事後的に考察した場合︑また事前的均衡の場合にも投資ーは貯蓄
S
と等しい︑即ちI = S
である︒次に所得yは消費支出の財貨︑用役の供給に関係する経済主体の所得
と投資に関するそれであるYY l ーとより構成せられ
Y 1
Y 1 1 +
Y l
O
となる︒然るにこの
Y t
5
ーは各々消費支出と貯蓄とに分かたれるが故に︑これを︑C l ︑
S l ︑
C o ‑
︑
S o
ーとす
れば
Y 1
1 1
C 1
+
S 1
,
Y2
1 1
C2 +
S 2
にして︑且つCを消費支出全体をあらわすとすれば
C 1
+ 1 C1
C 2
,
S = S 1
+ S
2
である︒同様にして投資は他の企業の産出物より構成せられ.る部分即ち原材料等の部分
1 1 と附加価値部分
L
ーの二部分よりなるが故投蛮の短期的作用と経済構造︵安田︶
1 0
224
Y1
1 C
1 +
門 +
cI1
+c
門 +
S2
! i ! . 代入すると
Y1
1C
+I
とな
って
︑
に ︑
II
II
1+
I2
となる︒それではこれらの式の間に如何なる関係が存在するかであるが︑
各経済主体は新投資に価値を附加するのみにして︵それは所得の側面よりは
Y l l
︑投
賓費
用の
側よ
りは
I
一︑即
ち
Y 2 I J
I 2 )
投
資の原材料等の部分
1 1 と自らの生活のために必要なる消費支出Cーを生産せざるを以て︑このC
円 +
I 1は消費支出に
関する財貨︑用役の供給に従事する経済主体の所得
Y i とその消費支出
C i との差に等しく︑
従ってこの式と前述の
Y1
1Y
1+
Y2
9Y
11
1C
1 +
S 1 ,
Y2
1 1
C2
+ s
1 0
なる式との関係から
Y1
1c
ユ'C
10
+I
1+
c1
0+
s1
と0
なり︑且つ前述のI
円
1 1 Y 1
0 1 1 c
円 +
S 2 ,
l=
l1
+I
2
の式より
II
II
1+
円 +
cS2
なる式を生じ︑
る式を右の
財貨及び用役と投資に関するそれより構成せられることをあらわしている︒次ぎにこの投資
I
と貯蓄S
との関係であるが、前述の
Y11Y1+Y2•Y1
=C
1 +
S1
,・
Y2
1 1
門 +
cS 2 ,
C=
C1
1 +c
0 ,s
1 1 S
1 +
S2
の式より
Y1
1Y
1+
Y2
11
C1
+
S 1 +
C2
+ S
2 1
1C
+S
となり︑且つこの
Y1
1C
+S
の式と
Y1
1C
+I
との関係より
l=
S
とな
る︒
以上においてはレオンチェフの投入・産出高表︑これより生ずる経済構造の概念を対象とし︑これと併せてそれ
との関連において純所得の意味を明確としたのであるが︑この場合最も重要なるは経済構造の概念である︒盤し経
済構造の如何によっては投入・産出高表の具体的内容及び純所得高が異なるを以てである︒然してレオンチェフは
前述の如く投入・産出高表より投入係数を求め︑そのマトリックスが経済構造をあらわすものとし︑それが
l o J ]
な
るとき経済構造が同一であるとしているが︑斯くの如くに経済構造を解することは種々なる疑問を生ずる︒即ちこ
のマトリックスは生産設備の利用状態︑投資の景蚊に方向が相違するに伴つて異なるを以てである︒以下このこと
を具体的に検討する︒
投費
の短
期的
作用
と経
済構
造︵
安田
︶
S1
11c
門 +
I 1とな
る︒
この式と
C1
C1
1 +
c ! l
な
純所得は実物的には泊費支出に関する. 新投音の供給に関係する
22~
凡そ一社会における特定期間の純産出高は封鎖経済をぃ前提とするとき消費財泣に用役と純投資高との合計にし
て︑開放体制の湯合にはこれに輸出高と輸入高との差を附加するを要すべく︑且つそれは附加価値の合計の半面な
るを以て理論的には両者は当然一致すべきである︒レオンチェフはアメリカ経済について一九一九年︑二九年︑三
c )
九年の三ケ年に関する投入・産出高関係を明らかにしている︒それ故にこれにもとずいて労仇を除く投入高と純産
一九一九年には賃銀及び俸給と利子及び利潤︑並に租税の合計即ち附加価値は六七0億ドルであるが︑これに対
して消費支出は四四0億ドルであり︑その差は二三0億ドルとなる︒更らにそれより輸出超過四0億ドルを差引く
と一九0億ドルとなるが︑それが同年における国内新投資と推定せられ得る︒然してこの六七0億に対し労仇を除
く投入高の合計は四八0億にして︑その割合は前者を基準とすると七二︒ハーセントとなる︒二九年も同一方法によ
りて計算すると純産出高は九
00
