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平成 29 年度改訂 学習指導要領を踏まえた中学校の授業づくり
〜「主体的・対話的で深い学び」の実践的研究〜
Middle school curriculum development in light of the 2017 Revised Course of Study:A practical study of active learning
田 口 康 之 Yasuyuki TAGUCHI
Ⅰ.研究の目的
本研究は、「平成 29 年 3 月告示学習指導要領」
において示された主体的、対話的で深い学びにつ いて、その趣旨の解明とともに実施の授業の過程 においてどのように実現できるかを探り、子ども たに見通しを持った授業づくりに資するものを得 ようとするものである。
【具体的研究目的】
(1)新学習指導要領及び保健体育科学習指導要領 解説に関わる目標・ 内容から、「主体的・ 対 話的で深い学び」について整理し、球技領域
【ネット型:バドミントン】の授業を実践し 検証する。
(2)その中で「主体的・対話的な深い学び」の活 用をどのように行うか等検討しつつ授業づく りをし、実践、状況の記録検証、その結果か ら改善点など課題を整理し、今後の授業づく りの提言を示す
Ⅱ.研究の方法
(1)研究の目的を達成するため、主体的・対話的 な深い学びのとらえ方を整理する。
(2)(1)の上で、生徒たちの興味関心を引き出し、
保健体育科の目標に準拠できる指導計画を作 成し、その基に実際の中学校で授業を実践し 検証した。
(3)検証には、生徒へのアンケート調査とともに、
期間記録(マネージメント場面、学習指導場 面、 運動学習場面、 認知学習場面の 4 項目)
と教師の相互作用行動(技能指導やフィード バック行動)の頻度を数値化した。
を記録して行った。
Ⅲ.研究結果の概要
(1)新学習指導要領における「主体的・対話的な 深い学び」とは次のように整理した。
【主体的な学び】とは、学ぶことに興味や関心を 持ち、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の 学習活動を振り返って次につなげる力。
国士舘大学体育学部(Faculty of Physical Education, Kokushikan University)
THE ANNUAL REPORTS OF HEALTH, PHYSICAL EDUCATION AND SPORT SCIENCE
VOL.37, 53-55, 2018
報告書(体育研究所プロジェクト研究)
田口
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【対話的な学び】とは、仲間同士の協働、教職員 との対話などを手掛かりに自己の考えを広げ深め こと
【深い学び】とは、習得・活用・探究という学び の過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・
考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付け てより
深く理解したり、情報を精査して考えを形成し たり、問題を見いだして解決策を考えたり、思い や考えを基に創造したりすること。
(2)主体的・対話的で深い学びに着目した授業づ くり
① 球技【ネット型・バドミントン】の教材観及び 研究の視点
球技は、個人やチームの能力に応じた作戦を立 て、協力して得点を重ねたり、防御したりしなが ら、勝敗を競うことに楽しさや喜びを味わうもの である。そのため、話し合いを通し学び高め合え る領域であると平成 29 年学習指導要領にも明記 され、高橋らの研究においても先に示されている ところである。また、K市の中学校保健体育研究 会の昨年の調査でも作戦や技の習得及び活用がし 易いと 8 割の教員が答えている。加えて、本研究 に協力いただいたK市立中学校の保健体育科教諭 からの願いもあり、生徒の 7 割が経験したと答え たバドミントンを研究の種目として、実践的な研 究を進めることとした。本研究は前年度の研究を 踏まえたものである。
②授業のねらい
新学習指導要領でのねらいである「思考力・判 断力・表現力の育成」、「技能・知識」の習得と活 用、体力の向上を柱に「主体的・対話的な深い学 び」を授業づくり
の方法として指導 計画及び指導案を 作成した。具体的 には、4 人で課題 解決に向けた役割 を設け、その課題
達成のためのゲームや練習を実施する。その中で、