億ドル︑内訳は国内消費高六一0億強︑輸出超過高二億三千万強にして︑国内投
資高は二百八十億乃至二百九十億であるべく︑これに対して労仇を除く投入高合計は四八0億ドルであり︑純産出
高に対する割合は五三︒ハーセントとなる︒更らに三九年には純産出高は九
0
0億ドルであるが︑政府支出及び家計
消費高の合計は九一0億にして︑この差一0億は輸入超過高五億ドル及び企業の負の投資がこれに対応したと考え
られる︒もっとも右の政府支出の中には多額の公共投資が存すべく︑
る︒それ故にこれをすべて公共投資とするならば右の九一0億の内容は公共投資三五億︑家計及び政府消費八七五
億となる︒然してこの純産出高九
0
億に対し労佑を除く投入高の合計は五九0億にして︑その割合は六六︒ハーセ0
(12)
ント
であ
る︒
出高との割合を比較すると次の如き関係が存する︒
投費の短期的作用と経済構造︵安田︶
同年における支払超過は約三五億ドルであ
投賓の短期的作用と経済構造︵安田︶
右は>オンチェフの投入・産出高表にもとずいて計算したのであ 9るが︑それは正当であらうか︒この場合それを検討する資料として投資高を問題とする︒然して一九年︑三九年については明確ではないが︑クヅネッツによれば
(13) 二九年の総投資高は約三四0億︑減価償却費を差引きたる純投資高は二五0億とのことにして︑前述せし二七0億
乃至二八0億と或程度の接近を示す︒もっとも同年における純投資高を斯くの如くに二七0億乃至二八0億とする
(14) ことは他の統計と照合するとき多額であることは否定し得ないが︑全く誤りとも云い得ないであらう︒
以上三ケ年間の投入・産出高を比較するに際し注意を要するは一九一九年と二九年とはその比較のための条件が
或程度の接近を有するのに対し︑三九年の場合には異なることである︒即ち一九年と二九年の場合にはそれぞれ純
産出高の三分の一弱︑五分の一の投資が行われたのに対し︑
ぃ︒それではこのことは如何なる点に反映しているのか︒ 三九年には政府投資を含むも︑
一九年と二九年とを比較するとき純産出高と労佑を除く投入高の割合は前者を基準とすると七二︒ハーセントより
五三︒ハーセントと下落している︒このことは直ちに述ぺるが如きこの間における経済発展の急速なることよりする
も経済構造の変化を反映していると解すべきであらう︒然してこの場合における純産出高とは附加価値のことであ
る︒然るにこの附加価値は賃銀︑利子及び利潤︑租税より構成せられるべく︑且つ前者がその.大部分を構成する︒
即ち一九一九年には六七0億ドルの中︑租税約三0億ドルを除く六四0億ドルは賃銀と利潤及び利子より構成せら
れて
をり
︑且
つ前
者は
三一
︱1
億ドルにして︑後者は三一0 0億ドルである︒但しこの場合農業経営者の所得はすべて
後者として計算せられているが︑その中には実質的には前者の性質を有するものがあるを以て後者よりその一
0 0
億ドルを除けば両者の割合は大体三対二となる︒次ぎに二九年であるが︑租税を除く附加価値八六0億は賃銀五三 これが小額に過ぎな
'
[三‑・—·-- ‑‑‑‑227
全産業において占むる地位が減少する︒ 有
する
︒
ことができる︒
投贅の短期的作用と経済構造︵安
I I I )
八パーセン 0億︑利子及び利潤三三0億より構成せられ︑且つ後者より農業経営者の所得六0億を差引くと両者の割合は二対
一となる︒以上の数字よりすれば純産出高と労佑を除く他の投入高との一九年と二九年との割合の変化は後者と賃
銀との比率の変化に帰すると考え得る︒これを計算すると労仇を除く投入高の賃銀に対する割合は前者を基準とす
ると一九年は六九パーセントであったが︑︐二九年には一︱0︒ハーセントにして︑この変化が右の原因であるとする
二九年と比較すると三九年の産出高に対する労仇を除く投入高の割合は上昇している︒けれどもこの場合におい
て両年はその条件を異にし︑二九年にては投資は大であったが三九年は政府投資を含むもそれは小額に過ぎない︒
.ぷうまでもなく投資が増犬することはそれ自体としては投入高を増加する要因である︒然るに斯くの如き結果が生
じたることを如何に解ずべきであるか︒換言すれば二九年に比するとき三九年は投資が極わめて減少せるにもか
4
わらず右の割合は逆に上昇していることにして︑このことは後述の如く投資の短期的作用と関連して璽要な意味を
一九一九年と三九年との間におけるアメリカの経済発展を問題とすると次表の如くに前半はかなり急激であった
が︑後半は停滞的である︒斯くの如くにこの期間の前半と後半にては経済の成長率に重要な相違はあるが︑
間を通じて共通な現象がある︒それは純産出高に対する農業総産出高の割合が減少せることにして︑
の表によれば一九年︑二九年︑三九年は各︱
10
億︑七0億︑五0億なるを以て各一六︒ハーセント︑
ト、•六パーセントとなっている。然してこのことより明かな如くに経済発展の割合が怠激であればある低ど農業の
一 四
その期
レオンチェフ
投資
の短
期的
作用
と経
済構
造︵
安田
︶
得ない事実である︒
叉 l り需尉訓噂闊罰辱 1 年塁長
1 9 1 9 6 8 . 6 5 9 . 9 2 9 9 5 . 1 8 9 . 5 }4%
3 9 8 2 . 1 9 6 . 5 〇 } .75%
本表はコ ~1) ン・クラ・・-·
ク著、大川一司、
小原敬士等訳経済進歩の諸条件上巻40 頁の
表による。但し年成長率は筆者計算。
一 五
それではそれは何にもとずくの
か︒それに関しては種々なる原因を挙げ得ぺく︑特にアメリカにては輸出の減少が
•(15)
重要な一因である︒けれどもその最も重要な原因としては経済発展に伴う生活水準
の上昇によって生活必需品的性質を有する農産物に対する需要の相対的減少が挙げ
られねばならぬ︒もとより何が生活必需品であり︑また奢修品であるかは生活水準
の相違により変化するものにして︑簡単にはこれを決定し得ないが︑農産物はこれ
を如何なる意味に解するにせよ生活必需品乃至これに近き性質を有する財貨がその
重要部分を占めていることは否定し得ない︒
農産物に対する需要として数量的には重要ではないが︑長期的傾向として無視し
得ざる要因に食品工業を除く他の工業原料としての農産物の地位の変化がある︒即
ちそれは化学工業の発達にもとずくものにして︑最近における化学繊維の発達︑合成ゴムの出現はその需要を減少
せしめる要因であるばかりでなく︑農産物が季節に制約せられ︑生産が直ちに需要の変化に適応し得ないのに反
し︑生産が常時化して適応性を増大する点において重要な相違があり︑このことは経済構造上の変化として看過し
経済発展に伴う傾向として次ぎに注意すべきはサービス産業の発達である︒レオンチェフの投入・産出高表では
三九年については独立の産業とはせられているが︑一九年︑二九年の表にては未分配産業として其他の産業ととも
に示されているが故にこれを直接的に把握することは困難であるが︑次表の如くこれが雇傭人員を考察するときそ 農業の地位は右の如くに変化したのであるが︑
6tz
祁艇Q漿芸:R;~IH;..>J磁媒鑑幾(~
田)
兵茶忌匡足俎測媒且昇今\J~Q鯛郎学心聟+<
...)
¥J,$. IQ
.fu茶聡み.\)~IQや玲ふい゜産業別櫂傭人員表(米国) 1‑1(
(単位万人)
年及び 農業、森林 鉱 製造業建築業 運輸業 事公 共 商業分配 サービス産業 雇傭人員 業 及び金融合 計
I軍務を 其他 期 間 及び漁業 業 除く 1919 4,203 1,072 113 1,099 181 243 88 585 737 85 192024 4,092 1,097 111 990 222 240 96 594 662 82 1 ( 9 年 25 平均 2 ) 9 ・4,580 1,089 111 1,043 341 248 112 730 812 95 (年平均) 1929 4,793 1,081 107 1,106 334 247 117 801 900 101
193034 4,153 1,124 79 854 180 188 97 714 835 810 83
1 ( 9 年 35 平均 39 ) 4,443 1,112 79 1,035 175 187 93 738 935 903 91 (年平均) 1939 4,499 1,094 71 1,052 161 187 93 751 998 961 93 194044 5,584 1,052 73 1,415 205 236 100 761 1,619 1,092 124
(年 1 平 945 均) 6,165 1,000 ・59 1,329 136 320 96 758 2,327 1,195 141
本表は Historical Statistics of the United States, 1789‑1945. P. 65 による。但し (1) 原表は農業と森林及び漁業を別に示してい
るが、これを総括、 (2) 単位は千人であつたがこれを四捨五入して万人とした。 (3) 各年に示されていたが、これを五年ごとに平
均を求め、千位を四捨五入。
担〇呉マ足中一凶 k
測縦辻瑚淀紫底址学0¥‑'妍猿紅騒賭封,..), 醍華‑<麒且将,.>\-'辻令m森翠嵌掛且郵継AJAJ~!d.11]k 垢臣如榮怪 1"'IQ