話し合いの深まりを検証していく。課題に向けて は、課題設定とグループの人数、タブレット、ミ ニホワイトボード、学習カードの活用を工夫した。
③検証授業の概要
〇実施校:K市立第二中学校
〇授業実施校種・学年:中学校 1 年男女 37 名
〇日時:平成 30 年 10 月 3 日(水)5 限
〇 指導教員:K市立中学校保健体育科教員 男 子 37 歳(経験 15 年)
〇テーマ:運動・スポーツの楽しさや喜びを育 むための思考力・判断力・表現力の育成〜主体的・
対話的な深い学びを通して〜
〇 領域及び種目:球技「ネットボール型」バド ミントン
〇 授業形態: バドミントンの授業において、4 人のグループで、生徒自身で課題に取り組み、
ねらいに迫る。
〇 方法:1 時間目の授業を分析し、2 時間目の 授業に介入し、あらたな授業づくりを行う。
授業の展開では、常に 4 つの課題と 4 人の役割 りを設けた。
課題A 審判及びルール、安全面などの態度 課題B ストロークの状況とポイント
課題C 身体の動き(上半身・ 下半身の動き、
ステップなど)
課題D シャトルの飛び方やコースなど(ポイ ントの取り
A〜Dの 4 つの課題の課題グループでの課題の とらえ方を共有するための練習と話し合いを毎時 行い、その後練習グループに分かれ練習を行う。
④本授業のまとめ
【期間記録から】
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〜「主体的・対話的で深い学び」の実践的研究〜
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Ⅳ.ま と め
「主体的・対話的な深い学び」の内容整理を行 い、その内容を明確にしたうえでのバドミントン の指導計画と指導案づくりと、 その 50 分の展開 において「主体的・対話的な深い学び」を意識し た授業にすべく、授業づくりを行うことで、新た な授業の工夫やグループへの課題の投げかけ方に ついて検討することができた。授業の検証では、
タブレットを用いた期間記録と生徒へのアンケー トについては、今後の授業づくりの方向性を示す うえでは貴重なものとなった。運動量や話し合い の時間、指導の時間等の改善には役立ったと言え る。しかしながら研究のねらいであった「主体的・
対話的な深い学び」ができたかとは、生徒のアン ケート調査にも微少の向上しか見られず、今回の 授業づくりにおいては他の領域や検証授業の増加 などの課題が残った。今回の研究は、2 時間の授 業であったが今後指導計画の時間全てでの検証を 行い、学校現場での「主体的・対話的な深い学び」
のとらえ方の理解を深める研究がさらに必要と考
える。
本研究は、昨年に続きK市の中学校の協力を得 て行うことができ、関係の先生方や生徒に感謝す る。
参考文献
1)「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援 学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策など について(答申)」(平成 28 年 12 月 21 日 中央教 育審議会)
2)中学校学習指導要領 文部科学省─平成 20 年 3 月 告示─
3)中学校学習指導要領解説保健体育編 文部科学省
─平成 20 年 9 月─
4)中学校学習指導要領 文部科学省─平成 29 年 3 月 告示─
5)中学校学習指導要領解説保健体育編 文部科学省
─平成 29 年 7 月─
6)保健体育科教育法 大修館 杉山重利・高橋建夫・
園山和夫共著 平成 25 年 4 月
7)図説新中学校体育実技 大日本図書 監修 細江 文利 平成 29 年 3 月
8)体育科教育「学習指導要領の改訂」新時代の体育 を求めて 大修館
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【生徒へのアンケートから(1 時間目終了後及び 2 時間目終了後)】
*数値は、1・2・3・4 の 4 段階の評価とした。
(考察)1 時間目の授業は指導案通りに実施し、2 時間目の指導前に 1 時間目の結果や授業について分析 し、教師からの指導を減少させる工夫、マネージメントの減少、認知学習の増加、運動学習の増加な どの観点で 2 時間目の授業を改善して実施した。
2 時間目の授業結果は、教師からの学習指導は 2 分弱減少し、生徒相互の認知学習の場面が 3%の伸 びを示し、生徒の運動量では 5%の顕著な伸びを示した。
生徒のアンケートの結果では、全ての項目で 2 時間目の授業の数値が向上しているが、話し合いの深ま りと課題解決は微少の向上であり、主体的であったかは、0.2P の向上からは言い切れないところである。