Qや~s;:.,'ヰ01\'兵辻塞継吋s;:.,~躙郎投芸迄且玲心゜人JQ~JA)j;!瑚燃娯幽心匿到,..)\-'~j$5錠迦0変化を問題とする場合において重要なことであらう︒然し乍らサービス取引についてはなお同時に重視を要するこ
いる
が︑
一 七
一九二九年についてはその純私的投資高は七八億ドルとして
( 1 6 )
これに対し三二年の純投資高は負の六五億にして︑二九年に比すると減少高は約一四0億となる︒それ故
に総生産所得蚊に個人消費支出が減少するのが当然であるが︑前者はこの間に一︑000億より六
00
億と四
00
億減少しているのであり︑また後者は一二三年が最低であるが︑二九年よりは三二0億の減少となってをり︑その内
訳は耐久財及び非耐久財がニ︱0億︑サーピス支出は一︱0億である︒然して好況期においてはこれと逆の現象が
これをサーピスに対する個人消費支出について云えば︑例えば一九四六年と四九年の間に生産生ずるものであり︑
国民所得は約四五億︑分配国民所得は三七億増加しているが︑その中個人消費のサーピス支出増加は約︱二億であ
( 1 7 )
る︒斯くの如くにサーピス消費支出が好況蚊に不況に伴つて急激に増減することは投資の短期的作用を考察するに
際して重要な意味を有する︒
前述せし如くに一九一九年︑二九年︑三九年を通じて農業産出高を全産業の純産出高と比較するとその割合は減
少し︑相対的地位の低下をあらわしている︒またサービス産業についてほ産業別雇傭人員表において明かな如く
にその相対的地位は上昇している︒もっとも産業別雇傭人員によって各産業の相対的地位を求めるとき農業の相
対的地位は不変なるが如くであるが︑これは後述の如く農業の特殊性にもとずくものであって︑例外的現象と解す
べきであり︑サーピス産業の相対的地位の上昇を否定するものではない︒それでは斯くの如き農業の相対的地位低
下︑サービス産業の相対的地位上昇は何に反映しているか︒
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
サミュエルソンによれば前述の推定とは異なるが︑とが
ある
︒
レオンチェフは経済構造を投入係数のマトリックスに
... ・7
231
投資の短期的作用と経済構造︵安田︶
求めたが︑このことは労佑を除く投入高と純産出高との間の比率に反映すべきである︒然して一九一九年と二九年
との間では投資高の純産出高に対する割合は相違はしているけれどもある程度条件が近接せるが故にこれを比較す
ると労仇を除く投入高と純産出高との割合は後者を基準とすると低下している︒それ故これを経済発展の具体的な
る一現象と解することを得るであらう︒次ぎに二九年と三九年とを比較すると成長率は小であるが︑それでもなお
生産実質所得は八︒ハーセント弱増加している︒従ってこのことは小であるにせよ労仇を除く投入高と純産出高との
割合においても反映すべきである︒然るに実際においては斯くの如き結果を生ぜず︑前述の如く後者を基準とする
と二九年と三九年とでは逆に上昇している︒それでは斯くの如き結果を生じた原因は何かと云うにそれは二九年と
三九年とでは投資高が異なるためにして︑このことは>オンチェフの説く投入係数のマトリックスに経済構造を求
めることが必ずしも正当でないことを示している︒然し乍らこのことはそれが全く無意味なりと云うのではない︒
レオンチェフの如く経済構造を解するならばその前提条件が同一なることを要し︑
件が異なることより生ずる投入係数の変化を考慮しなければならぬ︒この意味において投資の短期的作用を明確に
することはレオンチェフ的意味における経済構造の概念を明かにするものではあるが︑投資の短期的作用を鮮明に
することは斯くの如き意味においてのみ必要なるものではない︒然して経済構造の概念を問題とするに際してなお
検討を要する点があるを以てこれを次節において考察する︒
註
( 1 ) A . C .
P i
g o u , n c I o m e , L o n d o n , 1 9 4 6 , P P . 2 ‑ 3 ( 2 )
W . W .
L e o n t i e f , T h e S t r u c t u r e o f A m e r i c a n E c o n o m y ,
1 9 1 9
, 3
9 , 2 n d e d . , e n l a r g e d , N e w Y o r k , 1 9 5 1 ,
P P
. 1 1 ‑ 9 ( 3 ) 山田勇﹁レオンチェフ体系と生産函数﹂
これが相違するときはこの条